テキストデータ作成に当たって  このデータは、『福祉タイムズ』 vol.869 2024年4月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。  二重山カッコは作成者注記です。 P1 福祉タイムズふくしTIMES 2024.4 vol.869 編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 特集 住民一人ひとりが参画し、ともに生き、支えあう社会づくりに向けて NEWS&TOPICS P6 元ヤングケアラー当事者の声を聴く キラリ輝く!児童委員活動 P7 児童委員活動に込めた「想い」を紹介します 企業の社会貢献活動 P9 (公財)日揮社会福祉財団 今月の表紙 在日外国人の子どもたちへの学習支援や家族に対する生活相談を 行っている信愛塾の竹川真理子さん(左)と王遠偉さん(右)。 ここでは中国語、タガログ語、英語、日本語とさまざまな言語が飛び交い、大人も子どもも信愛塾という「居場所」を共有している。【詳しくは12面へ】撮影:菊地信夫 P2 特集 住民一人ひとりが参画し、ともに生き、支えあう社会づくりに向けて 「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(令和6年度から令和10年度)」がスタートします  少子高齢社会の進展に加え、人口減少社会の到来によって、地域福祉をめぐる課題はますます多様化・複雑化しています。本県において、地域における包括的な支援体制づくりや支えあい活動の充実、福祉サービスを支える人材の確保・定着、災害時の福祉支援体制づくりなど、地域福祉をめぐる様々な取り組みの推進が求められています。  こうした中、本会では令和6年度から5カ年の活動を見据えた「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(令和6年度から令和10年度)」を策定し、住民一人ひとりが参画し、ともに生き、支えあう社会づくりに向けて、関係者の皆様との連携、協働による地域福祉の推進を図ります。今号では計画の概要を紹介します。 多様な主体と進める活動推進計画  本県では、人口の減少や縮小する家族・世帯の状況が見られ、社会的孤立などの、既存のしくみだけでは解決が難しい福祉課題に対して、公私の関係者がつながり合う活動が期待されています。  本会では広域の協議体としての役割を踏まえ、様々な主体の協働により地域づくりを推進することを基本理念におき、その達成に向けて計画的に事業を展開するため「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画」を策定しています。令和6年度から始まる本計画では、「基本理念」のもと4つの「推進の柱」を据え、体系的に整理しています。(下図参照)  この推進の柱には、喫緊の課題となっている福祉人材の確保・育成・定着や災害時の福祉支援活動の推進などを位置付けています。 3つの重点課題  本計画では、地域福祉推進の課題の中でも、関係者と総体的に取り組みを進める社会情勢に応じた3つの重点課題を設定しました。重点課題では、「目標」と「活動指標」を設け、5カ年での取り組み状況を見える化し、関係者と共有して、課題解決に取り組みます。(3面参照) 〈図〉 〈計画の体系〉 計画の目指す方向 基本理念 住民参加と様々な主体の協働による誰もが尊重され安心して生活できる地域づくりの推進 ~地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進~ 推進の柱 〈大柱〉→〈中柱〉→〈小柱〉 基本理念を達成するための推進の柱→推進の柱に位置づく推進項目 Ⅰ:地域での支えあいの推進  1.多様な主体と進める地域福祉活動の推進   (1)市町村域における連携・協働の基盤づくり   (2)市町村社会福祉協議会との協働   (3)社会福祉法人の公益活動との協働   (4)民生委員児童委員活動との協働   (5)ボランティア活動・企業等との協働  2.自立した生活を地域で支える取り組みの推進   (1)権利擁護の体制づくりの推進   (2)生活福祉資金貸付事業を通じた自立生活の支援   (3)生活困窮者等を地域で支える取り組みの推進  3災害福祉支援活動の推進   (1)災害福祉支援活動の民間拠点機能の充実 Ⅱ:福祉サービスの充実  1.社会福祉法人・施設の活動促進   (1)社会福祉法人・施設等の専門性を活かした取り組みの推進   (2)福祉サービスの評価活動への支援  2.利用者の権利擁護の推進   (1)権利擁護の体制づくりの推進-(再掲)   (2)福祉サービスの苦情解決体制の推進 Ⅲ:福祉人材確保・育成・定着の推進  1.福祉人材の確保の推進   (1)福祉人材センターによる福祉の求職・求人支援   (2)福祉・介護の仕事の理解促進   (3)かながわ保育士・保育所支援センター事業の運営   (4)各種貸付事業を通じた資格取得支援・有資格者の就労支援の実施 2.