テキストデータ作成に当たって  このデータは、『福祉タイムズ』 vol.873 2024年8月号(発行:神奈川県社会福祉協議会)をテキスト化したものです。  二重山カッコは作成者注記です。 P1 福祉タイムズふくしTIMES 2024.8 vol.873 編集・発行社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 特集 福祉・介護分野で活躍する多様な人材〜中高年層のセカンドキャリアとしての参入・定着のために〜 NEWS&TOPICS P4 能登半島地震 県内社会福祉法人の応援派遣 P5 困難だからこそ、丁寧な相談支援を (N)日本相談支援専門員協会 代表理事 冨岡貴生 キラリ輝く!児童委員活動 P7 未来へ「つなぐ」ための居場所をつくる 相模原市中央区星が丘地区 主任児童委員 豊田里美 “はたらく”を支える P9 誰もが活躍できる“雇用の場”は、助けあい、成長し合える職場につながる (有)川田製作所  今月の表紙 (福)たちばな会 特別養護老人ホーム天王森の郷 人財開発担当の増尾和行さんと、スタッフのみなさん。 天王森の郷では、職員同士の関係づくりや働く環境を整えて、外国籍の介護職員も笑顔で働いている。【詳しくは12面へ】撮影:菊地信夫 撮影のため、一時マスクを外しています P2 特集 福祉・介護分野で活躍する多様な人材~中高年層のセカンドキャリアとしての参入・定着のために~  2040年度に65歳以上の人口がピークを迎え、全国で必要となる介護職員約272万人に対して、現状と比べ約57万人が不足するという推計を令和6年7月12日に厚生労働省が公表しました。  慢性的な人材不足が続く中、福祉・介護分野では、幅広い年齢層が活躍でき、無資格・未経験でも働きながら介護の資格が取得できるため、多様な人材の受け入れを進めてきました。特に定年退職や転職によって、セカンドキャリアとして働く人たちは、今では福祉・介護分野を支える重要な人材となっています。今回の特集では中高年層の人材参入・定着に向けた支援や課題について取り上げます。 活躍が期待される中高年層  2025年には、5人に1人が75歳以上となり、超高齢社会を迎えますが、労働人口が減少していく中で、深刻な人材不足は福祉・介護分野の問題だけではありません。  このような状況の中、2021年3月、経済社会の活力を維持することを目的とした改正高年齢者雇用安定法が施行され、2025年4月1日以降は、事業主に65歳までの雇用機会の確保が義務付けられるとともに、70歳までの就業確保(70歳までの定年引き上げ、定年廃止など)が努力義務となります。  この法改正からも、高年齢者の労働力への期待は高く、福祉・介護分野においても、中高年層の活躍には大きな期待が寄せられています。  「令和5年度介護労働実態調査」((公財)介護労働安定センター)(以下、実態調査)によると、介護労働者の平均年齢は48歳であり、40歳から59歳までの労働者が全体の54・8%、60歳以上の労働者が18・4%を占め、中高年層の労働力が、現在の介護現場を支えていることが顕著に現れています。 福祉・介護分野への人材参入のきっかけ作りから個別支援へ  かながわ福祉人材センター(以下センター)では、福祉・介護分野に興味・関心のある人を対象とした「福祉の仕事を知る懇談会」(以下、知る懇談会)を開催しています。  知る懇談会参加者の9割が中高年者となっていることから(左グラフ)、講師は他業種から転職した経験のある専門職も務めるなど、参加者が就労に関して具体的なイメージが持てるよう工夫しています。 〈円グラフ〉 令和5年度 知る懇談会参加者の状況(年代別) かながわ福祉人材センター調べ 〈円グラフ終わり〉  参加者へのアンケートでは、中高年者が就労をするにあたり知りたいこととして、具体的な仕事内容・職種や労働環境(勤務シフト・給与・休日)が多く挙げられました。また、勤務先には自分の住んでいる地域を希望する傾向がありました。福祉・介護の従事者においては通勤手段として自転車やバイクを希望する方も多く、いわゆる「職住近接」が特徴としてあげられます。そこで、令和5年度から知る懇談会を地域で開催することで、身近な地域の法人・事業所を知り、通勤経路や手段なども含め、自分の住んでいる地域で就労する具体的なイメージを持てるようにしています。  センターでは、知る懇談会の参加者をさらに職場見学・体験等へつなげていますが、すぐに就労に結びつくことは稀です。特に中高年者層においては、福祉・介護分野への興味・関心はあっても、実際に勤めることになると個々様々な状況から、一定の時間が必要となる人が多くなっています。  こうした状況からセンターでは、福祉・介護の従事経験のあるキャリア支援専門員(福祉のしごと相談員)が一人ひとりの背景や状況に合わせて相談に応じ、適切な情報提供を行うとともに、知る懇談会をはじめ、福祉・介護の仕事をじっくり学びながら、深く理解する機会を設けています。 中高年層の多様な働き方  中高年層は年齢の幅が非常に広く、入職時の年齢によっては、自身の健康状態や家庭の事情(子育てや介護等)等との調整が必要になります。こうした状況に対応し、働き続けられる環境整備に力を入れる法人・事業所もみられるようになりました。  