テキストデータ作成に当たって  このデータは、『福祉タイムズ』 vol.866 2024年1月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。  二重山カッコは作成者注記です。 P1 福祉タイムズふくしTIMES 2024.1 vol.866 編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 感謝 かながわボランティアセンターにおける寄附・寄贈の受け入れと各基金事業 NEWS&TOPICS P6 こども基本法の施行に伴う神奈川県の取り組み 県次世代育成課 P8 2023年 福祉のうごき 県社協のひろば P10 福祉サービス事業者の苦情解決体制整備に向けて 今月の表紙 第46回神奈川県福祉作文コンクールで県知事賞を受賞した萩原隼翔さん。 所属する少年野球チームではピッチャーとして活躍している。【詳しくは12面へ】撮影:菊地信夫 P2 謹んで新年のご挨拶を申し上げます 社会福祉法人 神奈川県社会福祉協議会 会長 篠原 正治  旧年中は、本会の活動に対して、温かいご支援とご協力を賜り、厚くお礼を申し上げます。  元旦に発生しました能登半島地震におきましては、多数の被害がありました。亡くなられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。  さて、昨年を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症が5類へ移行されたことから、全国各地の観光地は観光客で賑わい、各地でイベントも行われるようになりました。重症化リスクの高い方も多い社会福祉施設などでは、引き続きの対策を講じられていることかと存じますが、長きにわたり感染対策にご協力いただいた県民の皆さま、そして、福祉従事者をはじめ関係の皆さまに、心から感謝と敬意を表します。  一方、少子高齢化の進行や人口減少、孤立・孤独の問題、物価高騰などの経済情勢の厳しさにより、地域を取り巻く環境は大きく様変わりしています。地域福祉に対する期待はますます高まっておりますが、本会では、多分野の連携・協働を基盤として、今後も会員をはじめとする関係者の皆さまとのつながりを大切に事業を進めてまいります。  そのような中、本会においても「第9次神奈川県社会福祉協議会活動推進計画」をこの4月からスタートすべく改定に取り組んでいるところでございます。  計画策定にあたりましては、関係者のヒアリングやパブリックコメント等を実施しましたが、会員をはじめ、多くの方々からご意見を頂きました。今後は改定した計画に沿って着実に事業を進めてまいります。  また、地域を取り巻く状況にも変化が起こりつつあります。例えば、障害福祉分野においては農福連携に続き、畜産業と福祉の連携である畜福連携の動きが見られています。また、市町村域において、社会福祉法人と社協が連携し、ネットワークを強化する、分野を横断した新たな取り組みが広がっています。  本会では今後も地域共生社会の実現に向けた事業を展開してまいります。引き続きすべての皆さま方のご支援とご協力、参画をお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。 〈コラム〉 篠原正治本会会長、旭日小綬章を受章  この度、令和5年秋の叙勲において、篠原正治本会会長が「旭日小綬章」を受章いたしました。長年の地域福祉分野での発展に寄与されたことが評価されたもので、これも皆様のご支援、ご協力があってのものでございます。心より感謝申し上げます。  引き続き、皆様のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。 〈写真〉 令和5年11月8日の叙勲伝達式にて黒岩神奈川県知事(左)より叙勲 〈写真終わり〉 〈コラム終わり〉 P3 感謝 かながわボランティアセンターにおける寄附・寄贈の受け入れと各基金事業  本会では「かながわボランティアセンター(以下、KVC)」を主な窓口として、基金へのご寄附や物品の寄贈等の受け入れ・配分を行っております。誰もが暮らしやすい地域社会づくりを推進するため、県域のボランティアセンターとしての特色を発揮しながら「社会に貢献したい」という個人や企業・団体等、多くの方々のご協力をいただき、地域につなぐ架け橋として、事業を展開しています。  今号では、本会が設置する「ともしび基金」「かながわ交通遺児等援護基金」「萬谷子ども福祉基金」の各基金事業のご報告を通して、日頃のご協力・ご支援への感謝をお伝えするとともに、この1年間に寄せられたさまざまな形の寄贈を紹介させていただきます。 基金を活用した事業 ともしび基金  「ともに生きる福祉社会づくり」のための基金として昭和52年に誕生したともしび基金は、皆様からの支援により、令和5年3月末現在で23億4104万円余りとなりました。  ともしび基金を活用した事業では、趣旨に沿ったさまざまな取り組みを展開しています。今回はその中から、地域福祉活動支援事業、ともしびショップ支援事業、セルフヘルプ活動普及啓発事業について報告します。 ●地域福祉活動支援事業  ボランティアグループや当事者活動団体等が実施する地域福祉ニーズに対応する先駆的な活動、広域的かつ公益性の高い活動に対して経費の一部を助成しています(5面各基金事業実績参照)。  コロナ禍の影響が後引く中、食支援や地域のつながりづくりのための活動、ボランティアの養成や実践等、さまざまな活動が展開されました。  今回はその中から一団体の活動状況をご報告します。 ~横須賀市聴覚障害者協会~  「手話による傾聴ボランティア」事業では、傾聴の基礎や実践方法を学ぶ機会として、32名の登録ボランティアを対象とした学習会を通年で開催しています。また、7月には、実践の場として、第1回の「手話(しゅわ)べりカフェ」を開催しています。  代表の熊谷徹さんは「皆さん、手話は使っていますか。家にいると、1日手話を使わないことはありませんか。手話は私たちの母語です。今日はたくさん手話でお話しましょう」と、コロナ禍で集まりの場が減り、自宅に閉じこもりがちになっているろう者を案じ、カフェを開催した目的を話しました。  ボランティアが自宅等に訪ねて来ることへの抵抗感に配慮し、顔合わせを兼ねて集合の場で実施しました。会話の時間を挟みながら、趣向を凝らしたゲームや運動のプログラムを通して、参加者とボランティアの関係構築を図りました。 〈写真〉 「手話(しゅわ)べりカフェ」まちがい探しゲームの様子 〈写真終わり〉  社会情勢や地域のニーズを受け止めた先駆的な活動の好例となり、他地域への波及効果が期待されます。 ●ともしびショップ支援事業  ともしびショップは、障害のある方が働いているカフェや売店の呼称で、仲間や地域の方々とのふれあいの中で自立と社会参加の実現を目指す場として職員・スタッフが勤めています。  令和5年11月末現在、33店舗が展開されており、今年度は5店舗の設備更新費用や地域交流会の開催費用を助成したほか、障害理解のための普及啓発の一環として、ともしびショップで実際に働く方の姿を撮影し、障害者週間に合わせた啓発広告の掲載や、福祉事業所が参加するイベント等でパネル展示を行いました。  障害の有無・国籍・性別にかかわらず、誰もが尊重される地域社会を目指す活動は、基金の趣旨に沿ったものであり、本会ではともしびショップの支援を通じて、今後も障害者の社会参加支援に取り組んでまいります。 〈写真〉 普及啓発パネルの一つ 〈写真終わり〉 P4 ●セルフヘルプ活動普及啓発事業  疾病や障害、依存症、精神障害、犯罪被害や遺族など、さまざまな生きづらさ、共通の問題を感じる方々が自主的につながり、共感の中で悩みを打ち明けたり、社会に理解を広める活動を行ったりするセルフヘルプ・グループ。本会では基金を活用しながら、グループの活動支援や普及啓発に取り組んでいます。  令和5年度は事業開始から20周年を迎え、これを記念した県民向けのセミナーを11月に開催しました。同じ立場だからこそ、安心・安全に分かち合い、支え合えるセルフヘルプ・グループの持つ「チカラ」を共有するとともに、今後も活動支援を継続していく意義を再確認する機会となりました。 〈写真〉 20周年記念セミナーは各グループの活動拠点となっているかながわ県民センター(横浜市神奈川区)で開催(写真提供:(株)福祉新聞社) 〈写真終わり〉 かながわ交通遺児等援護基金  交通事故により保護者が死亡または重度の障害となった世帯の20歳未満の児童への継続的な援助・激励を目的として設置されています。  支援内容は、①労働災害見舞金の未受給世帯に対する見舞金の支給②児童が小・中学校の入学時や中学・高校の卒業時のほか、20歳を迎えた年に激励金の支給③大学の受験や入学時の支度金の支給④関係団体の交通遺児世帯の激励等を目的とする活動・支援をしています(5面各基金事業実績参照)。  また、関係団体と協働し、夏休みの親子交流会のほか、コンサート招待等の事業実施をするなど、世帯間の交流を図る取り組みを行っています。 〈写真〉 夏休みの親子交流会の様子(写真提供:(公財)神奈川新聞厚生文化事業団) 〈写真終わり〉 萬谷子ども福祉基金  さまざまな理由で親とともに生活が出来ず県内の児童養護施設や里親のもとで生活している児童に対し、①大学等に入学する際の「入学支度金」と、②進学・就職などで施設や里親の元から出て初めて民間アパート等に入居する際の「自立支援金」を交付することにより、子どもたちの自立に向けた支援をしています(5面各基金事業実績参照)。  学費の無償化や給付型の奨学金が拡充する中でも、これらの制度では補えない支援メニューを展開し、子どもたちの自立を支える取り組みを今後も続けてまいります。 企業・団体等からの社会貢献活動の受入 (一社)日本塗装工業会神奈川県支部、神奈川昭和会の取り組み  塗装工事業の経営者を中心とし、塗材メーカーや塗材販売店で構成する団体です。コロナ禍では、医療福祉施設に消毒用アルコールの寄贈を行っていましたが、令和5年7月、県内の児童養護施設で4年ぶりに塗装ボランティアを行いました。  施設では来客スペースや図書室等の共有スペースを中心に、塗装が剥がれた箇所に作業を実施しました。当日は、所属する36社61名が朝早くから施設に集結し、日頃の塗装技術を駆使してあっという間に塗り替えられました。