福祉タイムズ

Vol.862(2023年9月号)

このデータは、『福祉タイムズ』 Vol.862(2023年9月号)(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。データは、下記リンクからダウンロードが行えます。

テキストデータ作成に当たって
 このデータは、『福祉タイムズ』 vol.862 2023年9月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。
 二重山カッコは作成者注記です。

P1
福祉タイムズふくしTIMES
2023.9 vol.862
編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会

特集
セルフヘルプ・グループ活動支援20年のあゆみ~セルフヘルプ・グループの可能性~
NEWS&TOPICS P4 つながりをたやさない社会づくり「赤い羽根共同募金」にご協力をお願いします!
P5 かながわ災害福祉広域支援ネットワークの取り組み
連載 P6 連携・協働の今-新たなパートナーシップを目指して-⑥

今月の表紙
 (N)子ども支援センターつなっぐで、付添犬として活動するボロニーズのアンジェロくん。
 時にしずかに、時に温かく、被害を受けた子どもの負担軽減というサポートを行う。【詳しくは12面へ】撮影:菊池信夫

P2
特集
セルフヘルプ・グループ活動支援20年のあゆみ~セルフヘルプ・グループの可能性~
 近年、社会全体に広まり様々なグループが形成されている「セルフヘルプ・グループ活動(当事者活動)」。本会かながわボランティアセンターでは、前身の当事者活動支援を含めると30年以上にわたり活動支援に取り組んできました。様々な生きづらさを抱えている人やその家族等が抱えるものは個別性が高く、それ故に孤独を感じ、理解されにくい状況であり傷つく人が少なくありません。こうした方々にとって「ひとりではない」と気づき、共感を得られる場が「セルフヘルプ・グループ」です。
 今号では、これまでのセルフヘルプ・グループ活動支援を振り返るとともに、この20年で広がりをみせるセルフヘルプ・グループの持つ「チカラ」についてお伝えします。

SHGへの活動支援
 本会では、昭和63年3月に策定した県社協活動推進計画に主要事業の柱として当事者活動の支援を掲げて以来、取り組みを続けてきました。当初から、学識者や医療ソーシャルワーカーなどの専門職だけでなく、当事者の声を大切に、当事者団体とともに事業を進めています。
 当事者研究、セルフヘルプ・グループ(以下、SHG)の声を聞く取り組み、講座等の実施を経て、平成14年には、セルフヘルプ活動の支援拠点となる「セルフヘルプ活動コーナー(相談室、ロッカー・メールボックス等)」をボランティアセンター内に設置しました。翌15年から、調査研究や情報の収集・提供など、広域のボランティアセンターとしての機能を明確にし、事務所を置くかながわ県民センターの利便性を生かしながら、SHGの活動支援に向けた本格的な取り組みを開始し、今年度で20年目を迎えます。

〈コラム〉
「セルフヘルプ・グループ」とは?
 様々な生きづらさを抱えた人たちが自主的に集まり活動するグループのことです。
〈特徴〉
●共通の問題をもつ当事者であること
●参加は自発的なものであること
●メンバーは対等な関係であり、仲間であること
●感情を共有していること
●共通のゴールをもっていること
●基本的には専門家の関与がないこと
〈コラム終わり〉

 広域かつ公的な性格を持つ本会が支援をすることにより、市町村域では出会いにくい仲間とつながることができ、参加者の匿名性を守りながら、安心して活動に参加したいといった、広域的に散在するニーズへ対応してきました。

〈表〉
セルフヘルプ・グループ活動支援に至るまで年代→主な取り組み
S.63→県社協 第1次活動推進計画の策定。当事者活動の支援を位置付け
H.2→当事者団体懇談会
H.3〜H.5→当事者活動研究委員会
H.7〜H.8→当事者活動支援プログラム検討委員会
H.9〜H.13→当事者活動支援委員会
H.14→セルフヘルプ活動支援事業開始
H.15〜→セルフヘルプ・グループ登録開始
〈表終わり〉

 事業開始から活動グループ数は大幅に増え、当初の10グループから現在は57グループとなっています。グループが増える中で、参加対象者をより限定したグループや複合的な悩みを抱えるグループ、抱える問題への理解や啓発を中心に行うグループができるなど、活動内容も様々になってきています。

SHGの場の持つ「チカラ」
 SHGは当事者の持つ「チカラ」によって、当事者ならではの解決方法や道筋をたどることができます。
 生きづらさを抱えた当事者というと「支援を受ける側」のようにみなされてしまい、当事者に備わっている様々な「チカラ」は見過ごされがちです。これまで理解されなかった悩み、否定され傷ついたことで外に出さなくなった想い、世界にこの悩みを持つ人は自分一人だと思っていた孤独感などを抱えていることが少なくありません。SHGではこうした想いや悩みを、当事者同士だからこそ分かち合いうことができるのです。うつむきがちで不安げに参加した方が、帰るころにはまるで別人のように晴れ晴れとした表情になっていることもあれば、時間をかけて穏やかになっていく方を目の当たりにすることで、その「チカラ」を感じることは多くあります。

