かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

中川小桜愛児園

対象事業所名 中川小桜愛児園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 小桜会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 224 - 0001
都筑区中川1-1-1ふれあい中川4階
tel:045-500-9581
設立年月日 2009(平成21)年08月01日
公表年月 2019(令和元)年09月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
 中川小桜愛児園は、横浜市営地下鉄線グリーンライン「中川」駅のビルの4階にある、2009年8月開所の社会福祉法人小桜会が運営している私立保育園です。近くには自然豊かな公園があり、散歩コースに恵まれています。保育目標に「健康で明るく元気な子」「心の豊かな子」「よく考え工夫する子」を掲げ、豊かな人間性を育てる保育を進めています。1〜5歳児が対象で、定員は90名、開園時間は、平日7時から20時、土曜日7時から18時です。1、2歳児クラスでは生活習慣が身につくことを大切に考え、3〜5歳児クラスでは日常の保育や行事の実施において子どもたちの主体性を大切にし、社会性を身につけることができるような環境作りをしています。地域の子育て支援として、園庭開放や育児相談、子育て交流会、子育て講演会、一時保育などを行っています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○子どもの自主性、主体性、自発性を大切にする保育を行っています
 園で大切にしているものは「基本的人権の尊重」「利用者の視点に立ったサービス」「多文化のもとでの共生」です。職員は担当するクラスだけでなくすべての子どもに積極的にかかわり、保護者と連携し、子どものいいところをたくさん伝え、保護者が迷っているときは悩みを聞いたり、アドバイスをしたりします。子どもたちが興味や関心を持ったことを大切にしながら、子どもの自主性、主体性、自発性を尊重する保育を行っています。園長は「子どもの幸せが一番大切」であると考え、折に触れて職員を啓発しています。職員も子ども一人一人にていねいに接し、子どもが気づきや発見、考えを発言できる環境を作り、やりたい気持ちに寄り添い、一緒に活動できる環境を整えています。子どもたちは恵まれた環境の中で伸び伸びと生活し、遊びを楽しんでいます。

○キャリアパスに応じて計画的な研修を行うほか、実践研究を通じて保育の質向上に取り組んでいます
 法人ではキャリアパスを構築し、階層に応じた職員像(仕事グレード基準概要)と期待水準(職務基準書)が示されています。園ではこれに応じて、年度初めに研修計画を作成しています。同じ研修を月2回開催し、職員はどちらかに参加することで、受講にばらつきが生じないようにしています。合わせて講義録を音声で残し、必要時に確認できるよう工夫し、研修成果を実践に生かすよう取り組んでいます。さらに職員は外部研修に参加するほか、法人の他園と合同で、年齢ごとのクラス担任が交流して研修や実践研究を行うなど、個人、全体の保育の質向上に向けて取り組んでいます。

○全職員が全園児と保護者を理解しようと心がけることを通してアットホームな環境が作られています
 保育目標である「健康で明るく元気な子」「心の豊かな子」「よく考え工夫する子」を実現するため、保育環境を工夫しています。ホールは広く、体操や自由遊びなど思い切り体を動かして遊ぶことができます。保育室は、カーテンや敷物などを工夫しまるでおうちにいるような寛げる空間となっています。感性を育てるため、リトミック、絵本の読み聞かせやわらべ歌も取り入れています。子どもの自主性を尊重し、子ども自身がよく考えて工夫できるような保育を心がけています。また、職員も環境の一環としてとらえ、年度初めに人権の研修を行い、会議やミーティングにおいて気になることについて話し合い、子どもとの信頼関係を作っています。全職員が全園児と保護者を理解しようと心がけることを通してアットホームな環境が作られています。

《事業者が課題としている点》
 正規雇用職員の雇用率の増加や、園庭の整備、保育環境の設定を課題としています。園庭は4階のため、排水、日よけ、風、砂ぼこり対策を行っていますが、さらに、表面のゴムクッションの修復や補強を考えています。また、子どもが主体的に遊べて、危険のない環境作りとして、キッチンコーナーや運動コーナーなど各年齢に合ったコーナーを設定したり、子どもが好きなおもちゃを選んで出して、自分で片付けられるようにしています。今後は、おもちゃの種類を増やしたり、机上遊びを充実させようと考えています。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

