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福祉タイムズふくしTIMES
2024.5 vol.870
編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会
特集
権利擁護支援の地域連携ネットワークのしくみづくり~中核機関を起点とした地域のつながり~
NEWS&TOPICS P4 5月14~20日はギャンブル等依存症問題啓発週間 県がん・疾病対策課
キラリ輝く!児童委員活動 P7 主任児童委員制度の変遷と今
“はたらく”を支える P9 子ども・若者の自分らしく「はたらく」を支える (株)フェアスタート・(N)フェアスタートサポート
今月の表紙
川崎市民生委員児童委員協議会会長の今富子さんと、麻生区内の各地区民児協会長・主任児童委員部会長のみなさん。
麻生区民児協では、区役所、社協、民生委員の連携で地域住民に寄り添った活動を行っている。【詳しくは12面へ】撮影:菊地信夫
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特集
権利擁護支援の地域連携ネットワークのしくみづくり~中核機関を起点とした地域のつながり~
成年後見制度は、認知症や障害などにより判断能力が十分でない方の権利を守り、支援する制度です。成年後見制度の利用の促進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために、国において「成年後見制度利用促進基本計画」が策定されており、令和4年度から令和8年度までは第二期成年後見制度利用促進基本計画(以下、第二期計画)に基づき、各市町村では権利擁護支援のための地域連携ネットワークづくりが進められています。
今号では、市町村に設置され地域連携ネットワークのコーディネートを担う中核機関の役割や、各市町村のネットワーク構築に向けた本会における中核機関への支援について紹介します。
地域連携ネットワークとは
第一期成年後見制度利用促進基本計画(平成29年度から令和3年度。以下、第一期計画)において「全国どの地域においても必要な人が成年後見制度を利用できるよう、各地域において、権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築を図る」と示されたものです。
次いで第二期計画では「各地域において、現に権利擁護支援を必要としている人も含めた地域に暮らす全ての人が、尊厳のある本人らしい生活を継続し、地域社会に参加できるようにするため、地域や福祉、行政などに司法を加えた多様な分野・主体が連携するしくみ」と整理されるとともに、新たに「地域社会への参加の支援」という観点が加わりました。これは地域共生社会の実現に向けて「支え手」「受け手」という関係を超えて、人と人とのつながりの輪を広げていくことができるネットワークづくりが求められていると言えます。
地域連携ネットワーク及び中核機関が担う機能
第一期計画では、地域連携ネットワークにおける専門職による助言体制の確保や、専門職・関係機関の連携強化のための協議会の運営などのコーディネートを担う機関として「中核機関」を市町村に設置することが示されました。
また、中核機関の機能として、①成年後見制度に関する啓発・広報活動を行い(広報機能)、②本人や関係者からの相談を受け、支援内容の検討や関係機関との調整(相談機能)、③成年後見人等の申立てや受任者調整にかかる支援、④担い手の育成(成年後見制度利用促進機能)、後見人等への支援(後見人支援機能)を実施することの4つに整理されています。
第二期計画では、権利擁護支援としての成年後見制度の適切な利用を通じて尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加につなげていくようにすること、また、そのために地域連携ネットワークが、多様な主体の積極的な参画と適切な役割の発揮のもとで、持続可能な形で運営できるようにすることの重要性が示されました。
そしてこのような観点から、本人中心の権利擁護支援チームを支えるために、市町村域や都道府県域の地域連携ネットワークに必要な視点がまとめられました(図参照)。
〈図〉
権利擁護支援の地域連携ネットワークのイメージ図
厚生労働省「成年後見制度利用促進 第168回市町村セミナー」資料より抜粋
〈図終わり〉
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本県における中核機関の設置状況
第二期計画では、令和6年度末までに全国すべての市町村で中核機関を設置することとされています。本県では、令和6年4月現在、26市町村において設置されています。その運営形態は市町村による「直営」、市町村社協への「委託」、市町村と市町村社協による「直営+一部委託」のいずれかとなっています。
また、足柄上地区(南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町)では、広域の中核機関を設置しており、1市5町行政から南足柄市社協に委託されています。
本会における中核機関への支援
●候補者調整会議
