かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

すずかけ保育園

対象事業所名 すずかけ保育園
経営主体(法人等) 学校法人三橋学園
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 247 - 0008
栄区本郷台1-14-3
tel:045-894-5552
設立年月日 2017(平成29)年04月01日
公表年月 2020(令和2)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 すずかけ保育園は、横浜保育室を経て、2017年4月に認可保育所として開所しました。JRの本郷台駅より徒歩8分で、園前の道路はバスも通っており交通条件にも比較的恵まれています。周囲は閑静な住宅街です。園は3階建てで、1階はプレイルームと称してスペースを広くとった遊戯室になっており、2階は2歳児の保育室と事務室及びテラスを利用した園庭、3階は0、1歳児の保育室となっています。園庭は広くはありませんが、近隣に広い敷地で芝生が豊かな本郷台公園があり、散歩など園外活動を行うにも恵まれた立地条件です。0〜2歳児までの定員で現在は60名が在園しています。園を卒園し、同法人の飯島幼稚園に入園する子どももいます。開園時間は平日は7時から19時まで、土曜日は7時から18時までで、延長保育を受け入れています。保育理念は「人の和の中で豊かな人間性をもった子どもを育成します」と掲げ、園は人生の中で最も大切な時期の乳児の保育について、子ども一人一人の生理的または心理的欲求を満たして、安心して生活できるよう心がけています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○年齢発達に応じた活動ができる環境作りを工夫し、子どもが主体的に過ごせるよう配慮しています
 年齢発達に応じた活動ができるように、保育室の環境作りを工夫しています。保育室を可動式のパーテーションで活動スペースごとに仕切るほか、年齢や子どもの興味に合わせたコーナーを作っています。パーテーションは子どもたちの月齢に合わせて変更することもでき、常に部屋全体を見通せるように柵状のものを多く使っています。また、子どもが主体的に過ごせるように、子ども一人一人の状況を把握して見守れるよう配慮しています。例えば、危険が伴わない限りは子ども自らの言動をできうる限り待ってあげるほか、自分から発するのが難しい場合には、繰り返し問いかけてあげることなどを心がけています。今年度は園内研修で、「子ども主体の保育」について学び、特に声かけの際の音量や言葉の選び方について、職員同士が配慮するようになっています。

○職員一人一人のモチベーションが高く、質の高い保育を提供できるよう知識の習得機会を積極的に利用しています
 今回の第三者評価では、職員の経営層に寄せる信頼度がとても高い様子が見られました。園長は定期的に職員と面談する時間を設け、疑問や不安の解決を図るよう心がけています。職員からあがる保育の質を高めるための提案には、できるだけ迅速に応えるよう努めています。また、常勤、非常勤どちらの職員も研修に参加できるよう、シフト調整に努め、全職員が積極的に園内外の研修で学んでいます。そのほか、職員向けの「疑問・質問BOX」を作り、それぞれが気になったことをすぐに共有して、解決していく取り組みがあります。ここに寄せられた疑問はすぐに回答できるものは回答し、全体で検討すべきものは、園内研修につなげていくことも考えています。

○近隣の保育園や小学校、そのほか地域の資源を利用し、地域の方とのさまざまな交流があります
 近隣の保育園や小学校との交流のほか、高齢者施設や本郷地区センター、同法人の飯島幼稚園で行われる行事などにも参加し、地域との親睦や園に対する理解を深めています。他園の子どもたちと遊ぶ機会を作るほか、近隣の高齢者施設とは定期的な交流があり、2歳児が歌を披露するなどして喜ばれています。また、本郷台駅前の八百屋で買い物をしたり、七夕には駅で用意した笹に願いごとを書いた短冊を飾らせてもらいました。そのほか、栄消防署の防災訓練には、他園と一緒に参加し、起震車や煙体験ハウスでの災害疑似体験もしました。こうした、地域の方との交流を通し、子どもたちにさまざまな体験の機会を作っています。