P3

安心・安全な場を守ること
 かながわボランティアセンターでは、SHGとお互いの持つノウハウや社会資源を活用し、協働しながら取り組んできました。
 事業開始当初から活動している「(N)あではで神奈川」設立者の篠山淳子さんは、次のように話します。
 「私たちのグループは発達障害の特性による生きづらさを抱えた人たちが、よりよく生きていくために、助け合い、支え合っていくSHGです。発達障害のある子を持つ親の会から始まり、会員の声とともに成人の会やお父さんの会など活動の幅を広げてきました。『同じ場所』『同じ曜日・時間』に会を開き続けること、同じ人がそこにいること、その中で相手を否定せずにありのままでいいと伝えること、自分らしさを何よりも大切にします。定期的な活動の場をつなぐために相談室が確保されていることがとてもありがたいです」。
 SHGとして活動する際、課題としてしばしばあがるのが「活動する会場の確保」です。同じ場所、同じ時間に活動できるための場の提供が、安定した会の活動にもつながっていきます。
 あではで神奈川のようなSHG運営からは、特性を否定せず、お互いを大切にできる居場所であるSHGの存在の大きさを感じています。篠山さんの言う安定して活動を継続できる場の確保は、参加者の安全にもつながり、活動支援として重要なポイントです。

SHG活動の広がり
 かながわボランティアセンターは、セルフヘルプ活動コーナーの運営や相談、情報の収集・提供などで支援しているだけでなく、リーダー同士の交流会なども実施しています。
 交流会では、それぞれのSHGのリーダー同士が参加し、運営上の悩み事などを共有する場となっています。活動内容は様々ですが、運営で共通する課題は多くあります。テーマや分野をこえて、SHGの運営ノウハウや社会資源の情報などを交換し合うことができれば、大きな助けとなります。また、そういった課題に悩んでいるのは一人ではないと気づくことは、リーダーとしての孤独感の解消にもつながります。
 近年では、交流会をきっかけに、SHG同士のつながりが増えてきています。交流会での情報交換をきっかけに、各SHGに参加している複合的な悩みを抱える参加者への情報提供につながる、近隣地域で活動しているSHG同士の自主的な情報交換・交流に発展する、さらに、SHGの主催講座やイベントに他のSHGが登壇するなどの動きがみられるようになりました。セルフヘルプ活動支援開始から20年という年月を経て、本会に登録して活動するSHGが増え、他のSHGと出会える機会も増える中で、SHG同士の主体的な連携・協働に基づく活動へと発展してきました。
 本会では、これからもSHGのもつ「チカラ」と可能性を大切に、安心・安全な居場所をつくり続けるとともに、SHG自身による積極的な取り組みの支援や、新たな交流・連携によって生まれる活動に向けた支援など、SHG応援団としての活動を続けてまいります。
(地域課)

〈囲み〉
令和5年度セルフヘルプ実践セミナー セルフヘルプ活動支援20周年記念事業
セルフヘルプ・グループの可能性 参加費無料
SHG支援事業20年の中から見えた「SHGの可能性」を紐解きます。ぜひご参加ください!

日時 令和5年11月13日(月)13:30~16:45(12:45開場)
対象 セルフヘルプ・グループに関心のある方など
定員 会場参加200名・オンライン参加100名
会場 かながわ県民センター 2階ホール(横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2)
プログラム
●記念対談
〈登壇者〉堀越由紀子氏(星槎大学専任教授)
臼井正樹氏(神奈川県立保健福祉大学名誉教授)
〈進行〉中越章乃氏(東海大学講師)
●セルフヘルプ・グループからのメッセージ
・①(N)あではで神奈川(発達障害を持つ子の親と成人本人の会)
・②被害者支援自助グループ「ピア・神奈川」(被害者・被害者遺族等の相談・支援)
・③AA※(広報活動実行委員会)(アルコール依存症からの回復をめざす本人のグループ) ※AA:アルコホーリクス・アノニマス
・④ひきこもり当事者グループ「ひき桜」in横浜(ひきこもり経験者による当事者団体)
●セルフヘルプ・グループ1分紹介タイム
申込 申込フォームにて申込(11月2日(木)締切)
問合せ かながわボランティアセンター TEL 045-312-4813
〈囲み終わり〉

P4
NEWS&TOPICS
つながりをたやさない社会づくり「赤い羽根共同募金」にご協力をお願いします!
 今年も10月1日から全国一斉に「赤い羽根・共同募金運動」が始まります。
 昭和22年に「国民たすけあい運動」として始まった共同募金運動は、県内の地域福祉の推進を主たる目的として、近年多発する大規模災害時の被災者支援活動を始め、その時々の社会情勢に応じた配分事業を展開しています。
 令和2年から続いたコロナ禍による行動制限も徐々に解除され、令和5年5月、感染症法上の分類が緩和されたことで、社会・経済活動が感染前の状況に戻り始めています。そのような中、生活に困窮する方や社会的に孤立している方、さらにはウクライナから県内に避難されている方をはじめ、毎年、記録的な大雨等による大規模災害により避難生活を余儀なくされている方など、喫緊の課題への対応が一層求められています。

