福祉タイムズ

Vol.853(2022年12月号)

このデータは、『福祉タイムズ』 Vol.853(2022年12月号)(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。データは、下記リンクからダウンロードが行えます。

テキストデータ作成に当たって
 このデータは、『福祉タイムズ』 vol.853 2022年12月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。
 二重山カッコは作成者注記です。

P1
福祉タイムズふくしTIMES
2022.12 vol.853
編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会

特集……P2~3 公私協働による福祉課題の解決に向けて-社会福祉制度・施策に関する提言の取り組み-
NEWS&TOPICS…P4 アフターケアを充実させるために―あすなろ連絡会・退所後ケアサポートガイド発行
…P5 年末たすけあい運動実施中!―(福)神奈川県共同募金会
県社協のひろば……P10 未来へのまなざし ともに生きる社会に向けて―第69回神奈川県社会福祉大会

→今月の表紙 マンションの住民同士が声をかけあえる関係づくりを目指して
よこすか海辺ニュータウン地区社会福祉協議会のみなさん【詳しくは12面へ】撮影:菊地信夫

P2
特集
公私協働による福祉課題の解決に向けて-社会福祉制度・施策に関する提言の取り組み-
 神奈川の福祉関係者が一体となって目指すべき「福祉社会」を実現していくため、本会では平成23年度から政策提言活動を行っています。今年度は「地域共生社会の実現に向けた分野間の課題共有」「福祉人材の確保・育成・定着」など9つの提言を整理し、「社会福祉制度・施策に関する提言」をまとめ、11月7日に県に提言しました。本号では、今年度の政策提言の活動をご紹介いたします。

政策提言活動が目指すもの
 社会福祉法人・施設、民生委員児童委員、市町村社協、関係機関・団体などの福祉関係者は、それぞれの活動場面で地域の福祉課題に向き合いながら支援を行っています。福祉の最前線に立つ関係者の声の中には、現行の制度・施策では十分に対応できない課題や、課題を解決するために取り組むべき具体的な提案があります。
 政策提言活動は、そうした声を集め、分野や種別、公私の枠組みを超えた関係者間で共有することを大切にし、今日の社会の課題を共に考え、社会福祉の目指すべき方向の議論を積み上げてきました。

調査から見えた課題
 本会の政策提言委員会では、例年、福祉現場の課題を把握することを目的に、会員等を対象とした社会福祉制度・施策に関する課題把握調査を行い、これを元にした部会・協議会との意見交換会を行っています。
 今年度の意見交換の場では、高齢化や急速な人口減少を背景として様々な施設で利用者の定員割れが生じていること、地域活動の担い手や福祉人材不足の深刻化、施策と支援現場の実態やニーズに乖離があることが挙げられました。
 さらに、社会福祉法人が住民やボランティアと協働することにより地域に対して社会福祉の理解を広げていくこと、生活のしづらさ・生きづらさを抱える人と地域や福祉サービスがつながり続けること、そのための包括的な支援の必要性などが議論されました。これらを踏まえて、提言集の第一部では社会福祉の共通課題に関する提言(4項目)と、個別課題に関する提言(5項目)を取りまとめました。

〈囲み〉
社会福祉の共通課題に関する提言(4項目)
1 地域共生社会の実現に向けた分野間の課題共有
2 福祉人材の確保・育成・定着に向けて
3 地域差のない質の高い福祉サービスの提供に向けて
4 持続可能な福祉施策の運用に向けた取り組み
個別課題に関する提言(5項目)
1 神奈川におけるよりよい障がい福祉を目指して
2 身寄りのない高齢者等の支援に向けて
3 こども家庭庁と厚生労働省が連携した民生委員児童委員活動の推進
4 災害時支援について
5 申請事務に係る負担軽減、ICT化、事務職員の専従化
〈囲み終わり〉

よりよい障がい福祉を目指して
 個別課題に関する提言の一つである「神奈川におけるよりよい障がい福祉を目指して」は、本会障害福祉施設協議会から挙げられた課題を踏まえた提言です。
 折しも県では「神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例」の制定に向けた検討が行われていました。そのため、時期を逃さず提言を発信していくことが重要と考え、障害福祉施設協議会との協議も踏まえ、提言集の発行に先行して9月に県に発出しました。
 この提言では「障害のあるご本人が意思決定支援のもとで、人生を悔いなく自らの個性を発揮しながら社会の一員として生きることを実現するため、ライフステージに応じた多様な障害福祉サービスを構築すること」、そして「必要に応じて選び直しができる『循環型サービス』を基本とすべき」としています。さらに、サービスを支える十分な福祉人材を確保し、利用者が質の高いサービスを選択し利用できるよう、提言を行いました。