本人を支援する成年後見人等の候補者は、本人の状況等に応じた適切な候補者の選定とその支援体制等を中核機関で検討・協議することが求められています。
そこで本会では、単独で候補者調整会議を設置することが難しい中核機関の支援として、候補者調整会議を実施しています。
●意思決定支援研修の実施
本人の支援にあたっては、支援者は気づかないうちに、本人の自己決定の機会を奪ってしまうことがないよう、常に本人の意思を中心に、支援的内容を考えることを意識しなければなりません。
本会では、令和5年度から意思決定支援について学ぶ機会として、支援者に向けた研修を実施しています。受講者からは「意思決定支援は本人と紡いでいくもの」「意思は揺らいで当たり前ということを改めて考えるきっかけになった」との声が寄せられ、新たな気づきや学びだけでなく、自身の振り返りの機会にもつながっていることが分かりました。
地域の特性を生かした中核機関の設置に向けて
高齢や障害により、自分自身に何かあった際に、ともに今後の生活を考えてくれる支援者や、支援チームがいたらどれだけ心強いでしょうか。そうした体制が、地域のしくみとしてあるということは、一人ひとりがより自分らしく生きることにもつながると考えます。
本会では、各市町村の特性を生かして、中核機関の体制整備並びに地域連携ネットワークづくりの支援に取り組んでいきます。(権利擁護推進課)
県内の中核機関連絡先一覧
https://www.knsyk.jp/service/kenri/member/shien
〈コラム〉
あしがら成年後見センターにおける地域連携ネットワークに向けた取り組み
南足柄市社会福祉協議会
あしがら成年後見センター(以下、センター)は令和4年7月に足柄上地区1市5町(南足柄市、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町)から南足柄市社協が委託を受け、開所しました。
足柄上地区という広域連携の取り組みとしてセンターを設置することについて、各市町で設置するよりも、より専門的な相談に対応できると期待されていた反面、住民が相談しにくさを感じるのではないか、町の特性が失われるのではないかとの不安もありました。
そこで、広域でも相談しやすい体制として、各市町の行政、社協、地域包括支援センター、障害相談支援事業所といった、住民が身近で相談できる機関を「一次相談窓口」とし、センターは一次相談窓口をバックアップする「二次相談窓口」としました。また、各市町の特性、各相談機関の強みを活かした相談対応をするため、各市町に「権利擁護課題連絡会」を設け、各市町の権利擁護に関する課題について議論する場を設けています。その都度、必要性に応じた内容となるよう、各市町において、事例検討、研修等を行っています。
「二次相談窓口」となるセンターは、地域の「一次相談窓口」をはじめとする関係機関との地理的な距離があり、相談がしにくいと感じられてしまう懸念があったため、気兼ねなく活用いただくことを目的に、相談内容は広く「権利擁護に関するもの」とし、成年後見制度を中心に様々な権利擁護課題についても積極的に受付をしています。
専門的な相談に対応するため、センターには社会福祉士の他、センター長として弁護士、専門相談員として司法書士を配置し、日常の相談対応、各市町での事例検討会等にて助言をしています。法律専門職に気軽に相談できる場を設けることは、行政をはじめ足柄上地区で活動する福祉関係者が、何が住民の権利擁護につながる支援となるのかを確認し、迷いなく取り組むことができる下支えとなっていると感じています。また、成年後見制度の利用促進のために士業団体、関係機関の理解と協力が必要であるため、家庭裁判所に参加いただく「地域連携ネットワーク連絡会」を開催し、足柄上地区での相談受付状況や課題、センターの運営状況について報告し、意見交換を行っています。各機関の連携構築に加え、年度ごとのセンター運営の方向性を定める重要な位置づけとなっています。
開所から2年ほど、一次相談窓口担当の方々と一緒に手探り状態で進んできました。今後も足柄上地区の権利擁護ニーズがどこにあるのかを把握し、関係機関と協力しつつ取り組んでいきます。
あしがら成年後見センター開所までの経緯等は、福祉タイムズ2022年8月号NEWS&TOPICSをご覧ください
〈コラム終わり〉
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NEWS&TOPICS
5月14~20日はギャンブル等依存症問題啓発週間―依存症についての関心や理解を深めましょう
●依存症とは
人は誰しも、不安や緊張を和らげたり、嫌なことを忘れたりするために、アルコール等の物質を摂取したり、ある特定の行為をすることがありますが、それを繰り返しているうちに脳の回路が変化し、自分の意志ではコントロールできなくなってしまうことがあります。
これが、依存症という病気であるとされています。
●誰でもなる可能性があります
依存症は、ギャンブルの経験やアルコールの摂取といった対象行為をきっかけに、誰でもなる可能性があります。
しかし「意志の弱さの問題」「だらしない人がなる」との誤解や偏見から、依存の状態を認められず問題を隠してしまうケースが多くみられます。(神奈川県内の状況は表参照)
