福祉タイムズ
Vol.897(2026年8月号)
このデータは、『福祉タイムズ』 Vol.897(2026年8月号)(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。データは、下記リンクからダウンロードが行えます。
テキストデータ作成に当たって
このデータは、『福祉タイムズ』 vol.897 2026年8月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。
二重山カッコは作成者注記です。
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福祉タイムズふくしTIMES
2026.8 vol.897
編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会
今月の表紙
「とってもビーチプロジェクト」から広がる、笑顔とハッピーの輪(撮影 後藤京子)
詳細は次のページから
Contents
特集 平時と一体となった災害福祉の推進 災害関連死を防ぐために
NEWS&TOPICS 介護福祉士が支える学びの場〜課題解決型出前研修-(公社)神奈川県介護福祉士会
県社協のひろば かながわライフサポート事業の相談からみえること~つながり、見守り、地域のチカラへ〜
連載/子ども・若者の居場所 子どもが希望を持てる社会へ-あすのち 代表 乾
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かながわ ふくしのギャラリー
だれにとってもとっても良い日に
とってもビーチプロジェクト(葉山町)
「障がいのある方や車いすの方も含めて、もっと広く、葉山のビーチをだれもが訪れやすい場所にしたい」と語るのは「とってもビーチプロジェクト」共同代表の皆さん。メンバー全員が葉山町在住で、それぞれ本業を持ちながら「海が好き」という共通の思いを原動力に活動をしています。
始まりは仲間の願い
今から3年ほど前、メンバーの共通の友人が車いすでの生活になりました。海に出たいという彼女の願いに応え、仲間を集め水陸両用車いすで海に入ったり、ボートで沖へ出たりしたのが活動の始まりです。この経験から「だれもが来たい時に海に来られるようにしたい」という思いが膨らみ、プロジェクトの活動が本格化しました。
海から広がる笑顔の輪
「海を通じてみんながハッピーに」「だれにとっても、とっても良い日に」をモットーにさまざまな活動を行う中、2022年から注力しているのが「モビマット」の設置です。砂浜に敷くことで車いすやベビーカーのタイヤが砂に埋もれず、歩行や車両の移動がしやすくなります。当初は設置場所や期間が限定的でしたが、行政や海水浴場組合、海の家などに少しずつ協力の輪が広がり、昨年と今年は2カ所のビーチで、約2カ月間の常設が実現しました。
ビーチの入り口からトイレ、波打ち際や海の家の前までマットが続き、犬の散歩や海の家に配達に来る人等も含め、だれもが砂浜を行き来しやすい環境を整えています。
また、鎌倉を拠点に障がいのある方のサーフィンをサポートしている団体「Nami-nications」とのコラボイベントでは、参加者1名に複数のスタッフが付き、安全にサーフィンやSUP(サップ)等を楽しみます。
ハッピーが紡ぐ支えあい
プロジェクトが目指しているのは、普段からだれかに声をかけたり、手助けしたりできるような
〝目には見えないけれど感じられる〟温かい空気感やマインドを地域に育てることです。
メンバーののりおさんは「モビマットはきっかけに過ぎず、海やマットが無くても、そうしたマインドをみんなが持てる社会になればいいなと思います。僕たちは葉山の海が大好きで、ここが生活の一部なので、まずは自分たちが無理なく楽しめることから取り組んでいます。何十年先も活動が続くよう、幅広い年代の方に参加してもらい、思いをつないでいきたいです」と熱く語ります。
〈写真〉
プロジェクト共同代表の皆さん。左から、のりおさん、かおりさん、ぺたさん、とにいさん、みきさん
〈写真終わり〉
また、かおりさんは「『だれかのために』と気負わず、自分たちがこの海を誇れるものにしたい、楽しみたいという気持ちが活動の原動力です。そのハッピーな活動が、回りまわってだれかのためになっていたら、こんなに嬉しいことはないですね」と笑顔で話してくださいました。
海を愛する純粋な思いから生まれる温かい空気感と笑顔が、葉山のビーチから未来へ、そっと優しく広がっていきます。