P3
これからの神奈川の福祉のあり方
 第二部には、昨年度設定した共通目標の元での取り組みと課題について調査したものをまとめました。

〈囲み〉
共通目標
これからの神奈川の福祉のあり方~社会関係性の再構築を目指して~
 すべての住民があらゆるライフサイクルにおいて、自らの意思や尊厳が尊重され、人とつながり、自分の居場所を見つけながら地域社会との接点を持ち、活き活きと暮らせる社会を創造すること
〈囲み終わり〉

 ここでは、自ら声を上げることが出来ない人の存在や、支援から取り残された複数の生活課題を抱える世帯を支援する仕組みの必要性などが見えてきました。また、必要なときに支援をするだけでなく日ごろから声をかけあい、お互いの存在が認識できる地域の日常の大切さ、ともに生きる社会の実現を求める声がありました。
 福祉関係者は、長引くコロナ禍においても人々の暮らしを支え続けている中で、各分野の福祉課題に取り組みながら、生活のしづらさ・生きづらさ・孤立といった課題にも目を向けています。社会関係性の再構築を目指した共通目標に照らし合わせることで、潜在している福祉課題がより表出されたとも考えられます。 この共通目標「これからの神奈川の福祉のあり方」は、関係者との共有をさらに進め、今後も望ましい福祉社会の姿を求めてブラッシュアップを図っていきます。
 第三部には、各部会・協議会・連絡会から寄せられた課題や制度・施策に求める事項をとりまとめています。
 提言集は10月に発行し、本会会員並びに厚労省や全社協、県・市町村等、福祉関係者に発信しました。

社会福祉に携わるみなさんへ
 社会福祉は、戦後、混乱した社会における貧困者の救済を中心とした中で発展してきました。その後、経済的には豊かになったものの、都市化や核家族化が進む中で、人と人とのつながりが弱くなり、孤立や社会的な格差が生じる事態に直面しています。
 また、高齢化が進む中で福祉ニーズが普遍化し、社会福祉に関わる諸制度の整備がなされ、充実が図られているにも関わらず、福祉サービスが必要な人に制度が届いていない事例が見受けられます。
 生活のしづらさ、生きづらさ、孤立といった課題には、高齢・障害・児童といった従来の分野別のサービスでは十分に対応できないニーズがあります。そこには、支援者が協働し分野を横断しながらニーズのある人々に継続的に寄り添い、伴走する支援が必要です。さらには、社会福祉が人による人のためのサービスであるという原点に立ち返り、つながりを作ること、即ち、社会関係性の再構築が求められています。

 本会政策提言活動では、今後も、分野を超えて福祉関係者の現場の課題を共有し政策提言を行いながら、解決に向けた連携・協働に取り組んでいきます。そして、次の世代を担う人たちが輝ける神奈川を創造していきたいと思います。(企画課)

〈コラム〉
神奈川県に政策提言を手交しました
 11月7日、政策提言集を県に手交し、提言の内容について意見交換を行いました。この中では、当事者目線の障害福祉推進条例や人材確保の状況、福祉人材のキャリアプランなどについて、意見が交わされました。本会からは、提言内容を福祉施策に反映していただきたいこと、今後も県と課題を共有し公私協働で取り組みを進めたい旨を要望しました。

〈写真〉
本会・篠原会長から県福祉子どもみらい局・橋本局長(右)に提出
〈写真終わり〉

政策提言委員会からのメッセージ&オンデマンドシンポジウムのお知らせ
 政策提言集は、本会ホームページに掲載しています。下記二次元コードからダウンロードしてご覧ください。
 県全域でより広く課題の共有を進めるため、政策提言委員会からのメッセージと、提言に関する現場からの発信として、オンデマンドシンポジウム動画を作成中です。12月中旬以降、同ページに順次掲載いたします。ぜひご視聴ください。
http://www.knsyk.jp/s/global_syakyou/seisakuteigen.html
〈コラム終わり〉

P4
NEWS&TOPICS
アフターケアを充実させるために―あすなろ連絡会・退所後ケアサポートガイド発行
 県では、児童養護施設等を退所した子ども・若者の相談支援の充実を図るため、社会的養護自立支援事業・支援拠点として、平成26年から「あすなろサポートステーション」(以下、ステーション。(福)白十字会林間学校受託)を藤沢市内に設置しています。

