かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

わかたけ作業所(2回目受審)

対象事業所名 わかたけ作業所(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人育桜福祉会
対象サービス 障害分野 生活介護・就労継続支援
事業所住所等 〒 213 - 0032
高津区久地2丁目15番11号
tel:044-811-1900
設立年月日 1981(昭和56)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年10月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
  わかたけ作業所は、東急田園都市線二子新地駅から徒歩15分程度の閑静な住宅街にあります。すぐ近くを多摩川が流れています。1981年4月に社会福祉法人育桜福祉会が開設した生活介護と就労継続支援B型事業の障害者福祉サービス事業所です。2019年5月現在、生活介護の利用者は45人で平均年齢44.4歳、その78%は療育手帳A区分の利用者です。就労継続支援B型は11人で平均年齢40歳、54%が療育手帳?区分の利用者です。川崎市最初の通所授産施設として開設した経緯があり、「障害者の働ける場所」としての施設運営をコンセプトにして現在に至っています。
  育桜福祉会は、川崎市全域に10の障害者通所施設、13の障害者グループホームを運営し、他に相談支援センターなど36か所の障害向け福祉サービス事業所を展開しています。利用者の数は全体で550名に及び川崎市を代表する社会福祉法人の一つです。法人の基本方針に、「利用者が喜怒哀楽を思う存分、自由に、表現できる心豊かな生活を目指し、支援します」を掲げています。利用者一人ひとりが主役となり、尊厳を持った生き方ができるように支援しています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○工賃の向上に取り組み、働ける場所としての障害者施設を実現しています
 就労継続支援B型事業は、利用者ごとに工賃の目標額を設定し、隣接企業との長年の協力関係の中で、安定した作業の継続に努めてきました。各種のキットパス製品、チョーク製品の加工や包装、ラインパウダーの袋詰めなどの仕事が主体です。作業ごとに標準化された作業方法と点検方法が確立されています。利用者は関係企業先に出向いて作業に取り組みます。2018年度の利用者一人あたりの工賃は平均4万8千円で、県内施設で7番目の支給額でした。作業開拓担当者を配置し、安定的な日中作業の確保に努めています。

○生活介護利用者の描いた絵をデザインした自主製品の製作に取り組んでいます
 利用者が描いた絵のデザインを取り入れ、タオルなどに業務用ミシンによる刺繍を入れて施設の自主製品として販売しています。お客の希望に応じて名前を入れるサービスも行います。利用者の絵のデザインを増やし、製品化を進めています。利用者は自主製品の糸切りやたたんで袋に詰める作業を行います。記念艦三笠や川崎マリエン等で販売するとともに、利用者が「高津区健康福祉祭り」「ふくシティ高津」「川崎産SUNフェスティバル」等の販売会に積極的に参加し、自分たちが作った製品を販売しています。

○障害者の社会人としての権利擁護に努め、利用者の意思決定を支援しています
 職員は、一人ひとりの障害特性に配慮し、利用者の社会人としての権利擁護に努めています。利用者ニーズを的確に受け止め、障害者支援の専門職として支援につなげるようにしています。利用者の意思決定を支援し、わかりやすく説明し、選択肢を提示します。わずかでも作業の効率化や品質改善の利用者の気づきを大切にし、利用者の「やりたい」気持ちを汲んで不足を補います。個別支援計画を説明する際にも、読み上げるのではなく、かみ砕いて伝え、「やりたい」「続けたい」の利用者の意思決定を大切にしています。

《事業者が課題としている点》
1)工賃の維持
2)家庭基盤の不安定を成年後見制度の利用やグループホームを利用するなどのサービス調整
3)高工賃の維持をしながら就職者を出していく


