かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

しらゆり中原保育園

対象事業所名 しらゆり中原保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人しらゆり福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 211 - 0053
中原区上小田中6-51-7
tel:044-982-9045
設立年月日 2015(平成27)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年11月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地および概要
 しらゆり中原保育園は、平成27年4月1日に開設されました。JR南武線武蔵中原駅より徒歩10分の住宅地にあります。6階建てマンションの1〜3階を園舎としています。現在1〜5歳児クラスの子ども58名(定員60名)が在籍しています。園の前には用水路があり、水量も豊富で、水草や植物が生えています。近隣に、多くの公園があり、戸外活動に利用しています。設置法人は社会福祉法人しらゆり福祉会で、系列の保育園が川崎市内に当園を含め3園、宮崎県に1園あります。
 
・特徴 
 設置法人統一の理念は、「社会・地域が求める質の高い福祉サービスを提供し、利用者が心身ともに健やかに育成されるように地域福祉の推進に寄与する」としています。しらゆり中原保育園の保育理念は「子ども一人ひとりを大切にし、子どもと保護者から信頼され、地域に愛される保育園を目指す」としています。専門講師による「体育遊び」「英語遊び」のプログラムや園外活動を積極的に行っています。

【特に優れていると思われる点】

1.子どもの育ちの連続性を大切にした保育
 園と家庭の生活や、子どもの育ちの連続性を大切にしています。個別連絡ノート(3〜5歳児クラスでもほぼ全員利用)、朝の受け入れ時の「確認リスト」で家庭での様子を把握し、その子どもに見合った対応をしています。「事故・疾病ファイル」は一人一人の入園前から現在に至る疾病やケガなどの連続した記録で、一目で把握ができます。個別月間指導計画表は、6か月分が一枚になっており、「ねらい」「実際の姿」「保育者の働きかけ」「評価」などの各項目は子どもの育ちの連続性の視点を持って、記録することを心がけています。

2.全職員が連携して保育に取り組む姿勢 
 職種に関わらず全職員が連携を取り、毎週開催の職員会議、毎朝のミーティングで業務内容や課題について、常に問題意識をもって話し合い、周知を徹底しています。1〜3階に保育室が分かれており、コミュニケーションを密にとることを心がけています。職員同士で声を掛けあったり、お互いに相談したり、園長・主任の助言を得ています。仕事に責任を持ち、長期的にキャリアを積み上げていく事を意識して、保育や、園内の部会(行事、研修、環境整備、運動安全、保健、給食)活動を積極的に行っています。

3.子どもの生きる力を育てる保育活動の工夫
 保育方針を「知・情・意・体の調和した人間として、生きる力を育てるための保育を行う」としています。散歩や戸外活動を積極的に行い、十分に自然に触れたり、地域住民と交流しています。「体育遊び」や毎日の保育室(2階、3階)への階段上り下り、雑巾がけ、活動の準備片付けを友達と協力して行うなど自然に身体が鍛えられています。行事や文化を、友だちと一緒に味わったり、動植物の観察や世話をしたり、日常の保育活動中の「英語遊び」を楽しんでいます。生活や遊びから様々な経験ができるよう、保育活動を工夫しています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】

1.子どもが主体的に活動できる環境構成の工夫
 年齢、発達に応じたおもちゃ、素材などを豊富に用意していますが、一部を除き、倉庫や廊下の置き場所に保管しており、職員が数種類準備したり、子どもから要望のあった物を提供しています。それぞれの子どもの興味に応じて、遊びこめる環境とは言えません。室内の構造上の制約もありますが、子どもが主体的に遊びに取り組めるように、おもちゃや教材を子どもの目に触れるように配置したり、自分で自由に取り出し、落ち着いて遊べるようなコーナー作りなど環境構成の工夫が期待されます。