例えば、これまでフルタイムで働いていた人が家族の介護を理由に短時間勤務に切り替えたり、加齢による体力不安に対し、業務負担を軽くしたり、直接援助を行なわず、介護職業務と分化させ、介護職の周辺業務を主に行う職員の採用ケースも少しずつ出てきています。  「令和5年度社会福祉施設等の人材確保に関する需要調査」(本センター実施)によると、直接援助以外の業務として、グラフのとおり、送迎(27・1%)、清掃(18・7%)、洗濯・リネン(15・1%)等が挙げられています。  また、直接援助以外の業務を担当するいわゆる「介護助手」について「27・6%」の事業所が「採用している」と回答しています。  今後、介護助手の普及促進によって、介護人材確保・定着の状況改善が図られるよう、期待が寄せられます。 〈円グラフ〉 直接援助以外の業務内容 令和5年度社会福祉施設等の人材確保に関する需要調査より 〈円グラフ終わり〉 P3 セカンドキャリアの強み  福祉・介護の仕事では、多様な人材の参入促進が大きなテーマになっています。前出の実態調査では、他業種での経験がある労働者は、64%となっており、様々な経験をもった人材が福祉・介護分野に参入していることが分かります。  また、令和5年度の「神奈川の介護福祉の現場が取り組む職員育成状況把握調査」(本センター実施)では、 「他業種からの転職の場合、前職の経験や能力はどこで活かされているか」という質問について、接客業や営業職経験者は、即戦力として利用者への接遇やコミュニケーションスキルが活かされているとの回答が多くみられますが、その他では、運送業の経験が、訪問ルートの選定や送迎時の安全運転に活かされたことや、スポーツ関係の業務経験を活かし、レクリエーションにストレッチや筋力トレーニングを取り入れて利用者のヘルスケア向上の役に立った等の回答もありました。  このことから、セカンドキャリアとして福祉・介護の仕事が選ばれるには、前職までに得た「知識」や「技術」、培った「社会経験」などが次につながり、活かされていくことが求められます。  他業種からの転職者の受け入れを行い、ご自身もセカンドキャリアとして福祉・介護分野で活動する(福)たちばな会の人材開発担当の増尾さん(本紙1・12面参照)は、「セカンドキャリアの強みは、その人の『経験』そのもの」と言います。  自分のこれまでのキャリアで経験してきたことが、様々な経験を積んできた別の人の人生との接点を見出せること、また、これまでの経験にない新たな視点や他業界について、他の職員が「知る」きっかけとなることで、利用者との会話の引き出しを増やすことへつながっています。 多様な人材を受け入れるために  以上のように、中高年者のセカンドキャリアについては、職場環境の整備が重要であることが分かりました。  セカンドキャリアとしての参入は、中高年者だけではなく、サービス利用者や他の従事者にとっても相乗効果があり、特に豊富な社会経験からは利用者支援の幅が広がることも期待できます。  今後、法人・事業所においては、多様な人材を受け入れていくため、個々の多様な働き方に向き合う一方で、福祉・介護職の専門性の向上をめざし、倫理教育の徹底と、一人ひとりのキャリア目標に対応するキャリアパスの構築が必要となります。  センターでは、法人・事業所の環境整備や研修体制に関する工夫や情報を共有し、就労支援を必要とする方に寄り添いながら、人材確保・定着・育成へとつなげる取り組みを引き続き行っていきます。(かながわ福祉人材センター) 〈囲み〉 【他業種からの人材参入を促進するための貸付制度による就職支援】 ◦介護分野・障害福祉分野就職支援金  他業種からの人材参入の促進を目的として、介護職員初任者研修などを修了した上で、介護分野または障害分野で新たに働く人を対象とし、就職支援金として20万円の貸付を行う制度です。  この貸付を受けた人は、神奈川県内で返還免除対象となる事業所で介護職等として、2年間、所定の日数(または時間数)従事することで、貸付金の返還免除申請が可能となります。 ※貸付には審査があります。 ※詳細についてはかながわ福祉人材センターHPをご確認ください 。 〈囲み終わり〉 かながわ福祉人材センターHP センターの各事業についてはこちらよりご覧ください P4 NEWS&TOPICS 能登半島地震 県内社会福祉法人の応援派遣  令和6年1月1日に発生した能登半島地震にかかる対応として、本会では様々な支援を行っています。具体的には、避難所支援を役割とする「神奈川DWAT」の派遣や、生活福祉資金の「特例貸付」、被災地ボランティアセンターの運営支援を行う職員派遣などです。これら以外にも、厚労省が全社協に委託をしている災害福祉支援ネットワーク中央センターが調整を行う「社会福祉施設等に対する介護職員等の応援派遣」があります。被災地での介護ニーズに対応して、他地域からも広く応援できる職員を募り、現地へ派遣する仕組みとなっています。  今回の能登半島地震では、被災された地域にそのまま居る方、1・5次避難所に移った方、ホテル等の2次避難所を選択される方などがいました。本会が本年度幹事事務局を担う「全国社会福祉法人経営者協議会南関東・甲静ブロック協議会」では、5月31日から7月3日までの間、1・5次避難所に滞在する介護や見守りを必要とする方の支援を中心として23法人、64名の派遣を行いました。  