福祉事業従事者の育成の推進   (1)福祉人材育成研修の充実   (2)福祉・介護事業者等の人材育成の取り組みの支援   (3)資格取得支援に向けた取り組みの実施 Ⅳ:県社協活動基盤の充実  1.課題共有の促進と提言   (1)情報発信と提言活動 2.組織・活動基盤の整備   (1)組織・活動基盤の強化 〈図終わり〉 P3 重点課題 目標の達成に向けた「活動指標」を定め、事業間連携を促進し、効果的な活動の展開を図ります。 〈表〉 ○重点課題1 つながりあう地域づくりに向けた包括的な支援体制整備の促進 目標→活動指標→5カ年 市町村地域福祉計画に包括的支援体制が明示されることに伴い、多様な主体のつながりをつくる活動を進め、市町村域における包括的な支援体制の整備を促進します。→①重層的体制整備アドバイザー派遣市町村数→15市町村(政令市除く30市町村のうち) →②地域ネットワーク強化に取り組む市区町村数→25市区町村(横浜市各区、川崎、相模原、県域の50市区町村のうち) →③協働モデル助成事業の成果の普及→・5回(成果報告、研修)・1事業(事業化、他地域への普及) →④企業や大学の社会貢献活動事例の情報発信→10事例 ○重点課題2 一人ひとりが自分らしく安心して暮らすことができる支援の充実 目標→活動指標→5カ年 生活困窮や社会的孤立から生じる生活課題に対して、支援ネットワークの構築や安心して暮らせるための支援の充実を図ります。→①ケアラー支援・研修会実施市町村数→10回 →②ライフサポート事業参加法人数→90法人 →③身元保証・終活支援取り組み市町村→7市町村(政令市含む33市町村のうち) →④成年後見制度利用促進体制整備アドバイザー派遣市町村数→20市町村(政令市含む33市町村のうち) →⑤生活再建支援に向けた未応答借受世帯へのアプローチ→未応答債権数2万件の減 →⑥生活困窮者自立相談支援関係機関との町村域ネットワークづくり→5町村(14町村のうち) ○重点課題3 福祉サービスを支える人材の確保・定着 目標→活動指標→5カ年 福祉人材の確保に向けて、法人・施設等と連携を図り、福祉人材センターにおける採用者数・年550人を目指します。→①経営者部会・施設部会と福祉人材センターとの連携による人材確保に向けた事例の情報発信→10事例 →②求職相談、求人登録件数→・9千件(新規求人件数)・1万2千件(求職相談) →③人材センターホームページのアクセス数→3万9千件 →④企業と連携した退職者向け説明会→10回 →⑤組織内の人材育成を高める研修の実施→5回 〈表終わり〉 〈表〉 令和6年度総合資金収支予算書【収入総額】 (自)令和6年4月1日(至)令和7年3月31日 (単位:千円) 会計及び事業区分、拠点区分→→→当初予算額→前年度予算額→増 減 総合計→→→13,233,672→11,984,082→1,249,590 1一般会計→→→5,731,802→5,634,214→97,588 →(1)社会福祉事業区分→→5,040,923→4,947,147→93,776 →→社会福祉事業拠点区分→5,040,923→4,947,147→93,776 →(2)公益事業区分→→609,269→605,737→3,532 →→公益事業拠点区分→609,269→605,737→3,532 →(3)収益事業区分→→81,610→81,330→280 →→収益事業拠点区分→81,610→81,330→280 2生活福祉資金会計→→→7,501,870→6,349,868→1,152,002 →生活福祉資金特別会計→→5,615,704→4,688,896→926,808 →県単生活福祉資金特別会計→→507→554→△47 →生活福祉資金貸付事務費特別会計→→1,796,334→1,571,093→225,241 →要保護世帯向け不動産担保型生活→→88,002→88,002→0 →臨時特例つなぎ資金特別会計→→1,323→1,323→0 〈表終わり〉 P4 令和6年度の主要事業  活動推進計画の初年度として、関係者との連携、協働のもと、推進の柱に基づいた事業を実施します。 推進の柱Ⅰ 地域での支えあいの推進 ○「包括的支援体制及び重層的支援体制構築支援事業」や「ケアラー支援事業」などの関連事業や、民生委員児童委員を始めとした多様な主体との活動により、市町村域における包括的な支援体制づくりを進めます。 ○地域の横断的な課題に対応するため、経営者部会と市町村社協部会との協働により、「地域ネットワーク強化事業」に取り組みます。 ○企業の社会貢献活動に関する情報交換を行い、事例の発信などを通じて、地域福祉の推進主体を広げる活動を行います。○新 ○成年後見制度の利用促進に係る事業を通じて、地域での権利擁護の体制づくりに取り組むとともに、権利擁護の担い手となる市民後見人の情報交換や市民後見のあり方について検討を行います。○新 ○生活福祉資金貸付制度によるコロナ特例貸付の借受世帯に対し、償還免除等の適切な活用やフォローアップ支援を進めるなど、生活再建に向けた取り組みを行います。 ○災害時における福祉支援活動の民間拠点機能を発揮できるよう、平時から関係機関・団体とのつながりを作ります。