かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

聖アンナの園(2回目受審)

対象事業所名 聖アンナの園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 カリタスの園
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 247 - 0056
鎌倉市大船 4-1-19
tel:0467-43-2208
設立年月日 1957年04月01日
公表年月 2020(令和2)年01月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地および施設の概要
 聖アンナの園はJR大船駅から徒歩約10分。周囲は住宅街、隣は鎌倉市立大船中学校、バス通りを挟んだ向かいは大手企業研究所の敷地となっており、開放感のある立地です。平成28年に築後50年を経た園舎を建て替えました。設計士の助言を得ながら、職員も交えて部屋の配置などについて検討を重ね、外壁や内壁の角を全体的に丸い曲面にして、優しい雰囲気が感じられる2階建ての園舎としました。1階、2階の両階に大勢が集まれるホールや職員の休憩室、テラス、バルコニーがあるほか、図書室や、約1215uの園庭を備え、広々とした造りになっています。玄関には聖マリア像が置かれ、吹き抜けの壁面には、1階から天井まで達する聖母子像と聖誕劇の色鮮やかなステンドグラスがはめ込まれています。クラス名としている花や、大船の歴史を表す魚のデザインも織り込まれたその美しい絵を、0歳から5歳まで154名の子どもたちはいつも見ながら生活しています。

・園の特徴
社会福祉法人カリタスの園(昭和7年設立)が運営するカトリック系の保育園です。昭和27年に地域の要請を受け、レデンプトール会(男子修道会)が「聖アンナの園」として開所した保育所を、昭和32年から(社福)カリタスが引き継ぎました。「カリタス(CARITAS)」はラテン語で「憐み深い愛」を意味し、聖アンナの園名は聖母マリアの母の名前に由来しています。園では、カトリックの精神に根差した園のビジョン、園児のミッション、職員のミッションが明文化され、朝礼、行事などで唱和し、園児は食事や活動、午睡など生活の節目、節目の始まりと終わりでお祈りをします。健全な青少年育成のために、こころの教育を重視し、イタリアのボスコ神父が「一人一人の中に神はいる」と諭し、「共にいて、共に育つ」ことを実践した「ドン・ボスコ予防教育法」を基に、一人一人が愛されていると実感できる保育を目指しています。

【特に優れていると思われる点】
1.園の長い歴史の中で受け継がれてきた多彩な活動のプログラム
専任講師による体操や英語の指導、宗教教育、運動会で披露するカラーガード、バトン、和太鼓などの習得、野菜の栽培や調理体験など、様々なプログラムが用意されています。各クラスにピアノが置かれ、園児は毎日季節の歌や讃美歌を歌ったり、自分の鍵盤ハーモニカを演奏して、歌に親しんでいます。図書室で絵本を楽しんで見たり、広い園庭やホールで、思い切り身体を動かして遊んでいます。お祈りの時間、マリア祭などの宗教的行事、赤い羽根共同募金活動への参加、嘱託医や、郵便局、消防署、警察署への訪問、商店街の散策、ボランティアとの関わり、他園との交流など、多様な生活体験や地域の方との触れ合いを通して、友だちと協力してやり遂げる喜びを味わったり、祈る心、感謝する心を学びながら視野を広げています。

2.園と保護者とのビジョンの共有
ホールおよび各クラスに、2007年、当時の職員らで作られたビジョンを掲示しています。全職員にビジョンを解説した資料が配布され、職員は毎日の朝礼でビジョンを唱和することで、目指すべき園の姿を確認しています。ビジョンは園のパンフレット、重要事項説明書および園のホームページに明記され、保護者には見学の時点から説明しています。入園後にも保護者が参加する主要な行事では、一緒にビジョンを唱和してもらって周知し、共有しています。今回の第三者評価の利用者家族アンケート(回収率70%)では、園の基本理念や基本方針について、合わせて93%の保護者が「知っている、まあ知っている」と回答し、ビジョンの内容にも賛同しており、園のビジョンが保護者としっかり共有されています。

3.非常勤職員も含めた全職員で課題を検討する仕組み
事業計画と全体的な計画をはじめとする各計画書および法人の基本理念、職員の倫理綱領、就業規則などの資料、基本的な業務マニュアルが非常勤職員にも配布されています。全体的な計画は、クラス会議で話し合った内容を職員会議、運営委員会、主任会議で順次検討して決定しています。毎年1月の園内研修では、当年度の各活動を年間目標に照らして点数化した評価案を全職員で持ち寄り、4領域で分かれたグループ討議の後、全員で園としての自己評価を決定するなど、全職員で課題を検討する機能的な仕組みがあります。共に学ぶ姿勢を大切にしており、今年度からは、非常勤職員にも個別の目標を設定し、達成度を評価する仕組みを導入しました。経験や実績によって役職を与え、やりがいを感じてもらいながら他園や他業種での豊富な経験や能力を保育に生かせるように配慮しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.保育環境の工夫と、より主体的に遊べるような取り組みを
保育室が広く、子どもの数が多いため、職員から子どもの姿がよく見えるようにして安全に過ごすことを優先していますが、低年齢児が小集団で落ち着ける場所や、子どもが職員や友だちの視線を意識せずに一人で過ごせる場所、長時間保育の中でくつろいで過ごせる場所の確保が求められます。また、子どもがより主体的に遊べるように、自らおもちゃを自由に選んで取り出せるような収納や、創作意欲を引き出す多様な素材を置いておく工夫、自分の好きなことをして遊べる十分な時間の確保なども望まれます。さらに、子どもの自由な発想や意見を取り入れて、集団活動につなげるような活動を、より一層取り入れることを期待します。