●依存症のサイン
依存症は病気の一つで、早期に気付き、適切な支援や治療を受けることが重要です。
依存症の方のサインとしては、次のようなものが挙げられます。
◆ギャンブル等依存症
○ギャンブルの予算や時間を決めない、決めても守れない。
○勝ったときに「次のギャンブルに使おう」と考える。
○ギャンブルをしたことを隠す。
○ギャンブルに負けたときに、すぐに取り返したいと思う。
◆アルコール依存症
○健康問題が生じていたり、酩酊時に暴力や暴言をくりかえしているのに、飲酒をやめたり、飲酒量を減らしたりできない。
○運転時や仕事中など、飲酒すべきではないときにも飲みたい気持ちを抑えられず飲酒してしまう。
○隠れて飲酒する、飲酒に関して嘘をつく。
◆薬物依存症
○医学的・社会的な問題が生じていても、薬物使用をやめない。
○処方薬や市販薬などの医薬品を、本来の目的とは異なる意図から、あるいは、本来指示された服用量・頻度以上に使用している。
○医薬品を入手するために多くの時間と費用を使っている。
●ギャンブル等依存症問題啓発週間
ギャンブル等依存症問題の関心と理解を深めるために、毎年5月14日から20日はギャンブル等依存症問題啓発週間に定められています。
神奈川県では、電車内やインターネットでのギャンブル等依存症に関する動画放映や、ポスターの掲示を行っています。
〈写真〉
ギャンブル等依存症問題啓発週間啓発ポスター
〈写真終わり〉
●まずは相談を
依存症の問題にお悩みの方は、お近くの保健所や精神保健福祉センターに相談してください。
また、依存症の問題を抱えた人同士で回復を目指す「自助グループ」や、回復支援施設を利用するという方法もあります。
「かながわ依存症ポータルサイト」では、相談機関や医療機関、自助グループなどの情報を検索できます。
依存症の問題にお悩みの方は、ぜひアクセスしてください。
(県がん・疾病対策課)
〈表〉
(表)神奈川県内の状況
ギャンブル等依存症
依存症が疑われる人数※1→約14万人
患者数※2→外来376人入院41人
アルコール依存症
依存症の生涯経験者推計数※3→約3.9万人
患者数※2→外来7,318人入院1,314人
「ギャンブル等」とは、公営競技(競馬、競輪など)、ぱちんこ屋に係る競技その他射幸行為のこと
※1 県ギャンブル等依存症対策推進計画より
※2 2020年NDBオープンデータより
※3 県アルコール健康障害対策推進計画より
※参考 国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」・神奈川県「かながわ未病改善ナビサイト」など
〈表終わり〉
かながわ依存症ポータルサイト
https://kanagawa-izonportal.jp/
P5
NEWS&TOPICS
セルフヘルプ・グループ(自助グループ)とは
依存症になった方が病気と向き合いながら回復を目指していくためには、社会の温かい見守りだけではなく、その依存症の特徴や回復の難しさを熟知している方と交流することが大切であるとしばしばいわれています。
その一つの方法として、医療機関等の支援だけではなく、同じ病気になり、回復を目指す人々が集う、セルフヘルプ・グループに参加することが効果的です。
一方で、県ギャンブル等依存症対策推進計画によれば、自助グループは「その活動や役割が十分に知られていないため、支援の必要な人が支援を受けられていない状況があります」とあり、メンバーの安全やプライバシー保護への配慮などから、グループやその活動への情報につながりづらい状況が見られ、活動への適切な理解が広がることが期待されます(セルフヘルプ・グループ活動の意義については左記ポスター参照)。
本会かながわボランティアセンターでも、セルフヘルプ・グループ相談拠点としての共有スペースの提供(本紙10面参照)や、登録グループの紹介をしておりますので、ぜひご覧ください。(企画課)
かながわボランティアセンターに登録しているセルフヘルプ・グループの一覧はHPから
https://knvc.jp/self_help/self_help_03/
〈図〉
セルフヘルプ・グループ活動の意義
本会かながわボランティアセンターセルフヘルプ・グループ紹介ポスターより一部抜粋
〈図終わり〉
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福祉のうごき 2024年3月25日~2024年4月25日※新聞等掲載時点
●平塚市 終活支援に関する協定を締結
「終活」に関する支援を充実させることで高齢者の不安を取り除こうと、平塚市は3月25日、終活関連サービスを展開する(株)鎌倉新書と支援協定を結んだ。県内自治体で同様の協定を結ぶのは初めて。協定では終活について市民への情報発信や市民からの相談対応などで同社が市を支援する。
●合理的配慮を民間事業者に義務付け
障害のある人から申し出があった場合に対応する「合理的配慮」を企業など民間事業者に義務付ける「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」が改正され、4月1日に施行された。これまで国や自治体に義務付けていた配慮を民間へ拡大し、障害者が参加しやすい社会の実現を目指す。