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  職員は、一人ひとりの障害特性に配慮し利用者の社会人としての権利擁護に努めています。利用者ニーズを的確に受け止め、障害者支援の専門職として支援につなげるようにしています。利用者の意思決定を支援し、わかりやすい説明に努め、選択肢を提示します。わずかでも作業の効率化や品質改善についての利用者の気づきを大切に、利用者の「やりたい」気持ちを汲んで不足を補います。「話をしたい」という利用者の申し出に職員は可能な限り即時対応に努め、面談室以外でもできるだけ機会を作るよう心がけています。
 虐待に関する研修を毎年行い、人権意識の強化を図り虐待防止の早期発見に努め、情報の伝達や集約のルールを決め、漏れや不適切な対応が無いようにしています。家庭での暴力行為等が懸念される時も利用者の様子や声かけで確認し、関係機関と連携し対応に努めています。契約時に法人のプライバシーポリシーや個人情報保護規定を説明し、利用者・保護者の同意の署名をもらっています。広報誌の写真等はその都度口頭で了解をもらい、また、外部関係機関と個人情報の共有が必要な際には連絡帳で利用者・保護者了解を得ています。
 利用者は身体的自立度が高く作業能力も高いので、言語コミュニケーションが有効です。発語が苦手な利用者もいますが、職員は丁寧な声かけを心がけ、わかりやすく説明し、ジェスチャー等で利用者の意向を確認します。失禁等があった場合でも他者にわからないように誘導し、着替えてもらいます。障害特性から集中力が途切れたり、怒りっぽくなる利用者もいますが、それぞれに対応しています。担当職員が問題を一人で抱え込むのではなく、職員間で情報を共有し、また、保護者や関係機関と連携し統一した支援ができるように努めています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 職員は、サークル活動やグループ外出、旅行、行事等の終了後に感想を尋ね利用者の意向を把握しています。日々の帰りの職員打ち合わせで各フロアの声を持ち寄り、利用者が一日を満足して過ごせたかを職員間で確認し、情報共有を図っています。アンケートの実施等満足度向上に向けた仕組みの整備は今後の課題です。利用者の作業に取り組む時の思いや意向を尊重し、積極的に作業の現場でそれを活かすことで、利用者の満足感の一層の向上につながることが期待されます。
 自治会があり、選挙で選出された4名の役員が利用者の意見をまとめています。毎年立候補があり利用者が選挙管理委員会を設置します。月2回の自治会の話題は概ね行事の役割や内容に関することです。役員会には職員も参加し、自治意識と利用者の意思決定を支援しています。決定事項の全員への周知は昼食時の食堂で行います。役員の顔写真付きで自治会の決定事項を掲示しています。利用者と職員が事業所での対等な働く仲間であるとの意識から、利用者の提言で、職員も含めた利用者歓送迎会を実施しました。
 職員は利用者の障害特性を理解し、常に工夫を凝らしわかりやすく簡潔な言葉で利用者とのコミュニケーションを図ることを心がけています。大多数の利用者は言語での意思の疎通が可能で、大事なことを話す時や意思確認の際は、声のトーンを低くし短い言葉で伝えます。写真や絵カード等を用いてイメージしやすい工夫をしています。理解は出来るが発信が難しい利用者は表情やジェスチャーから読み取ります。個別支援計画を説明する際にも、かみ砕いて伝え、「やりたい」「続けたい」の利用者の意思決定を大切にしています。


3 サービスマネジメントシステムの確立  新しく施設のパンフレットを作成しました。文字を大きくしイラストや写真を用いて、生活介護と就労継続支援B型事業の一日のスケジュール、各種の行事や利用者が頑張って作っている自主製品などをわかりやすい言葉で説明しています。施設の利用に際しては見学し実習を体験してもらい、利用者が施設のサービス内容をよく理解できるように配慮しています。「福祉サービス利用契約ガイド」を作成し、全てルビをふり障害者に優しい記述で施設利用の約束事を説明しています。
 「生活支援システム」を活用し、個別支援計画を策定しています。個別支援計画に利用者本人の夢や希望を明記しサービス支援の目標を設定し、領域ごとにアセスメントの内容と関連付けて利用者支援の課題を定めています。また、課題ごとに具体的な支援内容を明記し、優先順位をつけて支援しています。計画の実践状況を半年ごとに評価し、モニタリング記録を記載して計画の見直しに反映しています。そのほか利用者の状況の変化に応じて見直しを行っています。見直しの結果は本人・保護者に説明し、同意の署名をもらっています。
 危機対応マニュアルを整備して法人としての危機管理の理念を明示し、災害や防犯、医療的事故及び感染症や食中毒等の緊急時のリアルタイムの対応について規定しています。また、施設全体の安全確認と災害発生時の安全対策を推進しています。火災や地震の発生を想定した避難訓練を毎月実施し、加えて消防署の協力のもとに災害時の消火・通報・避難等の総合訓練を年に2回実施しています。そのほか大規模地震発生時の対応マニュアルを整備して緊急時の職員の対応を明記し、利用者及び職員の安全確保に努めています。
4 地域との交流・連携

