みんなで挑む、栄養満点・おいしい「食品ロスゼロ」革命
特別養護老人ホーム栗原ホーム
- 分野 高齢 /
- エリア座間市 /
- 推進主体 社会福祉法人・事業所 /
2025年7月2日に開催された「第22回かながわ高齢者福祉研究大会」(関連記事:本紙8-9面)にて、特別養護老人ホーム「栗原ホーム」が「特別養護老人ホームにおける食品ロスゼロへの挑戦」をテーマに研究発表を行い、最優秀賞(県知事賞)を受賞しました。今回は、発表を行った栗原ホーム 管理栄養士の増田真希子さんにお話を伺いました。
“もったいない”を“安全・おいしい”に
栗原ホームの食事・おやつはすべてホーム内の直営厨房で手作り。地元農家から仕入れる新鮮な野菜を使い、既製品や冷凍食品の使用は極力控えるなど、安心しておいしく食べられる工夫を続けています。
手作りの良さは、栄養バランスや飲み込みやすさなどを調整しながら提供できることにあります。一方で、調理の過程で野菜の皮や芯、葉や、食パンの耳といった食品廃棄物が多く出てしまう課題もありました。
「廃棄品がゴミ箱に山積みになっているのを見て、『もったいないよね』『何かに活用できたら良いのに』といった声が挙がっていました。近年食材費が高騰していることもあり、使えるものはできる限り活用して、食材費や廃棄量を少しでも抑えたいという想いから、2年ほど前に食品ロスゼロに向けた取り組みを始めました。高齢の方向けに、噛みやすさや飲み込みやすさなど安全面に配慮しながら、廃棄していた部分をいかに活用できるかが大きな課題でした」と増田さんは語ります。
みんなの工夫で、栄養まるごと
廃棄していた食材を有効活用するため、厨房職員だけでなく他部署の職員からもアイデアを募ったそうです。
増田さんは「みかんの皮は細かく刻んでミカンピールにし、パン生地に練り込み(写真①)、食パンの耳は細かくしてマーガリンや牛乳などと混ぜ、タルト生地に活用しました。通常の生地よりも柔らかくて噛みやすく、見栄えも良いので、ご利用者様から特に人気のメニューになりました(写真②)。さらに、野菜の廃棄部分を活用して、お好み焼きやご飯のお供などの新メニューを開発しました。調べてみると、その部分には高齢者に不足しがちな栄養が多く含まれていることが分かり、活用の重要性を強く感じました」と話してくださいました。


栗原ホームのインスタグラムでは、日々の食事やおやつの写真を投稿しています!

「農家さんから、傷んで市場へは出荷できない野菜をいただいて、調理に活用することもあります」と話す増田さん
力を合わせて、思い込みの先へ
「以前は『廃棄して当たり前』という思い込みがあり、諦めてしまっている部分もありました。ですが、視点を変え、廃棄していた食材をどうすれば活用できるかを多職種で話し合うことで、職員の意識も少しずつ変わっていきました。法人全体で問題解決に対する取り組みの意識が高いので、今後も職員一丸となって挑戦していきたいです」と、増田さんは未来へ向けた想いを語ってくださいました。