〈円グラフ〉
令和5年度の募金目標額は12億円です
〈円グラフ終わり〉

 今年の共同募金運動は「つながりをたやさない社会づくり」を全国共通テーマに掲げて、緊急の対応が求められる社会的課題への支援事業や災害支援事業を通じて、引き続き県内の地域福祉を推進してまいります。

●感染症の影響下における共同募金会の緊急配分事業
 長期化したコロナ禍の影響により、社会的な課題が顕在化し、生活に困窮する方々や子ども・若者の生活課題がさらに深刻化し、多くの方々への支援が新たに求められています。
 共同募金会では「つながりをたやさない社会づくり」を推進していくために、次の緊急支援事業に積極的に取り組んでまいります。
・地域に密着した多様な生活支援活動を応援する緊急配分事業
・「食」を中心とした物資による緊急支援事業

●企業との協働の推進
 企業がCSR活動の一環として共同募金会との協働を進める中で、各企業に対して共同募金仕様の自動販売機(購入により寄付ができる)の設置や商品による寄付、寄付金付き商品の開発などを企画・提案していきます。
 また、県民が利用する鉄道各社との協働を図り、地元意識を喚起した地域福祉の向上に努めます。
 全国に先駆けて始まった鉄道会社との協働事業により、今年度もコラボ缶バッジを製作しました。

〈写真2点〉
相模鉄道
江ノ島電鉄
〈写真2点終わり〉

●共同募金PR大使に〝コウタロウ〟が就任!
 令和5年度の共同募金PR大使に、野毛山動物園(横浜市西区)のチンパンジー「コウタロウ」が就任することになりました。同園との協働事業は平成24年度から始まり、今回で12代目の大使となります。

〈イラスト〉
令和5年度動物シリーズバッジ
〈イラスト終わり〉

●県内プロスポーツチームとの協働
 共同募金会では、平成20年度から県内プロスポーツチームとの協働を開始しました。サッカーJリーグの横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、プロ野球の横浜DeNAベイスターズ、女子サッカーのノジマステラ神奈川相模原が協働パートナーとして赤い羽根共同募金を応援しています。
 各チームの公式戦会場では、赤い羽根とコラボグッズ(ピンバッジ等)を使用したイベント募金を実施します。

〈写真3点〉
各スポーツチームとのコラボバッジ①横浜F・マリノス②川崎フロンターレ③湘南ベルマーレ
〈写真3点終わり〉

●県内初赤い羽根広報電車が運行!!
 平成26年度に開始した江ノ島電鉄(江ノ電)ならびに湘南モノレールとの協働事業は、《沿線の町を良くするしくみ》をスローガンに掲げて、鎌倉市内・藤沢市内の両沿線の地域福祉を推進してまいりました。この協働事業が今年で10年目の節目を迎えることを記念して、江ノ電ならびに湘南モノレールに「赤い羽根」仕様のヘッドマークを装着して、鎌倉・藤沢市内を運行することが決定しました。県内初となる「赤い羽根広報電車」が10月1日から出発進行します。

 令和5年度共同募金運動に、引き続きのご理解とご支援をお願いいたします。(県共同募金会)

P5
NEWS&TOPICS
かながわ災害福祉広域支援ネットワークの取り組み―神奈川DWAT設置後の取り組みを中心に
●国(厚生労働省)の動き
 平成30年5月、厚生労働省は「災害時の福祉支援体制の整備に向けたガイドライン」を策定(令和5年3月改正)し、各都道府県は、一般避難所で災害時要配慮者に対する福祉支援を行う災害派遣福祉チーム(DWAT)を組成するとともに、一般避難所へこれを派遣すること等により、必要な支援体制を確保することを目的として、都道府県、社会福祉協議会や社会福祉施設等関係団体などの官民協働による「災害福祉支援ネットワーク」を構築するものとされました。
 令和4年度には、国において「災害福祉支援ネットワーク中央センター」が創設され、甚大な被害をもたらす局地的な災害や広域的な災害の場合、単独の都道府県では対応が困難な場合も想定されるため、他都道府県からの派遣調整等にあたることとされました。また、平時には、広域的な支援調整への備えとして、全国を6ブロックに分けた会議や全国会議、災害派遣福祉チームリーダー養成研修が開催されています。

●かながわ災害福祉広域支援ネットワークの設置
 本県では、平成28年7月、事業者団体及び職能団体などの福祉関係団体等と協働し、大規模災害発生時の避難所等において、要配慮者(高齢者、障がい者などの特に配慮を要する方)を支援することを目的として「かながわ災害福祉広域支援ネットワーク」(ネットワーク)を設置し、災害時に備えた団体間の連携体制を構築するとともに、災害時に要配慮者支援を行う人材の育成等を進めてきました。

