テキストデータ作成に当たって  このデータは、『福祉タイムズ』 vol.857 2023年4月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。  二重山カッコは作成者注記です。 P1 福祉タイムズふくしTIMES 2023.4 vol.857 編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 特集 住民参加と様々な主体の協働による誰もが尊重され安心して生活できる地域づくりの推進 NEWS&TOPICS P4 「災害時における要配慮者支援マニュアル作成指針」改定について 県医療危機対策本部室 P5 手をつなぐ先にあるもの 県社会福祉士会 連載 P8-9 連携・協働の今-新たなパートナーシップを目指して-① 今月の表紙 昨年開催された全国車いすマラソン・ジュニアクラスで優勝した岩本希心(のぞみ)さん。この春からは中学生。次の目標にむかって車いすで風をきって進む。【詳しくは12面へ】撮影:菊地信夫 P2 特集 住民参加と様々な主体の協働による誰もが尊重され安心して生活できる地域づくりの推進-令和5年度県社協事業計画・予算-  令和5年度は「神奈川県社会福祉協議会 活動推進計画」(計画期間3カ年)の最終年度にあたり、各市町村域における包括的支援体制の構築、福祉サービスの質の向上、福祉人材の確保・定着・育成への対応、災害時支援等の強化の取り組みなど、会員をはじめとした幅広い関係機関・団体等と連携・協働のもと進めていきます。また、少子高齢化の進展に伴う地域福祉推進上の課題を踏まえて、現行の活動推進計画の見直しを行います。 基本目標Ⅰ 市町村域における包括的支援体制整備の推進 包括的支援体制に向けて、県行政と協働し、「重層的支援体制整備事業」の先行地域の取り組みを共有しながら、県内各市町村での体制構築を目指して展開していきます。 市町村社協の総合相談機能の発揮に向けて、生活困窮者支援や日常生活自立支援事業などの個別支援部門と地域支援部門の協働による取り組みを進めます。 ケアラー・ヤングケアラーなど狭間の課題に対して、相談支援に関わる関係者のネットワークを構築するとともに情報提供や連絡調整を行い、地域でケアラー・ヤングケアラーを支える取り組みを支援します。 社会福祉法人が地域貢献活動として総合相談支援を行う「かながわライフサポート事業」は10周年を迎え、「関係機関向けパンフレット」等を基に、民生委員や地域の相談機関などに対して事業の周知を更に図りながら、本事業への利用につながるよう取り組みます。 基本目標Ⅱ 多様な参加の機会と役割を生み出す地域づくり ともしび基金を活用した助成により、複雑化する福祉課題の解決に向けて、多様な主体による多様な地域福祉活動を推進します。 民生委員児童委員部会事業、権利擁護推進事業、ケアラー支援専門員設置事業等を通じて把握した広域の福祉課題に対して、ボランティア団体等との協働による事業をモデル的に実施し、他地域への活動の普及を図ります。 ボランティアセンターのホームページを構築し、様々なボランティア活動に関する情報発信を行い、福祉課題と寄附や寄託ニーズ等のマッチングによる地域福祉推進財源や資源の醸成等につなげます。 基本目標Ⅲ 福祉サービスの質の向上にむけた取り組みの強化 国及び県を中心とした各種検討会における検討状況や検討結果などを踏まえ、「経営支援レポート」による定期的な情報発信や、経営者部会を中心とした部会・協議会の課題別の検討会等の検討結果などについて、報告書の発行や研修会の開催などを通して、広く周知を図りながら、福祉サービスの質の向上に取り組みます。 福祉・介護等の人材確保が社会的な課題となる中で、様々な経験やキャリアを持つ新たな人材に対し、 個々の職員の能力や状況にあった職員育成のあり方、キャリアパスの構築などを県内法人・事業者の実態に合わせて見直し、現場のニーズに合った提案を行います。次世代の担い手である生徒、学生等を対象に、福祉・介護の仕事の実際の内容と出会える場づくりや職業選択のための教材やリーフレットなどを作成・配布するとともに、実際の現場にかかわることができる機会を提供していきます。 福祉研修センターは、社会福祉事業従事者の専門性の向上にむけて、市町村社協等との連携、経営者部会・種別協議会及び職能団体と連携を図って事業を進めていきます。 事業推進に向けた本会組織・活動基盤の整備 部会・協議会活動や政策提言活動等から把握した福祉現場の課題を、会員をはじめとした関係機関・団体と共有・情報発信し、協働を進めていきます。 本会ホームページのリニューアルを図るとともにSNSを活用し、情報の速やかな受発信に努めます。 災害にかかる情報発信・情報共有の仕組みの整備に向けた検討を行うとともに、災害拠点に必要な備品の整備を行います。 (企画課) 事業計画・予算書はHPで公開しています http://www.knsyk.jp/s/global_syakyou/houkoku_ketusan_top.html P3 SPECIAL EDITION 基本目標と重点課題、令和5年度の対応事業について 本会活動推進計画では基本目標の達成に向け、基本目標に対して、会員をはじめ関係者とともに重点的に取り組む「重点課題」を設定しています。令和5年度は下表のとおり、重点課題に対応する計画事業を定め、本会事業間の連携を図り事業を推進します。 〈表〉 基本目標Ⅰ 市町村域における包括的支援体制整備の推進 【重点課題】 包括的支援体制構築のための総合的な相談支援の推進  市町村社協や福祉施設・事業所等との協働により、市町村域における総合的な相談支援の推進や相談に対応する人材を育成します。  総合的な相談支援の推進のため、本会会員間や本会で実施する事業間において、市町村の状況や課題等の情報把握・共有を強化し、それぞれの市町村の総合的な相談支援について、住民や関係者が行政等と協働して推進できるよう支援します。 計画事業Ⅰ-1-(1)総合的な相談支援の基盤づくり支援 ①市町村域の現況把握と課題共有の充実 ②総合的な相談支援を担う人材の確保・育成 ③相談支援推進ネットワーク形成の促進 計画事業Ⅰ-1-(2)市町村社会福祉協議会との協働 ①市町村社協部会事業の実施 ②行政や多様な主体との連携による地域福祉推進実践への支援 計画事業Ⅰ-1-(3)社会福祉法人との協働 ①経営者部会事業の実施 ②かながわライフサポート事業の実施 基本目標Ⅱ 多様な参加の機会と役割を生み出す地域づくり 【重点課題】 地域での活動の関係性を広げるコーディネートへの支援  地域における活動の活性化や新たな地域活動が創出され、多様な主体による地域づくりの取り組みが推進されるよう、活動と活動、活動と人とを効果的につなぐコーディネート機能の強化を図り、地域で関係性が広がるコーディネートへの支援を行います。 計画事業Ⅱ-1-(1)活動を広げるコーディネートの推進 ①当事者活動・ボランティア活動の支援 ②ボランティアコーディネーター等の人材育成 ③寄附文化の醸成 ④災害ボランティア支援ネットワーク形成事業の実施 基本目標Ⅲ 福祉サービスの質の向上にむけた取り組みの強化 【重点課題】 多様な福祉人材が活躍する職場環境づくり  多様な福祉人材に向けて、法人・福祉施設・事業所自らが取り組む職員育成や働きやすい職場づくりが、より効果的なものとなるよう支援します。 計画事業Ⅲ-1-(1)社会福祉法人・施設等の専門性を活かした取り組みの推進 ①法人・施設の経営・運営支援事業の実施 ②経営者部会事業の実施 ③施設部会・種別協議会事業の実施 (関連事業) 計画事業Ⅲ-2-(1)福祉人材育成研修の充実 ①組織性を高めるための研修の実施 ②専門性を高めるための研修の実施 ③有資格者向け専門的技能等の確保・向上研修の実施 ④研修実施機関等との連携・調整 (関連事業) 計画事業Ⅲ-3-(1)福祉人材センター機能の強化 ①求職者・求人事業者への相談支援事業(無料職業紹介事業)の実施 ②福祉・介護事業に関する各セミナー・就労ガイダンスの実施 ③福祉・介護の仕事を知る体験事業の実施 ④社会福祉事業等従事者の確保に関する調査研究事業の実施 ⑤介護福祉士等有資格者届出制度事業の実施 ⑥福祉人材センターの認知度向上に向けた取り組み ⑦神奈川県介護人材確保対策推進会議運営等事業 〈表終わり〉 〈表〉 令和5年度 総合資金収支予算書【収入総額】 (自)令和5年4月1日(至)令和6年3月31日(単位:千円) 会計及び事業区分、拠点区分→→→当初予算額→前年度予算額→増減 総合計→→→11,984,082→16,855,826→△4,871,744 1 一般会計→→→5,634,214→6,796,738→△1,162,524 →(1)社会福祉事業区分→→4,947,147→5,439,685→△492,538 →→社会福祉事業拠点区分→4,947,147→5,439,685→△492,538 →(2)公益事業区分→→605,737→1,263,971→△658,234 →→公益事業拠点区分→605,737→1,263,971→△658,234 →(3)収益事業区分→→81,330→93,082→△11,752 →→収益事業拠点区分→81,330→93,082→△11,752 2 生活福祉資金会計→→→6,349,868→10,059,088→△3,709,220 →生活福祉資金特別会計→→4,688,896→9,026,797→△4,337,901 →県単生活福祉資金特別会計→→554→659→△105 →生活福祉資金貸付事務費特別会計→→1,571,093→942,307→628,786 →要保護世帯向け不動産担保型生活資金特別会計→→88,002→88,002→0 →臨時特例つなぎ資金特別会計→→1,323→1,323→0 ※総合計及び一般会計の計上額は内部取引高を含む総額表示 〈表終わり〉 P4 NEWS&TOPICS 「災害時における要配慮者支援マニュアル作成指針」改定について―市町村における要配慮者支援の取り組みの促進 はじめに  近年の大規模災害では、高齢者や障がい者といった災害時要配慮者が多数犠牲となっており、これらの方々への支援は大変重要です。  