子どもの可能性を広げる奨学金と社会体験の取り組み
一般財団法人ゼンショーかがやき子ども財団
- 分野 社会貢献 /
- エリア東京都港区 /
- 推進主体 民間企業 /

児童養護施設等から大学、短期大学、専門学校へ進学を目指す方への奨学金給付や、児童養護施設等の子どもたちに向けて社会体験事業を行っている(一財)ゼンショーかがやき子ども財団の皆様にお話を伺いました。
財団を立ち上げたきっかけを教えてください
財団の母体であるゼンショーホールディングスには「食を通じて、人類社会の安定と発展に責任をおい、世界から飢餓と貧困を撲滅する」という経営理念があり、調達、製造、物流から販売まで、世界中に食と職を提供しながら、理念の達成に向けて進化を続けています。
世界に目を向けて活動する中で、日本ではどうなのかと言うと、改善傾向にあるもののまだ多くの子どもたちが相対的貧困状態にあります。生まれもった環境が学力や職業選択に影響を及ぼすのを見過ごすわけにはいかないという思いで、環境を少しでも変え、子どもたちが自立して社会で活躍できるよう支援することを目的に、2019年に財団を立ち上げました。
奨学金事業について教えてください
奨学金事業では、児童養護施設等で暮らす子どもたちの就学を支援するため、毎月6万円を上限とした給付を行っています。令和6年までに5期生、延べ54名を支援しています。
事業を行うにあたり、施設を訪れて感じたことは、子どもたちはどこで暮らしていても将来の夢があり、支援があれば学業を全うして社会に貢献したいという、変わらない思いを持っていたことです。
奨学生の中には卒業後に財団のある本社まで訪ねてくれた方もいました。美容師の専門学校卒業後2年間下積みし、やっと自分でお客様を担当し、名刺が持てるようになり、その報告がしたいと連絡がありました。奨学金として金銭的な支援をするだけでなく、社会人になってからも彼らの居場所であり続けたいと思えた出来事でした。
社会体験事業について教えてください
奨学金事業を進める中で、子どもたちの職業の選択肢が狭いと感じました。子どもたちからは、今までの体験が将来の夢や就きたい職として挙げられており、ゼンショーで様々な体験ができれば、将来に向けての力になるだろうと、児童養護施設等の子どもたちに向け社会体験事業を手厚く行っています。
ゼンショーでは調達から製造、食の提供まで一貫して行っているので、そのリソースを活用した体験が可能です。例えば傘下のスーパーでレジ打ちや袋詰め作業をする体験のほか、駐車場の一角にある田んぼで春に田植え、秋に稲刈りを行いました。稲刈りの時には、同じ品種のお米で作られたおにぎりを食べて、食のつながり、大切さを感じてもらいました。
令和6年度に小田原で行った船釣り体験では調理師を目指す子がいて、調理師免許を持つ社員と一緒に釣った魚を料理することもできました。
この事業により、社会には様々な職業があること、自分の可能性を狭めないでほしい、ということが伝えられたと思います。
また、社会体験事業は社内の意識にも影響がありました。財団の活動には社内からボランティアを募りますが、以前はよく参加する社員とそうではない社員に大きく分かれていました。しかし、参加した人が広めてくれることもあり、次はいつあるのか、どんな企画なのか、次回開催時には声をかけてほしいなど、意欲的に参加してくれる人が多くなりました。自分の業務とも関連付けて、こういうことはできないか、と提案を受けることも多くなりました。
施設の中高生12人と行った船釣りでは、鯛を釣り上げた高校生もいた
今後の展望を教えてください
財団の活動はお金だけの関係ではなく、輝く未来に向けたサポートができる存在となれるように心がけています。奨学金を使っているから何が何でも卒業させなくてはならないというわけではなく、コミュニケーションをとりながら、いつでも自由な選択をできるようにサポートしていくことが大切だと考えています。
全国展開を視野に入れて、まずは神奈川県内で少しずつ仕組みを広げていきたいと思います。

お話を伺った(左から)萩原さん、理事の里さん、池田さん、市丸さん
一般財団法人ゼンショーかがやき子ども財団
- 住所:東京都港区港南2-18-1
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