テキストデータ作成に当たって
このデータは、『福祉タイムズ』 vol.837 2021年8月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。
二重山カッコは作成者注記です。
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福祉タイムズ ふくしTIMES
2021.8 vol.837
編集・発行 社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会
特集…P2 関係者が集い、熱意を語る場として―これまでの拠点での歴史を踏まえて―
…P4~P6 神奈川県社会福祉センターのご案内
県社協のひろば…P10 第57回関東ブロック郡市区町村社協職員合同研究協議会・神奈川大会開催
→今月の表紙 一緒にやろうよ!お料理だよ―親子の遊び場 にのみや子ども自然塾―【詳しくは12面へ】撮影:菊地信夫
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特集
関係者が集い、熱意を語る場として-これまでの拠点での歴史を踏まえて-
令和3年8月2日に新しい神奈川県社会福祉センターが開所いたしました。これに伴い、一部を除く本会事務局は移転し、新たなスタートを切ることになります。
そこで、本号では、これまでの本会の拠点でたどってきた経緯を振り返り、社会福祉活動の拠点が果たす意味を改めて考えます。
全国に先駆けた社会福祉の拠点を設置(昭和27年~45年)
昭和27年に東急東横線反町駅前の土地に設置された、神奈川県社会福祉会館は、本会最初の拠点です。
昭和26年の本会発足当初には、事務拠点として、神奈川県匡済会(きょうさいかい)の事務所(横浜駅東口)の一角を同会のご厚意でお借りし、関係者が集う組織として活動してきましたが、次第に「民間社会福祉活動を進めるにはしっかりした拠点が必要ではないか」という声が増え、社会福祉会館の設置に至りました。
この会館には、昭和26年施行の旧社会福祉事業法に位置付けられた、県共同募金会と共に入居しました。
当時の文書には、「社会福祉事業の科学性を高め、地域組織を整備充実するため、常に社会福祉事業の従事者等養成訓練を図り、専門的知識修得の途を講じて事業の連絡調整を円滑化する(中略)このような要請に応えるためには、一つの総合的施設が必要である」とあります。そのため、最初期から図書室が設けられたことが特徴でした。また、当時はベビーブームが頂点を迎え、保育士の人材育成が喫緊の課題となっており、講堂に備え付けられたグランドピアノを活用し、養成講座を繰り返し開催していたとのことです。
やがて、高度経済成長期や、社会福祉6法の施行を背景として、福祉活動の担い手が急速に広がり、活発化してきました。郡市区町村社会福祉協議会や民生委員協議会においては窮乏にあえぐ県民への支援や友愛訪問等が行われ、ボランティア活動の支援も始まっていきます。また、社会福祉施設関係者にあっては高齢、障害、児童、保育の各分野で、また時には分野を越えた、会議や研修会が活発に行われていました。
当時を知る本会元職員や社会福祉施設関係者からは「駅から近いので、気軽に集まり会合を重ね、終了後には時には近隣の飲食店で交流を楽しむというサロン的な雰囲気があった」との声が聞かれています。
沢渡の地へ移転しての51年間(昭和45年~令和3年)
昭和45年、本会の拠点は、県が整備した神奈川県社会福祉会館(神奈川区沢渡)の一角に移転しました。この会館は、横浜駅の徒歩圏にあり、県から無償貸与された建物です。
反町の会館は活動開始から10数年経過し、補修が必要であったことと、手狭となっていたことから、新たな拠点が求められ、移転となりました。
この頃、県政は「地方の時代」を掲げる長洲知事の時代になり、親なきあとの障害のある子どもの将来を心配する親たちの声を契機に、「障害のある人もない人も、高齢者も若者も、男性も女性も、国籍が違ってもすべての人たちが互いに理解しあい支えあう」県民の福祉活動への参加を呼びかける「ともしび運動」がスタートし、本会がその事務局を担うこととなりました。また、国際障害者年(昭和56年)のスローガン「完全参加と平等」に向け、障害当事者、施設関係者、ボランティアなど幅広い人たちがこの社会福祉会館に集うようになりました。ここでは、障害者の生活課題を中心としながらも、地域や社会の共通課題と思われることに取り組み、福祉意識の醸成と、当事者主体の活動が始まりました。