〈表〉
かながわ災害福祉広域支援ネットワーク構成員
区分→団体名等
福祉関係団体等→(一社)神奈川県介護支援専門員協会
→(公社)神奈川県介護福祉士会
→(一社)神奈川県高齢者福祉施設協議会
→(福)神奈川県社会福祉協議会
→(公社)神奈川県社会福祉士会
→神奈川県身体障害施設協会
→(一社)神奈川県精神保健福祉士協会
→(一社)神奈川県知的障害施設団体連合会
→(公社)神奈川県理学療法士会
→(一社)神奈川県老人保健施設協会
→(一社)相模原市高齢者福祉施設協議会
→(公社)横浜市福祉事業経営者会
行政→神奈川県
(令和5年8月1日現在)
〈表終わり〉

●神奈川DWAT設置後の取り組み
 令和2年度には、ネットワーク構成団体と協議を重ね、神奈川県災害派遣福祉チーム(神奈川DWAT)を設置しました。チーム員は、社会福祉士や介護支援専門員などの福祉専門職により構成され、登録研修を受講いたします。これまで計5回の登録研修を実施し、令和5年8月1日現在のチーム員数は200名です。災害時のDWATの活動内容は、避難所における要配慮者等のアセスメント、相談支援、避難所内環境整備等、多岐に渡るため、登録研修後も、多職種の災害時支援チームとの連携を学ぶステップアップ研修、支援技術向上を目的としたスキルアップ研修を実施しています。
 また、チーム員等との情報伝達訓練、DWAT本部(県及び県社会福祉協議会)によるチーム編成訓練の実施や、県内市町村が実施する避難所開設・運営訓練に神奈川DWATとして参加し、実動を想定した訓練を重ねています。これまで茅ヶ崎市、川崎市、平塚市と連携して訓練を行いました。
 その他、チーム員同士の顔の見える関係づくりのためのオンライン交流会、先遣隊及びチームリーダー候補者による意見交換会を開催するなど、神奈川DWATの体制強化に向け、取り組みを進めています。

〈写真〉
神奈川DWATビブス(平塚市実動訓練にて)
〈写真終わり〉

●今後に向けて
 全国では、全都道府県で災害福祉支援ネットワークが構築され、DWATは令和5年度中に46都道府県で設置される予定です。
 神奈川DWATは、設置から3年目を迎え、これまでに派遣実績はありませんが、県民への周知、受援側となる市町村等地域関係者の理解、訓練内容の充実など、引き続きネットワーク構成団体の皆様と協働し、一つひとつ課題を解決し、取り組みを進めてまいります。
 災害時に、神奈川DWATチーム員が活動するには、チーム員が所属する法人、施設・事業所、ネットワーク構成団体の協力が不可欠です。今後も、本県の災害福祉支援体制の推進に努めてまいりますので、皆様のご理解と一層のお力添えを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
(県地域福祉課)

〈囲み〉
神奈川DWATの取り組みは県HPで掲載しています。
〈囲み終わり〉

P6
ー新たなパートナーシップを目指してー連携・協働の今
連載 連携・協働の今【最終回】
神奈川県内の連携・協働事例を振り返る
日本福祉大学教授・渋谷篤男
 4月号から8月号にかけて連載「連携・協働の今」として、神奈川県内の取り組みが紹介されました。いずれもすばらしい取り組みであり「連携・協働」とは、さほど敷居が高いものではなく、自らの活動に必ずよい影響を与えるものだと分かります。とくに異分野との連携・協働の動きは、地域社会が福祉との連携を意識してきている、ということを意味しており、私たち福祉関係者としては貴重なチャンスであると受け止めることが大切です。
 一方で「地域共生社会に向けた包括的支援体制づくり」となると、かなり険しい道であり、様々な関係者が皆で知恵を絞って実行に移していくことが求められます。そこにも、少し視点を向けて本連載を振り返ります。(〇数字は掲載月)

社会福祉法人間の連携でヒット商品を生む(⑤)
 寿徳会ハッピーラボ(障害者就労支援施設)では「幸せ餃子」を発売し、さらにパンづくりをしてきたサンメッセしんわ((福)進和学園)とコラボして「パンのフェス」で賞を受賞するなどヒットし、社会福祉法人の連携の可能性を示しています。

