福祉タイムズ

Vol.880(2025年3月号)

このデータは、『福祉タイムズ』 Vol.880(2025年3月号)(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。データは、下記リンクからダウンロードが行えます。

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福祉タイムズふくしTIMES
2025.3 vol.880
編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会

特集
スーパービジョンを活用した職員育成の職場づくり
NEWS&TOPICS P4 困難な問題を抱える女性の支援-新たな自立支援施設「わたしのお家」開設
キラリ輝く!児童委員活動 P8 持続可能な児童委員、主任児童委員活動に向けて 主任児童委員による座談会(下)
県社協のひろば P10 本県における介護助手普及推進に関する取り組み-多様な人材の参入に向けて

今月の表紙
厚木市緑ヶ丘団地で「団地活性サポーター」として活動する(左から)木村太洋さんと髙橋凜さん。
団地活性サポーターは、実際に団地に入居し、学生が学ぶ分野を活かした活動を行っている。【詳しくは12面へ】撮影:菊地信夫

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特集
スーパービジョンを活用した職員育成の職場づくり
スーパーバイザー研修、人材育成体制研修の取り組みから
 法人・事業所で提供される福祉サービスの質の向上にむけては、サービス提供を担う職員の専門性が求められます。その専門性の向上を図るために、職員個々によるスキル獲得など自己研さんの視点だけでなく、法人・事業所が「人を育てる」環境をつくることも重要となります。また、その環境が福祉人材の定着に寄与することも期待されます。
 そこで、今号では、本会がスーパービジョン機能に着目し、職場内の人材育成体制の構築を支援するために実施している「スーパーバイザー研修」「人材育成体制研修」を通して、法人・事業所における人材育成体制について考えます。

スーパービジョンとは
 スーパービジョン(以下、SV)は、法人・事業所等の組織において、経験や知識を持つ職員(スーパーバイザー)が行う、利用者への支援の向上を目的とした、職員への支援を指します。
 SVの機能には、管理的機能・教育的機能・支持的機能の3つの機能があり、この中で支持的機能は、職員の不安を解消し、仕事を行っていく上での満足度、モチベーションを高める要素があるため、法人・事業所の人材育成・定着に寄与できる方法であると言えます。

福祉現場におけるSVを実践できる人材の育成
 福祉職場を見渡すと、福祉系大学等からの専門職ルートだけではなく、様々な年齢、他業種からの転職等様々な背景を持つ方が入職している現状があります。福祉の仕事経験が少ない方が対人援助業務を担うことには、不安を感じる事も少なくありません。
 一方、(公財)介護労働安定センターの令和5年度介護労働実態調査によると、介護職が仕事を辞めた理由の中で、3割の方が職場の人間関係に問題があったとしており、そのうち3割近くの方が仕事上の課題に対する職員同士のコミュニケーションを挙げています。
 この状況を防ぐために、職場内の階層を超えた、いわゆる風通しの良い職場環境を作ることが必要ですが、この環境を組織的に作る方法の一つにSVを活用した職場づくりが挙げられます。
 本会福祉研修センターでは、専門的な職務に応じた研修と、組織の役割に応じた階層研修の実施と併せて、SVに着目した職場における職員育成と、その支援の仕組みを強化するための研修として「スーパーバイザー研修」「人材育成体制研修」を実施しています。
 スーパーバイザー研修は、職場実践を組み入れたプログラムとなっています。対象を指導的職員(リーダー層)にしているのは、SVを行う際、現場の中核を担うリーダー層の職員がより良いSVを実践できるというねらいからです。

SVを活用した事による効果
 本会が実施した研修後のSV実施に関するアンケートでは、SVを活用した事により次の効果が得られたとの回答がありました。
・報告、連絡、相談が定着し、自ら発信する人が増えてきた
・職員間でのコミュニケーションが深まった
・新人職員の仕事や対人関係への不安を和らげる事ができた
・積極的に業務に関わる職員が増えた
・一人で抱え込まず、弱音、課題等を言える環境ができた
・職員の悩み等から、職場環境を改善する事に効果が見られた
・業務の振り返りの必要性を知る事ができ、評価項目を作成し、評価の仕組み作りをすることができた
・人事考課制度にもつながる視点を得る事ができた
・職員のモチベーションに結びつける事ができ、離職の減少にもつながっている。SV面談を行った事で、若手職員の離職がなくなった
 このように、SVを活用した事で職場の雰囲気が変わる影響が見られます。
 本アンケートからは、職員の業務に対するモチベーションの維持にも効果があると考えられ、福祉サービスを利用している方に対するサービスの質の向上が期待できます。