〈QR〉
かながわふくしのギャラリー
詳細はこちら
〈QR終わり〉
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〈写真7点〉
とってもビーチプロジェクトとNami-nicationsのコラボイベント「とってもナミニケーション」。楽しげな参加者のようすから、家族やスタッフにも笑顔が広がる
一色海岸・森戸海岸に設置される「モビマット」。砂浜の整地や、ずれ防止のために杭を打って砂をかぶせる作業を通じて“海が好き”で集まったボランティア同士の交流も深まる
〈写真7点終わり〉
〈QR〉
Info
とってもビーチプロジェクト
HP
Instagram
〈QR終わり〉
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特集
平時と一体となった災害福祉の推進 ー災害関連死を防ぐためにー
災害関連死を防ぐために
災害関連死は平成7年の阪神淡路大震災で初めて公的に認識されるようになりました。その後、東日本大震災等でも避難所の生活環境改善の必要性が広く認識され、近年では車中泊や在宅避難といった新たな避難リスクへの対応が急務の課題となっています。
被災者への福祉支援等の充実に向けて、令和7年6月には災害救助法等が改正されました。救助の種類に、 図1 に示す5つのサービスからなる「福祉サービスの提供」が加わり、自治体や福祉、医療等の専門職やボランティア団体等の連携による災害福祉支援体制の整備が進められています。
従来の被災者支援では、避難所等の場所を基準にした支援が行われてきましたが、障がいのある家族やペットがいる等さまざまな理由で避難所以外の場所に身を寄せる方も多く、支援が行き届かない課題がありました。改正法では避難所に加え、在宅や車内等で生活をする避難者も対象とすることが明記され「場所の支援」から「人の支援」へ転換が図られました。
〈図1〉
災害救助事務取扱要領で定める福祉サービスの範囲
災害時要配慮者の「情報の把握」
「相談対応」
「避難生活上の支援」
「避難所への誘導」
「福祉避難所の設置」
〈図1終わり〉
災害がもたらす地域への影響
災害は個人への影響、物理的な被害のみならず、地域の機能面にも大きく影響します。例えば、自身の家は住める状態であっても、近隣の住宅は倒壊し住民が戻れない状況、インフラの甚大な被害や子どもの教育環境を整えるために、自宅に住み続けることができない状況も発生します。住民が地域を離れ、人口が減ることはさらに地域の機能を低下させていきます。
地域の機能やつながりは一見、災害関連死との関係は無いように見えますが、避難生活が長期化する中で、地域住民同士の助け合いや見守りといった、身近な人との日常的なつながりが断たれることや、住み慣れた地域を離れ、慣れない環境で暮らすことによるジレンマや孤立感が被災者の心身に与えるストレスは、決して小さくありません。
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平時からできる取り組み
行政や保健・医療・福祉の専門職が連携した災害福祉支援体制の強化が進められていますが、住民一人ひとりが災害時に備えて、自分たちでできることを考え、取り組んでいくことも大切です。
災害関連死の防止に向けた自助の取り組みとしては、非常食や保存水、持病の薬、口腔衛生を保つための歯磨きセット等の物的な備えが重要です。また、災害時に自力で逃げることが難しい高齢者や障がいのある方については、避難経路や避難場所、誰が支援するか、必要な配慮等をあらかじめ関係者と相談し、迅速な避難と支援につながるよう個別避難計画を作成しておくことも大切になります。
共助や互助としては日頃から隣近所の人と声をかけ合える関係を築き、身近な地域で一緒に生活をしている方の顔を多く知っておくことが、避難時の相互の安心・安全や心身の変調の早期発見につながります。他にも地域で行う避難訓練に福祉・介護サービスを利用している方にも参加してもらい、避難所で必要な生活環境や物品等を事前に確認しておくことは、地域全体にとっても有益です。普段の暮らしの中で、身近なところから地域のつながりをつくり、関係を深めておくことが、災害時に命を守る・つなぐことに活きてきます。
平時と一体的な支援に