農福連携でワインづくりを目指す(⑥)
 (福)光友会は、利用者のために隣地の農地を取得し野菜づくりを始めましたが、それにとどまらず、農業分野での施設外就労の場づくりをすすめ、大規模農園での生花づくり、青果市場内の畑作業の業務受託を行ってきました。
 農福連携は、労働力不足に苦しむ農業と、福祉的課題を持つ人の働く場を探す福祉の動きが出会い、お互いにメリットがある連携の場をつくる動きということができます。光友会は、この農福連携に大きな成果をあげてきました。
 光友会は、さらにワインづくりを目指して、ぶどうづくりを始めました。
 農福連携は非常に魅力のある取り組みですが、実際には、農業側から言えば、農地確保から始まるさまざまな農作業の段取りづくり、一方、福祉側から言えば、年間の働く側の安定的な労働の機会・時間の確保、働きがいの確保に課題があり、その調整は簡単ではないと言えます。
 その点、光友会は耕作放棄地の確保、農協や水利組合の調整、農作業の経験のある職員の使用など、入念な準備をすすめてきたことが伺えます。また、種まき、収穫、四季の移喜びを感じることを重視してすすめ、また、地元の人と一緒に収穫し、作物を一緒に料理して食べることなどにより、地域の人びととの交流を実現し、農福連携の魅力を十分に取り入れた活動を展開していると感じます。
 農福連携の取り組み事例はけっして少なくありませんが、両者にメリットがある状況をつくるのは、なかなか難しいと聞いています。光友会の取り組みは、念入りな調整で困難を乗り越えてきたのではないかと推察します。「それぞれが持つ『課題を解決したい』という思いを基に進める」とあるのは、連携の本質を表していると言えるでしょう。
 また、この事例で地元大規模農園のみならず、農協、市場、大学との連携が誕生したことはまさしく「連携の連鎖」がすすんでいると言うことができるでしょう。

P7

食品の需要と供給(連携)をすすめる(⑦)
 フードバンクは、単に食品を供給することを目的としているのではなく、消費期限・賞味期限などの関係で棄てざるを得ない食品があるところと、食品確保が難しい人とをつなぐ活動です。すなわち、フードバンクは食品のロスを危惧するところと食事の確保に迫られているところとの連携・協働をはかるものです。
 非常に簡単な仕組みのように思われますが、この二つのニーズを結びつけることは難しいことです。このままでは廃棄処分にせざるを得ないという困りごとと、食品を確保したいという困りごとを結びつけるのは重要ですが、それ以前に企業とつながりを絶やさない(連携)と食品が欲しいというニーズの確実な把握(ニーズを把握する組織との連携)があって、初めて成り立つことになります。
 記事の中では、フードドライブにも取り組んでいるとの紹介がありました。フードドライブとは、家庭などで余っている食品を、相談窓口やフードバンクなどに持ち寄って、必要な人に配る活動です(ドライブとは「運動」のこと)。フードバンクとの違いは、一般の人が食品を持ち寄ることで、十分な食事を得られない人がいることを知り、それを気遣う気持ちを持ってもらうという点で、大きな意味を持っているものです。
 似ているようで違うものですが、これを通して、食品を大切にすること、十分に食事を得られない人の存在を知ることという共通項を持つことで、両方が役割を果たすことが期待されています。
 以上、3つの事例について、検討をしてきました。いずれも連携はメリットがあるということですが、もう少し整理をしてみましょう。
 「連携」と言うとよく書かれる図があります。それぞれが今までと同じことを続け、連絡をとりあうだけで連携になるでしょうか。一緒にやることによって、励まされるという程度で終わってしまうかもしれません。(A)
 お互いに刺激を受け、自分たちの活動を大きくする、あるいは質を高めるのが連携の効果ではないでしょうか。さらに一緒に取り組むことによって、自分たちの活動をさらに広げることにつながることが可能となります。(B)
 さらに重なり合うと、共通に取り組むことで、その質を高めていき、協働という表現にふさわしいものになっていくように思います。(C)
 しかし、いっそう難しい連携があります。それが、相談支援における連携です。

〈図〉
連携・協働の展開イメージ
(A)
(B)
(C)
〈図終わり〉

総合相談支援を実現するための連携・協働(⑧)
 この事例紹介のタイトルは「孤立している人を地域につなぐ」です。読者の方で、違和感を持つ方もいるかもしれません。事例は生活困窮者自立支援事業ですが、この事業は経済的困窮者を対象としていると誤解されていることが多いからです。実は「孤立している人々が地域社会の一員として尊ばれ、多様なつながりを再生・創造できることを目指す」(社会保障審議会生活困窮者の生活支援のあり方に関する特別部会報告書)ことが事業の目的としてあります。いま、市町村において包括的支援体制づくりが目指されていますが、その焦点も、実は、社会的孤立の課題をどうするかという問題です。
 紹介されている事例では、支援する本人は70代で認知症でしたが、同居する甥がコミュニケーションをとるのが難しく、医療同意の手続き、成年後見の申し立て、本人が亡くなった後の支払調整、遺骨の移送などの支援が必要でした。そのことを生活困窮者自立支援事業が担いましたが、関係団体との連携が当然のことながら必要でした。逗子市社協は『連携を進める上で…「つながりのための〝糊代〟が大事』と言います。糊代とは、人や組織が自らの領域を少し超えて手を取り合える部分を増やすことを意味しますが、連携する上ではお互いに柔軟な対応が大事」としています。
 現在の高齢者、子ども、障害等の各相談支援機関がそれぞれほかの分野とも連携するだけでなく、分野を超えて対応することが求められていますが、各分野に属さない問題への対応を実現しないと、課題に対応できないということが分かってきました。