また、車いす、白杖、盲導犬の利用者、難病疾患のある人、精神障害者など、当事者が集い、熱心な議論の中で、社会参加の場が大幅に拡充されていきました。こうした県社会福祉会館を舞台にした当事者の動きは、後の「あおぞら宣言(平成11年)」や「かながわ憲章(平成28年)」につながる神奈川独自の萌芽とも言え、バリアフリー環境の整備や障害者の移動手段の推進につながっています。
さて、昭和50年代半ば、本会では、医療と福祉のはざまにあった精神障害者の支援にむけて、生活面を支える福祉的な視点のボランティア養成を、全国に先駆けて取り組みました。この精神保健ボランティア養成は、精神障害の当事者も加わり、福祉関係者、医療関係者、行政関係者、社協関係者が集い、夜遅くまで熱心に議論を重ね、具体的な養成プログラム作りから行ってきました。
また、「社会福祉法人の社会貢献の一環として地域の生活困窮者支援を行いたい」という社会福祉法人関係者の声を受けて生まれたライフサポート事業(平成25年開始)も、同じように関係者が夜間、休日に集い、熱心な議論から生まれてきたものです。
いずれの事業も、地域や社会のニーズ、時代の要請に応えたものであり、関係者が熱意を持ち、また、その熱意を受け止めることができたのは、活動できる拠点があったからではないかと考えます。
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利便性を活かした第2の拠点(県民センター・平成2年~)
平成2年には、本会のもう一つの拠点が、かながわ県民センター(横浜駅徒歩3分)の中にできます。
高齢化社会の到来とともに、福祉はあらゆる県民の生活課題となりました。また情報化時代の到来と言われ、福祉・介護分野でも情報による支援の重要性が高まりました。このことから県は、福祉・介護に関する相談、情報、学習、展示の機能を持った「神奈川県福祉プラザ」を、かながわ県民センター内に設置。本会が受託運営することとなりました(平成13年度県条例廃止に伴い終了)。
同センターには、昭和53年から本会が事務局を担ってきたともしび運動の事務局と明るい長寿社会づくり推進機構の機能が合わさったともしび財団が設置(平成14年解散後本会に事業統合)されたほか、かながわボランティアセンター、かながわ権利擁護相談センター(あしすと)、さらにはかながわ福祉人材センターを設置し、交通至便な場所を活かしながら、県民向けのさまざまな事業を展開してきました。
新たな拠点での展望(令和3年~)
本年8月。本会は、会員の皆さまをはじめとする関係者の賛助とともに、県の財政的なご支援をいただきながら、新たな拠点として「神奈川県社会福祉センター」を開所、県民センターとあわせ2拠点で、新たな一歩を踏み出します。
沢渡の会館は昭和、平成、令和と三つの時代に地域福祉拠点としての役割を果たしてきましたが、既に老朽化し、耐震性に問題があるとの指摘を受けました。県民に親しまれた会館を耐久工事等で対応できないか、あるいは、同じ場所に建て替えできないかといった声もありましたが、現在の建築基準法や横浜市条例により、同面積のまま使い続けることは難しく、再び反町の地に拠点を移すこととなりました。
本センターは、「神奈川県社会福祉センター(仮称)建設委員会」での検討のもとに建設されています。委員会では、「本会の拠点が代々担ってきた、会員をはじめとした関係者がホッとできるサロン的な要素や、地域社会のニーズを受け、時代の要請に応じた事業を行う、いわば活動とエネルギーを生み出していく要素を大切にしながら、更に新しい歩みを始めて欲しい」との意見から、本センターの役割を、①福祉関係団体の連絡調整・交流拠点②福祉・介護・保育人材の養成・育成拠点③災害時における福祉的支援の民間拠点の3つに整理しました。特に③は、相次ぐ大規模災害に対し、都道府県レベルでの相互支援や、県内市町村が被災した場合の総合的な支援を行うことが必要となりつつある中で、本センターがDWAT等福祉的支援の拠点となることが想定されています。
一方、かながわ県民センターは、県民が福祉に関心を持ち行動へとつなげる拠点としました。ボランティア・市民活動、当事者活動の支援拠点や県民へ来所相談・無料職業紹介を行う拠点となるよう、引き続き取り組んでいきます。