本号では、その1・5次避難所へ多くの職員を派遣してくださった若竹大寿会理事長に、職員を派遣する立場からその考え方を寄稿いただき、さらに実際に珠洲市の高齢者福祉施設で活動した同法人の職員に現地の活動で感じたことを寄せていただきました。  今後も引き続き、現地のニーズに基づいた災害時の支援のあり方について考えるとともに、本県で災害が起きたときの備えについても、支援経験者から意見をいただき、考えていきます。(福祉サービス推進課) ################################################## 〈コラム〉 法人の福祉マインドが試される震災支援 社会福祉法人 若竹大寿会 理事長 竹田一雄  当法人は、東日本、熊本、そして能登と、恐らく県内で最大の現地支援者を出しています。これらの派遣は個人希望が前提で、①自由意志②家族の同意③心身共に健康、の3条件が確認され、派遣要員として登録されます。  当法人も他法人と同様に、現場はひっ迫しており、現地派遣はその穴を埋める現場の職員の理解と協力が無ければ成立しません。その様な厳しい環境を乗り越え、多数の支援者が出ていける(出す)理由が、いくつかあると思います。 1.サ-ビスが契約に変わり、日常業務で福祉活動の実感を得にくい中で、震災現場というリアルな場で「自分たちは、困難にある人を助ける、人の役にたてる」という、スタッフの自覚と成長が生まれる。 2.市民が次々と現地に入り支援活動をしている中で、社会福祉法人が座していては存続が疑われる。スタッフに、我々は「大変を乗り越える福祉組織」としての自負がある。 3.予測される関東圏震災時に、現地経験をした職員を多数持つことで、組織として適切な行動ができる。  結果、意欲有る多数のメンバーが現地に出て、専門職しかできない役割を担い、日報という形でその活動内容が法人内に紹介され、残って現場を守るメンバーにも励ましとなっています。  また同時に、派遣メンバーには必要に応じて法人補助金等を支給するだけでなく、身内に震災被災者がいる場合は、被災程度にかかわらず一律10万円を支給する制度も運用し、アジア地域での震災時にも外国人職員に支給して深く感謝されています。  今回能登の支援参加が低調ですが、福祉団体を率いる立場の人々は、まず現地に行き自らの目で見ること、そして先頭に立って派遣することが、支援活動の活性化と社会福祉法人制度存続のための最重要課題です。  “福祉は、議論より行動です。” 〈コラム終わり〉 〈コラム〉 能登半島 珠洲市「長寿園」での災害支援活動に参加して 社会福祉法人 若竹大寿会 岩岡綾子  私は、令和6年7月10日から7月15日まで6日間、今回の能登半島地震で甚大な被害が発生した、石川県珠洲市にある特別養護老人ホーム「長寿園」にて活動をしました。  発災当時、施設内には100名の入所者が生活し、デイサービス利用後帰宅出来なかった利用者30名と、被災した近隣住民100名が避難所として身を寄せ合いながら生活をされていたそうです。  私は普段、地域包括支援センターにおいて主任ケアマネジャーをしています。派遣された長寿園での4日間の業務は、食事・排せつ・入浴介助、レクリエーション介助等、特養ホームにおける介護業務一般を行いました。私にとって、介護業務は数十年ぶりの経験となりました。  また、介護業務とは別に、施設内で運営している「珠洲市地域包括支援センター長寿園」の保健師さんからも貴重なお話を伺う機会を頂きました。  発災後は、通信システム状態や道路事情が悪く、高齢者の安否確認に非常に苦労をしたそうです。それと同時に、他県や他市に避難された、介護や生活支援が必要な高齢者にケアを行うケアマネジャーや、受け入れ介護施設、市町村との連絡調整、介護予防支援の委託契約事務等が、半年経った今でもセンター業務の大半を占めていると話されました。震災前、珠洲市の高齢者の多くは、地域のコミュニティの中で、住民同士の助け合いを受けながらなんとか生活していたそうです。しかし震災後、住み慣れない地域の仮設住宅に生活の拠点が移ったことにより、新たな福祉的課題を抱えた高齢者の自立に向けた支援が、今後の業務において大きな課題になると話されていました。  発災時、自分のエリアにおいて、地域包括支援センターの職員として何ができるだろうか、何を優先して取り組むべきなのか。今回の災害支援活動では、長寿園の皆さんから、専門職として非常に多くの学びを頂いた貴重な機会となりました。  最後になりますが、能登半島地震において被災された皆様が、 1日も早く元の生活に戻れますように心より祈念申し上げます。 〈コラム終わり〉 P5 NEWS&TOPICS 困難だからこそ、丁寧な相談支援を-能登半島地震に係る相談支援専門員としての活動から見えたこと (N)日本相談支援専門員協会 代表理事 冨岡貴生((福)唐池学園貴志園 園長) ●能登半島地震発生直後のこと  元旦に能登半島において大規模な地震が発生したことを報道で知りました。今までの被災地支援と同様の活動を行うことが必要となることを想定し、日本相談支援専門員協会の東海北陸ブロックにおいて被災各県の状況把握に努め、石川県の相談支援専門員協会と今後の具体的な支援内容について調整していきました。