誰もが活躍できる“雇用の場”は、助けあい、成長し合える職場につながる
有限会社川田製作所
- 分野 障害 /
- エリア小田原市 /
- 推進主体 民間企業 /

福祉現場では、深刻な人材不足の状況にある中、企業においても人口減少社会の中で人材不足・人材確保が経営課題となっています。また、人材確保とあわせて人材育成・定着の取り組みが重要であり「働きがい」や「働きやすい職場」をつくることが経営側に求められています。
今号では、多様な人材が活躍する〝良い雇用の場〞づくりを進める(有)川田製作所代表の川田さんにお話をうかがいました。
川田製作所は、自動車や精密機器等で使われる部品の精密プレス加工、金型製作を行う町工場です。
現在、川田製作所ではどのような方が働いているのでしょうか
現在、16名の職員が働いています。そのうち、障害のある方は5名、外国人は3名、高齢者が3名働いています(障害のある高齢者1名を含む)。
多様な人が働いていますが、こうした雇用に取り組むきっかけを教えてください
10年前に求人票を出した際、ハローワークの方から「この求人は、障害のある方でも働けますか」と聞かれました。弊社では障害者雇用が言われるようになる前から障害のある方も働いていたこともあり「できると思います」と答えたところ、それがきっかけで、トライアル雇用を経て採用した方もいます。積極的に多様な人材の雇用に取り組んでいるというより、弊社の求人に障害のある方や外国の方の応募があり、会社で活躍できる力を持っているかどうかを判断して、採用しているというのが実情です。
採用において大事にしていることはありますか
製造業の場合は、現場での生産性はとても重要です。障害者雇用においては、生産性だけではないプラスの価値があることも承知していますが、生産性が一定水準に達していないと、持続的に雇用することが難しくなります。
生産性と言うと、厳しく感じるかもしれませんが、本人の持つ力をしっかりとした物差しで評価することができるという見方もできます。〝なんとなく仕事ができていそう〞ではなく、時間内の製造個数など一定の水準をクリアしていることで公平性や納得性にもつながります。会社がきちんとした物差しを作ることは大事だと思っています。

障害のある方と外国人の方が一緒に作業をしている
多様な人材を雇用して良かった― 多様な人材を雇用して良かったことはありますか
障害のあるAさんは、優しい性格で、本採用に向けて目標に到達しようと頑張っていました。しかし、一生懸命になるあまり勤務中に転倒して怪我をしてしまい、その後も思うような成績を残せず目標をクリアできませんでした。本来トライアル期間は3カ月ですが、Aさんを指導していたトレーナーが「僕が彼の面倒を見るからもう少し期間を延ばせないか」と言いました。その思いを受けとめ、私もハローワークに事情を説明し、了承を得ることができました。Aさんは、トライアル6カ月後に晴れて目標を達成しました。
また、外国籍の人を最初に雇用した時は、働くことに対する熱量がとても大きいと感じました。そこには、日本で働いて稼いだお金を母国にいる家族に少しでも多く仕送りしようとする意欲がありました。働くことやお金に対する貪欲さを持っている人が近くにいることは、会社にとっても良いことだと思います。それからは、技能実習生を受け入れたり、在留資格の技術・人文知識・国際業務の認定がある人を採用したりしています。
障害や国籍などに限らず、彼らの明るい人柄や頑張る姿勢が周りを動かしていると感じます。仕事でみんなが大活躍できなくても、お互いに助け合うことによって、組織として成長し合う職場の雰囲気につながり、生産性とは違う価値が生まれています。(企画課)

お話をうかがった代表の川田さん
有限会社川田製作所
- 創業:1969年7月
- 住所:小田原市中新田294-1
- ホームページ