テキストデータ作成に当たって  このデータは、『福祉タイムズ』 vol.860 2023年7月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。  二重山カッコは作成者注記です。 P1 福祉タイムズふくしTIMES 2023.7 vol.860 編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 特集 介護人材確保対策と 「神奈川の介護福祉」~多様な介護人材の確保、職員育成の考え方をもとに~ NEWS&TOPICS P4 人と地域をつなぐ「やさしい日本語」多文化高齢社会ネットかながわ(TKNK) P5 孤独・孤立対策推進法が公布ー孤独・孤立は社会全体の課題 連載 P8 連携・協働の今-新たなパートナーシップを目指して-④ 今月の表紙 横浜市で20年以上保護司として活動する村田輝雄さん。 “犯罪や非行をした人”ではなく、一人の人として同じ目線で立ち直りを支える。 ※「幸福の黄色い羽根」は犯罪のない幸福で明るい社会を願うシンボルとして使用されています。【詳しくは12面へ】撮影:菊池信夫 P2 特集 介護人材確保対策と「神奈川の介護福祉」~多様な介護人材の確保、職員育成の考え方をもとに~  少子高齢化が進展する今日、“地域での生活を支える”地域包括ケアシステムの構築が進められる中で、介護人材不足が深刻化しています。このような状況の中で介護人材の確保と併せて、福祉・介護の仕事の継続(定着)、人材育成の難しさが課題として改めてあげられています。  今回は、本県の介護人材確保対策の基盤整備に位置付けられる「神奈川県介護人材確保対策推進会議」の取り組みをとおして、介護人材確保対策推進会議が提唱する[「神奈川の介護福祉」・5つの視点]についてお伝えし、他業種からの転職者、外国籍県民、中高年者など、多様な人材が介護福祉の世界に安心して参入でき、個々の役割や能力を生かすための環境の整備や処遇の改善、これからの「神奈川の介護福祉」について考えます。 増え続ける老年人口 深刻な介護人材不足  現在の本県の総人口は923万1177人、生産年齢人口(15歳から64歳)が562万7097人、老年人口(65歳以上)が232万4007人となっています(注・令和4年1月1日現在)。自治体ごとの偏りはありますが、県全体ですでに4人に1人が高齢者であり、人口減少と少子高齢化は確実に進んでいます。後期高齢者の増加は認知症や寝たきりなど、医療的ニーズや要介護人口の増加へとつながることから、さまざまな制度・施策などによる地域包括ケアシステムの構築が進められてきました。なかでも「介護人材確保」は重要テーマになっています。  本県の「介護人材確保」の現状では「かながわ高齢者保健福祉計画(第8期2021年度から2023年度)」によると、本県の介護人材にかかる必要数約17・4万人に対しての供給数は、令和7年度に約15・3万人となり、約2・1万人が不足すると予測されています。とくに、介護人材の確保(採用率)は、離職(率)との関係が深く、介護職の離職を止めるための対策の強化や法人・事業所が変わっても、介護分野で働き続けるための仕掛けが必要であるという声が多く聞かれます。 多様な介護人材の参入を受けて  こうした介護人材不足に対し、これまで福祉・介護の現場では、介護福祉士などの有資格者と並行して、無資格・未経験者を多く受け入れてきました。この動きにより、誰でも簡単に参入できると誤解を受けることもありますが、入職後に専門的な研修を受け、知識と技術を身に付け、なかには働きながら介護福祉士の資格取得を目指す人も少なくありません。また、研修等によらず、日々の実践から知識と技術を修得するだけでなく、高齢者の生活やニーズに触れ、人間理解、人権尊重等の倫理や福祉観を自ら育んでいくことが求められています。  一方、昨今は、コロナの影響により、介護福祉の実践教育の場面でも実習や見学の見送り、あるいは延期などが続き、オンラインでの研修が実施されてきましたが、従来に比べ、明らかに実習の機会や時間数が激減しています。  人材確保のその先として、今後、新人介護従事者によるサービスの質を確保するため、これまで以上に入職後の現場教育の拡充が必要となっていると言われています。 〈囲み〉 (注)神奈川県年齢別人口統計調査結果報告 ※令和2年国勢調査の年齢別人口を基礎数値とする推計値 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/x6z/tc30/jinko/nenreibetu.html 〈囲み終わり〉 〈表1〉 (表1) 令和5年度 福祉・介護人材養成・確保に関する事業一覧 事業区分→→事業名 1 多様な人材の確保→基盤整備→(1)介護人材確保対策推進会議事業 →→(2)かながわ福祉人材センター事業 →介護の仕事の理解促進・魅力発信→(3)介護や介護職の理解促進事業 →→(4)普及啓発事業費補助 →→(5)介護フェアinかながわ事業 →→(6)介護の魅力発信動画作成・広報事業 →多様な人材層に応じたマッチング機能強化→(7)介護助手導入促進事業 →→(8)多様な働き方導入検討事業 →→(9)外国籍県民就労支援事業 →→(10)外国人留学生介護分野受入環境整備事業 →→(11)EPAに基づく介護福祉士候補者支援事業 →→(12)外国人介護人材受入施設環境整備事業補助 →→(13)外国人技能実習生等資質向上研修事業 →→(14)【新】地域生活チャレンジサポート事業 →就労未経験者の就労定着促進→(15)介護未経験者参入促進事業 →→(16)求職者と介護業界のマッチング支援事業 →→(17)介護福祉士修学資金等貸付事業費補助 2 資質の向上→介護人材キャリアアップ研修支援→(1)介護人材認定研修推進事業 →→(2)介護職員研修受講促進支援事業 →→(3)介護支援専門員研修事業 →→(4)介護支援専門員多職種連携研修事業 →人材の定着・早期離職防止→(5)新人介護職員等交流会事業 →→(6)メンター制度導入支援事業 →→(7)【新】現任職員キャリアアップ支援事業費補助 →→(8)外国籍県民等定着支援事業 3 労働環境等の改善→管理者等に対する雇用管理改善方策普及促進→(1)介護事業経営マネジメント支援事業 →→(2)優良介護事業所認証評価制度・ベスト介護セレクト20事業 →→(3)介護職員子育て支援代替職員配置事業費補助 ※【新】=新規事業 作成:県地域福祉課 〈表1終わり〉 P3 介護人材確保対策の取り組み  県では「1 多様な人材の確保」「2 資質の向上」「3 労働環境等の改善」の柱に沿った計画事業を展開しています。