福祉タイムズ
Vol.884(2025年7月号)
このデータは、『福祉タイムズ』 Vol.884(2025年7月号)(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。データは、下記リンクからダウンロードが行えます。
テキストデータ作成に当たって
このデータは、『福祉タイムズ』 vol.884 2025年7月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。
二重山カッコは作成者注記です。
P1
福祉タイムズふくしTIMES
2025.7 vol.884
編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会
Contents
特集 P2 サービスの質の向上を利用者とともにその先にある意義を改めて確認しよう
NEWS&TOPICS P4 居場所からつなげる・広げる こもりびとの想い 大和市社会福祉協議会
新連載 みんなの防災ノート P6 災害時にもアレルギー患者が安心できる社会へ (N)アレルギーを考える母の会
“はたらく”を支える P9 失敗してもチャンスは平等に (株)静科
県社協のひろば P10 令和6年度事業・収支決算の概要
今月の表紙
(N)子どもの輪-起立性調節障害を当事者から広める会 代表理事の中山知佳穂さん。
当事者としての思いを胸に、全国のメンバーと協力しながら、病気についての正しい理解を広める活動をしている。詳しくは12面へ→(撮影:菊地信夫)
P2
特集
サービスの質の向上を利用者とともに
その先にある意義を改めて確認しよう
平成12年(2000年)に施行された社会福祉法において、利用者が安心して福祉サービスを利用できるよう、事業者への苦情相談窓口として各都道府県社協に運営適正化委員会が設置され、今年で25年が経ちました。
設置当時より福祉サービスは良質かつ適切であることが価値基準とされ、苦情はその指標であり、解決への取り組みがサービスの質の向上を図り、社会福祉事業を経営する者の社会的信頼の向上につながるとされています。
苦情の相談件数は増え続け、解決が困難な事案も少なくありません。だからこそ利用者の声を聴き、共にサービスの向上に取り組む意義について考えます。
苦情対応の全国統計から見る「変わらないこと」と「今」
福祉サービスが「措置」から「契約」に移行したことを機に「社会福祉事業の経営者は、常に、その提供する福祉サービスについて、利用者等からの苦情の適切な解決に努めなければならない」(社会福祉法第82条)と定められました。これに基づき、各事業者では苦情解決の仕組みを整え、利用者へ周知、寄せられた苦情に積極的に対応し、サービスの質の向上に努めることが求められています。
その仕組みを支える機関として各都道府県社協に設置されている運営適正化委員会(以下、委員会)では、事業者の対応に疑問や不満を持つ方々からの相談を受け付けています。
委員会の苦情受付・対応件数は増加傾向にあり、苦情の種類で常に最も多いのは「職員の接遇」、次いで「サービスの質や量」「説明・情報提供」と続きます。サービス分野別受付件数は、2003年度以降、障害者分野からの受け付けが多い傾向にあります【図1】【図2】。
〈グラフ2点〉
【図1】苦情受付件数とサービス分野別受付件数の推移
【図2】苦情の種類年次推移
【図1】【図2】ともに『苦情受付・解決の状況』令和5年度都道府県運営適正化委員会事業実績報告(令和6年・全社協)参考に作成
〈グラフ2点終わり〉
一方『令和6年度都道府県運営適正化委員会実施状況調査』(全社協)では、苦情申出人からの相談内容の特徴が次のように挙げられています。
●事業所の指導を求める苦情の増加
●事業者に対して処罰を望む相談、話し合いでの解決を求めていない相談が増加
●申出人が調べ得た情報をもとに、事業所を追及する事例の増加
●事業者に対し、過度な要求をする相談の増加。利用者家族による過度な謝罪要求のケース
利用者から求められる苦情の解決の対応結果が事業者への「処罰」「指導」ではなく、福祉サービスの質の向上に向けた「要望」や「意見」となるためには、利用者と事業者が対等であることが大前提です。
その関係性を明確にし、より良いサービス提供を目指す法人の取り組みを紹介します。
P3
〈コラム〉
事例
利用者と事業者の約束が最良のサービス提供を可能にする―(福)伸生会の取り組み
平塚市で高齢者福祉施設と学童保育を運営する(福)伸生会では、利用者へのより良いサービス提供に向けて、法人が利用者・家族に約束していただきたいこと、職員に求める責任を「ご利用者の皆様・ご家族の皆様へのお願い」(以下、お願い)と題し、契約書に掲載、ホームページで公表しています。
「お願い」の作成の経緯や実際の取り組みについて、同法人常務理事・大畑直さん、福祉事業対策室長・大畑美歩さんに伺いました。
「お願い」作成のきっかけ
5年くらい前に作成しましたが、きっかけとなる出来事があったわけではありません。これは利用者・家族だけに向けた発信ではなく、職員への発信でもあります。
私たちはルールやマナーを遵守してサービスを提供する対価として収入を得ています。ですがご家族から聞く「申し訳ない」「入所させてくれてありがとうございます」という言葉から「支援してもらっている」という引け目のような感情が伝わり「これでは事業者に対して意見や要望が言えないのではないか」と思いました。
〈写真〉
HPに掲載されている「お願い」
〈写真終わり〉
また、支援の現場では、例えば利用者に叩かれた、故意に触られたという時「本人の特性により仕方がない」と流してきたところがあります。でもそれを良しとすると、職員を守ることができません。職員がいなければ、満足度の高い介護は実現できません。
施設にとっては利用者も職員も宝物で、両者は対等であるべきです。そこで「私たちは精一杯努力し、より良いサービスを提供することを約束しますので、利用する皆様も職員を大切にしてください」という「お願い」を発信することにしました。
