かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市潮田保育園(3回目)

対象事業所名 横浜市潮田保育園(3回目)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 230 - 0041
鶴見区潮田町4-148-1
tel:045-501-8185
設立年月日 2018(平成30)年06月02日
公表年月 2020(令和2)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の特色】
・立地および施設の概要
 横浜市潮田保育園は、JR京浜東北線・京浜急行線鶴見駅からバスで10分、向井町3丁目バス停から徒歩3分程の住宅地にあります。昭和30年6月2日に開園し、定員は134名で、0歳児から5歳児まで、現在132名が在籍しています。園舎は鉄筋コンクリート2階建てで、園庭は50平方メートルと狭いですが、自治会と話し合い、隣接する東潮田公園を利用できる曜日や時間、範囲を決めて、園庭のように使わせてもらうことができます。周辺は下町の雰囲気の残る住宅地で、近隣には潮田公園、汐入公園、潮田神社などがあり、また、仲町通り商店街の沖縄南米タウンもあり、自然と異文化に触れられる環境にあります。

・園の特徴
 開園から64年、2世代、3世代で通う家庭の子どもも多く、潮田の地域に深く根差した歴史のある園です。沖縄出身の方が多く住み、子どもたちは運動会でエイサーを踊ることに誇りを持っています。また、10か国以上の、多様な国にルーツを持つ子どもが在籍しています。入園のしおりや重要書類はポルトガル語、スペイン語、中国語、英語にも対応し、懇談会には通訳の派遣を依頼することができるなどの体制があります。
育児相談(月〜金9:30〜16:30)、園庭開放(4月を除く火・木10:30〜12:00)、育児講座、交流保育、くじらパーク(公園での交流)などの地域支援事業を行っています。

【特に優れていると思われる点】
1.みんなで育ちあう意識の醸成
@多文化を理解するための取り組み
 外国籍の家庭が多い鶴見区では、外国語の絵本を揃えたり、やさしい外国語の講習会などを企画しています。園では、職員がこれらの研修に積極的に参加し、外国のいろいろな文化を知り、多様性を認める取り組みを進めています。園だよりなどは全文にルビをふって、日々の保育の様子には、写真を多く用いて保護者にわかりやすく伝えています。また、園だよりで園児の母国の国旗とその由来や文化など、また、世界の祭りについて紹介したりして、様々な文化や生活習慣があることを理解できるようにしています。
A保護者同志がつながるはたらきかけ
 保護者会があり、役員以外に多くの保護者が係を分担して行っています。会費を徴収し、夏祭り、人形劇、マジックショーなどのイベントを企画して保育に取り入れ、また、運動会の手伝いや卒園と進級時のプレゼントなどで園に協力しています。保護者同士の交流の機会でもあり、園と保護者が協力しあう姿を見て、園が子どもにとって安心できる場となっています。
 また、懇談会ではグループ討議の時間を設け、子どもの年齢によって保護者の関心が集まりそうなテーマを設定して、交流がもてるようにしています。さらに、保育参加後の保護者の感想を保育室内に掲示して、保護者がどんな視点で子どもを見ているのか、他の保護者の子育て観を知る機会として、相互理解を促進しています。

2.多様なニーズに応える職員の連携
 定員130名を超える園で、多様な国籍や障がい・アレルギーのある子どもが多く、嘱託・アルバイト職など様々な働き方をする総勢55名を超える職員が在籍しています。
 主任は月のシフト表一覧をもとに、1週間分の日々のシフト表を作成し、各クラスに入る職員の複雑な配置状況を確認しています。クラスの運営状況を見ながら、必要な場合はフリーの職員を入れたり自身で応援に入ったり、柔軟に対応できる体制になっています。
 また、主任が職員のスキルや経験年数、希望も尊重しながら、非常に細かい項目に至る職員の係分担を決めています。このことは、大人数の職員で園運営を円滑に進めることと、各人が主体的に運営に関わる意識を持てるようにすることを意図しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.不審者対策への理解を
 園に隣接した公園には人が自由に立ち入ることが出来るため、保護者アンケートでは、園舎への不審者侵入対策について不安とする回答が見られます。園では、鶴見区内保育園の主任たちが集まって作成した不審者対応マニュアルに基づいて、毎月様々な想定で防犯訓練を行っています。また、日頃から近隣との関係を構築して不審者情報が得られるネットワークがあること、警察のパトロールもあり、地域から見守られている体制があることなどを保護者に伝え、不安を払拭することが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念の「こどもたちが愛されていると実感し、自分をかけがえのない存在と感じ、自信を持って生きていくことができるよう、保護者と手を携えてこどもの育ちを全力で支える」や保育方針に子どもの人権や人格を尊重してどのように育ってほしいか、そのための保育姿勢が示されています。

・職員は、子どもをせかすような言葉はなるべく使わないようにして、子どもに注意するときは、年齢や発達、個人差を考慮し、声のトーンや速さなどに気をつけ、簡潔で分かりやすい言葉で伝えています。また、トラブルの際は「もし自分がそうされたらどう思うか」という視点を持たせ、子どもに気付かせるようにしています。

