かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

杜ちゃいるど園

対象事業所名 杜ちゃいるど園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 ル・プリ
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 247 - 0006
栄区笠間1丁目2番地2号
tel:045-890-6112
設立年月日 2015(平成27)年04月01日
公表年月 2020(令和2)年02月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 当園の運営主体は社会福祉法人ル・プリで、法人2番目の保育園として、平成27年に開園し、5年目となりました。場所はJR大船駅北口から徒歩で4分ほどの所にあります。定員は70名(令和元年10月現在84名在籍)で、延長保育、障がい児保育、一時保育などを実施しています。
 駅の南側は古くからの商業施設があり、賑わっていますが、園のある北側は駅前を再開発中で、商業ビルやマンションの工事が進行中です。園の前の大通りを一つ内へ入ると住宅や比較的新しい大規模なマンション群が立ち並び、散歩に行く公園がいくつもあります。園庭は広くはありませんが、果樹を植え、小山や小屋があり、子どもたちは裸足で走り回っています。3歳児以上は「ちびっこ探検隊」として、モノレールやバスで毎週のように自然観察の森などに行き、大きな自然の中でさまざまな生き物や植物と出会い、豊かな感性をはぐくんでいます。

《特に優れている点・力を入れている点》
○自然豊かな園庭には子どもが興味を持って遊びこめるような工夫がされています
 園庭には、みかん、ゆず、ブルーベリー、柿など実のなる木がたくさん植えられており、実がなると子どもたちが収穫をして季節の味覚を楽しんでいます。また巣箱を設置しており、時折シジュウカラなどの小鳥が出入りする様子も見ることができました。砂場やままごと、ロープのブランコや一本橋も設置しているほか、木々の間に傾斜や階段を設け高低差をつけており、その下には小さな横穴があります。高さのある木の小屋は急な階段を登るようになっていますが保育士がついて、小さな子どもたちも小屋に登って遊んでおり、子どもたちのお気に入りの場所となっています。決して広い園庭ではありませんが、クラスごとに園庭使用の連携を図りながら、子どもたちは自然の中で泥んこになって自由な発想の中で遊びこめるような環境が作られています。

○子どもたちはカフェテリアのような明るいランチルームで、思い思いに食事を楽しんでいます
 2〜5歳児が利用するランチルームは、庭に面したガラス引き戸で明るく、エントランスルームともガラス戸で続いている、明るくてカフェテリアのような雰囲気の部屋です。自然の木や2人がけ、4人がけのテーブル、外に向かったカウンター、テラス席、大人が使うような高さの高級な木材のテーブルもあります。3〜5歳児では子どもたちは食べたい時間に食べたい席で食べます。職員も一緒に食べています。食事を盛り付ける職員は、何をどれくらい盛り付けるのかを子どもに聞きながら盛り付け、よそってもらったトレイを持って、子どもたちは日替わりで自由に席を決めて食べています。おしゃべりしながらゆっくり食べているグループも、一人で静かに食べている子どももいます。時間に急かされることもなく、豊かな時を過ごせるランチタイムです。
○3歳児以上の子どもは毎週のように「ちびっこ探検隊」として自然の中で活動をしています
 園では、「森のようちえん」(北欧が発祥の自然体験活動を基軸とした子育て・保育・教育の総称)を保育に取り入れ、年間を通して自然の中で過ごす時間を持つことが大切だと考えています。そして、3〜5歳児の子どもたちが各年齢別クラスなどで、「ちびっこ探検隊」として毎週のように最寄りの大船駅からモノレールやバスで「鎌倉中央公園」や「横浜自然観察の森」へ出かけ、川や池や森の大自然の中で鳥を見たり、さえずりを聞いたり、ちょうやとんぼ、くわがたむし、めだか、ざりがになどの生き物や、さまざまな季節ごとの草花に触れています。夏は八景島の野島公園などに遠足に行き、海辺で遊んでいます。子どもたちは自然の中でさまざまな生き物や植物と出会い、豊かな感性をはぐくんでいます。

《事業者が課題としている点》