迷惑行為による契約終了となる前に手を尽くす
「お願い」には利用者からの迷惑行為があった場合、契約解除の可能性がある旨を明記していますが、抵触する行為があったら即退所ということではありません。ご家族に状況を報告しながら、事業者としてそうした行為を防止する対応を試みます。例えば性的な迷惑行為がある利用者に対しては同性介助にする、認知症等による対応の難しさがある方には医師から助言を得る。ご家族にケースカンファレンスへ出席いただくこともあります。
「お願い」の実現がサービスの質の向上につながる
支援の現場では、利用者の転倒や怪我など防ぎきれないことがあります。ただその時に「施設として考えられることは全て対応したけれど、それでも起きてしまった」ということをご家族に理解いただけるよう、ご本人の様子で気になる変化があれば、随時ご家族に報告しています。転倒を繰り返している場合は、大きな事故につながる可能性が高いことを伝えます。今後の見立てを説明し、状況を共有することで、ご家族の受け取り方も違ってきます。
こうしたやりとりを実現させるためにも、利用者との日ごろからのコミュニケーションが非常に大事だと感じます。また、日々、職員が利用者の様子の変化を見過ごさないこと、気付いたことはすぐに報告・対応する仕組みを機能させることで、サービスの質の向上にもつながっています。
当施設を選んでくださった入所者・ご家族に対して、可能な限り素晴らしいサービスを提供したい。職員が良いサービスを提供できる環境も整えたい。職員も利用者も同じように守らなければならないと思っています。
〈写真3点〉
月1回、利用者、家族、職員がともに食事をする「レストラン昼食」を開催。コミュニケーションを深める大事な機会になっている。日々の活動はSNSで発信しており、家族からも好評を得ている
(福)伸生会インスタグラム
(福)伸生会マスコットキャラクター「伸生くん」
〈写真3点終わり〉
〈コラム終わり〉
サービスの質の向上の先にあるものとは
今後も福祉サービスの利用者は増加していくことが見込まれ、事業者に寄せられる利用者からの要望や意見も増え続けると思われます。
利用者の声を聴いた職員一人ひとりが適切に捉え、組織の中で検討と改善を進めることが大切です。また、その取り組みを利用者・家族等とも共有することで、安心してサービスの利用を継続することができます。同時に、職員にとってはやりがいや事業者に守られているという信頼が離職の防止にもつながり、施設では安定した事業運営が実現されます。
委員会では利用者の声を聴き、サービスの質の向上に向けた事業者の取り組みへのサポートを引き続き推進していきます。
〈写真〉
本会HPにて「苦情対応のヒント」公開中
〈写真終わり〉
(かながわ福祉サービス運営適正化委員会)
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NEWS&TOPICS
居場所からつなげる・広げる こもりびとの想い―当事者の想いに寄り添う大和での支援活動
● きっかけは一つひとつの相談から
大和市では、ひきこもりの状態にある人に寄り添いたいとの思いから 〝こもりびと〟と呼び、こもりびとと、その家族の支援をうたった「大和市こもりびと支援条例」を令和4年に制定しました。
さかのぼること令和元年に「不登校・ひきこもりがちな人の、学校や家以外の居場所がないか」「社会とのつながりとしてボランティア活動をしてもらいたい」というスクールソーシャルワーカーや、こもりびとの家族から大和市社協に相談が入りました。市内では、こもりびとの支援ボランティアグループが活動していたものの、担い手の高齢化により新たな相談の受け入れは困難な状況でした。また、当時の市等のこもりびと支援メニューでは、こもりびとの居場所はない状態でした。そこで、市社協では、孤立感を抱えているこもりびとが潜在的に多くいると考え、地域全体で取り組む課題として、令和3年から約1年かけて、市と情報交換を重ねました。
● 安心して参加できる居場所づくりから
令和4年度から、こもりびとが安心して参加できるフリースペース「居場所」を市が立ち上げました。ニーズ把握のため、居場所に市社協職員が参加し、こもりびとに継続的に関わり、少しずつ関係性を築いていきました。その結果「居場所の回数を増やしてほしい」「人と話すのは緊張するので、居場所に作業があると安心」等のこもりびとの声を聞くことができました。そこで、市社協は市と連携し、市社協の発行物の封詰め等の作業を一緒に行う「ささえあいの居場所」を立ち上げました。こもりびとにとっては自分の声から居場所ができたという経験になり、こもりびと同士が居場所でやってみたいことを話すようになりました。
●社会とつながる居場所づくりへ
その後「居場所で学んだりさまざまな経験を積み重ねたりしたい」「人と接するのは怖いけれど、地域とのつながりを持っていきたい」などのこもりびとの想いが居場所に寄せられました。そこで、市・市社協とこもりびとで話し合いながら、これらの想いを形にしていくことになりました。「お菓子作りをしてみたい」という想いには、食育活動をしているボランティアによる、お菓子作り教室を市社協が企画しました。「誰かの役に立つような活動をしたい」との想いには、市社協の調整により、こもりびとが地区社協等で有償ボランティア活動を行いました。「親亡き後どうしてよいかわからないので今から不安」という想いには、お金や生活課題について学べる研修会を市が企画し、こもりびととその家族、専門職が参加しました。これらの取り組みにより、居場所から地域や社会とのつながりを、少しずつ取り戻すこもりびとが増えてきました。
● 居場所を続ける・つなげる・広げる
