かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市柿生学園(3回目受審)

対象事業所名 川崎市柿生学園(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 川崎市社会福祉事業団
対象サービス 障害分野 生活介護・施設入所支援
事業所住所等 〒 215 - 0025
麻生区五力田2-20-10
tel:044-987-1511
設立年月日 1986(昭和61)年04月01日
公表年月 2020(令和2)年04月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 川崎市柿生学園は、小田急多摩線五月台駅から徒歩6分の閑静な住宅街にあります。昭和61年4月開設の定員60人の障害者入所施設です。開設と同時に社会福祉法人川崎市社会福祉事業団が川崎市より施設運営を受託し、平成18年度より指定管理者として運営し、現在に至っています。
 令和元年8月現在の入所者は60人で平均年齢は51.9歳です。障害支援区分5以上の重度障害者が95%をしめ、98%の利用者が療育手帳A認定を受け、また、38%の利用者が身体障害者の重複障害の人達です。重度の障害者を積極的に受け入れているところに施設の特徴があります。
 平成31年度事業計画の施設方針に、「利用者一人ひとりの心に届く支援の実践を目指し、あらゆる場面で利用者の意思およぴ人格を尊重し、安心安全な暮らしと生きる喜びの感じられる生活が実現するようサービスの充実を図ること」等を明記し職員に周知しています。職員は、利用者の障害特性を理解し、丁寧で専門性の高い支援の提供に努めています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○利用者の意思決定支援に努めています
 利用者の意思決定の支援を事業計画の重点目標に掲げています。職員は利用者に選択肢を示して、利用者自らが選択することで、満足度へとつながるよう見守っています。障害状況に応じてコミュニケーション方法を工夫し、可能な限り利用者の要望や思いを聞き取っています。選挙も事前情報や準備を整え社会参加の機会にして、利用者からは「やれて良かった」と満足する声が聞かれています。利用者に外出先の希望を聞き、食事のメニューを選んでもらうなどで、職員は利用者の自己決定の支援に努めています。

○利用者の高齢化・重度化に配慮した日々の支援に努めています
 利用者の高齢化や重度化への対策として、布団からベッドへ変更し体の負担が軽減され、利用者の明るい表情につながっています。利用者全員の体温と血圧を毎日測定し、不整脈がないかなどをチェックします。また、利用者の体重変化を棒グラフで表示し体調変化に注意を払っています。医師や看護師、支援員などと連携して管理栄養士が栄養ケア計画を作成し、軟菜食、一口大食、刻み食、とろみ食、ゼリー食、ミキサー食など10種類の食事形態で個々の利用者の嚥下状態に配慮した安全な食事提供に努めています。

〇利用者が安心して日中作業に取り組めるように支援しています
 日中作業は、家電のフェライトコアの組み立て、シュレッダー作業、空き缶リサイクルや名刺作りなどの作業を行っています。施設の自主製品には、一筆箋メモ帳、布財布、利用者の描いた絵やイラストを焼き付けたマグカップなどがあり、川崎市ふるさと納税の返礼品に選ばれ、施設の取り組みを知ってもらうきっかけにもなりました。利用者が安心して仕事に集中できるよう、日中作業は作業ごとに手順書を作成し、利用者の特性に配慮した治具を工夫しています。また、工賃表は利用者がいつでも確認できるように、作業室内に掲示しています。

《事業者が課題としている点》
・建物の老朽化、生活環境・職場環境の改善と安全性の確保
・職員配置体制、資格職員の欠員発生のない組織つくり
・高齢化の進む利用者の支援体制