一部新 推進の柱Ⅱ 福祉サービスの充実 ○経営支援事業等を通して、社会福祉法人の経営基盤の強化を図ります。 ○施設種別協議会活動では、かながわ高齢者福祉研究大会のあり方の協議を行うとともに、「全国社会福祉法人経営者大会」「身障協・関東ブロック大会」「全国福祉医療施設大会」等、当番県として協議の場をつくり、現場の課題共有と相互ネットワークの構築に取り組みます。一部新 推進の柱Ⅲ 福祉人材の確保・育成・定着の推進 ○福祉人材の確保に向けて、就職相談会など求職者と求人事業者が出会う機会を多様に作ります。 ○新たな担い手として、介護助手の普及に取り組みます。○新 ○セカンドキャリアや外国人など多様な人材が、福祉の仕事に就くことを考えることができるよう、企業や関係団体と連携して事業を進めます。○新 推進の柱Ⅳ 県社協活動基盤の充実 ○企業や教育分野などの関連分野との意見交換を行い、広域の協議体の機能を生かした計画の進行管理に努めます。(企画課) 活動推進計画、事業計画・予算の詳細はHPでご覧いただけます https://www.knsyk.jp/aboutus/plan P5 神奈川県社会福祉協議会活動推進計画のスタートにあたって 〈写真〉 計画推進委員会委員長 西尾敦史(愛知東邦大学・教授) 〈写真終わり〉  令和6年4月にスタートした本計画は、これまでの推進課題の評価、新たな制度環境の変化を踏まえて、基本理念、3つの重点課題、4つの推進の柱で構成されています。  とりわけ、社会福祉法改正(令和3年施行)により、地域共生社会を実現するための重層的支援体制整備事業を具体化することが重要な目標の一つです。そして、コロナ禍をとおして、私たちは社会的な孤独・孤立が健康状態の悪化へのリスクを高め、生活困窮をさらに深めてしまうことを経験しました。だからこそ、計画の理念である「誰もが尊重され安心して生活できる地域づくり」が何よりも重要で、市町村域での地域ネットワーク強化に向けて、県社協が幅広い会員組織である特長を生かして、市町村社協、社会福祉法人・施設、ボランティア・民生委員・児童委員、当事者団体などが力を発揮していくことが期待されます。  人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながり、住民一人ひとりの暮らしと生きがいをつくりだしていくためには、施設と地域の協働、機関・専門職と住民の協働、県域と市町村域の協働、担い手の確保や資質の向上が欠かすことができません。  計画の検討の中では、特に企業、学校との連携、外国籍住民との連携・協働への期待が多く出されました。企業は、その経営基盤が地域社会にあるだけでなく、その働き手は生活場面では地域住民でもあります。企業が働き手の福祉(子育てや介護など)を考えることは、企業の安定的な経営にも、地域のニーズに応える社会貢献にもつながるはずです。さらに、小・中・高等学校での福祉教育が重要ですが、子どもたちが地域社会の課題を学んで、解決策を見出し、住民の一員として一緒に活動していく動きが起こりつつあります。専門学校、短大・大学の学生の参画も盛んになってきています。また、外国籍住民は、計画の中では、生活課題の複雑化の点でも、福祉人材への期待としても記述されています。多文化共生社会を実現する主体として連携していくことが期待されます。  このように計画は、多様な主体が目的・目標・課題を共有して、問題解決に向けて参加・参画をする、また異なる主体や領域への橋渡しを通して、地域社会の力を掘り起こし、結集させることができるプラットフォームのような役割を持っています。地域住民の皆さん、多様な事業主体の皆さんには、ぜひ本計画推進への積極的な参加・参画をお願いしたいと思います。 P6 NEWS&TOPICS 元ヤングケアラー当事者の声を聴く  本来大人が担う家事や家族のケアを担う子どもたちを社会で支えたいー。国はヤングケアラーの支援に向けて、令和6年1月からの通常国会で「子ども・若者育成支援推進法」の改正を目指しています。今回は、3月9日に茅ヶ崎市において本会と「地域のお茶の間研究所さろんどて」が協働で行った講演会から、当事者の声を紹介します。  子どもらしくいられなかった  統合失調症の親と向き合う子どもの集まりである「ひとりやないで!」の代表、樅山枝里さんのお母さんは統合失調症で入退院を繰り返していました。精神状態は日々波のように変わり、小学校から帰宅すると自宅前に救急車が停まっていることもあり、お母さんを心配しながら登校する日々だったといいます。「母は病気を認められず薬を飲まないこともあり、薬を飲んだかどうか常に心配していた」  遊びに行きたい気持ちを後回しにして、洗濯や食事などの一連の家事を担う樅山さん。「母のために家事を担うのは当たり前と思っていたが、その一方で、周りの大人から『お手伝いしていい子だね』」と言われることに違和感があり、家事をしたいけどできない母を『怠けているだけじゃないか』と責めたこともある」―。その様な状況でも、人に助けてもらう術を知らなかったと言います。  精神疾患の親を持つ子どもの会「こどもぴあ」代表の坂本拓さんのお母さんは、離婚を経験し、仕事を掛け持ちして家計を支えていました。