退所後ケアサポートガイド発行
 ステーションでは開設時から、措置終了後の支援を施設間で共有するために、児童養護施設や児童相談所の担当職員で構成する「あすなろ連絡会」を組織しています。これまでに共有してきた実践を事例としてまとめ、今後の支援に生かすために、本年11月に『退所後ケアサポートガイド』を発行しました。
 サポートガイドは、各施設が選出した23事例と、事例に対する弁護士等の専門職からの助言を付けて紹介しているのが特徴です。さらに、各施設の取り組みと、県内の主な支援団体を掲載しており、担当者が支援で迷った時に活用できる工夫がされています。
 今後、関係機関に配布し、子ども・若者を支援する上で、連携を促進することを目指しています。

施設・児相・支援拠点が一体となって支援力向上を目指す
 連絡会は、県所管の児童養護施設、児童自立支援施設、自立援助ホームに配置された職業指導員・自立支援担当職員(令和3年度は17施設の内、14カ所に配置)や、児童相談所、県子ども家庭課が参加し、毎月開催。各々の立場で、退所した子ども・若者への支援で活用した社会資源情報や、支援上の難しさを報告し合います。

〈コラム〉
《退所後のサポート事例》
 Aさんは、仕事を体調不良や精神的な不安定を理由に退職してしまいました。会社から住居を提供されていたため、自力で転居したものの生活費が無くなり困っていました。失業給付の手続きなどを理解することが難しく、支援を利用することを諦めていました。
 相談を受けた職員は、失業給付の受給資格を調べて申請支援を行いましたが、その後、借金があることが分かり、法律相談や生活保護申請につなげていきました。
(掲載事例を一部加工)
〈コラム終わり〉

 事例からは、担当職員は、就職先、医療機関、不動産屋等への同行支援を行うなど、地域生活を支えるために、行政手続きに留まらない、生活のための様々な制度・施策の情報を活用することが求められることが分かります。これまで培った養育の支援方法での対応は難しく、施設の垣根を超えた退所後ケアの共有は、担当職員の対応力の向上に加えて、お互いに支え合う関係性も作られています。

退所後支援で積み上げた経験を、入所時の支援に生かす
 連絡会では、サポートガイドを作る過程で、子ども・若者たちが社会に出たときにつまずくポイントも見えてきました。何か困りごとが起きた場合の相談先や、行政・医療機関等の手続き方法など、施設入所中から、子どもと一緒に考えるためのワークブックを、現在作成中です。また、各施設を退所した子ども・若者の生活状況を把握するための調査について今後検討する予定です。
 サポートガイドを通じて関係機関の理解が広がり、虐待等を理由に家族等を頼れない子ども・若者が社会で安心して暮らすことができるよう、サポートの広がりが期待されます。
(企画課)

〈写真〉
あすなろ連絡会では、参加者の持ち回りで事例報告が行われている
〈写真終わり〉

〈表組〉
県内社会的養護自立支援事業・実施事業所一覧
→事業所名→地域
1→あすなろサポートステーション→県所管
2→ブリッジフォースマイル→横浜市
3→パソナ・川崎→川崎市
4→相模原市就職支援センター→相模原市
5→こども家庭支援センター→横須賀市
令和3年度児童福祉主管課長会議資料等を基に本会作成
〈表組終わり〉

〈囲み1〉
退所後ケアサポートガイド主な構成
●事例から学ぶ退所後ケア(23事例)
 退所に向けた自立支援と、退所後ケアの取り組み
 困難な状況における退所後ケア 等
●各施設の取り組み
●県内の様々な支援団体
 ―――――――――――――――――――――
本ガイドは、県子ども家庭課ホームページからダウンロードできます。
〈囲み1終わり〉

〈囲み2〉
◆社会的養護経験者向け情報ウェブサイト Iris(アイリス)
 厚労省では令和3年度に、経験者の声をもとに支援団体や情報を掲載したHPを作成しました。
〈囲み2終わり〉

P5
NEWS&TOPICS
年末たすけあい運動実施中!
 共同募金運動には、10月から翌年3月までの6カ月間に実施する「赤い羽根募金(一般募金)」(※)と、12月の1カ月実施する「年末たすけあい募金」があります。
 「赤い羽根募金」は、主に県内の民間社会福祉施設や団体が地域福祉を推進するための事業に、「年末たすけあい募金」は、市区町村社協が地域単位で実施する生活支援事業などに活用されています。
 「年末たすけあい募金」は生活困窮者の越年支援を目的として、昭和28年に神奈川県と神奈川県社協の提唱により始まりました。
 その歴史は古く、明治時代後期から救貧を目的とした民間活動として広がり、昭和初期から戦後にかけては、全国の各地域で民生委員(戦前は方面委員)が中心となり、住民同士が米や餅、衣類などを持ち寄り、お互いの生活を助け合う「一品持ち寄り運動」が起源と言われています。
(※)コロナ禍の社会的な影響を踏まえて、例年の運動期間に加えて1月から3月までの3カ月間拡大して実施しております。
 最近では、感染症の感染拡大の影響による生活困窮者への食糧および生活物資の支援や、ひとり暮らし高齢者の社会的孤立を防ぐための見守り活動をはじめ、障がい者や子育てを支援する小規模団体の活動費等、地域で最も必要とされる事業へ支援の輪を広げています。
 一部ではありますが、令和3年度年末たすけあい募金を財源とした、市町村社協による助成事業の事例をご紹介します。

