
オリジナル福祉用具で困っている人を助けたい
モノ作り大好き人間 工房SERA代表 稲住義憲さん
- 分野 障害 /
- エリア相模原市南区 /
- 推進主体 民間企業 /
福祉用具の開発を通じて社会に貢献する、そんな理念をもって定年退職後、工房SERAを立ち上げた稲住義憲さんにお話を伺いました。
稲住さんは、もともとモノ作りが大好きなエンジニアでした。定年退職後、福祉用具開発のNPO活動を経て、平成二十九年から個人事業に専念し、これまでたった一人で次々とユニークな福祉用具を開発してきました。
足首の運動器具「足上げ君」
高齢者の転倒事故の予防が期待できる器具。踏板に足を乗せ足首を曲げると、ピンポン玉がパイプ先端から落ちてくる楽しい器具です。足首をピンポイントでリハビリできるこれまでにないもので、特別養護老人ホームでは、足首の柔軟性が改善されることで歩幅が広がったなどのエビデンスが確認できました。

足上げ君
人指し指だけで動かせる箸
「ラーメンを箸で食べたい」
頸椎損傷の男性が言った一言。人指し指だけがわずかに動かせる男性の希望を叶えるために作った箸です。何度も男性の元に通いながら、工夫を重ねて作りあげました。

人指し指だけで動かせる箸
片手で靴ひもを結べる自助具
「靴ひもを蝶々結びしたい」
脳梗塞で左手が麻痺した男性の要望。おしゃれな紐靴が履きたいという要望に対して、洗濯バサミに3Dプリンターで造形したパーツを連結した自助具を使えば、片手でスニーカの紐が蝶々結びに結べます。(神奈川工科大学福祉アイデアコンテスト最優秀賞受賞)

片手で蝶結び
缶オープナー「パッ缶123」
力の弱い高齢者でも楽に缶が開けられるオープナー。1年以上かけて開発し、関節リウマチの方からも、簡単に缶を開けることができると喜ばれています。

パッ缶123
稲住さんは、たった一人のためであっても、困っていると聞けば、何とかしようと考えます。課題を解決するためのアイデア、それを具体的な形にしていく技術力、完成するまで試作を繰り返していく執念はまさに技術屋魂の現れです。
一方、事業は赤字経営とのこと。どうしてそこまで出来るのかお聞きすると「役に立てることがあるなら、今やっておきたい」と言います。昨年末まで3年間、民生委員児童委員を務めた稲住さん。モノ作り大好き人間は、実は人が大好きな技術屋さんでした。
これからも困っている人の役に立つ福祉用具が開発されることが楽しみです。(企画課)
工房SERA
- 住所:相模原市南区相模大野2-14-3
- 電話:090-4136-8423
- ホームページ:https://kobosera.com