《事業者が課題としている点》
 園として余裕をもって業務に取り組めるよう、さらなる保育士の確保と退職者が出た場合の対策などを、課題として捉えています。また、業界全体の保育士不足を懸念して、人員の確保、その後の育成、やりがいをもって継続できるよう就労環境の整備について取り組んでいきたいと考えています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 保育理念は「人の和の中で豊かな人間性を持った子どもを育成します」と掲げ、子ども主体の保育を行っています。保育方針に「一人ひとりの個性を大切にし、丈夫な体と心豊かな感性を持ち人の和の中で生き生きと育つ子どもに」と掲げ、子ども本人を尊重したものとなっています。入職時には園長から理念などについて説明を受け、また年度初めのクラスミーティングで確認をしています。事務室には保育理念が掲示されており、「保育士の自己評価」で年2回振り返りを行い、基本方針に沿った保育の実践を心がけています。保育理念は入園時に配付する重要事項説明書に記載しており、園長が保護者に説明をしています。
 「保育にあたっての心構え」のマニュアルに「子どもの名前は呼びつけやあだ名でよばず『〇〇ちゃん』『○○くん』と呼ぶ」「保育者としての意識を持ち、正しい言葉づかいをする」と記載し、言葉づかいの留意点を明確にしています。保育士が子どもと話す時は大きな声は出さず優しく接しています。食事や排泄でも子どもをせかすことはせず子どもの意思を尊重しています。「保育にあたっての心構え」は全職員に配付し、常に意識できるようにしています。また、「子ども主体の保育」をテーマに園内研修を行い、無意識に不適切な言葉を使っていないかなど、職員同士で確認をしたり、子どもの人権を尊重した対応の振り返りを行ったりしています。
 1歳児の保育室は、棚などで仕切りをしたコーナーや四角く囲った空間などがあり、友達や保育士の視線を意識しないで過ごせる場所となっています。また、2歳児の保育室は、窓際には穴倉のようになっているところに子どもが入ったり、座って外を見たりできるようになっており、子どもたちのお気に入りの場所となっています。子どもをクールダウンさせる場合は、抱っこをして少し歩いたり、落ち着くまで保育士がいっしょに過ごしたりしています。子どもと職員が一対一で話をする時は、部屋の中のほかの子どもから見えない場所で行っています。お漏らしやおねしょをした時は、トイレ内のシャワーで体を洗い、着替えをし、ほかの子どもに気づかれないよう配慮しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 クラスごとに年間計画、月間計画、週案を作成し、見通しをもった保育の計画を立てていますが、子どもの発達状況や興味、関心のあり方、発想を把握し、計画の変更を行い柔軟に対応しています。毎月、担任が月案の振り返りを行い、当月の評価と来月の方向性をクラスミーティングで検討しています。また、クラスミーティングで検討した内容をリーダー会議や職員会議でも報告し、子どもの発達や状況を捉え、必要に応じて評価、改定を行っています。保護者とはお迎え時や連絡帳などで、子どもの様子や日ごろの対応などについて話をしたり、保護者との面談などから意向を確認し、計画などに反映しています。
 0〜2歳児は、保護者との面談内容や子どもの発達状態を考慮した、個人指導計画が作成されています。クラスミーティングで子どもの実態と計画や目標及び対応方法など気づいたことを伝え合い、毎月見直し、改善をしています。保護者とはお迎え時や連絡ノートで子どもの発達状況などを共有したり、保護者と面談を行い、家庭での様子や保護者の意向を把握して、計画に反映させています。離乳食の進め方やトイレットトレーニングの方法など必要に応じて保護者に説明をして、情報を共有し同意を得て保育を行っています。また、計画や次月目標にとらわれず課題が見られた場合にも、そのつど検討を行い、柔軟に変更、見直しをされるとさらによいでしょう。
 それぞれの年齢に見合ったおもちゃが、クラスごとに用意されています。0、1歳児のクラスには指先遊びや、感覚で楽しめるもの、2歳児になると少しルールのあるゲームなども含まれてきます。遊具や絵本の入っている棚は子どもの視線に近いところに置き、子どもたちが遊びたいものを選んで取り出せるよう配慮しています。そして、子どもたちの主体性をはぐくめるように、おもちゃは、季節や子どもの発達に合わせて入れ替えるなどして、子どもが興味を持って遊ぶことができるように工夫しています。一斉活動の前後は自由時間になっており、子どもたちが思い思いの遊びに集中できる時間が設けられています。