学校から帰ってきた子どもたちは、朝出かけた時とは見違える施設を見て「わー、きれい!」と感嘆の声をあげ、施設で働く職員の方からは「建物がきれいになって、気持ちまで明るくなったような気分です」と好評をいただきました。 〈写真2点〉 塗装ボランティアにご協力いただいた皆様 児童養護施設の子どもたちからのお礼状 〈写真2点終わり〉  たくさんの方々から温かいお気持ちをいただきありがとうございます。  KVCでは、令和5年10月よりホームページを開設しました。今後、KVCを通じて社会貢献活動に取り組まれている企業・団体の事例などを紹介する予定です。  今後もKVCの取り組みにご理解いただき、一層のご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。(地域課) かながわボランティアセンターホームページはこちらから P5 **ご寄附いただいた皆様(11月~12月) あたたかいご支援に感謝します**(いずれも順不同、敬称略) 【ともしび基金】▽ともしびショップにじ散歩▽ともしびショップゆめ散歩▽ともしびショップさくら運営委員会▽ともしびショップマリン▽ともしびカフェぽけっと▽(福)湘南アフタケア協会▽いなり湯▽葛の湯▽(福)箱根町社会福祉協議会▽(福)湘南福祉協会▽天台宗神奈川教区宗務所▽よねの湯関上和男▽(N)フュージョンコムかながわ・県肢体不自由児協会▽(一社)神奈川県高齢者福祉施設協議会▽(公社)認知症の人と家族の会神奈川県支部▽(公財)神奈川県老人クラブ連合会(ゆめクラブ神奈川)▽(公財)神奈川県身体障害者連合会▽(N)神奈川県ホームヘルプ協会▽(公社)神奈川県社会福祉士会▽(公社)神奈川県介護福祉士会▽統合事務局(神奈川県手をつなぐ育成会・神奈川県知的障害施設団体連合会・(一社)やまゆり知的障害児者生活サポート協会)▽(福)神奈川県共同募金会▽神奈川県医療福祉施設協同組合▽(福)神奈川県社会福祉事業団横須賀老人ホーム▽本門佛立宗妙深寺婦人会▽(N)神奈川県障害者地域作業所連絡協議会▽神奈川県交通遺児家庭の会▽藤沢県税事務所▽戸塚県税事務所▽県立図書館▽畜産技術センター▽県警察本部総務部施設課▽県警察第一機動隊▽県警察第二機動隊▽県警察警務部監察官室▽泉警察署▽金沢警察署警務課▽相模原北警察署▽多摩警察署▽保土ケ谷警察署▽大船警察署▽青葉警察署▽藤沢警察署▽相模原南警察署▽川崎警察署▽都筑警察署▽県警察学校▽県立鎌倉支援学校▽県庁・県警職員一同▽かながわ県民センター12階募金箱▽県社会福祉センター7階受付募金箱▽県社協職員一同 【萬谷子ども福祉基金】▽(株)エスホケン▽脇隆志 【かながわ交通遺児等援護基金】▽(一財)YAMANAKA未来財団▽アズビル(株)▽ダイセーロジスティクス(株)横浜ハブセンター▽(株)エスホケン 【県社協への寄附】▽古積英太郎 (匿名含め、合計91件2,969,491円) 【寄附物品】▽(公財)報知社会福祉事業団▽ツルハホールディングス(株)・クラシエ(株)▽(N)日産労連NPOセンター「ゆうらいふ21」▽(N)神奈川県ホームヘルプ協会▽神奈川トヨタ自動車(株)▽県庁・県警職員一同 【ライフサポート事業への寄附物品】(N)セカンド・ハーベストジャパン 〈写真3点〉 湘南グリーン介護老人保健施設へ車いすを寄贈いただき、(株)ツルハホールディングス須藤関東第一店舗運営部長(後列左から3番目)・クラシエフーズ販売(株)伊藤広域営業部長(後列右から3番目)に感謝状を贈呈 障害児者団体等へクリスマスチャリティー公演の招待をいただき、(N)日産労連NPOセンター「ゆうらいふ21」高橋慎吾本部長(右)へ感謝状を贈呈 神奈川トヨタ自動車(株)より児童福祉関係施設へクリスマスケーキの寄贈をいただき、横浜中里学園にて贈呈式を実施 〈写真3点終わり〉 〈表組3点〉 各基金事業実績(令和4年度) ともしび基金(地域福祉活動支援事業) 助成区分→件数→金額 一般助成(上限20万)→23件→3,831,266円 協働モデル助成(上限200万)→3件→3,526,962円 ともしび基金事業の詳細、報告書はこちらからご覧ください https://knvc.jp/grants/ かながわ交通遺児等援護基金 支援内容→件数→金額 遺児等への激励金(小中高入学・卒業時、20歳時)→31件→2,200,000円 登録時の見舞金→2件→200,000円 大学等入学支度金等→受験に係る経費→6件→299,000円 →入学に係る経費→7件→2,100,000円 萬谷子ども福祉基金 支援内容→件数→金額 自立支援金(施設や里親の元を離れ自立する際に交付)→34件→5,100,000円 入学支度金→15件→3,000,000円 〈表組3点終わり〉 P6 NEWS&TOPICS こども基本法の施行に伴う神奈川県の取り組み―「こどもまんなか社会」の実現に向けて ●こども基本法の主な規定  令和5年4月1日、こども施策を社会全体で総合的かつ強力に実施していくための包括的な基本法として「こども基本法」が施行されました。  