
人情味溢れる本牧で生まれた「移動サロン」~生きる気力は人とのつながり~
第四地区南部社会福祉協議会
- 分野 地域 /
- エリア横浜市中区 /
- 推進主体 地区社会福祉協議会等 /
- キーワード地域での支えあい活動 /
「サロンが出向く」新たなカタチ
江戸時代の頃から人々が集住していた歴史あるまち本牧。山坂や階段の多い住宅街と平地の商店街からなる第四地区南部社会福祉協議会(以下、四南地区社協)の活動拠点である上台集会所(以下、集会所)は、商店街沿いの交通の便が良い場所にあります。
一方、丘陵地の住宅街に住む高齢者にとっては、限られた本数のバスで移動して集会所に来ることが難しく、ここで毎月実施している「ふれあいサロン」への行きづらさが課題でした。
四南地区社協の水上会長と4名の役員、本牧原地域ケアプラザの職員で今後のサロンのあり方について話し合いをしていた中で「ふれあいサロンに来られないなら、サロンが出向けばよい」という話になり、令和4年の夏から「移動サロン」を開始しました。
移動サロンという新たな取り組みを始める上で、必要性の理解と場所の確保が問題になりました。四南地区社協の副会長で民生委員でもある郡さんは「コロナの時期に高齢者とお話をする中で、体力的・精神的にも元気がなくなる様子が目に見えて分かり、何とかしたいと思った」と言います。地区社協活動と民生委員活動を通して見えた社会的・地理的な要因で移動困難な高齢者の現状や課題、実施に向けた想いを町内会長に説明し、共感、協力を得て実施することができるようになりました。現在は、70歳以上の方を対象に年5回、町内会館、コミュニティハウス、公園など毎回場所を変更しながら行っています。

令和5年3月に公園で開催した移動サロンでは、“役に立つ災害時の備え”をテーマにビニール袋を利用した湯せんクッキングを実施
従来型サロンとの好循環が生まれる
移動サロンを始めて2年が経過し、水上会長は「初めて参加する方が増えただけでなく、移動サロンに参加したことがきっかけで、お友達を誘ってふれあいサロンに来てくれたこともあります」と言います。その上で「ふれあいサロンと移動サロンで好循環が生まれ、地域住民同士の新たなつながりづくりにも貢献できている」と活動の実感を語ります。
一方、まだサロンに参加したことのない方もいます。水上会長は「広く地域に対して周知するとともに、個々に声をかけ続けることで参加するきっかけを作っていきたい」と今後の意気込みを語ってくれました。
昭和30年の設立以降、長きにわたり地区社協活動を継続してきた四南地区社協。役員や協力者の高齢化など課題もありますが、自分たちが暮らす本牧への想いを語り合い、地域住民の声や実態にアンテナを張りながら、柔軟な活動を今日も続けています。

「明るく楽しく元気に」をモットーに活動されている水上会長
第四地区南部社会福祉協議会は、令和6年度の県社会福祉大会において優良地区社協として表彰されました。