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職場で実践するための課題
 こうした効果が職場全体の変化として意識されるまでには様々な課題があります。
 一つ目は、スーパーバイザー研修を受講した職員が、組織でSVを実践する場合、その職員だけに負担がかかった結果、継続できずに職場でのSV定着が難しくなることです。
 この時に必要なことは管理職の理解です。職員に対するSVを行うためには、業務に定期的な面接時間を確保する必要がありますが、管理職が理解し、そうした面談の機会を組織的に作るマネジメントが求められます。
 もう一つは職員の理解です。SVについては、正規、非正規限らず、職員全体に理解を広げることが必要です。
 こうした背景から、SVを学んだ受講者は職場で実践しようとしても孤立してしまい、組織の中にSVを組み込む事がうまくできなかったという事例を聞くことが少なくありません。SVを職場で活用していくために、職場内での調整は欠かせないものとなります。
 そこで、研修の受講段階から職場での理解が広がるよう意識づけをする工夫を行っています。例えばスーパーバイザー研修では、受講時に所属長からの推薦文を出していただいています。受講者の所属長が本研修の目的等に理解があり、組織として受講生を送り出しているという事を再認識してもらうとともに、受講生自身も組織からSVを行う事に期待されているという事を改めて認識していただく機会にもなっています。

組織としてSV体制の構築
 職場の中にSVの仕組みを構築するためには、スーパーバイザーの育成だけでなく、SV体制を定着させ、組織を挙げて実践していく意識を持った管理職が求められます。その事を学び、考える機会が「人材育成体制研修」です。
 研修の受講動機では「入職した人材が定着できる組織体制づくりを学びたい」「SVの必要性を感じているが、組織内に定着しておらず困っている」等の理由が見受けられます。
 スーパーバイザー研修と人材育成体制研修を同時期に職員・管理職それぞれが受講し、組織の中でどのような形でSVを定着させていくのか考え実践していただくことで、双方の負担が少なくなるだけでなく、立場が異なる二人が意見を交わす事による相乗効果も生まれます。
 本会では、その点を重視し、この2つの研修を同時期に、一体的に案内することで、施設の方々にも両研修の関連性を説明しています。(図1参照)。

SV体制を継続するために
 さらなるSVの定着に向けては、スーパーバイザーが一人いれば良いというものではありません。職員の異動に伴い施設内でSVを行う事ができなくなるという事も考えられます。複数のスーパーバイザーがいる事で、SVを行う上での負担を減らす事もでき、また組織内に複数のスーパーバイザーを配置することで、SV体制の継続ができるようになります。
 受講者からは「毎年スーパーバイザー研修を受講しているので研修修了者が増えてきており、法人の各部署においてSVが機能している。人材育成体制研修についても継続的に参加し、よりSVの体制を進めていきたい」という声が聞かれていますが、組織内でSVを定着させる管理職が複数いる事も、組織内でSVを進める上で大切な事です。

 本会では、高齢・障害・保育・児童等様々な施設でのSVの実践事例をまとめた「職員が育つ職場がいきる~福祉の職場のスーバービジョン~」(平成28年)をホームページで公開し、その実践を広げています。
 本会では、それぞれが法人としての理念を実現し、福祉サービスの質の向上に向けて人材育成体制をつくる事と併せ、働く職員が仕事上での不安を解消し、仕事のやりがいや満足感を充足するため、今後も組織内でのSV機能の構築に向けた取り組みを進めていきます。(福祉研修センター)

〈囲み〉
冊子に集録された実践例
・スーパービジョンを人材育成と法人運営にいかす
・業務改善にスーパービジョンをいかす
・職員同士の学びと育ちを効果的に支える 等
https://www.knsyk.jp/publication/20160420_01
〈囲み終わり〉

P4
NEWS&TOPICS
困難な問題を抱える女性の支援―新たな自立支援施設「わたしのお家」開設
「女性の福祉」の施設開所
 日常生活や社会生活上で困難な問題を抱えた女性が、社会とのつながりを持ちながら自立を目指す、新たな自立支援施設「わたしのお家」が令和7年1月、県内に開設されました。

「かながわ困難な問題を抱える女性等支援計画」の策定の経緯
 これまで、我が国には売春防止法という法律がありました。この法律では「性行又は環境に照らして売春を行うおそれのある女子」を「要保護女子」と定義づけ、性道徳に反し社会の善良な風俗をみだす要保護女子を「補導処分」し「保護更生」の措置を講ずることとされてきました。ここには、困難な問題に直面している女性の人権の擁護や自立支援の視点がなく、売春をなすおそれのある女子の保護更生を目的としたものでした。

〈囲み〉
「かながわ困難な問題を抱える女性等支援計画」の概要はこちら
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/m8u/cnt/f5903/index2.html
〈囲み終わり〉

 近年、女性が抱える困難な問題は、DVをはじめ性暴力や性的搾取等の被害、不安定な就労状況や経済的困窮、社会的な孤独・孤立の問題など多岐にわたり、女性であるがゆえに課題が複雑化しやすい状況にあるなど、売春防止法に支援の根拠を置くことの制度的限界が指摘されるようになりました。
 こうした中、神奈川県議会から国に対して新たな法整備に関して意見書を提出するなどの活動もあり、困難な問題を抱える女性支援を売春防止法から脱却させ、新たな支援の枠組みとして、令和6年4月から「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行され、その目的に「女性の福祉の増進」が明記されました。