同法は、日本国憲法および児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全てのこどもが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども政策を総合的に推進することを目的としています。具体的な規定としては、こども施策の基本理念のほか、こども大綱の策定やこども等の意見の反映などについて定められていますが、ここでは「都道府県こども計画」に関する条文の概略をご紹介します。 こども大綱の策定(第9条)  政府は、こども施策を総合的に推進するため、少子化対策、子ども・若者育成支援及び子どもの貧困対策に関する既存の大綱を包含して「こども大綱」を定めなければならないとしています。 都道府県こども計画の策定(第10条)  都道府県は、こども大綱を勘案して「都道府県こども計画」を定めるよう努めるものとし、その際には、こども施策に関する事項を定める他の計画と一体のものとして作成することができるとしています。 こども等の意見の反映(第11条)  国及び地方公共団体は、こども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、当該こども施策の対象となるこども又はこどもを養育する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとしています。 ●県の「こども計画」の策定  現在、県では、子どもや若者に関する計画として、幼児期の教育・保育の需給計画などを定めた「かながわ子どもみらいプラン」、ひきこもりやニート等の子ども・若者への支援などを位置付けた「かながわ子ども・若者支援指針」及び教育の支援や生活の安定に資するための支援などを位置付けた「神奈川県子どもの貧困対策推進計画」の3つの計画を策定しています。  これらの計画は、それぞれ関連する法律に基づいて策定しており、その目的や対象とする子ども・若者像が異なっています。そのため、分野ごとに、個々の計画を見る必要がありますが、こども基本法の施行を踏まえ、県の子ども・若者施策を一体的に見ることができるよう、既存の計画を統合して、県の「こども計画」を策定したいと考えています。 ●新たな審議会の設置  子ども・若者施策に関する県の既存の計画には、それぞれの施策の推進に関して、外部の有識者等からご意見を伺う体制が整備されています。こども基本法に基づく県の「こども計画」は、既存の計画を統合して策定することとなるため、幅広い分野を一体的に審議できるよう、既存の審議体制に替わる新たな審議会(神奈川県子ども・若者施策審議会)を、県の附属機関として設置します。  新たな審議会には、関係機関や学識経験者の方々に加え、当事者である子ども・若者の方にも委員として参加してもらいたいと考えています。 ●神奈川県子ども・子育て支援推進条例の改正  県では、子ども・子育て支援について、基本理念を定め、県、事業者、子ども・子育て支援機関、県民の責務を明らかにするとともに、子ども・子育て支援を推進するための基本となる事項を定めた「神奈川県子ども・子育て支援推進条例」を平成19年10月に施行しました。  同条例については、常に時代に合致したものとなるよう、5年を経過するごとに見直しを行っています。施行後15年を経過した今回の見直しでは、こども基本法を踏まえ、子どもを権利の主体として尊重し、子どもの最善の利益を第一に考えて施策を推進していく観点から、これまでの「子どもを支援する」という考え方を転換し「子どもの目線」に立って施策を再構築する必要があると考えています。  また「ヤングケアラー」「医療的ケア児」「ワンオペ育児」等近年顕在化した課題への対応も必要です。こうした事情を踏まえ、同条例の改正を検討しています。 P7 ●こどもの意見を行政に反映させる取り組み  こども基本法では、国や地方公共団体がこども施策を進めるに当たっては、こどもやその養育者などの関係者から意見を聴き、反映させるための措置をとることが「義務」として規定されています。  これを受け、県では、子ども自身の声を行政に反映させるためのプロジェクトとして、令和5年度から「子ども目線会議」の取り組みを始めました。  子どもが自由に発言・議論し、県政への質問や政策提言を行う場としては、これまでも「かながわハイスクール議会」などが設けられてきましたが、より多くの様々な声を聞き、施策に反映するためには、生活環境や興味趣向の異なる多様な子ども・若者が集うイベント等に出向き、直接意見を聞くことが重要です。こうした「アウトリーチ」(積極的に対象者のいる場所に出向いて働きかけること)の取り組みが「子ども目線会議」の大きな特徴です。  具体的には、NPO法人が実施する不登校やひきこもりの子ども・若者を支援するイベントなどと連携し、イベント終了後に座談会を実施する取り組みや、学校で行う社会課題解決をテーマとする授業に参加するなど、学校や子ども・若者が集まる場を県が訪問して対話する取り組みを行っています。 〈写真〉 子ども目線会議参加者募集チラシ 〈写真終わり〉 ●おわりに  令和5年12月に「こども大綱」が策定され、全てのこども・若者が身体的・精神的・社会的に幸福な生活を送ることができる「こどもまんなか社会」を目指すとされています。  