ある日を境に体調を崩し、日中横になることが多くなりました。「明るく元気な母親と思っていたが、繊細なんだと気づいた。そして母を守らなくてはと思った」。  中学生の頃は、お母さんに寄り添おうと毎晩遅くまで話を聞きました。「同じ話を繰り返し、時にパニック発作や過呼吸を起こすこともあるので、心配で母が眠るまで起きていた。母が眠ったら僕も寝る。慢性的に寝不足だったけれど、誰にも知られないよう学校では普通にふるまっていた」。  なぜ寄り添うのかー。それは大好きなお母さんだったから。高校生の時に、初めてお母さんから病名を告げられますが「誰もケアを代わってくれないし、他人に助けを求めてうまくいくイメージも沸かなかった」と言います。  〈写真〉 (左から)「こどもぴあ」代表の坂本さんと「ひとりやないで!」代表の樅山さん 〈写真終わり〉  ヤングケアラーは、高齢者に対する介護に留まらず、精神疾患の親の看護や日本語が苦手な親の通訳など状況が多様です。  本会ケアラー支援専門員からの説明では「まず挨拶などを通して子どもと顔見知りになってください。そして子どもの思いを聞いてください」と伝えました。また、子どもは家庭の事情を話すことで家族が責められたり悪く思われることを心配していること、子どもが話したくなるような信頼できる大人が必要なこと、そして子どもだけでなく家族丸ごと見守り支えることの重要性も併せて伝えています。 子どもたちを一人にしない  お二人は、経験から同じ様な立場にある子ども・若者のピア(仲間)のための、居場所となる語り合える場を作っています。  樅山さんは「ヤングケアラーといっても置かれている立場や環境によって、支援への思いや期待は違う」。坂本さんは「親も親らしくいたいのに、それができずつらい立場にある。支援には『誰も悪者にしない視点』が必要」と言います。  「近所の気にかけてくれる大人に救われた」「隣の人が話を聞いてくれたことで助けられた」という仲間の声が紹介され、地域の役割や可能性も共有されました。  子どもが気持ちを言葉にできる関わりや語り合える居場所、子どもも親も含めた家族丸ごとの支援、それを受け止める地域社会のあり様が問われます。今、国や自治体と共に地域全体で、家族のケアを担う子どもたちを一人にしない取り組みが期待されています。 (地域課) 〈コラム〉 地域のお茶の間研究所 さろんどて 早川仁美さん 茅ヶ崎市で空き家を利活用した居場所や、こども食堂、フードパントリーなどを開催しています。活動で出会う親子の中には、様々な課題を抱えている家庭があることがわかりました。その課題は家庭によって本当に様々で複合的ですが、当事者や子どもの声を聴くことは難しいと感じています。 今回、大人になった当事者の話を聞くことで、当事者に寄り添った支援とは何か、地域でできることは何かと考える機会となったと思います。 〈コラム終わり〉 活動の詳細はホームページから セルフヘルプグループ「ひとりやないで!」 精神疾患の親を持つ子どもの会「こどもぴあ」 P7 キラリ輝く!児童委員活動~主任児童委員制度30周年を迎えて~ 児童委員活動に込めた「想い」を紹介します 新コーナー  少子化や児童虐待等の子ども・子育てをめぐる課題が多様化・深刻化する中、地域における児童健全育成活動の中心になる存在としての期待が高まり、児童委員活動を専門的に行う「主任児童委員」制度が平成6(1994)年に創設され、令和6年1月に30周年の節目を迎えました。  令和5年4月にこども家庭庁が発足して以降、子ども施策の基本的な方針となる「こども大綱」の策定が進められるなど、子ども・子育てに関する制度・施策が変化する中、主任児童委員の役割や活動の充実、民生委員が児童委員を兼ねることの意義や真価が施策の中で問われています。  児童委員、主任児童委員は、この30年間「地域の身近なおとな」「子育て応援団」として、子育て中の親子が孤立して悩みを抱え込まないようにするための仲間づくりの場となる子育てサロンの運営、子どもたちの安心・安全のための登下校時の見守りなど、多岐にわたり地域の親子に向けた活動を重ねてきました。  また、児童虐待防止や健全育成を進めるネットワークづくりの中心的な役割を果たす等、子どもや子育て家庭を地域ぐるみでサポートする土壌づくりに貢献してきました。  これらの「子どもや子育て家庭が暮らす身近な地域の大人として、一人ひとりに寄り添う」支援や活動は、専門職にはない、児童委員、主任児童委員らしさです。だからこそ、子どもや子育て家庭を取り巻く幅広い関係機関・団体をつなぐ「橋渡し役」として、声にならない、なりにくい課題に気づき、伝えていくことが可能になります。  制度創設当初の平成6年と現在では、子ども・子育てを取りまく状況は大きく変化しています。  そこで、県、川崎市、相模原市の各民生委員児童委員協議会を構成員とする本会民生委員児童委員部会では、この30周年を機会に、改めて児童委員、主任児童委員の役割や意義について広く発信することにしました。  このコーナーでは、地域福祉の推進に関わる関係機関・団体の皆さんが、児童委員、主任児童委員の強みや価値等についての理解を深め、各地区で児童委員、主任児童委員との接点が生まれるよう、児童委員を担う方の活動の経緯や想いを込めた各地区の活動を紹介します。  