福祉の課題には、従来の分野別の充実も一層求められていますが、地域共生社会の実現を目指す中で出てくる新たな課題の解決に向け、常に未来志向の包括的な取り組みが期待されています。その中で、本会は、神奈川県社会福祉センターとかながわ県民センターの二つの拠点(この他には、生活困窮者自立相談支援事業の相談窓口として、ほっとステーション小田原があります)を基盤とし、機能分担しながら事業を展開してまいります。
特に、本センターには、県共同募金会はじめ14の福祉関係団体が入居いたしますので、これまでの拠点と同様、入居団体や本会会員と一緒に、県民の声を元に新たな歩みを始めてまいります。(企画課)
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神奈川県社会福祉センター 各フロアのご案内
所在地 〒221-0825 横浜市神奈川区反町3-17-2
アクセス 東急東横線「反町駅」から徒歩1分、京浜東北線・横浜線「東神奈川駅」から徒歩12分、京浜急行本線「神奈川駅」から徒歩7分
〈各フロア案内〉
8階→(福)神奈川県社会福祉協議会
7階→(福)神奈川県社会福祉協議会(受付窓口フロア)
6階→(福)神奈川県社会福祉協議会 研修室
→(福)神奈川共同募金会
5階→福祉関係団体オフィスフロア
→(公財)神奈川県身体障害者連合会
→(公財)神奈川県老人クラブ連合会
→神奈川県医療福祉施設協同組合
→(一社)神奈川県高齢者福祉施設協議会
→(特非)神奈川県障害者地域作業所連絡協議会
→神奈川県障害児者団体連絡協議会(神奈川県知的障害施設団体連合会・神奈川県手をつなぐ育成会・やまゆり知的障害児者生活サポート協会)
→(特非)神奈川県ホームヘルプ協会
→神奈川県交通遺児家庭の会
→(特非)フュージョンコムかながわ・県肢体不自由児協会
→(公社)認知症の人と家族の会神奈川県支部
→(公社)神奈川県介護福祉士会
4階→会議室フロア
→(公社)神奈川県社会福祉士会
3階→研修室フロア
2階→ともしびショップ
1階→エントランスホール
【各フロア案内終わり】
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神奈川県社会福祉センター 施設のご案内
研修室・会議室のご案内
本センターには、3,4階に研修室、会議室を整備しています。
○研修室 301(定員60名)、研修室 302(定員60名)、研修室 303(定員50名)
○会議室 401(定員40名)、会議室 402(定員40名)、会議室 403(定員40名)
・机・椅子は2人掛け。ホワイトボード1枚は室内に備付。
・研修室 301、302、303、会議室 401、402、403は連結可能。
※一般貸し出しについては、来年以降を予定しております。ホームページでご案内予定です。
授乳室
トイレは男女とも各フロアにございます。ユニバーサルトイレは1,3,4,5階に、授乳室は1階に設置されています。
駐車場は限られておりますので、ご来館の際は公共交通機関をご利用いただきますようお願いいたします。
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県社協 事務局 各連絡先のご案内
社会福祉センターへの移転に伴い、各部所への連絡先を変更しました。下表の通りとなります。
〈表〉
神奈川県社会福祉センター内 (〒221-0825 横浜市神奈川区反町3丁目17-2)
部所名→→電話番号→ファックス番号
地域福祉部→地域課(県民生委員児童委員協議会事務局)→045-534-5812→045-314-3472
→地域課(生活困窮者自立相談支援・ほっとステーション横浜)→045-311-8874→
→生活支援課→045-534-6082→
→権利擁護推進課(かながわ成年後見推進センター)→045-534-6045→
→(成年後見相談)→045-311-8873→
かながわ福祉人材研修センター→福祉研修センター→045-534-6215・045-534-5798→045-313-0737
総務企画部→総務課→045-534-3791→045-312-6302
→企画課→045-534-3866→
福祉サービス推進部→福祉サービス推進課→045-534-5662→045-312-6302
