かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ノーマ・ヴィラージュ聖風苑

対象事業所名 ノーマ・ヴィラージュ聖風苑
経営主体(法人等) 社会福祉法人 川崎聖風福祉会
対象サービス 保護 救護施設
事業所住所等 〒 210 - 0832
川崎区池上新町3-1-8
tel:044-287-2235
設立年月日 1992(平成4)年04月01日
公表年月 2018(平成30)年12月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
事業所はJR川崎駅からバスで約20分、最寄りのバス停から徒歩2分の所にあります。社会福祉事業生活保護法に基づく救護施設で、平成4年4月に社会福祉法人川崎聖風福祉会が開所した定員86人の保護施設で、福祉事務所の委託を受けた措置入所を前提にしています。高齢者デイサービス(定員35人)も併設し、事業所は心身に様々な障害のある方がその人らしく快適に生活を送ることを目的にしています。令和元年6月1日現在の入所者数は86人で、平均年齢は62.5歳、平均入所期間は8年2ケ月です。入所者は、精神障害者が全体の90%と多く、身体障害者が10%の状況です。               
全国救護施設協議会が掲げる「救護施設が取り組む生活困窮者支援の行動指針」に基づいて重点目標を掲げ、事業計画を策定しています。個人を尊重し利用者の権利を守ることを根底に置いて、利用者が地域社会を構成する一員として日常生活を営むことができるよう、必要とされる多様なサービスに努めています。

≪優れている点≫
1. 職員の明るい表情が利用者の笑顔につながっています
職員の表情が明るく利用者も笑顔が多いことが特徴的です。事業所にはサービス改善の提案制度があり、職員同士が協力しサービス改善に取り組んでいます。現場の職員が判断に迷いや疑問が生じた時は、職員同士が指摘し合い、また、リーダー・係長になんでも相談するスーパービジョン体制があります。
事業所長は、事業所を回って利用者の声を受け止め、毎日ラジオ体操に参加し利用者と世間話をします。利用者が気軽に職員に話しかける雰囲気があります。基本理念の実践に向けた心構えを明示し、職員会議で読み合わせを行います。
「法人の理念を実践する接遇研修」を実施し、職員は利用者との関係作りを大切にしています。職員の明るい表情が利用者の穏やかな表情と笑顔につながっています。

2.利用者の人権を大切にして権利擁護に多角的な視点で取り組んでいます
「法人権利擁護ガイドライン」には法人の権利擁護行動指針と事業所職員の権利擁護行動指針を定め、自己決定の尊重、説明義務、職員の姿勢等について明示しています。権利擁護研修会に管理職、職員が参加し、また、施設独自の学習会で「権利擁護」を取り上げています。
職員会議では事業所長による虐待の理解に向けた困難ケースについて事例検討を行い、ガイドラインの読み合わせをするなど職員は適切な言葉遣いや行動について学んでいます。利用者と職員に対し「権利擁護アンケート」を実施し、その結果を分析し課題の対策に取り組みました。
権利擁護を進める上で「コミュニケーションを図るために時間づくり」が課題の一つであり、日課の「9時から清掃」では利用者と職員が関わる時間を有効に使うなど具体的な活動に入っています。職員参加による権利擁護に向けた多角的な視点の取り組みがうかがえます。

3.日中活動に積極的に取り組んでいます
クラブやサークル活動が活発です。クラブ・サークル活動には、将棋、カラオケ、書道、童謡唱歌、映画、園芸、手芸等があります。その他に余暇活動としては、創意工夫を凝らした作品作りの創作活動や、日光浴と外気浴を兼ねた散歩などを実施しています。クラブ活動などがない日の午後は、運動機能の低下を防止するために卓球、ストラックアウト、カーリング、ポケットボールなどのレクリエーションやADL維持を目的とした30分程度の健康体操を行っています。
昨年度カラオケは年間35回574人が参加し、健康体操は年間46回開催し延べ264人が参加しています。レクリエーション参加者は得点を積み上げると毎月表彰されることもあり、利用者の楽しみになっています。