2.子どもの個性や多様性を認め、穏やかな子どもへの声かけを
多様な行事やプログラムがあるため、特に3〜5歳児は、行事での発表の練習など、決められた時間の中で大勢で行う一斉活動の機会が多く、早くできる子どもも時間がかかる子どももいることから、早口や、強い口調で、「○○して下さい」と子どもに指示をすることが見受けられました。子ども一人一人の個性や多様性を受け入れ、一人一人が愛されていると実感できるよう、時間に追われることなくゆったりと、温かい態度・言葉遣いで子どもに接すること、声をかけるときの言葉、声の大きさやトーン、話し方の速度などについて、職員同士で振り返る機会を設けることが望まれます。

3.2歳児以上の子どもの保護者にも、その日の子どもの様子を伝える工夫を
その日のクラスの様子は、クラス前にある小型のホワイトボードで伝え、一人一人の子どもの様子は職員が口頭で送迎時に伝えるよう努めています。0、1歳児については毎日、保護者と育児日記(連絡帳)のやり取りがありますが、利用者家族アンケートでは、送迎時の子どもに関する情報交換について、22%の保護者が「不満・どちらかと言えば不満」と答えており、他項目に比べるとやや不満度が高くなっています。2歳児以上の連絡帳の使い方を見直したり、その日のその子どもの様子を口頭で伝えるためのより一層の工夫をすることが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・カトリックの精神に根差したビジョンの実現を目指して、カトリックの「ドンボスコ教育法」に沿って基本方針が策定されています。「相手の目線に立って、一人一人が愛されていることを実感できる保育を目指す」として、その内容は子ども本人を尊重したものとなっています。

・年度初めに園長から職員に、子どもへの言葉遣いなどについて指導し、園内研修の中で子どもへの対応について話し合いをして、注意を喚起しています。

・個人情報取り扱いマニュアルがあり、守秘義務などについて、園長から、職員、ボランティア、実習生に説明しています。

・子どもに指示をしたり、声をかけるときの言葉、声の大きさやトーン、話し方の速度などについて、職員同士で振り返る機会を設けることが望まれます。

・子どもが一人でいたいときやあまり周囲から声をかけてほしくないときなどに、職員の目が届きながら、一人で過ごせる場所の確保について、検討されることを期待します。

・職員間でジェンダーフリーの考え方について学び、無意識に性差による固定観念で保育をしていないか、職員同士で日常の保育を振り返る機会を定期的に設けることを望みます。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・各保育室には、年齢に応じたおもちゃや教材を備え、3〜5歳児クラスでは、朝9時30分ごろまでを「自己活動」の時間としており、そのときに遊ぶ教材は年齢により内容を変えています。

・園庭のプランターで、各クラスで夏野菜を中心に栽培して、水やりや野菜の成長を観察したり、収穫後は、調理を楽しむなど保育活動につなげています。

・園の保育目標に「自分から挨拶できる子ども」と掲げ、毎月前半に挨拶週間を設け、地域のお店の方に挨拶しています。

・年に1、2回、2〜5歳児の縦割りグループでゲームを一緒に楽しんだり、カレーパーティーや誕生会などの行事で交流を図っています。

・園庭は広く、0〜2歳児クラスは雨が降っていなければほとんど毎日、3〜5歳児は主活動の前後に遊んでいます。園庭では、複数ある固定遊具で遊んだり、雨の日でも1階、2階の両階のホールで年齢や発達に応じて身体を動かして遊んでいます。3〜5歳児クラスは専門講師による体育遊びを週1回行っています。

・1歳児クラスから白玉づくり、おにぎり作りなどの調理体験を調理員と一緒に楽しんでいます。送迎ホールに、野菜のクイズや珍しい野菜を展示するなどして、子どもと保護者が食に興味を持ったり、一緒に楽しめるよう工夫しています。

・午睡時の呼吸チェックは、0歳児は5分おき、1歳児は10分おきに行い、記録しています。

・0、1歳児は育児日記があり、その日の子どもの様子を毎日伝えています。全クラスにホワイトボードがあり、その日の保育の様子を伝えています。

・年1回、保育士体験ができる機会があり、保護者が保育士と一緒に製作をしたり、子どもたちの食事の介助をし、給食も一緒に食べてもらっています。

・数種類のおもちゃや教材を低い棚に置き、自分で取り出すことはできますが、多くのおもちゃは自由に取り出せない状況となっています。子どもがより主体的に遊べるよう、自らおもちゃを自由に選んでじっくりと遊べるような取り組みが期待されます。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・全体的な計画に基づき、年齢ごとに、年間指導計画、月間個別指導計画(0〜2歳児)、月間指導計画(3〜5歳児)週間指導計画、デイリープログラム(3歳未満児、3歳以上児)を作成しています。