神奈川県内では石川県から依頼があった際に即応できるよう、応援可能な相談支援専門員等の登録を進めるなど派遣の準備を進めました。 ●全ての活動は情報収集から  石川県保健福祉課と協議を重ね、まずは1・5次避難所に避難している要配慮者への支援を令和6年2月1日から開始することになりました。多くの方が避難されている中で、障害のある方がどのような状況かは誰も分かりませんでした。 ●役割を明確に  全国の相談支援専門員から「何かできることはないか」と声があり、延べ893人もの相談支援専門員が応援に駆けつけてくれました。一方、良かれと思っての発言や行動が、現地の方々にとって負担になってしまうこともあります。そのため、応援に入る立場として、相談支援の目的や役割を明確にし、共通認識の中で支援が行えるよう、ビデオ教材を作成するなどして意思統一を図りました。 ●実際に支援に行くと  1・5次避難所には、障害のある方、生活困窮、障害者福祉手帳を所持しているが福祉サービスを利用していない方等、多様な背景のある方々が避難していました。中には、意思表明が苦手で、ニーズを把握することができないまま2次避難所に移った方も多く見受けられました。そのため、DWAT(災害派遣福祉チーム)等と連携して、支援が必要な方を可能な限り把握して対応にあたりましたが、障害のある方のニーズを把握できる支援者の配置が必要だと痛感しました。 ●2次避難所の障害のある被災者  見知らぬ土地に暮らし始めると、 時間がたつにつれて生活に課題が生じる障害のある方が多くいます。例えば、ホテル等狭い空間での生活となり、制限された環境でストレスを抱える自閉症のある方。自分の意思を上手く伝えられずに不安な状態にある方。障害のあるご本人の対応と生活再建を並行して進めることが難しい状況にいる家族など、2次避難所での聞き取りで把握した要支援者を、金沢市内の基幹相談支援センターが引き継ぎ、福祉サービスの利用調整等を進めてくれました。 ●マニュアル通りの対応や公的サービスのみでは解決しない  被災地における訪問活動は、要支援者の全体像の把握から始まります。被災による心情の変化、福祉サービスや医療機関の利用状況、頼れる人の存在、現在の生活で困っていることなどを把握していきます。「お困りごとはありませんか?」と聞いても、多くの方はSOSを発信することができません。専門職には、生活環境が一変し、さまざまな感情が入り混じる本人に、どのように話しかけるかを考えながら、言語だけではない表情や態度を読み取り、寄り添う姿勢が求められます。  被災による人との関係や環境の変化、支援にあたる周囲の人々の障害に関する考え方や主体性等の内的動機など、本人が地域で生活する上で受ける影響も考慮しなくてはなりません。これらは公的サービスに結び付けるだけでは解決が難しく、「相談支援」を通してかかわり続け、信頼関係の中で環境を整えていく必要があります。 ●最後に  災害は、いつ、どこで発生するか分かりません。災害の規模によって現地の方々で対応できることもあれば、人員不足等で応援が必要になることもあります。日頃から災害を想定して、地域のネットワークが強固となるよう支援機関・団体等の結びつきを大切にするなど、平常時から備えておくことが必要です。 〈写真〉 訪問前の朝礼では、応援に入る相談支援専門員の方々と現地の方々で、情報共有とアセスメントの視点を共有する打合せが丁寧に行われる 〈写真終わり〉 P6 福祉のうごき 2024年6月26日~2024年7月25日※新聞等掲載時点 ●厚生労働省「地域共生社会」の実現に向けた方策の検討  厚生労働省は6月27日「地域共生社会の在り方検討会議」を立ち上げ、第1回会議を開催した。  令和2年に改正された社会福祉法の施行5年後を目途に検討を行うもので、地域共生社会の実現に向け、改めてその概念を確認するとともに、施策の深化・展開、また身寄りのない高齢者が抱える課題への対応などについても検討する。 ●厚生労働省 民生委員の市町村居住の緩和に向けた検討  厚生労働省は6月28日「民生委員・児童委員の選任要件に関する検討会」を立ち上げた。  担い手確保に向けて、民生委員・児童委員の居住要件緩和について検討を行う。現行では民生委員はその市町村に居住している必要があるが、居住していない人の選任を認めるか議論する。 ●横浜市 優先駐車区画に利用証  横浜市は、車いす使用者をはじめとした、歩行が困難な方や移動の際に配慮が必要な方のために設置されている車いす使用者用駐車区画の適正利用を推進するため、県内では初めてとなる「パーキング・パーミット制度」を導入し、7月1日から申請受付を開始した。利用者には車内に掲示する利用証を交付して、優先駐車区画の利用をし易くする。 ●横浜市社協とプロバスケチーム 連携し寄付活動  横浜市社会福祉協議会は7月4日、プロバスケットボールチーム「横浜エクセレンス」と契約を締結した。  横浜エクセレンスが一部の協賛金を寄付付きで販売し、その売り上げの2%を横浜市社協に寄付する取り組み。スポーツを通じた地域福祉の発展を目指す、全国でも新しい取り組みとなっている。 P7 キラリ輝く!