未来を切り拓く学びの場~誰もが学べる相模原自主夜間中学~
相模原の夜間中学を考える会
- 分野 こども / 高齢 / 多文化 /
- エリア相模原市緑区 /
- 推進主体 ボランティア /
学びの場を提供する
自主夜間中学は、義務教育を十分に受けられなかった人や学び直したい人のための学びの場です。「相模原の夜間中学を考える会」代表の吉田惠一さんにお話を伺いました。
吉田さんたちは30年ほど前から外国につながりのある子どもたちの学習支援をしていました。2016年頃から16歳以上の若者が増え、日本語の壁や日本社会に適応する困難さに気づきました。そこで、相模原市に公立夜間中学を開校し、学びの場を提供しようと考えました。市民に呼び掛け「相模原の夜間中学を考える会」を発足し、市民へのアンケートや市への要望活動を行いました。市も夜間中学の必要性を認識し、2022年4月に公立夜間中学の開校へとつながりました。
しかし、毎日夜間中学に通うことが困難な人がいることが分かり「いつでも、だれでも、学びたいことを自分のペースで」という考えの元、2022年4月から「自主夜間中学」を始めました。
相模原自主夜間中学では、元教員や日本語教師経験者を含め、約10名のボランティアスタッフが学習支援を行っています。
年齢・国籍・学歴に関係なく、学びたいすべての人が通えることが特徴で、実際に学習者の約8割が外国人で、バングラデシュ、ネパール、韓国などさまざまな国籍の方が学んでいます。学習は学習者の学びたいことに合わせて1対1の指導が行われています。
“自分にできることをやろう”
吉田さんは中学校の先生でしたが、学校に入学してきた外国籍の生徒に「困っていることはありますか」と尋ねたところ、日本語に困り、外国籍の子ども向けの学習教室に通っていることを知りました。早速見学に行った吉田さんは、中学校で教鞭をとりつつ、週一回学習支援のボランティアとして関わるようになりました。そこには、移住者に十分な支援体制を用意していない国へのやるせなさと「それなら自分にできることをやろう」という熱い決意がありました。
それから教員とボランティア活動を続けている最中、家族に介護が必要となった時期もありましたが、このような中でボランティア活動を続けてきたのは、目の前の困っている子どもたちを見捨てることができない吉田さんのやさしさと使命感からでした。
この思いで活動を広げ、30年経った今では、団地や自主夜間中学での学習支援活動を行っています

代表の吉田さん
これからも学びたい人のために
今後の活動について「公立の夜間中学は神奈川県内には横浜、川崎、相模原にしかない。他の市町村でも学びたい人のためにできることをしたい」と語ります。そのために、2025年3月末には夜間中学の活動を紹介する動画の上映会を平塚市で行うなど普及活動を行っています。
自分たちができる活動を続ける相模原自主夜間中学には、吉田さんやボランティアの皆さんのやさしく熱い気持ちがあふれていました。