令和8年5月に社会福祉法改正法案が可決され、DWAT(災害派遣福祉チーム)が法定化されることとなりました。また、都道府県、市町村が策定する地域福祉計画等に「防災」を追加することや、国・地方公共団体に対して、福祉支援と防災を平時から包括的に連携する施策を追加することが規定されました。
平時と災害時を一体的にとらえ、官民の連携、専門職と住民の協働など、一丸となって取り組んでいくことが求められています。(福祉サービス推進課)
〈コラム〉
令和6年能登半島地震 これからの支援のカタチ
能登半島地震では災害関連死が直接死の2倍を超え、改めて災害関連死の防止策の確立が急務であることが強く認識されました。能登半島地震は、災害が多面的に被害や影響をもたらし、さまざまな悪条件が重なる中での被災者支援でした。数値だけでは測れない被災現場の状況や思いについて、石川県社協事務局長兼災害福祉支援センター所長の大居勝宏さんに伺いました。
●主要道路の寸断、ライフラインの復旧の遅れ
発災直後の能登半島では主要な道路の損壊、断水・停電の復旧の遅れなどがあり、通常であれば2時間で移動できる距離が、発災後は緊急車両を利用しても半日以上を要する状況でした。また、発災から3カ月経過しても約6,700世帯で断水が続き、衛生面の確保も困難を極めました。災害関連死と認定された方の9割以上が60歳以上で、奥能登は被災前から高齢化がかなり進んでおり、既往症がある方も多くいました。必要に応じて要援護者を受け入れる福祉避難所が発災から7日後時点で全体の約2割しか開設できず、一番多く開設できた時でも全体の半分程でした。これは建物の損壊、断水や停電によるハード面の課題等によって開設ができなかったという背景があり、どこの地域でも起こりうる課題であろうと思います。
一方で、停電で暖が取れない中、利用者の命を守りながらも、施設に避難してきた100人を超える地域住民をも受入れ、職員が物的、人的、精神的にギリギリの中で対応を行った施設も多くありました。数字では表せない、地元の福祉関係者の強い思いや取り組みがそこにあったことは間違いありません。
●地域のつながりが発揮したチカラ
奥能登は元々、住民同士のつながりが強く、発災後、自主避難所を立ち上げて畑の野菜等を用いて食事を作ったり、自力で湧き水を確保したりするなど、苦しい環境下でも住民が支え合って生活を送れたことや、顔見知りの方との会話による安心感を持てたことなどにより、救われた命も多くあると感じます。
一方で、被災によりスーパーや病院、介護サービスなど地域の機能が失われたことで、一人暮らしが難しくなり、子どもを頼って地域を離れざるを得ない方、この町に暮らし続けたいと思うもののできないジレンマを感じている方などもいます。災害によって失われた地域のつながりを戻すには時間はかかりますが、地区社協が活動を再開する等、少しずつ動き始めている地域もあります。
●これからの支援のカタチ
発災当時から今日までを振り返ってみると、平時のうちに、そして発災後も速やかに被災者一人ひとりの福祉的な課題に向き合っていくことが大事なのだと改めて思います。
そのためには、災害ボランティアセンターと同時期に支え合いセンターも立ち上げ、両者でニーズをキャッチし、DWAT等の専門職とも連携をしながら、応急期から復興期までフェーズフリーな支援の形が必要だと感じています。発災から2年半が経ちましたが、被災者の葛藤はこれからも続いていきますので、一人ひとりに寄り添った支援を大切にしていきます。
〈コラム終わり〉
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NEWS&TOPICS
介護福祉士が支える学びの場〜課題解決型出前研修
(公社)神奈川県介護福祉士会
神奈川県介護福祉士会は、令和7年度、県より介護保険事業所を対象とした「課題解決型出前研修事業」を受託しました。
この事業は、経験豊富な介護福祉士が講師として事業所に出向き、介護技術をはじめとする介護全般に関する課題をともに解決するために研修を行うものです。
現場に学びを!の思いから
私たち介護福祉士会は、利用者を直接介護・支援する立場として、現任教育の重要性を長年訴え続けてきました。なぜなら、基礎教育が充実すれば、介護事故や不適切ケアの減少にもつながり、何より目の前の利用者の生活がより良くなると確信しているからです。その思いが行政に届き、具体的な事業として形になりました。