子どもたちの健やかな成長と未来の幸せを願い、地域で私たちにできることを一緒に考えていきましょう。 (地域課) 〈イラスト〉 民生委員・児童委員・主任児童委員の活動について 政府広報オンライン『ご存じですか?地域の身近な相談相手「民生委員・児童委員」』を基に本会作成 https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201305/1.html 〈イラスト終わり〉 〈囲み〉 民生委員児童委員部会発行 ニュースレター「MINSEI」のご紹介  本部会では、県政令市の枠を越えた交流、情報交換の促進に向けて、コロナ禍を契機に令和2年度から、委員活動に関するニュースレター「MINSEI」の作成を開始し、令和5年度までに通算13号を発行しています。  令和5年度は「持続可能な委員活動のための取り組み~多様な委員のあり方を視野に入れた民児協運営」をテーマとし、仕事等をしながら活動している委員が無理なく活動できるような工夫、課題や思いについて、地域を超えて共有する内容を取り上げています。ぜひ、ご覧ください! 〈囲み終わり〉 P8 私のおすすめCHECK! ◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。 親子で大昔の人々の暮らしを体験してみよう  花が咲き、草木が芽吹く春がやってきました。うららかな陽ざしが心地よい日はおでかけして、屋外で楽しく過ごしたい親子も多いのではないでしょうか。  そこで今回は、県内2カ所の国指定史跡の古代遺跡と関連施設をご紹介。屋外に復元された竪穴住居や建物跡を見学したり、火起こしや弓矢うちで当時の暮らしを体験したり、親子で夢中になりそうです。 今月は→NPO法人 ままとんきっずがお伝えします! 今年で子育て支援活動31年目。お母さんたちが主体となって、親子が集うサロン、グループ保育、一時保育、各種講座、産後サポート、子育て支援センター、小学校での寺子屋事業、中学校での赤ちゃんふれあい体験事業などを運営。情報誌・単行本の発行物は45冊を超え、一部は海外でも翻訳出版。乳幼児から小中学生まで幅広い子育て支援により、地域の活性化を目指し、活動の場を広げている。 〈連絡先〉  〒214-0011 川崎市多摩区布田24-26 TEL044-945-8662 FAX 044-944-3009 URL:http://www.mamaton.jpn.org/ ◆約2万年前の建物の跡がある田名向原遺跡 相模原市立 史跡田名向原遺跡旧石器時代学習館(愛称:旧石器ハテナ館)  相模川のそばで、日本最古の建物の跡といわれる旧石器時代の住居状遺構が発見された田名向原遺跡。大量の石器も見つかったことから、建物内では石器作りを行っていたのではないかと考えられています。  旧石器ハテナ館では出土した石器や想定復元された建物の模型、旧石器時代の狩猟や石器作りが再現された人形の展示が興味深く、当時の暮らしに想像が膨らみます。隣接の公園では発掘されたときの状態が復元された建物の跡も見学でき、第1〜4日曜10:00~ 16:00にはボランティアガイドさんによる解説も。3日前までに申し込めば、いろいろな体験教室のなかから、きりもみ式やまいぎり式など5種類の火起こし体験もできます。大昔の人々の苦労を知るとともに、火が付くと達成感でいっぱいです。 〈写真3点〉 発掘調査をもとに想定復元された旧石器時代の建物の模型 発掘されたときの状態が復元された建物の跡 おすすめは協力して火を起こすひもぎり式 〈写真3点終わり〉 相模原市立 史跡田名向原遺跡旧石器時代学習館 〒252-0245 相模原市中央区田名塩田3-23-11 JR相模線原当麻駅からバス「田名向原遺跡」下車すぐ TEL 042-777-6371 FAX 042-777-3106 9:00~18:00(11~3月は~17:00) 無休(年末年始を除く) 入館無料(火起こし体験無料) ◆1つの場所に3つの時代の集落跡が残る三殿台遺跡 横浜市三殿台考古館  富士山や房総半島を望む高台に、縄文・弥生・古墳時代のムラの跡が発見された三殿台遺跡。約270軒の竪穴住居跡が見つかり、当時の様子が伝えられています。 〈写真〉 住居跡保護棟の竪穴住居跡。炉跡のまわりに柱の跡がある 〈写真終わり〉  横浜市三殿台考古館の住居跡保護棟では発掘された状態のままの住居跡をガラス越しに見学できます。時代ごとに復元された3棟の住居では、古墳時代は奥にカマドがあるなど生活の変化もわかります。展示室に並ぶ土器や石斧、釣針には子どもたちが「本物なの?!」と目を輝かせるのだとか。狩猟を体験できる弓矢うちをいつでも楽しめ、スタッフさんにコツを教えてもらうことも。9:00~11:30、13:00~閉館1時間前までは火起こしにも挑戦できます。 〈写真2点〉 3つの時代の復元住居。3棟のうち2棟は内部も見学可 弓矢うちはイノシシやシカの形の的を狙って 〈写真2点終わり〉  旧石器ハテナ館では月替り、横浜市三殿台考古館では年間イベントで、石器作りや土器作りなどさまざまな体験教室を事前申し込み制で行っています。