 これを受け、県では女性に寄り添いつながり支えることで、自立し安心して自分らしく暮らせる社会の実現をめざして、当事者調査や様々な関係団体の意見をもとに「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」に基づく基本計画と、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」に基づく「かながわDV防止・被害者支援プラン」を合わせた一体的な計画として「かながわ困難な問題を抱える女性等支援計画」を策定しました。今後は女性がなぜ困難な状況に至ったのか、表面的な事柄だけでなく本人の声に耳を傾け、従来の「保護更生」の考えでは持ちにくかった当事者目線に立った「女性への支援」が求められています。

「かながわ困難な問題を抱える女性等支援計画」の3つの支援
 基本理念は、次の3つの支援から成り立ちます。
ア 人権を尊重し、ジェンダー平等の実現に資する支援
 DV被害や女性を巡る困難な問題は、ジェンダー平等社会を形成していく上で克服すべき重要な課題であるという認識の下、国籍や生まれた場所、疾病や障害、過去の経験に起因する様々な事柄に対する差別を受けず、自立して暮らすことができるよう人権に配慮した支援を実施します。
イ 当事者目線に立った支援
 女性の目線に立ち、当事者の意思を尊重して、多様化したニーズに応じた支援を実施します。
ウ 様々な機関と連携・協働した切れ目のない支援
 国及び県・市町村の関係機関、柔軟な視点できめ細かい支援を行う民間団体、専門機関等の様々な機関と幅広く連携・協働しながら、早期発見、相談、一時保護、自立支援まで、切れ目のない支援を実施します。

新施設「わたしのお家」
 県が横浜市内に開所した「わたしのお家」では、女性の意思を尊重し、その置かれた状況等に応じた支援を行います。社会とのつながりや利用者の意思が尊重され、通勤・通学、スマートフォンの使用が認められるなど、社会生活を送りながら、心身の健康の回復のための支援、自立して生活するための行政手続きの同行支援、就労や居住確保に向けた支援、見守り支援等を受けることができます。

〈写真〉
「わたしのお家」の入口には地域住民とともに作った花壇や看板が置かれている。居室内は生活に必要な家具や家電が用意されている
〈写真終わり〉

 この「わたしのお家」を利用するにあたっては、各市や県保健福祉事務所の相談窓口に配置されている「女性相談支援員」が相談に応じることになります。

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「入口」が最初の課題
 運営法人である(福)久良岐母子福祉会常務理事の鈴木さんとマネージャーの田代さんにお話を伺いました。
 「まず、施設利用に向けては、相談を受ける相談窓口に十分知っていただく必要があります。そのためには、女性支援にあたる関係団体が独自に動くだけではなく、相談窓口担当者等との実務者レベルでのネットワークが必要だと感じています。今まで着目されにくかった分野だけに、ソーシャルワークの必要性を感じています」
 また、施設退所後に求められる「出口」の支援についてはまだ見えにくい部分があり、今後の実践を重ねていきノウハウを積み重ねていきたいそうです。
 なお、新たな計画では「困難な問題を抱える女性が自立し、安心して自分らしく暮らすことができる社会の実現」を目標として掲げています。そのためにはまず、日頃から施設や関係者が地域のことを知り、参加する必要があるとも語ります。
 「この施設は地元の自治会の皆さんのご理解もあって設置できました。私たちも積極的に地域に出かけていき交流を図っています」

今後の展望
 「この施設を困難な問題を抱える女性のために活かすには、行政との関係強化はもちろんですが、支援者、支援を受ける側という関係を超え、利用する方が本当に何を望んでいるのかを見極めることが大切だと考えています。みんなでこのお家を築きあげていきたい」と鈴木さんは期待を込めて語ってくださいました。(企画課)

〈囲み〉
施設利用には、初めに窓口への相談が必要になります。
県内の窓口一覧はこちら
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/m8u/josei-soudan-list.html

「わたしのお家」
概要はこちら(県記者発表資料)
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/m8u/prs/r7546333.html
〈囲み終わり〉

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福祉のうごき 2025年1月26日〜2025年2月25日
●小中高生自殺者527人で過去最多
 令和6年の小中高生の自殺者は527人(暫定値)となり、統計のある1980年以降で過去最多となったことが1月29日、厚生労働省のまとめで分かった。自殺者数は女子中高生の増加が目立ち、19歳以下の女性の原因・動機を見ると「健康問題」「学校問題」「家庭問題」の順に多かった。令和6年の全年齢の自殺者数は2万268人(暫定値)で、前年から1569人減少した。

●ひきこもり支援に指針
 厚生労働省は1月31日、ひきこもり状態の人やその家族に関わる支援者向けのハンドブック「ひきこもり支援ハンドブック~寄り添うための羅針盤~」を自治体に通知した。支援の対象者を定義し、目指すべき支援の姿を、本人および家族自身の意思で生き方や社会との関わり方を決めることができる「自律」と整理した。伴走型支援向上のための指針として活用が期待される。

●社会的養護経験者の大学生に生活費助成
 横須賀市は令和7年度から、児童養護施設や里親で育った社会的養護経験者の大学生などを対象に、進学後支援として生活費の助成制度を新たに始める。この背景には、学費は奨学金で賄うことができても、生活費のためのアルバイトで学業がおろそかになるケースがある。また、社会的養護経験者の孤立防止や相互交流を図るため、自立支援拠点も新設する。