・職員は入職時、個人情報の取り扱いや守秘義務について誓約書を提出し、定期的に個人情報取扱ガイドラインの読み合わせを行っています。保護者には入園説明会で、個人情報の取り扱いについて説明し、保育活動中の記録写真撮影や写真のSNSなどへの掲載について注意を促しています。

・遊びや行事の役割は、子どもの興味や関心、意思を最優先にし、順番、グループ分け、整列などに性別はなく、持ち物、服装も性別で決めないようにしています。性差の固定観念が見られた場合は、職員間で注意し合える関係があります。

・子どもの体のけがやあざ、表情や会話などに注意し、虐待が疑われる場合は、関係機関に通告・相談し連携して対応することになっています。また、家庭支援が必要な場合は、送迎時に保護者と話をして事情を聞き、面談の機会を設けるなど、信頼関係を築くようにしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・園だよりの園長のエッセイ、クラスだよりで年齢ごとの活動の様子、クラスノートでその日の活動の様子、連絡帳に子どものエピソードなどを記載して、保護者が保育方針の理解を深められるようにしています。運動会後の保護者アンケートや、保育参加の保護者の感想から、保育方針が理解されているか把握しています。

・落ち着いて食事に入れるように、食べ物の話をしたり絵本やパネルシアターを見せたり、園児向け献立表“ぱくぱくだより”をもとに子どもたちに献立の説明をして、身体と食べ物に興味を持ち、意識できるように働きかけています。

・少食の子どもや体調により食欲のない子どもには、盛り付けを少なくして、お代わりで調整できるようにしています。0、1歳児クラスでは、手掴みでも自分で食べようとする事を大切に、また、苦手な食材を食べた時には褒めて、食べる意欲を育んでいます。

・心地よく眠れるよう、少し部屋を暗くして、職員が子どもをトントンしたり、だっこしたりしながら入眠していきます。眠れない子ども、眠くない子どもには午睡を強要せず、「布団に横になってね」と声をかけたり、横になって静かに休息する大切さを伝えるようにしています。

・トイレットトレーニングは排尿間隔が長くなり、子どもに意欲が見られる時期に保護者と相談して始めています。連絡帳や口頭で家庭での排泄状況を聞きとり、一人一人の発達状況に応じて声かけをしたり、午睡後におむつが濡れていない時にはトイレに誘導するなど、個別に対応しています。

・個別面談を年1回全員に実施するほか、クラス懇談会は年2回実施し、写真をいれたレジュメを配付し、今後の活動や成長の見通し、クラスの様子、異年齢交流の様子を伝えています。

・保育参加は、乳児・幼児各3日間行い、保育参加後の保護者の感想を保育室内に掲示して、保護者がどんな視点で子どもを見ているのか意見を知る機会としています。また、保護者会組織があり、園長は園運営の重要事項について保護者会役員に意見を求め、行事についても協力し合うようコミュニケーションをとっています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・入園時の個別面談や児童票、健康台帳で生育歴、家族構成、家庭の状況などを把握して情報を共有し、その子に合った配慮が出来るようにしています。入園後の成長の様子は、健康台帳や保育経過記録に記録し、進級時に担任が替わる場合は、これらの資料により、新旧の担任間で引き継ぎを行っています。

・0〜2歳児は月間指導計画に基づき、一人一人の発達の様子に合わせて個別指導計画を作成し、3〜5歳児で特別な配慮が必要な子どもは3か月毎に個別支援計画を作成しています。また、月間指導計画の個人配慮欄でも毎月の配慮や支援について触れ、子どもの様子や成長の状況に応じて柔軟に対応しています。

・0、1歳児は食後にお茶を飲み、2〜5歳児は食後やおやつの後に歯磨きを行っています。感染症防止のため仕上げ磨きはしませんが、歯科健診時に歯科衛生士からブラッシング指導を受け、5歳児は磨き残しが分かるように赤染めをしています。

・感染症が疑われる症状が出た場合には、速やかに保護者に連絡をして、お迎えがあるまで別室で休ませ、職員が見守っています。感染が確認された場合は、個人を特定させないように、発症日、感染症名、乳・幼児どちらのフロアか、潜伏期間、症状、登園の目安を各クラスに掲示して、速やかに保護者に情報提供しています。

・職員は、年2回芦穂崎保育園の看護師から、子どもの健康管理、嘔吐処理の方法、感染症に関する最新情報や対応について指導を受けています。子どもたちも、直接、手洗い・うがいの大切さを教えてもらい、質問をしています。

・睡眠中は、口をふさぐやわらかいものは周囲に置かず、0〜2歳児は呼吸チェックを定期的に行い、うつぶせに寝ている子どもは寝入るまで待って、仰向け寝にしています。プールや水遊びは、指導者と監視員役を置いています。

・食事中は正職員がテーブルにつき大き目の物は食べやすくし、適量を口に入れたりして誤嚥防止に努めています。アレルギーを持つ子どもには、専用トレイや食器、台布巾を使用し、座る位置を決めて、職員が必ず側について見守っています。