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  法人理念やノーマライゼーションに基づき、利用者の人権擁護と意思決定支援、人格を尊重した支援を行っています。職員は、日常生活では常に利用者に尋ねるコミュニケーションを大切にしています。利用者は陶芸の焼物や映画鑑賞、カラオケ、スヌーズレン、創作活動などの日中の余暇活動に参加し、自由に過ごしています。また、利用者の希望を尊重し、日中作業を通して社会参加に取り組んでいます。選挙も事前情報や準備を整え、社会参加の機会にしています。「やれて良かった」と満足する声も聞かれ、投票率も高くなってきました。
 利用者の意思決定支援外部研修や法人の年1回の施設研究発表会、外部講師を招いての園内研修で、職員の意思決定支援の意識向上を図っています。職員には、利用者にまず確認するという意識が根付いています。また、虐待防止マニュアルを整備し、2か月ごとに権利擁護委員会を開催するほか、年2回虐待防止のセルフチェックを実施しています。年に2回学識経験者、家族、後見人などと協同で虐待防止委員会を開催し、虐待防止に関する環境改善や支援の見直しに取り組んでいます。
 外部医療機関や行政などとのかかわりや施設の体験実習などで、必要な情報を外部に提供することがあり、利用開始の契約時に個人情報の取り扱いについて説明し、同意を得ています。広報誌で利用者の写真などを使用する際には、本人・家族の了解を得ています。「医療機関搬送に伴う家族同意書」により、緊急時に家族との連絡が取れない場合の対応についてもあらかじめ確認し、必要時に医療機関に情報を提供する旨も確認しています。実習生の受け入れの際には、個人情報の保護に関する同意書を提出してもらい注意を喚起しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 年1回法人が利用者満足度調査を実施し、調査結果をもとに課題を抽出しています。さらに、施設ごとに課題を分析して対策を講じ、改善方法と対策の結果を園長が事業報告会で家族などに説明しています。建物の老朽化でタイルにしみこんだトイレ臭が清掃だけでは改善できなかったものを、昨年度改修工事を行い、床もクッション製のあるものにして臭気も消え利用者の気分も変わってきています。高齢化や重度化への対策として布団からベッドに変更し、生活様式が変わったことで生活しやすくなり、利用者の明るい表情につながっています。
 職員は観察だけで判断せずに、利用者に選択肢を示し利用者自らが選択できるように工夫することで、利用者の要望を注意深く確認し支援が一方的になっていないか振り返るようにしています。障害状況に応じたコミュニケーションの方法を工夫し、利用者の思いを聞き取っています。苦情解決の仕組みについては、重要事項説明書に苦情対応の流れや窓口を記載し、玄関には文書を掲示するほか、障害者相談支援センターと連携し利用者や家族の相談に応じています。園長は利用者と家族が苦情や相談を気軽に言える雰囲気作りを心がけています。
 言葉でのコミュニケーションが難しい利用者が多く、絵カード、文字盤、YES/NOカードなどを利用しています。利用者特性に配慮し、周りに気を取られず集中できる環境作りに努めています。作業予定日の変更については、「休み申請」により月単位で休みの日を決め、計画的に利用者が自分なりの過ごし方ができるよう配慮しています。利用者の状況に応じて作業内容や体育室でのストレッチ・リハビリ、工房での自主製品作りの手伝い、空き缶作業など、利用者の意向を聞き取って、日々のスケジュールを調整しています。


3 サービスマネジメントシステムの確立  アセスメントの結果や個別支援計画のモニタリングの結果及び個別の課題分析表をもとに、関係職員がカンファレンスを実施し、サービス管理責任者が個別支援計画を策定し本人・家族の同意を得ています。カンファレンスは、ケース担当職員・看護師・管理栄養士等が参加し、医師等の意見を取り入れて実施しています。個別支援計画の目標に沿ってサービスの提供を行い、年2回モニタリングを実施しています。モニタリングは、支援課題ごとのサービス提供支援の内容を確認し、支援結果の達成度を評価し個別支援計画の見直しに反映しています。
 事故防止、感染症対応、災害時対応、虐待防止等各種業務マニュアルを整備し、利用者の障害特性に応じた支援及び日々の利用者支援にかかわる各種点検シート等を整備しています。寮ごとにチューター制度による人材育成を採用し、マニュアルに基づいた日々のサービス支援の状況をチェックし、ケア会議や寮会議で課題を取り上げサービスの標準化を確認し支援内容の見直しと職員間の情報共有を図っています。行動障害の利用者など個別に配慮を要するケースは、個別支援手順書を作成し、利用者個々の支援の統一性を図っています。
 年2回総合防災訓練を実施しています。訓練には利用者全員が参加し建物の外まで避難します。消防署の協力のもとに消火器訓練や救急救命、AED研修を行っています。災害対策委員会を開催し緊急連絡先一覧を整備し、大規模災害の発生に備えて、BCP(事業継続計画)を策定し災害発生に備えた準備について明記しています。事故防止検討委員会を開催し事故防止や服薬事故等利用者のリスクについて検討し、事故報告やヒヤリハットのデーターベース化を行い、事故の多い時間・場所を抽出し改善することで事故の再発防止を図っています。
4 地域との交流・連携