平成7年の阪神・淡路大震災で、高齢者や障がい者、外国人といった方々に対して、災害発生直後の安否確認や迅速な救出、被災後の生活等での十分なケアなどができなかったことを教訓に、本県においては平成8年に「災害時における災害弱者支援マニュアル作成指針」を策定しました。その後、平成15年には、ボランティア団体等との連携強化や介護保険制度などの新たな制度への対応のための改正を行うとともに、名称を「災害時における要援護者支援マニュアル作成指針」に改め、平成19年には、個人情報保護法や市町村の個人情報保護条例の趣旨を踏まえた要配慮者の情報把握についての改正を行うなど、災害時における要配慮者の支援に取り組む際に留意する事項や参考となる事項を取りまとめ、市町村に示してきました。  一方、国においては、令和3年5月に災害対策基本法が改正され、避難行動要支援者ごとの個別避難計画作成を市町村の努力義務とするなどの規定等が創設されました。また「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」の改正により、個別避難計画は、地域の実情に応じて、改正法施行後、概ね5年程度で作成に取り組むことや「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」の改正により、指定福祉避難所の指定の促進と、指定福祉避難所へ直接避難できる体制の整備について示されました。 指針の改定(令和5年3月)  本県では、前述した法改正や国の動き、東日本大震災をはじめ、近年頻発している自然災害の教訓を踏まえつつ、市町村における要配慮者支援の取り組みを更に促進するため、作成指針を改定しました。  今回の指針改定の主なポイントは、次の2点です。 (1)災害対策基本法の改正(令和3年5月)に伴う記載内容の整理等  令和3年5月の災害対策基本法の改正で、市町村には避難行動要支援者ごとの個別避難計画の作成が努力義務とされるなど、新たな規定が設けられました。また「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」も改定され、個別避難計画の作成目標が定められるなど、国における対策が強化されました。  これらを反映し、市町村における個別避難計画の作成を促進するために個別避難計画の作成・活用についての記載を充実させました。 (2)「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」の改定(令和3年5月)に伴う記載内容の整理  令和3年5月に、指定福祉避難所の指定を促進するとともに、事前に受入れ対象者を調整して、人的物的体制の整備を図ることで、災害時の直接の避難等を促進し、要配慮者の支援を強化するために、福祉避難所の確保・運営ガイドラインの改定が行われました。  具体的には①指定福祉避難所の指定及びその受入対象者の公示(災害対策基本法施行規則の改正に伴う措置)②指定福祉避難所への直接の避難の促進③避難所の感染症・熱中症、衛生環境対策等の記載が追加されました。  これらを反映し、指定福祉避難所を指定する際の検討すべき項目を整理しました。 終わりに  本指針の改定にあたっては、県内市町村と関係団体に文書照会するとともに、一部の団体にはヒアリングを実施しました。  また、改定素案に対するパブリック・コメントを行ったところ、合計30件のご意見を頂きました。貴重なご意見を応募いただきました皆様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。  今後とも引き続き、市町村における災害時の要配慮者支援の取組の促進に努めてまいりますので、皆様のご理解と一層のお力添えを賜りますようお願い申し上げます。 (県医療危機対策本部室) 〈囲み〉 災害時における要配慮者支援マニュアル作成指針 目次 1 基本的な考え方 1-1 作成指針の目的 1-2 要配慮者の定義と特徴 1-3 自助、共助、公助 1-4 国・県の関連指針と要配慮者支援の流れ 1-5 情報伝達 1-6 啓発・訓練、受援力 1-7 ボランティアとの連携 2 避難行動支援 2-1 避難行動要支援者 2-2 施設入所者 2-3 外国人 3 避難生活支援 3-1 避難所等 3-2 社会福祉施設 3-3 在宅 3-4 応急仮設住宅 3-5 医療的ケア 3-6 メンタルケア 3-7 外国人 4 広域支援 4-1 広域支援体制の確立 4-2 外国人 〈囲み終わり〉 P5 NEWS&TOPICS 手をつなぐ先にあるもの―刑事司法ソーシャルワーカーとして求められるもの 神奈川県社会福祉士会の取り組み  県社会福祉士会では、平成21年に地域生活定着支援事業(現在は地域生活定着促進事業)が制度化された翌年、「地域生活定着支援センター(以下、センター)」事業を県から受託しています。この事業は、矯正施設に収容される障害・高齢者受刑者が、いずれも福祉サービスにつながらないケースが多く、出所後に再び罪を犯してしまうといった課題に対応するものです。 〈写真〉 刑事司法ソーシャルワーカー養成研修の様子 〈写真終わり〉  この対応の一つとして、地域で支える関係機関への啓発や連携のためのネットワーク構築の必要があり、これを会独自の事業として位置づけ、平成23年から「司法福祉ネットワーク委員会(以下、委員会)」として活動を続けています。  この委員会は、特に司法等関係者(検察、裁判所、弁護士、警察)が、高齢や障害のある被疑者・被告人などの対象者に接することの難しさから、本来の正しい判断に結びつかないケースに対し、障害や症状を理解した上で正しい判断をしていくため「司法と福祉」が連携し、被疑者・被告人と向き合うための支援活動を行う事を目的に、定期的な会議や勉強会を開催しています。  ネットワークでは、逮捕後の拘留中の裁判における弁護支援と、判決後の継続的な生活のための更生支援計画書作成を行う「入口支援」と言われる支援を行います。委員会では、活動開始以降、県弁護士会と協定を締結し、この活動のために協働しています。  一方、センターでは、特別調整として選定された対象者に、再犯防止の視点から出所後の生活支援をし、評価を行う、いわゆる「出口支援」を行います。この「入口支援」と「出口支援」にあたって、委員会では「福祉サービスにつながることで再犯防止につなげる」というよりも「福祉サービスにつながりづらいことで罪を犯す可能性がある」ことに注目しながら、司法関係者と福祉関係者が協力し合って被疑者被告人の矯正施設退所に際し、福祉の支援につなぐ事を重要な役割としています。  さらに福祉の立場から見ると「福祉の支援が必要な者」というよりは「社会的に孤立した立場の人」と言えます。そのような人が、繰り返し罪を犯さざるを得ない状況になってしまうのを、福祉的な支援を行うことで、地域社会における居場所を見つけて、再犯防止につなげます。そのためには、地域における連携が重要であり、保護司、協力雇用主、更生保護施設、福祉施設等の社会資源のネットワークづくりが欠かせません。 人材育成に向けて  全国的にも「司法と福祉」両面からのアプローチによる継続的な活動が進められ「矯正施設への福祉職の配置」「地方検察庁への福祉アドバイザーの配置」「裁判における証人出廷」など、様々な改革が進められており、司法福祉の現場が少しずつより良い方向に変化していることを実感しています。  県社会福祉士会は、センターにおける研修実施のほかに、委員会としても定期的な講演や研修会を開催し、それを契機に継続的な勉強会への参加につながるように、ネットワークづくり、土台作りを続けています。  近年、統計的に犯罪率(初犯)は減少してはいるものの、その中における「再犯率」は増加しているのが現実です。その半数近くが「窃盗」となっており、再犯者傾向としては「高齢者」が占める割合が高くなっています(全受刑者のうち16%が65歳以上。令和4年犯罪白書より)。まさに、起訴後の支援体制の構築や、出所後の福祉サービス等の利用が必要とされるケースが増加しているということになります。  このような現況からも、県社会福祉士会の活動には、社会福祉士のメンバーに限らず保護司、福祉事業所、医療機関、行政関係、教育関係の各分野による多職種が参加しています。県社会福祉士会では連携を強化すると同時に、それを担う人材を養成することを目指しています。  「福祉の支援が必要な者」は、単に福祉の支援のサービスだけを必要としているのではなく、「社会的に孤立した立場の人」です。連携によって「手をつなぐ先にあるもの」を一人でも多くの方と求めていきたいです。(県社会福祉士会) P6 福祉のうごき 2023年2月26日~2023年3月25日※新聞等掲載時点 ●厚生労働省 令和5年度介護保険負担額過去最高  厚生労働省は2月27日、令和5年度に40~64歳の人が負担する介護保険料の推計が、平均1人あたり6216円になると発表した。