・緊急連絡票のファイルがあり、顔写真つきで健康に留意すべき子どもの一覧表が作成されています。食物アレルギーについては、かかりつけ医の指示の下で、除去食または代替食を提供しています。

・苦情解決方法について、園のホームページに詳細を掲載し、前年度に受け付けた苦情件数と内容・対応結果をプライバシーに抵触しない範囲で公表しています。

・重要事項説明書および玄関に置かれた意見箱に第三者委員の連絡先が明記されており、保護者が第三者委員に直接苦情を申し立てることができます。

・低年齢児には少集団で落ち着ける場所の確保が必要です。子ども達が過ごしやすく、くつろげる空間となるよう保育室の使い方の工夫が望まれます。

・感染症が一人でも発生した場合には、速やかにクラスや送迎ホールの掲示板に感染症情報を掲示し、注意事項などを明記して感染拡大防止を呼びかけています。

・四半期ごとに目標を明記した「防犯・避難訓練年間指導計画」を基に、防犯(不審者)、地震、火災を想定し、想定場所や想定時間を変えて、毎月災害避難訓練  を実施しています。二次避難場所への誘導訓練や大規模防災訓練、保護者による引き取り訓練を行っています。

・小さなケガであっても、園長、主任に伝え、保護者に伝えるよう努めています。

4 地域との交流・連携

・鎌倉市の交流保育事業に参加して公開保育を行い、園庭開放を行っています。
また、保育実施委託事業を行い、他園の子どもと園児が園庭で遊んだり、一日動物村や夏祭り、運動会、クリスマス会などに招待しています。

・5歳児を中心に、幼児は地域の方と交流を図ったり、地域の活動に触れる機会を多く持つよう心がけています。5歳児が大船駅で赤い羽根共同募金の活動に参加しています。勤労感謝の週に嘱託医、消防署、警察署を手作りの品を持って訪問しています。5歳児が商店街を散策し、八百屋や宝飾店を見学しています。

・園のパンフレット、ホームページにより保育園の情報を提供しています。ホームページは園長が更新し、保育園の生活や園で大切にしている心の教育を明記し、ブログでは日々の保育の様子を具体的に伝えています。

・小学校と年3回ほど交流したり、近隣の保育園と年3回ほど交流を図り、園で5歳児が他園の子どもと一緒に遊んだりゲームをするなどしています。

・園見学は基本的には常時可能で、見学者の都合に応じ、1日に3、4組が一緒に見学をしています。見学者は年間100組を超え、園内の見学は時間をかけて行い、理念や保育方針を説明しています。

・近隣の方や中学校のボランティア部など複数のボランティアの登録があり、継続してボランティア活動をしてもらっています。

・見学時の育児相談を充実させたり、地域に向けた講習で育児相談を行うなど、より専門性を生かした相談対応ができることを期待します。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・全職員に配付される資料の中に「カリタスの園職員倫理綱領」があり、職員が守るべき規範が周知されています。

・毎年、各年度の事業計画などの資料を、非常勤職員も含む全職員に配付しています。

・職員は朝礼時に、ビジョンとミッションを交互に唱和しています。年3回実施する園内研修で、その内容について確認しています。

・毎月1回、運営委員会(園長、総主任、各クラス主担任、調理担当が出席)を開催しているほか、随時、副主任会議(園長、総主任、副主任が出席)を開催して、重要な議題について話し合っています。

・中期計画として「6年間の目標」が策定されており、それに沿って、単年度の目標設定と4分野に分けた「Programming 活動計画」が立てられています。

6 職員の資質向上の促進

・設置法人により「カリタスの園 キャリアパス」が策定されており、職責、求められる能力、対応役職、対応職種、業務内容、のほか「任用の要件」として「習熟に必要な業務教育、資格」を職員の段階に応じて明確に示しています。

・「個人目標管理シート」(一般職、指導職)があり、職員が個別に設定目標と取組過程を明文化し、年2回設定目標の確認と振り返りを行い、園長と面談して、次年度の目標設定につなげています。

・今年度から非常勤職員にも「個人目標管理シート」により達成度を評価して、次年度の目標設定につなげていく仕組みを導入しました。非常勤職員にも経験や実績によって役職を与えるなど、やりがいを感じられるように配慮しています。

・全国保育士会研究大会、保育協議会、鎌倉市民間保育園園長会、鎌倉市保育士会主催の研究会などに非常勤職員も含む職員が順番に参加しています。一昨年からは、指導職以上の職員が所定のキャリアアップ研修に参加しています。

・毎年、園内研修を年3回、4月、11月、1月の土曜日に、非常勤を含む全職員が参加して実施しています。

・実習生を受け入れ、実習の目的を把握し、事前に実習クラス担任と実習生が話し合い、効果的な実習ができるようにプログラムの配慮をしています。

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