≪努力・工夫している点≫
1.自立できる生活の実現に向けた居宅生活訓練を自主事業として行っています
地域生活への移行に向けた独自の居宅生活訓練事業を行っています。施設内の生活訓練室や調理実習室を生かした居宅体験や、施設外の賃貸マンションを活用した社会生活訓練など、個別の状況に合わせて実施しています。個別支援計画から自立度を確認しゴミ出しや調理、服薬、単独通院、金銭管理等訓練を行い自立度の向上に向けて支援しています。
利用者の意向に応じ、日中は地域活動支援センター、デイケア、作業所就労や一般就労など社会資源の活用を図っています。更に、地域情報を提供し町内会の運動会や納涼祭、美化運動など利用者の積極的な参加を促進しています。

2.利用者の身体状況に応じ適切な食事支援に努めています
栄養士、看護師及び担当職員が連携し、利用者の身体状況やアレルギー等に配慮した食事提供に努めています。食事形態としてキザミ、ごくキザミ、トロミ食及び粥食等を提供し、また、医師の指示のもとに減塩食や、高カロリー食、低カロリー食を提供しています。
年一回嗜好調査を実施し、また、食堂に食事に関する利用者意見箱を設置し食事に対する利用者の意見や要望、好みなどを把握しています。栄養士が利用者ごとの食事支援状況一覧表を作成し、口腔ケアや虫歯の状況、個々の利用者の好き嫌いなどを把握しています。利用者の状況の変化に応じ随時見直しを実施し、利用者が安全に楽しく食事ができるようにし配慮しています。
毎月選択食の日があり、7月はうな丼と天丼の選択食でした。また、行事食があり利用者は季節の味を楽しんでいます。


≪課題や改善することが期待される事項≫
1.職員育成の目標管理
個々の職員の育成を目的にした目標管理は実施されていません。目標管理シートを作成し、事業所長が定期的に職員と面談し目標の達成度を評価し、研修受講計画に反映するなど職員自己統制の目標管理の実施が期待されます。

2.利用者が主体的に関わる自治会活動
職員と利用者が月1回、全員集合し、「月例会」を開催しています。会議では、月間行事予定、施設からの報告、利用者からの要望を受け付けていますが、職員からの伝達が主になっています。利用者のエンパワーメントを引き出し、自主性を促す支援や工夫が必要と思われます。利用者が主体的に関わる自治会等の活動が期待されます。