介護現場では、基礎的な知識や技術を十分に習得しないまま業務に就く介護職員が少なくありません。教育の必要性を認識している事業所であっても、人材不足により外部研修への参加が難しい状況があります。講師が事業所へ直接出向く出前研修は、学びたい職員の負担を軽減し、チームでの実践力の向上を支援できる点で大きな意義があります。
令和7年度は、予定件数40件を上回る42件、37事業所(うち5事業所は2回受講)、延べ748名が受講しました。受講規模は1回あたり6人から70人と幅広く、介護老人福祉施設や訪問介護など、多様なサービス種別の事業所が参加しました( 図1 )。さらに、清川村や南足柄市など広く地域へ出向いたほか( 図2 )、早くから令和8年度の研修に関する問い合わせが寄せられるなど、本事業の必要性を強く感じました。
〈図1円グラフ〉
令和7年度出前研修受講事業所サービス種別
〈図1円グラフ終わり〉
明らかになった真のニーズ
研修を通して見えてきた課題の一つに、介護職員自身が「課題を正しく認識できていない」ことがあります。申し込み後のヒアリングで具体的な困りごとを伺うと、希望テーマが「接遇・マナー」「虐待防止」であっても、実際には認知症の理解不足が原因であることが判明し、テーマを「認知症ケア」に変更するケースが複数ありました。結果として、42件中16件が認知症ケア研修となりました( 図3 )。
また、リーダー層の教育不足も明らかになりました。事業所内研修は行われているものの「何をどのように教えればよいのか」を知りたいという声が多く、資格取得ルートの違いから基礎知識が不足し、適切なアセスメントや介護過程の展開ができていない可能性が示唆されました。
〈図3円グラフ〉
令和7年度 出前研修テーマ
〈図3円グラフ終わり〉
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現場に広がる変化の兆し
研修当日は、介護職員だけでなく、医療職や管理者も複数参加していました。受講者からは、講師の言葉に深くうなずきながらメモを取る姿や、具体的な事例を挙げて質問する姿が多く見られ、学びと実践を結びつけようとする意欲が伝わってきました。外国人介護職員の参加も複数の事業所で見られ、日本語習熟度への配慮の必要性も感じました。
印象的だったのは、受講者の「知っているつもりで、実は理解できていなかった」という気づきの声です。研修後には「今日から現場で試してみたい」「チームで共有して改善したい」と話し合う姿が多く見られ、学びがその場で実践へとつながる手応えを感じました。
研修直後の受講者アンケートでは「今日学んだことを今後のケアに生かせそうか」という問いに対し、受講者の88%が「たくさんあった」「少しあった」と回答しました。さらに数カ月後に行った事業所アンケートでは、受講事業所の92%が「職員のモチベーションやケアに変化が見られた」と回答し、研修がケアの質向上や職員の意欲向上に寄与していることが確認できました。
〈図2地図〉
令和7年度 出前研修実施地域(数字は事業所数)
〈図2地図終わり〉
継続的な学びの必要性
今回の事業を通じて、現場の実践力を確実に高められる可能性が見えてきました。介護技術も認知症ケアも、トライ&エラーを繰り返しながら上達していく「訓練」が不可欠です。単発で終わらない継続的な学びの仕組みを整えることは、適切なケアを現場に定着させ、介護福祉の本来の姿を実現するために、私たちの重要な責務であると考えています。令和8年度は、事業所への継続的なサポートが可能となる仕組みづくりを進めてまいります。
〈QR〉
課題解決型出前研修
詳細はこちら
〈QR終わり〉
福祉のうごき2026年5月26日〜7月26日
県 介護サービス従事者向けハラスメント総合相談窓口開設
県は6月1日、介護現場でのハラスメント等について、介護保険サービス事業所の管理者および介護職員等から相談を受けるハラスメント総合相談窓口を新たに開設した。カスタマーハラスメントへの対応や、介護人材の確保・定着を図ること等が目的。令和9年3月31日まで、電話やメールによる相談を受け付けている。
医療的ケア児支援法が改正 18歳以上対象に
医療的ケア児支援法の改正案が7月24日、参議院本会議で可決、成立し、令和9年4月に施行される。成人後も医療的ケアが必要な方や重症心身障がいのある方まで対象を拡大。喀痰吸引ができる介護従事者を保育所や学校へ配置することや、住まいの確保、切れ目のない医療の提供、ピアサポートの推進が明記された。都道府県等は、支援体制の整備を図るための関係者の協議の場として、地域協議会を置くことができる。
防災庁設置法案 可決
