かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

多摩川の里身体障害者福祉会館

対象事業所名 多摩川の里身体障害者福祉会館
経営主体(法人等) 社会福祉法人 川崎市社会福祉事業団
対象サービス 障害分野 生活介護他
事業所住所等 〒 214 - 0012
多摩区中野島6-13-5
tel:044-935-1359
設立年月日 1993(平成5)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年10月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 学研データサービス
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

《施設の概要》
  川崎市多摩川の里身体障害者福祉会館は、南武線中野島駅から徒歩5分の閑静な住宅街にあります。平成5年4月に社会福祉法人川崎市社会福祉事業団が開設した、身体障害者福祉センターB型(定員100人)と日中活動系サービス生活介護(定員20人)の事業所です。今回評価対象事業は、生活介護事業所「日中活動系サービス(作業室なかのしま)」で、令和元年7月現在の利用者数は27人です。利用者の内訳は、現在支援区分6が20人、身体障害者手帳1級の所持者が20人、療育手帳A1が13人で、先天性の重症心身障碍者や事故による高次脳機能障害等最重度の重複障害者を多く受け入れています。また、人口呼吸器や胃瘻など医療的ケアが必要な利用者も受け入れています。
  法人の基本理念に「充実したサービスの提供」「地域に根差した施設運営」「職員の資質能力の向上」「法人の経営基盤の整備」を掲げています。法人は川崎市を代表する福祉サービス事業者として、誰もが地域社会において安心して快適な生活を営める福祉社会作りを目指しています。一人ひとりの命が大切にされ、尊厳が守られる「共生社会」の実現を目指しています。

《特に優れている点・力を入れている点》
○職員は、利用者の意思決定を尊重し、やる気を尊重した支援に努めています
 日常において利用者の意欲が高まるように、「利用者一人ひとりが輝ける支援」を目指しています。職員は可能な限り選択や決定のあり方に配慮しながら利用者の意思決定に寄り添っています。アセスメントや利用者・家族の意見を基に、年間プログラムを立てています。利用者は機能訓練や日中活動への意欲が高く、日課を実施する際にもプログラムごとに「やりますか」と尋ねます。「いやだ」との返事でも「見ていてください」と伝えると、参加する気になったりします。利用者の関心を引き寄せ、やる気につながるよう促しています。

○利用者は楽しみながら機能訓練に励んでいます
 利用者の機能訓練に力を入れています。理学療法士の指導の下に利用者一人ひとりの訓練プログラムを整備しています。医師や理学療法士の指示を受けて、看護師が機能訓練の手順書を写真を用いてわかりやすく明示しています。手順書は利用者の心身の状況変化に応じて随時見直しをします。「訓練経過記録表」を作成し、半年ごとに訓練の結果を評価し、手順書の見直しを行います。また、ボウリングや紙芝居、ビンゴなどレクリエーションに訓練的要素を取り入れ、利用者は楽しみながら意欲的に取り組んでいます。


○人事管理トータルシステムに取り組み、業績や職員の育成と連動した人材マネジメントを実施しています
 法人の職務基準を整備し、階層別の期待される職員像を明示しています。職員が個々に自分の役割を理解し、担当業務を遂行する責任と役割を明確にしています。新規採用、2〜4年の新任、中堅等段階を追って、社会人として、組織人として、また、専門職としての目標が設定されています。人事考課制度を整備し法人全体で人事管理トータルシステムに取り組み、業績や職員の育成と連動した人材マネジメントを実施しています。