▽葉山町社会福祉協議会【公開プレゼンテーション方式による審査・助成事業】
 葉山町社協では、住民が主体となった福祉活動を促進するため、葉山町内で活動するボランティア団体やNPO法人を対象にした「年末たすけあい運動助成事業」を行っています。令和3年度は「孤立防止と見守り事業」「すべての子どもたちが自分らしく生きることを叶えるためのエコロジカルデザインの礎づくり事業」など3団体に助成を決定しました。
 この助成事業は、葉山町の住民を代表する方たちで構成される「年末たすけあい運動財源活用委員会」で、書類審査(第1次審査)と県内の市町村社協では初となる公開プレゼンテーション(第2次審査)を経て助成が決定されます。
 助成金が交付された後も「アフターフォロー見学会」として、活動見学と助成団体との座談会を実施することで、事業完了まで見届けられます。

▽平塚市社会福祉協議会【横内プロジェクト~外国につながる子どもへの学習支援活動~】
 平塚市の横内団地には外国にルーツのある家庭が多く、言葉や文化の違いによるさまざまなトラブルが生じたことをきっかけとして、横内プロジェクトが発足しました。自治会の中で「国連部」が作られ、各国の代表者が、日々の生活についての問題や悩みについて話し合いをする場が設けられました。横内プロジェクトでは、自治会の国連部と協力しながら、①子ども教室(学習支援)、②日本語教室(大人向け)、③生活・教育相談の3つの活動を行い、自治会やボランティア、大学教員や学生などが連携して、ともに暮らしやすい地域づくりを20年以上続けてきました。
 平塚市社協では「年末たすけあい募金」の助成金で、学習教材の購入費と体験行事の開催費用を支援しました。学習教材は毎年需要が変わるため、その都度買い換える必要があります。体験行事は、みかん狩りや陶芸教室を開催したことで、学校以外での貴重な体験ができたと、子どもたちに喜ばれています。

 今年の「年末たすけあい募金」の目標額は県全体で3億7780万円です。
 住み慣れた街で安心して暮らしていくために、さまざまな地域福祉事業が計画されています。皆さまの温かいご支援をお待ちしています。  
(県共同募金会)

〈囲み〉
年末たすけあい募金
●実施期間 令和4年12月1日(木)~31日(土)
●寄付金受付窓口 共同募金会市区町村支会
●寄付金・配分金の取り扱い 寄付金は、当該地域のために全額活用されます
●問い合わせ先 (福)神奈川県共同募金会 TEL045-312-6339
〈囲み終わり〉

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福祉のうごき 2022年10月26日~11月25日※新聞等掲載時点
●文科省調査 不登校の子ども 9年連続で増加
 文部科学省が10月27日に発表した「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、不登校の小中学生が前年度より約5万人増え、約24万5千人となり、9年連続で過去最多となった。

●厚労省 在宅介護の複合型サービスの類型を新設
 厚生労働省は、11月14日に開催した社会保障審議会介護保険部会にて、訪問介護、通所介護など複数の在宅サービスを組み合わせた新たな複合型サービスの類型を創設する方針を示した。
 一例として通所介護事業所が訪問介護サービスを提供することを挙げた。
 令和6年度の創設を見込み、検討を進める。

●障害者政策委員会 差別解消法基本方針の改正案をまとめる
 内閣府の障害者政策委員会は、11月14日に障害者差別解消法に基づく基本方針の改正案をまとめた。
 同法が禁止する「不当な差別的取扱い」「合理的配慮の不提供」について、具体例を書き込んだ。

●衆議院厚生労働委員会 障害者法案を可決
 11月21日の衆議院本会議で、障害者の一人暮らしを後押しする障害者総合支援法などの改正案が可決された。
 少数で共同生活を送るグループホーム入居者が一人暮らしを希望する際の買い物の練習など、事業者による支援の強化を盛り込んだ。

●横浜市 依存症支援者向けガイドライン初策定
 横浜市は、11月1日に依存症支援者向けガイドライン「入門・イチから学ぶ依存症支援」を公表した。
 ガイドラインは、本人や家族の身近な支援者等から、依存症の治療・回復支援を専門とする機関や団体へ適切につなぐため、また、依存症に関係する様々な生活上の課題を抱えた人を専門機関等から必要な支援につなぐため、大切にしたいこと等を関係者間で共有することを目的としている。