背景には高齢化の進行、介護サービス利用者の増加があり、過去最高を更新した。 ●生活保護申請 3年連続増加  厚生労働省は3月1日、令和4年12月の生活保護の被保護者調査の結果を公表した。これにより、生活保護申請が前年に比べて0.8%増の23万6995件となり、3年連続で増加したことがわかった。 ●厚生労働省 令和4年の出生数、過去最少  厚生労働省は2月28日、令和4年に生まれたこどもの数が統計開始以来、初めて80万人を下回ったと発表した。出生率の減少は7年連続。 ●厚生労働省 障害者虐待 最多2693件  厚生労働省は2月24日、障害者が家族や福祉施設・事業所の職員から受けた虐待は2693件あったと発表した。虐待の件数は令和2年度から増えて過去最多を更新した。 ●横浜市 不適切保育に関する専用窓口を設置  横浜市は3月7日、令和5年4月1日から保育所等の不適切保育について相談や通報を受け付ける「専用相談窓口」を設置すると発表した。また、不適切保育の相談や通報を受け付ける「専用相談窓口」と行政への助言を行う外部専門家を新たに導入することで、より一層安全安心な保育の提供につなげる。 ●本会 かながわライフサポート事業10周年記念シンポジウムを開催  本会は、2月28日にかながわライフサポート事業10周年記念シンポジウムを開催した。本事業は、本会経営者部会会員が参加法人として協力しながら、生活の総合相談支援に取り組んでいる。なお、シンポジウムの様子は4月20日から6月30日までネット配信予定。 かながわライフ10周年シンポで検索 P7 私のおすすめCHECK! ◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。 親子で水辺の生き物とのふれあいを楽しもう!  花のつぼみが開き、蝶が舞い始めて、春真っ盛り。川の水がぬるみ、魚たちもイキイキと泳ぎだす季節です。私たちもどこかへおでかけしたくなりますよね。  そこで今回は、県内の2つの水族館をご紹介。エサやりをしたり、間近で観察したり、水辺の生き物とのふれあいを楽しむと、子どもたちの思いやりの心が育ち、命の大切さに気づくきっかけになるかもしれません。 今月は→NPO法人 ままとんきっずがお伝えします! 今年で子育て支援活動30年目。お母さんたちが主体となって、親子が集うサロン、グループ保育、一時保育、各種講座、産後サポート、子育て支援センター、小学校での寺子屋事業、中学校での赤ちゃんふれあい体験事業などを運営。情報誌・単行本の発行物は45冊を超え、一部は海外でも翻訳出版。乳幼児から小中学生まで幅広い子育て支援により、地域の活性化を目指し、活動の場を広げている。 〈連絡先〉〒214-0011 川崎市多摩区布田24-26 TEL044-945-8662 FAX 044-944-3009 HP:https://mamaton.jpn.org ◆手を水槽に入れる餌付けでふれあいを体感 「相模川ふれあい科学館 アクアリウムさがみはら」  相模川の水源から河口までの流れや水辺を再現した屋内外の水槽に約100種類の生き物が暮らし、日常では見られない川の中の様子を観察できます。展示には子どもも大人もわくわくするような工夫があり、飼育スタッフさんによる解説イベントも人気。魚のぬりえやクイズ、工作ワークショップを楽しむこともできます。  解説イベントの「ふれあいワゴン」では、飼育スタッフさんがさまざまな生き物を紹介。実際に触って、感じて、知ることで生き物が好きになり、初めは怖がっていた子もやさしく触れるようになるそうです。  毎日実施の「お魚にごはん」は、エサを持った手を水槽に入れると魚たちが大集合。おちょぼ口で手をつつかれる感触がくすぐったくて、みんな笑顔になります。 〒252-0246 相模原市中央区水郷田名1-5-1 TEL  042-762-2110 FAX 042-761-2665 9:30~16:30(最終入館16:00)、月曜休 大人450円、小・中学生150円、幼児無料 ◆川崎駅前の商業施設に再現された世界各地の水辺 バックヤードツアーも楽しい「カワスイ 川崎水族館」  多摩川からアジア、アフリカ、アマゾンの熱帯雨林まで、約300種類の生き物が生まれ育った環境を重視した展示を巡ると、世界の水辺を旅しているかのよう。それぞれの環境の違いがわかり、大きい子たちには生き物の生態系や環境のことを考える場になるそうです。  南アメリカの大湿原が再現され、約8000匹の小魚が泳ぐ「パンタナル水槽」では毎日2回、エサやり体験を開催。  曜日ごとに行われる「飼育員解説」では、ピラルクやテッポウウオの特徴やエサの食べ方を教えてもらえ、子どもたちは興味津々です。  土日祝に開催される「バックヤードツアー」(要予約)は、水槽の裏側や飼育現場を探検。