かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

川崎西部地域療育センター(2回目受審)

対象事業所名 川崎西部地域療育センター(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 青い鳥
対象サービス 障害分野 医療型児童発達支援センター
事業所住所等 〒 216 - 0022
宮前区平2-6-1
tel:044-865-2905
設立年月日 2010(平成22)年04月01日
公表年月 2020(令和2)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
川崎西部地域療育センターは、平成22年4月に社会福祉法人青い鳥が川崎市初の民設民営の施設として開設しました。診療所と児童発達支援センター(定員50人)、医療型児童発達支援センター(定員10人)及び児童発達支援事業所(定員10人)、保育所等訪問支援事業、相談支援事業を運営し発達の遅れや障害のある子どもと家族への支援を行っています。
施設の基本理念に「子どもと家族の健康・安全・尊厳を重んじる療育を提供します。」「子どもの発達と障害について理解を深め、専門性の高い療育を目指します。」「障害のある子どもが安心して生活できる地域社会の発展に貢献します。」を掲げています。職員は、家族とともに子どもの成長の喜びを共有することを大切にしています。


≪優れている点≫

1.地域療育センターのニーズの多様化と拡大に対応しています

近年発達障害のある児童が増加している社会的状況にあります。新規相談来所児の約8割は発達障害の可能性があります。平成30年度の初診件数は498件で前年度より45件増加しました。現在は小児精神科の常勤医師とリハビリテーション科、耳鼻咽喉科、摂食嚥下外来等合計13人の医師を擁し、また、臨床心理士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職19人が医師の指示のもとに各種の検査や子どもの支援等にあたっています。
初診から検査等を経て必要に応じてグループを編成し精神発達系の早期療育グループを行っています。平成30年度は、2、3歳児は4回を1クールとして延べ12グループ、3、4、5歳児は月1回の7グループを行いました。平成31年度(令和元年度)は、11回のクール制による、2,3,4歳児に対する早期療育を新たに展開しています。難聴児は毎月1回、小・中学校の学齢期の発達障害児は毎月2回のグループ活動を実施し、夏には野外の活動を行うなど昨年度は年間78回、延べ385人がグループ活動に参加しました。ニーズの多様化と拡大に備え、子ども一人ひとりへの最適な支援に向けた取組に努めています。


2.通園児一人ひとりに合わせた小集団療育を進めています

障害児の心身の発達と保護者の育児の取り組みを支援するために小集団療育を推進しています。一人ひとりの子どもの発達に合わせた療育を基本とし、小集団のクラスを編成し発達支援、家族支援及び地域支援を行います。
平成30年度の通園療育は132人の児童がそれぞれのクラスに分かれて通園しています。2、3歳児を対象とした親子通園12クラス(内保育園等の併行通園11クラス)、4、5歳児の単独通園が4クラスに編成されています。また、早期及び初期療育として、午前、午後の1クラス9人の編成で、11回の療育を1クールとして3〜4ヶ月をかけて終了します。
クラスごとのプログラムを整備し、ふれあい遊びや親子遊び、親子分離過程の保護者プログラムなどを実施しています。


3.個別支援計画の目標を項目ごとに決めて、日々の支援に反映しています

集団療育は個別支援計画に沿って日々の支援に努めています。個別支援計画の策定に際しては事前に保護者にアンケートをとり、保護者の思いや要望を反映しています。個別支援計画に子どもの発達支援、家族支援、地域支援の項目ごとに目標を設定し、目標ごとの取り組みの内容と配慮点を明記しています。
職員は子どもの目標一覧を作成しいつでも確認できるような工夫もしています。また、日々の子どもへの支援の状況が個別支援計画の目標に沿って実践できていることをクラスミーティングで共有し、「目標対応療育記録用紙」に実践内容を記録しています。半年ごとにモニタリングを実施し、個別支援計画の目標の達成度を評価し次の個別支援計画に反映しています。