(表1)にあるとおり、介護人材の確保・定着・育成は事業単体ではなく、相互に関連性を持たせながら、また、制度・施策の方向性を示しながら総合的に進めているところです。その中にある「基盤整備」では、かながわ福祉人材センター事業(本会が運営する福祉・介護専門の無料職業紹介等)と並び、「介護人材確保対策推進会議事業」が主軸事業として挙げられています。  コロナ禍の間は、要介護者の生活を守り支え続けていく専門職としてのあり方が大きく問われた時でもありました。  介護人材確保対策推進会議(表2)(以下、推進会議)では、感染症の拡大防止を図りつつ、とにかくサービスを止めないために、さまざまな工夫や地道な努力を積み上げてきた福祉・介護現場の取り組みや経験が大きな財産になっていることを改めて確認しました。 〈表2〉 神奈川県介護人材確保対策推進会議 介護福祉の関係機関・団体だけでなく、教育・医療・労働・経済など、多領域にかかわる者が一堂に会し、介護福祉の人材の確保・定着・育成のあり方について協議し、その対策の考え方や具体的な取り組みを提案することを目的としています。推進会議では、平成29年度から3カ年を1つの区切りとして、協議の体制や中心となる課題を設定して事業展開をしてきました。 【取り組み】 ①推進会議及び検討部会等の開催、②推進フォーラムの開催、③各調査の実施(人材確保・育成・定着に関する施策・制度の現状把握等)、④かながわの介護・福祉ポータルサイトによる情報発信 〈表紙2終わり〉 「神奈川の介護福祉」が目指す姿  令和2年度~令和4年度の第2期・推進会議では「神奈川の介護福祉」として、5つの視点を整理し、これからの3年に向けて提言しました。(表3) 〈表3〉 「神奈川の介護福祉が目指す姿」(5つの視点) 1.“プラスの価値”  人間の尊厳を守るための“プラスの価値”の理解 2.介護福祉の文化の発信  “3大介護”の先にある「神奈川の介護福祉」、人間の尊厳等の発信 3.専門性の深化  「介護福祉の専門性」を深め、介護福祉の価値を高める 4.人材の多様性から生まれる奥行き  多様な人材の参入による介護福祉の多様性、奥深さの理解 5.“きっかけの気持ち”を大切にする神奈川  介護福祉への興味、きっかけを重視する介護福祉の現場づくり 〈表3終わり〉  「1.〝プラスの価値〟」では、高齢になってこれまでできていたことができないこと、つまり本人にとってマイナスの要素を補う、単に行為としての介護を提供するだけではなく、本来望んでいる生き方をどのように実現してもらうかを考え、他者との関係性の再構築や地域社会の中での尊厳を高める支援までを行うことを介護福祉の専門性と捉えました。  「4.人材の多様性から生まれる奥行き」では、様々な経験を持つ人たちが従事者として参入することによってもたらされる、現場におけるアクティビティや日々の支援の中での多様性の広がりを、強み、奥行きとして捉えています。 これからの神奈川の介護福祉―フォーラムからのメッセージ  去る5月25日に第2期・推進会議のまとめを基調としたフォーラムを開催しました。  その中で、コッシュイシイ美千代さん(推進会議委員)は「専門職は介護福祉の原点をしっかり学ぶこと、専門職としての本物の教育を!」と介護福祉士がパイオニアであるために何が大事かを示しました。また、臼井正樹さん(推進会議委員長)は「職員育成の考え方の根底にあるのは、介護福祉の価値とそこに関わる者の倫理である」と強調しました。  介護福祉士制度が創設され、35年が経ちました。アフターコロナの介護人材確保対策をいかに進めていくか。推進会議ではこの神奈川の地で「神奈川の介護福祉」のあるべき姿を、福祉・介護の現場とともに追究していきます。(福祉人材センター) 〈囲み〉 令和5年度の介護人材確保対策推進フォーラム 「これからの神奈川の介護福祉」をテーマに基調講演、基調報告をはじめ、「人材確保と専門性の向上」などのリレーメッセージ等から課題共有とさらなる連携協働の必要性が確認されました。 〈囲み終わり〉 〈コラム〉 【情報配信】情報満載!! かながわの介護・福祉ポータルサイト  推進会議が調査を行い把握した県関連部所および県内市町村の制度・施策情報、研修機関で行われる法定研修等の情報を掲載しています。また、介護・福祉の仕事の実際を動画で紹介しています。介護人材確保の間口の広がり、何を大事に福祉・介護の仕事を行うのかなど、「かながわの介護福祉」を伝えつつ、専門性の向上を目指した情報発信を心がけています。 神奈川県のHP 福祉・介護人材の確保の取組み 神奈川県介護人材確保対策推進会議 かながわの介護・福祉 介護福祉・社会福祉のポータルサイト P4 NEWS&TOPICS 人と地域をつなぐ「やさしい日本語」―住みやすい地域を考える 多文化高齢社会ネットかながわ(TKNK)の取り組み TKNKと「やさしい日本語」  「多文化高齢社会ネットかながわ(TKNK)」(以下、TKNK)は、ユッカの会が神奈川県社会福祉協議会の令和3年度地域福祉活動支援事業「協働モデル助成」を受けてできました。