 全体を見て安全な保育に努めていますが、子ども一人一人の様子や状況をさらに見て聴き取り、保育に生かしていきたいと考えています。そのために日誌や個別記録に写真を加えて記録する様式に変更して取り組んでいて職員間での共有その他に効果が出てきています。日常の業務の中では休憩時間や事務時間の確保も課題となっていて、リーダー職員を中心に職員の意識改革や記録方法の改善などに取り組んでいます。また3歳児以上のクラスでは子ども同士での対話や、自分の気持ちを言葉に置き換えること、友達とのかかわりを通した成長について、意図的に行っていきたいと考えています。テーブルを用意し少人数で話し合う経験を重ねていく予定です。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  保育方針は「養護と教育が整った環境のもとで、子どもの主体性を育てる保育」としており、具体的には「子どもの主体的な活動としての生活を保障する保育」「子どもの自発的な活動としての遊びを保障する保育」「ひとりひとりの特性に応じた保育」「人とのかかわりを大切にした保育」を掲げ、子ども本人を尊重した基本方針となっています。職員は入職時には園長から理念や基本方針について説明を受け、年度末には、「保育所における自己点検・自己評価」で保育士が振り返りを行い、園長と面談をして基本方針に沿った保育の実践を心がけています。保育の理念・基本方針は年度初めに園長から保護者に説明をしています。
 マニュアル「保育従事者のこころえ〜信頼される保育従事者として〜」の中に「日常保育での配慮」として、「子どもの人権を尊重して、名前の呼び捨て・差別用語・プライドを傷つける・言葉の暴力等には気を付ける」と記載し、言葉遣いの留意点を明確にしています。保育士が子どもと話す時は大きな声は出さず優しく接しています。食事や排せつ時でも子どもをせかすことはせず、子どもの意思を尊重しています。「保育のこころえ」は全職員に配付し、常に意識できるようにしています。また、無意識に不適切な言葉などを使っていないか職員同士で確認し合い、年度末には自己評価を行い、子どもの人権を尊重した対応の振り返りを行っています。
 男の子だから、女の子だからという強い先入観を持たずに、子ども一人一人を「人」として尊重しています。子どもたちや保護者が「男の子は○○だよね。女の子は○○だよね」などと話しているのを耳にした時は、男女の区別なく、自分で選ぶことや決めることを大切にするよう話をしています。順番や整列は、自由にしており、散歩の時は友達と手をつないだ順に並んでいます。性差について園長が職員に対して気になる場面を見た時には、そのつど注意を促しています。職員たちはミーティングや指導計画の振り返りの際に、性差による固定観念にとらわれない保育について検証し合っています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供  指導計画の内容は、厳密に遂行することを重要視せず、子どもの主体性を尊重し、日々の保育や家庭との連携の中で柔軟に対応し、年齢や子どもの特性に応じた内容で作成しています。「やってみたい」「もっとやりたい」という子どもの意欲を大切にし、ていねいに話すことで子どもに寄り添い、子どもが納得できるように心がけています。直接言葉で表現できない子どもの場合は、表情や様子からその子の思いに気づき、保育士が代弁をしたり応答をしたりして、子どもの意思を汲み取るよう努めています。お昼ご飯のお手伝いの手順や、ちびっこ探検隊に出かける時の準備の仕方など、言葉だけでなく写真で手順を掲示し、子どもが理解し自主的にできるように工夫しています。
 3〜5歳児は、「活動ボード」で行き先や遊びの内容を見て、自分が何をするのかを3つのグループから選び、裏が磁石の自分の写真を貼ります。気分が変われば変更もできます。0〜2歳児にも職員は声をかけて聞き、一緒に出かけることもあります。どのクラスの誰が何に参加しているのか、どの職員が付いているのかは、各クラスのホワイトボードに記入して職員全体で把握するようにしています。散歩で拾ったどんぐりでこまを作る時に、どんぐりの中身に興味を持って、すり鉢で細かくし、さらに乳鉢で粉を作ったり、枯葉の葉っぱを粉々にしてふるいにかけて粉を作ったり、0〜5歳まで興味のある遊びに入っていき、次々に遊びを広げるように職員は見守ったり、必要な道具を準備したりしています。