●放課後児童クラブ 利用児童最多146万人
 全国学童保育連絡協議会は2月17日「2024年度放課後児童クラブ実施状況調査」を公表した。
 全国の学童保育利用児童数は前年から6万1094人増加し、過去最多の146万5124人だった。また、学童保育の待機児童は1万7737人確認されており、国は「保育の受け皿を増やし、待機児童を解消すること」を重要政策に掲げている。

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私のおすすめCHECK!
◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。
心地良く暮らすために
 人生、色々なことが起こります。
 生きていく上で、ストレスを避けることはできませんが、ストレスを受けた時、その影響をなるべく小さくするために、私が日ごろから生活に取り入れている、ストレス耐性を高める心身のメンテナンスの工夫をご紹介します。(フルリール代表)

今月は→フルリールがお伝えします!
発達障害(自閉スペクトラム症、ADHDなど)の特性を持つパートナー(診断・未診断を問いません)や親、きょうだいとの関係に悩むカサンドラ症候群当事者とその家族への支援組織。セルフヘルプグループ活動(かたりば)、専門家を招いての勉強会、交流会等を実施しています。
〈連絡先〉HP:https://fleurirkanagawa.blog.fc2.com/

◆睡眠
 心身が疲れている時には、普段であれば受け流せるストレスであっても気になってしまったり、よりしんどく感じたりするものです。疲れを次の日に残さないためにも、質の良い睡眠を取れるよう心がけています。
 まず、睡眠の入口である入眠をスムーズにするために効果てきめんだったのは、テレビ番組で紹介されていた「日没の時間から、リビングの照明を白熱灯にし、間接照明なども取り入れ、明るさを抑えること」でした。夕食時までは落ち着いたレストラン、その後はバーのような明るさにしてみたところ、心と身体が緩むような感覚を覚えました。
 読書をする際は、手元だけ暖色系の照明を灯します。
音楽を聴きたい時は、YouTubeで「寝る前の音楽」と検索し、暗めの画面のものを静かな音量で流します。
しばらくすると、瞼がとろんと重くなってきます。そのタイミングでベッドに入ると、すぐに寝付くことができるようになりました。
 また、テレビ番組で紹介されていた「寝室を真っ暗にして朝まで適温を保つ」も実践したところ、翌日の朝は熟睡感とともに爽やかに目覚めることができるようになりました。
 以前からアロマを焚いたり、耳用の使い捨てカイロを試したりしてみたのですが、決め手にはならず。数カ月前に知ったこの方法が私にとっては高い効果を実感できるメソッドでした。

◆朝日記
 長いこと続けている私の毎朝のルーティンの一つとして「朝日記」があります。
 内容としては、今日やりたいこと(これを一番に書きます)、やるべきこと(吟味して少なくする)を日記のページ上部に箇条書きで記載します。そして、その他に、食事、入浴などを含めた一日の過ごし方の計画を立てます。
 「やるべきこと」のうち精神的身体的に負荷がかかるものがある場合は、その後の時間でなるべくリカバリーできるような予定をたてています。(たとえば、夕食は作らずお惣菜を買う、入浴は銭湯でゆっくり等)
 一日を能動的に過ごし、自分の心と身体の状態を見つめ大切に扱うことで、意識が自分に向き、他者のことがあまり気にならなくなります。
 もちろん朝だけではなく、夜には一日を振り返る日記をつけ、今日あった幸せな出来事、ありがたい出来事を必ず記すようにしています。意識を「よいこと」に向けることで、何かに守られている安心感に包まれるようになりました。以前と比較し、確実にストレスを感じにくくなっています。

◆瞑想
 これもまた長いこと続けているルーティンです。
 仕事と家事、子育てなどの私生活の忙しさで忙殺されていた時、頭の中は「やるべきこと」でいっぱいになり、それらがこんがらがり、一日中気持ちが急いていました。「やるべきこと」をこなすことができず、そんな自分に劣等感を抱いたり、明日の忙しさを思うと夜もなかなか寝付けない日が多くなったりと、疲れが取れないしんどい日が続いていました。
 そんな時、近所のお寺の掲示板で見た座禅会の貼り紙が気になり、思い切って参加してみました。
 姿勢を正して座り、呼吸をゆったりと整え、ただひたすら座る事だけに集中します。といっても、仕事や家事のことが次々と思い浮かび気になるのですが、お坊さんのおっしゃるとおり「雑念が浮かんで来たら呼吸に意識を向ける」ようにしてみました。
 すると、30分の座禅を終えたあとには、心の中にかすかな静寂とゆったりとした心地よさを感じている自分がいたのです。
 これを機会に、生活の中に瞑想を取り入れたところ「あれやこれやと悩むのではなく、自分が本当にやりたいことを優先し、今一瞬を大切に生きよう」という意識を持つようになりました。
 そのうち、難儀なことが起きても「これは人生の糧になる」とありがたさを感じ、しのいでいきやすくなっていたのでした。

