かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

白楊園(2回目受審)

対象事業所名 白楊園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 育桜福祉会
対象サービス 障害分野 生活介護・就労継続支援
事業所住所等 〒 211 - 0024
中原区西加瀬10番3号
tel:044-422-0018
設立年月日 1986(昭和61)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年10月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
  白楊園は、東横線元住吉駅から徒歩で10分程の閑静な住宅街にあります。昭和61年に社会福祉法人育桜福祉会が開設した生活介護事業所(定員65人)、就労継続支援B型事業所(定員15人)の障害福祉サービス事業所です。利用者一人ひとりの個別ニーズに応じた日中活動プログラムにより、その人らしい個性を尊重した支援に努めています。また、利用者の生産活動を通して社会的自立に必要な知識と能力の向上を目指し、就業意欲の向上と社会性の向上を目的とした支援に努めています。
  育桜福祉会は、川崎市全域に10の障害者通所施設、13の障害者グループホームを運営し、他に相談支援センターなど36か所の障害向け福祉サービス事業所を展開しています。利用者の数は全体で550名に及び川崎市を代表する社会福祉法人の一つです。法人の基本方針に、「利用者が喜怒哀楽を思う存分、自由に、表現できる心豊かな生活を目指し、支援します」を掲げています。利用者一人ひとりが主役となり、尊厳を持った生き方ができるように支援しています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○地域と連携し、障害者への理解と共生社会の実現を目指し利用者の社会参加を推進しています
 事業所は、川崎市障害福祉施設事業協会主催の障害への理解・共生を意識し、ともに手をつなぐことを目的とした「手をつなぐフェスティバル」の実行委員として積極的に活動しています。フェスティバルは、市内の障害者、家族、ボランティア、地域住民等多くの市民が参加します。ともに手をつなぐことを目的に、福祉施設の手作り製品の販売や市民団体の音楽、会場を回って楽しむスタンプラリーなど多数の催し物でにぎわいます。障害を持つ利用者が販売を通して社会との交流を図ります。白楊園は幹事事業所として販売会の運営に努めます。

○工賃の向上を図り、利用者の働く喜びを支援しています
 就労継続支援B型事業の日中作業の主体はクリーニング業務です。旅館や川崎市環境局、保育園等の作業服、タオル、シーツ等を洗濯し、たたんでプレスし梱包して請負先に納品します。職員は、障害特性に応じて利用者の希望を尊重し、効率よく仕事ができるよう配慮します。安定した作業量と日々の作業工程の効率化を進め、工賃の向上につなげています。前年度の工賃は月額平均18,860円で、最高額は36,025円でした。工賃規程を説明するとともに、工賃の算定基準を掲示し、利用者が自身の工賃を算定できるようにしています。

○職員は利用者の個性を尊重し、エンパワーメントの強化に努めています
 利用者が職員の用意する作業を待つのでは無く、作業を細分化して利用者に出来る作業を任せることを心がけています。治具を工夫し、自主的に出来るきっかけを提供し、「明日もやりたい」「私もやりたい」気持ちを引き出すようにしています。個別支援計画に基づき利用者一人ひとりの個性を尊重し、利用者がもつ力を引き出せるよう、利用者がそれぞれの役割を持って意欲的に行動するように支援しています。個々の作業だけでなくチームで助け合い成し遂げ、一人ひとりの役割を認め合うことを大切にしています。