2.中長期計画と事業計画の策定
 理念や保育方針の実現に向け、運営の改善や日常業務の効率化などから、幅広く課題を抽出して中・長期計画(ビジョン)を策定し、着実な計画の実行・見直しに取り組むことが期待されます。また、中・長期計画を実現するため、職員が参加して単年度の事業計画を策定し実行することと、保護者にも事業計画を説明して理解と協力を得ることが期待されます。

3.キャリアパスを見据えた体系的な個別研修計画の作成
園内研修、園外研修、国のキャリアパス制度に基づくキャリアアップ研修などを計画的に実施していますが、職員一人一人の個別研修計画は作成されていません。キャリアパスを見据え、職員の経験、習熟度に応じた体系的な年間個別研修計画を作成し、実施していくことが期待されます。 

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・おもちゃ類は廊下のラックなどに収納し、収納できないものは倉庫などで保管して、職員が数種類のおもちゃを準備したり、子どもが希望するものを用意したりしています。一斉活動をしたくない子どもは見学でもよく、散歩先では子供がやりたい遊びができるよう援助するなど子どもの気持ちに寄り添った保育をしています。

・出席簿は生年月日順とし、遊びやグループ分けなども性別にはしていません。

・「虐待防止マニュアル」を作成し、職員会議で職員に周知するとともに、重要事項説明書に「虐待等防止のための措置」項目を設け、保護者にも園の取り組み姿勢を説明しています。登園時や着替え時に子どもの様子を観察して変化がないか把握し、虐待の早期発見に努めています。

・「個人情報保護規程」を作成して個人情報の取り扱いを明記し、個人情報に関わる書類は鍵のかかる書庫で保管し、園外への持ち出しを禁止しています。職員には、入職時に個人情報保護やプライバシー保護について説明し、また園外で園内での話や子ども・保護者の名前を出したりすることのないよう周知するなどプライバシー保護に取り組んでいます。

・入園のしおりの「年齢別の子どもの保育目標」の中に、「子どもの“自分で”という気持ちを認め、見守って援助を行います」「意欲を持って取り組む気持ちを大切にして、できたことを褒めながら心の安定や自信につながるように援助します」「保育者は子どもの気持ちを受け止め、安心して活動できるように援助します」など職員の具体的な行動目標を記載し、実践しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・送迎時の会話、懇談会、連絡ノートの記述、個人面談などで保護者の満足度を把握していますが、利用者満足に関する定期的なアンケートなどは行っていません。

・入園前個人面談で配付する「重要事項説明書」に、園の相談受付担当者・苦情解決責任者、第三者委員の連絡先、園内掲示物「ご意見、ご解決のための仕組みについて」に、第三者委員、かながわ福祉サービス適正化委員会の連絡先を記載するとともに、意見箱を設置して、保護者が相談や意見を述べやすい環境を整えています。

・苦情解決について、「重要事項説明書」を保護者に配付し説明するとともに、苦情解決の流れや連絡先を記載して園内に掲示しています。「苦情解決規程」があり、意見や要望のあった保護者には、検討した結果や対応策をフィードバックしています。検討に時間がかかる場合には、進捗状況を伝えています。

・子どもには、ゆっくりと分かりやすい言葉づかいで話をし、子どもにとって「分かりやすいとはどういうことか」「具体的に示しているか」などを職員間で確認しあうこともあります。子どもの気持ちをよく聞き取り、要求を把握するように心がけ、子ども一人一人の個性を尊重し対応するようにしています。

・おもちゃ類は豊富に用意されていますが、一部を除き自由に取り出せるようにはなっていません。

・特別な配慮が必要な子どもは、中原区保育総合支援担当、川崎市中央療育センターの助言を受ける体制となっています。

・子どもの年齢、発達状況に合わせ、保護者と連携して、基本的生活習慣が身につくようにしています。年齢が上がるにつれ、活動の準備や片付け(例、食後の片付け、周囲の食べこぼしなどの始末、午睡のベッド移動など)を自ら進んで行い、友達とも協力してできるよう援助しています。