 連携・協働の意義について、あらためて考えてみると、
1お互いの力を借り合い、支援の実をあげること
2 1により、それぞれの力を伸ばすこと
3連携・協働することによって、漏れのない仕組みをつくることが挙げられます。
 ただし、3については、地域共生社会でいう「包括的支援体制」づくりのことであり、関係者をあげての大きな取り組み、今後、意識的かつ着実にすすめていくことが必要です。支援・サービスが広がる中で、生活を支える地域の場から、多分野、多領域を意識して、連携・協働の一歩としてそれぞれが1・2を積極的に取り組んでいくことが求められており、関係者の活動に期待したいと思います。

〈囲み〉
連載はタイムズバックナンバーでご覧いただけます。
http://knsyk.jp/c/times
〈囲み終わり〉

P8
県社協のひろば
新たなる時代へ-今だから見つめる福祉のこころ-―第21回かながわ高齢者福祉研究大会開催
 令和5年7月5日、パシフィコ横浜(横浜市西区)にて「第21回かながわ高齢者福祉研究大会」を開催しました。この大会は、高齢者福祉に携わる方々の実践を通してともに学び合い、県内の高齢者福祉の取り組みの最前線を発信することを目的として、本会老人福祉施設協議会会員施設の参加により開催しています。参集形式での開催は4年ぶりでしたが、当日は135法人・217施設がプログラムに参加し、介護の仕事を志す学生・教職員225名を含む約1200名の方々が集う研さんの場となりました。
 研究発表86題、介護技術発表8題(実技発表形式)がエントリーし、現場での研究成果や実践を発表しました。
 研究発表では、業務改善・ICT・介護ロボット・人材育成・外国人人材等のテーマが多く取り上げられていたのが特徴的でした。参加者からは「各施設が努力していることを実感し、励みになりました」「参考にできるところ、試してみたい、導入してみたいと思える事例もあり、有意義・有益な機会でした」など、自施設での取り組みにつながる機会となったとの声が聞かれました。
 介護技術発表では、県内施設による個別ケア部門・移動介護部門の発表の他、学生発表として県立津久井高校が参加しました。発表ごとに有識者より支援のポイントを解説いただき、発表者・参加者がともに日々の取り組みを振り返る機会となりました。
 今大会では、高齢者福祉施設紹介コーナーを設け、学生向けのミニセミナーを行いました。神奈川県社会福祉法人経営青年会、県内施設の若手職員、かながわ福祉人材センターの協力を得て「介護の仕事を知る」をテーマに、社会福祉法人・高齢者福祉施設の魅力や介護の仕事の楽しさ、大変さ等をお話いただきました。

〈表〉
第21回かながわ高齢者福祉研究大会研究発表優秀賞 受賞施設・演題一覧(22題※発表会場・発表順)
演題名→施設名
家族、相談員として経験し、学んだ看取り―施設、家族、在宅医との連携→特別養護老人ホーム弥生苑
高齢者施設の緩和ケアの現状と課題―在宅医対象の全国アンケート調査→介護老人福祉施設若竹苑
在宅での看取りケアの質の向上―多職種デスカンファによる効果の検討→わかたけ訪問看護ステーション
あなたと向き合うためのICT―ともに過ごせる尊い時間→特別養護老人ホームかわいの家
LIFE導入後の効果と課題について→特別養護老人ホーム湘南ホーム
特養からの卒業―私たち入所施設職員にできること→道志会老人ホーム
改めまして SGK委員会です―三つのテーマをひとつに→レジデンシャル常盤台
可視化されたデータに基づく排泄援助→よつば苑
何から始めれば良い?ICT―施設での実践的ICT化とは→介護老人福祉施設すみよし
ご利用者のQOL向上を目指して―脳機能との関連における一試行→道志会老人ホーム
楽 楽 入浴介助―ウルトラファインバブルで幸せいっぱい→特別養護老人ホーム新緑の郷
繰り返す臀部の皮剥け対するアプローチ→わかたけ青葉
フレイル予防を意識した献立と食事提供→みんなと暮らす町
誤嚥性肺炎による入院を減らしたい!!―食の幸せを守る管理栄養士の、この指とまれ→特別養護老人ホーム栗原ホーム
限界まで加水を抑えたソフト食への挑戦―私たちでも美味しいソフト食できました→はだの松寿苑
どうする!口腔と栄養―その時、ケアマネは動いた…訪問歯科へ→介護老人福祉施設 若竹苑(通所介護事業)
ストレスチェックを活用した職場改善―エンゲージメントを高める具体的な取り組み→介護老人福祉施設わかたけ都筑
介護士補完計画―知識より意識→はなの家とむろ
キャリアデザインが描ける評価制度の導入→介護老人福祉施設わかたけ富岡
スマホでラクラク情報共有-ヘルパーも負担が減って効率化→えびな北高齢者施設
安心して過ごしやすいデイサービスの環境作り-コロナ禍での認知症高齢者への環境支援→聖テレジア在宅ケアセンター大船デイサービス台
地域ケアプラザで行うひきこもり相談→横浜市すすき野地域ケアプラザ
〈表終わり〉