事業者側は、過剰な負担にならない範囲で対応し「特別扱いはできない」と一律に拒むことはせず「建設的対話」で合意点を探ることが求められる。
●孤独・孤立対策推進法が施行
孤独・孤立の問題を「社会全体の課題」と位置づける孤独・孤立対策推進法が4月1日、施行された。
新法では、基本理念や国等の責務、施策の基本となる事項及び孤独・孤立対策本部などについて定め「孤独・孤立に悩む人を誰ひとり取り残さない社会」「相互に支え合い、人と人との『つながり』が生まれる社会」をめざす。
毎年5月は「孤独・孤立対策強化月間」です
●横浜市 介護事業者向けハラスメント相談センター開設
横浜市は令和6年度から「介護事業者向けハラスメント対策事業」を開始し、4月16日「横浜市事業者向けハラスメント相談センター」を開設した。
介護職員が安心して働くことができるよう支援し、介護人材の定着を進めていく。
TEL 0120-880-021(フリーダイヤル)
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キラリ輝く!児童委員活動~主任児童委員制度30周年を迎えて~
主任児童委員制度の変遷と今
子育て支援や児童の健全育成、関係機関との連絡調整など、児童委員活動を専門に行う主任児童委員。今月号では主任児童委員制度創設の背景や役割と活動、現状をお伝えします。
◆制度創設の背景
制度創設以前、少子化に加えて児童虐待や不登校などが社会問題となり、近隣関係の希薄化が進む中で、それまでの地域社会の子育ての支え合い機能の変化が見られ「健やかに子どもを産み育てる環境づくり」は課題となっていました。
これらを背景に平成4年9月、厚生省(当時)、全国民生委員児童委員協議会(現全民児連)、全国社会福祉協議会による「児童委員問題研究会」において、児童委員活動の更なる推進を図り、区域担当の児童委員との一体的な活動展開に向けて主任児童委員制度の創設が提案されました。これを受けた厚生省は「主任児童委員の設置について」(平成5年3月)を発出し、平成6年1月、主任児童員制度が創設されました。
◆主任児童委員の役割と活動
主任児童委員は民生委員児童委員協議会(単位民児協)の規模に応じて2、3名が配置され、1.関係機関と児童委員との連携の窓口となること、2.児童委員の行う活動への援助などの役割があります。前者では市町村等と単位民児協のつなぎ役を、後者では子どもの課題対応のため児童委員との連携が期待されており、活動には登下校時の見守りや子育てサロンの運営支援等があります。
◆主任児童委員をとりまく現状
主任児童委員等を対象とした活動に関する調査(※)によると、主任児童委員の活動の効果として「子どもや親との信頼関係が築けた」「学校や保育所等との関係構築が図れた」などがあげられていますが、これらは長年にわたる地道で継続的な活動によるものといえます。また、児童委員との連携については「できている」との回答が約8割を占め、経験の長い主任児童委員ほど連携が図られている様子も見受けられます。
しかし、「児童のケースはほぼ主任児童委員1人で抱えている」との回答もあり、主任児童委員が民児協内で孤立しないよう会長を中心とした対応が大切との指摘もされています。
このような現状のなか、本県でも地域の実情を踏まえ、やりがいを感じながら活動する主任児童委員が数多くいます。次月号では「児童委員・主任児童委員が果たしてきた役割と活動の意義を伝える活動」をテーマに実践を紹介します。(地域課)
(※)『地域における児童委員・主任児童委員の活動等の現状と課題に関する調査研究報告書』、全国社会福祉協議会、令和2年3月
(参考)『児童委員活動の手引き48集』、全国社会福祉協議会・全国民生委員児童委員連合会、令和6年3月
〈表〉
主任児童委員関係年表
年→国・制度の動き
H4→全国民生委員児童委員協議会(現全民児連)・全国社会福祉協議会・厚生省(現厚生労働省)による「児童委員問題研究会」設置
→「児童委員問題研究会」中間報告提出
H5→児童家庭局長、社会援護局長の連名通知「主任児童委員の設置について」発出
H6→主任児童委員制度創設(1万3713人の主任児童委員が誕生)
H13→「児童福祉法」改正。主任児童委員が児童福祉法上に位置づけ
→「児童委員の活動要領」改正。主任児童委員について明記
→「主任児童委員選任要領」発出。主任児童委員の配置基準改正、すべての単位民児協で主任児童委員の複数配置を実現。これに伴い「主任児童委員の設置について」廃止
H16→「児童福祉法」改正。主任児童委員も個別支援への関わり可能なことが明記
→主任児童委員制度創設10周年
H26→主任児童委員制度創設20周年
H29→民生委員制度創設百周年
R3→こども家庭庁創設が閣議決定
R5→こども家庭庁創設、児童福祉法が厚生労働省から、こども家庭庁に移管
R6→主任児童委員制度創設30周年
全国社会福祉協議会『民生委員・児童委員のひろば 2023年12月号』「主任児童委員関係年表」をもとに本会作成
〈表終わり〉
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私のおすすめCHECK!
◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。
地域の誰もがホッとできる喫茶店「カフェ グランマ」
茅ヶ崎市の鶴が台団地の一角にある「カフェグランマ」。障がいのある方々の働く場所であるこの喫茶店は、団地の高齢者の方々が昼食に集まったり、若いママさん達たちが子どもさんの送迎をしながら一息つける場でもあります。また月に一度「子ども食堂」も開かれるなど、幅広い世代や障がいを超えた交流の場となっています。
今月は→神奈川県自閉症協会がお伝えします!
1968年設立。横浜市・川崎市を除く県内11地区の自閉症児・者親の会による連合会です。行政施策の研究・提言、当事者・家族のためのミーティング運営、療育者等に向けた勉強会・セミナー運営等、自閉症児・者と家族の支援や、自閉症スペクトラムの理解を進めるための活動を各市町村及び県に向けて展開しています。
〈連絡先〉URL:http://kas-yamabiko.jpn.org
〈写真〉
お店の入口には目印のソフトクリーム
〈写真終わり〉
相模線「北茅ヶ崎駅」から徒歩約15分。鶴が台団地の一角にある障害者就労継続支援B型事業所「カフェ グランマ」。社会福祉法人翔の会が障がいのある方の就労場所として、また地域との交流を願ってここに喫茶店を開いたのは2006年のこと。18年が経ちました。木調の温かなしつらえの店内は、席数が15席と決して広くはありませんが、ピアノも置かれ、落ち着いた雰囲気が漂っています。朝、開店に向けて、利用者さんがお掃除をしたり、店内で提供するコーヒーやおにぎり、スイーツなどの準備を始める一方、奥の厨房では、法人内の事業所や、市役所、保健所に届けるお弁当作りも始まります。お昼前には、団地の方々が日替わり弁当を楽しみに、続々と来店。オーダーをとる利用者さんの「お弁当ひとつ!」という元気な声が店内に響きます。
〈写真2点〉
窓際のカウンター席でまったりと
人気の数量限定!日替わり弁当
〈写真2点終わり〉
グランマの美味しいコーヒーはハンドドリップで提供され、ピザ、スイーツなども利用者さんの手作りです。毎日の食材は、同じ商店会の八百屋さんやスーパーで買い物をするので、利用者さんもすっかり顔なじみ。店員さんに「○〇さん、今日は荷物が多いね!」などと声をかけてもらったり、商品を選ぶのが難しいときは、少しお手伝いしてもらったりと、長年小さな交流を重ねています。高齢者の方々が、気兼ねなくご近所さんとのお喋りに花を咲かせたり、また、小さなお子さん連れのママさん達がコーヒーブレイクに寄ることもしばしば。お子さんと利用者さんの微笑ましいやり取りもグランマならではの光景です。
〈写真〉
店先でも賑やかなこども食堂
〈写真終わり〉
そのほか、グランマでは地元の「鶴が台名店街に地域の居場所をつくる会」との協働で、月に1度「子ども食堂」を開催。毎回、グランマの利用者さんが作るカレーライスを提供しています。コロナ禍で中断の時期はありましたが、現在は復活して、100食前後を提供して地域の皆さんに喜ばれています。
またこども食堂と同様に月に1度、店内でジャズピアノのコンサートも開催し、地域のミュージシャンの方々とのお付き合いも開店以来続いています。
多彩な顔をもつ地域の皆さんが集うカフェ グランマ。お近くにお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください。
■カフェ グランマ
〒253-0003 茅ヶ崎市鶴が台10-2-101
TEL 0467-51-2100 平日10時~16時まで
https://www.syonokai.jp/sisetu/cafe-grandma.html
■鶴が台名店街に地域の居場所をつくる会
https://sapocen.net/organization/org618/
本会第2種・第3種正会員連絡会として、神奈川県自閉症協会の活動を動画で紹介しています。ぜひご覧ください。
https://www.knsyk.jp/service/kaiin/movie
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“はたらく”を支える
子ども・若者の自分らしく「はたらく」を支える―株式会社フェアスタート・NPO法人フェアスタートサポート
生活困窮やひきこもりの人に対する社会参加、就労訓練の場として、支援機関と企業との連携が広がっています。一方、企業ではダイバーシティ経営として、多様な人材のいる組織づくりに積極的な姿勢も見られます。こうした企業と福祉関係者の取り組みが進むことで「働く」環境づくりが広がることが期待されます。今回の新コーナーでは県内の企業やNPO等の「働くこと」を支える多様な民間活動を紹介します。
今号では、児童養護施設や里親などの社会的養護を経験した子どもや若者の就労支援を行う(株)フェアスタート、(N)フェアスタートサポート代表の永岡さんにお話をうかがいました。