・子どもには、手洗い、うがいの習慣が身につくように援助しています。年齢・発達に応じて、遊びや活動前、戸外活動時に、注意点やルールを伝えています。看護師が子どもに熱中症・感染症の予防法の話をしています。職員は園内外、散歩コース、公園などの危険個所の確認と安全面について話し合いをし、年齢に応じた散歩の行先、遊び方に留意しています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・園のパンフレット、設置法人や川崎市のホームページに、園の利用条件、概要などの情報を掲載しています。

・サービス内容を具体的に記載した「入園のしおり」「重要事項説明書」を入園希望説明会、入園前個人面談時に配付し、サービス内容、延長保育利用料、食事代などを説明しています。「慣れ保育(短時間から始めて、子どもが段階的に環境に慣れるようにする期間)」は9日を目途に少しずつしています。

・・心身の発達状況は、1、2歳児クラスは個人別の「保育経過記録(5領域)」に毎月、3〜5歳児クラスは「保育経過記録」に3か月毎記録しています。また、「事故・疾病ファイル」を作成し、クラスごとに、一人一人の入園前から現在に至るまでの身体状況、ケガ、疾病などを記載しています。

・各クラスの担当職員が年間指導計画、月間指導計画、週案、食育計画を、看護師が保健計画を作成し、主任が確認しています。各指導計画は、看護師、栄養士、場合により川崎市中央療育センター、中原区役所保健福祉センターの助言を取り入れ、子どもの意向も把握して策定しています。各計画に評価反省欄を設け、振り返りと見直しを行い、毎週の職員会議、カリキュラム会議で各計画のねらいの変更などを行っています。

・子どもの状況に関する情報は、「伝達ノート」に記入して職員間で引き継ぎを行い共有しています。また、毎朝ミーティングを行い、伝達事項、クラスの予定などを職員間で確認し合っています。

・「しらゆり中原保育園統一事項」に日常保育の基本事項、手順を定めているほか、「危機管理マニュアル」「事故予防対応マニュアル」「苦情解決規程」「個人情報保護規程」「虐待防止マニュアル」があり、健康管理、アレルギー対応については川崎市作成の「健康管理マニュアル」を活用しています。職員には入職時や年度末の新年度に向けての職員会議で再確認を行っています。

・園に「環境整備部」「運動安全部」を設置し、定期的に園周辺や駐輪場の整備、園内の点検整備を行うとともに、備品類保管・安全点検や、毎月の避難訓練を行っています。また、各部会で園内外の安全や、災害時の対応などについて検討し、職員会議で経過報告や実施計画の説明、討議を行っています。

・災害に備えて、子ども用ロッカーは作り付け、高い棚の物入には落下防止テープを使用、室内用大型遊具・重量のあるものなどは使用時以外は倉庫にしまっています。119通報、緊急連絡先はリストにし、電話のそばおよび園内に掲示するとともに、保護者には、災害時安否確認ができるアプリケーションソフトにアドレス登録をしてもらい、パスワードを伝えています。また、毎月、火災・地震・水害を想定した避難訓練を実施し、立地条件を考慮して多摩川氾濫を想定した訓練や避難場所の宮内小学校までの移動訓練なども行っています。

4 地域との交流・連携

・園の情報は、園のパンフレット、設置法人および園のホームページに掲載しています。また、川崎市主催保育園の作品展に出店して、会場で園のパンフレットを配付したり、園の写真を掲示したりしています。

・夏祭り、運動会や発表会などの行事の際には、地域の方々も参加できるよう、ホームページやチラシで告知しています。また、見学に来た保護者に対して電話による告知を行い、子育て悩み相談を開催しています。