→(かながわ福祉サービス第三者評価推進機構)→045-290-7432→
→(かながわライフサポート相談)→045-311-8753→
かながわ福祉サービス運営適正化委員会事務局→→045-534-5754→045-312-6302
(相談専用)→→045-311-8861→
ほっとステーション小田原 (〒250-0042 小田原市荻窪306)
ほっとステーション小田原→→0465-35-0810→0465-20-4071
かながわ県民センター内 (〒221-0835 横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2)
かながわ福祉人材研修センター 福祉人材センター(かながわ保育士・保育所支援センター)→→045-312-4816・045-320-0505→045-313-4590
地域福祉部 地域課(かながわボランティアセンター)→→045-312-4813・045-312-4815→045-312-6307
〈表終わり〉
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福祉のうごき 6月24日~7月25日※新聞等掲載時点
●新型コロナウイルスよる世界の死者が400万人超
世界保健機構(WHO)は7月7日、新型コロナウイルスによる死者が400万人を超えたと発表した。累計感染者数は1億8400万人で2億人に迫っている。
欧米を中心にワクチン接種が広まったことで死者の増加率は鈍化しているものの、感染力の強いインド由来のデルタ株が各地で猛威を振るっており、感染再拡大が懸念されている。
●改正障害者差別解消法成立を受け、内閣府は基本方針を来年夏にも改定
内閣府障害者政策委員会では今後、1~2ケ月に一度の会合を開いて改定案をまとめる。基本方針には対象とする障害者の範囲、差別とは何か、合理的配慮とは何かなど、法を運用する上での根幹にかかわることが書かれており、各府省ではこれにもとづいた事業者向けの対応指針を示している。
今回の改正法では、この対応指針も改定する予定。民間事業者にも合理的配慮の提供が義務付けられ、差別解消に向けた国と地方自治体の連携協力の責務が規定されている。
●介護保険、8月から一部負担増へ
今回変更されるのは、利用者の毎月の負担上限額である「高額介護サービス費」と、特別養護老人ホームなどの低所得入所者に食費と居住費を補助する「補足給付」。
高額介護サービス費は、医療保険にならって現役なみ所得者の負担を増やす予定で、約3万人が該当すると見込まれる。一方、補足給付は対象者を縮小する。
厚生労働省は自治体に対し、留意事項や事務の取り扱いについて通知を出すなどして、適切に運用するよう求めている。
●認知症の行方不明過去最高、昨年1万7565人8年で1.8倍
認知症で行方不明になった人は平成24年の1.8倍に上り、70代以上で全体の94%と高齢になるほど多くなった。見つからなかった人は214人とされる。
行方不明者を発見した人は一般市民が約4割。発見場所は、自宅敷地や近所など普段移動する範囲が4割だった。厚生労働省によると、約8割の自治体が警察や企業、団体などと情報を共有し、行方不明者を探すネットワークを築いている。桜美林大学老年学総合研究所の鈴木所長からは、「地域住民の気づきや協力が欠かせない。住民への周知や訓練など自治体の取り組みが重要になる。」と指摘する。
●視覚障害者のホーム転落防止AI活用、国土交通省が中間報告を公表
国土交通省は、駅ホームで視覚障害者の転落事故を防ぐための安全対策について、検討会で作成した、人口知能等の最新技術の活用などを柱とする中間報告を発表した。
中間報告では、改札の近くに設置したAIカメラで視覚障害者の白状や車いすを検知して駅員に知らせたり、スマホアプリで事前に介助要請したりする実証実験を紹介。
またホームの端に近づくのを感知し、スピーカで注意を呼び掛ける取り組みや、中央部分に歩行を案内する線状ブロック案を提示。転落をAIが認識し速やかに列車を止めて接触を防ぐ実証実験も予定している。
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私のおすすめ
◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。
親子で動物たちとのふれあいを楽しもう!
