かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

名瀬いちい保育園(2回目受審)

対象事業所名 名瀬いちい保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 水の会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 245 - 0051
戸塚区名瀬町777-14
tel:045-812-0455
設立年月日 2012(平成24)年04月01日
公表年月 2020(令和2)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 名瀬いちい保育園は、社会福祉法人水の会により平成24年4月から横浜市の民間移管園として運営されています。社会福祉法人水の会は北海道に平成11年に設立された法人で児童と高齢者分野で活動しています。保育園は、関東地区に12保育園あります。当園は、相鉄線緑園都市駅、JR東戸塚駅からバスで約10分「妙法寺」下車、徒歩5分程度のところにあります。1歳児から5歳児まで、定員66名です。東京方面へ通勤する方も多く住む地域です。 園周辺には名瀬の森や名瀬川、たくさんの公園があり、住宅街にありながら身近な自然と親しむことができます。保育園の目の前にある小学校、近隣の保育園や幼稚園、中学校、高齢者施設など、地域のさまざまな施設との交流を行い、人とのつながりを大切にしながら、人への愛情や信頼感、人への思いやりなどをはぐくんでいます。通常の保育のほか、延長保育、障がい児保育、一時保育などを実施しています。開所時間は、平日は7時〜20時、土曜日は7時〜18時30分です。休園日は、国民の休日および祝日、年末年始(12月29日〜1月3日)となっています。小規模保育園ならではの温かい雰囲気の中、子どもたちはみなきょうだいのような関係を作り、のびのび元気に成長しています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○一人一人の子どもに寄り添い、感性豊かな子どもをはぐくむ保育を実践しています
 「自然から学ぶ」を法人の理念としています。保育目標は「自分が大好き、友達が大好きな子ども」「自分の思いも友達の思いも大切にできる子ども」「生活を楽しめる子ども」です。幼児期から自然に触れ、四季折々に見せるダイナミックな変化から培われる感性を体験の中から学び「遊びを通して行う幼児教育」を保育方針としています。また、保育の考え方で大切にしていることは、「子どもの視点に立って保育を行うこと」です。このような考えのもと、小規模園であることを生かし、全職員が子ども一人一人の成長、発達、個性を把握して、個々の状況に応じた細やかで温かな保育を実践しています。園長をはじめ全職員が子どもの気持ちを尊重することをとても大切に考えています。一人一人の子どもにゆったりと寄り添う保育が提供されています。 

○初めて担当する行事なども職員がスムーズに行えるように、運営計画や指導計画を細かく作成しています
 毎年、年度末に「運営計画」と「全体的な計画・指導計画」を見直し、次年度分をそれぞれ冊子仕立てで作成し、全職員に配付しています。「全体的な計画・指導計画」には、全体的な計画と年度を4期(5歳児クラスは5期)に分けて作成した指導計画を記載し、また子どもたちに伝える絵本、紙芝居、うた、手遊び、体操についての年間計画も掲載しています。午睡やトイレトレーニングについての記載もあります。「運営計画」には、「自然に学ぶ」とした法人の理念、園の運営方針、組織図、各役職の役割などについて記載しているほか、職員が分担して担当する行事に関しては、年間計画を掲載し、各行事について、趣旨、ねらい、当日までの準備と流れ、環境構成、日程などについて記載しており、スムーズに行事を進めることができるようになっています。障がい児保育計画、延長保育についても記載しています。

○すべての子どもが集中して活動をしやすい保育環境づくりの工夫をしています
 子どもの特性はさまざまで、外からの情報や刺激に反応しやすかったり、落ち着いて物事を〜したい、〜する、などと行動を選択したり調整したり集中する事が苦手な子どもがいます。園では、クラスの子どもたちの個性を踏まえて、保育室内の環境を工夫しています。例えば椅子に座っている状態、立って移動する時など、子どもの視線の高さで何が見えているか、何が目に入ってくるかを職員が確認して室内環境を整え、活動に合わせて工夫をしています。製作活動をする時などは、おもちゃや、絵本の棚は壁側に寄せて中の物が見えないように置くことで、子どもたちの視線や興味の先がさまざまに散らないようにするなど、見た目をシンプルに整えています。このように、すべての子どもの視線が、今取り組んでいることに集中しやすい工夫をしています。