《事業者が課題としている点》
・業務上のコミュニケーションの活発化、情報交換・共有の習慣化。
・各セクションの中心職員(チーフ・リーダー)の育成


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重  法人の基本方針に「利用者が喜怒哀楽を思う存分、自由に表現できる心豊かな生活をめざし支援すること」「利用者一人ひとりを大切にし、思いや願いの実現に向け個々に合致した支援・援助を展開すること」を掲げています。支援内容や活動内容の選択場面では、必ず利用者の意思を確認しています。職員はその日のやりたい作業を本人に確認し、意欲を持って取り組めるようにしています。グループ活動では利用者の意見を集約して、プログラムを作ります。利用者の意思を尊重し、無理強いしないことを念頭に置いて支援しています。
「虐待防止と意思決定支援〜意思を表明することが難しい利用者の権利擁護を考える」などの外部研修や法人の階層別研修で人権意識の理解を深め、研修の成果を事業所内で共有しています。虐待防止委員会を立ち上げ虐待防止対応規程を整備し、職員会議で障害者虐待防止法や合理的配慮に関する問題を取り上げ人権擁護に関する職員の意識を高めています。
 朝から利用者の気持ちが沈んでいるような様子の時には、職員はゆっくりと話を聞くように心がけています。言いたい人、話したくない人など、本人の思いに配慮し、気持ちに寄り添います。家庭での出来事は連絡帳で確認します。利用者のプライバシーや羞恥心に配慮し、他の利用者に聞かれないようにして、他職員に話すときには本人の了解を得るようにしています。また、思いの表出が困難な利用者の気持ちのくみ取ることのほか、職員は障害支援の専門職としての適切なかかわりができるスキルの向上に努めています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 神奈川県社会福祉協議会の福祉サービス利用者満足度調査を行い、利用者本人や家族と職員のかかわり、日常生活支援サービスなどへの意向を確認しました。また、調査結果を踏まえて、生活介護プログラムの充実を図ることにしています。生活委員会、作業委員会、虐待防止委員会では、それぞれに活動内容や利用者の意向を次年度の活動計画に反映しています。事業計画の重点目標として生活介護では日中活動の充実、就労継続支援B型事業では利用者の責任感に対する意識向上や経験の拡大を掲げ、サービス向上への取り組みを推進しています。
 自治会を毎月開催しています。利用者の意向や思いがサービス支援に反映されるよう各作業室で事前に話し合います。利用者全員が自治会のメンバーとして意見を述べる機会を体験できるよう配慮しています。利用者が主体的に自治会の運営ができるように職員が支援します。自治会で話し合った内容は「ポプラ新聞」に掲載し、玄関に掲示して利用者全員に周知しています。自治会でまとまった食事の要望やリクエストメニューについては厨房と調整し迅速な対応に努めています。
 利用者が職員の用意する作業を待つのでは無く、作業を細分化してその利用者に出来る作業を任せることを心がけています。治具を工夫し、自主的に出来るきっかけを提供し、「明日もやりたい」「私もやりたい」気持ちを引き出すようにし、エンパワーメント(利用者がもともと持っているが活かせていない力や能力を有効に活用できるよう促すこと)の強化に努めています。職員は、利用者がそれぞれの役割を持って意欲的に行動するように支援しています。個々の作業だけでなく、チームで助け合って成し遂げで、一人ひとりの役割を認め合うことを大切にしています。


