かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎市北部地域療育センター

対象事業所名 川崎市北部地域療育センター
経営主体(法人等) 社会福祉法人同愛会
対象サービス 障害分野 医療型児童発達支援センター
事業所住所等 〒 215 - 0023
麻生区片平5-26-1
tel:044-988-3144
設立年月日 2015(平成27)年04月01日
公表年月 2020(令和2)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
 川崎市北部地域療育センターは、小田急多摩線「五月台」駅から徒歩5分程の閑静な住宅街にあります。平成3年に川崎市が開設し、平成27年4月に社会福祉法人同愛会が川崎市より指定管理者の指定を受け運営を開始し現在に至っています。
 児童発達支援センター(定員50人)、医療型児童発達支援センター(定員10人)、児童発達支援事業(定員10人)の療育センターです。令和元年6月1日現在、利用契約者数は108人で平均年齢は3.7歳です。診療所と障害を持つ子の通園及び相談部門があります。障害のある、またはその疑いのある子どもの成長や発達を目的とした発達支援を行います。
 職員は、子ども中心にセンター全体の経験と知識を活かし地域と連携し、子どもと家族双方向の交流から醸成される愛着形成の促進を目指しています。


≪優れている点≫

1.子ども一人ひとりの特性に合った療育支援により保護者の不安を軽減しています

 保護者の相談を受けインテーク(初回受け入れ面接)の内容を詳細に確認し医師の初診を行います。ソーシャルワーカーが医師と連携し、子どもの状況を確認し「児童記録表」を作成します。重症心身障害児は必要に応じインテークに医師が立ち会います。インテークから初診までの期間の短縮に努めて、保護者が不安を感じないようにしています。
 初診の後に、心理士や理学療法士など各種専門部門が医師の指示のもとに子どもの状況を評価し、関係職員が集まり支援会議を開催し子どもの発達支援方針について話し合います。その後、医師が再診し通園クラスへの編成等子どもの発達支援方針を決定しています。職員は、子どもの将来を心配している保護者に「大丈夫ですよ」と言ってあげる発達支援に努めています。


2.医療と専門職の連携により充実した発達支援に繋げています

 医師の指示のもとに各種の専門職が活動し、3ヶ月ごとに子どものリハビリテーション計画の見直しを行っています。初診の後、心理士が子どもの発達評価と処遇方針の提案を行い、また、保護者向けのカウンセリング等の個別支援を行います。
 理学療法士は子どもの個別リハビリを行います。平成30年度のリハビリ件数は延べ1830人でした。また、通園クラスの子どもの椅子の高さや靴のサイズの適合の相談等に対応しています。言語聴覚士は、2歳までの低年齢層は聴力検査や難聴児、摂食の評価が中心です。3歳児以上は言語発達や構音、吃音評価を中心に行います。作業療法士は、運動機能や日常生活技能、学習機能などを評価し訓練にあたります。平成30年度評価指示件数は140件で、年長・年中児が6割を占めています。就学を控えた年長児への支援ニーズが増加しています。


3.通園は少人数のクラス編成で子どもの特性に応じた支援をしています

 通園では個別面談を行い、子どもの状況・特性や保護者のニーズを考慮し、通園時間(1日通園、短時間通園)通園形態(親子通園、単独通園)、クラス編成(発達段階や行動の特徴)を決定しています。クラス編成は医療型(肢体不自由や自閉症などの発達障害)と福祉型(知的障害)に分かれ、いずれも少人数で基本はクラス集団として活動しています。個別支援計画を立て、月ごとに発達支援のねらいとその日の活動目的を定め、子どものニーズに合わせて専門的な視点や技術を用いた援助を行っています。   基本的生活習慣の確立、年齢や発達段階に合わせた生活経験、社会性の向上、コミュニケーションスキルの向上など子ども一人ひとりの発達上のニーズに合わせた発達支援をしています。