毎日暑い日が続きますが、楽しく過ごしたい夏。
子どもたちの喜ぶ顔が見たいなと思ったら、小動物とのふれあいを体験してみませんか。ウサギを抱っこしたり、ヒツジに餌をあげたり、子どもだけでなく大人も笑顔になるはず。
今回は県内にある入場無料のふれあいスポットを2カ所ご紹介します。
どちらの公園も小動物とのふれあいのほかに、ポニー乗馬も体験できます。新型コロナウイルス感染や熱中症に気をつけながら、すてきな夏の思い出をつくってください。
今月は→NPO法人 ままとんきっずがお伝えします!
今年で子育て支援活動28年目。お母さんたちが主体となって、親子が集うサロン、グループ保育、一時保育、各種講座、産後サポート、子育て支援センター、小学校での寺子屋事業、中学校での赤ちゃんふれあい体験事業などを運営。情報誌・単行本の発行物は45冊を超え、一部は海外でも翻訳出版。乳幼児から小中学生まで幅広い子育て支援により、地域の活性化を目指し、活動の場を広げている。
〈連絡先〉〒214-0011 川崎市多摩区布田24-26
☎044-945-8662 FAX044-944-3009 Mail:http://www.mamaton.jpn.org/
◆餌を持参できる
「平塚市総合公園 ふれあい動物園」
JR平塚駅からバスで約7分の「平塚市総合公園 ふれあい動物園」は、37種・約760匹が暮らす小動物園。「ふれあいコーナー」では約10種の小動物とふれあえ、毛がふわふわでさわり心地のよいウサギやヒヨコが特に人気です。
モルモットはおとなしいので膝の上にのせて長い時間を過ごせ、餌をあげるとうれしそうによく食べます。
持参する餌は長さ約10cmに切ったスティック状のニンジンや大根があげやすく、勢いよく食べるヤギやヒツジ用には少し長めにすると小さい子でも安心です。
「ふれあいコーナー」のスタッフの方によると、子どもたちは動物とふれあうことで、かわいい、怖い、うれしい、驚きなどさまざまな感情が芽生え、普段とはまた違った表情や姿が見られるそうです。
〈写真〉
ネギ類は動物に与えると体調を崩してしまうので注意
〈写真終わり〉
■平塚市総合公園 ふれあい動物園
〒254-0074 平塚市大原1-1
☎0463-35-2233 FAX0463-35-3471
9:30〜17:00、月曜休(祝日の場合は翌平日休)、ふれあいコーナーは10:00〜11:30、13:30〜15:30、土・日曜・祝日は利用人数の制限あり、ポニー乗馬1回100円
◆家族で大満足
「相模原麻溝公園 ふれあい動物広場」
小田急線相模大野駅からバスで約20分の「相模原麻溝公園 ふれあい動物広場」では、40種・約700匹の動物に会えます。ウサギ、ヤギ、ヒツジが待っている「ふれあいコーナー」で一番人気は、小さい子も膝の上にのせてふれあえ、家族みんなで親しめるモルモットです。
子どもたちは動物の感触やぬくもりを感じることで命の存在を知り、大切にしようとする気持ちから相手を思いやることを覚えます。ふれあううちに身につく力加減は兄弟や友だちとの関わりのなかでも生かされ、コミュニケーションの取り方の学びにもつながると、「ふれあいコーナー」のスタッフの方が教えてくださいました。
〈写真〉
こちらでは1カップ100円のニンジンの餌が用意されている
〈写真終わり〉
■相模原麻溝公園 ふれあい動物広場
〒252-0328 相模原市南区麻溝台2317-1
☎042-778-3900
9:30~17:00、月曜休(祝日の場合は翌日休)、ふれあいコーナーは10:00~11:30、13:30~14:30、15:30~16:30、土・日曜・祝日は利用時間と人数の制限あり、ポニー乗馬1回130円
※新型コロナウイルスの感染状況により変更の可能性がありますので、お出かけの際はホームページなどで最新の情報をご確認ください
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あなたの職場