 麻生区社会福祉協議会のコミュニティネットワークに参加し、ボランティア交流会や見学受け入れ研修会等で地域の人達との交流を図っています。川崎市障害福祉施設事業協会主催の「手をつなぐフェスティバル」、麻生区の福祉まつりや区民まつり、町会のまつり、近隣小学校のバザーなど機会を捉えて参加し、自主製品の販売を行っています。麻生区内の福祉施設合同で区役所に常設の手作り販売店を開いています。麻生区社会福祉協議会主催の芋掘り会で、近隣施設や保育園との交流を図るほか、公園の清掃に参加し地域貢献に努めています。
 麻生区社会福祉協議会主催のボランティア交流会のボランティア育成講座で講師を務め、また、福祉車両や車椅子の貸し出しを行い地域貢献に努めています。中学生の職業体験、特別支援学校や小学校PTAの見学者を受け入れ、また、地域のボランティアを受け入れています。日中作業で直接かかわる方や繕い物など間接的にかかわる方もおり、昨年度ボランティアの受け入れは延べ148人でした。障害者支援を理解し地域福祉に貢献できるボランティアの育成へ、さらなる取り組みが期待されます。
 園長は神奈川県知的障害施設団体連合会の理事を務め、関係機関と連携し地域の福祉ニーズの把握に努めています。令和元年東日本台風では被害があり、当施設は二次避難所になっているものの対応できる場面に限りがあることを課題とし、地域や近隣施設等関係機関と連携し災害発生時の対応に努めています。施設周辺の清掃活動で地域に貢献し、また、会議室、体育館等地域住民に開放し、福祉車両や車椅子の貸し出し等を通して障害者への理解を啓発し、地域福祉の活性化に努めています。


5 運営上の透明性の確保と継続性  事業計画に「法人の基本理念に基づき、利用者一人ひとりの心に届く支援の実践を目指し、あらゆる場面で利用者の意思及び人格を尊重し、安心安全な暮らしと生きる喜びの感じられる生活が実現するようサービスの充実を図ること」を明記し、職員に周知しています。職員ハンドブックに基本理念を掲載し、倫理綱領や職員行動規範とともに全職員に配付し、理念の実践に向けた職員の意識の徹底を図っています。パンフレットや入所のしおりに法人基本理念を明記し、施設利用開始の際に利用者や家族に丁寧に説明しています。
 法人の「中・長期計画(平成31年度〜令和10年度)」が策定されています。法人の事業所代表が参加し、法人及び各事業所の運営とニーズへの対策をまとめ、「地域貢献の充実」「災害対策」「利用者本位の確立」など、今後5年間の中期計画の取り組み16項目を定め、項目ごとに具体的な施策を明示しています。中・長期計画の取り組みを踏まえ、事業所の年度ごとの事業計画を策定しています。平成31年度事業計画の重点目標に、「利用者の意思決定支援と権利擁護の推進」「災害対策の強化」など6項目を掲げ、職員に周知しています。
 事務分掌を整備し、施設運営事務事項と園長の責任、各係ごとの分掌とその責任者及び職員・契約職員それぞれの業務内容を明示し、周知しています。階層別に研修計画を策定し、期待される職員像を明確にしています。目標管理制度を推進し、寮ごとにチームを編成しサービス改善のチーム目標を設定し、職員間の情報共有と意識の統一を図っています。目標管理シートにチーム目標を明記し、年度ごとの達成状況を評価しています。毎年2月に施設での研修会を実施し、各チームの目標達成状況などさまざまな成果を発表しています。
6 職員の資質向上の促進  法人の職員規範および職務基準等で、階層別に求められる職員像を明示するほか、職員ハンドブックに記載して全職員に配付し周知しています。職員行動規範を全職員に周知し、法令遵守や権利擁護についての研修の受講を促し、権利擁護意識について職員の理解を深めています。また、人事考課ガイドブックには人材育成の方針を示し、経験や階級に応じた職員像や姿勢、必要な研修を記載しています。そのほか、キャリアパスを踏まえた研修計画を策定し、目標管理シートで職員が設定した目標に合わせて外部研修への参加を勧めています。
 利用者の意思決定の支援と権利擁護を事業計画の重点目標に掲げています。職員一人ひとりが専門職として利用者の権利擁護に努めています。職員は、セルフチェックシートで自身の行動を振り返り、権利擁護研修で何気ない行動が利用者の人権を阻害することがあると学び、人権擁護の意識の徹底を図っています。職員は、利用者支援ニーズをしっかりと把握し、ニーズの実現に向けた支援技術の向上を目ざしています。アセスメントで利用者支援ニーズを把握して支援課題を明確にし、自己決定支援の目標を設定し個別支援計画を策定しています。
 福祉人材の確保と定着化を法人全体の課題しと、毎年12月に次年度の就業に関する職員の意向を確認し人員体制を調整しています。職員の就業状況や残業時間などを確認し、家庭事情などでの異動希望に配慮しています。希望休暇を月4日確保できるよう就業環境に配慮し、残業は基本的にありません。欠員などやむを得ないときも業務過多や長時間労働にならないよう勤務や日課の調整を行っています。有給休暇や公休の取得は幅を持たせ、年に5日以上有給休暇を取得し、夏期休暇はリフレッシュ休暇として通年でとれるようにしています。

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