--キャリア教育への支援を始めたきっかけについて教えてください
社会的養護の子どもの多くが高校を卒業する年次で、本人にとって不本意な就職活動を行っていること、就職しても早期に退職してしまい不安定な生活状況となっている若者の存在を知りました。
一般的に、就職活動を始めるのは高校3年生の夏頃からで、ハローワークから高校に届く高卒新卒向けの求人票を元に就職活動を行います。現状では社会的養護の子どもたちの高校卒業後の進学率は未だ約4割程度と低く、施設等を出た後は、自立して生計を立てていかないといけません。こうした状況を考えると、労働条件が良く見えたり、社員寮があったり、企業規模が大きい安定した企業へ就職するように本人に勧める高校等の進路指導のあり方も無理はないのですが、本人の興味や適性をきちんと把握し、その企業に入社する動機をもって本人が自己決定することが、その後の職場定着を実現する上では重要です。
本人が納得できる就労先を選ぶためには、早いうちからキャリア教育を行う必要性を感じ、団体を立ち上げました。
--キャリア教育としてどのようなことに取り組んでいますか
個別相談や職業適性検査、会社見学、就労体験などを行っています。子どもたちの多くは、社会にはどんな会社があるのか、自分がやりたい仕事や、その向き不向きが良く分からないまま就職活動を始めることになります。そのため、職業適性検査を行い、本人のアセスメントをした上で、本人に親和性の高い仕事や企業を提案しながら、会社見学や就労体験の機会を提供します。そこで本人が色々な情報や体験を積み重ねていき、将来の進路選択ができるように支援しています。
--キャリア教育とあわせて力を入れていることはありますか
私たちが大事にしているのは、本人が納得して進路を決めていくこと、そしてどのように自己決定の機会を作り担保していくかです。自分の人生として、自分で決めた道を歩むべきですし、そこは保障される必要があります。
そのためには、各地域でキャリア教育を受けられるよう、地元の施設と企業がいかに接点をもてるかがポイントです。多くの企業と施設がつながることで、本人一人ひとりに合わせた多様な就労支援が可能になります。これからはフェアスタートとして取り組んでいる就労支援が地域の中で展開できることを目指していきたいです。
〈写真〉
お話を聞いた代表の永岡さん(写真中央)とスタッフの青山さん(左)、小金井さん(右)
〈写真終わり〉
--現場の皆さんへのメッセージをお願いします
中小企業の人手不足解消の面が強調されがちですが、地域に根付く会社だからこそこれからの社会を担う子どもを育てたいという熱意をもっている方々は多くいます。また、子どもたちの育ってきた環境に理解を示し、労働環境の配慮や住居のサポートから、就職後の生活面においても精神的なサポートがされています。こうした企業と社会的養護の施設等がつながりをもち、早い段階からキャリア教育を行うことで本人と就労先とのマッチングの精度が高まり、精度の高い自立につながっていきます。地域でのつながりをつくるために、当団体をぜひご活用ください。(企画課)
フェアスタート株式会社フェアスタート/
NPO法人フェアスタートサポート
設立:2011年8月/2013年1月
住所:横浜市中区北仲通3-33 関内フューチャーセンター214(1階)
HP:https://fair-start.co.jp/
フェアスタートパートナー
児童養護施設等を応援したい企業情報の掲載サイト
〈囲み〉
令和6年度の新コーナー
4月号「企業の社会貢献活動」、今月号「〝はたらく〟を支える」は不定期で取り上げます。
〈囲み終わり〉
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県社協のひろば
かながわボランティアセンター
ホームページ新設&ボランティア活動コーナーリニューアル!
かながわボランティアセンターでは、県域のボランティアセンターとして、地域福祉の推進に係る活動を行うボランティア団体、当事者活動団体等の支援を行っています。
この活動をより活性化させるべく、令和5年10月より、ボランティアセンターのホームページ新設と、令和6年4月よりボランティア活動コーナーをリニューアルしました。
●新設ボランティアセンターホームページの特徴
ボランティアセンターホームページでは、カテゴリ別に6つの入口を設け、情報を見つけやすいよう工夫し、地域福祉活動の推進に資するページ展開をしています(左「カテゴリ別入口」参照)。ボランティア募集や助成金情報、各種イベントやセミナーのご案内など、地域福祉に係る情報のプラットフォームとして県内活動の発信も含め豊富な情報を随時更新しています。
また、有識者と共に熟考を重ね整理した「かながわボランティアセンターの活動理念」を掲載(カテゴリ:かながわVCとは)している点も、注目していただきたいポイントです。ぜひご覧ください。
●ボランティア活動コーナーリニューアル!