P7
私のおすすめ
◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。

親子でカードやプレゼントボックス作りを楽しもう!
 一年があっという間に過ぎ、年末年始がやってきます。この時期には大好きな人やお世話になっている人にクリスマスカードやプレゼント、年賀状をおくる人も多いのではないでしょうか。
 そこで今回は、親子でカードやプレゼントボックスを作りませんか。紙を貼ったり絵を描いたり、手作りすると楽しく、世界に一つだけのおくりものを受け取った人にも笑顔が広がります。

今月は→NPO法人 ままとんきっずがお伝えします!
今年で子育て支援活動30年目。お母さんたちが主体となって、親子が集うサロン、グループ保育、一時保育、各種講座、産後サポート、子育て支援センター、小学校での寺子屋事業、中学校での赤ちゃんふれあい体験事業などを運営。情報誌・単行本の発行物は45冊を超え、一部は海外でも翻訳出版。乳幼児から小中学生まで幅広い子育て支援により、地域の活性化を目指し、活動の場を広げている。
〈連絡先〉〒214ー0011 川崎市多摩区布田24ー26
TEL044-945-8662 FAX 044-944-3009 URL:http://www.mamaton.jpn.org/

◆開くと飛び出すクリスマスカード&年賀状
 クリスマスカードや年賀状は、開くとツリーや鏡餅が飛び出す仕掛けにするとびっくり! 楽しさがよりアップします。子どもたちも簡単に作ることができます。

用意するもの
●色画用紙
・カードの大きさに切ったもの(B4サイズの四つ切り等)
・クリスマスツリーや鏡餅の形に作ったもの
●折り紙、シール、マスキングテープなど
●ハサミ、のり、クラフトパンチ、カラーペンなど

作り方
①カードを折り、折り目のある方に印をつける
②印の箇所に切り込みを入れる
③切り込みを入れた箇所を折る
④折った箇所をカードの内側に出っぱらせる
⑤のりをつけてクリスマスツリーや鏡餅を貼る
⑥クラフトパンチでハートや星型に切り抜いた紙を貼ったり、メッセージや絵を描いたりしたら完成 !
切り込みの位置や数を変えるなどアレンジも可能です。

◆空き箱をデコレーションして素敵なボックスに
 プレゼントボックスは空き箱の外側だけでなく内側もデコレーションすると、さらにかわいくなります。完成したらお菓子やハンカチなどちょっとしたものを入れてプレゼントしましょう。子どもたちも喜んでもらえるかドキドキわくわく。ハッピーな時間を過ごせます。

用意するもの
 お菓子や日用品などの空き箱、カードと同じ材料や道具

作り方
 空き箱にちぎった紙やシール、マスキングテープなどを貼り、好きなようにデコレーションする。
 完成度の高さを目指そうとせず、自由な発想で作ると子どもたちの個性あふれる楽しいものができあがります。受け取った人にもきっと気持ちが伝わるでしょう。
アドバイス:有北いくこ(アート講師)

P8
あなたの職場
時代の閉塞感をどう乗り越えていくか。未来志向で希望を抱くために-社会福祉法人青丘社(川崎市川崎区)
 川崎市川崎区桜本地区は、臨海部工業地帯に近く、戦時中から工業地帯で働く日本人の他、在日コリアンの集住地域としても形成されてきた歴史があります。今では、他のアジア圏の住民も増え、多様な文化背景のある住民も多く住む地域となりました。
 この地域を中心に、主に外国につながりのある人々を支援し続けている(福)青丘社。「桜本保育園」の運営からスタートし「川崎市ふれあい館・桜本こども文化センター」を多文化共生の中核拠点とした事業展開の他、高齢者・障害者への福祉サービス事業を実施しています。
 事業の広がりとともに、法人として転換期を迎えている中、令和3年に理事長に就任した三浦知人さんに、これまでの仕事を振り返って、今の時代に求められる福祉の職場環境づくりについて聞きました。

改革を期待されて理事長に
 約50年前の学生時代から桜本地区に関わり、法人職員として働いてきました。私は元々、韓国・朝鮮など外国につながる人間ではないし、また、桜本保育園設立に関わった教会関係者でもありません。多くの関係者がいる中で、私が理事長に任命されたということは、法人として変革することを期待したのだと受け止めています。多文化共生という法人理念の実現と、法人経営という両面から、組織体制・基盤、労務管理を改革し、働きやすい職場づくりに努力している最中です。