・毎月いろいろな状況での火災・地震などを想定した避難訓練と、竜巻、Jアラート発令時の対応訓練を実施しています。職員は、着任すると地域の避難ルートの確認をしています。また、近隣中学校と連携して、大災害発生時に中学生が来て園児を避難所まで誘導する訓練をしています。

・子どものケガは、軽傷であっても状況や処置について、職員に周知し、お迎え時に保護者に報告しています。「事故およびヒヤリハット」に記入して、ミーティングや会議で報告し、再発防止策を検討するとともに、年度末に集計し傾向を分析してまとめ、横浜市こども青少年局に報告しています。

・入園説明会で、園の苦情受付窓口が決まっていること、第三者委員に苦情の申し立てが出来ることを入園のしおりにより説明し、第三者委員が行事で園を訪れた際は、保護者に紹介し気軽に相談できるようにしています。また、園で解決できない場合は、外部の権利擁護機関と連携して解決に当たる体制が出来ています。

4 地域との交流・連携

・子育て支援サービス提供のため、園庭開放、交流保育、育児講座など様々な機会を設け、参加者からの意見や育児相談を受けるなかで、保育所に対する要望を把握しています。年度末に職員会議で1年間の活動を振り返り、行事の開催時期や内容について話し合い、次年度の計画を立てています。

・園だよりを町内会の回覧板と一緒に回してもらい、保育園の情報を提供しています。また、就学先や運動会で体育館を借りた小学校、広域避難場所となっている近隣の中学校と、月間のお便りを交換して、この地域における共通する課題について情報を共有しています。

・夏祭りに卒園児を招待し、運動会、おたのしみ会、卒園式などの行事に小学校の校長や第三者委員を招待しています。また、地域在住の高齢者を招き、子どもの日や七夕、1月には伝承遊びで計画的に交流しています。また、5歳児はエイサーを夏祭りで披露し、地域の文化の継承を行っています。

・ボランティアとして、子育て支援者になりたい人の研修を受け入れたり、近隣の高齢者に伝承遊びの指導に来てもらっています。活動状況を記録し感想を書いてもらい、ミーティングで情報を共有し園運営に生かしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・「横浜市職員服務規程」に守るべき法や倫理が明記され、採用時に職員に周知しています。また、横浜市総務局や鶴見区から横浜市職員としての行動や不適切な行為を行わないよう注意喚起と情報の提供を受け、園長が、職員会議などで周知しています。

・園長は、年度初めの会議で理念・方針について説明し、職員全員が思いを共有できるよう努めています。また、職員と面談し、理念・基本方針の理解やこれらに沿った保育が出来たかどうか確認し、理念・方針に沿わない保育をしていると感じたときは、指導や助言をして、潮田保育園の理念をともに振り返るようにしています。

・主任養成のため「保育士キャリアラダー」に沿って、該当者には、主任クラスの外部研修を実施しています。また、園長は、日常の業務の中で職場の運営に携わり園長を補佐する役割を与え、主任への道筋を伝えながら計画的に養成しています。

・保育所の運営に影響する情報は、横浜市こども青少年局や鶴見区こども家庭支援課が包括的に収集・分析し、園に提供しています。外国にルーツを持つ家庭が多い地区で、幼保小連携事業の場でも円滑な就学に向けて情報共有を進めています。

6 職員の資質向上の促進

・「人材育成ビジョン」に従い年間を通じて計画的に研修を実施していますが、園長は必要と思った職員には、キャリアアップの観点から個別の研修参加を勧めています。研修後は振り返りを行い、年度末には、園長と面談して研修の内容や効果について話し合い、今後の研修計画に反映しています。

・園長は、職位に応じた役割と園内の業務分担表に基づいて、それぞれの立場で業務を行うことが出来るよう権限を委譲し、報告・連絡・相談を励行することにより円滑な運営を図っています。

・園長は「目標共有シート」により立てた目標について職員と面談し、目標の達成状況、業務に関する実績、専門性などについて評価するとともに、進捗状況について話し合い、目標への取り組み方などについて助言しています。

・常勤職員(または嘱託職員)と非常勤職員(またはアルバイト職員)は互いの保育感を認め信頼感を築きながらクラス運営を進め、重要な判断については常勤職員が関わり、必要に応じ主任やフリーの保育士も非常勤職員に支援や助言をしています。

・大学の研究チームと連携して子どもの成長や体力について調査し、保育に生かす取り組みを進めています。また、毎年公開保育を行い、他園の職員が保育の様子を見学し、ディスカッションで得られた様々な考え方やノウハウを保育に取り入れています。

・毎年、保育所の理念・方針や全体的な計画と関連付けて保育所の自己評価をしています。平成30年度は、食育の推進、職員の応対の改善などの点を評価項目として挙げ、評価結果は、懇談会などで保護者に説明するとともに、園内に掲示しています。

・毎年、実習生の受け入れ担当者が、子どもたちへの配慮や守秘義務について説明し実習プログラムを作成して、実習に入るクラスの担任が育成を担当しています。活動や感想を記録し、職員はミーティング時に情報を共有し、保育園運営に生かしています。

詳細評価(PDF893KB)へリンク