・ボランティアの受け入れに関する基本姿勢を明文化したものやマニュアルはありません。

・中原区認可保育園園長会、幼保小連絡会などに参加して地域の保育関係情報の収集に努めています。系列園と協働して交通安全教室を行ったり、子どもの不安軽減のために近隣小学校に1年生を訪問して交流したりしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・理念「子ども一人ひとりを大切にし、子どもと保護者から信頼され、地域に愛される保育園を目指す」や基本方針は、子どもの人権を尊重し子どもの最善の利益を考慮したもので、園の考え方や目指す方向性が理解できるものになっています。

・保育理念、保育方針、年齢別の子どもの保育目標などは、入園のしおりに詳しい説明を記載し、保護者の理解がより深まるように工夫をしています。

・中長期計画として目標は掲げられていますが、計画の期間が定められておらず、また職員会議の中で組織体制、設備の整備や職員体制の確認、人材育成についての討議なども行われていますが、課題や問題点は明確ではなく、その解決に向けての中長期の具体的な内容になっていません。中長期計画を踏まえた事業計画は作成されていません。

・「職務分担表」に園長・主任の職務分担が明記され、園長は、トップダウンで物事を進めることは極力控え、職員からの意見を積極的に取り入れるとともに、保護者から苦情や意見があった場合には、職員会議などで内容の把握、対策の協議を行い、その場で対応方針を決め、職員に具体的な取り組みを指示しています。また、園長は職員に運営参加意識を持たせるべく全職員が参加する保育活動推進組織(行事部・研修部など)を設け、主任は研修部の責任者として、園内研修の計画・実践、食育推進、デイリープログラムの改善など保育の質の向上に取り組んでいます。

・職員は全員年2回自己評価を行い、園も年1回自己評価を行って結果を設置法人のホームページに掲載しています。第三者評価は園開設4年目で初回の受審です。

・園長は中原区園長会・中原区幼保小連絡会や川崎市主催各種説明会への出席、園見学や園見学者に対する育児相談、中原区役所との情報交換を通して、保育や社会福祉事業全体の動向、地域の潜在的利用者数や保育ニーズの把握を行っています。

6 職員の資質向上の促進

・保育士は正規職員のみを採用し、職員は川崎市「保育所職員配置基準」に基づき、保育士と看護師をキャリアや希望を考慮して配置しています。園長は、職員体制の状況を検討して職員が不足する場合は、早い段階から採用活動を行っています。

・「就業規則」に服務規律や守秘義務、「個人情報保護規程」に個人情報に関する基本方針や個人情報の取り扱い方法を記載し、職員会議で再確認しています。保育の様子を写真に撮る場合は、園のデジタルカメラのみを使用し、職員がスマートフォンを保育室に持ち込む場合のルールも定めています。

・責任体制を明確にしたうえで実習生を受け入れていますが、実習生受け入れについてのマニュアルなどは整備されていません。

・園が職員に求める基本姿勢や意識は、入園のしおりの「保育理念」や「年齢別の子どもの保育目標」の説明の中に具体的にわかりやすく明示されています。また、「社会福祉法人しらゆり福祉会 職員十カ条」にも明示され、職員室に掲示するとともに職員会議で随時再確認しています。

・園長は、日常の保育業務、自己評価、個別面談などで職員の技術水準や知識を把握し、園内研修や国のキャリアパス制度に基づくキャリアアップ研修などを計画的に実施していますが、職員一人一人の個別研修計画は作成されていません。

・園長は、職員の有給休暇の取得状況、時間外労働の状況などを毎月把握・分析し、改善策を職員会議などで検討しています。職員の時間外労働を極力生じさせないような勤務体制や小さな子どもを抱えた職員が働きやすい勤務体制などの工夫も行っていますが、職員がカウンセラーなどの専門家に相談できる体制はありません。

・全国健康保険協会の「ほいくのほけん」に加入し、希望者は健康診断の際に専門相談を受けることができたり、借上住居支援制度による家賃補助などを行っていますが、総合的な福利厚生事業は実施していません。職員の身近な悩み相談窓口は園長・主任で、随時面談を行い、話を聞いたりアドバイスを行ったりしています。

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