 中川小桜愛児園の保育理念などは法人共通で、理念は「一人ひとりを大切にした健やかな育成」、基本方針は「豊かな人間性を育める保育や環境の創造」となっています。理念や方針は共通ですが、保育目標はそれぞれの園が独自に決めています。園では子どもが一番大切であるという考え方を軸に、基本的人権の尊重、利用者の視点に立ったサービス、多文化の中での共生を大切にしていこうと考えています。職員は年度末の話し合いのなかで、基本方針を確認します。保育の理念や基本方針は明文化され、保護者に周知するとともに、入園までの説明会でも話します。職員は基本方針に沿って、子どもと向き合いながら理念や方針を保育に生かしています。
 職員が子どもを呼ぶときは、ちゃん、さん、くんなど子どもが呼んでほしい呼称をつけて呼んでいます。日ごろの保育活動では声のトーンに注意し、子ども一人一人を尊重し、気持ちを受け止めるように配慮しています。子ども同士のトラブルに対しては、2、3歳児くらいまでは相手がどんな気持ちかを代弁しますが、4、5歳児では見守り、仲直りのきっかけとなるような言葉かけを行っています。園長は折に触れて子どもの人権についての園内研修を行い、子どもの人権を尊重することの大切さを話しています。職員は保育の中の言動で気になることがあった時、互いに声をかけることができるような関係作りをしていこうと話し合っています。
 保育室の中に子どもが小集団で活動したり、一人になったりできるスペースを作っています。一人になりたいときは固定遊具や手作りのパーテーションで作ったコーナーで過ごすことができます。一時保育の部屋、異年齢活動の際に空いている部屋、職員室などを、職員と子どもが一対一で話し合える場所として使っています。ホールの一角に絵本コーナーを設けてあるので、子どもが絵本を読みに来ることもあります。その際には子どもが落ち着いて過ごせるように、職員同士で連携し合って子どもを見守るようにしています。おねしょをしたときはそっとトイレに連れて行き、温水シャワーで清潔にします。敷布団は水洗いと脱水をしたのち、保護者に持ち帰ってもらいます。


2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

 全体的な計画では「健康で明るく元気な子」「心の豊かな子」「よく考え工夫する子」という保育目標を基に、年齢に合った保育のねらいを設定しています。園のある建物は福祉総合ビルで、商店街や関連組織との連携もあります。利用者は核家族が多く、利用時間は8時半過ぎから18時までが多数を占めています。こうした状況を考慮し、全体的な計画は、保育時間や、子どもの発達、心身の状況、地域性、家庭の状況に配慮して、園長、副園長、経験のある職員で素案を作り、その後全職員と確認し合って加筆修正を加えました。全体的な計画は入園説明会の際に園長が保護者に説明します。また、園の出入り口に掲示して、保護者からの質問にも答えられるようにしています。
 全体的な計画に基づき、年齢ごとに指導計画を作成しています。職員は子どもたちが興味を持ったことを発展させ、広げるような環境を設定することを心がけています。絵や写真などを使って、子どもが園で活動する際の時間割や、遊びへの誘導を行っています。子どもが何をしたいのか言語化し、代弁して子どもが表現する意見や要望を読み取るようにしています。保護者に見守られ、愛されていることを感じられる保育、いいところを伸ばしていく保育、してはいけないことはしかり、善悪の区別をつけていけるようにすることを大切にしています。指導計画を作る時は子どもの気持ちをくみ取り、変化していく子どもに合わせて柔軟に変更できるようにしています。
 入園前にすべての保護者と面接しています。面接は3月に行われる入園説明会の後、いくつかのグループに分かれて職員と保護者が一対一で話し合います。中途入園の場合は園長が面接します。面接する際は「生活に関するアンケート」「入園までの生活状況」を基に保護者と子どもの様子を観察しながら聞き取りを行い、子どもの成育歴や家庭での状況を把握し、記録しています。面接終了後の職員会議で、アレルギーや障がいの有無など配慮を必要とする子どもへの対応や、クラスの運営の仕方について話し合います。新担任が旧担任と引き継ぎをする際には、新しく担当するクラスだけでなく、入園する子どもについても周知ができるようにしています。