社会の縮図でもある閉塞感に
 今は社会全体が閉塞感に満ちており、福祉現場にも映し出されています。社会が変わらないと、この閉塞感はなくなることはないでしょう。働く側からすれば、閉塞感の影響から、希望が見えない、将来が見えない、仕事の手応えを感じられないということがあるのではないでしょうか。

立ち位置が分かるということ
 青丘社は、桜本地区にこだわりをもって、地域の人々の生活のにおいを共有し、生活者の声を元に事業展開をしてきました。これは社会福祉法人の中でもあまり例がありません。青丘社の設立理念を背負い、事業を実施してきた誇りを強く持っていましたが、社会福祉法人そのものの活動、地域福祉の本流の活動という意識を改めて持てたのは、ここ10年くらいのことです。これは県社協・施設部会地域生活施設協議会の委員として、先達者の方々との交流がきっかけになりました。地域と向き合う法人の役割の軸が、より明確になりました。

〈写真〉
桜本の歴史と、法人の歩みを重ねて伝える三浦さん
〈写真終わり〉

 また、少し前のヘイトスピーチ反対の活動に対して、福祉の学識者からは「まさにソーシャルワークそのものですよ」と言われて、自分たちはソーシャルワーカーであることに気づきました。
 現場で仕事をしていると、その中の渦に巻き込まれて、客観的に自分の仕事を見ることができなくなります。管理職として、職員に立ち位置を伝え、職員が他施設、他分野の職員と交流できる機会を積極的に作る必要があると思います。

成功体験の大切さと失敗の容認
 私は学生の時に、在日コリアンの方々の就職差別問題に関わりました。就職、結婚、年金、資格要件など、多くの場面で理不尽と思える差別が感じられる時代でした。一つひとつの活動において、自分の行動した成果を実感した時代でもありました。
 また、制度導入期の介護保険制度は、年金があり社会保障を受ける人のことを前提に考えた制度でしたが、制度になじまない外国人が多くいました。そこで、在日一世の皆さんと連帯し、介護保険制度の適用を行政に要望し、実現しました。こうした活動を通じて、自分の存在も認めてもらえたと感じて、本当に嬉しかったです。
 他施設の方々と交流していると、皆さん、何らかしら仕事上の手応えや、成功体験があることに気が付きました。今振り返ると、私にも当然、失敗はありましたが、法人ではその失敗をも容認してくれて、多くの機会を与えてくれたことが、今の私につながっています。地域の皆さんとの関わりの中で、日々新しい課題に直面しながら、乗り越えられると信じて行動できるのは、今までの成功体験のおかげです。
 法人では、今年の春に拠点の一部を移転し、教会と共に「みんなの家」を開設しました。拠点名にある〝みんな〟が出会えるように、住民と共に活動を生んでいきたいと思います。小さな地域から、共生のあり方を、大きな社会へ示していく役割が私たちにはあるのです。法人にとっては、今後、この拠点での活動が、成功体験の転換期となるかもしれません。

P9

変えてはならないこと
 地域には多様な人が住んでいることに、正面から向き合う必要があります。他者に対する問題行動がある人を、地域で受け止めることは難しいと思われるかもしれません。しかし、私たちには、まずはあるがまま一人の人として受け止め、支援の方策を考える姿勢が求められます。それは、その根底に「共生のまちづくり」を理念において、あきらめずに活動した歴史があるからです。

〈写真〉
みんなの家
〈写真終わり〉

 「共に生きる」という考えに抵抗感のあった住民に対しても、長く関わりを続けたことで、今ではその住民自らがまちづくりの主体となっています。また、在日の人々も世代によって意識が違います。人は一人ひとり違うという理解に立ち、多文化共生の理念を広めていくことは私たちの使命でもあります。

希望が持てるということ
 今、法人では、職員が3年後、5年後を語る会を作っています。自らが仕事を語り、ビジョンを作る作業です。日々の業務に追われている中で、職員が最初の第一歩から描くというのは時間と負担がかかります。しかし、未来のことを考えることで、閉塞感よりも希望を持てるようなります。
 私たちは地域と関わり、鍛えられ、そして希望を持ってきました。閉塞感から未来志向の姿勢を持てるように、職員同士が自らを語り、仕事の魅力の共感を広げ、活躍できる場を広げていくことを目指したいと思います。
(企画課)

〈囲み〉
*1月号「あなたの職場」は、年始号のためお休みします。
〈囲み終わり〉

P10
県社協のひろば
未来へのまなざし ともに生きる社会に向けて―神奈川県社会福祉協議会設立70周年・神奈川県共同募金会法人化70周年 第69回神奈川県社会福祉大会
 清々しい秋晴れの空のもと、去る11月9日、神奈川県立音楽堂にて第69回神奈川県社会福祉大会を開催しました。
 本大会は、永年にわたり本県の社会福祉の発展に寄与された方々の功績を称えるため、県、県共同募金会及び本会の三者が共催し、毎年開催しておりましたが、新型コロナウイルス感染症流行の影響により3年ぶりの開催となりました。
 本大会も感染症拡大防止の観点から、招待者を限定するなど規模を縮小して開催しました。