防災施策や災害対応で国の司令塔となる防災庁設置法案が7月13日、参議院本会議で可決、成立した。法律では設置を年内としており、政府は今年11月にも発足させる方向で準備を進める。
津久井やまゆり園事件から10年
平成28年7月26日に発生した津久井やまゆり園事件から、今年で10年を迎えた。(一社)神奈川県知的障害施設団体連合会は7月23日に、追悼の集いである「やまゆりの日」を同園で開催し、同連合会で作成した人権宣言である「あおぞらプラン」のメッセージを、施設利用者と一緒に発信した。
また、県では7月25日に相模原市内でこれからの当事者目線の障害福祉について、県民と一緒に考える誓いの集いを開催した。
ともに生きる社会かながわの特設サイト
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県社協のひろば
かながわライフサポート事業の相談からみえること~つながり、見守り、地域のチカラへ〜
かながわライフサポート事業は、生活に困難を抱える方に対し、社会福祉法人・施設のコミュニティソーシャルワーカー(以下、CSW)が地域の関係機関と協力しながら相談支援を行う、社会福祉法人による地域公益活動です。
本事業は「対象者を限定しない」「支援内容を限定しない」ことを掲げて平成25年度から始めました。今日の地縁・血縁の希薄化や、厳しい経済状況による物価高騰などの影響を受けて、本事業に寄せられる相談の中で、生活の困難さは一層の複雑化・深刻化の様相を呈しています。
令和7年度の相談概況から
相談の概況からは50代から70代の単身世帯を中心に「高齢・障がい」「失業」「傷病」といった要因が複合的に重なって生活困窮状態に至ったケースが多いことがみてとれます( 下表 )。例えば、高齢や傷病・障がいを負ったことを理由に失業し、貯金が尽きて光熱水費や家賃の滞納が膨らみ、本人の手に負えない状況になって初めて支援機関の相談窓口につながる相談者や、社会からの孤立や社会経験の乏しさ等から困り感すら持てない相談者もおり、深刻化している事案が増えています。
また、20代から30代の若い世代の生活困窮に関する相談も少なくありません。若年層の支援には「つながりにくい」「つながりが続きにくい」といった特徴があります。若年層は、インターネットなどの情報を豊富に持ってはいますが、実際に自ら窓口に出向いて相談したり、SOSを発信したりすることは、決して容易なことではありません。
〈表組み3点〉
令和7年度相談概況(新規ケース68件)
年代
10代→0
20代→6
30代→7
40代→8
50代→12
60代→10
70代→11
80代→4
90代→0
不明→10
世帯構成
単身世帯→34
親子世帯→11
母子・父子世帯→6
夫婦のみ(内縁含む)→3
高齢者世帯→2
友人・知人宅→2
不明→0
その他→10
支援に至った要因(複数回答)
高齢→25
障がい→25
失業→23
傷病→15
多重債務→10
ひとり親→10
生活保護(申請予定含む)→7
(上位7つまで掲載)
〈表組み3点終わり〉
生活困窮の背景に目を向ける
本事業のCSWは相談者本人や関係機関から相談を受けたら、状況を把握するために、相談者の元へ出向き面談を行います。そして、課題を整理し、他に利活用できる社会資源等を検討しながら、支援を考えていきます。このプロセスをCSWは地域の支援者と一緒に行っていきます。生活困窮者への支援では、困りごととして表出しやすい「経済的な困窮」、例えば、光熱水費や家賃を滞納している、携帯電話料金が払えないといった問題の解消に焦点が当てられがちです。しかし、生活困窮に至った理由や要因にきちんと目を向けなければ、負のサイクルから抜け出すことは難しくなり、一層重篤な負のスパイラルに陥っていくことになりかねません。
近年の複雑化・深刻化した相談に対しては、特定の支援機関・支援者だけでの対応では限界があり、地域の関係機関が分野を越えて、相談者本人を中心に連携・協働していくことが欠かせません。本事業のCSWは個別の相談支援を通じて、地域内の支援機関・支援者とのつながりづくりも大切にしています。
地域を支える社会福祉法人
令和8年4月時点で県内79の社会福祉法人、231名のCSWが本事業に参加しています。制度の狭間で支援の届きづらい人に対し、社会福祉法人・施設が地域公益活動として民間性・柔軟性を発揮し、CSWが専門性を発揮して個別の相談支援を行うことと同時に、生活困窮者を生み出さないために地域での相談支援のネットワークづくりを進めています。今後も本事業を通して、個別の支援の蓄積を地域全体のチカラへとつなげていくよう、取り組んでまいります。(福祉サービス推進課)