3 サービスマネジメントシステムの確立  施設の利用開始に際しては、先ず施設を見学してもらい、利用者に1週間から1か月間の体験実習をしてもらいます。実習期間を通して利用者はやりたい仕事を実感し、また、工賃に不満はないかなどを確認して施設利用を決定します。職員は、契約書や重要事項説明書の内容を利用者や保護者に丁寧に説明し、同意の署名をもらっています。契約締結に際し事前に「調査表」の記述を利用者・保護者に依頼し、利用者の健康状況、食事、排泄、移動等の生活状況、医療的ケアの必要性や主治医などについて把握しています。
 個別支援計画は半年ごとに見直しをしています。パソコンを活用し「支援システム」を導入し、アセスメント、課題整理、支援計画策定、モニタリングのケアマネジメントの手順に沿って支援しています。市の相談支援事業のサービス利用計画と連携し、利用者のエンパワーメントに配慮した個別支援計画を策定しています。半年ごとに個別支援計画の短期目標に沿ってモニタリングを実施しています。モニタリングシートに支援目標ごとに本人の活動の成果を明記し、サービス支援の達成状況を明示し次の個別支援計画に反映しています。
 危機対応マニュアルを整備し、法人としての危機管理の理念を明示するとともに、災害や防犯、医療的事故及び感染症や食中毒の発生など緊急時の対応について規定しています。また、ヒヤリハット・事故発生と事後対応マニュアルを整備し、重要度のレベルごとに対応内容を明示しています。防災訓練を毎月実施し、訓練計画を策定し防災訓練の目標を定めて避難の迅速化を図っています。防災訓練はフロアの出火場所等を想定し、避難開始の放送から全員が避難完了するまでの時間を測定し利用者の避難時間の短縮を図っています。
4 地域との交流・連携  町内会の会合に積極的に参加しています。開所時から継続して養ってきた地域との協力関係や交流の機会を大切にしています。町内の季節行事では、神社の節分行事、芋煮会や鏡割りなどに参加しています。そのほか、夏祭りに参加し、利用者も住民の一人として地域の人たちと一緒になって楽しみます。隣接のこども文化センターや老人憩いの家の職員との情報交流を図り、開催日にはトイレを開放し、テーブルやイス等物品貸し出しを行っています。また、地域のサークルに駐輪場として定期的に敷地を貸し出しています。
 自主製品の合同販売会では会場設営や物品貸し出しなどを行い、他施設とも連携し来場者と交流の機会を作っています。「手をつなぐフェスティバル」への参加は事業所全体の行事として地域住民、近隣事業所、学校、関係機関と連携し盛大に開催しています。フェスティバルは、市内の障害者、家族、ボランティア、地域住民等多くの市民が参加し、ともに手をつなぐことを目的に手作り製品の販売など多数の催し物でにぎわいます。障害を持つ利用者が自主製品の販売活動やスポーツを通して社会との交流を図ります。
 地域の課題として、障害者の多様な潜在的ニーズに応える施設がない、必要な人に福祉の手が及んでいないという実態を感じており、地域と施設のかかわりを通して相互に情報を共有し、課題解決に向けた情報発信に努めています。利用者も家族も高齢化の傾向にあり、ともに支援が必要な状況です。近隣の小学校での夏祭りへの参加や交流会、職場体験などかつて実施できていたことが実施されなくなった状況があります。地域との交流や福祉サービスの理解などにつなげられるよう地域福祉の活性化に向けて取り組んでいます。
5 運営上の透明性の確保と継続性 法人の基本方針をホームページに掲載しています。冒頭に「心の風景を自由に表現できるキャンバスの創造を目指して」とうたい、「障害を持つ人、一人ひとりを大切にし、思いや願いに対し、その実現を図るべく個々に合致した支援・援助を展開します」など8項目を掲げて法人としての施設運営の基本姿勢を示しています。施設長は、朝・夕の職員ミーティングで、福祉サービスに関する職員の心の持ち方やチームとしての取り組みについて説明し、日々の利用者支援が基本方針に沿ったものになっているか、職員に注意を喚起しています。
 法人では中・長期計画を踏まえた事業計画を策定し、この事業計画を受けて施設事業計画の重点運営項目を定めています。2019年度は、各作業室が連携し安定した日中作業の受注につなげることや利用者の個々の役割と仕事への責任感の意識向上等を事業の重点運営項目としました。事業計画は、企画や安全管理、生活支援、援助関係、健康管理のほか、各種委員会等施設の分掌ごとに担当職員などについても記載し、年度末に分掌ごとの活動の成果を評価し事業計画に反映しています。事業計画を全職員に配付し、全体職員会議で説明し周知しています。
 目標管理制度の実施によって、利用者サービスの質の向上に取り組んでいます。年度ごとに事業所としての組織目標を定めています。2019年度は「充実した障害福祉サービスを提供するためにチームワークを向上させる」「所定の労働時間内で業務をすすめる」など4項目を組織目標としました。パソコンを活用した「支援システム」の導入や、チームワークにより職員相互の連携強化など
で業務の効率化を図っています。時間外労働はほとんどなく、職員はコスト意識を持ち、利用者の施設利用の稼働率の向上を図り、また、消耗品の節約などに努めています。
6 職員の資質向上の促進  法人の法令遵守に係る業務管理体制整備規程や職員行動規範を整備し、コンプライアンス研修を実施し、遵守すべき法令等について職員に周知しています。施設長は、日々のミーティングで福祉にかかわる他事業所の不祥事等をとりあげ、職員に注意を喚起しています。職員配置や欠員への人員補充など法人と役割を分担し推進しています。職員の求人についてもインターネットを活用し、派遣会社と連携するとともに、実習生やインターンシップの受け入れなどを行って、福祉の仕事や事業所の魅力を伝えていますが応募は厳しい状況です。
 経験に応じた法人主催の年次研修の体系があります。今年度の外部研修ではアンガーマネジメントや自閉症に関する研修に注目し、また、「こう考えてみよう!問題行動」「支援で大切にしていること」等の研修テーマで知的障害、発達障害者支援の専門性の向上を図っています。栄養士や看護師の専門分野研修に力を入れ、また、クリーニング師等の資格取得を支援しています。「職員行動計画」を掲示し、ニーズに対応する温かみのある支援を実践できる人材、丁寧に利用者にかかわることが出来る人材の育成を図っています。
 毎年法人の意向調査を実施して職員の就業状況を確認し、職員が休暇を取りやすい雰囲気作りを大切にしています。有給休暇、夏休み、日々の休憩時間の取得に努め、残業は極力発生しないようにしています。育児休暇や時間短縮には法人からの補充があり、長く勤めることの積み重ねが居心地の良い職場につながるようにしています。内科定期健診、生活習慣病予防健診、ストレスチェック等実施しています。法人の衛生委員会が中心となり、利用者支援の現場の状況について産業医に相談し、就労環境が健全に保てるよう努めています。

詳細評価(PDF943KB)へリンク