ことばや文化、宗教の違いを越えて神奈川に暮らす多文化の背景を持つ方たちと共に、暮らしやすい地域をつくるため、調査、情報収集活動、県民講座などの活動をしています。  だれもが安心して歳を重ね、笑顔で暮らすうえで生活の基盤となる地域において、人と人とのつながりを強めたいものです。そこでTKNKは「やさしい日本語」のまなざしをみなさんに知っていただく取り組みに力を入れてきました。 「やさしい日本語」でことばのバリアフリーを  「やさしい日本語」とは、分かりやすく話したり書いたりする簡単な形の日本語です。もとは外国人に情報を伝えるために生まれました。  1995年1月、阪神・淡路大震災が起こりました。その時、日本人に届く情報が、外国人の多くに届かず、安全確保や復興支援から疎外されることが問題になりました。災害発生時の情報伝達は「今すぐ」必要であったり、見知らぬ人同士の助け合いが必要になったりします。そこで、外国人のために普段の日本語を簡略化してわかりやすく伝える「やさしい日本語」が考え出されました。  「やさしい日本語」は少しのコツを知ればだれでもすぐ実践できるので、減災や多文化共生を支えることばになりました。東京2020オリンピック・パラリンピックでは、外国人との交流やもてなしという明るい場面でも注目されました。  やさしくわかりやすいことばは、外国人に限らず、だれにとっても情報獲得や人間関係を楽にします。「やさしい日本語」のまなざしは、ほんの少しの工夫で、今すぐことばのバリアフリーが実現できるのです。 「はさみ」で始める「やさしい日本語」  「やさしい日本語」では、簡単にわかること、そして誤解が起きないように配慮して話したり書いたりします。目の前の「伝える相手」に合わせて工夫をします。例えば、耳が聞こえにくい方には、聞き取りやすく「ゆっくり、聞きやすい声で」話します。目が悪い方には、読みやすく「大きく、字間をゆったり」書きます。聞けば「なんだ、簡単なこと!」と思われるでしょうが、日常の忙しさに紛れると、つい相手を見ずに「いつもの自分流」で話したり書いたりしがちではないでしょうか。これを心に留めるだけでも「やさしい日本語」は一歩も二歩も前に進みます。  次に、話すときのコツは〝はさみ〟を意識します。「はっきり」「さいごまで」「みじかく」です。日本語は最後まで聞かなければ結論が分かりません。つい、最後の部分を相手の共感や理解にゆだねる伝え方をすると、誤解の種となります。そして、文も話も長くせず、短い一文で話題と結論をはっきり示します。これだけでとても分かりやすくなります。一文で一情報を伝えたら話をとめて、相手の反応を確認してください。「はさみ」の効果は絶大ですので、お試しください。  TKNKの講座では、さらなるコツを紹介し「やさしい日本語」を体験することができます。地域で人々が必要な情報を分かち合い、全ての人を社会制度利用につなぐことは、人間の尊厳を守り、人と地域をつなぎます。ことばは社会で使われることで育ちます。ぜひ、共に人と地域をつなぐことばを育ててください。 (TKNK) 〈囲み〉 多文化高齢社会ネットかながわ(TKNK)講座のご案内 ◆みんなで育てるやさしい日本語講座 ◆県民講座小さな交流会(多文化に詳しいゲストスピーカーの話を聞きます。)  TKNKは、県民のみなさまと多文化共生について考える講座を実施しています。いずれも無料です。  詳しくは、下記リンクまたは、二次元コードからご覧ください。 URL:https://x.gd/ITxdq P5 NEWS&TOPICS 孤独・孤立対策推進法が公布―孤独・孤立は社会全体の課題  福祉サービスの提供、給付、減免、見守りなどの支援や制度につながっていない人、制度のはざまにある人へどのようにアプローチをしていくかは、近年、地域福祉分野で大きく着目され、過去には流行語の一つともなった「無縁社会(家族や共同体から孤立して生きる人が増加している社会)」に対して取り組んできた私たちの社会に問われているところです。 ●孤独・孤立対策推進法の公布  令和5年6月7日に孤独・孤立対策推進法が公布されました。この法律では「社会の変化により個人と社会及び他社との関わりが希薄になる中で、日常生活もしくは社会全体において、孤独を覚えることにより、または社会から孤立していることにより心身に有害な影響を受けている状態」を「孤独・孤立の状態」とし、その予防や、その状態から脱却して日常生活及び社会全体を円滑に営むことができるようになることを目標とし必要な支援が行われることとされています。  法の中で孤独・孤立の状態は「人生のあらゆる段階において何人にも生じ得るものであり、社会の変化により孤独・孤立の状態にある者の問題が深刻な状況にあることに鑑み、孤独・孤立の状態にある者の問題が社会全体の課題である」(第2条)とされています。  また国や地方公共団体の責務を規定(第3条・第4条)するとともに「国民は、孤独・孤立の状態にある者に対する関心と理解を深めるとともに、国及び地方公共団体が実施する孤独・孤立対策に関する施策に協力するよう努めるものとする」(第5条)、「国、地方公共団体、当事者等への支援を行う者、地域住民その他の関係者は、基本理念の実現に向けて、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする」(第6条)と、関係者間の連携・協力等についても規定されています。  これらを進める体制としては、内閣府に首相を本部長とする対策推進本部を設け、対策の重点計画を作成することとされました。同本部員は法務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣らがあたることとなっています。 ●地方自治体への期待  一方、法は、地方自治体に対して非営利団体などが加わり必要な連携及び協働を図るため、「孤独・孤立対策地域協議会」を設置し、当事者等に対する支援を行うことを求めています(第15条)。  いくつかの都道府県・市町村においてはこのような協議体を設置している動きもありますが、法施行を契機に全国的に設置が進むことが期待されます。(企画課) 〈囲み〉 孤独・孤立対策推進法の主なポイント 〇基本理念に社会のあらゆる分野で推進を図ると明記 〇当事者の意向に沿って社会や他者と関わりを持ち、孤独・孤立から脱却して生活を円滑に営むことを目標とした 〇首相を本部長とした対策推進本部を内閣府に設け、重点計画を作成 〇自治体に関係機関からなる「地域協議会」の設置を求めた https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/suisinhou/pdf/gaiyou.pdf 内閣官房「孤独・孤立対策推進法の概要」を基に本会作成 〈囲み終わり〉 〈コラム〉 孤独・孤立対策~地域福祉への期待 愛知東邦大学 教授 西尾敦史(本会計画推進委員会委員長)  2018年、英誌エコノミストとカイザー家族財団が、アメリカ、イギリス、日本の3か国で行った孤独に関する調査結果は、ショッキングなものでした。  「孤独は、個人の責任か、個人を超えた要因や環境によるか」を聞いたところ、イギリスではわずか11%だったのに対し、日本では44%が「個人が責められるべき」(自己責任)と回答したのです。  日本はいつから、こんなに他人に冷たく厳しい社会になったのでしょうか。  2018年は、イギリス政府が「孤独担当大臣」を世界ではじめて設けた年です。「孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つ」として、孤独がもたす健康リスクに対して「社会的処方」が行われています。定年退職した男性の居場所「メンズ・シェッド(男たちの小屋)」が作られたり、コーヒーチェーン店では、育児中の母親のアイディアから「おしゃべりテーブル」が設けられたりしているといいます。  日本においても、見守り活動、居場所づくり、子ども食堂、学習支援など、多様なつながりの再構築のための活動が展開されていますが、本法律の施行をはずみとして、孤独・孤立を、私たちの社会の地域福祉の中心的な課題として、いっそう力を入れて取り組んでいく必要があると思います。 〈コラム終わり〉 P6 福祉のうごき 2023年5月26日~2023年6月25日※新聞等掲載時点 ●ハザードマップポータルサイト、視覚障害者に対応  国土交通省が公開する、全国の災害リスク情報や防災に役立つ情報をまとめて閲覧することができる「ハザードマップポータルサイト」がリニューアルされた。  検索するだけでその地点の災害リスクや災害時にとるべき行動が文字で表示されるようになり、音声読み上げソフトと組み合わせることで、視覚障害者が利用しやすいようになった。 ●認知症基本法成立  認知症に関する初の法律「認知症基本法」が6月14日、参議院本会議で成立した。社会活動に参加する機会の確保など様々な認知症の施策に取り組み、認知症の人が暮らしやすくすることを狙いとする。また、「世界アルツハイマーデー」の9月21日を「認知症の日」と定めた。 ●県 子ども施策に8.6億円  県は深刻な少子化に歯止めをかけ、子育てしやすい環境を整えるため、6月12日発表した令和5年6月補正予算案に、結婚から妊娠、出産、育児の各段階に応じた支援メニューを盛り込んだ。令和4年度に創設した「県子ども・子育て基金」も含め、計約8億6千万円を充てる。 ●横浜市 幼稚園協会 医療ケア児の指針策定  (公社)横浜市幼稚園協会は、横浜市と協働で「私立幼稚園等における医療的ケア児受入れのためのガイドライン」を策定した。幼稚園団体と行政が協働して策定するのは全国初の事例で、幼稚園や認定こども園の医療的ケア児の円滑な受入れや、安全で安心できる園生活を支援していく目的がある。 P7 私のおすすめCHECK! ◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。 認知症にならないための10か条  認知症とは、記憶力・認識力・判断力・推理力などの知的機能が低下して、社会生活や日常生活に何らかの支障をきたした状態です。認知症の原因となる病気は、脳萎縮性変化、脳血管性変化、アルコール性認知症などの代謝性変化、慢性硬膜下血腫や正常圧水頭症などがあります。認知症の最大要因は加齢ですから、発症を予防することは難しいですが、遅らせたり、軽くすることはある程度できます。  10か条にまとめてみました。 今月は→認知症の人と家族の会神奈川県支部がお伝えします!  認知症の人と家族の会は1980年に、神奈川県支部は1981年に発足。以来今日まで、介護家族と本人のつどい、電話相談、会報の発行、啓蒙活動、調査研究、行政への要望などを行ってきました。 〈連絡先〉横浜市神奈川区反町3丁目17番2 TEL045-548-8061 FAX 045-548-8068 毎週(月)(水)(金)10時から16時 URL:https://azkanagawa.sakura.ne.jp/wp/ 第1条 脳血管を大切にする  全血流の約6分の1が脳に流れているほどに、脳は大量の血液を必要としている臓器です。「脳血管を大切にする」ためには、高血圧症・糖尿病・脂質異常症・肥満などの生活習慣病が動脈硬化の大きな要因ですから、その予防や適切な治療が重要です。 第2条 食生活を整える  食事は生命活動の基本です。バランスの良い食事を摂るように心がけることが、健康を保ち、認知症の予防につながります。  活性酸素とは酸素が体の中で反応性の高い状態に変わったもので、遺伝子や細胞を障害して老化を促進することが知られています。