社会福祉施設等で働く福祉従事者から、今の仕事のやりがい、実際の業務のしやすさや職場で魅力的に感じること等を聞き、「働きやすさ」につながるポイントを発見していくコーナーです。
利用者の安心と職員の負担減の両立
介護老人保健施設アゼリアの見守りセンサーの活用
新しい技術を取り入れることで、業務や介助の仕方の工夫に役立てようと、介護ロボットの導入を行っている介護老人保健施設アゼリア。県から受託して行っている実証実験等を経て、実際に購入したものの中に「シルエット見守りセンサ」があります。
ベッド付近の壁に設置したセンサーで、ベッド上の利用者の様子をシルエット映像で録画。表示用の端末に様子を映しだすものです。設定されたセンサーの範囲外に出ると、職員等へ通知する仕組みになっています。
今回はアゼリアの職員、大場さんと松永さんに、センサーを活用した業務の様子をうかがいました。
事故防止に 選んだシルエット映像タイプ
見守りセンサー導入の主な理由は「ご利用者様の事故防止」です。マットレスが体重で感知するものや、赤外線等さまざまな種類があり、利用者がベッドから転落してしまうことや、ひとりでに部屋を出た際に起きるトラブル等を未然に防止しています。
その中から、アゼリアで「シルエット見守りセンサ」を採用したのは、利用者の様子をシルエット映像で確認できるためです。他のタイプを活用した際、センサーが反応して駆けつけると、寝返りや、水分補給等で起き上がった場合がありました。駆けつける前に、シルエット映像によって職員の手が必要か判断できる点が、導入の要因です。職員が他の利用者の対応をしている時や、夜間等で職員が少ない時に通知があると、利用者に待っていてもらうべきか、他の職員にヘルプを出すべきなのかといった判断が必要になります。「映像で緊急性がある行動なのか確認できると、判断の材料になるので、助かっています」と大場さんは活用の利点を話します。
また、映像は記録としても残せるため、事故時の映像記録を使ったカンファレンスで情報共有することができます。事前の備えと通知時の映像とで、事故の防止に努めた結果、導入前に比べて事故件数が減ったと言います。
利用者にも職員にも「メリット」
また、安心できたのは職員だけではありません。何もないのに職員が部屋を訪れることで落ち着かない気持ちになる利用者もいます。見守りセンサーによって必要な時のみ駆けつけ、不要な訪室を減らすことで、利用者のストレス軽減にもつながりました。
介護老人保健施設を利用する方の多くは、いずれ在宅復帰することとなります。利用者にとって、入所であっても在宅と同様に心が安らげる場所になるかが支援のカギです。テクノロジーの活用を職員と利用者との関わり方に活かすことで、高齢者特有のニーズに応えることができると考えられます。
センサーを活用した働き方について、松永さんは「ご利用者様と過ごす時間と職員にとっての負担減を両立できていると感じます」と言います。利用者と職員、双方の気持ちを大事にできる環境は、一種の『働きやすさ』かもしれません。
(企画課)
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県社協のひろば
『Change Challenge to the future~ 社協には地域と未来を変えるチカラがある』
第57回関東ブロック郡市区町村社協職員合同研究協議会・神奈川大会開催
去る7月8日、本県が当番となり第57回関東ブロック郡市区町村社協職員合同研究協議会(以下、合同研)・神奈川大会を開催しました。(参加者424名)
合同研は関東ブロック(関東甲信越静1都10県)の社協職員が集い、地域の問題や制度施策の動向、社協活動の現状や課題について協議し、相互研さんにつなげることを目的とした、半世紀以上続く取り組みです。プログラムは基調講演と分科会で構成され、各都県が企画する分科会は、市区町村社協の実践が多く集まります。例年2日間、対面で開催してきたこの大会ですが、今回はコロナ禍により、初めてのオンライン開催となりました。