3 サービスマネジメントシステムの確立

 短縮保育は、入園説明会で保護者に5日間が目処であると伝え、保護者の希望に合わせて柔軟に対応するようにしています。1歳の新入園児のクラスでは緩やかな担当制を敷いて、授乳、オムツ替え、午睡などは個別指導計画を作成する職員が一対一で対応しています。子どもが心理的によりどころとする物の持ち込みを許していますが、おもちゃは送迎してきた保護者にそっと持ち帰ってもらっています。連絡帳は全園児にあり、1、2歳児には毎日子どもの保育園での様子を書いて、保育園と家庭での生活が無理なく引き継がれるようにしています。子どもたち全員と職員が触れ合えるようにシフトを工夫し、進級の後も子どもたちが安心して保育園に通えるように配慮しています。
 年齢ごとの年間指導計画、月間指導計画、週案があり、年間指導計画は目標、子どもの姿、行事、ねらい、内容、保育者のかかわり、環境、食育について書いています。1年は4期で構成されていますが、入園や進級など変化の多い4、5月は2か月を1期分として子どもの生活する姿をとらえ、月間指導計画と連動させています。月間指導計画は月反省の会議をクラスごとに実施する際に、職員たちが話し合って自己評価と反省にまとめ、評価と改定を行います。園長は内容を確認し、必要に応じてコメントを加えます。指導計画の評価、改定をする際は、保護者との送迎時の会話や連絡帳のやりとり、個人面談の内容をクラスで把握し、月反省の会議で話し合っています。
 一人一人の子どもの保育所児童保育要録、保育経過記録、児童票などがあり、子どもの発達や状況を記録し、クラスごとにまとめています。入園時、進級時には家庭状況調査票を配付し、保護者に記入してもらいます。発達記録や経過記録については職員会議で共有するとともに、月反省で子どもの様子を報告し合っています。記録は決まった場所に保管し、全職員が閲覧できるようにしています。進級時には保育経過記録を基に現担任と新担任が引き継ぎを行い、内容をノートに記録します。必要に応じて転園先の保育所などに、重要な申し送り事項は周知します。また、毎年3月1日に卒園児の保育所児童保育要録を進学予定の小学校に簡易書留で郵送しています。


4 地域との交流・連携 一時保育や園庭開放、園の子どもと一緒に遊ぶ「子育て交流」、都筑区の保育園が協働して行う「ほいくえん広場」、散歩で訪れる公園での未就園の親子との交流など、さまざまな交流の機会を通じて、地域の保育ニーズの把握に努めています。特に一時保育や子育て交流では、初回の顔合わせが大切と考え、名前と顔を覚えることから始まり、関係作りに重点を置いたうえで子育て相談に取り組んでいます。さらに、このような保育ニーズは職員会議で共有し、園の運営や次の企画に反映するよう努めています。また、ほいくえん広場では、地域の保育ニーズに応じて運営を検討するなど、地域の保育関係者と協働して取り組んでいます。
 園では、園庭開放や一時保育、子育て交流などを行うほか、専門講師による体操教室、服薬の講演会、歯磨き講演会、職員による「わらべうた」「運動遊び」などを開催し、園の保護者や、地域の未就園の親子に対する子育て支援活動に取り組んでいます。活動が円滑に進み、参加した保護者に満足してもらえるよう、年度当初に担当者を決めて、定期に会合をもって内容を検討しています。さらに広く参加者を募るため、職員が作成した開催案内のちらしを郵便局やケアプラザなどに掲示してもらうほか、園のホームページで伝えるなど、広報活動にも積極的に取り組んでいます。
 園のホームページには、園だより、ブログ、献立表、給食だよりなどの情報をアップし、園の保護者や未就園家庭を対象に、子育ての参考になる情報の提供に努めています。特に園だよりでは、毎回、職員や関係者が勧める絵本紹介コーナーもあり、保護者の絵本選定に役立っています。また、ホームページには、一時保育の案内や、園庭開放、子育て交流のコーナーを設け、内容をわかりやすく伝え、希望者の閲覧の利便に配慮しています。育児相談は随時行っていますが、相談しやすい環境作りのためにも、相談日を明示して取り組まれることを期待します。
5 運営上の透明性の確保と継続性

