かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

白百合愛児園(2回目受審)

対象事業所名 白百合愛児園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 乳児保護協会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 245 - 0013
泉区中田東1-41-2
tel:045-802-5413
設立年月日 1948年06月12日
公表年月 2020(令和2)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地および施設の概要
白百合愛児園は、横浜市営地下鉄ブルーライン中田駅から徒歩6、7分のなだらかな坂を上った住宅地にあります。泉区内でも大きな公園のしらゆり公園に隣接しており、緑豊かな環境です。夏のプール遊びは、公園のプールを利用しています。園は、大正13年創立の社会福祉法人乳児保護協会を経営母体とし、昭和24年6月24日に開園しました。子どもの受け入れは0歳児から就学前児童を対象とし、定員は220名で現在227名が在籍しています。園舎は木造造り一部2階建て(1,796、8u)で、園庭は1,360uを有し、固定遊具のほか、砂遊び、泥遊び、水遊びなど自由にできるよう、園庭各所に水場(井戸含む)を設置しています。桜、紅葉、イチョウ、アジサイ、季節の草花など、植栽も豊富です。
・園の特徴
職員は、子どもたちの自由な発想や意見を聞きながら日々の保育を進めています。個々でやりたい遊び中心の生活の中、子どもが「やってみたい」との思いに応えて、スケジュールに柔軟性を持たせ、子どもが意欲的に活動できるようにしています。食事も一斉ではないため、各自が納得できるまで遊びこむことができます。子どもたち(主に3〜5歳児)は、保育室、園庭、テラス、廊下、図書コーナーなど、自分の好きな場所で、やりたい遊びを展開しています。そのための月間指導計画・週間指導計画は、子どもの主体的な活動を促すための環境作りやそのときの子どもの言葉、職員の言葉かけ等大切な部分を拾い上げ、作成をしています。それらを視覚的に追っていくことができるよう、ウエブ化した様式(写真を用いたマップ型記録→子ども全体の動きを俯瞰して、子どもの遊びや経験の意味を読み取り、次の援助を検討していく)にしています。
子どもたちの遊びを保障するため、職員は横浜市基準よりもさらに手厚い配置をしています。

【特に優れていると思われる点】
1.指導計画や記録をウエブ化・可視化していったことでの変化
・子ども
ウェブ化した指導計画は保育室に掲示をしています。子ども自身が掲示物を見ながら、自分たちがどんなふうに考えをまとめていったのかを振り返ることができます。また、その活動に参加をしていなかった子どもたちが関心を寄せることにもつながっています。4、5歳児クラスは、日々サークルタイムと称する時間を設け、子ども自身が遊びや活動を振り返ったり、友達と共有したりしています。5歳児クラスは、1泊2日の富士山の麓でのキャンプの様子を自分たちでドキュメンテーション(写真を交えた記録)を作り、廊下に掲示をしました。
・保護者
保護者は、ウェブ化した指導計画の掲示、保育室環境(ままごと、ケーキ屋さん、化石ブームなど)の成り立った形をみて、子どもたちの自主的な活動の様子や日々の変化を知ることができています。5歳児クラスの自動販売機つくりでは、子どもがアルバイトの募集をかけると保護者の応募があり、手伝ってもらいました。雇った子どもからきちんとアルバイト料(紙のお金)の支払いもありました。その後も保護者側から子どもの活動に関わりたいのと申し出を受けています。仕事の話を聞かせてくれたり、製作物の手伝いをしてくれたりと、自発的な関わりが生まれ、広がっています。
・職員
職員会議、園内研修など全職員出席を基本として情報共有を密に図っています。カンファレンスを開き、保育時の職員の配慮及び子どもの姿、職員の気づきなどの知見を積み重ねています。園内研修は、日々のポートフォリオ、ドキュメンテーション(保育の可視化の取り組み方法)を用いての報告会の形で行っています。さらに、外部講師(保育研究者)を招いての講演会形式の研修(5〜7月にかけて)も行っています。
このような職員間の情報共有のもとに、指導計画を作成するワークショップを開き、意見交換をしたり共通理解を深めたりしています。ウェブ化した指導計画により、見えていなかった子どもの姿に気づき、子どもの思いを知る手がかりになったり、子どもの別の一面が見えたりしています。子どものある一場面の姿をさまざまな職員が見て、意見を出し合うことで、それぞれの見方、感じ方、関わり方を知ることができ、多様な視点からの読み取りとなり、職員のモチベーションの向上につながっています。