児童委員活動~主任児童委員制度30周年を迎えて~ 相模原市中央区星が丘地区 主任児童委員 豊田 里美  平成22年より主任児童委員となり、現在5期目を務めています。私は自営業(建築業)の仕事をしながら4人の子どもを育てています。その中で、子ども会やPTA活動などにも携わってきました。当時の自治会の会長から「子どものことを色々と頑張っているから主任児童委員にならないか」と声をかけていただき、主任児童委員となりました。  平成30年から「子どもの居場所づくり」を目的としたボランティア団体「こども広場ウェルカム」の代表としても活動・運営をしています。 未来へ「つなぐ」ための居場所をつくる  主任児童委員の役割をひと言で表 すと、どのような言葉になるのでしょうか。教育や福祉、行政の専門家ではない主任児童委員は「地域の身近なおとな」「子育て応援団」として様々な活動をしています。私は、主任児童委員の役割は「子育てを応援する身近なおとな」として、子どもや保護者を専門家に「つなぐ」ことだと考えています。そこで、今回は「こども広場ウェルカム」の活動を通して、主任児童委員が「つなぐ」ことについてご紹介させていただきます。  こども広場ウェルカムは「子どもの居場所づくり」を目的とした団体です。現在、発達障害のある子どもの増加や、子どもの貧困や虐待など、子どもや子育てをめぐる問題は多様化・深刻化しています。専門家ではない私たちにできることは何か考え、「子どもの居場所」をつくることにしました。  こども広場ウェルカムでは、どんな子どもたちにも平等に幸福になってほしいという願いを込めて「だれもがウェルカムな居場所」として週に3日間2時間ずつ、地域の自治会館を借りて活動しています。初めの1時間は勉強、残りの時間はみんなで遊んだり自由に過ごします。また、自治会や子ども会、学生団体等を「つなぐ」ことで、夏祭りやハロウィン、クリスマス会などの季節のイベントも行っています。  私たちの団体の理念は「子どもの最大の利益のために」です。子どもたちにとって「今」が楽しくなければ、子どもの居場所となることは難しいです。しかし、ただ楽しく遊んでいるだけでは、子どもの「未来」へつながりません。そこで、教育の専門家である教員や元教員、学生と子どもたちを「つなぐ」ことにしました。また、私は主任児童委員として保護者の方の相談に乗り、必要に応じて関係諸機関に 「つなぐ」こともしています。   「つなぐ」ことで、子どもたちの未来を「つなぐ」ための居場所をつくることができると信じています。 〈写真〉 令和5年の夏祭りでは、191人の子どもたちが楽しんでくれました 〈写真終わり〉 〈囲み〉 地区の概況 相模原市中央区星が丘地区 人口 17,746人 世帯数 8,697世帯 子ども(15歳未満) 2,035人 保育園・幼稚園 6園 小学校 1校 中学校 0校 民生委員児童委員 26人 うち主任児童委員 2人 (令和6年4月1日現在) 〈囲み終わり〉 P8 私のおすすめCHECK! ◎このコーナーでは、子育てや障害、認知症・介護当事者等の目線から、普段の暮らしに役立つ「おすすめ」なものを紹介します。 親子で水遊びやにじみ絵遊びを楽しもう  今年も暑い日が続いています。少しでも涼やかに過ごせるように、水遊びやにじみ絵を楽しむ方法をご紹介します。  水遊びは家にあるペットボトルや洗剤の空き容器などを使って。にじみ絵は水で濡らした紙に絵の具を垂らすと、色がじわじわと広がる様子がおもしろい遊び。画用紙、絵の具、筆があればすぐに始められます。 今月は→NPO法人 ままとんきっずがお伝えします! 今年で子育て支援活動31年目。お母さんたちが主体となって、親子が集うサロン、グループ保育、一時保育、各種講座、産後サポート、子育て支援センター、小学校での寺子屋事業、中学校での赤ちゃんふれあい体験事業などを運営。情報誌・単行本の発行物は45冊を超え、一部は海外でも翻訳出版。乳幼児から小中学生まで幅広い子育て支援により、地域の活性化を目指し、活動の場を広げている。 〈連絡先〉〒214-0011 川崎市多摩区布田24-26 TEL 044-945-8662 FAX 044-944-3009 URL:https://mamaton.jpn.org お庭やベランダで思い切り水遊び ●ペットボトルのお手製シャワー 〈作り方〉 弾力のあるペットボトルにキリで穴をたくさんあける 〈遊び方〉 水を入れて押すと、水が出てシャワーみたい 〈イラスト〉 これまた楽しい! ビニール袋に爪楊枝で穴をあけて、水を入れると… 〈イラスト終わり〉 ●洗剤や調味料の空き容器が水鉄砲に変身 〈的の作り方〉 トイレットペーパーに点数や円を描いてハンガーに垂らし、上と下を洗濯バサミでとめる 〈遊び方〉 空き容器に水を入れて押すと、水が穴から発射。的に命中させると、トイレットペーパーが破けて落下。点数を競おう! 〈イラスト〉 これまた楽しい! マヨネーズの空き容器にクジラの目や口を描いて穴を1つあけ、水を入れて押すと… 〈イラスト終わり〉 ●空き容器や日用品で地面にお絵描き 〈遊び方〉 水を入れた空き容器やジョウロ、水をつけたほうきで地面に大きな絵を描こう。まわりには気をつけて 〈イラスト〉 これまた楽しい! 