〈写真〉
式典では全受賞者を代表した13名が登壇し、表彰を受けた
〈写真終わり〉

アクセシビリティな未来を目指し
 本会会長顕彰のボランティア功労者表彰を受賞した「特定非営利活動法人デイジー横浜」は、平成10年12月の発足以来、高齢者や障害者をはじめ、誰でも読書を楽しむことができる「デイジー(DAISY)図書(※)」の制作・普及活動を続けてきました。
 「ステイホームでもそれぞれに知恵を出し合い、ICTを活用して多くの方に等しく情報が行き渡るように工夫をして活動をした」と話す理事長の河井睦子さん。デイジー横浜では、自治体の刊行物、特別支援学校からの依頼のほか、個人からの依頼にも幅広く対応しています。「利用者のことを思い、音訳は〝伝える〟ことを大切にしています。いつかは自分達の活動が必要なくなるくらい、誰もが当たり前に、自由に色々な人や情報につながることができる未来になって欲しい。そうなるようにこれからも活動を続けていきたい」と展望を語ります。
(※)Digital Accessible Information Systemの略で、活字の読みが困難な人のために製作されるデジタル図書のこと

〈写真〉
コロナ禍においても「ピンチをチャンスに」と活動を続けてきた河井睦子さん
〈写真終わり〉

仲間とともに歩み続けて
 本会会長顕彰の民間社会福祉事業等永年勤続功労者感謝を受賞した三浦市民生委員児童委員協議会会長の笹谷月慧さんは、平成13年に民生委員児童委員に就任しました。以降、支援を必要とする住民と行政や社会福祉協議会をつなぐパイプ役として、また、地域の福祉活動の推進役として精力的に活動してきました。
 受賞者代表挨拶をした笹谷さんは「このような大きなご褒美をいただけて、今まで関わってきた多くの方々に感謝を伝えたい」とその喜びを語りました。

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「これからも皆さんと一緒に何かお役に立てるように活動したい」と伝える笹谷月慧さん
〈写真終わり〉

 「民生委員児童委員として多くの方が活動しているが〝誰かの役に立つことがとても幸せ〟という気持ちで活動をしていると思う。私自身も、地域で少しだけ役に立てているという実感が張り合いとなっている」と笹谷さん。「こんなに長く続けられているのは仲間がいたから。支え、支えられてここまで来られた」と地域で苦楽をともにした仲間への深い感謝の気持ちを込めて締めくくりました。

 今回受賞されました1,229名、132団体の皆様、誠におめでとうございます。地域で、福祉活動の担い手や福祉職場の従事者の方々が生き生きと活動する姿を通して、たくさんの人々に福祉の輪が広がっていきます。益々のご活躍をお祈りするとともに、本会も「ともに生きる社会」の実現を目指し、各種事業・活動を通して、皆様とともに地域福祉の推進に取り組んでまいります。(総務課)

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Information
役員会のうごき
◇評議員会=11月2日(水)①生活福祉資金貸付制度における不正な貸付②令和4年度政策提言活動

本会主催の催し
かながわ福祉サービス運営適正化委員会・苦情解決研修会(実践編Ⅱ)
◇日時=令和5年2月7日(火)13時30分~16時30分
◇対象=県内の社会福祉事業者(社会福祉法第2条に規定する社会福祉事業者)の苦情受付担当者等
◇定員=50名
◇参加費=1名2,000円
◇開催方法=オンライン
◇申込締切=令和4年12月26日(月)
詳細はHPで確認 HP:http://knsyk.jp/c/tekiseika/6acc08c531b05a23bfae8ce336876827

関係機関・団体の催し
2022年度交通遺児大学等入学支度金のご案内
 神奈川新聞厚生文化事業団から、大学等に進学を希望する交通遺児等の高校生に対し、入学支度金を支給します。
◇支給額=1人30万円(返済の必要はありません)
◇対象=令和5年4月に大学・短大・専門学校に進学する3人を予定
◇提出書類=所定の申請書、調査書、課題作文(テーマ「10年後の私」、800字以内)、交通遺児等であることを証明する公的な書類、主たる家計支持者である保護者の所得証明書
◇申請締切=令和5年1月31日(火)当日消印有効
◇支給決定=令和5年2月末日
◇問い合わせ先=(公財)神奈川新聞厚生文化事業団
TEL 045-222-0615