4.個別支援計画の目標に沿って毎日活動プログラムの見直しをしています

 通園ではクラス単位の集団活動をベースにし、個別支援計画に基づく一人ひとりの発達支援を行っています。プログラムは「集団活動」「生活支援」「保護者支援」の内容で作成し、肢体不自由児に向けては上記以外に健康面や身体機能に対する支援のプログラムがあります。個別支援計画の長期・短期目標の実践に向けて月ごとの目標(狙い)を定めています。月の目標の達成に向けた日々の活動プログラムを作成し、「通園クラス日誌」に明記しクラスミーティングで話し合い職員間の情報共有を図っています。日々のプログラムの活動の結果を通園クラス日誌に書きとめ、個別支援計画の目標の実践の結果を評価しプログラムの見直しを行います。子どもやクラスに応じた活動や課題を設定しクラスミーティングで確認しながら進めています。


≪改善することが期待される事項≫

1.巡回相談の取り組み強化 

 地域の幼稚園や保育園、学校への支援の一つとして、巡回相談があります。現在は幼稚園や保育所に通いながら療育センターを利用している子どもの保護者からの依頼を受け、施設を訪問し、園長や教員、保育士と面談し子どもへの支援方法のアドバイスを行っています。子どもが施設で遊ぶ姿を観察して行うセンター専門職員の助言は、多くの保育士や教員への力になっており、巡回の頻度を増やしてほしい要望が出されています。期待に応える仕組み作りが望まれます。


2.職員の目標管理と研修計画の達成度を計る取り組み 

 センター長を始め管理職による職員面談を年2回以上実施し、本人の悩みやセンターに必要なこと、取り組みたいことを聞いています。この面談を有効に活用して本人の取り組みたい目標を明確にし、その達成に向けた研修を受け、支援技術や職員の質を高めていく取り組みが望まれます。更に研修結果の効果測定と連動する人材育成計画が期待されます。職員一人ひとりの自己統制の目標管理が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ 入職時研修や法人主催の権利擁護研修を年1回全職員が受講し、また、外部の子どもや保護者に関わる支援について専門的な研修に数多く参加しています。職員は、子どもの呼称は「さん、君、ちゃん」を使い、子どもの気持ちを受け入れることを第一義として「無理強いしない、ゆっくり待ち、寄り添う発達支援」を心がけています。プライバシーに配慮し、オムツ交換は部屋では行わずトイレで行っています。女児への着替えやおむつ替えは女性職員が対応しています。

A 通園ミーティングで職員はクラスの報告を行い子どもや保護者の状況を共有しています。専門職種間でも配慮を要する保護者の情報を交換し保護者に寄り添う支援を心がけています。園長は職員に向けて保護者の話を傾聴し、マイナスの表現を使わないよう指導しています。言葉や対応も含め毎日のクラスミーティングで振り返りを行います。

B 地域講座を開催し、「児相の役割―幼児期における気づきのポイントとその対応―」というテーマで、地域の関係機関の職員向けに児童虐待についての講演会を開催しています。社内メールを使い、所内職員に配信するとともに職員室に掲示し参加を促しています。虐待の疑わしいケースでは児童相談所や区福祉保健センター等と連携し、状況により要保護児童対策地域協議会のケースとして報告しています。家族支援の必要な保護者に対して連絡帳で確認し、保護者面談や声掛けをして情報の共有を図っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ 通園決定の児童は、個別支援計画を策定し子ども一人ひとりの特性に配慮した目標を設定しています。アセスメントを実施し子どもの生活の状況やリズム、食事や健康面、遊びの様子など家族の願いや要望を把握します。個別支援計画はクラス担当全員が計画案を提案し、児童発達支援管理責任者が作成します。保護者には同意の署名をもらっています。個別支援計画に長期・短期目標を明記し、領域(健康・社会性・言語・身辺自立・認知・運動)及び家族支援、地域支援の到達目標を設定し、半期ごとにモニタリングを実施し個別支援計画の見直しに反映しています。