 町会等への会議室の貸し出しや「わかたけ祭り」の案内を周辺の掲示板・新聞の折り込みチラシで広報し、利用者の通勤時の近隣の方との挨拶などは施設や利用者への理解を深める機会になっています。夏休みには特別支援学校生徒に向けた一日体験を行っています。2年生を対象に2校14名が保護者同伴で利用者と同様に過ごし、進路の参考にしています。中学校の職業体験や一般の見学等も受け入れ、障害者や施設を知ってもらう機会にしています。
 川崎市障害福祉施設事業協会、市社会福祉協議会、県社会福祉協議会施設部会等に定期的に参画し、活動しています。施設長は、「手をつなぐ体育祭」の実行委員や広報委員を務め、就労センター、「かながわ工賃アップ推進プラン」の優良企業表彰、民生委員との連携など各種会議の中で役割を担っています。地域での横のつながりを保ち地域での支え合いを推進しています。地域の高齢化の中で市の「地域生活支援SOSかわさき事業」での一役を担うなど障害者施設としての特性を活かし、障害者支援のネットワークの活動を推進しています。
 一般就労にこだわらず、利用者が自身の年金と賃金で地域での生活を支えられる仕事の提供と確保を目的にしています。交通手段、作業の成果物の納品や自主製品の販売等の活動場所、サークル活動等での地域資源の活用等地域と密に接しているので、良好な関係を築く努力を通して地域の障害者福祉の啓発につなげています。


5 運営上の透明性の確保と継続性

 ホームページに法人の基本方針を掲載しています。基本方針の冒頭に「心の風景を自由に表現できるキャンバスの創造を目指して」と明示し、また、「障害を持つ人、一人ひとりを大切にし、思いや願いに対し、その実現を図るべく個々に合致した支援・援助を展開します」「地域に居住する障害をもつ人に、障害状況や年齢、疾病、経済環境に関係なく、だれでもが安心して暮らせる地域生活を柱とした福祉サービスを展開します」など8項目の基本方針を掲げて、法人としての施設運営の基本姿勢を示しています。
 法人策定の中期計画の実現に向けた、施設の事業計画を作成しています。わかたけ作業所職務分掌表を作成し、職務ごとに担当職員を配置し「分掌年間計画」作成します。平成31年度は、虐待防止、苦情、等の運営管理、企画、研修、防災、併用・健康管理、生活支援、作業支援等24の業務について前年度の実績を踏まえて、年間計画を作成しています。年度末の2月に計画の実践の状況を踏まえ、事業計画の成果を評価し、法人の中期計画との整合を図り次年度の事業計画を策定しています。
 虐待防止や利用者の苦情対応及び事故防止の推進担当として、施設長自らが先頭に立ち活動しています。虐待防止委員会を開催し、虐待防止対応規程に則って障害者の虐待防止の具体的対応を行い、職員の人権意識の強化と徹底を図っています。事業計画に、職員が費用対効果の視点でコスト意識を高く持ち率先してコスト削減に取り組むことを明記しています。照明は全てLEDに切り換え節電に努めています。作業担当支援員を中心に経費削減と効率化・品質管理を徹底し、より利用者に高く収益の還元ができるよう努めています。


6 職員の資質向上の促進  事業計画に職員の心構えを明記し、利用者一人ひとりの障害特性と個別ニーズを受け止め、専門職として、また、組織人として仕事に誠意を持ち自己研鑽に励むことを明示しています。研修計画を整備し必要な人材の育成に努めています。障害者福祉に取り組む法人としての人材の確保、育成、定着を図り、「人財」とすることに力を入れています。職員のキャリアアップ形成を図り、長く安心して勤められる職場環境の整備に努めています。
 個々の利用者の障害特性を理解し、高齢化による身体状況等の変化に応じて、利用者が作業に取り組みやすい他者との関係性の構築や環境整備を必要としています。今年度は自閉症、虐待、リーダーシップ、工賃アップに関する研修受講を計画しています。管理職は、利用者支援の現場で求められ職員の役割は何かを見極め、そのために必要な研修を職員が受けられるように配慮しています。職員の目標管理を推進しています。組織目標を踏まえ個々の職員の利用者支援の専門性の習得などを目標にしています
 人材の定着が事業計画の重点目標の一つに上がっています。3年以上勤務の職員に異動等の希望に関する面談の機会が設けられています。希望があれば施設長は随時職員の面談の要望に応えています。職員は有給休暇を年5日以上取得しています。家庭状況で小さい子どもの病気など気がかりな場合は、時間休を含め休める職場環境です。職員同士が働きやすいよう協力し合い、安心して就業に集中することができます。職員は残業を強いられることもなく働きやすい職務環境といえます。

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