県におきましても、子ども・若者の目線に立ち、県の「こども計画」の策定や「神奈川県子ども・子育て支援推進条例」の改正を通じて、子ども・若者施策の新たな道しるべを築き、「こどもまんなか社会」の実現に向けて取り組んでいきます。  今後、当事者である子ども・若者の方々はもとより、県民の皆様から幅広くご意見をいただき「県民みんなでつくる計画・条例」にしていきたいと考えておりますので、お力添えを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 (県次世代育成課) P8〜P9 NEWS&TOPICS 2023年(令和5年)福祉のうごき ○全国の動き ◇県内の動き ★本会の動き 福祉関連の動き(〇数字は本紙での関連記事掲載月) 1月 ○緊急小口資金等の特例貸付の償還が開始② ○厚労省は、企業に義務づけられている障害者の法定雇用率(全従業員に占める割合)を、現在の2・3%から、令和8年度から段階的に2・7%まで引き上げることを発表 ◇横浜市は「横浜市子ども・若者実態調査/市民生活実態調査」の結果を公表し、市内のひきこもり状態にある人の推計が3万3千人であることを公表 ◇茅ヶ崎市は「ちがさき障がい者支援アプリ」の運用を開始 ◇川崎市社協が全国社協広報紙コンクール2022で「優秀賞」を受賞 2月 ○厚労省は、障害者が家族や福祉施設・事業所の職員から受けた虐待は過去最多の2693件あったと発表 ○厚労省は、令和4年に生まれたこどもの数が統計開始以来、初めて80万人を下回り過去最少になったと発表 ◇県は、様々な困りごとへの支援情報を一元化したポータルサイト「さぽなびかながわ」を開設 ★かながわライフサポート事業10周年記念シンポジウムを開催⑤ 3月 ○厚労省は、令和4年の生活保護申請が23万6995件となり、3年連続で増加したことを公表 ○「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」が閣議決定 ○厚労省は「障害児通所支援に関する検討会」の報告書を公表 ○厚労省は「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」の報告書を公表 ○内閣府は、こども・若者の意識と生活に関する調査の集計結果を公表し、15歳から64歳でひきこもり状態にある人は全国で推計146万人いることを公表 ◇県は、災害時における要配慮者支援マニュアル作成指針を改定④ ★協働モデル助成「多文化高齢社会ネットかながわ」の2022年度活動報告会を開催 4月 ○こども基本法の施行、こども家庭庁が創設 ○総務省は、4月1日現在における15歳未満の子どもの数は過去最低の1435万人であることを公表 ◇神奈川県当事者目線の障害福祉推進条例〜ともに生きる社会を目指して〜が施行 ◇県は「神奈川県地域福祉支援計画[第5期]」を策定⑥ ◇横浜市は、保育所等の不適切保育について相談や通報を受け付ける「専用相談窓口」を設置 ★経営者部会・市町村社協部会が連携・協働して地域の福祉課題に取り組む「地域ネットワーク強化事業」を開始 ★経営者部会は『災害に強い地域福祉推進の拠点づくりに向けて』を発行 ★本会セルフヘルプ支援事業が20周年⑨ 5月 ○孤独・孤立対策推進法が成立⑦ ○法務省は、保護司の減少を受け、なり手確保策を議論する「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」を立ち上げ ○国土交通省が公開する「ハザードマップポータルサイト」がリニューアルされ、視覚障害者の使いやすさが向上 ◇県は、認知症について当事者目線で理解を広げるため「かながわオレンジ大使(認知症本人大使)」の委嘱式を開催 ◇横浜市と(公社)横浜市幼稚園協会は、医療ケア児の指針を策定 ★協働モデル助成「福祉的課題を持つ子どもの豊かな育ちを支える食支援の可能性」をテーマに、2つの団体それぞれと協働事業を開始 ★介護人材確保対策推進フォーラムを開催⑦ 6月 ○政府は「こども未来戦略方針」を策定 ○認知症に関する初の法律「認知症基本法」が成立 ○厚労省は「過労死等の労災補償状況」にて、仕事が原因でうつ病などの精神障害を発症し、令和4年度に労災認定を受けた件数は710件で過去最多と公表 ◇「災害復興くらし応援・みんなのネットワークかながわ(みんかな)」と「災害支援ネットワークおかやま」が災害支援の連携協定を締結 ★『ひとでつなぐ福祉のしごと~神奈川県社協経営者部会会員法人が取り組む人材確保・育成・定着事例集~』を発行⑪ 7月 ○厚労省、国交省、法務省は合同で「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会を立ち上げ ○厚労省は、外国人介護人材関係施策改善に向け「外国人介護人材の業務の在り方に関する検討会」を立ち上げ ◇県は児童養護施設などの退所者を支援する新たな拠点「あすなろ県央ブランチ」を海老名に開設 ◇川崎市社協とNECは、地域共生社会の実現とSDGs達成への貢献に向けてパートナーシップ協定を締結 ★第21回かながわ高齢者福祉研究大会を開催⑨ 8月 ○厚労省は「令和5年度版厚生労働白書」を公表 ○総務省は「身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査の結果」を公表 ★経営者部会は全国経営協とともに、物価急騰対策ならびに福祉従事者の処遇改善への早急な対応への要望書を県等に提出 9月 ○厚労省は12年ぶりに「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を改正 ○全社協の社会福祉施設協議会は、虐待・権利侵害根絶取組事例紹介サイトを開設 ○厚労省は「市町村における精神保健に係る相談支援体制整備の推進に関する検討チーム」の報告書を公表 ★第9次神奈川県社会福祉協議会活動推進計画骨子(案)パブリックコメントの実施 ★令和4年度福祉サービス第三者評価受審に関するアンケート調査結果を公表 10月 ○市町村社協法制化40周年 ○全国老人福祉施設協議会は、令和4年度の特別養護老人ホームの経営状況の調査結果を公表。会員施設のうち、62%が赤字で、昨年度から19ポイント上昇 ○文科省は、令和4年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果、不登校、いじめとも過去最多であったことを公表 ◇横浜市、横浜市社協、(株)ロフトは、賞品寄贈に関する協定を締結 ★本会ホームページリニューアル、かながわボランティアセンターホームページ開設 ★県に「社会福祉制度・施策に関する提言」を手交⑫ 11月 ○こども家庭庁は「第2回 子ども・子育て支援等に関する企画委員会」において、保育所や認定こども園などの職員による虐待について、発見した人に通報義務を課す制度改正を提示 ○全国老人福祉施設協議会は、初の人材紹介手数料実態調査報告を公表。常勤の介護福祉士の採用にかかった手数料は平均89万円 ○障害者団体「DPI日本会議」は、ユニバーサルデザイン(UD)タクシーの車いす利用者への対応を各地で調査した結果、乗車拒否が3割超あったとして、国土交通省に改善を要望 ○厚労省は、介護事業での高齢者の虐待や身体拘束の禁止について、厳格化する方針を発表 ○こども家庭庁は、特定地域に限って勤務を認める「地域限定保育士」の制度を全国拡大する方針を発表 ○厚労省は、介護の人材不足に対応するため、外国人の受け入れやICT化を進める事業所の介護職員の配置基準を緩和する方針を発表 ★第70回神奈川県社会福祉大会を開催⑫ ★かながわボランティアセンターはセルフヘルプ実践セミナー 20周年記念イベント「セルフヘルプ・グループの可能性」を開催⑨ 12月 ○政府は、介護保険サービスの公定価格となる介護報酬について、来年度からの報酬を1・59%引き上げる方針を発表 ○厚労省は「令和6年度介護報酬改定に関する審議報告」を公表 ○こども基本法に基づき、子ども政策を総合的に推進するため、政府全体のこども施策の基本的な方針等を定めた「こども大綱」が閣議決定 ○厚労省は「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する最終報告書」を公表 ◇県は「県立障害者支援施設の方向性ビジョン」を策定、公表 社会の動き 1月 ・箱根駅伝 駒澤大学2年ぶり8回目の総合優勝 ・フランスで100万人超がデモ、年金支給年齢引き上げに抗議 2月 ・トルコ・シリアでM7・8地震、死者5万人超 ・ロシアのウクライナ侵攻から1年、バイデン大統領がウクライナを電撃訪問 ・三菱重工が国産ジェット事業撤退を発表 3月 ・韓国ユン大統領が対日外交方針を転換 ・中国全人代(全国人民代表大会)で、習近平国家主席が再選 ・岸田首相がウクライナを電撃訪問 ・WBCで日本が3大会ぶりに優勝 ・文化庁が京都で業務開始。中央省庁初の移転 4月 ・選抜高校野球で山梨学院が初優勝 ・フィンランドがNATO正式加盟 ・日銀次期総裁に植田和男氏が就任 ・第20回統一地方選挙開催 5月 ・イギリス70年ぶりの戴冠式。チャールズ3世とカミラの戴冠式挙行 ・岸田首相韓国初訪問 ・新型コロナウイルス感染症が5類へ移行 ・石川県能登地方、震度6強の地震により災害 VC開設 ・G7広島サミット開催 6月 ・梅雨前線による大雨及び台風2号の被害により、5県で災害VC開設 ・改正入管法が成立 ・全仏オープン 小田凱人が「車いすの部」優勝、17歳での史上最年少優勝 ・6月29日からの大雨被害により、10県で災害VC開設 ・LGBT理解増進法が成立 7月 ・国際原子力機関(IAEA)は福島第一原発の処理水海洋放出をめぐる包括報告書を公表 ・世界平均気温が7日に過去最高の17・24度を記録 ・芥川賞に市川沙央さん、直木賞は垣根涼介さん、永井紗耶子さんが受賞 ・ビックモーター保険金水増し請求 8月 ・福島第一原発の処理水の海洋放出作業を開始 ・世界陸上女子やり投げで、北口榛花選手が金メダル獲得 9月 ・H2Aロケットの打上げが成功。