A 通園ではクラス単位の集団活動をベースにし、個別支援計画に基づく一人ひとりへの配慮を行っています。プログラムの内容は1)集団活動2)生活支援3)保護者支援があり、肢体不自由児に向けては上記以外に健康面や身体機能に対する支援が行われます。月ごとに発達支援目標を設定しプログラムを作成し、また、その日の目標を決めて実際の活動を「通園クラス日誌」に記載しています。子どもやクラスに応じた活動や課題が設定され、職員クラスミーティングに於いて確認しながら進めています。

B 就園、就学説明会については半期を目途に毎年定期的に実施しています。平成30年度は、7月に川崎市幼稚園協会と連携し、幼稚園協会から4人の講師を迎えて実施しました。また、総合教育センター主催で療育センターと連携し年長児就学説明会を実施しています。平成30年度は、208人の児童を対象に5月に説明会を実施しました。

C 日常的に栄養士が各クラスの食事場面を巡回し、喫食状況、好き嫌い、残食を把握して、献立作成の参考にしています。作業療法士や言語聴覚士が各クラスの子どもの摂食機能の評価を行い、栄養士等と連携しペースト食など適切な食形態にしています。また、保護者にも給食の提供を行っています。食物アレルギーについては前月末に対応の仕方を変えた給食レシピを保護者に確認し了解を得て調理に入っています。介助食器等を使い、自ら食べようとする意欲を大切にし、声掛けを行っています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ 「苦情解決支援事業実施要綱」等を作成し、苦情解決制度を整備しセンター内に掲示しています。保護者には契約書や重要事項説明書に明記し契約時に説明しています。利用相談窓口担当者名及び解決責任者名、電話番号を記載し、外部の第三者委員として川崎市障害福祉施設事業協会苦情解決支援に関わる第三者委員会の電話番号を記載しています。所内にはご意見箱も設置しています。保護者に向けて定期的な「所長・園長懇談会」を実施し、意見交換の場を設けています。また、年一回、保護者に向けて児童発達支援事業評価のアンケートを実施し、結果や意見を踏まえた対応策をホームページで公表しています。

A ヒヤリハット委員会を設置し、事故報告・ヒヤリハット報告の収集・分析を行い職員に周知し事故防止を図っています。平成30年度の事故報告書は28件で、事故内容、事故原因、対応処置や改善策を一覧表にまとめて活動報告書に掲載しています。全職員を対象にヒヤリハット研修を実施し、リスクマネジメントの基本的知識を習得し施設に生じやすい事故とその対策について職員に周知しています。不審者侵入マニュアルを作成し緊急時に備え、また、園庭チェック表を整備し職員が毎日遊具や玩具、各部屋の状態等をチェックし事故防止に努めています。

B 防災委員会を設置し防災計画・防災マニュアルを作成し災害発生時に備えています。毎月1回職員、子どもたちが参加して防災訓練を実施しています。火災や地震を想定し避難や消化訓練、怪我人の救助訓練などを行います。毎月防災委員会を開催し、防災訓練の結果を評価し、防災マニュアルの見直しの検討などを行います。防災マニュアルは防災に関する活動組織や災害発生の近年の状況の変化に対応し今年3月に改訂しました。年に1回は総合訓練として消防署等と連携し大規模な避難訓練を実施しています。

C 感染症はインフルエンザやノロウイルスなど季節の流行は合併症をおこして重症化することもあり特に注意しています。感染症一覧を作成し病名ごとに症状と経過、感染しやすい期間、子どもの登園の目安等を明記し保護者に周知しています。感染症に罹患した子どもの登園は、医師の登園許可証明書が必要です。看護師が保険だよりで感染症への注意と予防対策について保護者や職員に情報提供を図っています。

4 地域との交流・連携

@ 幼稚園・保育所の訪問を実施し、幼稚園・保育所への情報提供やアドバイスを実施しており、保護者の不安を軽減しています。通園の終了後は保護者の依頼に基づいてソーシャルワーカーや心理士、理学療法士、作業療法士、保育士等による訪問を実施しています。子どもを観察後、幼稚園・保育所の職員に向けて子どもへの対応の仕方について分かりやすい助言を心がけています。支援内容は一定の書式に記録し、個別ファイルで保管して職員間で情報共有ができるようにしています。