3. 個別支援計画の目標に沿った支援の日々の実践の記録
個別支援計画の短期目標に沿った支援の実践について、日々のケース記録に明記する等の対策の工夫が望まれます。個別支援計画見直し時のモニタリング結果について、短期目標に対する日々の実践の成果の評価につなげる取組が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 @ 基本理念の冒頭に「個人の尊重」をうたい、権利擁護委員会を設置し法人全体の利用者の権利擁護に取り組んでいます。「権利擁護ガイドライン」を作成し、職員に周知し人権意識の強化を図っています。定期的に職員及び利用者に対し権利擁護に関するアンケート調査を実施しています。アンケート結果を分析し課題を明確にして対策を講じています。アンケートの職員の指摘で、トイレや浴室の外との二重仕切りのカーテンを設置した事例があります。
A 「権利擁護ガイドライン」に事業所職員の権利擁護行動指針や利用者への適切な言葉遣いについて明記されています。職員の利用者への接し方や、禁句を含む厳守事項が明示されています。法人内の権利擁護研修に管理職及び職員が出席しています。施設内の学習会でも権利擁護を取り上げ、職員会議で読み合わせを行うなど複数回に渡る取り組みをしています。人権侵害については「就業規則や権利擁護ガイドライン」「懲戒処分の基準に関する要綱」に取り上げ、日常的に不適切な対応をしないように職員に周知しています。
B 「個人情報保護規程」及び「個人情報に関する誓約書」を整備し、個人情報の開示、提供、漏洩、及び目的外に使用しないことを明示しています。また、「法人権利擁護行動指針」にプライバシー保護と守秘義務が謳われています。ボランティアや実習生に対して「ボランティア受け入れ規約」「活動留意事項」「実習中に知りえた個人情報の秘密保持について」の書面を用いて説明し注意を喚起しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 @ 利用開始時及び個別支援計画の見直しに合せてアセスメントを実施し、利用者一人ひとりの支援ニーズを把握しています。アセスメントは所定の書式の入力シートを用いて、担当職員が利用者に面談し実施しています。健康医療に関する項目、日常生活に関する項目、コミュニケーションに関する項目、社会生活に関する項目について確認し、現在の状況と本人の希望・要望を詳細に把握し明記しています。また、利用者支援における相談事や身体状況の変化について、日々の申し送りミーティングや月2回実施のケース会議で話し合い、利用者支援ニーズの把握に努めています。
A クラブやサークル活動は活発です。年間行事計画を参考にして、利用者が参加しやすいようにスケジュールを調整し、次月のクラブ・サークル活動の月間予定表を作成しています。クラブ・サークル活動には、将棋、カラオケ、書道、童謡唱歌、映画、園芸、手芸等があります。その他に余暇活動としては、創意工夫を凝らした作品作りの創作活動や、日光浴と外気浴を兼ねた散歩などを実施しています。毎月実施の月例会で利用者の意見や要望を聞き、クラブやサークル活動、レクリエーション等の活動に利用者が積極的に参加するように努めています。
B 清掃や洗濯、入浴など日常生活の行動に対して、職員は利用者の主体性を尊重し利用者と職員の間で合意した必要最小限の支援を行うようにしています。食事自助具や車いす、歩行器、杖など、生活と活動の範囲が広がるよう利用者と話し合いながら支援しています。日々の観察の気づきはケース記録に記載し、看護師や栄養士と協議し情報共有を図っています。
C 個別支援計画に基づいて本人の自立度に合わせ、地域生活移行への移行計画を策定しています。薬の自己管理やゴミ出し、入浴時間、金銭管理など各人の状況に合わせた生活全般の訓練を行っています。居宅生活訓練事業では、調理など生活訓練室を生かした施設内訓練、賃貸マンションでの金銭管理を含めた施設外の訓練など地域移行に向け、個々の利用者の状況に合わせた訓練を行っています。更に、地域情報を提供し、町内会の運動会や納涼祭、美化運動など利用者に参加を呼び掛け、地域住民としての意識の強化を図っています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 @ 事故対応マニュアルを整備し、事故発生時の救急や止血、転倒事故、誤薬等の緊急時の対応について明記しています。ヒヤリハット報告の仕組みを整備し、事故防止に力を入れています。ケース会議でヒヤリハット報告の内容を分析し、原因と対策を明確にしています。事故・ヒヤリハット事例集を作成し、事故のリスクレベルに応じた対応について明示し、安心・安全なサービスの提供に努めています。また、法人の医務衛生委員会が中心となり、法人全体の感染症予防に取り組んでいます。感染症マニュアルを整備し、マニュアルの内容が施設内で共有できているかをアンケート方式で確認しています。
A 防災管理規程、非常災害対策計画を作成し災害時の利用者・家族及び職員連絡先一覧を整備し、災害発生に備えています。火災・総合避難訓練を年3回実施し、また、水防訓練を年1回実施しています。避難訓練は夜間を想定し宿直職員と警備職員のみの災害時の対応について確認します。総合避難訓練は、地域の消防署の協力を得ています。また、心肺蘇生やAED訓練等の救命救急処置訓練を避難訓練に合わせて実施しています。平成30年から水害や津波を想定した水防訓練を実施しています。