《事業者が課題としている点》
 職員の働きやすさ向上を目ざし、園内業務の分担や効率化、休憩の取り方などを課題と捉えています。正職員、準職員など雇用形態にかかわらず、より働きやすい職場環境作りに向けて、引き続き取り組んでいきたいと考えています。現在、正職員間では月1回の保育会議を実施していますが、準職員、臨時職員などの雇用形態別の会議は行えていません。今後はクラス会議やリーダー会議の充実を図るとともに、準職員会議や臨時職員会議も 計画的に実施していきたい意向です。また、運営計画や全体的な計画、指導計画について、出勤日が少ない臨時職員へのさらなる周知徹底も図っていきたい考えです。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 園の保育理念、保育方針、園目標は、いずれも子ども一人一人を大切に考え、尊重した内容です。理念は「自然から学ぶ」、保育目標は「自分が大好き、友達が大好きな子ども」「自分の思いも友達の思いも大切にできる子ども」「生活を楽しめる子ども」です。これらは保護者や職員が常に目にする各保育室や事務室に掲示し、保護者には入園時に説明し、4月の園便りでも説明しています。法人合同研修会で、職員は理事長から理念や保育目標について話を聞く機会を持っています。新採用職員のオリエンテーションでも伝えています。全職員が保育理念や保育方針、園目標を理解したうえで保育にあたっています。
 保育理念に「子どもの視点に立つ保育」を掲げ、園内研修を行い、子ども一人一人を大切にして、思いやりをもった言葉使いやかかわり方を実践する保育を行っています。子どもの人権については、保育会議の中で定期的に考える時間を持っています。子どもに対して呼び捨てにしない、命令口調、否定口調で話さないことを徹底し、職員は子どもの気持ちや発言をじっくり受け止め、ゆったりとかかわるように心がけています。また、子ども同士のトラブルの際には個々の特性を考慮しながら双方の話をよく聞いたうえで、子どもが納得できるよう対応しています。職員同士が互いに保育や子どもとのかかわりについて話し合える関係性の構築に留意しています。
 保育室内の本棚やついたてなどを利用してコーナーを設け、子どもたちはそこで落ち着いて過ごすことができています。また、廊下や職員室など、友達や保育士の視線を気にせず過ごせる空間を作っています。職員室にはおもちゃが用意してあり、保育士、園長などが子どもを見守る体制が整っています。気持ちが落ち着かず、子どもが朝の受け入れ時に泣いてしまうような時には、職員室でクールダウンしてから保育室に向かえるようにしています。おねしょなどの場合は、トイレなどで着替えを行い、布団もほかの子どもに見つからないように干すなど、子どもの気持ちに配慮しています。大きい子のトイレにはドアがあり、プライバシーが保たれています。


2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  全体的な計画は、子どもたちが豊かな人間性を持った人間に成長するよう、情緒的発達、社会的発達、身体的発達、知的発達のバランスが取れた子どもを目標として作成しています。作成の際には園長中心に全職員で検討しています。全体的な計画の中に地域の子育て支援への配慮欄を作成しています。周囲は緑が多く公園も近くにあります。現在は園舎の改築中であり、園庭が狭いため公園に出かけるなど、外遊びを積極的に取り入れています。また、地域との交流として、地域ケアプラザでの世代間交流、小学校との交流、中学生の職場体験の受け入れなどを行っています。活動の基となる全体的な計画は、年度当初の懇談会、入園の際の説明会で園長から保護者に説明しています。
 全体的な計画に基づき、年齢ごとに指導計画を作成しています。行事や保育を導入する際には、小さな子どもにはペープサート、パネルシアター、絵本などを使用して、子どもたちが理解しやすいように説明しています。園では可能な限り、子どもたちに合わせた個別の対応をしています。理解できる子どもには説明し、言葉にできない子どもには気持ちを汲み取れるようにしています。保育士は子どもたちとの会話の中で、どんな事に興味があるかを探り、指導計画に盛り込んで、子どもの状況に合わせて柔軟に対応しています。子どもの発達や状況に応じて、できる範囲で挑戦してみる機会を作るなど、子どもの自主性を大切にして保育を行っています。
 入園説明会の際には、保護者と面接しています。同時に子どもが遊んでいる様子もよく観察しています。途中入園の場合は、別途個別に面接を行います。入園時には所定の用紙に子どもの生育歴や家庭の状況などを保護者に記入してもらい、入園説明会の受付時に面接票も使用して、保護者から個別の状況、アレルギーの有無などを確認しています。保育園支援ソフトによる入園時の調査票、児童票、健康台帳の記載もあります。また、保護者から要望があれば随時面談を行っています。入園時に把握する子どもの生育歴や家庭の状況、子どもの特性などについては、保育会議や連絡の会などで共通認識を持つようにし、記録類は事務室で保管、共有し、全職員が子どもについて理解したうえで保育にあたっています。
3 サービスマネジメントシステムの確立