こもりびとの想いに寄り添い、居場所を継続しながら地域とつなげていくためには、市・市社協だけではなく、地域住民のサポートも必要となりました。そこで、令和6年度から市と市社協の共催により、居場所サポーターの養成講座を行い、今では、居場所サポーターが居場所の運営支援を行っています。また、「一緒に外出に付き添ってほしい」等のこもりびとの 〝秘めた〟想いには、居場所サポーターがこもりびとと外出時の付き添いについて話し合う等の、新しい動きも芽生えています。また、「対面ではなく、人とつながりたい」との想いに応え、オンライン居場所を開催するなど、居場所の機能を増やし、居場所を起点にさまざまな取り組みや地域につなげています。
〈写真〉
養成講座で居場所づくり体験をしているボランティア
〈写真終わり〉
令和7年度からスタートした「第7次大和市社会福祉協議会地域福祉活動計画」は、地域のニーズを起点として構成しましたが、その中で取り上げる「目を向けたい8つの問題」には、「孤独・孤立、無理解の問題」「ひとり暮らしになったときの不安と、終活・死後の手続きの問題」等、こもりびとへの支援から把握できたニーズを位置づけました。「当事者の想いに寄り添った居場所づくり」が、地域住民の日々の暮らしや活動の手がかりになり、市社協として、より多くの地域住民等との共有・共感が進むよう活動を広げていきたいと思います。(大和市社会福祉協議会)
P5
福祉のうごき 2025.5.27〜6.25
厚労省 2040年に向けた地域共生社会の在り方 中間とりまとめ
厚労省は5月28日、「地域共生社会の在り方検討会議」中間とりまとめを公表した。包括的な支援体制の整備に向けて生活困窮者自立支援制度を中心とした既存制度の活用推進や、身寄りのない高齢者等への対応として、日常生活支援、入院入所支援手続き、死後事務支援等を提供する第二種社会福祉事業の新設などが整理された。
改正災害対策基本法等成立
災害福祉支援活動が拡充へ
改正災害対策基本法、改正災害救助法が6月4日に公布された(7月1日施行)。災害対応の強化と被災者支援の充実を目的に、主な改正点として、被災者援護協力団体の登録制度の創設、災害救助法の救助の種類に「福祉サービスの提供」の追加等が挙げられる。
利用しやすい成年後見制度を目指して民法等の改正の中間試案まとまる
法務省法制審議会は6月10日、「民法(成年後見等関係)等の改正に関する中間試案」を取りまとめた。中間試案は成年後見制度の見直しを検討するもので、現行制度の硬直性や、本人の意思決定を代行する側面が課題とされ、法定後見の類型(三類型維持、単一化・二段階化等)、終了要件、期間、選任・解任に関する検討事項などが提示されている。
社会経済の変化に対応した年金制度を目指し、改正法が成立
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための年金制度改正法が6月13日に成立した。被用者保険の適用拡大、在職老齢年金制度の見直し、遺族年金の見直し、将来の基礎年金の給付水準の底上げ等の措置が講じられる。
P6
新連載
みんなの防災ノート
災害時にもアレルギー患者が安心できる社会へ―(N)アレルギーを考える母の会
アレルギーを考える母の会は平成11年に発足し、同20年のNPO法人化を経て活動は26年目を迎えました。年間400人ほどから寄せられる相談に応じ、健康回復をサポートする活動を中心に、患者が適切な医療を知り自ら治療に取り組み自己管理を可能にするための講演会・学習懇談会活動、患者を支える社会の仕組みづくりを働きかける調査・研究、提言活動などを続けています。
当会は平成23年3月に発生した東日本大震災から被災地での活動に取り組んでいます。きっかけは以前から連携していた、阪神淡路大震災で被災した兵庫県西宮市在住の女性の「母の会は被災地に行かないのか」という一言でした。その言葉に背中を押され、手探り状態でしたが4月7日、ようやく通れるようになった東北自動車道を経由して仙台市に向かいました。到着した日の深夜に震度6強の余震に見舞われ、翌日向かった沿岸部の惨状や、静まり返った避難所の光景を今も鮮明に覚えています。
被災地での活動は、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎、喘息などアレルギーの病気を理由に、避難所での生活に困っている人がいることを、避難所運営などに携わる方々に理解してもらうことから始まりました。必要性が理解されない活動は、かえって迷惑とされかねません。岩手、宮城、福島3県の沿岸部の自治体などを、時に原発周辺は大きく迂回しながら訪ね歩き、3巡目の訪問のころから、ようやく本気で話を聞いていただけるようになりました。
被災地で活動を開始した当初、避難所などを訪れて分かったことがありました。最前線では保健師、栄養士、看護師の役割が大きく、避難所では保健師がキーマンでした。加えて被災した方々にとっては、見知らぬ人による支援ではなく日ごろ身近にいる人からの支援が安心できることも痛感しました。従って被災地での当会の活動は、主に被災自治体の職員を応援することを中心としました。具体的には市町村などの支援担当と連携し、患者サポートに必要な情報や資材を提供、訪問した避難所では患者をサポートする体制づくりに協力し、併せて直接連携できる患者をサポートすることにしました。その後、被災1年を経過するころからは、保健師など専門職の方々に研修機会を提供する活動に比重を移しました。費用は当会が用意し、アレルギー専門医を同行して行った研修会は130回を超え、研修を実施した市町との連携は今も続いています。熊本地震(平成28年)や西日本豪雨(平成30年)、北海道胆振東部地震(平成30年)など令和6年能登半島地震まで、こうした協力を続けています。
〈写真〉
平成30年9月4日、倉敷市真備町
薗小学校の避難所での活動のようす
〈写真終わり〉
災害時のアレルギー患者支援は、東日本大震災の反省から始まったと言っても過言ではありません。当時、現地で見聞きした実情は「ある食べ物を『アレルギーがあるので食べられない』と言ったら『こんな時に贅沢を言うな』と避難所の担当者に怒られた」「アトピー性皮膚炎が伝染すると思われ、避難所を出なければならなかった」などというものでした。当会はこうした実情を厚生労働省の担当課などに訴え続けました。