魚たちをより間近で観察できます。  どちらの水族館も、イベントの開催日時は公式HPをチェック。春の陽気の中、ぜひおでかけください。 〒210-0024 川崎市川崎区日進町1-11 川崎ルフロン9-10F TEL  044-222-3207(受付10:00~18:00) FAX 044-222-3208 10:00~20:00(最終入館19:00)、無休 大人2000円、小・中学生1200円、4歳以上600円 P8 ー新たなパートナーシップを目指してー 連携・協働の今  連載 連携・協働の今① 地域生活課題の解決と神奈川のソーシャルワーク  新連載では、全6回に渡り、制度の狭間の課題解決に向けて取り組む連携・協働によるソーシャルワークの実践をお伝えしていきます。初回となる今回は、連携・協働が求められる背景や神奈川の取り組みなどについてみていきたいと思います。 「地域生活課題」の解決に向けて  近年、8050問題・ダブルケア・ヤングケアラー・ゴミ屋敷など、生活課題が複合的に絡み合い、対象者別・機能別の従来の福祉制度で対応しきれず、対応が困難となっている〝制度の狭間〟の課題が顕在化しています。では、この狭間の課題に対して、法や施策はどのように対応しているのでしょうか。  地域共生社会に向けた一連の改革では狭間の課題の解決のため、包括的な支援体制の構築を目指した議論がなされてきました。これを受けて平成29年の改正社会福祉法には、条文中に「地域生活課題(※)」という言葉が登場します。ここでは、支援を必要とする住民・世帯が抱える地域生活課題を住民や福祉関係者が把握し、関係機関との連携等による解決が図られることを目指すものとされました。 〈囲み〉 (※)地域生活課題 福祉、介護、保健、医療に限らない、住まい、就労及び教育や地域社会からの孤立など生活上の分野を問わない多様な課題「新版・社会福祉法の解説」(社会福祉法令研究会・中央法規・令和4年11月) 〈囲み終わり〉  また、従前の社会福祉法では地域福祉の推進主体は、住民、社会福祉を目的とする事業を経営する者、社会福祉に関する活動を行う者とされていましたが、国・地方公共団体においても地域福祉推進に必要な措置を講ずるものとして明記され、併せて市町村には地域生活課題に資する支援が包括的に提供される体制を整備するよう努めるものとされました。  続く令和2年の法改正では、包括的支援体制整備として、重層的支援体制整備事業をはじめとする地域の実情に応じた措置を通じて、相談支援、参加支援、地域づくりを一体的に実施することを市町村の努力義務と規定しています。この包括的支援体制の構築にあたっては、分野・領域を超えた連携・協働が求められています。 さらなる連携・協働に向けて  ここ数年に及ぶコロナ禍では生活に困窮する人々が急激に増加しています。その間、全国レベルで社協と社会福祉法人の連携・協働の動きが進んでいます。  社会福祉法人制度改革では、社会福祉法人に地域における公益的な取り組みを実施する責務が課されましたが、全社協地域福祉推進委員会は、これを地域福祉を進める好機と捉え、令和2年に全国経営者協議会とともに「ともに生きる豊かな地域社会の実現に向けた共同宣言」を公表。この中では、都道府県域のネットワークに加えて「市区町村域や日常生活圏域に連携・協働の場をつくること」が方策の一つとして盛り込まれ、令和3年度の推進方策(図1)につながっていきます。包括的な支援体制の構築に向けては、市区町村単位、さらには日常生活圏域で、地域に暮らす人により身近な地域で連携・協働の場づくりが求められています。 P9 神奈川における連携・協働  本会市町村社協部会では「かながわの社協からの提案2014」により「個別支援」と「地域支援」の2つの機能を一体的に推進することにより、狭間の課題を地域全体の課題としてとらえ、予防・解決できるまちづくりをすすめることを「社協の総合相談」と整理し、その推進に取り組んできました。さらに、地域共生社会、包括的支援体制構築という方向性をふまえ「かながわの社協指針2020」を策定し、「社協の総合相談」を生かした取り組みを推進しています。  また、創設10年を迎えた「かながわライフサポート事業」は、社会福祉法人の公益的な取り組みや生活困窮者自立支援法が法制化される以前から、本会経営者部会会員が参加法人として協力しながら取り組んできました。これは、社会福祉法人が創設された頃の原点に返り、目の前の支援が必要な人々のために、地域の関係者が連携・協働し、社会的使命として総合的な生活相談を支援するものです。参加法人はコミュニティソーシャルワーカーを配置し、制度の狭間にある人々のために本人に寄り添った支援活動を行っています。 