他にも、緑黄色野菜のβカロテン、リコピン、イソフラボンなどや、ビタミンCなどは活性酸素による老化を防ぐ働きがあります。また、魚に含まれる成分は血液が固まるのを防いで脳梗塞などへの予防効果があると言われています。 第3条 運動を心がける  若いころから歩く習慣をつけることは、動脈硬化の予防、筋力低下による転倒の防止や循環器系の機能低下の予防になります。 第4条 飲酒・喫煙が過度にならないようにする  飲酒・喫煙はストレスの解消や人間関係の円滑な交流に役立つこともあるので、一方的に禁止するわけではありませんが過度になれば健康を害します。 第5条 活動・思考を単調にしないように努める  学習活動や趣味に積極的に取り組むことは、脳を刺激して機能低下を防ぐことが期待できます。趣味が無くても、家事や買い物、映画などの娯楽、旅行など日常生活の中でできることを続けることでもよいでしょう。 第6条 生き生きとした生活を  「生きがい」は、生活に張りを持たせ、前向きな気持ちになり積極的な生き方を可能とさせます。趣味や地域のボランティア活動に参加することはよいことです。 第7条 家族・隣人・社会との人間関係を普段から円滑にしておく  身体的には健康であっても、人間関係がうまくいかなくなると、閉じこもりやうつ・神経症・葛藤などの精神神経症状を引き起こすことがあります。 第8条 自らの健康管理に心掛ける  散歩やスポーツなど自分でできることを気長に行う事が基本。また、定期的に健康診査を受けることは大切です。軽い症状だといって無視しないで、医療機関を受診することも必要です。 第9条 病気や障害の予防や治療に努める  病気や障害の予防や治療に努める事は言うまでもないことです。 第10条 寝たきりにならないよう心掛ける  閉じこもりや寝たきりは認知症の発症要因や悪化要因です。特に高齢者の場合、転倒・骨折により寝たきりになることはよくあります。環境整備や、歩行が不安定になったら早めに杖や押し車などを思い切って使うことも大切です。  ところで、以上の10か条は「認知症にならないためのコツ」ですが、それよりも「毎日を健康で、生きがいを持って、周囲の人と楽しくすごすコツ」であると言えるのではないでしょうか。認知症になるかならないかは「確率的な問題」でもあるので、「認知症にならない」ことにあまりこだわり過ぎても良くないと思います。それよりも、自分でできることを根気強く、楽しみながら、できれば仲間と一緒に続けることが最も確実な認知症の予防法ではないでしょうか。 P8 ー新たなパートナーシップを目指してー 連携・協働の今  連載 連携・協働の今④ 「もったいない」を「分かちあい」・「ありがとう」へ 連携・協働で思いをカタチに  食事に困っている人への食支援や、市民や企業の食品ロスの取り組みとして「フードバンク」の活動が広がっています。  今回は、県全域で活動を行っている公益社団法人フードバンクかながわ(横浜市金沢区)に取材に伺いました。 食支援を支えるフードバンク  「フードバンク」は、品質に問題がないにも関わらず、やむなく捨てられる食品を家庭や企業から提供してもらい、行政や社協、子ども食堂などを通して、食べる物に困っている人に無償で提供する活動です。  今回取材したフードバンクかながわでは、家庭で不要となった食品を、イトーヨーカドーやそうてつローゼン、ユーコープ等に設置している回収ボックスに集めて、必要な人に届けるフードドライブ活動と一体的に行っています。 〈写真〉 寄贈品を保管する倉庫(左)と冷凍倉庫(右) 〈写真終わり〉  この回収拠点は、5月末現在、県内で344カ所。寄付された食品の提供を希望している登録団体は、334団体となっています。  また、県内でフードバンク活動をしている団体は、フードバンクかながわを含め20団体ほどありますが、寄贈される食品が多い場合などは、相互にシェアする協力関係が作られています。 ありがとうの輪を広げる  フードバンクかながわは、生活協同組合関係団体、県農業協同組合、県労働者福祉協議会、横浜YMCAなど多分野にまたがる団体が発起人となり、平成30年に設立されました。  その事業の理念は「もったいない」を「分かち合い」・「ありがとう」へ―。食品ロスは社会的な課題となっていますが、このコンセプトは、関係者の切実な声から生まれています。その背景には、お中元やお歳暮の時期に、届けられた贈答品がそのまま捨てられるケースがあること、食品を扱う企業では、輸送しているときの食品の梱包の破損で納品できない商品を廃棄せざるをえず、廃棄のコストもかかっていたことが課題としてありました。 〈写真〉 寄贈食品を賞味期限ごと、種類ごとに並べて保管する 〈写真終わり〉  事務局長の藤田さんは言います。「分かち合いの輪を広げること。そして『分かち合い』を超えて、お互いに『ありがとう』という気持ちを共有したい」。  一方、集めた食品をフードバンクに輸送する方法や、そのコストをどうするかというとき、藤田さんは考えました。各生協が小売店に食品を荷下ろした後、物流拠点に戻る際の空きトラックを活用すれば、解消できるのではないかー。こうした工夫によって、ありがとうのの輪が広がっていきました。 環境問題と生活課題をつなげる  藤田さんは言います。「コロナ禍では仕事を失ったり減収したりで食べる物に困る人たちが増えました。そのとき、フードバンクがあって良かったとつくづく実感しました。それは、休校による給食用牛乳や、イベントの中止による食品の寄贈が増え、それらを受け止める『場』となったからです。そのおかげで子ども食堂など支援団体への食品の提供とマッチングの役割を担うことができました」。  そして「アフターコロナにおいても、一人親家庭や外国人などで生活に困窮する人々のニーズがあり、支援団体から食品を求める声は続いています。