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キラリ輝く!児童委員活動~主任児童委員制度30周年を迎えて~
持続可能な児童委員、主任児童委員活動に向けて
主任児童委員による座談会(下)
 令和6年度福祉タイムズの連載「キラリ輝く!児童委員活動」の総括として、2月号および3月号では執筆にご協力をいただいた県内の主任児童委員4名と学識者による座談会を開催し、児童委員、主任児童委員活動の現状や課題、持続可能な児童委員、主任児童委員活動に向けた思いなどを語っていただきました。今号は座談会(下)をお伝えします。
参加者:目代 由美子 さん(川崎市宮前区宮前第三地区民児協)
豊田 里美 さん(相模原市中央区星が丘地区民児協)
小林 美幸 さん(藤沢市明治地区民児協)
長原 桂 さん(鎌倉市第一地区民児協)※いずれも主任児童委員
聞き手:泉谷 朋子 さん(聖隷クリストファー大学准教授)(以降敬称略)

「世代を超える」がキーワード
(泉谷)主任児童委員の年齢要件は自治体ごとに設定が異なり、なり手の問題にも関係します。先程、仕事をしながらの活動についてお話がありました。鎌倉ではいかがですか。
(長原)鎌倉市の主任児童委員の定年は65歳で、私が2期目に入る前に半分以上が新人になりました。このため活動の仕方や仕事との両立について話し合い、会議には1地区2名の主任児童委員のうち、いずれかが参加すれば良いことにしました。月一回の連絡会では各地区の活動内容を積極的に情報交換して、サロン講師(子どものヘアカット教室、リトミック等)の紹介や親子工作のやり方等を教え合いました。また、定年で退任された方には、引き継ぎ3カ月後頃に主任児童委員のあり方やケース対応の心得について教えていただきました。私の地区のパートナーも定年で退任されますが、年齢で括らない方が良いのではないかと思います。
(泉谷)なり手の問題もあり、年齢で括って良いか検討が必要と思います。また、長原さんからは「放課後かまくらっこ」の小学生と子育てサロンの小さな子どもが一緒になると、小さな子どもがとても喜ぶとのお話をいただきました。活動においては「世代を超える」が一つのキーワードと言えるのではないでしょうか。
(長原)そのように思います。近隣の大学の学園祭で、大学生主催の親子イベントのお手伝いをしていますが、そこでは大学生が手作りゲームや枯葉のプール等で遊んでくれます。子どもにとって少し年の離れたお姉さんとの遊びは楽しいようで、とても喜んでいます。また、民生委員や地域の方と合同で行う、小学校での昔遊びも互いに楽しんでいました。
(泉谷)以前「子どもとの関わり方が分からない」と言っていた年配の民生委員さんが、子どもたちから話しかけられ、とても嬉しそうにしていました。藤沢市の小林さん、例えば障がいのある子どもとの関わりなどはありますか。
(小林)地区社協主催の障がい者向けスポーツイベントのお手伝いをする中で、障がい児や保護者の方と接することがあります。保育園の園児と近隣にお住まいのお年寄りの交流会にも参加しています。それらに参加することで気づくことはたくさんあります。

中学生の福祉体験、子育て中のお母さんにとっても貴重な経験に
(目代)自身の地区では小学校で一緒に花壇を作ったり、中学校では福祉体験(高齢者や妊婦の疑似体験等)のお手伝いもしています。福祉体験に子育てサロンの親子に参加してもらうことがありますが、小さな子どもを見ると中学生の表情がパッと明るくなり、とても喜んでくれます。それがすごく楽しい。また、区の「ひろばマルシェ」(区民活動団体による出店等)に来ているお母さんと手形・足形スタンプ等で交流しながら子育て支援情報を伝えたり、悩みごとを聞いたりしています。小学校の先生方との交流については、現在、コミュニティ・スクール(学校運営協議会)に地区民児協の会長が参加していますし、小学生の登下校時の見守りには引き続き目を配っています。
(泉谷)コミュニティ・スクールのガイドラインでは構成員に民生委員・児童委員の代表が挙げられており、民児協会長が参加するケースも多いと思います。目代さんから中学校での福祉体験のお話がありましたが、普段はサロンで支えられている立場のお母さんたちが中学生と交流し子育ての話をすることは、中学生だけでなくお母さんたちにとっても貴重な経験になっていると聞きます。また、主任児童委員が中学校と協力して赤ちゃん教室を開催した際、事前に「赤ちゃんが来るよ」と生徒たちに伝えていたら、不登校だった生徒が赤ちゃんに会いたくて登校してきたと聞いたこともあります。
(目代)中学校の福祉体験で、あるお母さんは、自身の悲しい経験をもとに「皆さんが生きているのは奇跡です」と、命の大切さについて話をしてくれたこともありました。

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主任児童委員だからできること
(泉谷)中学校での福祉体験は、主任児童委員だからこそ、お母さんたちに協力をお願いできたと言えます。また、長原さんからは、知り合いの看護師さんをサロン活動にお誘いしたとのお話がありましたが、こちらも主任児童委員だからできたことで、
相談機関では難しい。看護師さんにとってもご家族の介護の気分転換ができ、自分ができることに参加する。その方にとっての地域参加。すごくいいなと思いながら聞いていました。