 園のホームページでは、保育目標、年間行事、入所のご案内、一日の流れ、一時保育、お便りなどの情報を提供するとともに、紙で情報を活用したい方のため、パンフレットなどをダウンロードできるようにし、閲覧者の利便に配慮しています。さらに写真入りのブログを随時更新するなど、最新の情報を提供するよう努めています。また、ケアプラザにパンフレットを置いてもらうほか、横浜市や県が運営する保育園紹介サイトに情報を提供し、保護者が園の保育情報にアクセスしやすいよう配慮しています。見学者を積極的に受け入れ、保護者が知りたい情報をわかりやすく伝えるよう努めています。また、玄関に職員紹介パネルを掲示し、サービス提供体制の見える化などにも努めています。
 保育士の自己評価は、9月の中間評価と、3月の最終評価の、年2回行っています。自己評価にあたっては、園長が個人面談を行い、個々の職員の評価を支援するよう努めています。さらに、1月の最終評価を行った後、職員会議では、個々の評価結果や年間指導計画の評価結果を踏まえながら、園における課題を明らかにするよう、全員で協議しています。園長は、職員会議で抽出した課題をもとに、全体的な計画や次期の年間指導計画に反映するとともに、園の自己評価にまとめています。年度末には、玄関に掲示して評価結果を公表し、保育の質の向上に向けた、園の取り組みに対する保護者の理解を得るよう努めています。
 年度当初、各クラス2名の保護者に父母の会の役員をお願いしています。父母の会は、保護者の自主的な園の支援活動組織としての役割があります。父母の会では役員会、全体懇談会で協議を行っていますが、会議には園長も参加して、報告や提案を行うほか、園の運営における重要な意思決定においては、父母の会の意見を聞くよう努めています。さらに保育参観の感想や個人面談での意見を集約するなど、さまざまな機会を通じて保護者の意見を収集し、運営に反映するよう努めています。また、給食会議を月に1回開催し、栄養士と保育士が連携して献立について検討しています。このほか法人他園の職員とチームを編成し、研修や実践研究活動にも取り組んでいます。


6 職員の資質向上の促進 園長は、現行のサービス水準を維持できないと判断した時、必要な人材の補充に努めています。法人ではキャリアパスが構築され、階層ごとに求められる習得目標が示されています。これに応じて個人別の研修計画が年度初めに作成され、必要な外部研修に職員を派遣し、個人ごとに資質向上に努めています。さらに前期、後期に園長面談により自己評価、目標達成評価を行い、業務とともに自己研鑽の振り返りを行い、次期につなげるよう取り組んでいます。園内研修計画では、園が重視しているリトミックを中心に、人権、嘔吐処理、救急処置のほか、保育実践にかかわるテーマに応じた研修内容を設定し、全体の保育水準の向上と、個人の自己研鑽を後押しするよう取り組んでいます。
 研修担当は副園長で、年度初めに研修計画を作成しています。同じ研修を月2回開催し、どちらかに参加することで、受講にばらつきか生じないようにしています。あわせて講義録を音声で残し、必要時に確認できるよう工夫しています。園長は全国の事業者団体の人材育成の委員を務め、政策提言の活動に参加するほか、そこで得た情報を園の研修に反映するよう努めています。職員は外部研修に参加するほか、法人の他園と合同で、同年齢のクラス担任が交流して研修を行う機会を確保しています。職員は他園の取り組みに刺激を受け、いっそうの資質向上に努める良い機会となっています。さらに研修参加者は報告書を作成して振り返りを行うとともに、会議で報告し、研修成果の共有に努めています。
 業務マニュアルの「実習生の受け入れについて」の項では、実習指導を保育士の成長機会とし、日ごろの保育の見直しや次世代の保育士を育てる意義などを伝え、職員に周知しています。「乳幼児の発達の理解」を基本的考えに位置づけ、この理解のために、1歳児から順に5歳児まで体験するよう、プログラムに工夫をしています。実習前には園だより、掲示などを通じて、保護者には実習の意義を理解してもらうよう努めています。実習中は実習担当者が場面ごとの実習生の対応を分析し、必要な助言を行っています。実習前には指導教員と情報交換するほか、実習指導の質の向上のため、横浜市主催の実習指導者研修に参加するほか、園内研修を開催し、指導上の技術の向上に努めています。

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