手や足に水をつけて押すと… 〈イラスト終わり〉 お部屋で不思議なにじみ絵遊び 〈遊び方〉 画用紙を水で濡らし、水で溶いた絵の具を筆で垂らしたり、絵を描いたりすると、不思議な模様ができたり、色が複雑に混ざったり 〈イラスト〉 これまた楽しい! 墨汁を垂らすと、にじむだけでなく弾いて予想外の絵に 〈イラスト終わり〉 どれもシンプルな遊びですが、子どもたちは夢中になるはず。お手製シャワーや水鉄砲は作るところから親子で一緒に、キリや爪楊枝の扱いに気をつけながら楽しんでくださいね。イラスト/たつみくみこ P9 “はたらく”を支える 誰もが活躍できる〝雇用の場〟は、助けあい、成長し合える職場につながる ―有限会社川田製作所  福祉現場では、深刻な人材不足の状況にある中、企業においても人口減少社会の中で人材不足・人材確保が経営課題となっています。  また、人材確保とあわせて人材育成・定着の取り組みが重要であり「働きがい」や「働きやすい職場」をつくることが経営側に求められています。  今号では、多様な人材が活躍する〝良い雇用の場〟づくりを進める(有)川田製作所代表の川田さんにお話をうかがいました。  川田製作所は、自動車や精密機器等で使われる部品の精密プレス加工、金型製作を行う町工場です。 ―現在、川田製作所ではどのような方が働いているのでしょうか  現在、16名の職員が働いています。そのうち、障害のある方は5名、外国人は3名、高齢者が3名働いています(障害のある高齢者1名を含む)。 ―多様な人が働いていますが、こうした雇用に取り組むきっかけを教えてください  10年前に求人票を出した際、ハローワークの方から「この求人は、障害のある方でも働けますか」と聞かれました。弊社では障害者雇用が言われるようになる前から障害のある方も働いていたこともあり「できると思います」と答えたところ、それがきっかけで、トライアル雇用を経て採用した方もいます。  積極的に多様な人材の雇用に取り組んでいるというより、弊社の求人に障害のある方や外国の方の応募があり、会社で活躍できる力を持っているかどうかを判断して、採用しているというのが実情です。 ―採用において大事にしていることはありますか  製造業の場合は、現場での生産性はとても重要です。障害者雇用においては、生産性だけではないプラスの価値があることも承知していますが、生産性が一定水準に達していないと、持続的に雇用することが難しくなります。  生産性と言うと、厳しく感じるかもしれませんが、本人の持つ力をしっかりとした物差しで評価することができるという見方もできます。〝なんとなく仕事ができていそう〟ではなく、時間内の製造個数など一定の水準をクリアしていることで公平性や納得性にもつながります。会社がきちんとした物差しを作ることは大事だと思っています。 〈写真〉 障害のある方と外国人の方が一緒に作業をしている 〈写真終わり〉 ―多様な人材を雇用して良かったことはありますか  障害のあるAさんは、優しい性格で、本採用に向けて目標に到達しようと頑張っていました。しかし、一生懸命になるあまり勤務中に転倒して怪我をしてしまい、その後も思うような成績を残せず目標をクリアできませんでした。本来トライアル期間は3カ月ですが、Aさんを指導していたトレーナーが「僕が彼の面倒を見るからもう少し期間を延ばせないか」と言いました。その思いを受けとめ、私もハローワークに事情を説明し、了承を得ることができました。Aさんは、トライアル6カ月後に晴れて目標を達成しました。 また、外国籍の人を最初に雇用した時は、働くことに対する熱量がとても大きいと感じました。そこには、日本で働いて稼いだお金を母国にいる家族に少しでも多く仕送りしようとする意欲がありました。働くことやお金に対する貪欲さを持っている人が近くにいることは、会社にとっても良いことだと思います。それからは、技能実習生を受け入れたり、在留資格の技術・人文知識・国際業務の認定がある人を採用したりしています。 障害や国籍などに限らず、彼らの明るい人柄や頑張る姿勢が周りを動かしていると感じます。仕事でみんなが大活躍できなくても、お互いに助け合うことによって、組織として成長し合う職場の雰囲気につながり、生産性とは違う価値が生まれています。(企画課) 〈写真〉 お話をうかがった代表の川田さん 〈写真終わり〉 有限会社川田製作所 創業:1969年7月 住所:小田原市中新田294-1 HP:https://www.kawada-ss.co.jp/ P10 県社協のひろば 法人間連携で取り組む地域の福祉課題の解決―経営者部会と市町村社協部会の協働による地域ネットワークの強化 社会福祉法人の公益的な取り組みへの期待  地域住民の生活課題は複雑化・多様化し、各市町村では地域共生社会の実現に向けて、包括的な支援体制の構築や孤独・孤立への予防の対策が推進されています。  こうした現状の中、社会福祉法人による「地域における公益的な取り組み」に期待が寄せられています。この取り組みは、従前から地域社会の一員としての貢献活動として、法人・施設の機能や専門性を活かしながら、自主性と創意工夫により取り組まれているものです。社会福祉事業を行う社会福祉法人等の経営者で構成される本会経営者部会(会員527法人)では、会員法人の活動をホームページにて情報発信を行い、関係者との連携の促進を図っています。 