4.保護者の療育に関わる勉強会等の開催に積極的に取り組んでいます

保護者の療育に関わる勉強会等の開催に積極的に取り組んでいます。「2019年度保護者学習会 日程表」を作成し施設を利用している全ての子どもの保護者に参加を呼び掛けています。医師や臨床心理士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等が講師をつとめ、「発達障害を持つ子どもへの配慮と工夫」等の題目で年間11回の勉強会を開催しています。その他に通園児童の保護者を対象にして園長等が講師となり子どもの年齢に応じて年間26回の勉強会を開催しています。
 相談開始から初診までの期間が2ケ月程度を要するケースがあります。その間、子どもの保護者の不安感の軽減を図ることを目的に定期的にサロンを開催し、また、ミニ勉強会を開催しています。法人のモデル事業として開始した初期療育開始前の不安軽減のためのフリースペース「ぷらっと」は、平成30年度は16回開催し参加者は延べ117人でした。


5.管理栄養士を配置し障害を持つ子どもに応じた食事を提供しています(通園利用児)

管理栄養士が毎月給食便り「くいしんぼうたより」を発行し、月々の献立表から特徴的な食材などを取り上げ、レシピ等で子どもの食事に関する保護者への情報提供に努めています。
昼食の献立は、子どもの年齢や活動量をもとにエネルギー量、カルシウム、ビタミンなど一日の約30〜35%が目安です。クラスごとに勉強会を開催して、子どもの食事に関する相談に応じています。咀嚼や嚥下の難しい子どもには柔らかく煮たり刻んだり、トロミをつけて子どもが食べやすいようにします。偏食の子どもは保護者と相談し食事の仕方を工夫し、作業療法士等が食具の工夫や操作についてアドバイスします。給食時は管理栄養士が各クラスを巡回し、子どもの摂食状況を把握し、また、定期的に摂食外来の医師が施設を訪問し子どもの状況に応じた食形態を確認しています。 


≪改善することが期待される事項≫

1.関係機関との、より一層の連携の強化

地域の幼稚園、保育園、小学校を対象にした巡回相談に努めています。平成30年度は118回の訪問を行い、相談件数は319件でした。
幼稚園、保育園とのコミュニケーションには力を入れており、利用者調査において良好な情報共有の関係づくりがうかがえます。しかし、小学校については連続性のある支援の実施が十分とは言えない状況です。今後、訪問実施に関するアンケート調査等を実施し、子どもの療育に関する情報共有の充実が期待されます。


2.療育に関する医療と福祉の情報共有の仕組み作り

療育センターのニーズの拡大や多様化、地域機関との連携の強化等施設運営の環境変化に対応すべく、関係者による情報共有と効率的な業務遂行のためパソコンを利用したシステム化の検討が期待されます。
業務部門ごとのシステム化を推進し担当職員間の情報共有を図っていますが十分とは言えない状況です。今後は特に、医師の診察情報と臨床心理士、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等専門職が個々の利用者の情報を共有することが求められます。利用者の個別支援計画や日々の支援情報の有機的結合を図り、業務の質向上と効率化により療育関連ニーズの拡大に備えることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

@ 今年度の事業計画の運営方針に、子どもの権利擁護と児童虐待の防止、個人情報の保護に向けた取り組みの充実に努めることを明記し、「不適切養育防止委員会」を設置して、虐待等の研修を行い不適切養育の防止に努めています。また、「職員の行動指針」を作成し配布して職員に周知し、チェックリストを作成し各課で権利擁護に向けて注意を喚起しています。

A 「不適切養育防止委員会」は、虐待の発見と対応にとどまらず、虐待の予防にも重きを置いて情報共有の場として機能しています。区の地域みまもり支援センターや児童相談所とも連携して迅速な情報提供を心掛けており、区の要保護児童対策地域協議会実務者会議に出席して虐待予防の強化を図っています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