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〈全面広告〉
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連載
子ども・若者の居場所
子どもが希望を持てる社会へ
あすのち 代表 乾
「学びたい気持ちがあれば、お金がなくても勉強できます」
その一文を読んだときの驚きと希望は、今でも忘れられません。
家庭の事情から十分に勉強することができず、だれにも相談できなかった中学生の私は、インターネットでたまたま「無料塾」の存在を知りました。ここに行けば、何かが変わるかもしれない。そう期待を抱いたものの、すぐに諦めざるを得ませんでした。
〈写真〉
あすのちスタッフの皆さん。向かって右端の列の中央が代表の乾さん
〈写真終わり〉
当時、私が住む座間市には、そのような場所を見つけられなかったのです。
「これからの子どもたちには同じ思いをしてほしくない。ないのなら、自分たちで座間に学びの場をつくろう」
友達に声をかけ、思いに共感してくれた4人の仲間とともに、高校1年生だった2017年5月、「あすのち」を設立しました。
団体名には「子どもが希望を持てる社会(明日の地)のため、私たち(us)のち、みんなで考え行動したい」という願いと決意を込めています。
地域に開かれた場をつくる
あすのちは、小学生から19歳までの子どもを対象に、座間市・横浜市とオンラインで、学習サポート活動とフリースペースの運営をしています。
最初は小学生のみを対象にしていましたが、メンバーの経験から、高校生や中退した若者の学びの場がないことに気づき、少しずつ対象年齢を広げてきました。
年齢以外の参加条件はありません。楽しいからと参加してくれる子もいれば、経済的余裕がない、学校に行っていない、病気があるなど、さまざまな理由から参加してくれる子もいます。
間口を広げているのは、子どものころに境遇だけで「困っている子」と決めつけられ、もどかしかった私の経験があるからです。だからこそ、参加する理由を説明しなくても、だれでも気軽に来られる「地域に開かれた場」であることを大切にしています。
子どもの思いを大切に
心がけているのは、子どもの思いを大切にした教室づくりです。子どもがその日のやりたいことに合わせて好きな過ごし方を選べるよう、学習スペースとフリースペースを同時に開催し、いつでも行き来できるようにしています。
学習スペースでは、子どもの学びたい内容やペースに合わせて、一対一のサポートをしています。科目や内容に決まりはないため、宿題やテスト勉強、受験対策はもちろん、自由研究や習字などに取り組むこともあります。
フリースペースでは、あそんだり話したりなど、思い思いの時間を過ごすことができます。少人数で始めたゲームに次々と人が加わったり、初めて会った子ども同士が同じ趣味の話で盛り上がったりすることもあります。学校も年齢も違う子どもたちが自然に関わり合えることは、あすのちの魅力です。
子どもたちの興味や将来の可能性を広げるきっかけをつくりたいという思いから、さまざまな体験活動も行っています。遠足やホタル鑑賞会、クリスマス会などもその一つです。
最近では、地域の団体や企業の方にご協力いただき、教室でお昼ごはんを食べたり、工場見学をしながら仕事について学んだりする活動もできるようになりました。
これからも、子どもたちがさまざまな人や体験に出会えるよう、地域の方々と協力しながら、活動の幅を広げていきたいと考えています。
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〈写真3点〉
①フリースペースのようす
②学習サポートのようす
③体験活動での集合写真
〈写真3点終わり〉
親でも先生でもない、一人の人として
私たちスタッフは「教える人」という一方的な立場ではなく、親でも先生でもない一人の人として関わり、互いに学び合うことを大切にしています。
心がけているのは、一人ひとりと時間をかけて丁寧に関わることです。無理に距離を縮めようとするのではなく、隣にいること、一緒に考えること、ときにはただ待つことも、大切なコミュニケーションだと考えています。