読者の皆様へのメッセージ
(泉谷)最後に、児童委員や主任児童委員として活動されている方、また活動に関心のある方に対してメッセージをいただけますか。
(豊田)定年のため今期で主任児童委員の活動は終わりますが、前述のとおり、これまでの経験を活かし地域に対して何ができるのかを考えて、子どもの居場所「こども広場ウェルカム」の活動を続けています。障害や家庭環境により勉強ができない等の問題を抱える子どもは多く、自治会館を会場に大学生や学校の先生と一緒に勉強を教えたり、遊んだりしています。立ち上げから6年が経ち、以前ウェルカムに来ていた小学生が中学生になり、お祭りや勉強のお手伝いをしてくれるようにもなりました。
 これらの活動を通して感じたことは、小さい子どもに比べ、中学、高校、大学生等、若い世代へのサポートが少ないということです。このため、彼らを支える居場所を自治会ごとに作りたいと考えています。また、それにより自治会の活性化にもつなげたいとの思いもあります。主任児童委員としても、本日皆さんから伺った活動に対する思い、関係者への働きかけ等を参考にしながら、楽しく負担のない形で活動していきたいです。
(小林)主任児童委員の方には活動を楽しみ、1期3年で終わることなく、6年、9年と活動を続けていただきたいです。特に働きながら活動する方は仕事との両立が大変なときもあると思いますが、活動の中でちょっとした楽しみややりがいを見出してほしいです。子どもは本当に可愛くて、子どもが幸せに育つためのお手伝いができるのは、主任児童委員の特権ですよね。自分の地区がとにかく楽しく、安全な地区になるように見守っていきたいし、皆さんもそういう思いでやってくれたら嬉しいです。
(長原)私は鎌倉市に引っ越してから子どもが生まれ、子どもは地域に育ててもらったようなところがあるので、その恩返しの思いから主任児童委員を引き受けました。近所の工務店の方から活動で使用する木材をいただいたり、子どものヘアカット教室をしてくれる美容師を紹介していただいたり、かかりつけ医にサロンのセミナー講師を引き受けていただいたりと、多くの方に支えられています。
 一方、私自身はラジオ体操やお祭り、小学校、学童保育のイベントのお手伝い等を通して様々な子ども達と関わることの喜びを感じています。できる人ができることをできる時にやれば無理なく活動できると、周りにも伝えたいと思います。
(目代)主任児童委員の方は無理せず、楽しみながら活動していただきたいです。

子どもたちからパワーをもらい、楽しみながら活動を
(泉谷)負担なく仕事をしながら活動するため、最近ではLINE等を活用する方が増えています。また、これからは仕事をしながら活動することが珍しいことではなくなると思います。本日、皆様のお話を伺う中で、子どもたちがいるだけで和やかな雰囲気になり、新任の主任児童委員も子どもたちが可愛いから続けようという気持ちになる。私たちは子どもたちからパワーをもらっていると考えています。
 地域のつながりの希薄化と言われていますが、皆様からのお話を聞く限り、希薄化を感じることはありませんでした。色々なつながりを築かれていて、豊田さんのように主任児童委員の活動から団体の立ち上げに発展させている方も増えています。私の大学がある市でも主任児童委員が主体となり、こども食堂や学習支援に取り組んでいます。主任児童委員は子どものために様々な活動をされていますが、何より楽しみながら活動することが大切です。私は、主任児童委員の1期目は、何かを達成しなくてもいいのかなとも思います。先輩と一緒に活動に参加し、地域には何があるのかを把握する。そのようなことで良いと考えています。そして2期目、3期くらいから自分の地区の中に知り合いを増やし、新しい活動につなげていくイメージを持ちながら活動されてはどうかと思っています。(地域課)

〈写真〉
左から長原さん、目代さん、泉谷准教授、小林さん、豊田さん
〈写真終わり〉

座談会(上)は福祉タイムズ2025年2月号に掲載しています

P10
県社協のひろば
本県における介護助手普及推進に関する取り組み-多様な人材の参入に向けて
 少子高齢化や人口減少等に伴う福祉・介護の人材不足が深刻化し、多様な人材の参入促進のための施策や取り組みが各地で進められています。そうした中、本会では令和6年度より「介護助手普及推進員配置事業」を県から受託しています。
●介護助手への注目・関心
 介護分野の慢性的な人材不足は現任の介護職の体力的・心理的負担となっていますが、介護助手の導入は、これらの介護職の負担軽減、介護の業務分化など、働く介護職の環境改善の一つとして進められています。福祉や介護の仕事が未経験であってもこれまでの仕事や人生経験を活かして、介護の現場を支える一員として働くことができることも魅力です。また、近所で働ける、比較的短時間の勤務であり、身体への負担も調整できる業務の特性から、定年退職後の方からも多くの関心が寄せられ、実際に働いている介護助手には中高年者層が多く活躍しています。

〈表〉
介護助手で働く希望トップ10
1→コミュニケーション(話し相手、見守り)
2→レクリエーション準備、見守り、片付け
3→清掃(共用部分)
4→配膳下膳(食事準備・片付け)
5→介護用品等の補充
6→食器洗い
7→エプロン、衣類等の洗濯・干す・たたむ
8→清掃(生活スペース)
9→事務補助作業
10→食事の盛り付け
※センター事業参加者アンケート集計から
〈表終わり〉