地域共生社会に向けた社協の挑戦をテーマに
今大会では、孤立や困窮等、制度の狭間の問題が顕在化し、複雑化・多様化している現状を踏まえ、テーマを『Change Challenge to the future 社協には地域と未来を変えるチカラがある』としました。
基調講演は、地域共生社会の実現に向けた社協組織としての役割発揮に向けて、『再確認。社協の使命とは~未来(これから)を創る社協職員を考える』と題し、元全社協事務局長・現ルーテル学院大学名誉教授の和田敏明さんにご登壇いただきました。
続く6つの分科会は、社協職員としての使命や価値観の再確認を意識し、『社協職員行動原則~私たちがめざす職員像の策定について』(平成23年・全社協)による6つの原則にもとづいて、それぞれのテーマを設定しました。
本県担当の分科会テーマは『組織づくり』
本県担当の第5分科会では、『組織づくり』をテーマに、まず日本福祉大学教授の渋谷篤男さんから、地域共生社会の実現に向けた動きと社協活動の充実や役割発揮のための組織づくりに向けて、複雑化・多様化する住民ニーズに対する伴走型支援の視点の重要性、社協活動の出発点となる住民ニーズを組織内の各部門で共有すること等、今後の方向性を示していただきました。
実践報告では川崎市社協と区社協の統合を機に事務局長の福芝康祐さんから、経営計画や職員育成計画等の策定を通して組織内の意識統一を図り、コロナ禍での生活困窮世帯等支援事業「Share Smile かわさき」の展開等により社協の「見える化」につなげてきた実践について、続く松田町社協の小嶋利和さんからは、足柄上地区1市5町の社協が、近隣の社協同士の連携によるスケールメリットを活かして実践している担当者別(災害等)の会議や研修、その他、成年後見制度利用促進等の共通課題の検討等の取り組みについて、それぞれ報告がありました。
都県の枠を超え、明日の社協を語り合う場として
他分科会では、たとえば第2分科会の草加市社協(埼玉県)からは、空き家を活用し、住民参加の運営委員会方式による、子どもから高齢者までを対象としたサロンや相談支援等の取り組みが、第3分科会の南魚沼市社協(新潟県)からは、コロナ禍で厳しい状況にあるひとり親世帯の支援を、地元飲食店の支援にもつながる形でマッチングした取り組み等、社協の特性を生かした多くの実践の報告と交流が行われました。
地域共生社会や包括的支援体制構築という動向の中での総合的な支援体制のあり方や、多機関協働の取り組み、コロナ禍での地域活動の展開例等、数々の実践から、これからの社協の方向性を共有する貴重な時間となりました。
(地域課)
〈表〉
№→合同研各分科会のタイトル(担当都県)
1→Live In Happiness!多機関協働による切れ目の無い支援活動を考える/様々な生活課題を抱えた世帯に対する総合的な支援に向けて(静岡・茨城)
2→交流から始まる支えあいの地域づくり-社協が取り組む多様な居場所づくりの展開-(群馬・埼玉)
3→社協による「協働」の可能性と具体的展開を考える(新潟・山梨)
4→地域共生社会実現に向けた地域福祉活動計画策定プロセスの在り方について(栃木・東京)
5→ONE TEAM!社協職員同士の協働と連携を考える-社協組織マネジメントの確立と広域での連携・協働による市町村社協の組織・事業基盤の強化に向けて-(神奈川)
6→災害支援のいま、社協のチカラとは(千葉・長野)
〈表終わり〉
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県社協のひろば
会員・関係機関主催
社会福祉士実習指導者講習会
◇日時=【1日目】11月20日(土)/【2日目】27日(土)または28日(日)のいずれか