2.子育て支援事業の取り組み
地域向けの子育て支援事業は、園庭開放(毎週木・土曜日、10時〜11時30分)のほか、カンガルーデー(毎月第2第4火曜日、10時〜11時)では、多目的室で担当職員がふれあい遊びなどを提供しています。0、1歳児向けの交流保育は給食の試食もできます。年に1度の移動動物園には毎回80〜90組の参加があり、地域のイベントとしても定着をしています。また、子育てネットワーク会議では、保育園、地域関係者(自治会代表者、民生委員)、子育てサロン・子育てサークル関係者などと子育て環境の向上と地域ごとの連携や支援などについて意見交換を行っており、地域の子育て支援サービス提供についても力を入れています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.職員個々の目標設定と達成度の評価
職員にどのような知識や技術を習得する必要があるかについては「白百合愛児園研修体系」にて資質向上を行っています。今後は、個々の職員が設定している年間の目標と達成度の評価の仕組み作りについても期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・法人理念は、「利用者が個人の尊厳を維持しつつ、心身ともに健やかに育成されるように支援する」で、運営方針は、理念の実現のために乳幼児期に大切である人との信頼関係、子ども自らが主体的に物事に取り組める環境を整えるなどを盛り込んで作っています。園独自の保育目標は「健康な体と心を作る」を掲げています。それらはすべて子ども本人を尊重したものとなっています。

・毎年、園内研修でNGワードや適切な言葉がけ、対応について確認しています。職員は子どもの要求や質問に対して無視や拒否することなく、優しく耳を傾け、その主張を受け止めるように努めています。

・研修や会議で全職員に個人情報の定義や守秘義務の意義や目的について周知し、ボランティアや実習生にもオリエンテーションで説明し、誓約書を提出してもらっています。

・虐待防止マニュアルがあり、職員に虐待の定義を周知しています。朝の子どもの表情や着替え時に良く見ることで子どもの状態を確認しています。子どもの何気ないつぶやきも聞き逃さず、必要に応じて全職員で見守るようにしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・全体的な計画に基づいた年間指導計画(4半期ごとの)を作成しています。月間指導計画・週間指導計画に関しては、子どもの主体的な活動を促すための環境作りやそのときの子どもの言葉、職員の言葉かけ等大切な部分を拾い上げ、作成をしています。それらを視覚的に追っていくことができるよう、ウェブ化した様式(マップ型記録→子ども全体の動きを俯瞰して、子どもの遊びや経験の意味を読み取り、次の援助を検討していく)にしています。ウェブ化した指導計画は子どもが興味関心を示した遊びの活動(ままごと、ケーキ屋さんなど)ごとの計画になっています。

・ポートフォリオ(写真やその写真に添えられた文言などによって子どもの遊び・活動やそこでの学びを記録したもの・子どもたちの活動記録)を日誌としています。

・0、1歳児の保育室のおもちゃは、子どもの目線の高さに合わせた低い棚に置き、子どもが自分で取り出したり、片付けができるようにしています。2〜5歳児の保育室は、子どもの成長や発達、興味関心に応じたコーナーを作り、好きなコーナーで遊べるようになっています。日常の保育の中で、子どもたちの発想を集団遊びやコーナー遊びに発展させ、保育室には病院やアイスクリーム屋さんコーナーなど様々な遊びのスペースがあり、子どもたちの発想や興味が生かされています。

・園内の畑でサツマイモやニンジン、大根、ピーマンなどを栽培しています。収穫したサツマイモをクッキーや焼き芋にしたり、園庭の植栽の実った柚子をジュースにするなど、食育活動につなげています。園庭でウサギを飼い、5歳児が世話をしています。保育室ではヤモリや園庭や公園で採集した昆虫を飼育し、エサやりなどを通していろいろなことに気づき、保育室に図鑑なども備えて興味関心を深めています。

・3歳児以上はランチルームで食事をし、4、5歳児はメニューによっては自分で盛り付けるバイキング方式を取り入れています。1歳児から水やりや収穫などの栽培活動を行い、玄関に翌日給食で使う白菜などの旬の食材を掲示し、0歳児から見たり、触ったりして様々な食材に触れる機会を取り入れています。

・眠れない子どもには、休息が大切であることを大事に考え、横になって静かに休息するように促しています。眠れない子どもには静かに絵本を見たりして過ごすスペースを作っています。5歳児の午睡は自由となっています。

・排泄チェック表を使用して一人一人の排泄リズムを把握し、無理に誘うのではなく自らトイレに行きたいという気持ちを大切にして、排泄のリズムを自然に作れるように配慮しています。