 ランチルームでの昼食は、2歳児は1つのテーブルに保育士と一緒に座りますが、3〜5歳児は自由な時間に自由な席で食べます。テーブルは2人席、4人席や窓に向かったカウンター席もあり、カフェテリアのような雰囲気です。部屋の外にテラス席もあります。当番はありませんが、当日希望した5歳児が副菜の盛り付けをします。食べた後の食器は各自が片付けます。午睡の時間に5歳児がテーブルの花を片付け、テーブルやいすを拭いて片付け、床の掃き掃除をします。1歳児でもランチルームで食べたい子どもは職員と一緒のテーブルで食べています。食器はユニバーサルプレートとお茶碗、カップで、0〜2歳児は軽い素材で両方に持ち手のあるお椀やカップ、3歳児以上は陶器と木製のお椀を使い、スプーン、フォーク、箸は自分で選んで使っています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  虐待対応マニュアルが作成されています。虐待の早期発見、子どもや保護者の状況の把握、対応などの流れが記載され、全職員で虐待防止に取り組んでいます。虐待ではないかと疑われるようなケースが見られた場合は、保育士だけで判断せず、園長、主任に報告し、栄区の福祉保健センターや児童相談所と連携する仕組みが作られています。朝の受け入れ時に視診を行い、傷などがある場合は、写真を撮るとともに園での様子を記録し、状況を把握するようにしています。おむつ交換時、着替え時、身体測定時に子どもの全身の視診を行っています。保護者のフォローをすることを大切にし、朝やお迎えの時に、声かけを行うよう心がけ、信頼関係を築くよう努めています。
 苦情受付担当者は主任、苦情解決責任者は園長と決めており、「入園のしおり」に第三者委員2名と横浜市福祉調整委員会、神奈川県運営適正化委員会の連絡先とともに記載されています。事務室前には意見箱を設置しています。懇談会や行事の後にアンケートを実施し、園に対する要望なども記載できるようにしています。自分で意見を言えない保護者に対しては日常的にコミュニケーションを図り、相談しやすい雰囲気づくりを心がけています。また、保護者のお迎えの時間にランチルームで「杜ちゃカフェ」を年6回ほど行い、気軽に話ができる場となっています。ご意見箱は保護者が職員の目を気にせず意見を入れやすいように、設置場所を工夫されるとさらに良いでしょう。
 危機管理マニュアル、保育事故防止マニュアルがあり、入職時に全職員に配付し周知しています。園内外で起こる可能性のある事故や災害時の対応方法について詳しく定めています。プール遊び時は、遊びと監視の職員を分けて配置しています。備品は倒れないように壁に取り付ける・壁と棚を固定する・ハンガーラックの車輪を固定する・滑り止めマットを敷くなど転倒防止対策をしています。緊急連絡体制はフローチャートにして事務室に掲示しています。毎月避難訓練を実施し、誘導や通報訓練をしています。年1回は消防署の立ち会いのもと、避難訓練をしています。消火訓練はしていませんが、栄区の合同防災訓練に職員と4、5歳児が参加し、地震や火災の時の姿勢を教えてもらったり、消防服の体験をしたりしています。全職員が心肺蘇生法の訓練を受けて身に付けています。
4 地域との交流・連携  地域の子育て支援ニーズについては、主任児童委員の方や地域の親子に向けた催しの参加者などから情報を得ており、園の活動の一環として毎月のように話し合われています。一時保育は各クラス一日1名の枠内で行い、各クラスに入り一緒に活動しています。園庭開放は毎週木曜日の午後開催との案内を地域向けに掲示しています。地域の親子参加の親子ヨガ教室は人気があり、毎月1回行い、あわせて手作りの人形や飾り、クリスマスリースなどを作ったり、別の日にはわらべ歌を楽しんだりしています。離乳食などの育児相談は個別に受けています。園の職員に向けて外部講師による「保育の話」の講習を行った時には、事前に地域の親子にも参加希望を募り、複数組もの参加を得ています。
 園のパンフレットを園庭開放や親子ヨガなどの園の催しに来園した地域の方々や園の見学者などに渡し、説明しています。栄区こども家庭支援課前にも園のポスターを掲示しています。また、園のホームページを通じて園の情報を提供しています。パンフレットには法人理念と保育理念をはじめ、0〜5歳児の各定員、開園時間、休園日、保育中のスナップ写真と説明文、柿狩りやさつま芋掘り、自然観察の森などでの園外活動、JR大船駅からの案内図を載せています。園のホームページには、さらに園の見取り図、一時保育、園内見学、保育料以外の諸費用などを載せています。また、区のホームページや区発行のチラシなどにも進んで必要な情報を提供しています。