詳しくはHPをチェックして、ぜひおでかけください。 横浜市三殿台考古館 〒235-0021 横浜市磯子区岡村4-11-22 市営地下鉄蒔田駅から徒歩25分 または弘明寺駅からバス「三殿台入口」下車徒歩5分 TEL 045-761-4571 FAX 045-761-4603 9:00~17:00(10~3月は~16:00) 月曜休(祝日の場合は翌日休)、年末年始休 入館無料(弓矢うち体験無料、火起こし体験200円) P9 企業の社会貢献活動 共生社会づくりをすすめる、企業の“チカラ” 街の小さな社会福祉団体に寄り添う助成事業―公益財団法人日揮社会福祉財団  身近な地域でともに支えあう共生社会づくりに向けて、近年、SDGsの目標とも重なり、企業が社会貢献活動として、社会福祉分野に参加することが期待されています。今回の新コーナーでは、本会の活動に支援をいただいている企業を中心に、社会福祉分野に関わるきっかけや活動内容をご紹介します。  今号では、社会福祉活動への助成団体として令和6年3月に30周年を迎えた、(公財)日揮社会福祉財団の皆様にお話をうかがいました。 ―どのような経緯で団体が設立されたのでしょうか  エネルギーとインフラ分野を中心とするプラント・設備の総合エンジニアリング事業を行う日揮株式会社(現、日揮ホールディングス株式会社)の創立65周年記念事業の一つとして、1994(平成6)年3月に当財団は設立されました。  同社では地域社会への貢献に積極的で、代表的なものとして、1968年から理工系学科専攻の大学生・留学生等への奨学金の給付等を行う「日揮・実吉奨学会」を通じた次世代育成に取り組んできました。  創立周年記念事業の検討の際に、多くの従業員が住む神奈川の地で、社会福祉の向上をテーマに、当時の社長直下の部門での検討が始まりました。  当初は、高齢社会を見据えて、同社の技術力を生かした日常生活の補助器具の開発も検討しましたが、長期的な取り組みが必要な器具の開発より、エンドユーザーである利用者の方により近い活動ができないかと考え、社会福祉団体への支援を行うこととなりました。 ―財団ではどのような活動をしていますか  高齢者や障害のある人を支援する事業者やボランティア団体等の機器・設備購入費、事業活動費への助成事業(下記、応募要項を参照)、助成団体同士がつながるための交流会などを実施しています。  また、県共同募金会、県社会福祉協議会が主催する「神奈川県福祉作文コンクール」への後援(日揮社会福祉財団ふれいあい賞の授与)を行っています。 ―助成金はどのように活用されていますか  オンライン環境に対応できるパソコン等の事務機器、利用者への支援に長く使われてきた設備(冷蔵庫など)の故障による買い替えなどに助成金が活用されています。 また、ここ数年ではスポーツ大会や演劇、創作発表などを障害の有無に関わらず、みんなで行う「インクルーシブ」な活動の申請が多くなっており、地域共生社会の実現に向けた活動の広がりが見られます。 ―現場の皆さんへのメッセージをお願いします  助成したどの団体も、年間予算は日々の活動経費に充てるので精いっぱい、職員の人数は限られ、ボランティアに頼る団体も少なくありません。その一方で、子どもから高齢者まで、その人が住む街で一人ひとりの暮らしや人生を支える民間の福祉活動の価値を改めて実感しました。  本財団は「困った時に使いやすい」をコンセプトに、街の小さな団体に寄り添う姿勢を大事に、助成事業を行っています。日常の活動予算ではまかなえないニーズに、ぜひご活用ください。 〈写真〉 (左から)お話を聞いた常務理事・事務局長の佐藤恭平さん、スタッフの下山智子さん、日揮コーポレートソリューションズ株式会社 執行役員(本財団 理事)の山下豊さん 〈写真終わり〉 〈囲み〉 応募要項 対象 県内の障害のある人や高齢者等に社会福祉活動を行う事業団体、ボランティア団体等 募集期間 毎年5月1日~5月31日 助成対象 ①機器の購入、設備投資費用 40万円(上限)②事業活動費 10万円(上限) ※周年記念行事等は20万円(上限) 公益財団法人日揮社会福祉財団 設立:1994年3月 住所:横浜市西区みなとみらい2-3-1 日揮ホールディングス㈱17階 HP:https://www.jgczaidan.com/ 〈囲み終わり〉 P10 県社協のひろば 地域共生社会の実現に向けて―福祉医療施設が担う役割とは―福祉医療施設協議会『福祉医療病院紹介リーフレット』の活用  生活に困窮している方々を支援する制度・施策の一つに「無料低額診療事業」があります。  この事業は、経済的理由によって必要な医療を受ける機会が制限されないよう、無料または低額な料金で診療を受けられる制度です。社会福祉法第2条第3項第9号に規定されており、低所得者、要保護者、ホームレス、DV被害者、人身取引被害者等が対象となります。  また、生計困難者に対する診療費や介護サービス費用等の減免による経済的な支援だけでなく、その方の多様な生活課題に着目し、医療の立場から自立相談支援機関や地域包括支援センター、社協等の事業につなぐ支援も行います。  