地域社会ではフードバンクの機能が欠かせないと思います」と続けます。  また、企業の食品ロス削減は、食品会社だけでなく、企業の災害用備蓄品のローリングストックにも一役かっています。  「廃棄コストのこともありますが、多くの企業は、SDGsに基づいた環境問題に関心をもっています。そこで、毎月発行している広報紙では、協力団体名や供給数などを掲載し、寄贈してくれた会社への情報発信を行っていますが、寄贈先含めて、フードバンクの運営に参画している意識をもってもらい、定期的な寄贈につながるよう努めています」。  こうして、企業との連携を深めながら、環境問題や困窮する人々の生活課題をつなぐ活動として、フードバンクは地域に広がっていきます。 〈写真2点〉 「支援団体の希望する数が十分にない。特にお米が必要です」と話す藤田さん 寄贈企業と支援団体を毎月報告する広報紙(左)、学校で使用する副読本『食品のひみつ』(右) 〈写真終わり〉 P9 次世代につなぐ  フードバンクへの関心は、企業だけでなく、SDGsを進める教育分野にも広がっています。横浜市の観光協会から、修学旅行生にフードバンクの体験ができないかと相談を受けたことがきっかけとなり、毎年、他県から来る中学生を受け入れています。また、県内の小・中・高・大学からも声がかかり、出張授業や拠点でのボランティア体験を実施しています。小学生に向けては、県教育委員会の後援や、教職員組合、横浜市資源循環局の協力を得て、授業で使える副読本を作成するなど、次世代への継承を考え、子どもたちに活動を伝えています。 市町村域に「フードバンク」を!  フードバンクかながわは、その活動のノウハウを生かし、市町村域で、行政やNPOが連携してフードバンクを作る取り組みの支援を行っています。  藤田さんは「食支援を行う子ども食堂は、小学校区に必要で、そうしたことからも、市町村域に1カ所のフードバンク拠点を作りたいと考えています。地域で集めた食品を、その地域で活用し、循環する仕組みを作ることに対して、後方支援にも注力していきたい」と語ります。  「分かち合い」から「ありがとう」への想いが循環するカタチが県全体に広がっています。 (企画課) 〈囲み〉 お米・食品お寄せください! (公社)フードバンクかながわ  TEL 045-349-5803  横浜市金沢区富岡東2-4-45 「フードドライブ拠点」一覧も掲載しています 〈囲み終わり〉 P10 県社協のひろば 住民参加と様々な主体の協働による誰もが尊重され、安心して生活できる地域づくりの推進―令和4年度事業報告・収支決算の概要  令和4年度は「神奈川県社会福祉協議会活動推進計画(令和3~5年度)」の中間年として、計画の基本目標に掲げた実施事業の着実な推進を図りました。 ●「市町村における包括的支援体制整備の推進」については、昨年度に引き続き、県の委託事業「包括的な支援体制及び重層的支援体制構築支援事業」を、市町村社協部会事業と関連性を持たせながら実施し、現状・課題の把握調査や研修を通じて、行政・社協が協働して取り組むための支援を行いました。  また、新型コロナウイルス感染症の影響もあり大きな課題となっている生活困窮者支援について、緊急小口資金等の特例貸付を引き続き実施するとともに、生活困窮者自立相談支援事業(町村部)、かながわライフサポート事業等を、関係機関と連携して進めました。 ●「福祉サービスの質の向上に向けた取り組みの強化」としては、感染症の影響や社会福祉制度の動向も踏まえながら、利用者ニーズ、地域に根差した施設・事業所活動が進むよう、経営者部会・施設部会・種別協議会等に共通する福祉課題について取り組みを進めました。 ●福祉人材の確保について、より多様な層に向けた福祉の仕事の理解のための取り組み、就職相談会や出張相談会のほか、社会福祉従事者への体系的な現任研修、介護福祉に関する法定研修等を行い、福祉サービスの質の向上に取り組みました。 ●本会の重要な役割である「災害時における福祉的支援」については、災害対応に関する協定を結んでいる関係団体との連絡会を通じ、市町村や関係機関の情報収集、平時の関係づくりを進めるとともに、かながわ災害福祉広域ネットワーク事務局、神奈川DWAT関連事業を県から受託し、災害時対応の研修等に取り組みました。 〈囲み〉 事業報告並びに社会福祉法人現況報告書(収支決算書含む)は、本会ホームページからご覧ください。 http://www.knsyk.jp/s/global_syakyou/houkoku_ketusan_top.html 〈囲み終わり〉 令和4年度 収支決算(抜粋) 〈表-総合資金収支計算書〉 総合資金収支計算書 (自)令和4年4月1日 (至)令和5年3月31日 (単位:円) 会計及び事業区分、拠点区分→→→収入合計(A)→支出合計(B)→差引増減(A-B) 総合計(法人全体)→→→43,607,917,531→21,743,887,459→21,864,030,072 1 一般会計→→→6,617,120,196→5,418,077,830→1,199,042,366 →(1)社会福祉事業区分→→5,294,782,899→4,877,914,411→416,868,488 →→社会福祉事業拠点区分→5,545,050,320→5,128,181,832→416,868,488 →(2)公益事業区分→→1,266,448,757→525,479,591→740,969,166 →→公益事業拠点区分→1,286,570,232→545,601,066→740,969,166 →(3)収益事業区分→→127,099,669→85,894,957→41,204,712 →→収益事業拠点区分→127,099,669→85,894,957→41,204,712 2 