東日本大震災発生から2年後の平成25年、多くの課題を背景に災害対策基本法が改正され「高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要するもの(以下「要配慮者」という)に対する防災上必要な措置に関する事項」が規定されました。
そして、これと併行して作成が進められた「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(内閣府防災担当、平成25年)に、初めてアレルギー患者への配慮が盛り込まれました(表)。国に実情を訴え続けた当会も策定の検討会に加わり、アレルギー学会などと連携して要望した内容が盛り込まれました。
〈囲み〉
本コーナーでは、疾病や障害のある方、子ども、高齢者などが災害時に抱える生活課題に対して、福祉関係者等の防災に関する取り組みをご紹介します。
〈囲み終わり〉
P7
〈囲み〉
第1-4 避難所における備蓄等
(1)食料・飲料水の備蓄
食物アレルギーの避難者にも配慮し、アルファー米等の白米と牛乳アレルギー対応ミルク等を備蓄する。必要な方に確実に届けられるよう、要配慮者の利用にも配慮する
第2-7 食物アレルギーの防止等の食料や食事に関する配慮
(1)食事の原材料表示
食物アレルギーの避難者が食料や食事を安心して食べることができるよう、避難所で提供する食事の原材料表示を示した包装や食材料を示した献立表を掲示し、避難者が確認できるようにする
(2) 避難者自身によるアレルギーを起こす原因食品の情報提供
食物アレルギーの避難者の誤食事故の防止に向けた工夫として、(中略)食物アレルギーの対象食料が示されたビブス、アレルギーサインプレート等を活用する
第2-8 衛生・巡回診療・保健
(7)②生命・身体に配慮を要する避難者への対応
アトピー性皮膚炎の悪化を避けるための仮設風呂・シャワーを優先的な使用させることや、喘息など呼吸器疾患の悪化を避けるためのほこりの少ない場所への避難などの配慮がなされることが望ましい
(表)「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」内閣府(防災担当)平成25年8月、同28年4月改定(抜粋)
〈囲み終わり〉
その後も厚生労働省の「アレルギー疾患対策の推進に関する基本的な指針」(平成29年)では、アレルギー対応食材やミルクの備蓄、自治体の防災部門と保健部門の連携推進などがうたわれました。令和4年には、国の最も重要な計画である「防災基本計画」にも「被災地方公共団体は、避難所における食物アレルギーを有する者のニーズの把握やアセスメントの実施、食物アレルギーに配慮した食料の確保等に努めること」が明記されるなど、取り組み方針の整備は着実に進んでいきました。
一方、災害への備えや避難所運営などの実務は主に市町村が担い、支援内容も市町村の裁量に任されています。当会が研究協力者として参加した「大規模災害におけるアレルギー疾患患者の問題の把握とその解決に向けた研究」(厚生労働科学研究、令和2・3年度)で、「避難所で食物アレルギーを有する避難者に配慮した準備をしていますか」との調査に対し、「準備している」と回答した自治体は38%、アレルギー対応食品の備蓄数量や備蓄場所などについて住民に情報公開している自治体は13%にとどまっていました。当会が活動してきた被災地でも、少しずつ取り組みが進んできているとはいえ、実感は調査結果と一致していました。引き続き、国の指針などに沿った自治体による災害への「備え」の充実が求められます。
令和6年能登半島地震の被災地で活動する中、被災半年後の7月に、特に被害が大きかった輪島市、珠洲市、七尾市、能登町、穴水町、志賀町を対象に、前出「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」の取り組み状況について調査を行いました。調査対象の6市町のうち3自治体がアレルギー対応食を備蓄し、1自治体がアレルギー対応ミルクを備蓄していました。そしてこれまでなかった取り組みとして、すべての市町の避難所などでアレルギー患者のアセスメントが行われていました。調査に寄せられたコメントにも「備蓄食料はすべて28品目(加工食品で表示が義務付け、または表示が推奨されている原材料)を不使用としていた。しかしアレルギー患者を把握する方法や対応の基本に対策がなされていなかったため、避難所ごとの対応にバラつきが出てしまった」など、これまでなかった意識の高まりが伺われたのは、反省点であるとは言え大変にありがたく思いました。ありのままの実情を報告していただいた6市町には、心から感謝しています。
〈写真〉
令和6年6月11日、輪島市内での活動のようす
〈写真終わり〉
今後、アレルギー患者支援という視点でも福祉関係者との連携が広がると考えています。理由の一つは平成25年の災害対策基本法改正の目的に沿い、神奈川県も含めた自治体で、避難の支援にとどまらず他の「食」に脆弱な方々とともに食物アレルギー患者も「要配慮者」として支援されるようになることが期待されます。もう一つは今年、法改正により災害対策基本法に「福祉サービスの提供」が明記されたことで、「要配慮者」の多様な支援ニーズに応え、同じ場面で活動するケースが増えるのではないかと思われるからです。
関係者の皆様には、災害時を含む緊急時に提供する食事や炊き出しなどに、国の指針に沿った原材料表示を行い、食物アレルギー患者の安全確保に努めていただけることを願っています。そのためにも、災害時のアレルギー患者への対応について、情報の共有や関係者同士の協議が進むことを期待しています。(アレルギーを考える母の会)
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私のおすすめCHECK!