《事業者が課題としている点》
・適切な人員の確保。
・静養スペースの十分な確保。
・対人コミュニケーションスキルのさらなる向上。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 今年度の重点目標に意思決定支援に対する取り組みを掲げています。利用者の障害特性やライフステージに合わせたサービスを提供する中で、可能な限り選択や決定のあり方に配慮しながら利用者の意思決定に寄り添い、主体的に参加できるように工夫をして支援しています。利用者は機能訓練や日中活動への意欲が高く、日課を実施する際にもプログラム毎に「やりますか」と尋ねます。最初は「いやだ」と言う利用者も「見ていてください」と誘うと、参加する気持ちに変化したりします。関心を引き寄せ、やる気につながるよう促しています。
 事業報告や事業計画の作成を通して、利用者尊重についての職員の意識や目標の共有化を図っています。外部研修で「意思決定支援と虐待防止に関する研修」「障害者虐待防止法の視点から日々の支援を考える」等を受講し、職員会議で伝達研修を行って職員の共通理解に努めています。職員は人権チェックリストを毎年活用し、前年との違いや他職員から見ての自身の人権意識をチェックし、気づきを得るようにしています。
 毎週利用者に配付するチラシ「HARMONY」を作成しています。献立と近況の写真や予定などを掲載しています。季刊紙、法人ホームページ、SNSなどを活用し障害者に生き生きとした笑顔があることを伝えています。写真の掲載等は、契約時やその都度利用者の了解を得ています。音楽活動では講師のプログラム作成の資料として、本人の同意を得てビデオ撮影をしています。音に敏感な利用者の環境では音量調節を行うなど、利用者が負担に思わない環境設定を心がけています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 毎年10月頃に利用者満足度調査を行っています。利用者全員が毎日の利用ではないため、行事への参加ができない場合があります。外出行事は複数実施で可能な日に、年1回の行事は前年と異なる曜日を設定しできるだけ多くの利用者が参加できるように配慮しています。利用者の入浴回数は月に3〜4回です。入浴の希望が多くなり、現状の職員配置で安全面の対応が困難な状況がありますが、可能な範囲で対応することを家族会で説明しています。障害者相談支援センターに連絡し、他の在宅サービス等を利用するなどの対策を講じています。
 職員は、利用者の相談や意見には館内の空室を利用して個別に対応し、「面談記録」及び「ケース記録」に記録しています。対応には、利用者の状態に応じて絵や写真、文字盤等コミュニケーションツールを活用しています。支援計画の作成や見直しに向けた面談時にも利用者の思いを聞き取るようにし、利用者ができることを大切にし、将来のことを見据えて支援目標を提示しています。「朝の会」「帰りの会」で話し合い、また、「利用者の時間」ではジュースを飲みながら話し合いリラックスできる工夫もしています。
 職員は、重度の利用者にはコミュニケーションボードや絵文字・絵カードを用いて、本人の表情に注意を払い、本人が安心できるように一日のスケジュールやカレンダーの予定を繰り返し説明しています。職員は、好きなことや趣味などについて声をかけ、なるべく言葉で話し返事をもらうことを心がけています。利用者主体の活動を尊重し、その日の取り組みの気持ちを確認し、出来る事を基本に行事内容も一緒に考え、利用者の思いに沿って活動内容を組み立てます。行事には利用者の意見を反映し、夏祭りなど季節感のある行事にしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立  年1回、所定のアセスメントシートを用いて利用者の身体・障害・ADL(日常生活動作)状況、コミュニケーション能力等の支援ニーズを確認し、介助の具体的方法や注意点について明記しています。アセスメントや年2回のモニタリングの結果、ケース記録等を検討し、個別支援計画の見直しを実施し、また、状況の変化に応じて随時見直しています。個別支援計画には利用者本人や家族の希望を明記し、長期・短期の支援目標を明記しています。個別支援計画を本人・家族に説明し同意の署名をもらっています。
 「利用者個別対応一覧表」を作成し、支援の統一性を図っています。利用者一人ひとりの障害特性に配慮した食事、移動、訓練、散歩、レクリエーション等について支援内容を明記しています。また、理学療法士による機能訓練プログラムを写真付きでわかりやすく説明した手順書を整備しています。職員は「訓練経過記録」で訓練の成果を確認し、随時支援プログラムの見直しを実施しています。業務マニュアルには、食事支援や送迎支援等のほか、緊急時の対応支援に関する利用者とのかかわり方の基本姿勢を示し、職員に周知しています。
 緊急時対応マニュアル、感染症対応マニュアル、送迎マニュアルを整備し、事故発生時の対応をフローで説明し、緊急時の対応に備えています。リスクマネジメントマニュアルを整備し、事故の未然防止の指針を明記しリスクに対する食事や入浴、送迎等に関する業務マニュアルの見直しを図っています。併設の特養と合同で防火防災対策委員会を開催し、年2回、防災訓練を実施しています。そのほか、緊急時の緊急連絡表を整備しています。また、多摩直下型地震等の災害時を想定した「事業継続基本計画書」を策定しています。
4 地域との交流・連携  ホームページを通して、施設の事業内容や利用者の活動を地域に伝えています。昨年は季刊紙「作業室なかのしま」を2回発行し、町会、関係施設、行政等に送付し、季節行事の様子を伝えています。近隣の小学校を対象に夏休み福祉交流学習を開催し数校から参加があり、生徒たちは会館で手話やアイマスク、朗読を学習したり、車椅子を体験したりしています。また、ゲームなどを通して利用者との交流を図っています。秋には4年生の福祉学習で職員が講師を務めています。「パサージュ・たま」や「多摩ふれあいまつり」等で作品販売をしています。
 町会と隣接の特別養護老人ホームの3団体合同で「多摩川の里フェスティバル」を開催しています。地域の方のフリーマーケット、手作り品販売、模擬店を行い、他施設も一緒に参加します。会館では手話等講座を開催し、参加者はエントランスで利用者との交流やボランティアとしても活動しています。ボランティアは昨年度延べ185名、継続的に食事介助や活動等に参加があり利用者とも良い関係を作っています。
 家族の高齢化の傾向の中で、在宅生活全般について総合的に支援することが必要になっています。地域住民との関わりを増やし、地域で暮らしている実感を得られる共生社会を目指しています。利用者は月1〜2回地域清掃でゴミ拾いを行い、地域の人と挨拶を交わします。会館の利用者を通して情報を収集し、地域の人たちと一緒に出来る活動を模索しています。小学生への講習会や作品販売、住民との「多摩川の里フェスティバル」など、SNS等を活用し、施設の活動を紹介し障害者福祉の普及啓発に努めています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 「充実した質の高いサービスの提供」「地域に根差した施設運営」「人材の確保、定着・育成」「法人の経営基盤の整備」を法人の基本理念に掲げています。基本理念の実践に向けて具体的な行動指針を明示し、法人の基本方針をホームページに掲載しています。職員会議で法人の基本理念や事業所の方針である「生活介護においては利用者の尊厳と意思を尊重し、意思決定支援を進めるとともに、何らかの役割を持ち、日常に置いて利用者の意欲が高まるよう利用者一人ひとりが輝ける支援を目指すこと」を説明し、全職員に周知しています。
 法人の「中・長期計画(平成31年度〜令和10年度)」が策定され、中・長期の方向性と新たな計画の対応、5年間の取り組みについて詳細に示されています。「地域貢献の充実」「災害対策」「利用者本位の確立(権利擁護)」など16項目の新たな取り組みについて明記しています。中・長期計画を踏まえて、事業計画を策定しています。事業計画の重点目標に「意思決定支援に対する取組」を掲げて、利用者の権利擁護の強化を図っています。年度末に活動の成果を職員会議で検討し、次年度の事業計画に反映しています。
 業務分掌に館長及び全職員の役割と担当業務を明記し全職員に周知しています。また、職員の職務遂行の報告・連絡・相談の強化を図っています。個々の職員の目標管理制度を推進しています。職員は毎年6月に目標管理シートを作成し、共通業務と固有業務のチーム目標・個人目標を明記し、また、能力開発目標を明記し、管理者と職員の面談を行い達成度を評価しています。新任職員にはDO-CAPシート(業務管理シート)を用いて成果をチェックするとともに次の取り組みについて本人と上司で情報共有し、職員の育成を図っています。