生活福祉資金会計→→→36,990,797,335→16,325,809,629→20,664,987,706 →生活福祉資金特別会計→→31,505,488,626→11,274,422,854→20,231,065,772 →県単生活福祉資金特別会計→→769,467→741,084→28,383 →生活福祉資金貸付事務費特別会計→→5,016,639,844→5,016,495,860→143,984 →要保護世帯向け不動産担保型生活資金特別会計→→466,471,483→34,031,134→432,440,349 →臨時特例つなぎ資金特別会計→→1,427,915→118,697→1,309,218 ※一般会計、各事業区分並びに各拠点区分はそれぞれの集計単位で求められる内部取引消去後の額を計上しているため、収入合計額(A)と支出合計額(B)の合計額は一致しない 〈表-総合資金収支計算書終わり〉 〈表-総合貸借対照表〉 総合貸借対照表 (単位:円) 資産の部→→負債の部→ 流動資産→24,334,578,758→流動負債→4,445,866,284 固定資産→86,759,640,480→固定負債→885,044,258 →→負債の部 合計→5,330,910,542 →→純資産の部→ →→基本金→2,125,290 →→基金→1,358,330,833 →→国庫補助等特別積立金ほか→106,708,172,233 →→次期繰越活動収支差額→△2,305,319,660 →→純資産の部 合計→105,763,308,696 資産合計→111,094,219,238→負債及び純資産の部 合計→111,094,219,238 〈表-総合貸借対照表終わり〉 〈表-財産目録〉 財産目録(令和5年3月31日) (単位:円) 貸借対照表科目→→貸借対照表価額 Ⅰ 資産の部→→ 1 流動資産→→1,551,546,473 →現金預金→1,210,179,314 →事業未収金→25,027,135 →未収補助金→64,217,000 →貯蔵品→9,000 →前払金→570,064 →前払費用→1,301,960 →1年以内回収予定長期貸付金→250,242,000 2 固定資産→→7,558,643,973 →基本財産→3,000,000 →その他の固定資産→7,555,643,973 資産合計→→9,110,190,446 Ⅱ 負債の部→→ 1 流動負債→→2,303,687,107 →事業未払金→55,136,340 →その他の未払金→5,227,870 →1年以内返済予定振興資金借入金→2,183,687,000 →預り金→36,387,065 →前受金→5,510,832 →賞与引当金→17,738,000 2 固定負債→→411,825,909 →退職給付引当金→384,388,917 →長期預り金→27,436,992 負債合計→→2,715,513,016 差引純資産→→6,394,677,430 ・法人単位(一般会計のみ)を表示。 〈表-財産目録終わり〉 〈囲み-監査報告書〉 監査報告書 令和5年5月18日 社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 会長 篠原 正治 殿 監事 阿部 匡秀 監事 小原 公一 監事 國重 正雄  私たち監事は、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの令和4年度の理事の職務の執行について監査を行いました。その方法及び結果について、次の通り報告いたします。 1 監査の方法及びその内容  各監事は、理事及び職員等と意思疎通を図り、情報の収集及び監査の環境の整備に努めるとともに、理事会その他重要な会議に出席し、理事及び職員等からその職務の執行状況について報告を受け、必要に応じて説明を求め、重要な決裁書類等を閲覧し、業務及び財産の状況を調査しました。以上の方法により、当該会計年度に係る事業報告及びその附属明細書について検討いたしました。  さらに、会計帳簿又はこれに関する資料の調査を行い、当該会計年度に係る計算関係書類(計算書類及びその附属明細書)及び財産目録について検討しました。 2 監査の結果  3年にわたるコロナ禍により、経済的困窮や社会的孤立といった生活課題が一層深刻化している。生活困窮世帯の生活再建、自立に向け、県や市町村社協をはじめ関係機関・団体と連携し、地域を基盤に、相談支援の充実やフォローアップ支援の強化を改めて進めていただきたい。 (1)事業報告等の監査結果  ①事業報告及びその附属明細書は、法令及び定款に従い、法人の状況を正しく示しているものと認めます。  ②理事の職務の遂行に関する不正の行為又は法令若しくは定款に違反する重大な事実は認められません。 (2)計算関係書類及び財産目録の監査結果  計算関係書類及び財産目録については、法人の財産、収支及び純資産の増減の状況を全ての重要な点において適正に表示しているものと認めます。 以上 〈囲み-監査報告書終わり〉 P11 Information 役員会の動き ◇評議員会=6月21日(水)①理事の選任②監事の選任③令和4年度事業報告並びに決算報告(案) ◇理事会=6月21日(水)①正副会長及び常務理事、業務執行理事の選任②各種委員会委員の選任③正会員入会申込み 新会員紹介 【施設部会】コペルタ貴志園、どりーむ東小倉保育園 【第三種正会員連絡会】(公社)神奈川県病院協会 本会主催の催し 協働モデル事業 多文化高齢社会ネットかながわ  「多文化高齢社会ネットかながわ 小さな交流会 あなたの隣の多文化な人々に出会いましょう!話しましょう!」