3 サービスマネジメントシステムの確立

・全体的な計画に基づいた年間指導計画を作成しています。月間指導計画・週間指導計画に関しては、子どもの主体的な活動を促すための環境作りやその時の子どもの言葉、職員の言葉かけ等大切な部分を拾い上げ、作成をしています。それらを視覚的に追っていくことができるよう、ウェブ化した様式(写真を用いたマップ型記録→子ども全体の動きを俯瞰して、子どもの遊びや経験の意味を読み取り、次の援助を検討していく)にしています。

・クラスごとの月案検討会で、今の子どもの状況を把握しています。ウェブ化した指導計画により、見えていなかった子どもの姿に気づき、子どもの思いを知る手がかりになったり、子どもの別の一面が見えたりしています。子どものある一場面の姿をさまざまな職員が見て意見を出し合うことで、それぞれの見方、感じ方、関わり方を知ることができ、多様な視点からの読み取りの広がりが生まれています。

・子どもの成長発達記録は、0歳児と1歳児の低月齢クラスは日々の個別のポートフォリオを成長発達記録としています。1歳児の高月齢クラスと2歳児クラスはクラスのポートフォリオを残しています。3〜5歳児クラスは3か月ごとに成長発達を記録しています。

・苦情受付担当者は主任、解決責任者は園長とし、第三者委員の氏名・連絡先と共に入園のしおりに明記しているほか、他機関苦情解決窓口の横浜市福祉調整委員会に相談できることと合わせて玄関掲示をしています。

・健康管理、衛生管理、安全管理に関する各マニュアルを整備し、マニュアルに基づいた対応や訓練を行っています。


4 地域との交流・連携

・保育所に対する理解促進のために、移動動物園、運動会、七夕、お餅つきなどには地域の親子や卒園児に参加を呼びかけています。また、地域の夏祭りで園児が手作りのお神輿を担ぐなど自治会と計画的に交流を図っています。

・子育て支援事業として、園庭開放(毎週木・土曜日、10時〜11時30分)を行い、カンガルーデー(毎月第2第4火曜日、10時〜11時)では、多目的室で担当職員がふれあい遊びなどを提供しています。0、1歳児向けの交流保育は給食の試食もできます。

・将来の利用者が関心のある事項について、横浜市子ども青少年局はぴねすぽっとや園のホームページで情報提供しています。利用希望者からの園への問い合わせに対しては事務所に園のしおりを常に準備して対応し、見学できることを伝えています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・職員の守るべき規範については、就業規則に明記し、職員に周知しています。

・経営、運営状況等の情報は、社会福祉医療機構、財務情報開示システムにより公開をしています。

・園運営に関し、「白百合愛児園中長期計画」を立て、園の方向性を定めています。中長期計画を踏まえた単年度事業計画を策定しています。運営に関して、専門家(公認会計士、社会保険労務士、保育研究者、産業医)などの意見を取り入れています。


6 職員の資質向上の促進

・「白百合愛児園研修体系」に基づき、4段階のキャリアステージ別の人材育成計画が策定されています。

・指導計画に対する自己評価のほか、園の自己評価を職員が話し合ってまとめており、自己評価を計画的に行う仕組みになっています。

・ポートフォリオやドキュメンテーションに関しては、保育研究者からアドバイスを受けています。ウェブ化した指導計画には、次月の子どもの姿を書き込んでいきます。そうしていくことで、翌月には実際の様子が展開されるので、それを評価・反省し、また、次の発展を考えています。

・保育の振り返りは、子どもが遊びの中で経験していること、次に必要な経験、必要な経験を実践するため、職員は子どもを良く観察しています。保育時の職員の配慮及び子どもの姿、職員の気づきなど丁寧なカンファレンスを積み重ねています。保育を振り返る際は、結果だけにとらわれず、子どもの思いを汲み取り、子ども主体の活動になるような環境を整えていくその過程を大切にしています。

・子どもの興味・関心を切り取り、ウェブ化した月間指導計画を立てています。子どもの興味・関心がほかの子どもにも広がったり、遊びの発展が見られる場合(船作り、自動販売機作りなど)は継続していきます。子どもに新しい興味・関心が見られるとき(化石、お相撲など)は、新たなウェブ化した指導計画を作成しています。

・実習生についての受け入れマニュアルがあり、受け入れ時はオリエンテーションを実施して、保育方針、守秘義務や個人情報の取り扱い等を説明しています。

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