〈囲み〉 経営者部会 地域への貢献活動検索HP 〈囲み終わり〉 地域ネットワーク強化事業の創設  令和5年度、本会では経営者部会会員法人と市町村社協が法人間ネットワークの形成を図り、地域の課題や福祉ニーズに積極的に対応することを目指すため、経営者部会と市町村社協部会が協働する「地域ネットワーク強化事業」を創設しました。これはネットワーク構築のための会議等の事務費や実践活動等の事業費に対する助成事業(最大20万円・2カ年)で、現在14地域に交付しています。 〈囲み〉 助成交付地域(令和6年度) 横浜市旭区、磯子区、戸塚区、栄区、泉区、川崎市、平塚市、鎌倉市、逗子市、厚木市、海老名市、座間市、南足柄市、寒川町 市区町村社協が事務局を担い、社会福祉法人等と市区町村社協で構成した「ネットワーク組織」による活動が展開されている 〈囲み終わり〉 南足柄市での「地域ネットワーク連絡会」の立ち上げ  南足柄市社協では第5次地域福祉活動計画(令和3~7年度)に「地域におけるネットワークの強化」を位置づけ、「社会福祉施設・事業所と連携した公益的な取り組み」を推進してきました。その活動の一環として、本事業を活用し、令和5年度から市内に事業所を置く法人を個別訪問し、法人の地域公益活動の実施状況を把握、取り組む上での課題や法人間連携への期待などの聞き取りを行い、準備を進めてきました。  そして、令和6年7月11日、市内の高齢・障害・保育の福祉施設経営法人(社協、社会福祉法人、医療法人社団、有限会社)11団体で構成する「地域ネットワーク連絡会」が立ち上がりました。  当日の連絡会には構成メンバーの理事長や施設長が参加し、次のような地域との交流の現状や、連絡会への期待が語られました。 ●高齢者の移動手段や住まいの課題などを把握しているが、地域貢献への活動の展開に悩むことがあり、連絡会で情報共有し、活動に対する助言をもらいたい ●コロナ禍から地域住民との交流が無くなっており、利用者や子どもへの支援に影響が出ている。連絡会のつながりを生かし、地域や施設間の交流を再開していきたい ●子ども、障害者、高齢者など分野・種別を超えた交流がなかった。今後、地域に向けた具体的な活動に展開することを期待したい ●地域の福祉課題について発信し、特に若い世代に働きかけ、地域の問題に気づき「我が事」として捉えてもらえるよう活動したい 〈写真〉 7月11日に開催された「地域ネットワーク連絡会」には11団体・17名が参加。各々の地域への貢献活動の紹介とともに、今後対応すべき福祉ニーズが挙げられ、分野・種別を超えて住民の福祉課題に応えるための連絡会の意義を共有した 〈写真終わり〉  また、行政からは庁内の包括的な相談支援体制づくりの報告があり、住民の福祉課題解決に向けた連絡会との連携に対する期待が述べられました。  南足柄市社協の露木事務局長は「連携・協働を具体化するためには、顔の見える関係性づくりが必要です。お互いを知り、信頼関係を築くことができる連絡会の発足には意味があり、大きな一歩となりました」と話します。  単体の取り組みだけでは対応できない分野・種別を横断する地域の福祉課題に対して、複数の法人がそれぞれの強みや経験を生かして活動するネットワーク組織があることで、解決力の向上が期待されます。今後も、引き続き地域におけるネットワークづくりの支援に取り組んでまいります。(福祉サービス推進課・地域課・企画課) P11 Information 本会主催の催し 福祉の仕事を知る懇談会in横須賀 ・就職支援セミナー ・福祉施設による懇談会 ・保育のしごとを知るセミナーと同日開催 ◇日時=令和6年9月19日(木)13時30分~15時45分 ◇会場=横須賀市産業交流プラザ 第4会議室 ◇対象=福祉の仕事に就きたい方 福祉の仕事に興味・関心がある方 詳細はHPで確認 HP:https://www.kfjc.jp/event/detail.asp?id=21024 ◇問合せ=かながわ福祉人材センター TEL 045-312-4816 令和6年度第2回福祉サービス第三者評価に関する事業者説明会 第三者評価の意義や目的、受審の流れ、評価結果の活用方法等について、第三者評価に関心のある福祉サービス事業者を対象とした説明会 ◇日時=令和6年9月27日(金)13時30分~15時30分 ◇開催方法=オンライン ◇対象=県内の保育・高齢・障害各分野の福祉サービス事業所および市町村所管課職員 ◇参加費=無料 ◇申込方法=URLから申込み URL:https://forms.gle/D5Ej4QBssTq6GpXC6 詳細はHPで確認 HP:https://www.knsyk.jp/service/hyoka ◇問合せ=福祉サービス推進課かながわ福祉サービス第三者評価推進機構 TEL 045-290-7432 関係機関・団体の催し 第17回ぬじゅみセミナー「仲間の中で見つけた幸せ~ひとりじゃない~」 女性のギャンブル依存症などからの回復を支援するNPO法人ヌジュミによるセミナー。利用者の体験談やモデルミーティング、合唱・オカリナ演奏等 ◇日時=令和6年9月14日(土)10時30分~16時(開場10時) ◇会場=瀬谷区民文化センターあじさいプラザ多目的音楽室 ◇対象=関心のある方 ◇定員=100名 ◇参加費=無料 ◇申込方法=事前申し込み不要。