月探査機「SLIM」で日本初の月面着陸を目指す ・モロッコ中部でM6・8の地震発生 ・台風13号の被害により、3県で災害VC開設 10月 ・米大リーグで大谷翔平選手がホームラン王を獲得 ・ハマスが対イスラエル大規模攻撃、イスラエルが報復作戦を開始 ・アフガニスタンでM6・3の地震発生 ・将棋 藤井聡太七冠が史上最年少での八冠達成 11月 ・プロ野球日本シリーズで阪神タイガースが38年ぶり日本一 ・サッカー ヴィッセル神戸がJ1初優勝 ・各地でクマ被害死傷者数過去最多令和5年で212人(速報値) 12月 ・今年1年の世相を漢字ひと文字で表す「今年の漢字」が「税」に決定 ・アイスランド南西部で火山が噴火 ・中国北西部でM6・2の地震発生 P10 県社協のひろば 福祉サービス事業者の苦情解決体制整備に向けて―苦情解決研修会・実践編  福祉サービス事業者において、利用者からの苦情に対応することは重要な責務であるとされています。そして、苦情解決責任者や苦情受付担当者には、苦情相談に対応し解決策を検討することに加えて、苦情を事業者内で共有し、サービスの質の向上につなげるまでの役割が求められます。  かながわ福祉サービス運営適正化委員会(以下、運営適正化委員会)では、県内事業者の苦情担当者向けの研修会を実施しており、本年度は基礎編・実践編Ⅰ・実践編Ⅱの計3回を企画しています。令和5年7月に開催した基礎編に続き、12月8日に「苦情解決のポイントを理解する」と題して、実践編Ⅰの研修会をオンラインにより開催しました。 事例をもとに取り組みを考える  今回の研修は、苦情対応の担当者で経験の少ない方を対象に、それぞれの事業者での対応を振り返り、担当者としての動き方を学ぶことを目的に企画しました。  当日は、運営適正化委員会の苦情解決委員である伊東秀幸さん(田園調布学園大学教授)による苦情対応の基本についての講義の後、高齢・障害などの種別を交えたグループに分かれ、演習形式で「提供される食事が冷めている」「通所の時に持たせてあった着替えがなくなった」など、様々な事業者で想定される複数の苦情について、どのような対応ができるかを考えました。 それぞれの現場での経験を共有する  グループワーク後の発表では、「まず丁寧に話を聴く」「相談してくれた姿勢を考える」など利用者の思いに共感する視点のほか、「システムの見直しを行う」「事前に施設のルールの説明をする」といったしくみづくりへの意見も出されました。「小さなことだけれど大きな苦情になりかねないから丁寧に」「怒っているのかどうか、日常会話の中で言われたら気づかないかも」など、普段の支援を振り返っての感想も聞かれました。  講師からは「『苦情』というより『要望』や『相談』というイメージを持つ方がよい」という助言の後「書物から得る知識や技術だけではなく、現場には現場ならではの有効なやり方があり、本研修がその共有の場となった」というまとめがありました。  また、参加者受講アンケートでは「様々な分野の取り組みが聞けて参考になった」「分野が違ってもプロセスに添った対応が大事だと学んだ」などの感想があり、オンライン研修という制約がありながらも有意義な話し合いが行われたことが分かりました。  運営適正化委員会では引き続き、苦情解決研修会・実践編Ⅱとして、参加者がそれぞれの事業者で対応した苦情事例を持ち寄って検討を行う研修の開催を予定しています。  今後も、現場職員の方々の苦情対応のヒントとなるような研修を企画・開催していきます。  (かながわ福祉サービス運営適正化委員会事務局) 〈コラム〉 ★冊子『苦情対応のヒント』をご活用ください!★  かながわ福祉サービス運営適正化委員会では、県内の福祉サービス事業者を対象として、5年度ごとに苦情解決体制の整備状況調査を実施しています。  令和3年度に行った調査の結果から事業者の状況を分析し、見えてきた課題をもとに、事業者で役立てていただくための冊子『苦情対応のヒント』を作成しました。 冊子では、対応のポイントを次の5つにしぼり、解説しています。 ◆これって苦情? ◆苦情対応は迅速丁寧に ◆苦情が難しくなっている? ◆しくみをつくる・活用する ◆苦情をサービスに活かすには? 各事業者での研修用資料や、マニュアルとしてご活用ください。 『苦情対応のヒント』 https://www.knsyk.jp/application/files/1416/9994/0355/r5_tekisei_hint.pdf 苦情解決体制整備への取り組みについて https://www.knsyk.jp/service/tekisei/jigyo 〈コラム終わり〉 P11 Information 本会主催の催し 令和5年度第3回福祉のしごとフェア ①働き方や魅力がわかる!「福祉のしごと就職支援ガイダンス」(事前申込制) ②直接聞ける、話せる!