◇場所=ZOOMミーティングを使用したオンライン研修
◇受講対象=社会福祉士・ZOOMミーティングに参加できること
◇費用=受講費として11,000円
◇申込期間=9月1日(水)~9月22日(水)17:00まで
◇問合先=(公社)神奈川県社会福祉士会 ☎045-317-2045
※詳細はホームページをご参照ください。URL:http://www.kacsw.or.jp
寄附金品ありがとうございました
【交通遺児援護基金】(一社)神奈川県指定自動車教習所協会、藤尾はるみ、(株)エスホケン
【子ども福祉基金】脇隆志、大川照子、(株)エスホケン
(合計6件3,731,862円)
【寄附物品】神奈川県
(いずれも順不同、敬称略)
神奈川県社会福祉センター整備事業
協賛ありがとうございました
(福)進和学園、(医)正慶会 幸正の苑、(福)泉心会、石黒敬史、(福)逗子市社会福祉協議会、(福)報徳会、(福)紅梅会、(福)尚栄福祉会
(令和3年7月末現在。いずれも順不同、敬称略)
福祉タイムズの感想をお寄せください!
お寄せいただいたご感想・ご意見は、以降の紙面作成の参考とさせていただきます。ぜひ、お聞かせください。
◇問合先=企画課
☎045-534-3866 URL:kikaku@knsyk.jp
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かながわほっと情報
子どもたちの発想を大きな自然が受け止める―にのみや子ども自然塾(二宮町)
梅雨明け前の7月、二宮町の東京大学果樹園跡地で未就学児を対象とした子どもと親の遊び場「さとっこ」が開かれました。蒸し暑さの中、子どもたちは水遊びや泥んこ遊びに夢中。保護者やスタッフはゆったりと見守ります。
開催しているのは、「にのみや子ども自然塾(以下、自然塾)」。自然豊かな果樹園跡地で「子どもたちを思いっきり遊ばせたい」と思う人たちが作った団体です。
自然塾では、さまざまな形式の遊び場を定期的に開催しています。中でも、親子でも子どもだけでも遊べる「プレーパーク」は、どんな遊び方をするのか、どんな時間を過ごすのかは子どもたち次第。木登りをしてみたり、たき火をしたり、普段の遊びでは体験できないことができます。子どもたちのやることに禁止事項はほとんどなく、自然を相手に自由に遊ぶ中で、工夫をしたり、考えたりして、自分の判断で遊び、スタッフはそれを見守っています。例えば、たき火に火をつけるのも自分たちなりに考え、失敗しながら繰り返しやることで、慣れていきます。慣れた子どもが初めて参加する子に教えるなど、体験を通して子どもたちの輪と遊びが広がります。
団体副代表の宮下基代さんは、自然塾に関わり7年目。「子どもたちはとにかく発想が豊か。私たちが思いつかないような工夫や遊び方をしています」と身振り手振りを交えて話してくれました。
〈写真3点〉
遊びながら家庭のことを話す子も。「気持ちを受け止めています」と宮下さん。
副代表の桐岡眞澄さん。「子どもたちがいろんな経験をできる場であり続けたい」
スタッフとタイヤブランコづくり。うまくできるかワクワク!
〈写真3点終わり〉
自然塾の遊び場は、保護者も参加したり、遊びを教える地域の人も訪れます。果樹園跡地の美しい自然の中で、リラックスしたり、井戸端会議をしたり、大人同士の輪も広がっています。「果樹園跡地は、今は開放されていて、誰もが遊びに来られる場所ですが、あまり知られていません。自然塾の活動への参加をきっかけに、年配の人も子どももみんなが集える場になるといいと思っています」と宮下さん。
自然の中で、子どもたちが思いっきり遊べる自然塾。子どもや保護者、地域の人をつなぐ場として、これからもあり続けます。
※にのみや子ども自然塾の活動日は、Facebookページを参照ください
(企画課)
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