3 サービスマネジメントシステムの確立 慣れ保育は5日間の基本日程が組まれており、入園前の面談時に園長もしくは事務長が説明し、一人一人の状況に応じて、無理なく園生活に慣れ、安心して過ごせるように相談しています。また、保護者の就労状況に応じ柔軟な対応に努めています。子どもの不安を取り除くため、子どもの心のよりどころとする縫いぐるみなどの持ち込みを、園生活に慣れるまで認めています。0〜2歳児は個別連絡ノートで日常生活の様子を共有するとともに、お迎え時に子どもの様子を伝えています。在園児は、担任が一人持ち上がり、子どもが不安なく過ごせるように配慮しています。0、1歳児は各グループの保育士がかかわるようにし、安心して過ごせるよう配慮しています。
 保護者から家庭の状況や子どもの発達状況などを、家庭環境調査票やタイムスケジュールに記入してもらい全職員が共有できるようにしています。個々の連絡帳の年間の身体測定一覧表に毎月の身長体重測定結果を記入し、成長した様子がわかるようにしています。担任が変更になる際には新しい担任に口頭で申し送りを行い、0歳児から1歳児に進級する際には保育士が一人持ち上がるように配慮し、子どもの状況など情報共有を図っています。同法人の幼稚園に転園する際には、必要に応じて子どもの状況などを伝達しています。他保育園に転園する際には要望がないため申し送りなどは行っていませんが、今後は申し送り事項を記録し、必要に応じて伝達されるとよいでしょう。
 安全管理に関するマニュアルがあります。そこには、自然災害(地震、風水害など)、火災、事故対応、不審者対応、プール水遊びに関するマニュアルとチェックシートなど、防止や対応に関する記載があります。プールでの配慮事項として監視役を置いています。避難訓練は、火災、自然災害、地震、土砂崩れなどを想定して月1度実施し、保育中の事故の連絡方法などを職員に周知しています。そして、緊急連絡体制として事務室には公的機関の電話番号などが掲示され、職員には非常時の役割分担があります。重要事項説明書には、緊急時における対応、地域防災拠点、広域避難所が記載され保護者に周知されています。