P9

 また、52施設がパネル展示を行い、施設の特徴や採用情報等を発信しました。参加した学生からは「高齢者福祉施設での仕事について、知らなかったことを聞くことができ、働くのが楽しみになった」「新たな気付きがたくさん得られ、もっと介護について学んでいきたいと思った」と好評をいただきました。

〈表〉
介護技術発表テーマ一覧
発表テーマ→施設名
むせこみやすく、誤嚥リスクの高い方の食事介助→横浜市浦舟ホーム
お客様の残存機能を活かした移動介護→訪問介護看護いずみ
ご本人の気持ちを大切に、福祉機器の活用による安全な移動介護→特別養護老人ホーム金井原苑
移乗介助時のご利用者・介助者、双方の負担軽減について→特別養護老人ホームしらゆり園
持ちあげない介護~人の自然な動きに逆らわない介護→えびな南高齢者施設
ユマニチュードを活用した安全・安心な介護→特別養護老人ホームさわやか苑
災害時における移動介護→寒川ホーム
認知症の特性に合った着脱支援→県立津久井高校
〈表終わり〉

 今大会で得た経験や成果を基に、会員施設をはじめ関係機関・団体と連携し、高齢分野における現場の実践がより充実されるよう、今後も取り組んでまいります。
(福祉サービス推進課)

〈写真3点〉
[学生向けミニセミナー]介護の仕事の魅力を紹介する
[介護技術発表]実際の現場での介護技術を共有し、更なる質の向上を目指す
研究発表者・介護技術発表者へ日々の取り組みの発表に対して奨励賞を授与
〈写真3点終わり〉

〈囲み〉
研究発表86題の抄録は、大会ホームページでご覧いただけます。
または、かながわ高齢大会で検索

P10
福祉のうごき 2023年7月26日~2023年8月25日※新聞等掲載時点
●厚生労働省 外国人介護人材関係施策改善に向け検討
 厚生労働省は介護の技能実習、特定技能、EPA(経済連携協定)における固有要件の緩和等を検討するため、「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」を立ち上げた。7月24日、第1回検討会が開催され、論点として「訪問系サービスへの従事」「人員配置基準算定の緩和」「事業所開設後3年要件の緩和」が挙げられた。

●厚生労働省 厚生労働白書を公表
 厚生労働省は8月1日「令和5年度版厚生労働白書」(令和4年度厚生労働行政年次報告)を公表した。労働白書は2部構成となっており、1部では単身世帯の増加等を背景に顕在化した制度の狭間にある課題等の現状と、ポストコロナの令和の時代に求められる「つながり・支え合い」の在り方の方向性をテーマとしている。

●厚生労働省 全自治体にひきこもりの実態調査
 厚生労働省はひきこもりの人や家族を支援するマニュアルづくりに反映するため、8月7日に有識者らを交えた検討会を開催し、令和5年度中に全自治体を対象にした初の実態調査を行う。生活に困窮する「8050問題」が深刻になっており、各地の相談事例や課題を把握し、多様な悩みに寄り添う「伴走型」支援につなげる狙い。

●総務省 「高齢者サポート事業」で改善要請
 総務省は8月7日「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査の結果」を公表した。今後、契約トラブルが増える恐れがあるとして厚生労働省や消費者庁などに改善を要請した。調査では、施設入所時の身元保証や死後の葬儀サービスなど多岐にわたる一方、事業者の79%は契約内容を伝える重要事項説明書を作成していないことが明らかになった。

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Information
役員会の動き
◇理事会=9月1日(金)①正会員の入会②評議員候補者の推薦③令和5年度県社協会長顕彰候補者の審査④県社協活動推進計画骨子(案)

新会員紹介
【施設部会】シーサイドかなざわ

本会主催の催し
令和5年度第2回福祉のしごとフェア
①働き方や魅力がわかる!「福祉のしごと就職支援ガイダンス」
②直接聞ける、話せる!「福祉施設等就職相談会」
◇日時=令和5年10月14日(土)11時30分~16時
◇会場=パシフィコ横浜アネックスホール
◇対象=福祉の仕事に就きたい方、福祉の仕事に興味・関心がある方
HP:https://www.kfjc.jp/event/detail.asp?id=20889 詳細はHPで確認
◇問合せ=かながわ福祉人材センター
TEL 045-312-4816 Mail:jinzai@knsyk.jp

協働モデル事業
多文化高齢社会ネットかながわ
 小さな交流会 あなたの隣の多文化な人々に出会いましょう!話しましょう!(全7回)
◇日時=第4回 令和5年10月27日(金)20時~21時30分
◇開催方法=オンライン
◇申込方法=Googleフォームもしくはメールにて申込み
URL:https://forms.gle/bdwwWYcJnw4xxYsg6 Mail:tknkyukka2021@gmail.com
講座の詳細はHPで確認 HP:http://knsyk.jp/s/shiru/tknk_top.html