(第3回:講師・萩原カンナさん) ◇日時=令和5年8月24日(木)  19時30分~21時(オンライン) ◇申込方法=Googleフォームもしくはメールにて申込み ※講座の詳細はHPで確認 寄附金品ありがとうございました 【交通遺児等援護基金】(株)エスホケン、ダイセ―ロジスティクス(株)横浜ハブセンター 【子ども福祉基金】(株)エスホケン、脇隆志、(株)いなげや 【ともしび基金】県ボウリング場協会、(株)マルエツ、(公社)神奈川県宅地建物取引業協会、県社会福祉センター7階受付募金箱 (匿名含め、合計12件1,260,756円) 【寄附物品】(公財)報知社会福祉事業団 【ライフサポート事業】 〈寄附物品〉(福)みなと舎、(N)セカンド・ハーベストジャパン (いずれも順不同、敬称略) 〈写真2点〉 児童福祉施設等へアイスクリームを寄贈いただき、令和5年5月11日、関東アイスクリーム協会 田山俊也理事長(左)へ感謝状を贈呈 ともしび基金に寄附をいただき、令和5年5月30日、(株)マルエツ 大和田昌経営企画本部総務部長(左)へ感謝状を贈呈 〈写真2点終わり〉 ※今月号の「みんなのいいね」はお休みいたします  引き続き投稿を募集しています! 〈囲み〉 神奈川県社会福祉協議会 新役員・評議員の紹介 任期:令和5年6月21日~令和7年6月に開催する定時評議員会の終結の時まで  【会長】篠原正治(学識経験者)  【副会長】小泉隆一郎(泉心会・経営者部会)三觜壽則(県民児協・民生委員児童委員部会)兵藤芳朗(鎌倉市社協・市町村社協部会)  【常務理事】井出康夫(学識経験者)  【理事】矢部雅文(成光福祉会)、出縄守英(進和学園)、石井謙次(岡野福祉会館)、今富子(川崎市民児協)、大貫君夫(相模原市民児協)、小宮山滋(横浜市社協)、山本浩真(川崎市社協)、笹野章央(相模原市社協)、コッシュイシイ美千代(県介護福祉士会)、成田裕子(フュージョンコムかながわ・県肢体不自由児協会)、市川敏行(県労働者福祉協議会)、新井隆(本会事務局長)  【監事】阿部匡秀(山久会)、小原公一(県民児協)、國重正雄(学識経験者) 任期:令和5年5月31日~令和7年6月に開催する定時評議員会の終結の時まで  【評議員】◆第1種〈経営者部会〉山本昇(山栄会)〈施設部会〉諏訪部依子(グリーンヒル相模原) 〈囲み終わり〉 P12 かながわほっと情報 同じ目線に立つこと ―保護司として立ち直りを支える 都筑保護司会 保護司 村田輝雄さん(横浜市都筑区)  保護司は、罪を犯した人や非行をした少年が再び過ちを繰り返すことのないよう、地域で立ち直りを支える民間のボランティアです。その活動は立ち直りの支援にとどまらず、犯罪や再犯を未然に防ぐための地域住民に向けた取り組みなど様々なものが含まれます。今回は横浜市都筑区で20年以上保護司の活動をされている村田輝雄さんにお話を伺いました。  村田さんは農家の長男として生まれ、両親の後を継ぎ、ほうれん草やトマト等の野菜を栽培しています。仕事の傍ら、地元の体育指導員や消防団の班長として活動していましたが、町内会の知人から「保護司にならないか」と誘いを受けたことがきっかけとなって保護司に任命されました。  保護司の活動をする上で大切にしていることは「相手の立場や気持ちを尊重し、同じ目線に立つこと」と言います。この言葉には奥様のある一言がきっかけとなりました。  ある時、担当する少年が約束の時間になっても面接に来ないことが重なり、やり場のない気持ちを感じました。そんな時に奥様から「約束を守れないことも、犯罪を起こしてしまった背景にあるのかもしれない。そういう気持ちで見てみたら」というアドバイスがありました。それから相手の立場になって考えるようにしたところ見え方が変わってきたそうです。色々な人に接してきて感じるのは、「大人も子どもも本当に悪い人はいない」ということ。話を聞き、相手の環境や気持ちに寄り添うからこそ見えることです。  永年の保護司としての活動と横浜市保護司会会長等としての取り組みが評価され、令和4年秋には瑞宝双光章を受章されました。 〈写真〉 初めて担当した時のことを語る村田さん。今でもゆるやかな交流が続いている 〈写真終わり〉  近年、保護司の高齢化や担い手の確保が課題となっていますが、その要因の一つには職務の困難さが挙げられています。また、人材確保と共に、立ち直りの支援には、地域の理解と協力は欠かせません。コロナ禍により、この数年は保護司会としての活動やお祭り等の地域の行事を行うことができませんでしたが「これから少しずつ再開し、今一度、地域とつながり、顔の見える関係づくりにも力を入れていきたい」と言います。地道なつながりから「人材確保や新任保護司の負担軽減のためにも相談しやすい環境づくりを行っていきたい」とこれからの抱負を語ってくださいました。  村田さんの温かいまなざしと優しい笑顔は、これからも色々な人を支えていきます。(企画課) 〈コラム〉 7月は“社会を明るくする運動”の強調月間です  この運動は、すべての国民が犯罪や非行の防止と犯罪や非行をした人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において力を合わせ、犯罪や非行のない安全で安心な明るい地域社会を築くための全国的な運動です。 〈コラム終わり〉 「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています バックナンバーはHPから ご意見・ご感想をお待ちしています!→https://form.gle/74aewHkEfzQ9ybJQ8 【発行日】2023(令和5)年7月15日(毎月1回15日発行) 【編集発行人】新井隆 【発行所】社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 〒221-0825 横浜市神奈川区反町3丁目17-2 TEL 045-534-3866 FAX 045-312-6302 【印刷所】株式会社神奈川機関紙印刷所