◎ このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。
三橋昭著『麒麟模様の馬を見た目覚めは瞬間の幻視から』を読んで
レビー小体型認知症は生々しい幻視が特徴ですが、患者である三橋昭さんは、自分が体験した幻視をイラストで表現し、文章を添えて本にしました。
三橋さんの幻視には、人、動物、植物、幾何模様などが見えています。その一つに「麒麟模様の馬」がいたのです。三橋さんは認知症と診断されていますが、認知機能の低下はほぼなく、現役の図書館長でもあります。様々なタイプの認知症があることを知るのによい手引書です。
今月は→認知症の人と家族の会神奈川県支部がお伝えします!
認知症の人と家族の会は1980年に、神奈川県支部は1981年に発足。以来今日まで、介護家族のつどい、電話相談、会報の発行、啓蒙活動、調査研究、行政への要望などを行ってきました。
〈連絡先〉
〒221-0825 横浜市神奈川区反町3-17-2神奈川県社会福祉センター5F
TEL045-548-8061 FAX 045-548-8068
毎週㈪㈬㈮10時から16時
HP: https://www.alzheimer.or.jp/?page_id=377
奇岩を見て、ある人は人の顔に、ある人はライオンの顔に見えても、誰も違和感を感じないし「そのように見えない」と議論することはないでしょう。「こんな不思議な夢を見た」を言われて「そんな夢はありえない」と否定する人はいないと思います。でも「目の前に猫がいる」「子どもを抱いた女の人がいる」「子どもが天窓から出入りしている」と断言されたら、「そんなものは見えないよ」と否定すると思います。しかし、その表現通り、現実にはないものが生々しく見える病気があります。それがレビー小体型認知症です。
生々しい幻視、手の震えなどパーキンソン病のような症状、もの忘れなどの認知症症状があるのが特徴です。パーキンソン病の病変に見られるレビー小体という異常な構造物が神経細胞内に蓄積し、認知機能に関わる大脳全体に見られることから名付けられました。記憶の中枢のある側頭葉と、目から入る情報を処理する後頭葉(視覚領)が萎縮したり活動性が低下したりするのが特徴で、そのために目からの情報がなくてもはっきりした画像がつくられるのです。手の震えや小刻み歩行、手足の硬さ、仮面のような表情の少ない顔といったパーキンソン症状のほか、便秘や失禁、立ちくらみなどの自律神経症状を伴うことがあります。夢を見ながら大声で寝言を言ったり手足を動かしたりするレム睡眠障害がみられる場合もあります。
三橋さんの幻視は「寝起きの数秒のみの出現」だと言います。瞬間的な幻視を思い出して記録するのは容易ではありません。「幻視との付き合いを記録することは、生きている証になるのではないか」と考え、「僕の頭の中のレビー」というタイトルを付けて書き始めたのです。
『幻視には動物、植物、人物、模様など様々なものが出現します。(中略)いつも、幻視を見たら忘れないうちにイラストを描きます』。『珍しく右向きに疾走する馬が登場。なぜか下半身は麒麟模様でした』という文章とともに、表紙の馬が描かれています。『猫のたまちゃんが枕元にトコトコやって来た。なでようと手を伸ばすと身体をすり抜けてしまった。たまちゃんは幻視だった』――本書には、このようなたくさんのイラストや解説文が載っています。
私はレビー小体型認知症の患者さんをたくさん診察してきましたが、三橋さんのように寝起きの瞬間ではなく、生活している中で幻視を見ることが普通です。一般的には、冒頭に書きましたように怖い幻視でないのが救いです。
本書には、診断を受けたときの気持ち、認知症と診断されても図書館長の仕事を続けていること、パーキンソン症状のため身体の動きが悪くなって引っ越しをしたこと、地域活動に参加して病気を公表したこと、出版することになってクラウドファンディングで資金を集めたことなどさまざまなエピソードが書かれています。
認知症基本法に、国民の責務として「認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深めるとともに、共生社会の実現に寄与すること」とあり、今回おすすめする本書は認知症の正しい理解に役立つものと確信しています。
〈写真〉
『麒麟模様の馬を見た目覚めは瞬間の幻視から』
三橋 昭(著)・小野 賢二郎(監修)
(株)メディア・ケアプラス
〈写真終わり〉
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“はたらく”を支える
失敗してもチャンスは平等に-株式会社静科(厚木市)
毎年7月は「社会を明るくする運動」の強調月間・再犯防止啓発月間です。就労の有無によって再犯率が変わると言われており、再犯防止に就労の確保は欠かせないものとなっています。更生保護には、犯罪や非行をした人を雇用し、立ち直りを支える「協力雇用主制度」があります。
今回は、協力雇用主で保護司の(株)静科 代表取締役の高橋俊二さんに、職場での受け入れ、再出発を支える取り組みを伺いました。
― 協力雇用主になったきっかけを教えてください