このように、神奈川では、地域に暮らす人々の生活課題の解決のため、連携・協働による様々なアプローチによって展開されてきました。  人口減少の波は社会経済の担い手の減少を招き、さらには空き家や商店街の空き店舗などの様々な課題を顕在化させ、地域社会の存続を揺るがしています。そんな今求められるのは、アイデアを持ち寄り、人材・物資・財源を確保して、生活課題を抱える人を含めたあらゆる人々を包摂する持続可能な地域を創っていくことです。  新連載では、社会福祉法人と社協、複数の社会福祉法人、NPOや企業、地域住民等のネットワークなど、産業・分野・領域を超えてつながりながら、地域生活課題の解決を目指して連携・協働する神奈川のソーシャルワークの実践をお伝えしていきます。(企画課) P10 県社協のひろば 現場から魅力を伝えます!--「福祉・介護の仕事の魅力」  かながわ福祉人材センターは令和4年度赤い羽根共同募金の配分金を受け、福祉・介護の仕事や職場を紹介する動画を作成しました。作成にあたっては県内4カ所の事業所(特別養護老人ホーム、障害者就労支援事業所、訪問介護事業所、児童養護施設)にご協力をいただき、それぞれの現場で働く職員から仕事の魅力を発信してもらいました。 〈写真〉 外国籍の介護職員、絶賛活躍中! 〈写真終わり〉  撮影した映像は「高齢、障害、児童など、対象別にさまざまな働き方があること」「新卒、中途採用はもちろん、外国籍の方や企業OBなどさまざまな職員が働く場でもあること」「働き方改革等も含め、職員が生き生きと働くことができるよう配慮された職場環境が用意されていること」、そして出演いただいた職員が感じている「やりがいを伝える」などのテーマに分けて構成しています。それぞれのテーマごとに、5分から10分程度の気軽に視聴できる動画に仕上げました。  「どんな職場ですか」の問いかけに「職場が楽しいから休日でも来てしまう」「毎日違うから新鮮でいられる」「かかわった子どもの成長が実感できるまで見守り続けたい」など、現場職員ならではの素敵なメッセージが詰まっています。 〈囲み〉 動画はこちら https://www.kfjc.jp/movie.html 〈囲み終わり〉  映像はかながわ福祉人材センターのホームページ上のコンテンツ「ようこそ!」からご覧いただけます。福祉の仕事の内容や現場の雰囲気を知ってもらう機会として、広くご活用ください。  福祉人材センターは、これからも仕事や職場の魅力を発信し、ひとりでも多くの方が福祉で働く仲間になっていただけるよう努めていきます。 (福祉人材センター) 〈写真〉 登下校の付き添いも児童養護施設職員の仕事 〈写真終わり〉 〈表〉 〈採用活動にご利用ください〉 令和5年度福祉のしごとフェア(予定) 日程→会場(最寄駅) 令和5年6月17日(土)→日石横浜ホール(桜木町駅) 令和5年10月14日(土)→パシフィコ横浜アネックスホール(みなとみらい駅) 令和6年2月16日(金)→新都市ホール(横浜駅) ※求人事業所登録済みの法人・事業者に、2カ月前を目途に詳細を案内します。 令和5年度保育のしごと就職相談会(予定) 日程→会場(最寄駅) 令和5年7月8日(土)→日石横浜ホール(桜木町駅) 令和5年7月29日(土)→鎌倉芸術館(大船駅) 令和5年9月2日(土)→ユニコムプラザ相模原(相模大野駅) 令和5年11月11日(土)→大和市民活動交流拠点ポラリス(中央林間駅) 令和5年11月28日(火)→麻生市民会館(新百合ヶ丘駅) ※所轄保育課より募集案内をします。 〈表終わり〉 P11 Information 役員会の動き ◇理事会=3月20日(月)①副会長の選任②各種委員会委員の選任③令和5年度事業計画並びに収支予算(案)④令和5年度資金運用計画(案)⑤職員就業規程の一部を改正する規程(案)⑥職員給与規程の一部を改正する規程(案)⑦非常勤職員就業規程の一部を改正する規程(案)⑧再雇用規程の一部を改正する規程(案)⑨評議員会の招集 ◇評議員会=3月29日(水)①令和5年度事業計画並びに収支予算(案) 本会事務局人事異動 (令和5年4月1日付、管理職員のみ) 【総務企画部】部長兼企画課長 小野真由美【地域福祉部】部長兼県民生委員児童委員協議会事務局長 寺島隆之、生活支援担当参事 黒澤勝雄、地域課長兼県民生委員児童委員協議会事務局次長 志田淳一【福祉サービス推進部】部長 橋本謙、参事兼福祉サービス推進課長兼かながわ福祉サービス運営適正化委員会事務局長 井上直、福祉サービス推進課長 大関晃一【かながわ福祉人材研修センター】所長 渡邊朋子 寄附金品ありがとうございました 【交通遺児等援護基金】 (株)エスホケン、(一社)神奈川県自動車会議所、アトミクス(株) 【子ども福祉基金】(株)エスホケン、脇隆志 【ともしび基金】そうてつローゼン港南台店、(福)よるべ会ぽいんと・1 (合計7件 3,082,290円) 【寄附物品】湘南弦楽合奏団、(株)SL Creations 【ライフサポート事業】 〈寄附物品〉(N)セカンド・ハーベストジャパン (いずれも順不同、敬称略) 〈写真2点〉 本会会員の児童福祉施設へYokohamaAirCabin乗車チケットを寄贈いただき、令和5年2月8日、(株)横浜銀行細田順太郎部長(右)へ感謝状を贈呈 児童福祉施設協議会へおせちを寄贈いただき、令和5年3月13日、(株)SL Creations佐藤健代表取締役社長(中央)、鈴木博昭常務取締役(左)へ感謝状を贈呈 〈写真2点終わり〉 みんなのいいね 読者投稿コーナー  読者の皆様からの街や職場等で見つけた“ほっとするもの”の写真投稿コーナーをつくります。  お写真とともに、一言メッセージ(50字程度)をお寄せください。  写真・メッセージと共に、投稿者のイニシャル・お住まいの市町村を掲載いたします。  採用された方には、ささやかですが、図書カードをお送りいたします。  投稿は①写真②一言メッセージとタイトル③氏名④住所⑤連絡先(電話番号・メールアドレス)を記載して、以下の宛先までお送りください。皆様の投稿をお待ちしております。 【投稿先】 郵送の場合:〒221-0825 横浜市神奈川区反町3丁目17-2 神奈川県社会福祉センター7階 福祉タイムズ読者投稿係 〈囲み写真〉 いちごの花  バスツアーでいちご狩りへ。いちごの花も咲いていましたが、大きな実をつけるとは思えない小ぶりな花。その健気な姿にほっこりしました。(KAさん・横浜市) 〈囲み写真終わり〉 P12 かながわほっと情報 車いすで風を切る 車いすマラソン金メダル 岩本 希心(のぞみ)さん(横浜市鶴見区)  昨年12月に「第23回全国車椅子マラソン『日産カップ追浜チャンピオンシップ2022』」が開催されました。この大会は、日産追浜工場と地域住民等との協働運営により開催されています。この大会でジュニアクラス(小学生)の大会新記録で優勝した岩本希心さんにお話を伺いました。  希心さんは鶴見区内の小学校に通う6年生です(取材時)。小学3年生の時に日産カップのことを知り、チャレンジしたところ初めて参加したにも関わらず、3位に入賞を果たしました。 〈写真〉 日産カップでの疾走 〈写真終わり〉  その後、優勝を目指して練習を続けてきましたが、コロナ禍で大会は2年間中止になりました。しかし、そんなブランクをものともせず3年ぶりに開催された今大会で見事に優勝を獲得しました。レースの終盤は「やめたくなった」と言うほどつらかったそうですが、最後まで頑張って2・5kmを14分21秒というジュニアクラスの大会新記録までも樹立しました。  車いすマラソンの楽しいところは「競争するのが楽しいです。また勝った時にメダルをもらえるのが最高に嬉しいです」とにこやかに言います。また難しいところは「どうやったらタイムを縮められるかが難しいです。今回は肩甲骨の使い方を意識して練習しました。つらいところは、ずっとこいでいると前傾しているので腰が痛くなり、とても疲れます」と教えてくれました。  そんな希心さんの活躍を支えているのがお母さま。普段練習をしているスポーツセンター(横浜ラポール)への送迎、トラックを何周走るか、何分で走るかといった計画の作成、練習では走行中のタイムの測定をしてくれています。 また、学校には希心さんのことを親身に相談にのってくれる先生がいます。希心さんはこの先生にとても感謝しており、いつか先生の首に金メダルを掛けてあげたい、と思って頑張ってきたそうです。  さらに、一昨年から車いすテニスを始めた希心さん。車いすテニスのパラリンピック選手から、一こぎで大きく進める肩甲骨を意識した練習方法を教えてもらった、と嬉しそうに話してくれました。このように、希心さんは周りの多くの人たちのあたたかい支援も受けながら、持ち前のガッツで目標を達成しました。  これからも風を切って疾走する希心さんの活躍を期待したいと思います。 (企画課) 〈写真〉 金メダルを掛けた希心さん 〈写真終わり〉 「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています バックナンバーはHPから ご意見・ご感想をお待ちしています!→https://form.gle/74aewHkEfzQ9ybJQ8 【発行日】2023(令和5)年4月15日(毎月1回15日発行) 【編集発行人】新井隆 【発行所】社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会  〒221-0825 横浜市神奈川区反町3丁目17-2 TEL 045-534-3866 FAX 045-312-6302 【印刷所】株式会社神奈川機関紙印刷所