●介護助手の仕事の実際
 かながわ福祉人材センター(以下、センター)では、施設における介護助手導入とその取り組みについて、5施設にヒアリングを行いました。内容は主に導入の経緯や介護助手の役割などについて、また、介護助手にも「動機」や「やりがい」について伺いました。その結果、介護助手は施設によって様々な定義・位置づけがあり、画一的なものではないことが分かりました。また、働き方にも特徴があり、複数の介護助手がチームで協力し合うこともあれば、介護助手個々人の力量等に合わせるなど様々です。
 名称も介護助手だけでなく「サポーター」「ケアエイド」「介護エイド」など様々ありますが、共通して言えることは、介護職をはじめ施設全体で介護助手を「一緒に働く仲間」として尊重していることです。こうした施設では、介護助手と介護職との良好な関係が保たれ、業務の連携もスムーズに行われています。利用者へのより良いケアの実践のため、介護助手と介護職が一丸となって取り組んでいる様子が伺えます。

〈写真〉
利用者のおやつ準備をする介護助手
〈写真終わり〉

●介護助手導入のハードル
 介護助手導入の課題もあります。「介護職の負担が軽減された」と介護助手の導入に一定の効果を実感している施設でも、当初は「介護職の理解が得られず大変な苦労があった」と伺いました。介護助手の導入には、そのための説明と職員の理解が必要になります。センターでは、導入前の悩みや疑問を共有する施設同士の情報交換の機会が今一番必要なのではないかと考えています。
●介護助手を広く知ってもらうために
 センターの公式インスタグラムでは「介護助手のお仕事」に焦点を当てた情報発信を行っています。現在、介護助手自体の認知度はまだまだ低いですが、多様な働き方を求める中高年者層に「これなら自分でも働けるかも」と身近に感じてもらい、介護助手を導入していない施設には、実際の介護助手の仕事内容を知り、仕事の切り出し方の参考にしてもらいたいと考えています。
 令和7年度も施設訪問や介護助手へのヒアリングなどを継続していく予定です。さらに、センターのホームページやパンフレットといった様々な媒体を通して多様な人材の参入の状況をお伝えしていきます。(福祉人材センター)

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Information
寄附金品ありがとうございました
【県社協への寄附】生活協同組合ユーコープ、古積英太郎
【交通遺児等援護基金】藤沢高等自動車学校、(一社)神奈川県自動車会議所
【子ども福祉基金】脇隆志
【ともしび基金】JA神奈川県信連、JAセレサ川崎、JA湘南、古口玲斗
(匿名含め、合計11件4,988,117円)
【寄附物品】神奈川県建設業課、神奈川県庁・県警職員一同、(株)丸昌
【ライフサポート事業】〈寄附物品〉(N)セカンドハーベスト・ジャパン、(一社)生命保険協会神奈川県協会

〈写真3点〉
交通遺児等援護基金に寄附いただき、令和7年1月29日、藤沢高等自動車学校 田村嘉規代表取締役(左から2番目)へ感謝状を贈呈
児童福祉施設協議会・母子生活支援施設協議会に七五三衣装の寄贈をいただき、令和7年1月31日、(株)丸昌 後藤英樹代表取締役社長(中央)に感謝状を贈呈
かながわライフサポート事業に寄付いただき、令和7年2月20日、(一社)生命保険協会神奈川県協会 丹羽浩事務局長(左)に感謝状を贈呈
〈写真3点〉

〈囲み〉
本会への応援に感謝いたします
【賛助会員】
本会事業の趣旨に賛同し、ご入会いただきました企業・団体等
▽(株)アレーテー▽(株)あんざい▽(株)アーバン企画▽(株)石井商事▽臼井浩洋▽(株)栄港建設▽(株)エコス▽(株)エコール▽オール・レンタル(株)▽(株)神奈川機関紙印刷所▽(一社)神奈川県指定自動車教習所協会▽神奈川県信用金庫協会▽かながわ信用金庫▽(有)神原興業▽(株)桐ヶ谷工業所▽(株)コア・エレクトロニックシステム▽向洋電機土木(株)▽(株)小俣組▽(株)コーケン▽(株)ジャルダン・シュクレ▽湘南信用金庫▽(有)湘南仲介センター▽(株)湘南プライド▽(株)信友建設▽鈴木邦男(支え合う福祉の風土づくりを進める会)▽(株)セントラルホール横浜葬儀社▽相武造園土木(株)▽東京ガスライフバル飯田(株)▽東宝防災(株)▽東洋羽毛首都圏販売(株)横浜営業所▽東洋電装(株)▽(株)トシダ▽(株)トミヤ▽(株)トモズ▽日経管財(株)▽乗富俊輔▽(株)柏苑社▽(株)日立ゆうあんどあい▽フォルム(株)▽富士屋ホテル(株)▽(株)ホテル、ニューグランド▽明誠建設(株)▽(税)八木会計▽(株)栁沼建設▽(株)八雲堂▽(株)安江設計研究所▽山口一薫▽(生協)ユーコープ▽リコーエスポアール(株)▽(株)ワイ・エム・エー▽AtZBusinessPartners(株)(敬称略)