当社は工場、住宅・オフィス等での騒音による健康被害を「音害」という言葉で定義し、音害対策となる防音材・吸音材の開発・製造・販売・施行する会社です。社会貢献として、先代である父は植林活動等を行い、私の代では経験してきたバレーボールの振興に貢献しようと、プロチームのスポンサーを経て、今では当社でプロチームをつくり地元に貢献できるよう奔走しています。社会貢献が当たり前に根付いているのは「静かさを科学する力で、世のため、人のために尽くす」という企業理念を持っているからです。
〈写真〉
「その人の転機となれるよう、本気で向き合いたい」と語る高橋俊二さん
〈写真終わり〉
人手不足が続く中で、「協力雇用主制度」を知り、制度を学ぶうちに少年院等にいた少年たちの多くが幼少期から虐待を体験していたことや、地域や社会での居場所の有無によって、再犯率に影響が出ることを知りました。少年たちが親と違う大人と関わることの重要さ、大切さを実感し、会社として社会に戻るきっかけを作ることが、企業の社会的責任とも重なって、協力雇用主として受け入れることを決意しました。
7年程前から、(N)神奈川県就労支援事業者機構を通じて3名の少年を雇いました。
― 少年たちとの関わりで大切にしていることは何でしょうか
少年たちは、生きていくことに自信を持てずにいて、素直で気弱なところがあります。また、社会への復帰を目指していても、古くからの友人に悪いことを誘われたら断れず、これまでの人間関係を断つことの難しさも抱えています。
そうした状況を理解しながら、職場として「特別扱い」しないこと、他の職員と同様に目標を持ち、達成できなかった場合には振り返りを行うこと、仕事で周りに迷惑をかけた場合は、自分から謝ること等、仕事をする上での「当たり前」をしっかりと伝えています。同じ職場で働く仲間として向き合うことで、ここを退職した後、他の会社で上手くいかず悔しい思いをしても、自分で乗り越える力をつけてあげたいと思っています。
ある少年が年賀状で「静科で働けたことが自分にとって大きな転機でした」と報告してくれた時は、本当に嬉しかったです。社会に戻る手助けをした後、彼らが希望を持って人生を歩いていることを実感しました。
― 更生保護を社会に広げるために必要なことを教えてください
私は協力雇用主だけでなく、保護司としても更生保護に関わっています。こうした活動を通して感じるのは、「関わる人の存在」が重要だということ。実際に就職できる場はまだまだ少なく、特に中高年の対象者の受入先は限られています。制度があっても、企業や地域の理解がなければ、更生の道は閉ざされてしまいます。再スタートを切ろうとする人たちにチャンスが平等にあり、「居場所」と「出番」を地域社会の中で広げていく必要があります。
社会での再出発を支える更生保護は、決して特別な世界ではありません。安心・安全な地域づくりに、私たち一人ひとりが関わる機会を持つことで、立ち直ろうとする人の未来が変わることを、より多くの人に知ってもらいたいと考えています。
第75回“社会を明るくする運動”
詳細は法務省のHPをご覧ください。
株式会社静科
創立:2006年1月
住所: 厚木市金田492-1
P10
県社協のひろば
令和6年度事業・収支決算の概要
神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(令和6年~10年度)の初年度として、基本目標に掲げた事業の着実な推進を図りました。
●包括的な支援体制整備の推進に向けて、重層的支援体制構築支援事業や生活支援コーディネーター養成研修等の県委託事業と、市町村社協部会事業と関連性をもたせながら実施し、行政や社協の連携・協働に向けた取り組みを進めました。
●主任児童委員制度が30周年を迎えたことを契機に、主任児童委員と多様な関係者がさらなる連携・協働を考えるきっかけとなるよう、本会機関紙やホームページで情報発信を行いました。
●企業等の社会貢献活動としての寄附・寄贈、招待行事などの取り組みやそれを受けた福祉関係者の声を紹介した記事・動画をかながわボランティアセンターホームページで発信し、企業による地域での支えあい活動を広げました。
●本会「災害福祉支援本部」を設置し、令和6年台風10号を受けて開設された社協災害ボランティアセンターへの運営支援として、相互支援協定に基づきICTの活用を含めた運営支援や秦野市社協からの支援要請を受け、市町村社協および本会から応援職員を派遣しました。
●権利擁護推進事業では、弁護士等を地域に派遣し、権利擁護ネットワークの形成を支援し、身寄りのない高齢者等への死後事務等に関する市町村検討会へ参加し、先行事例の情報提供等を行いました。
●コロナ特例貸付について、市区町村社協や自立相談支援機関と連携しながらフォローアップ支援を継続し、償還免除等の適切な活用に向けた周知に取り組みました。
●社会福祉法人・施設の活動促進として、地域に根差した法人・施設の公益的な活動が展開されるよう、福祉経営支援レポートによる継続的な情報発信を行うとともに、巡回型経営支援事業に取り組みました。
●福祉人材の確保について、無料職業紹介事業による就労相談等を実施するとともに、福祉人材センターの認知向上のため、CM放映や、SNSを活用した広報活動を積極的に行いました。
●福祉事業従事者の育成について、介護支援専門員のカリキュラム改定に向けて、実務研修プロジェクト、専門・更新研修プロジェクトを設置し、研修内容の検討と研修テキストの作成をしました。
●政策提言活動では、引き続き喫緊の課題となっている人材確保をはじめ、福祉教育や物価高騰に対する支援の必要性をとりまとめ、提言しました。
〈囲み〉
令和6年度事業報告並びに社会福祉法人現況報告書