「福祉施設等就職相談会」(入退場自由) ◇日時=令和6年2月16日(金)①11時~12時30分 ②13時~16時 ◇会場=①ヨコハマジャスト3号館(崎陽軒本店)6階会議室 ②横浜新都市ビル(そごう横浜店)9階新都市ホール ◇対象=福祉の仕事に就きたい方、福祉の仕事に興味・関心がある方 詳細はHPで確認 HP:https://www.kfjc.jp/event/detail.asp?id=20948 ◇問合せ=かながわ福祉人材センター  TEL  045–312–4816 関係機関・団体主催の催し 令和5年度 川崎授産学園オンライン福祉講演会 絵本『すずちゃんののうみそ』から考える障害理解 ◇日時=令和6年2月23日(金)13時~15時 ◇開催方法=川崎授産学園での会場視聴、オンライン ◇参加費=無料 ◇申込方法=URLから申込み URL:https://mail-to.link/m8/fb5e9s ◇問合せ=(福)セイワ 川崎授産学園 TEL  044-954-5011 HP:https://seiwa-gakuen.jp 弘済学園「第33回こうさい療育・支援セミナー」 テーマ:生活を支える・家庭を支える ◇日時=令和6年3月1日(金)10時~16時 ◇開催方法=オンライン ◇参加費=無料 ◇申込方法=HPから申込み HP:https://www.kousaikai.or.jp/school/information/seminar/ ◇問合せ=(公財)鉄道弘済会 社会福祉第二部 こうさい療育・支援セミナー担当 TEL 03-6261-3199 本会事務局人事異動(令和6年1月1日付、管理職員のみ) 事務局長兼かながわ福祉サービス運営適正化委員会事務局長 新井隆 〈囲み〉 令和6年能登半島地震 令和6年1月1日に発生した石川県能登地方を震源とする地震について、本会ホームページにて情報を掲載しています。 本会災害関連情報 HP:https://www.knsyk.jp/bousai 全国社会福祉協議会 能登半島地震特設ページ HP:https://www.saigaivc.com/202401/notojishin/tokusetsu/ 中央共同募金会 義援金の募集について HP:https://www.akaihane.or.jp/saigai-news/gienkin134975/ 〈囲み終わり〉 P12 かながわほっと情報 はずかしい僕と助けたい僕―第46回神奈川県福祉作文コンクール県知事賞 萩原隼翔さん(伊勢原市立伊勢原小学校5年) 第46回神奈川県福祉作文コンクール 開催  令和5年12月9日、本会および県共同募金会の共催で「第46回神奈川県福祉作文コンクール」(後援:(株)神奈川新聞社など)の表彰式を開催しました。県内の小・中学校合わせて154校、4,928編の作文の中から審査会を経て、選考された最優秀賞16名、優秀賞20名、準優秀賞20名、合計56名が表彰されました。  審査委員長で(株)テレビ神奈川の福原直樹さんからは「コロナ禍で友人や親戚と会えない、学校が休校するなど特殊な時間を経験してきた子どもたちがつらい時期を乗り越え、コロナ禍以前よりも一層家族や友人、社会の人々を思い、日々の生活の中で自然に『福祉』について考えてくれたことを一人の大人として嬉しく思います。どの作品もキラリと光る芽を持っていて、審査する側の福祉の意識を試されている思いにもなりました。将来も福祉に関心を持ち、共に生き、支え合う社会をつくってくれると、確信しています」と講評をいただきました。 〈写真〉 講評をする福原審査委員長 〈写真終わり〉 最優秀賞 県知事賞 はずかしい僕と助けたい僕  県知事賞を受賞した萩原隼翔さん(伊勢原市立伊勢原小学校5年生)は、お兄さんの足の病気をきっかけに福祉について考えたことをつづっています。  「松葉杖で歩く兄の荷物を持ち、隣を歩いた時はみんなに見られて恥ずかしいという気持ちになったが、人目を気にせず堂々と歩く兄の姿をみて、恥ずかしいと思っていた気持ちが申し訳なくなった。足が不自由だからこそ必死に、そして前向きに頑張っている兄の姿を見て、自分にできる範囲で助けになるなら頑張ろうと思えた」と振り返りました。  「身近に困っている人がいて初めて気づくことがたくさんあった。福祉は自分ができる範囲でできることを強制されずにすることが、相手にとっても受け取りやすい助けになる」とこの体験を通して考えたことを語ります。  将来の夢は「パソコンを使ってゲームの企画や制作を行うゲームクリエイターになりたい」という萩原さん。お兄さんとの関わりを通して得た経験を大切にしながら、この先周りに困っている人がいたときには、優しく手を差し伸べている姿が目に浮かびます。  本会では、子どもたちがあたたかい心を育んでいく一助となれるよう、これからも福祉作文を通した福祉意識の醸成に向けて取り組んでいきます。(地域課) 〈写真〉 将来の夢をにこやかに話す萩原さん 〈写真終わり〉 〈囲み〉 第46回神奈川県福祉作文コンクールの入賞作品は、かながわボランティアセンターホームページで公開しています。子どもたちの心の声を、ぜひご一読ください。 〈囲み終わり〉 「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています バックナンバーはHPから ご意見・ご感想をお待ちしています!→https://form.gle/74aewHkEfzQ9ybJQ8 【発行日】2024(令和6)年1月15日(毎月1回15日発行) 【編集発行人】新井隆 【発行所】社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 〒221-0825 横浜市神奈川区反町3丁目17-2 TEL 045-534-3866 FAX 045-312-6302 【印刷所】株式会社神奈川機関紙印刷所