B 「苦情解決ガイドライン」を策定し、苦情の受付・対応・解決・報告及び苦情解決体制を整備しています。施設の入り口には「ご意見・苦情受付箱」を設置し、4階食堂前には「給食に関するご意見箱」を設置しています。4階の掲示板には法人及び施設の「苦情・相談受付の案内」を掲示し、解決責任者、受付者を明示し利用者に周知しています。
4 地域との交流・連携 @ 地区社会福祉協議会主催の「地域福祉施設懇談会」に参加し、また、年1回、地域の福祉関係事業所が集まり、事業所の業務内容等について話し合い情報交換を図っています。地域への救護施設としての当施設の理解を深めています。多くの地域住民が参加し「聖風苑祭り」を実施しています。昨年度は総勢200人ほどが参加しました。バザー、模擬店、野菜販売などを行う中で、地域のニーズの把握に努め、地域の人たちに施設運営の状況を理解してもらえるように努めています。
A 地域の人たちに参加を呼び掛け、施設の運営状況を理解してもらうことを目的に、11月に地域聖風苑祭りを開催しています。今年8月に地域の高校生がボランティアとして参加し吹奏楽を披露しています。バザーや模擬店、野菜の販売等工夫をこらし地域交流を推進し、昨年度は総勢200人ほどが参加しました。また、地域貢献活動の一環として公園の清掃等の町内会の美化運動に参加し、地域の人たちとの交流を図っています。川崎区の社会福祉協議会開催の地域福祉懇談会では施設の会議室を開放しています。
B ボランティア委員会を立ち上げ、「ボランティアの受け入れ手引き」を作成し、地域との関係づくりを目標に日常活動ボランティアや一芸ボランティア等の受け入れを行っています。昨年度は、理容・美容ボランティア、将棋サークル、童謡唱歌サークル、腹話術の会など延べ47人のボランティアが施設を訪問し、また、近隣の高校の吹奏楽、地域の保育園との交流会など多数の、生徒や園児が施設を訪問し利用者との交流の機会をもちました。長年続いているボランティアに対して法人として表彰を行っています。また、川崎市社会福祉協議会ボランティア功労者として表彰されています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 @ 人材育成のための研修を充実しています。研修計画が策定されており、法人研修では階層別研修、他部署研修、安全衛生研修があります。施設内研修では救命、救急研修、入職時業務研修があります。外部研修としては、新人職員やリーダー職員に向けたグローイングアカデミー研修(サービス業向け研修)、救護施設協議会関係研修があり、積極的に参加しています。全ての研修において「振り返りシート」に目的および振り返りを記載し、所属長のコメントを貰っています。
A 法人の中・長期計画、第5次3か年(2019年〜2021年)実行計画を策定しています。計画には、「権利擁護への取り組み」「サービスの質の向上」「人材確保・育成と定着に向けた取組」「コンプ ライアンス(法令遵守)の徹底」「健全な財務規律の確立」を目標に掲げています。法人の中・長期計画の実践にむけて施設の事業計画を策定しています。今年度事業計画に、利用者一人ひとりを尊重し、その人らしい豊かな生活の実現に努めることを明記し、居宅生活訓練事業や聖風苑祭り等の取り組みを通して、救護施設のサービス支援の方向性を踏まえたサービス拡大や地域ネットワークの構築に取り組んでいます。
B 事業所長は事業所内を回って利用者の声を受け止めるようにしています。平日は毎日ラジオ体操に参加し、利用者に参加を促し世間話をして、利用者が気軽に何でも話しができる雰囲気づくりに努めています。また、基本理念の実践に向けた職員の心構えを明示し、職員会議で読み合わせを行い職員の理念実践に向けた意識の強化を図っています。昨年度から任意事業として居宅生活訓練事業を開始し、救護施設に求められる地域移行に向けた事業展開を図っています。
6 職員の資質向上の促進 @ 人材育成のための研修は充実しています。研修計画が策定されており、法人研修では階層別研修、他部署研修、安全衛生研修があります。施設内研修では救命、救急研修、入職時業務研修があります。外部研修としては、新人職員やリーダー職員に向けたグローイングアカデミー研修(サービス業向け研修)、救護施設協議会関係研修があり、積極的に参加しています。全ての研修において「振り返りシート」に目的および振り返りを記載し、所属長のコメントを貰っています。
A 全国救護施設協議会や関東地区救護施設協議会によるサービス向上を目指した研修会が毎年開催されており、中堅以上の職員が参加しています。また、実践研究発表会では、工夫・改善した良いサービス事例を職員が学んでいます。施設内では外部の理学療法士や心理士による個々の利用者への支援技術を学んでいます。しかし、個々の職員の育成を目的にした目標管理は実施されていません。目標管理シートを作成し、事業所長が定期的に職員と面談し目標の達成度を評価し、研修受講計画に反映するなど職員自己統制の目標管理の実施が期待されます。
B 職員評価シートには経験・能力、習熟度に応じた役割が期待水準として明確に記載されています。施設内業務分担表が整備され、生活班、活動班、地域支援班の支援事項ごとに役割分担が明示され、責任者と担当職員が明示されています。職員が自由に無記名でパソコン上に意見を寄せることのできるご意見箱が設置されており、業務改善提案や要望、意見を書き込めるようになっています。サービス改善の提案については職員間で情報を共有し、サービス改善の意欲の向上につなげています。

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