〈囲み終わり〉
令和6年度 収支決算(抜粋)
〈表〉
総合資金収支計算書
(自)令和6年4月1日 (至)令和7年3月31日(単位:円)
会計及び事業区分、拠点区分→収入合計(A)→支出合計(B)→差引増減(A-B)
総合計(法人全体)→20,247,017,025→13,367,009,101→6,880,007,924
1 一般会計→5,959,069,805→5,042,593,711→916,476,094
→(1)社会福祉事業区分→4,902,877,681→4,604,817,539→298,060,142
→(2)公益事業区分→1,049,871,506→439,831,723→610,039,783
→(3)収益事業区分→109,327,142→100,950,973→8,376,169
2 生活福祉資金会計→14,287,947,220→8,324,415,390→5,963,531,830
→生活福祉資金特別会計→12,286,257,970→6,837,789,302→5,448,468,668
→県単生活福祉資金特別会計→480,231→460,426→19,805
→生活福祉資金貸付事務費特別会計→1,480,072,270→1,459,124,178→20,948,092
→要保護世帯向け不動産担保型生活資金特別会計→519,578,890→27,032,541→492,546,349
→臨時特例つなぎ資金特別会計→1,557,859→8,943→1,548,916
※ 一般会計、各事業区分並びに各拠点区分はそれぞれの集計単位で求められる内部取引消去後の額を計上しているため、収入合計額(A)と支出合計額(B)の合計額は一致しない
〈表終わり〉
〈表〉
総合貸借対照表
資産の部→負債の部
流動資産→7,494,238,703→流動負債→2,237,078,769
固定資産→75,291,618,307→固定負債→900,195,013
→→負債の部 合計→3,137,273,782
→→純資産の部
→→基本金→2,125,290
→→基金→1,508,625,938
→→国庫補助等特別積立金ほか→65,607,219,908
→→その他の積立金→15,046,703,802
→→次期繰越活動収支差額→△2,516,091,710
→→純資産の部合計→79,648,583,228
資産合計→82,785,857,010→負債及び純資産の部合計→82,785,857,010
〈表終わり〉
P11
information
役員会の動き
◇評議員会=6月20日(金)①理事の選任②監事の選任③定款の一部変更(案)④令和6年度事業報告並びに決算報告(案)
◇理事会=6月20日(金)①正副会長及び常務理事・業務執行理事の選任②正会員の入会申込み③令和7年度一般会計等補正予算(案)④育児介護規程の一部を改正する規程(案)
新会員紹介
【施設部会】ティンクルくぬぎ坂保育園
関係機関・団体主催の催し
かながわ女のスペースみずら
ボランティア電話相談員養成講座
◇日時=令和7年9月6日(土)13時~16時30分(受付12時30分~)
◇会場=かながわ県民センター304会議室(横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2)
◇対象者=女性問題に興味・関心のある女性、ボランティア電話相談員として活動可能であることが望ましい
◇受講料=無料
◇申込締切=8月31日(日)必着
◇申込方法=mizurawoman@gmail.comへ必要事項を記入の上
申込み。詳細はHPを確認
HP:https://www.mizura.jp/
◇問合せ=(N)かながわ女のスペースみずらTEL 045-534-5274
寄附金品ありがとうございました
【県社協への寄附】古積英太郎
【交通遺児等援護基金】(株)エスホケ
ン、ダイセーロジスティクス(株)横浜ハブセンター、(一社)全国霊柩自動車協会
【子ども福祉基金】(株)エスホケン、脇隆志
【ともしび基金】神奈川県ボウリング場協会、(株)マルエツ、栗田航伎、(公社)神奈川県宅地建物取引業協会、古口玲斗
以上、合計12件(匿名含む)1,191,000円
【寄附物品】(一社)日本声ヨガ協会、(N)日産労連NPOセンター「ゆうらいふ21」、グーリングジャパン(株)横浜営業所、(公財)報知社会福祉事業団、神奈川県遊技場協同組合
【ライフサポート事業】〈寄付物品〉
(N)セカンドハーベスト・ジャパン
〈写真3点〉
児童養護施設へトイレットペーパーを寄贈いただき、令和7年6月3日、神奈川県遊技場協同組合 伊坂重憲理事長(左)に感謝状を贈呈
障害児入所施設等にて出張人形劇公演を実施いただき、令和7年6月12日、(N)日産労連NPOセンター「ゆうらいふ21」高橋慎吾本部長(左)に感謝状を贈呈
〈写真終わり〉
〈囲み〉
神奈川県社会福祉協議会 役員・評議員の紹介
【会長】 小泉隆一郎(学識経験者)
【副 会 長】 三澤京子(吉祥会・経営者部会)三觜壽則(県民児協・民生委員児童委員部会)兵藤芳朗(鎌倉市社協・市町村社協部会)
【常務理事】 深井康信(学識経験者)