A センターでは幼稚園や保育所、学校などの地域の関係機関の職員に向け「地域講座」を年3回、毎年開催しています。今年のテーマは@児童相談所の機能や役割、虐待に対する対応、A療育センターの機能と連携、B保護者との関り、という講演で地域の関係機関との連携を深めています。センターの理学療法士が養護学校に出向き、食事介助や姿勢など技術的な支援を行っています。また、近隣の小学校の教員に向けて「センターの機能と発達支援」というテーマで地域支援部の主任と通園園長が講演を行い、発達支援に対する理解を深めています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@ 川崎市北部地域療育センターのホームページに、施設運営の方針や診療所の活動や通園発達支援、相談事業等に関する事業内容、発達支援の現場の様子などを詳細に掲載しています。また、地域ごとの相談窓口担当者をホームページに掲載し、子どもの発達支援について保護者が相談しやすいように雰囲気作りに努めています。施設のパンフレットに療育センターの一日の利用の流れやサービスの種類を分かりやすく説明しています。また。「通園のしおり」を作成し、施設の運営理念を明記し子どもや保護者が安心して施設を利用できるようにしています。

A 川崎市療育センター運営規則や指定管理基準、法人就業規則の服務規程に則り法令遵守に努めています。法人の業務管理体制整備規程に法令遵守について明記し、最近ではハラスメント等の防止について運営会議で取り上げ全職員に周知しています。権利擁護や虐待防止については毎年定期的に研修を実施し職員に注意を喚起しています。個人情報保護方針を規定し、プライバシーポリシーをホームページに開示しています。個人情報の収集、利用及び提供、適正管理等について明記し、あらかじめ定めた利用目的以外に使用しないことを規定し職員に周知しています。

B 指定管理者としての5年間の計画が中期計画の位置づけにあり、令和2年4月から次の施設運営の期間となります。施設運営を取り巻く課題としては、職員の発達支援に関する専門性の強化や地域連携の強化等があります。地域の学校との連携強化が課題です。中期計画の実現に向けた施設事業計画を策定しています。

6 職員の資質向上の促進

@ 期待する職員像は「自己肯定感を持ち業務にあたれる人、子どもの生活に思いを馳せる想像力を持ち、支援できる人」としています。職員の採用は川崎市内にある同系列の中央療育センターと協働して行っています。採用説明会・試験・面接を行い、新卒者・中途採用も含めて保育士、児童指導員や各種専門職などを採用しています。採用後は内部研修を行い、心構え、社会人としてのコミュニケーション、権利擁護の研修を受け配置が決まります。階層別に分けた研修制度や役職制度、専門職処遇のある人材育成となっています。職員への個人面談は行われていますが、職員の資質向上に向けた目標管理制度は実施されていません。

A センター内部、法人内、外部が実施する多くの研修に参加し技術や質を高めています。各部門内症例検討会や伝達研修、地域講座など内部研修を実施しています。法人研修は1年目、2年目、3〜5年目、主任、所長などの階層別研修やフォローアップ研修を行っています。 外部研修は通園部や地域支援、総務、診療所、心理、リハビリテーションなどの各部門から出された研修計画に基づき希望する研修に参加しています。研修後は報告書を作成し役職者に回覧し、各部門で伝達研修を行い所属の主任がコメント記載後内部決済を行っています。

B センターでは各職種によるケース検討会を行い、支援技術の向上に努めています。各専門部署はセンター内及び同系列の川崎市中央療育センター職員との合同による研修や事例検討会を実施しています。新任職員は入職時研修および川崎市コーディネーター研修に参加しています。心理部署やリハビリテーション部門では新しい検査や評価の技法を学ぶ研修会に参加し、新しい知見を取り入れています。また、毎年外部講師によるリハビリテーション勉強会として「動作分析」を理学療法士部門で行っています。センター長や主任、主任補は人材育成やチーム作りに向けたコーチングを学んでいます。通園部門では支援技術に対する評価に取り組んでいます。

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