公益財団法人三菱財団 2023年度助成金公募のお知らせ 
社会福祉事業並びに研究助成
◇総額=約9,000万円
◇応募期間=令和4年12月22日(木)~令和5年1月19日(木)17時
◇助成対象=幅広い分野からの多様な、社会的意義のある社会福祉事業・研究
◇応募方法=HPから応募 HP:https://www.mitsubishi-zaidan.jp
◇問合せ=三菱財団事務局
TEL 03-3214-5754 FAX 03-3215-7168

寄附金品ありがとうございました
【交通遺児等援護基金】(株)エスホケン
【子ども福祉基金】脇隆志、(株)エスホケン
【ともしび基金】由良麻里、神奈川県住宅供給公社、(一財)光之村
(合計6件348,905円)
【寄附物品】神奈川オープン実行委員会、神奈川県労働者福祉協議会、厚木愛甲地域労働者福祉協議会
【ライフサポート事業】
〈寄附物品〉(N)セカンド・ハーベストジャパン
(いずれも順不同、敬称略)

〈写真3点〉
神奈川オープン実行委員会(ボウリングトーナメント)から横浜市・川崎市の福祉施設等へ車椅子をご寄贈いただき、本会から感謝状を贈呈

神奈川県労働者福祉協議会(吉坂義正会長)から県内乳児院を代表し、(福)久良岐母子福祉会(長井晶子理事長)へタオルをご寄贈いただき、本会から感謝状を贈呈

厚木愛甲地域労働者福祉協議会(関野義之会長)から(福)すぎな会(三浦公男理事長)へタオルをご寄贈いただき、本会から感謝状を贈呈
〈写真3点終わり〉

P12
かながわほっと情報
マンションの住民同士が声をかけあえる関係づくりを目指して
よこすか海辺ニュータウン地区社会福祉協議会(横須賀市)
 本会では例年、社会福祉活動の実績が特に優良な地区社会福祉協議会を表彰しています。本号では表彰された地区の一つである「よこすか海辺ニュータウン地区社協」(以下、NT地区社協)の活動を紹介します。
 県立保健福祉大学(以下、県大)のキャンパスと隣接しているよこすか海辺NT地区は、マンション群で構成されており、平成12年に最初のマンションが分譲された比較的歴史の浅い地区です。最初の分譲が始まった当時の住民は、主に若い子育て世代と定年退職後のシニア世代を中心に、様々な地域から集まったことから、もともとの住民同士のつながりは少ない地域でした。

マンションだからこそ、住民同士のつながりを作りたい
 マンションは、構造上建物の外から住民の生活の様子が分かりにくいため、見守りや訪問活動の難しさがあります。住民の困りごとを発見しづらく、問題が深刻化することも少なくありません。
 このような状況に対応するため、住民同士が日頃から声をかけあえる関係づくりを目指して、平成18年に「よこすか海辺NT連合自治会」を結成。その後に地域の関係団体で構成されるまちづくり協議会の会員も加わり、平成24年にNT地区社協の設立に至りました。
 設立当初の理事長である安部俊一さんは「設立のベースになるようなもともとの地縁関係がなく非常に苦労しました。まずは住民の皆さんに対して、顔の見える関係性の大切さを伝えて回った」と振り返ります。

〈写真〉
海辺元気づくりサロンの様子
この日は、ボッチャを楽しみました!
〈写真終わり〉

 NT地区社協では、民生委員・児童委員をはじめ、地域の関連団体とともに見守り活動や住民同士の仲間づくりを目的とした海辺元気づくりサロン(年5回程度)のほか、県大と連携した身体機能測定会などに取り組んできました。

〈写真〉
「県大の方にも活動に関わっていただきありがたい」と話す中矢理事長
〈写真終わり〉

 今回の表彰では、こうした活動に加え、防犯・防災などをテーマに講座や研修会を開催するなどの取り組みを継続してきた実績が高く評価されています。
今後の地区社協での取り組み
 理事長の中矢幸江さんは「インターホン越しでも様子は伺えますが、今年4月から日頃の困りごとなどを電話で相談できる『海辺ホットライン』を開設しました。困ったことがあったら、ぜひ連絡してほしい」と呼び掛けています。また「身近な住民同士だから助け合えることがある。気軽に相談してもらえるように周知にも力を入れたい」と意気込みを話されました。
 安部さん、中矢さんのお話からは、地区社協の活動を通して、〝まち〟もそこに暮らす人々の関係性も、ともに育てていきたいという想いが伝わってきました。
(地域課)

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【発行日】2022(令和4)年12月15日(毎月1回15日発行)
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