神奈川県社協について
事業計画・予算
令和6年度 神奈川県社会福祉協議会事業推進方針
人口減少や少子高齢化が進展し、単身世帯の増加や世帯規模の縮小などが進み、これまでの分野別の対応では難しい多様化・複雑化した地域福祉課題が顕在化しています。
令和6年度において、国では包摂的な共生社会づくりや、生活困窮者や障害者、困難な問題を抱える女性等に向けた支援体制の強化、令和5年に施行された「こども基本法」を中心に子どもを産み育てやすい環境づくりが進められるとともに、人口構造や社会経済状況の変化を踏まえた介護保険の介護報酬・障害福祉サービス報酬・医療保険診療報酬の3つの同時改定が行われます。
本県においては、社会全体で子ども・子育てを応援し、こどもを社会の中心に据える「こどもまんなか」の取り組みをはじめ、新たな「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例」に基づく計画や、第9期高齢者保健福祉計画、困難女性支援法に基づく計画等、福祉関連計画による施策が展開されます。
一方、本会では、令和6年度から始まる「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画」(5カ年)において、会員をはじめとする関係機関・団体の皆様と協働しながら、地域共生社会の実現に向けて「誰もが尊重され安心して生活できる地域づくり」に取り組みます。
これらを踏まえ、令和6年度は、包括的支援体制整備に向けた地域ネットワークの強化や利用者の権利擁護、災害時に備えた福祉支援活動、喫緊の課題とされる福祉人材確保などの、地域福祉の諸課題に対する取り組みを進めて参ります。
推進の柱
推進の柱Ⅰ 地域での支え合いの推進
1 多様な主体と進める地域福祉活動の推進
- 「包括的支援体制及び重層的支援体制構築支援事業」や「ケアラー支援事業」などの事業により、地域福祉の要となる民生委員児童委員を始めとした多様な主体とともに、市町村域における包括的な支援体制づくりを進めます。
- 横断的な課題に対応するため、経営者部会との協働による「地域ネットワーク強化事業」に取り組み、地域でのネットワークづくりを進めます。
- 世代を超え、思いやりや助け合いの心が育まれるよう、福祉教育とボランティア学習に関するプログラム開発に向けた検討を行います。(新規)
- 「ともに生きる社会づくり」の理念のもと、障害者の社会参加を進める「ともしびショップ連携会議」を行うとともに、ボランティア団体等との協働による新たな地域福祉の課題に対応する事業に取り組み、その成果を県域に普及していきます。(一部新規)
- 企業の社会貢献活動に関する情報交換会を行い、社会貢献の事例の発信などを通じて、地域福祉の推進主体を広げる活動に取り組みます。(新規)
2 自立した生活を地域で支える取り組みの推進
- ライフサポート事業では、ご本人の支援の中心となる関係機関・団体に対して事業の趣旨を周知し、コミュニティソーシャルワーカーが活動しやすい環境づくりを進めます。
- 親族に頼れないなど、身寄りのない人が最後まで尊厳をもって地域で暮らすことができるよう、市町村社協と連携して身元保証・終活支援の取り組みを進めます。
- 成年後見制度の利用促進に係る事業を通じて、地域での権利擁護の体制づくりに取り組むとともに、利用者の意思決定支援に向けて関係者への研修を実施します。
- 権利擁護の担い手となる市民後見人の情報交換会を行うとともに、今後に向けた市民後見のあり方について検討を行います。(新規)
- 生活福祉資金貸付制度によるコロナ特例貸付の借受世帯に対し、償還免除等の適切な活用やフォローアップ支援を進めるなど、生活再建に向けた取り組みを行います。
- 生活に困りごとを抱えている人を確実に支援につなげるため、町村域における自立相談支援のネットワーク構築支援を行います。
3 災害福祉支援活動の推進
- 県社会福祉センターの、災害時における福祉支援活動の民間拠点としての機能を発揮できるよう、ICTを活用した市町村社協との情報共有システムの構築を進めます。また、災害時にスムーズに支援体制を講じることができるよう、平時から関係機関・団体との連携会議に参加し、顔の見える関係を作ります。(一部新規)
推進の柱Ⅱ 福祉サービスの充実
1 社会福祉法人・施設の活動促進
- 経営支援事業や各種会議・研修会等を通して、社会福祉法人等の経営基盤の強化を図ります。また、横断的な課題に対応するため、市町村社協部会との協働による「地域ネットワーク強化事業」に取り組み、地域でのネットワークづくりを進めます。
- かながわ高齢者福祉研究大会のあり方の検討と次期大会に向けた協議を行います。また「全国社会福祉法人経営者大会」「身障協・関東ブロック大会」「全国福祉医療施設大会」等、全国・関東ブロックの大会開催地として協議の場をつくり、現場の情報・課題共有を図ります。
2 利用者の権利擁護
- 成年後見制度の利用促進に係る事業を通じて、地域での権利擁護の体制づくりに取り組むとともに、利用者の意思決定支援に向けて関係者への研修を実施します。(再掲)
- 運営適正化委員会における苦情相談への対応のほか、法人・施設における苦情解決の体制づくりに向けた支援に取り組みます。
推進の柱Ⅲ 福祉人材の確保・育成・定着の推進
1 福祉人材の確保
- 経営者部会・施設部会と福祉人材センターの連携により、人材確保に関する好事例などの情報発信を行い、福祉人材の確保を図ります。
- 福祉人材の確保に向けて、就職相談会などの求職者と求人事業者が直接出会う多様な機会を作り、適切なマッチングにつなげます。
- 新たな担い手として期待される、介護助手の普及に関する取り組みを行います。(新規)
- 人材確保・定着支援に関する需要調査を通じて、法人、施設・事業所の課題を把握し、人材確保の方針の反映などにつなげます。
- 関係団体や職能団体、介護人材養成施設と課題を共有し、人材確保に関する情報の収集・提供を行います。
- セカンドキャリアなど、より多くの人が福祉の仕事に就くことを考えることができるよう、企業と連携した仕事の理解促進に取り組みます。(新規)
- 外国人雇用に関する情報を収集するとともに、関係機関との意見交換を実施し、多様な福祉人材の活躍を目指します。(新規)
2 福祉事業従事者の育成
- 福祉人材の専門性の向上にむけて、法人・事業所との連携を図り、研修実施機関としての研修体系を整備します。また、職場において、職員育成・支援の仕組みが強化されるための研修に取り組みます。
推進の柱Ⅳ 県社協活動基盤の充実
1 課題共有の促進と提言
- 各部会・協議会・連絡会の活動や政策提言活動を通じて把握した社会的孤立などの地域福祉の課題に対して、関係機関と協働しながら、広域機関としての役割を発揮し、課題解決の取り組みを進めます。(新規)
- 計画の進行管理に当たっては、企業や教育分野の関係者などと意見交換を行いながら広域機関としての機能を見直し、県社協としての役割を踏まえた上で計画を進めます。(新規)
2 組織・活動基盤の整備
- 社協活動への理解を図るため、大学生に向けたインターンシップや職場見学会を行います。
- 業務の標準化に向けて、情報共有のためのグループウェアなどの情報システムを活用することにより、ICT化を進め、業務の効率化を図ります。(新規)
「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(令和6年度から令和10年度)」では、会員や関係者と総体的に取り組む課題や社会情勢に応じた課題として、次の3つの重点課題を設定し、事業間連携を図りながら、その解決に向けた活動を推進します。