これまでも、地域の相談機関等と連携・協働しながら、地域福祉推進の一翼を担い、地域共生社会の実現に向けて、地域に潜在している福祉ニーズに対応し、地域における公益的な取り組みを進めてきましたが、2040年問題も含め、ひきこもりや孤独死、家族全員に福祉課題がある世帯など、多様化・複雑化する地域の福祉課題や生活課題に対し、福祉医療施設にはセーフティネットとしての役割が期待されています。  こうした状況を踏まえ、会員26施設で構成する本会福祉医療施設協議会では、生活に困窮している方々の相談窓口である福祉事務所や自立相談支援機関等に無料低額診療事業の目的や福祉医療施設が地域で果たす役割等を正しく理解していただきながら、本事業を必要としている方々の有効利用につながるよう、神奈川県医療福祉施設協同組合(同組合員と本会福祉医療施設協議会会員は同一)と協働して『福祉医療病院紹介リーフレット』を作成し、地域の相談窓口における有効な情報資源となるよう、26の病院・診療所個々のリーフレットを合本して配付しました。  『福祉医療病院紹介リーフレット』は、A4判・三つ折で、表面に無料低額診療事業や相談の流れ、本会福祉医療施設協議会の活動紹介等、全体に共通する内容が掲載され、中面には26の病院・診療所それぞれの基本情報や特長等が掲載されています。会員施設名簿(※)を目次として、中面の26病院・診療所の概要を合本して、冊子としています。  このリーフレットは、本会ホームページ上でも閲覧することができます。会員の福祉医療施設はホームページから自施設のリーフレットを印刷し、市区町村行政や相談機関等へ持参して情報交換等を行うことができます。相談機関等は、無料低額診療事業を行う近隣の病院・診療所の特長を把握することで、福祉医療施設と相互の役割を確認することもできます。 〈写真〉 福祉医療施設協議会『福祉医療病院紹介リーフレット』で検索 本会ホームページhttps://www.knsyk.jp/service/keieisha-bukai/about/hukusi-iryo 〈写真終わり〉  神奈川県医療福祉施設協同組合においても、令和4年度からソーシャルワーカー会で作成に取り組んできた事例集「生きる」をささえる―福祉医療施設ソーシャルワーカーの挑戦―が令和5年度、完成しました。  この事例集には、一人暮らしの認知症高齢者を巡る支援者の連携やコロナ禍の失業で医療費の支払いが困難となったケース、病気と共に生きることを支えた無料低額診療事業、安心できる居場所としての福祉医療施設等、無料低額診療事業の利用だけではなく、障害のある方への意思決定支援や権利擁護、成年後見制度、地域移行、福祉施設への入所調整、他の病院等への入院・転院調整など、多機関連携による30の支援事例を紹介しています。  地域共生社会の実現に向けて、福祉・医療の関係者が連携・協働して取り組むことが更に期待されていきます。関係者の皆様には、今回、ご紹介したリーフレットと事例集を併せて活用いただき、福祉医療施設の活動に、ご理解とご協力をいただきますよう、お願いいたします。(福祉サービス推進課) P11 Information 役員会の動き ◇理事会=3月14日(木)①神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(案)②令和6年度事業計画並びに収支予算(案)③令和6年度資金運用計画(案)④定款の一部変更(案)⑤職員就業規程の一部を改正する規程(案)⑥職員給与規程の一部を改正する規程(案)⑦再雇用規程の一部を改正する規程(案)⑧苦情解決事業第三者委員の選任⑨社会福祉事業振興資金貸付事業における借入金⑩事務局長の選任 ◇評議員会=3月26日(火)①神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(案)②令和6年度事業計画並びに収支予算(案)③定款の一部変更(案) 本会職員人事異動 (令和6年4月1日付、管理職員のみ) 事務局長兼企画担当部長 小野真由美、事務局次長兼総務企画部長、かながわ福祉サービス運営適正化委員会事務局長 新井隆【総務企画部】企画課長 薬師寺朴【地域福祉部】権利擁護推進課担当参事兼課長 吉田浩【かながわ福祉人材研修センター】福祉研修センター担当部長兼課長 杉浦幸信、福祉人材センター課長 小宮崇 寄附金品ありがとうございました 【県社協への寄附】古積英太郎 【交通遺児等援護基金】(株)エスホケン 【子ども福祉基金】脇隆志、(株)エスホケン 【ともしび基金】かまぶろ温泉、(公財)積善会 曽我病院、茅ケ崎支援学校 (匿名含め、合計8件74,867円) 【ライフサポート事業】〈寄附物品〉(一社)生命保険協会 神奈川県協会、(N)セカンドハーベスト・ジャパン (いずれも順不同、敬称略) 〈写真〉 かながわライフサポート事業へ寄附をいただき、令和6年3月27日、(一社)生命保険協会 神奈川県協会 丹羽浩事務局長(右)に感謝状を贈呈 〈写真終わり〉 令和5年度政策提言 課題共有メッセージ動画の配信  令和5年度の政策提言の課題共有メッセージとして動画を作成いたしました。  