【部会事業協力者】
各種招待行事・寄付等、本会部会事業にご協力いただきました企業・団体等
▽厚木愛甲地域労働者福祉協議会▽(株)オカムラ▽(公財)オリックス宮内財団▽(一社)神奈川県自動車会議所▽神奈川県民共済(生協)▽(一社)神奈川県養豚協会▽神奈川県労働者福祉協議会▽神奈川昭和会▽(公財)神奈川新聞厚生文化事業団▽神奈川トヨタ自動車(株)▽神奈川日産自動車(株)▽(株)カレンズ▽関東アイスクリーム協会▽クラシエ(株)▽(株)クラシカルエルフ▽(公財)資生堂子ども財団▽湘南弦楽合奏団▽(一社)初代タイガーマスク後援会▽新日本カレンダー(株)▽(株)杉本カレンダー▽(一社)生命保険協会神奈川県協会▽(一財)ゼンショーかがやき子ども財団▽(株)ツルハホールディングス▽(福)テレビ朝日福祉文化事業団▽東京ガスネットワーク(株)▽(N)日産労連NPOセンター「ゆうらいふ21」▽(公財)日本サッカー協会▽(一社)日本塗装工業会神奈川県支部▽ (株)パイロットコーポレーション▽(株)ファンケル▽(公財)報知社会福祉事業団▽ホンダ販売労働組合ホンダカーズ横浜支部▽(公財)ポーラ美術振興財団ポーラ美術館▽(株)丸昌▽三菱商事(株)▽(一財)明治神宮崇敬会▽(生協)ユーコープ・かながわ県本部▽横浜幸銀信用組合▽横浜戸塚西ロータリークラブ▽横浜西ロータリークラブ▽KCJ GROUP(株)▽(株)SL Creations(敬称略)

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かながわほっと情報
“ミドリバ” 大学生が「団地活性サポーター」として活躍 
神奈川県住宅供給公社×東京工芸大学による団地活性化プロジェクト
緑ヶ丘団地(厚木市)

「ミドラボ」の立ち上げ
 神奈川県住宅供給公社(以下、公社)と東京工芸大学は、2018年1月に厚木市緑ヶ丘団地及びその周辺の活性化に向けた連携協定を締結し「ミドラボ」という教育・研究プロジェクトを立ち上げました。
 このプロジェクトを推進してきた公社の茶屋道京佑さんにお話を伺いました。「2015年頃には、緑ヶ丘団地の入居率は大きく低下しており、高齢化等によって自治会活動も下火になっていましたが、公社としては何とか活気を取り戻したいと思っていました。一方、大学は、このプロジェクトを、学生にとっての“第2のキャンパス”として、住空間のリアルを学ぶ場と位置付けています」と話してくれました。大学の専門知識を活用し、双方にとって価値ある取り組みとなっています。

団地活性サポーター制度」をスタート
 連携協定に基づき、東京工芸大学の学生を対象に、緑ヶ丘団地に入居して地域活動などに参加することで家賃が半額になる「団地活性サポーター制度」を開始しました。
 団地に居住し、学生の専門分野を活かしながら、地域住民とともに地域コミュニティの活性化を目指す活動を行っています。
 緑ヶ丘団地では現在5人のサポーターが活動しています。今回は2人のサポーターにお話を伺いました。
 木村太洋さんは工学部情報コース4年生で、高校生の頃からボランティアに興味があり、入学と同時に団地に入居しました。この4年間の間に、スマホ相談会、茶道体験、モルック体験、小学生向けクリスマス会などの活動を行ってきました。「地域には交流の場が必要だということを再認識しました。孤独を感じている方々に寄り添える活動が必要」と活動を通して感じたことを話してくれました。
 髙橋凜さんは工学部建築コース3年生で、工学部の先生からミドラボを紹介されました。人とのコミュニケーションが好きで、チームで何かを成し遂げる活動に興味を持って入居しました。
 「活動を通して自分がつながるだけでなく、住民の間にも広がってきたことが感じられて嬉しいです」とにこやかに話しました。

〈写真〉
左から木村さん、髙橋さん、茶屋道さん
〈写真終わり〉

地域の居場所「ミドリバ」
 団地活性サポーターは、それまであまり使われていなかった団地の集会所を“みんなの居場所”として定期的に地域に開くイベント「ミドリバ」を開催してきました。これまでの活動が地域に浸透し、緑ヶ丘四丁目と言えば「ミドリバ」と認識され、学区の小学校の先生方や福祉関係者が見学に来るような居場所となりました。
 今春卒業していく木村さんは、今後の目標について「ひきこもりがちな単身高齢者の方々が、気楽に足を運んでくれるような活動を進めて欲しい」と後輩に託します。それを受けて、髙橋さんからは「“食”をテーマにしたあらたな活動に挑戦をしたい」と展望を語りました。
 取材の日、ミドラボの学生が設計したリノベーションプランで集会所がリニューアルオープンしました。ここには、ミドラボを支える多くの方々や、団地の住民と携わった学生の笑顔が溢れていました。(企画課)

ミドラボ
https://www.kanagawa-jk.or.jp/action/midolab.html

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