@ 子どもの療育については、初診後の支援会議で医師や各種の専門職、相談員、通園課職員等が最適な療育について話し合い、医師の再診を経て療育方針が決定されます。診療所の構成は、療育センター所長が診療所長と小児精神科医師を兼務し、他に児童精神科等合計13人の非常勤医師を擁しています。他に臨床心理士、言語聴覚士等合計19人の専門職職員の編成です。平成30年度の初診件数は498件で前年より45件増加しました。

A 通園の支援開始に際しては、アセスメントを実施し子どもや家族の支援ニーズを把握し、クラスごとに子どもの特性に応じた活動プログラムを編成しています。1クラスの子どもは8人前後で2〜3人の職員が子どもに寄り添っています。子どもの関わり方、子どもの特性に合わせた絵カード、手順書、個別スケジュールを整備しています。一人ひとりの子どもが自分の絵カードの手順に従って行動しています。職員は個別支援計画の目標に沿った支援の実践に努めています。

B 卒園児・退園児に関するアフターフォローに丁寧に対応しています。療育センターの保護者学習会に、子どもの進路をとり上げ保護者の子どもの将来に関する不安の解消につとめています。また、子どもの就学支援については、学校向けに公開療育講座を実施するとともに、総合教育センターと連携し年長児就学説明会を実施する等、子どもの就学に関する各種の情報提供を図っています。

C 集団療育は個別支援計画に沿って日々の支援に努めています。個別支援計画の策定に際して事前に保護者にアンケートをとり、保護者の思いや要望を反映しています。個別支援計画に子どもの発達支援、家族支援、地域支援の項目ごとに目標を設定し、目標ごとの具体的な取り組みの内容と配慮点を明記しています。職員は、日々の子どもへの支援が個別支援計画の目標に沿って実践できていることを日々チェックできるように「目標対応療育記録用紙」に記録しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

@ 苦情対応規定類を整備し、川崎市障害福祉施設等苦情解決支援事業第三者委員会による対応を行い、苦情解決制度や第三者委員については重要事項説明書や契約書に記載しています。説明会でも委員等の関係者に説明会に出向いてもらうなど、保護者に対して丁寧に説明しています。意見箱「みなさまの声」を設置して、保護者が意見や苦情を言いやすい環境を作っています。集団療育では年に1回の満足度調査(児童発達支援自己評価)を実施しています。

A 危機管理・安全マニュアルを整備し「緊急時対応フローチャート」を作成して、近隣の病院など関連機関や職員の緊急連絡網を明記しています。子どもの急変・事故・怪我が発生した時の事故状況の正確な把握や対応などを分かりやすく説明し毎年内容を見直しています。また、不審者対策について明記しています。入口自動ドアの開閉に暗証番号を設定し、不審者対策を強化しています。

B 事故報告書(ヒヤリハット・事故連絡票)を作成し、微細な事案でも掲示して情報共有に努めています。提出されたヒヤリハット・事故連絡票を主任会議で共有し、改善策を検討した後、スタッフ会議で全職員に周知することで、事故の予防と事故発生時の適切な対応、再発防止を図っています。

C 火災や地震など災害時の対応マニュアルを作成し、自衛消防隊等災害発生時の組織体制や避難経路、緊急連絡先等を明記しています。通園部門は毎月1回、様々な災害を想定して避難ルートを変えて訓練を実施し、重度の身体障害児等に対する安全で迅速な避難に向けた訓練を行っています。地域支援部門のクール制療育では事前面談で保護者と避難路を歩いて確認して有事に備えています。

D 安全衛生委員会が中心となり安全面、衛生面における施設内の適切な環境維持に努めています。危機管理・安全マニュアルを整備し、日常の環境整備と安全点検を実施しています。マニュアルに保育環境整備に関する留意事項を明記し、定期的に巡回し中庭、室内、家具、遊具の安全性をチェックしています。

4 地域との交流・連携

@ 宮前区、多摩区地域みまもり支援センターと年3回定期的に連絡会を実施するとともに、平成30年度は地域機関向け研修会として年2回の地域講座や幼稚園、保育園、児童発達支援事業所等の職員研修を実施しました。また、川崎市内の他の療育センターと連携し、療育講演会と難聴児両親講座をそれぞれ年4回実施しています。川崎市総合教育センターと連携し一般市民を対象に発達障害支援の理解等を目的とした小学校向けの公開講座を実施しています。