直接来場のこと。 詳細はHPで確認 HP:http://nujyumi.la.coocan.jp/ ◇問合せ=デイケアセンターぬじゅみ TEL 045-744-6516 横浜げんき会 30周年記念講演 木原育子氏 横浜で語る 精神疾患を持つ兄弟姉妹のセルフヘルプ・グループとして活動する横浜げんき会の30周年記念講演 ◇日時=令和6年10月13日(日)13時30分~16時 ◇会場=県立地球市民かながわプラザ(あーすぷらざ)5階映像ホール ◇定員=100名(先着順) ◇参加費=無料 詳細はHPで確認 HP:https://blog.goo.ne.jp/yokohamagenkikai ※申込み・詳細情報の公開は9月1日から ◇問合せ=横浜兄弟姉妹の会げんき会(横浜げんき会)  寄附金品ありがとうございました 【県社協への寄附】古積英太郎 【交通遺児等援護基金】(株)エスホケン、ダイセーロジスティクス(株)横浜ハブセンター、(株)日工 【子ども福祉基金】(株)エスホケン、(株)日工、脇隆志 【ともしび基金】古口玲斗、県立鎌倉支援学校、(福)鎌倉リハビリテーション聖テレジア病院、KDDI(株) (匿名含め、合計12件215,104円) 【寄附物品】(公財)報知社会福祉事業団、ホンダ販売労働組合、神奈川トヨタ自動車(株) 【ライフサポート事業】〈寄附物品〉(N)セカンドハーベスト・ジャパン 〈写真〉 児童福祉施設へ車両、電子ピアノ、天体望遠鏡を寄贈いただき、令和6年7月18日、ホンダ販売労働組合 山下善弘支部執行委員長兼中央執行委員(右)へ感謝状を贈呈 〈写真終わり〉 福祉タイムズに対するアンケートを募集しています。頂いたご意見は、今後の紙面づくりの参考とさせていただきます。 P12 かながわほっと情報 外国籍職員とともに働く ~誰もが働きやすい職場を目指して~ (福)たちばな会 特別養護老人ホーム天王森の郷(横浜市泉区)総務部課長 人財開発担当 増尾和行さん 外国籍の職員を受け入れる  特別養護老人ホーム天王森の郷では2010年から外国籍の介護職員(以下、外国籍職員)が働き始め、現在、介護職員65名のうち、17名が在籍しています。  外国籍職員は、帰省する際日本人職員と比べて長期の休みが必要になったり、急な休みの取得により勤務シフトに穴が空いてしまったりなど、一部の日本人職員から不満が寄せられることも少なくありませんでした。このままにしていたら、日本人職員と外国籍職員との溝が深まり、利用者に良いサービスを提供できなくなる可能性がありました。その他にも、外国籍職員を受け入れるにあたって様々な課題があったと人財開発担当の増尾さんは話します。 食を通じたお互いの理解  増尾さんは外国籍職員と日本人職員にお互いの職場以外の姿も知ってもらおうと、それぞれ母国や地域の郷土料理を持ち寄り、家族と一緒に参加できる食事会を開きました。職員には幼い子どもがいたり、介護を必要とする親がいたりと、それぞれどのような生活を送っているかを知ることができ、お互いが優しい気持ちになれるきっかけとなりました。また、歳の近い子どもがいる職員同士では自然と情報交換を行うようになり、受験や入学の準備等、難しい手続きもサポートでき、外国籍職員が働きながら安心して子育てができるような環境が作られていきました。増尾さんは「こうした職場環境や職員間のコミュニティがその後に入職する職員にも伝えられていくことで、良い循環が生まれている」と実感を込めて話します。 〈写真〉 互いの郷土料理をみんなで味わう 〈写真終わり〉 一緒に働く仲間であり友であること  外国籍職員の場合、日本語の勉強や介護技術の習得はもちろんですが、日本で日常生活を送るうえで様々な課題があり、課題に即した細やかな支援が求められることも少なくありません。増尾さんのもとには、外国籍職員から「夜中にATMが使えない」「引っ越したらテレビが映らなくなった」などといった、生活のちょっとした困りごとの相談が寄せられます。日本での生活が安全・安心なものでなければ、集中して仕事ができなくなるため、増尾さんは「外国籍職員が頼れる存在でありたい」と話していました。天王森の郷ではこのような寄り添った支援もあり、外国籍職員だけでなく、日本人職員からも働きやすい職場と聞かれます。 誰もが働きやすい職場をめざして  人口減少や少子高齢化、介護人材の不足により、外国籍職員の需要はますます拡大する見込みです。「将来、 自分が福祉施設を利用する時におむつ交換などケアをしてくれるのは外国籍職員かもしれない。これからを見据えて、外国籍職員も含め、誰もが働きやすい職場を作っていきたい」と増尾さんは力強く話しました。(かながわ福祉人材センター) 〈写真〉 外国籍職員を思い、笑顔で話す増尾さん 〈写真終わり〉 「福祉タイムズ」は、赤い羽根共同募金の配分を受けて発行しています バックナンバーはHPから ご意見・ご感想をお待ちしています! 【発行日】2024(令和6)年8月15日(毎月1回15日発行) 【編集・発行】社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会 〒221-0825 横浜市神奈川区反町3丁目17-2 TEL 045-534-3866 【印刷】株式会社神奈川機関紙印刷所