子ども・若者の自分らしく「はたらく」を支える
株式会社フェアスタート NPO法人フェアスタートサポート
- 分野 こども /
- エリア横浜市中区 /
- 推進主体 民間団体(NPO等) /

生活困窮やひきこもりの人に対する社会参加、就労訓練の場として、支援機関と企業との連携が広がっています。一方、企業ではダイバーシティ経営として、多様な人材のいる組織づくりに積極的な姿勢も見られます。こうした企業と福祉関係者の取り組みが進むことで「働く」環境づくりが広がることが期待されます。今回の新コーナーでは県内の企業やNPO等の「働くこと」を支える多様な民間活動を紹介します。
今号では、児童養護施設や里親などの社会的養護を経験した子どもや若者の就労支援を行う(株)フェアスタート、(N)フェアスタートサポート代表の永岡さんにお話をうかがいました。
キャリア教育への支援を始めたきっかけについて教えてください
社会的養護の子どもの多くが高校を卒業する年次で、本人にとって不本意な就職活動を行っていること、就職しても早期に退職してしまい不安定な生活状況となっている若者の存在を知りました。
一般的に、就職活動を始めるのは高校3年生の夏頃からで、ハローワークから高校に届く高卒新卒向けの求人票を元に就職活動を行います。現状では社会的養護の子どもたちの高校卒業後の進学率は未だ約4割程度と低く、施設等を出た後は、自立して生計を立てていかないといけません。こうした状況を考えると、労働条件が良く見えたり、社員寮があったり、企業規模が大きい安定した企業へ就職するように本人に勧める高校等の進路指導のあり方も無理はないのですが、本人の興味や適性をきちんと把握し、その企業に入社する動機をもって本人が自己決定することが、その後の職場定着を実現する上では重要です。
本人が納得できる就労先を選ぶためには、早いうちからキャリア教育を行う必要性を感じ、団体を立ち上げました。
キャリア教育としてどのようなことに取り組んでいますか
個別相談や職業適性検査、会社見学、就労体験などを行っています。子どもたちの多くは、社会にはどんな会社があるのか、自分がやりたい仕事や、その向き不向きが良く分からないまま就職活動を始めることになります。そのため、職業適性検査を行い、本人のアセスメントをした上で、本人に親和性の高い仕事や企業を提案しながら、会社見学や就労体験の機会を提供します。そこで本人が色々な情報や体験を積み重ねていき、将来の進路選択ができるように支援しています。

お話を聞いた代表の永岡さん(写真中央)とスタッフの青山さん(左)、小金井さん(右)
キャリア教育とあわせて力を入れていることはありますか
私たちが大事にしているのは、本人が納得して進路を決めていくこと、そしてどのように自己決定の機会を作り担保していくかです。自分の人生として、自分で決めた道を歩むべきですし、そこは保障される必要があります。
そのためには、各地域でキャリア教育を受けられるよう、地元の施設と企業がいかに接点をもてるかがポイントです。多くの企業と施設がつながることで、本人一人ひとりに合わせた多様な就労支援が可能になります。これからはフェアスタートとして取り組んでいる就労支援が地域の中で展開できることを目指していきたいです。
現場の皆さんへのメッセージをお願いします
中小企業の人手不足解消の面が強調されがちですが、地域に根付く会社だからこそこれからの社会を担う子どもを育てたいという熱意をもっている方々は多くいます。また、子どもたちの育ってきた環境に理解を示し、労働環境の配慮や住居のサポートから、就職後の生活面においても精神的なサポートがされています。こうした企業と社会的養護の施設等がつながりをもち、早い段階からキャリア教育を行うことで本人と就労先とのマッチングの精度が高まり、精度の高い自立につながっていきます。地域でのつながりをつくるために、当団体をぜひご活用ください。(企画課)