関係機関・団体主催の催し
かなテラス 女性のための初期キャリア形成支援セミナー
 初期キャリア期の悩みを乗り越える私らしいキャリアデザインセミナー
◇対象=入社3年目~5年目程度の女性
◇日時=セミナー 令和5年11月17日(金)10時~16時30分
キャリアカウンセリング 令和5年11月22日(水)または30日(木)10時〜17時のうち50分
◇受講料=2,000円
◇締切=令和5年10月17日(火)
◇会場=かながわ県民センター
詳細はHPで確認 HP:https://www.pref.kanagawa.jp/docs/x2t/kouza_event/shoki_career2023.html
◇問合せ=かなテラス(神奈川県立かながわ男女共同参画センター)参画推進課
TEL 0466-27-2117

寄附金品ありがとうございました
【県社協への寄附】古積英太郎、福田勝樹
【交通遺児等援護基金】藤尾はるみ、(株)エスホケン
【子ども福祉基金】脇隆志、(株)エスホケン
【ともしび基金】石田隆
(匿名含め、合計9件94,150円)
【寄附物品】住宅営繕事務所、(公財)オリックス宮内財団、(一社)神奈川県養豚協会、横浜幸銀信用組合
【ライフサポート事業】
〈寄附物品〉(N)セカンド・ハーベストジャパン、(福)みなと舎
(いずれも順不同、敬称略)

〈囲み〉
今月号の「みんなのいいね」はお休みいたします。引き続き投稿を募集しています!
〈囲み終わり〉

〈囲み〉
ホームページリニューアルのお知らせ
 本会ホームページをリニューアルいたします。
 公開は10月2日を予定しています。
 新しいホームページをお楽しみに!
【県社協HP】 https://knsyk.jp
〈囲み終わり〉

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かながわほっと情報
子どものために付添犬が活躍しています
子どものためのワンストップセンター(N)子ども支援センターつなっぐ(横浜市中区)
 虐待や性被害を受けた子どもに寄り添い、警察や検察、児童相談所、民間団体が行う「司法面接」の心理的負担を和らげる付添犬。アメリカで始まったこの活動を日本に導入したのが、(N)子ども支援センターつなっぐ(以下「つなっぐ」)です。
 「つなっぐ」は、子どものための権利擁護の手続きやサポート、身体的・精神的ケアなど一連の対応が受けられるワンストップセンターです。被害を受けた子どもに対して、多機関、多職種と連携して、一人ひとりに必要な支援ニーズに応えられるよう、被害直後から自立するまでサポートすることを目的としています。その支援の一つが付添犬です。

〈写真〉
事務局長の新井さん
〈写真終わり〉

 付添犬の活動内容について「つなっぐ」事務局長の新井香奈さんにお話を伺いました。「裁判で、子どもが被害体験を語ることはとても大変です。そこで付添犬がサポートをします。児童相談所では、子どもと接する前後に付添犬に触れ合ってもらっています」。そして「付添犬の効果としては、一緒にいるだけで勇気を与えてくれ、気持ちを癒してくれる支え」だと言います。
 取材は40分以上に渡りましたが、その間、付添犬のアンジェロ君(ボロニーズ)は、ハンドラー(付添犬と行動を共にする人)の畔柳さんの膝の上で、ずっと大人しくしていました。子どもと接する時もじっと大人しくしているそうですが、遊ぶ時は元気に遊ぶそうです。
 付添犬には、落ち着きのある性格、子どもとのふれあいをポジティブに受け入れる素質が求められるそうです。また、ハンドラーには、犬との信頼関係を築けることや、子どもとの素直な関わりができる人柄が求められ、虐待を受けた子への支援に関する研修も受けます。
 現在活動している付添犬は14頭で、主に首都圏と東海圏で活躍しています。徐々に付添犬の存在が認められており、各地の児童相談所から支援の依頼が来ています。
 全国の令和3年度児童虐待の相談対応件数は20万件を超え、過去最多を更新しました。「どうすれば虐待は減るのか。例え親でも、暴力は駄目だという意識を啓発し続けること、何かあった時に助けてもらえる仕組みが必要で、地域では早期発見と見守りが大事です。身近な所で虐待に気付いたら、児童相談所虐待対応ダイヤル『189』への連絡や、『つなっぐ』など支援団体に相談して欲しい」と新井さんは言われました。
 「つなっぐ」と付添犬は、支援を必要とする全ての子どもたちとともに、明るい未来に向かって歩んでいます。(企画課)

〈写真〉
アンジェロ君の飼い主でハンドラーの畔柳さん
〈写真終わり〉

〈囲み〉
(N)子ども支援センターつなっぐ
TEL:045-232-4121
https://tsunagg.com/
〈囲み終わり〉

「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています
バックナンバーはHPから
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【発行日】2023(令和5)年9月15日(毎月1回15日発行)
【編集発行人】新井隆
【発行所】社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会
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【印刷所】株式会社神奈川機関紙印刷所


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