 ボランティアは「ボランティア・職業体験マニュアル」に基づいて、地域の高校生の夏期の職業体験として受け入れています。保護者には事前と来園時に玄関の伝達ボードで知らせています。担当窓口は園長で、実施前のオリエンテーションでは園のパンフレットを渡し、法人理念や保育理念、保育にあたっての留意事項、守秘義務、子どもの人権などを説明しています。終了後は感想文を受け入れて、担当したクラスリーダーが園長とともに振り返りをしています。参考となる意見は園の運営に生かしています。このほか、地域の方々のご厚意で4、5歳児の子どもたちにお茶のお稽古を実施し、保護者にも生け花やお抹茶の会を実施しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性  職員は自己評価の結果を学年ミーティング(保育室の0、1歳児、2歳児、3〜5歳児別のミーティング)などで話し合っています。話し合いの中から、保育士として日々の保育を振り返り、園としての課題も明らかとなり、改善に取り組んでいます。かつて1階の事務所とランチルームの間には、絵本を置き、木の椅子を置いてありましたが、「居心地の良い園を目指す」園の思いから、改善提案があり、テーブルとソファに変えました。食事を終えた子どもたちがゆったり絵本や図鑑を見たり、ゲームをしたり、保護者が交流したり、雰囲気が改善しました。園の自己評価は法人の理念や保育理念を基にクラスリーダー以上で検討し、園長がまとめました。園の自己評価は玄関近くに掲示しています。
 非常勤を含む全職員は入職時に、園のパンフレットや「杜ちゃいるど園利用のしおり(重要事項説明書)」とともに「保育従事者のこころえ」と「保育のこころえ」の配付を受けています。また、このこころえには「子どもの人権の尊重」や「子どもの最善の利益」の記述があり、就業規則の服務規程とともに園長から説明を受け、個人情報保護と守秘義務に関する誓約書を提出しています。園の経営情報は法人全体の決算情報の一つとして、法人のホームページに公開しています。世間で発生した子どもの虐待などの人権侵害事例などは、新聞記事などを基にミーティングを開き、園の子どもに置き換えて、注意喚起と早期発見や対応方法を確認しています。
 園長は栄区の園長会や町内会や自治会の会合、親密な児童委員、近くの系列園などから、法制度の新設や改定、地域の待機児童の動向、小規模を含めた保育園新設の動向など、園の運営に影響のある情報を収集し、分析しています。重要な情報は法人に報告し、相談したり、リーダー以上の会合で話し合ったり、職員会議などで職員に知らせて対応を話し合ったりしています。最近ではキャリアアップ制度に基づく職員の待遇改善などを話し合いました。また、事務負担の軽減、効率化のために、小型パソコンを全クラスに配付し、写真を取り入れた日誌作成を始めました。昼の休憩時間確保のための対策など、職員の負担軽減に園全体で取り組んでいます。
6 職員の資質向上の促進  毎年9月に園長は非常勤を含む全職員と面談し、この結果、来年度の職員の不足が予想される場合は、ハローワークや職員募集会社などへ募集申し込みをしています。園はキャリアパス要件で、職員全体、初心者、中堅、主任・ベテラン、指導職員・管理階層の各階層の職務と、それに必要な能力、経験、必要な研修を明らかにしています。これを基に園長は園内研修、キャリアアップ研修を含めた外部研修の考えをまとめた研修計画を作成し、職員の受講をうながしています。園長は年度初めに職員と面談し、年度目標を設定しています。年度末には職員は自己評価表で個人目標ほか、職務の年度の取り組み状況を個人別に自己評価して、園長と話し合っています。
 職員の自己評価は年度末に実施しています。自己評価表は保育目標について、保育、行事、研修などの項目をさらに細分化した問いに対して、A〜Dの4つの記号で自己評価し園長面談を行っています。保育所の自己評価も年度末に行っています。学年ミーティングなどの中で、日々の日誌の記入負担と保護者向け一日の動きの報告の別書き負担の話が出て、検討し、各クラスにタブレット型パソコンを配付し、日中の活動の写真撮影と文章作成を同じタブレットで行い、写真を載せた日誌に形式を変え、保護者向け掲示もこれで行うこととしました。月2回議事進行の専門家(ファシリテイター)の来園を得て、意見を引き出し、まとめ方などの助言、指導を得ています。
 人材育成計画では職員を、職員全体、初心者、中堅、主任・ベテラン、指導職員・管理職層に分けて、それぞれの職層の職務内容と期待される能力と経験や必要となる研修などを園のキャリアパスとして明文化しています。園長は園の最終責任者ですが、日常の業務は現場の職員の自主的判断に任せています。しかし、けがや事故、病気、保護者の苦情などの際は速やかに、副主任、主任、園長に報告、連絡、相談するようにしています。また、園の行事や防災訓練、清掃など園の職務を職員に分担し、任せることで、職員の意欲と責任感を引き出しています。園長は、毎年秋の次年度の職員の勤務継続可否の意向調査時や年度末の職員との個別面談の際に、職員の職務の満足度や要望、悩みを聞き、相談にも応じています。

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