 入園時の短縮保育(慣れ保育)については、入園のしおりに沿って、子どもにとって大切なことであると保護者に説明しています。仕事などの都合で短縮保育の実施が難しい保護者に対しては相談に応じています。タオルや小さいおもちゃなど、子どもの心のよりどころとなるものの持ち込みもできます。1歳児については、クラス担任の中で個別に担当を決めています。保護者とは連絡帳アプリや保育園支援ソフトを用い、子どもの様子を毎日詳しく報告し合い、子どもの生活が家庭と園で無理なく引き継がれるようにしています。 進級時にはクラス担任のうち一人が持ち上がり、担任保育士が変わっても、子どもたちが落ち着いて生活し、安定して遊べるように配慮しています。
 毎年1回、指導計画会議を正職員で行い、指導計画全般について反省、評価を行っています。また職員は、月1回の保育会議で指導計画の作成、評価、見直しを行っています。計画の評価、改定に際しては、保育会議やクラス会議で職員間で話し合い、再評価や見直しをして、子どもの発達や状況を正確に捉えるようにしています。また保護者との情報共有を大切にして、連絡帳アプリを利用し、送迎時に園の中での様子を話すなど、日ごろから保護者とコミュニケーションをとるよう心がけています。保育に対する保護者の要望や意見が出された時には、保育会議で検討しています。行事後の保護者アンケートや日ごろの会話なども参考に、指導計画を作成しています。
 毎年3月初旬には就学に向けて5歳児の保育所児童保育要録を小学校に送付しています。子どもや家庭の個別の状況や要望は、入園時に保護者に記入していただく定型書式の児童票、入園時の調査表などで管理し、その後の変化は保育参加時の個人面談で聞き取り、経過記録に記載しています。児童票は毎年、年度初めに内容の確認をお願いし、経過を把握しています。子どもの成長発達の記録は、経過記録と成長曲線を保育園支援ソフトに記載し、職員が共有し確認できるようにしています。進級時には時間を取って、前担任から子どもの状況について引き継ぎを行っています。転園の際も、必要な情報を保護者の要望があれば転園先に伝達しています。


4 地域との交流・連携  戸塚区では子育て支援サークルを小学校の学区ごとに開催しています。当園は名瀬小学校で行われる「モーモークラブ」の運営に参加し、親子遊び、行事遊びなど、遊びの機会を提供するとともに、情報交換を通じて保護者のニーズの把握に努めています。また子育て連絡会に参加し、地域ケアプラザ、近隣保育園などと交流し、親子を取り巻く地域の社会資源の状況の把握に努めるほか、子育てに関する地域の共通課題に対して協働して解決に向けて取り組んでいます。さらにこれらの活動も踏まえながら、独自に地域子育て支援の「園庭開放」「育児相談」「ランチ交流」「ひまわり文庫」などを行い、さまざまな機会を通じて保護者の要望を把握し、次期の計画に反映するよう努めています。
 園内には、保健、教務、研究、生活の各部とともに「地域連携」「一時保育」の事業担当が設けられています。担当者は、一時保育、交流保育、園庭開放の実践を通じて、保護者の子育て支援ニーズを把握し、情報を整理したうえで、職員会議で共有、検討を行っています。今年度の後半から園舎の改築を行っており、現在、仮園舎で保育を行っています。改築期間、園庭開放は一時中断しています。一時保育は仮園舎でも行うほか、名瀬小学校で行う「モーモークラブ」に職員、保護者、子どもたちも参加し、育児講座、交流保育を実践しています。なお、仮園舎で行う地域の子育て支援の活動は、担当者間、職員会議で事前に検討し、実施しています。
 ホームページでの情報提供のほか、地域子育て支援の情報誌「わくわくなせだより」を園で発行し、横浜市名瀬地域ケアプラザ、戸塚区地域子育て支援拠点とっとの芽、モーモークラブで配布しています。掲載内容は行事予定、育児講座・育児交流の募集、あそびの紹介、手作りおもちゃ、おすすめ絵本など、地域の子育て家庭が必要とする、また知ってほしい情報提供に努めています。育児相談は、年間を通じて平日の8時30分〜17時30分まで受けつけるほか、地域の子育て支援活動での保護者との交流を通じて相談に応じています。保護者の相談ニーズは潜在化しがちなので、さまざまな機会で、何気ない声かけから話を始め、相談したいという保護者のニーズを引き出すよう心がけています。
5 運営上の透明性の確保と継続性