令和5年度は共通課題である「人口減少社会における福祉人材の確保・育成・定着に向けた施策の充実」を切り口に、福祉現場での取り組みや今後期待することなどについてインタビューしています。  また、動画視聴とあわせてアンケートを実施しております。動画やアンケートは本会ホームページに掲載していますのでご協力をお願いいたします。 https://www.knsyk.jp/proposal/seido_sesaku 福祉タイムズ送付先調整のお知らせ  より効果的な広報を行う観点から、送付先の見直しを行っています。2024年5月号から対応させていただきますのであらかじめご了承ください。  ご不明点等は、下記連絡先にお問い合わせください。 お問い合わせは企画課まで 令和6年度研修のご案内  福祉研修センターでは、社会福祉従事者の皆様に向けた研修を開催しております。  社会福祉従事者の基盤となる「基幹研修」、職員の階層別に組織の中での役割に応じた「階層別研修」、職務別のスキルアップを目指す「職務別課題研修」、そして介護支援専門員・サービス管理責任者等が受講する「法定研修」等計45本の研修を計画しております。  研修内容等につきましては、研修センターホームページからご覧ください。  皆様のキャリア形成・スキルアップに福祉研修センターの研修をお役立てください。  https://www.kfkc.jp/ P12 かながわほっと情報 在日外国人の子どもたちが安心できる「居場所」 (N)在日外国人教育生活相談センター・信愛塾(横浜市南区) 自分が受けた恩を子どもたちへ  在日外国人の子どもたちに対する日本語教育と学習支援を行っている信愛塾の王遠偉(おうえんい)さんを訪問しました  王さんは、中学生の頃急きょ来日することになりました。言葉も文化も分からない中、学校の勉強も理解できず、話が通じる友達もいませんでした。そうした時に、信愛塾を紹介され、日本語を学ぶために通い始めました。  ここでは、自分と同じ境遇の外国籍の生徒と一緒に学んだり、遊んだりでき、王さんにとっては「家よりも安心できる場所」でした。その後、王さんは大学院を卒業し、CAD設計士として大手企業に就職をしました。この間も、王さんはボランティアとして信愛塾に関わっていましたが、令和6年1月末に会社を退職し、信愛塾の職員として働き始めました。  技術職を辞めて転職をした理由を尋ねると「恩返しがしたかったから」と、笑みを浮かべます。王さんは「自分と同じ境遇の子どもたちに安心できる場所を作ってあげたい。ここで、自由に遊んで勉強して欲しい」と話します。 〈写真〉 事務局次長の王遠偉さん 〈写真終わり〉  信愛塾には現在100名以上の子どもたちが通い、中国やフィリピンなどアジアの近隣諸国から来た子どもたちが多くいます。ここでは「デデ」の愛称で呼ばれて親しまれている王さん。子どもたちに学習支援を行いながら、一緒に遊んだり、ピアノを弾いたりして楽しい時間を作り出しています。子どもたちにとって王さんは、信愛塾を卒業して社会で活躍しているロールモデルとなっています。王さんは「自分のやりたいことをあきらめず、夢を貫いて欲しい」と伝えます。 知ってもらうことが第一歩  王さんが恩返しをしたかったのは、信愛塾センター長の竹川真理子さんです。竹川さんは1978年から45年にわたり在日外国人の子どもたちへ日本語指導や学習支援を行ってきました。王さんも中学生の頃から竹川さんに様々なことを教わってきました。竹川さんは子どもたちだけではなく、家族の生活相談も受けるようになり、昨年は1,100件以上の相談に対応しました。相談内容も教育・生活から人権に関わるものまで、深刻で複雑なものが多く、取材中も何人もの相談者との電話が続いていました。  信愛塾は「子どもの居場所を作る」と「日本にきた家族が生活を営むことができる環境を築けるよう社会や行政に発信する」を“両輪”としてずっと活動を続けてきました。竹川さんは「在日外国人の子どもたちや家族がおかれている言葉の壁、孤立、SOSや厳しい環境を知って欲しい、知ってもらうことが第一歩です」と言います。  今後、王さんは竹川さんと共に厳しい生活に置かれた親子の相談支援に奔走する予定です。竹川さんにとって王さんは「とても心強い存在で嬉しいです。でも、一番喜んでいるのは子どもたちです」と、その存在の大きさを改めて伝えてくれました。(企画課) 〈写真〉 子どもたちと竹川さん、王さん 〈写真終わり〉 (N)在日外国人教育生活相談センター・信愛塾 https://www.shinaijuku.com 「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています バックナンバーはHPから ご意見・ご感想をお待ちしています! 【発行日】2024(令和6)年4月15日(毎月1回15日発行) 【編集・発行】社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会  〒221-0825 横浜市神奈川区反町3丁目17-2 TEL 045-534-3866 【印刷】株式会社神奈川機関紙印刷所