いつか来る日に備えて 災害ボランティアセンターを住民の力で
鵠沼地区社会福祉協議会 災害ボランティアセンター運営委員会
- 分野 地域 /
- エリア藤沢市 /
- 推進主体 地区社会福祉協議会等 /
災害ボランティアセンター(災害VC)は、市町村社協やNPO、行政等が協働し、市町村域で運営するのが定着しつつありますが、よりきめ細やかな対応ができるように、地域でサテライトという形で運営する例も見られています。鵠沼地区社会福祉協議会(地区社協)では住民自らが主体となって、地区の災害VC(地区災害VC)を運営できるよう仕組みを整えて、10年が経ちました。今回、運営委員の皆さんに活動の特徴などを伺いました。
地区社協で取り組む背景や活動内容を教えてください
きっかけは東日本大震災でした。発災時に地域としてどのような対応ができるのか、平時からどのような備えが必要かを検討するため、地区社協にプロジェクトチームが立ち上がり、検討を重ねる中で、「被災してからではなく平時から体制を整える」必要性を共有し、平成29年に地区社協の一部門に運営委員会を設置しました。
運営委員会の中心メンバーは現在10名ほど。被災時には、住民自らの手で地区災害VCを設置し、被災者ニーズの把握、ボランティア活動の調整を行います。
活動は年間計画を立てて、実践的な訓練だけでなく、人材の養成、運営体制の整備を行っています。
❶設置運営訓練は、鵠沼市民センターで実施します。地区災害VCでのボランティア受付、被災者のニーズとボランティアのマッチング、ボランティアの送り出し、ニーズの完了報告といった一連の流れを実際に体験します。❷養成講座は、地区災害VCの役割など、災害時に住民同士が助け合う必要性を学びます。さらに、講座修了者を、地区災害VCの「支援者の会」として組織化し、住民が参加できるきっかけを作り、回を重ねることで支援者の会の人数も増えて、災害に備える意識が広がっています。❸運営体制の整備で特徴的なものは、設立当初から改訂を重ねる『業務マニュアル』です。訓練の知見を生かして、住民が「誰でも」担えるよう工夫をして、現在第8版目。この業務マニュアルに紐づく運営者向け『災害ボランティアコーディネーターハンドブック』、住民向け『災害ボランティア活動のハンドブック』も作成しています。
業務マニュアルは主に手順をまとめているため、「コーディネート」の大事な視点が抜け落ちないよう『コーディネーターハンドブック』を併用します。被災された方に想いを寄せる共感性を持った方と、被災された方との関係をつくるつなぎ役であることが意識できれば、「想いを届けるマッチング」ができると考えています。
被災された方、ボランティア両方の想いをつなぐ大切さに気づかされました。課題となっていることはありますか
藤沢市では、行政、市社協、NPOの三者協定に基づき、市全体を統括する市災害VCが設置され、地区災害ⅤCはサテライトに位置付けられます。( 図参照 )

お互いに連携することが何よりも重要となりますが、大きな課題に「情報共有」があります。
被災された方のニーズやボランティアの情報は、現状では双方でそれぞれが持つこととされています。災害VC間での共有方法を十分に話し合えておらず、活動が円滑に進まないのではないかと不安に思っています。
また、ボランティア活動に必要な資機材の情報共有も欠かせません。被災された方のニーズに合わせて、必要なタイミングと量を市災害ⅤCから適切に配分できる仕組みを整えることで、よりスムーズなニーズの解決につながります。


災害ボランティアセンター設置運営訓練のようす

鵠沼地区社協災害ボランティアセンター運営委員会事務局長の望月さん

事務局長を引き継ぐ鈴木さん



丁寧に作られたマニュアル類
住民の想いをつなぎ、広げ続ける工夫はありますか
地区災害VCを、実際に住民が担うために鍵となるのは「支援者の会」の皆さんです。高校生から幅広い年齢層の皆さんの知見と想いをつなぎ、関係が続いていくように、広報紙の作成、メール配信やオンライン会議を積極的に活用した情報共有など、いつでも頼れるような顔なじみを増やす努力を続けています。
関わってくださる住民の高齢化の課題もあり、ITツールの活用は不可欠です。不慣れな方へのフォローを欠かさず、誰もが無理なく参加できる環境を作りたいです。
関係者や他地域へのメッセージをお願いします
地域で支え合う仕組みづくりの一つとして、地区災害ⅤCの取り組みを進めてきました。これは特別なことではなく、誰もが身近にある「災害への備え」をテーマに、地域の中でできることを積み重ねてきたというのが実情です。
活動の中で強く感じているのは、平時からの備えと顔の見える関係の大切さです。災害の状況によって、誰が被災するか分からない中で、誰でも担える仕組みを作っていきたいです。平時から、それぞれが担える役割を意識し、いざという時の助け合いにつながることを目指しています。担い手の確保や活動への理解、町内会自治会が行う防災活動との連携など課題は尽きませんが、それがあるからこそ日常的に対話ができ、今の仕組みを見直す機会にもなっています。
改めてお伝えしたいのは、私たちの取り組みは決して特別なものではないということです。全てが整ってから始めるのではなく、住民だからこそ、できるところから始めてみてはいかがでしょうか。地域の状況に合わせ、小さな取り組みであっても前に進み、継続することで「地域の力」は確実に高まることを実感しています。私たちの実践が、少しでも参考になれば幸いです。

鵠沼地区社会福祉協議会HP

鵠沼地区災害ボランティアセンター運営委員会HP