A 地域の関係機関等の協力を得て年2回、施設の運営協議会を開催しています。会議には、学識経験者、地域自治会、幼稚園、保育所、教育委員会、宮前区、多摩区地域みまもり支援センター、児童相談所等の地域の関係機関が出席し事業運営に向けた意見交換を実施しています。

B ボランティア受け入れマニュアルを作成しています。親子通園のきょうだいを預かる「きょうだいボランティア」は掲示板で常時募集しており、保護者の理解も得て活躍しています。地域の大学とも協力関係を築き、学齢児グループのためのボランティアとして毎年安定して大学院生を受け入れています。活動の事前事後に振り返りを行うことで、現況や方針を確認しつつボランティアの意見を反映させるなど、ボランティア育成の視点を持って受け入れています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

@ 法人の理念「道なきところに道を」の実現に向けて3つの基本理念、「子どもと家族の健康・安全・尊厳を重んじる療育を提供します。」「子どもの発達と障害について理解を深め、専門性の高い療育を目指します。」「障害のある子どもが安心して生活できる地域社会の発展に貢献します。」を掲げています。また、「子どもの成長と発達支援のために、全スタッフの連携のもとに、専門的な支援を提供します。」等6項目の運営方針を定めています。

A 全職員参加の全体研修において、所長は療育に関わる法制度や個人情報保護等について伝え、職員の法令遵守の意識の徹底を図っています。また、「子どもの権利を守る行動指針」を作成し、チェックリストを用いて毎年定期的に人権擁護に関する職員のセルフチェックを実施しています。川崎西部地域療育センター個人情報保護指針」を作成し、個人情報に関する法令・規範の遵守を明記し職員に周知しています。「個人情報利用同意書」に保護者の同意の署名をもらい、また、ボランティア、実習生、及び施設見学者には個人情報の保護に関わる誓約書の提出を求めています。

B 第一期中期経営計画(2019年度〜2023年度)を策定し重点課題と施策の方針を明記しています。中期計画の実現に向けて施設の事業計画を策定しています。事業計画に、施設の基本理念、運営方針及び支援心得を明記し理念の実践に向けて職員意識の強化を図っています。地域療育センターのニーズの拡大や多様化への対応、小集団療育の必要性、地域の関係機関との連携、及び療育センター職員の専門性の向上等施設環境を取り巻く状況の変化に対応すべく、重点課題・各課の具体的目標を掲げて職員に周知しています。

6 職員の資質向上の促進

@ 全ての課で全職員が法人理念を基にした個別の年間目標を設定し、法人と各職場が協力しながら職員の目標実現に向けて年間を通じて確認・サポートを行う体制が整っています。法人が運営する5つの地域療育センターの職員を対象に全職種ごとの専門部会を毎月開催し、情報共有と支援技術の向上等に取り組み、職員の専門性の向上に努めています。

A 全職員の参加を前提とした全体研修会を年に4回実施しています。各課で中期的な人材育成計画を策定し、法人本部主催で職員の階層別研修も実施されています。初任者研修では1年を掛けてOJTを行います。中堅者・主任・管理職等は各課の人材育成計画に基づいて必須研修や外部研修に満遍なく参加できるように考慮しています。外部研修参加者は研修成果を課全体に活かすため、フィードバック報告を定例化しています。

B 法人の実施する研修や行政の実施する研修会に非常勤職員も積極的に参加できるよう管理職を中心に働きかけています。外部研修に非常勤職員も積極的に参加できるよう管理職で調整し予算を計上し取組んでいます。常勤・非常勤に関わらず業務に関わる資料や研修受講等に係る情報は共有されています。毎日のミーティングに非常勤職員も参加し、職員間の情報共有を図っています。

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