 園を紹介するカラー刷りのリーフレット「心を育て夢をはぐくむ」では、法人の理念、保育の特色、園の概要を写真、イラストで紹介しています。主に概要を知りたい方を対象にしています。入園のしおりは重要事項説明書を兼ね、目的・運営方針、保育・教育内容、職員体制など、入園に必要な情報が掲載されています。近隣小学校にリーフレット、園便りを持参し、学校便りの提供を受けて職員間で共有しています。ホームページでは施設概要、一日の流れ、年間予定のほか、「ニュース・お知らせ」として写真・コメントを使って行事や子育て支援の内容を紹介し、随時更新しています。このほか自治体ホームページなどの協力を得て、園の情報を広く紹介しています。
 入園希望者の電話による問い合わせ対応のため、事務所には「入園のしおり」(重要事項説明書)などを常備しています。問い合わせへの対応は、主に園長、主任代理が行い、不在時はほかの職員が対応しています。戸塚区のホームページで見学可能な曜日、時間を紹介しています。子どもたちの活動や、口頭では伝えられない子どもたちの姿を見てもらうため、見学は午前中を勧めていますが、希望者の都合に合わせています。土曜日の見学は主任代理の出勤日と合わせるよう調整しています。さらに見学が難しい方のために、ホームページには可能な限り写真を取り入れて、子どもの生き生きとした姿を伝えています。
 短期指導計画(週・日案)の作成を通じて、自己評価の結果を職員同士で話し合い、日々の保育実践の振り返りを行っています。これを積み上げ、年間指導計画に反映するなど、課題を計画に反映して、保育会議で確認、共有に努めています。保育計画などの自己評価、保育士としての自己評価の結果を踏まえ、園として取り組むべき課題を抽出し、この解決に向けて次期の運営計画、保育計画の作成に取り組んでいます。保育所の自己評価は、年間指導計画の振り返りや個人の自己評価を積み上げて、園の自己評価としてまとめています。さらに園の自己評価は年度末に公表し、保護者と共有するよう取り組んでいます。


6 職員の資質向上の促進  法人には児童福祉部会議があり、法人内各保育園の希望を踏まえて、4月に職員採用方針・計画を作成しています。7、8月に養成校に就職ガイダンス、9月に就職説明会、10月に採用試験、2月に募集活動の振り返り、課題整理などに取り組んでいます。法人の「中長期経営計画」には、重要課題として人材育成が位置付けられ、目標、階層別の職員研修を示して、人材育成の計画的な推進に努めています。これを踏まえて研修計画を作成して園内研修を行うほか、キャリアパスに応じて職員を必要な研修に派遣しています。さらにマイステージ(経験年数)に応じて自己評価を行うなど、個人別の目標管理に取り組んでいます。
 園内の研究部は、日々の保育活動の研究実践を通じて職員の資質向上を目ざし、設置されています。年間の園内研究の実施計画を作成し、これに沿って研究実践に取り組み、年度末に成果を「育」にまとめて共有しています。このほか、法人内の階層別研修、外部研修への職員派遣を含めた研修計画を作成しています。法人内研修には新採用職員研修、中堅保育士研修、管理職等研修、主任研修、法人職員研修(全職員対象)があり、職員は研修計画に沿って必要な研修に参加し、職業能力の開発に努めています。研修受講者は研修報告を作成して振り返り、発表を通じて成果の共有に努めています。発表はプレゼン技術の向上につながることから、職員は積極的に取り組んでいます。
 全体の業務の標準化を図る観点から、非常勤職員もマニュアルを共有して、保育にあたっています。さらに非常勤職員には、保育方針、保育目標、保育実践など方向性を共有するため、運営計画、全体的な計画、指導計画の冊子を配付しています。非常勤職員は、必要時、これらを参照して保育に取り組むとともに、指導担当職員がOJTを通じて育成に取り組んでいます。さらに非常勤職員は「自己評価」に取り組み、園長は面談を通じて目標管理を支援することによって、資質の向上、やる気向上につなげています。

詳細評価(PDF668KB)へリンク