かながわ県民センター12階にボランティア活動コーナーを設置しています。コロナ禍では密を避けるなどの制約から、有料の年間登録制度・予約制での運用でしたが、令和6年4月より、登録不要・無料・予約不要にて利用できるようになりました。これは、コロナ禍以前と同様の運用ルールであり、以前のようなボランティア活動の拠点としてのにぎわいが生まれることを期待しているところです。
ボランティア活動で使用する物品保管のためのロッカーや郵送物の受付保管用としてメールボックスのご利用についても引き続きご案内しています。空き状況はホームページにてご確認いただけます。ご不明な点はお気軽にご相談ください。
(地域課)
〈図〉
かながわボランティアセンターホームページ6つのカテゴリ別入口
〈図終わり〉
〈写真〉
ボランティア活動コーナー
コーナー内にロッカー・メールボックスもあります
〈写真終わり〉
〈囲み〉
かながわボランティアセンター
【住所・連絡先】
〒221-0835 横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2 かながわ県民センター12階
TEL 045-312-4815
【開所時間】
月~木、土曜日:9時~20時/金・日曜日 9時~17時
かながわ県民センター休館日のほか、年末年始・大型連休時は閉所します。
【ホームページへの掲載依頼について】
「かながわボランティアセンターホームページ掲載の基準」(※)に沿って掲載をいたします。
【ボランティア活動コーナーの利用について】
地域福祉の推進を目的としたボランティア活動や当事者活動を行う団体等がご利用いただけます。
詳細は「『ボランティア活動コーナー』利用のしおり」(※)に掲載しています。
(※)詳細はホームページにてご確認ください
https://knvc.jp/
〈囲み終わり〉
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Information
本会主催の催し
令和6年度第1回福祉のしごとフェア
①働き方や魅力がわかる!「福祉のしごと就職支援ガイダンス」(申込制)
②直接聞ける、話せる!「福祉施設等就職相談会」(入退場自由)
◇日時=令和6年6月15日(土)①11時~12時30分 ②13時~16時
◇会場=①TKPガーデンシティ PREMIUM 横浜ランドマークタワーバンケットルームO ②日石横浜ホール
◇対象=福祉の仕事に就きたい方、福祉の仕事に興味・関心がある方
詳細はHPで確認
HP:https://www.kfjc.jp/event/detail.asp?id=21001
◇問合せ=かながわ福祉人材センター
TEL 045-312-4816
関係機関・団体主催の催し
(公財)みずほ福祉助成財団2024年度社会福祉助成金募集
◇対象=社会福祉法人、特定非営利活動法人等の非営利法人及び任意団体等又は研究グループ
◇対象事業=障がい児者に関する事業及び研究で、先駆的・開拓的な事業及び研究を優先
◇助成金額=事業(研究)総額の90%以内かつ20万円以上100万円以内
◇申込締切=令和6年6月28日(金)
詳細はHPで確認
HP:http://mizuhofukushi.la.coocan.jp/bosyu/bosyu01.html
◇問合せ=(公財)みずほ福祉助成財団
TEL 03-5288-5905
第60回社会福祉セミナー社会福祉施設の今日的使命を問う
◇日時=令和6年7月6日(土)10時30分~16時、7日(日)10時~16時
◇開催方法=Zoomウェビナーを使用したオンライン配信
◇定員=600名
◇受講料=無料
◇申込締切=令和6年6月20日(木)
詳細はHPで確認
HP:https://www.kousaikai.or.jp/news/detail/
◇問合せ=(公財)鉄道弘済会
TEL 03-6261-2790
寄附金品ありがとうございました
【県社協への寄附】(一社)アクティブケアアンドサポート、古積英太郎
【交通遺児等援護基金】(株)エスホケン、アトミクス(株)
【子ども福祉基金】脇隆志、(株)エスホケン
【ともしび基金】日本行動教育研究会、(福)日本医療伝道会
(匿名含め、合計13件409,751円)
【寄附物品】(公財)報知社会福祉事業団、神奈川トヨタ自動車(株)
【ライフサポート事業】〈寄附物品〉(N)セカンドハーベスト・ジャパン、(福)慶優会特別養護老人ホーム今宿ホーム
(いずれも順不同、敬称略)
福祉タイムズ送付先調整のお知らせ
より効果的な広報を行う観点から送付先の見直しを行っています。2024年5月号から順次対応させていただきますので、あらかじめご了承ください。
お問い合わせは企画課まで
県社協ホームページバナー広告募集
本会では、ホームページにて広告欄を設け、福祉活動に賛同、貢献いただいている企業・団体を紹介しております。ぜひ、広告欄のご活用をご検討ください。
