
見えない壁だって、越えられる ―視覚障害者クライミング
特定非営利活動法人モンキーマジック
- 分野 障害 /
- エリア横浜市戸塚区 /
- 推進主体 民間団体(NPO等) /
視覚障害者へクライミングの機会を
障害のある人もない人も一緒にクライミングを楽しむイベントが、毎月戸塚区で開催されています。主催している(N)モンキーマジックの代表理事小林幸一郎さんにお話を伺いました。
小林さんは日本のパラクライミングをリードしてきた盲目のクライマーです。16歳でクライミングを始め、28歳で目の難病を発症し徐々に目が見えなくなっていきました。失意の中でしたが、クラミングを続けていると、目が見えなくてもクライミングが続けられることに気付き、この経験を他の視覚障害者にも伝えていこうと思いました。
「クライミングは人と争うスポーツではなく、自分のペースで、自分のやり方を見つけて、答えを出していくスポーツです。障害者にとって、できないことが増えて行く中で、クライミングが自信を取り戻し、新しい関係を築くきっかけになります。そして未来を支えるものになります」と小林さんは言います。そして、この活動に自分の人生をかけていこうと決意し、2005年に(N)モンキーマジックを設立し、障害の有無に関わらず誰もがクライミングを楽しむ機会を作ってきました。

代表理事の小林幸一郎さん
モンキーマジックのスタッフの白井さんは言います。「クライミングは障害のある人もない人も一緒に楽しめるスポーツであることを知って欲しいです。助ける・助けられるではなく、一緒にクライミングを楽しむことで多様性の理解が進むと思います」
そして、モンキーマジックの活動が認められ2022年、「スポーツ界のアカデミー賞」と言われている「ローレウス世界スポーツ賞」にノミネートされるほどの団体になりました。

スタッフの白井唯さん
交流型クライミングイベント“マンデーマジック”
毎月第三月曜日の夜に開催されているマンデーマジック横浜@戸塚(クライミングジムライズ)に参加をしました。視覚や聴覚に障害のある人や障害のない人が10数名集まりました。初めて参加する人に対してクライミングの基本を教えた後、グループに分かれて自由にクライミングを楽しみます。視覚障害がありクライミング歴10年以上のカツミさんは、コースの説明を聞いたあと、すいすいと高さ3mほどのゴールへ登っていきます。途中、下にいるガイドが近くにあるホールドを大きな声で説明します。「10時の方向に、やや遠め、三角形!」と、方向・距離・形を説明します。手順や体の使い方など細かいことはあまり伝えず、クライミングの楽しさである、自分で登り方を考えることをしてもらいたいと、小林さんは話します。2時間ほどクライミングを楽しんだ後は、みんな打ち解けて和やかな雰囲気に包まれていました。
今後の目標について小林さんは「全国47都道府県へ交流型クライミングイベントを届けたい。さらにアジア各国に向けて活動を広げていきたい」と、語ってくれました。
クライミングは、どなたでも参加できます。興味のある方は、下記HPからお申込みください。(企画課)
(N)モンキーマジック
- ホームページ:NPO法人モンキーマジック