6 職員の資質向上の促進 法人の職務基準を整備し階層別の期待される職員像を明示しています。職員が個々に自分の役割を理解し、担当業務を遂行する責任と役割を明確にしています。新規採用、2〜4年の新任、中堅など、段階を追って、社会人として、組織人として、また、専門職としての目標が設定されています。人事考課制度を整備し、法人全体で人事管理トータルシステムに取り組み、育成や業績と連動した人材マネジメントを実施しています。
 昨年度外部研修の受講者は28名、内部研修92名でした。内部伝達研修は全員が取り組み、全体職員会議で発表し、共通認識を図ります。昨年度はリハビリ、てんかん、スヌーズレン、自閉症など利用者の理解や支援につながる研修と権利擁護や記録、気づき、チームビルディング等の職員の育成につながる研修に力を入れました。今年度の事業計画に外部研修で障害に合わせた介護技術、コミュニケーション能力向上、利用者の権利擁護に重点を置き、介護技術と虐待防止法等制度にかかわるものを選び、伝達研修を行うことにしています。
 年2回の人事管理トータルシステムの上司面接時に職員の職務環境に関する意向の把握に努めています。家庭状況に配慮し、随時休暇取得について調整しています。有給休暇は9月に中間チェックし、取得の声かけをしています。リフレッシュ休暇や育児休暇の取得にも配慮しています。健康診断を6月から10月に行い、チェックシートを用いた腰痛健診やストレスチェックを行い、産業医の職場巡視ではチェックシートとの齟齬がないか確認し改善のアドバイスを受けています。

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