
外国籍職員とともに働く ~誰もが働きやすい職場を目指して~
(福)たちばな会 特別養護老人ホーム天王森の郷 総務部課長 人財開発担当 増尾和行さん
- 分野 高齢 /
- エリア横浜市泉区 /
- 推進主体 社会福祉法人・事業所 /
外国籍の職員を受け入れる
特別養護老人ホーム天王森の郷では2010年から外国籍の介護職員(以下、外国籍職員)が働き始め、現在、介護職員65名のうち、17名が在籍しています。
外国籍職員は、帰省する際日本人職員と比べて長期の休みが必要になったり、急な休みの取得により勤務シフトに穴が空いてしまったりなど、一部の日本人職員から不満が寄せられることも少なくありませんでした。このままにしていたら、日本人職員と外国籍職員との溝が深まり、利用者に良いサービスを提供できなくなる可能性がありました。その他にも、外国籍職員を受け入れるにあたって様々な課題があったと人財開発担当の増尾さんは話します。
食を通じたお互いの理解
増尾さんは外国籍職員と日本人職員にお互いの職場以外の姿も知ってもらおうと、それぞれ母国や地域の郷土料理を持ち寄り、家族と一緒に参加できる食事会を開きました。職員には幼い子どもがいたり、介護を必要とする親がいたりと、それぞれどのような生活を送っているかを知ることができ、お互いが優しい気持ちになれるきっかけとなりました。また、歳の近い子どもがいる職員同士では自然と情報交換を行うようになり、受験や入学の準備等、難しい手続きもサポートでき、外国籍職員が働きながら安心して子育てができるような環境が作られていきました。増尾さんは「こうした職場環境や職員間のコミュニティがその後に入職する職員にも伝えられていくことで、良い循環が生まれている」と実感を込めて話します。

互いの郷土料理をみんなで味わう
一緒に働く仲間であり友であること
外国籍職員の場合、日本語の勉強や介護技術の習得はもちろんですが、日本で日常生活を送るうえで様々な課題があり、課題に即した細やかな支援が求められることも少なくありません。増尾さんのもとには、外国籍職員から「夜中にATMが使えない」「引っ越したらテレビが映らなくなった」などといった、生活のちょっとした困りごとの相談が寄せられます。日本での生活が安全・安心なものでなければ、集中して仕事ができなくなるため、増尾さんは「外国籍職員が頼れる存在でありたい」と話していました。天王森の郷ではこのような寄り添った支援もあり、外国籍職員だけでなく、日本人職員からも働きやすい職場と聞かれます。
誰もが働きやすい職場をめざして
人口減少や少子高齢化、介護人材の不足により、外国籍職員の需要はますます拡大する見込みです。「将来、自分が福祉施設を利用する時におむつ交換などケアをしてくれるのは外国籍職員かもしれない。これからを見据えて、外国籍職員も含め、誰もが働きやすい職場を作っていきたい」と増尾さんは力強く話しました。(かながわ福祉人材センター)
外国籍職員を思い、笑顔で話す増尾さん