【理事】◆第1種〈経営者部会〉三澤京子(吉祥会)、矢部雅文(成光福祉会)〈施設部会〉出縄守英(進和学園)、石井謙次(岡野福祉会館)、〈民生委員児童委員部会〉三觜壽則(県民児協)、今富子(川崎市民児協)、大貫君夫(相模原市民児協)〈市町村社協部会〉兵藤芳朗(鎌倉市社協)、福田愛一郎(横浜市社協)、山本浩真(川崎市社協)、笹野章央(相模原市社協)◆第2種〈連絡会〉コッシュイシイ美千代(県介護福祉士会)、成田裕子(フュージョンコムかながわ・県肢体不自由児協会)◆第3種〈連絡会〉金井克之(県労働者福祉協議会)◆第4種〈関係行政機関、学識経験者〉内嶋順一(学識経験者)、小泉隆一郎(学識経験者)、深井康信(学識経験者)
【監事】加藤馨(陽光の園)、小原公一(県民児協)、國重正雄(学識経験者)
任期:令和7年6月20日~令和9年6月に開催する定時評議員会の終結の時まで
【評議員】◆第1種〈経営者部会〉赤間源太郎(相模福祉村)、西山宏二郎(藤嶺会)、小倉徹(松緑会)、柳井芳明(日本医療伝道会)〈施設部会〉松岡秀典(ニューライフ湯河原)、柿原建男(第二白百合乳児保育園)、鈴木暢(ハートピア湘南)〈民生委員児童委員部会〉白井幸江(県民児協)、二ノ宮要子(県民児協)、小宮秀樹(川崎市民児協)、堤道子(相模原市民児協)〈市町村社協部会〉岸原晃(逗子市社協)、藤村和靜(秦野市社協)、鈴木定公(綾瀬市社協)、髙橋伸隆(寒川町社協)、福岡健一(山北町社協)◆第2種〈連絡会〉内藤則義(県身体障害者連合会)、石川ひとみ(じんかれん)、安藤正義(県老人クラブ連合会)、田中晃(県社会福祉士会)、宮田丈乃(県保育会)◆第3種〈連絡会〉倉田昭人(神奈川新聞厚生文化事業団)、髙橋好久(県歯科医師会)◆第4種 笠井熱史(県福祉子どもみらい局福祉部地域福祉課)、髙木美岐(横浜市健康福祉局地域福祉保健部)、中島孝夫(県共同募金会)
任期:令和7年6月20日~令和11年6月に開催する定時評議員会の終結の時まで
〈囲み終わり〉
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かながわほっと情報
知ってほしい 目には見えない病気のこと
NPO法人子どもの輪-起立性調節障害を当事者から広める会
起立性調節障害は、主に思春期に好発する自律神経系の不調からくる身体の病気で、立ちくらみやめまい、腹痛・頭痛、失神、倦怠感、思考力や記憶力の低下など、さまざまな症状が起こります。軽度の症状を含めると小学生の約5%、中学生の約10〜30%がかかると言われていますが、病名や症状はあまり知られていない状況です。
「やりたくてもできない」を伝えたい
現在高校1年生の中山知佳穂さんは、小学校6年生の時に発症し、中学2年生の頃にはほとんど学校に通えない日々が続きました。「外見からは病気だと分からないうえに、病気について自分から説明する機会が少ないので、学校に行けないことについて周囲から『さぼっている』『怠けているだけ』などと誤解されることも多いです」と中山さんは話します。
〈写真〉
「趣味はドラマ鑑賞と音楽で、最近ベースを始めました」と笑顔で話す中山さん
〈写真終わり〉
中学生の時、体調が悪化して人と関わる機会が減り、同じ立場の人とつながれる居場所を作ろうと、2023年に「起立性調節障害の子どもたちの会」を立ち上げました。その後も「この病気についての正しい理解を、より多くの人に広めたい」「起立性調節障害になったことを、嫌な記憶のまま終わらせたくない」という思いを原動力に準備を始め、2025年3月に「(N)子どもの輪-起立性調節障害を当事者から広める会」の法人設立に至りました。
同じ思いをもつ人たちと出会って
活動や団体設立にあたっては、社会課題解決に取り組んでいる市民活動を支援する「横浜市市民協働推進センター」に相談したそうです。「メンバー集めにはSNSを活用しました。最初は本当に反応が来るか不安でしたが、全国の当事者やその親、元当事者からメッセージが届きました。同じ病気で悩んでいる人が多くいると分かって、活動の必要性を感じました」と中山さんは語ります。
メンバーは10代~20代が中心で、北海道や兵庫県など、神奈川県外からも参加しています。現在はオンラインで集まって、病気の理解を広めるリーフレット作成やSNSでの情報発信などに取り組んでいます。
伝わった実感が、次の力に
オンラインだけでなく、対面での活動も積極的に行っており、今年3月には医師とともに講演会を開催し、約100名の当事者やその家族が参加しました。「参加された方の中には涙を流す方や『病気についてもっと広めていってほしい』と声をかけてくれる方もいて…。私たちの活動が当事者や家族の助けになれたこと、心に寄り添えたことを実感しました」と振り返ります。
今後に向けては、より多くの人に病気を知ってもらうために「電車内など日常生活で使えるストラップ型の患者マークや、起立性調節障害に関する資格を作れたらいいなという声も出ていて、アイデアを形にしていきたいです」と抱負を話してくれました。
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講演会「子どもの輪×田中大介先生 起立性調節障害を当事者から語ろう」のようす
〈写真終わり〉
〈QR2点〉
(N)子どもの輪 会員募集中です!
テレビの密着取材を受けました(YouTube で公開中)
〈QR2点終わり〉
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バックナンバーはHPから
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