最初はあいさつだけの小さな関わりを続け、1年後には自分からスタッフに話しかけてくれるようになった子もいます。6年間あすのちに通い小学校を卒業した子や、数年ぶりに「久しぶり」とあそびに来てくれた子もいました。
すぐに答えを出そうとせず、日々の些細な関わりを続けることが、信頼関係につながるのだと感じています。
小さなきっかけがある地域へ
私たちには、毎日さまざまな1日が訪れます。楽しい日や嬉しい日もあれば、悲しい日やつらい日もあります。あすのちには、その悲しい日をなくすことはできません。
しかし、今日がどんな1日だったとしても「明日も生きてみよう」と思えるきっかけならつくれるはずだと信じています。
たとえば「できた」という経験を重ねることや、興味のあることを見つけて、自分の未来が少し楽しみになること。「あの人が応援しているから大丈夫かも」と思えるような、人とのつながりがあること。そんな一つひとつの小さな経験が「明日も生きてみよう」と思える理由につながっていくと、私は考えています。
現在は各教室とも月に2回から3回の開催ですが、将来的には子どもが行きたいと思ったときにいつでも来られるよう、少しずつ開催日を増やしていきたいと考えています。
まずは私たちから。そして、地域の方々や行政、さまざまな団体と協力し、それぞれの強みを生かしながら、子どもたちが希望を持てる社会をみんなでつくっていきたいです。
〈QR〉
Info
あすのち
希望をもてる明日をつくる
HP
X
Instagram
〈QR終わり〉
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ありがとうございました!
寄附御礼
寄附の受付はこちら→かながわボランティアセンターHP
匿名含め、合計11件593,939円
●県社協への寄附/古積英太郎
●ともしび基金/天台宗神奈川教区、古口玲斗、葛の湯、ACAかながわ
●交通遺児等援護基金/神奈川県足柄青少年交通安全連絡協議会、(株)エスホケン
●子ども福祉基金/脇隆志、(株)エスホケン
●寄附物品/(公財)報知社会福祉事業団
●ライフサポート事業〈寄附物品〉/(N)セカンドハーベスト・ジャパン
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KDDI株式会社よりともしび基金に寄附をいただき、令和8年7月28日、大可昌明首都圏総支社長(中央右)に感謝状を贈呈
〈写真終わり〉
(敬称省略)
Info
令和8年度第2回福祉サービス事業者に対する第三者評価説明会
第三者評価の意義や評価結果の活用方法などについての説明会を開催します。ぜひご参加ください!
●日時 9月29日(火)13:30〜15:00
●開催方法 オンライン(Zoom)
●対象 県内の保育・高齢・障害各分野の福祉サービス事業所および市町村所管課職員
●参加費 無料
●申込締切 9月18日(金)
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マスコットキャラクター ふくしみるちゃん
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詳細・申込方法はこちら
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Info
地域づくりに携わる福祉事業者のための“かたりば”
日々の実践の悩みやモヤモヤ、考えていることを持ち寄って分かち合い、明日の実践のヒントを探してみませんか?
●日時 10月29日(木)13:30〜16:30
●開催場所 TKPガーデンシティPREMIUM横浜ランドマークタワー
●対象 福祉従事者(福祉施設、社協、NPO法人など)
●定員 20名程度
●参加費 無料
●申込締切 10月8日(木)
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申込はこちら
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福祉タイムスNo.897(2026.8.15発行)
「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています
編集・発行/社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会
〒221-0825 横浜市神奈川区反町3-17-2 TEL 045-534-3866
印刷/株式会社神奈川機関紙印刷所