詳細はHPでご確認ください。
https://www.knsyk.jp/advertisement
〈囲み〉
かながわSDGsパートナーに神奈川県社会福祉協議会が登録されました
かながわSDGsパートナーとは、SDGsの推進に資する事業を展開している企業・団体等を県が募集・登録・発信するとともに、県と企業・団体等が連携してSDGsの普及促進活動に取り組むもので、県の審査により登録されます。
この度、本会はかながわSDGsパートナーに登録されました。
本会では「誰もが安心して生活できる地域づくりの推進」を理念に掲げ、県内の関係者とともに、誰一人取り残さない、持続的、包摂的な社会の実現を目指し、取り組んでまいります。
かながわSDGsパートナーの詳細
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/bs5/sdgs/partner.html
P12
かながわほっと情報
行政、社協、民生委員の連携で取り組む、寄り添いの活動
川崎市民生委員児童委員協議会 会長
川崎市麻生区民生委員児童委員協議会 会長 今富子さん(川崎市麻生区)
川崎市麻生区で民生委員・児童委員(以下、民生委員)として活動する今富子さんと、同じ麻生区内の各地区で民生委員児童委員協議会(以下、民児協)の会長を務めるみなさんにお話を伺いました。
今さんは、小学校PTAの副会長として学校創設に携わり、現在も学校の協力委員として関わっています。また、その間、警察署から委嘱を受け、少年補導員としても活動していました。そうした中、義母が認知症になり、施設でお世話になる代わりに、自分は地域に貢献しようとの思いから、平成16年に民生委員の委嘱を受け、活動を始めました。
平成25年には麻生東第二地区民児協の会長となり、平成30年に麻生区民児協の会長、そして令和5年に、川崎市民児協の会長になりました。
〈写真〉
会長として取り組みたい内容を話す今さん
〈写真終わり〉
民生委員のやりがい
みなさんに民生委員のやりがいについて伺いました。「研修会で学んだことを実際に活動の場面で生かせたとき」「相談を受けて、適切な関係機関につなげ、寄り添った支援ができたときにいわれた『ありがとう』の一言が力になった」「『私には民生委員は必要ない』と言っていた方にも積極的に声を掛け続け、最終的には入院時に頼ってもらえることになった。お役に立てて良かった」と、
みなさんはその時々を思い出し、笑みを浮かべます。
関係者一体となった活動
各地区民児協の会長のみなさんは、世間一般に「民生委員は大変」という固定観念があることを残念に感じています。実際に経験してみると、地域の方から相談されることにやりがいと喜びを感じ、人とのつながりも増えたといいます。また、研修等での学びが自分や自分の親のためにもなるなど、多くの魅力があると語られました。
そして「民生委員は一人でやるわけではなく、分からないことは仲間と支え合い、活動することができるので、まずは一歩踏み出してほしい」とこれから民生委員になる人に向けて、伝えたいことを話してくれました。
また、今さんは「民生委員活動は決して一人ではできない。民生委員は地域の住民を支えているが、偉いわけではなく、地区民生委員や役所、社協、全員で一体となって行っている」と話します。
〈写真〉
「民生委員・児童委員の日」活動の一コマ
〈写真終わり〉
これからも地域のために
今さんは、今後の目標に「福祉教育」と「災害」の2つを挙げます。
福祉教育については「学校と連携した福祉教育に取り組んでいきたい。
今は直接学校から連絡がないと児童委員なのに学校内に入りづらい。今後は学校と顔の見える関係づくりのために、社協と連携して福祉教育に協力していきたい」と現状を交え、伝えてくれました。
災害対応については、平成28年度に麻生区民児協で作成した「災害時民生委員児童委員活動マニュアル」を更新し、昨今増えている災害への対応方針などの周知を図ることが大切と語ります。
各地区民児協の会長のみなさんの、地域をより良くしたいという思いや、民生委員活動への意気込みを感じる取材でした。(企画課)
〈コラム〉
5月12日は民生委員・児童委員の日
民生委員制度は、第一次世界大戦末期、大正6(1917)年5月12日に防貧対策として岡山県で創設された済世顧問制度が源になっています。
全国民生委員児童委員連合会では、制度創設の5月12日を「民生委員・児童委員の日」と定めました。
〈コラム終わり〉
「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています
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【発行日】2024(令和6)年5月15日(毎月1回15日発行)
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