4 地域との交流・連携 2歳児を連れて近隣の地区センターを訪問して異年齢の子どもと交流するなかで、保護者が考えていることや、今後の子どもたちの成長に必要な遊びやおもちゃ、絵本などのニーズをさぐっています。開園して間もない園に興味を持つ地域の保護者から、育児に関する質問や相談があり、地域の保育ニーズがわかってきます。毎年1回、園と近隣の保育園3園合同で「交流会」を開催し、他園の子どもたちの歌や踊り、遊び、手作りの作品などから、園にはない工夫や方法を学んでいます。交流会における職員同士の意見交換や情報交換を通して、地域の保育ニーズを知ることもできます。
 アルバイト学生を除いた全職員が参加する月1回の職員会議や内部研修で、園長や主任、各職員が得た地域の子育て支援ニーズについて情報共有しています。最近では、職員間で、台風発生時の子どもを預かるか否かの判断、保育士の人材確保や育成などについて話し合いが行われました。一時保育と園庭開放については、開園して間もないこと、園庭のスペースが限られていることもあり実施されていません。しかし、園の子どもたちや地域の保護者が、近隣にある同法人の幼稚園の芋掘りやどんど焼きなどに参加して地域交流をしています。年に数回、絵本の出版社から講師を招き「絵本による子どもたちの豊かな育ち」について講演会を開催しています。
 2歳児までの施設ということもあり、スペース的な制約や保育体制的に決まった時間が設定できないことから、定期的な育児相談はしていません。しかし、出産を控えたり乳児を育てている地域の保護者が、相談に来たり、園を外からのぞいていたりするのを見かけると、園長や主任が気軽に声をかけて育児の相談に応じています。電話相談などの急な相談にも可能な限り応えています。毎年11月に近隣の中学校のグラウンドで開催される「区民まつり」や町内の掲示板で、園の説明会の開催を知らせる手作りポスターを掲示させてもらっています。ポスターには園のカラー写真や、個人情報保護を踏まえたうえで、子どもたちの遊ぶ写真や園の連絡先などを載せています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 園のパンフレット、ホームページ、入園のしおりなどに料金や保育の種別など、保育サービスに関するさまざまな情報を掲載し、栄区役所や近隣の地域ケアプラザなどでも園のパンフレットを配付しています。保護者に向けては、「クラス便り」「園便り」「すずかけ便り」「すずかけっこ」と目的に応じて多様な便りを手作りして、毎月配付しています。また、栄区の園長会や幼保小連携事業に参加する際、園長がチラシを持参し園の紹介や説明を行うこともあります。栄区のホームページや複数のウェブサイトでも園の概要が紹介されており、求人も含めて園の情報を求める方にさまざまな情報を提供しています。
 園の見学は特定の日時を決めずに土曜日も含めて常時受け付けています。午後は午睡、10時からは散歩に出るため、9時半から10時の見学を勧めています。対応は園長、主任、事務長がパンフレットや園のしおりに基づいて説明しています。職員の業務マニュアルでもある「保育にあたっての心構え」では、「入園のしおりに書かれてあることを理解把握すること」とされており、職員のだれもが同じ説明ができるようになっています。見学者は月平均5、6人で、9、10月の見学が多くなっています。横浜市の「保育所等利用案内」では、見学については事前に保育所などへ直接問い合わせをすることが明示されています。
 年度初めの園内研修において、事務長から不正や不適切行為などの事例紹介とともに、コンプライアンスを徹底していくことについての訓示があります。また、職員は年度初めの職員会議におけるクラスミーティングで、重要事項説明書の読み合わせを行っています。全職員で、倫理面を含む業務目標が明示された冊子「保育にあたっての心構え」を読んで理解を深め、保育者としてのあるべき姿を日々実践しています。冊子のなかで、保育所保育指針を年に1回は必ず読んで理解を深めることが明示されています。法人ならびに園の財務諸表は公開されていませんが、園の概要や特徴については入園のしおりやパンフレット、ホームページで公表されています。

6 職員の資質向上の促進 保育理念を踏まえた人材の育成を行っていますが、開園3年目ということもあって育成計画はまだ策定には至っていません。園長は、人材育成にあたり「子ども主体の保育を念頭におき、子どもたちの意思を尊重し見守る保育」を大切にしています。職員の補充に際してもこの点を重要ポイントとして採用に臨んでいます。また、具体的なキャリアパスは文書化されていませんが、職員の将来への成長を見据えた年間の研修計画が作成されており、これを踏まえた園内研修が毎月設定されています。また、保育士の自己評価表に基づいて年2回の園長面接が行われ、達成度が評価されています。この評価を踏まえて、翌年度の目標設定が行われています。
 毎年2回、保育士は全員「保育士の自己評価」表に基づき各人の自己評価を「A:よくできた」から「D:できなかった」までの4段階で行い、年2回の園長面接で振り返りを行っています。主任は保育の質の向上の一つとして、日々の保育の中で、遊びや声かけ、制作などで気づいたこと、感心したこと、留意してほしいことなどについてタイミングを計って現場で保育士に伝えるようにしています。時間をおいて言うより、その場でダイレクトに言うことが、保育士のステップアップにつながるとしています。「子ども主体の保育」の実践として、子ども自らの気づき、乳幼児の遊び、保育技術などについて年4回1年間にわたり外部講師から評価や指導をもらっています。
 開園して3年目ということもあり、職員の配置や昇進、昇格基準を定めた人材育成計画はまだ作られていません。また、職員の専門性や職務遂行能力、成果、貢献度などに対する評価としては、「保育士の自己評価」表と年2回の園長面談によって行われていますが、評価内容を職員に開示する仕組みを構築するには至っていません。事務室隣にある職員休憩室に「疑問・質問BOX」を置き、職員からの意見や要望、提案を積極的に投函してもらっています。記名の有無は問われていません。また、休憩室の壁に「課題」と「できたこと」の2つの大きな模造紙を貼り、そこに付せんで職員が気づいたこと、注意したいことなどを貼り、保育や業務の改善の道しるべとしています。

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