かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

保育園小紅

対象事業所名 保育園小紅
経営主体(法人等) 一般社団法人 横浜華僑小紅の会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 231 - 0024
中区吉浜町2-67
tel:045-641-9531
設立年月日 1967年04月01日
公表年月 2019(令和元)年09月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
保育園小紅は、JR京浜東北線石川町駅北口に面した学校法人横浜山手中華学園の1階にある認可乳児保育所です。駅前にあり、園舎は日当たりがよく、明るく広々としています。広いウッドテラスがあり、片隅では野菜や花を育てていて、夏には子どもたちがプール遊びを楽しんでいます。
保育園小紅は、1967年4月に華僑の女性によって設立された園児3名の「小紅託児所」を前身とする歴史ある保育園です。1997年7月に横浜保育室として認定され、「保育園小紅」と改名し、2017年4月に認可乳児保育所となり、現在の地に移転し開園しました。「小紅」(シャオホン)という名は、「小さくとも元気でキラキラ輝く子であれ」という保護者の思いが込められています。運営法人は、一般社団法人横浜華僑小紅の会です。
定員は33人(0歳児〜2歳児)、開園時間は、平日(月曜日〜金曜日)は7時半〜19時半、土曜日は7時半〜18時半です。
保育理念は、「子ども、保護者、職員がともに育つことを大切に地域に根ざした保育を行います」「午前中、乳児は外気浴、幼児は体を使い外で思いっきり遊びます」、保育目標は「中国と日本文化を継承し、遊びの中で体を鍛え国際性社会性を身につけ、感性豊かで思いやりのある子に育てます」です。

1.高く評価できる点  
● 家庭的な雰囲気の中、子どもたちは素直に自分の思いを表し、のびのびと園生活を過ごしています
 乳児に特化した定員33人の小規模な保育園で、全職員が全園児の成長を見守る家庭的な雰囲気があります。保育士は一人一人の子どもに優しく話しかけ、子どもの仕草や表情、言葉などから子どもの気持ちを把握し、寄り添っています。2歳児までのため言葉で自分の気持ちをはっきりと表現できる子どもは少ないですが、保育士は子どもの発する単語を丁寧に拾って言葉にして返して子どもの気持ちを確かめ、丁寧に応えています。このような保育士の働きかけのもと、子どもたちは素直に自分の気持ちを表情や態度、身体全体で表現し、それぞれのペースで過ごしています。 園は、雨でなければ毎日、ウッドテラスで日光浴をしたり、近くの公園に散歩にでかけたりし、外気の中で身体を動かしています。公園での子どもたちは、電車ごっこやボール遊び、追いかけっこを楽しんだり、砂でままごと遊びをしたり、虫を探したりし、皆が自分で好きな遊びを見つけることができています。公園に来ている近隣住民や他園の子どもたちとの交流もあります。食事は、中国籍の子どもが多いこともあり、食習慣の違いから食事がなかなか進まない子どもも多いですが、保育士はそれぞれのペースに合わせ、少しでも食べるように声がけしています。食事は、それぞれの家庭と連携しながら個別に対応していて、離乳食の完了食の後に軟飯を用意するなど一人一人の咀嚼力に合わせた対応をしています。また、季節の野菜を育てたり、空豆の皮むきやうどん作りなどの食育を実施し、子どもが食に興味を持ち、食の楽しみを感じられるように支援しています。 このように、子どもたちは一人一人のペースを大切にしてもらい、のびのびと園生活を楽しんでいます。
● 保育士は園理念や方針を共有し、目指す保育の実践に向けて連携しています  
 園は、全体的な計画の作成時に園理念や方針を確認して方向性を共有するとともに、職員会議や園内研修で折りに触れて取り上げ、振り返っています。月1回の園内研修では、新保育所保育指針、中国語学習会、遊びについてのグループワーク、感染症や嘔吐処理などを取り上げていて、常勤職員・非常勤職員ともに参加しています。園内研修での話し合いを基に、マニュアルの作成、見直しをしていて、職員の気づきや意見が反映された現場に即したマニュアルが整備されています。また、横浜市や中区ネットワークの研修にも積極的に参加し、園内研修で報告しています。職員は、週1回のクラス会議とリーダー会議、月1回の職員会議で一人一人の子どもの様子について話し合い、全職員が全園児の情報を共有し、いつでも誰でもが協力できる体制を築いています。会議録は回覧する、日々の申し送りや子どもの様子は連絡ノートを用いるなど、職員間で伝達漏れがないように工夫し、情報共有の徹底を図っています。このような取り組みの結果、家庭的で風通しの良い職場の雰囲気ができていて、保育士はクラス内でも子どもの様子について絶えず意見交換し、連携しています。観察時の公園でも、保育士がお互いに声を掛け合いクラスの枠を超えて子どもを見、子ども一人一人が好きな遊びができるように支援している様子を確認することができました。
● 保護者が安心して子育てができるよう支援しています
園は、保育理念に、「子ども、保護者、職員がともに育つことを大切に」を掲げ、保護者とともに子育てをしていくことを大切にしています。年2回の保護者会では、園の方針や子どもの様子を伝え、保護者の意見を聞いています。行事後には保護者アンケートを実施し、保護者の意見を翌年の行事に反映しています。朝夕の送迎時には園長を始めとして全職員が保護者に挨拶をして声をかけ、保護者が意見を言いやすい雰囲気を作っています。年1回の個人面談の他、折りに触れて面談を実施し、保護者の相談にのっています。日本語でのコミュニケーションが難しい保護者に対しては、園長や中国語が話せる保育士が対応し、保護者が安心できるようにしています。離乳食など日本の子育ての習慣についても保護者に伝え、保護者の気持ちを受け止めて悩みを聞き、日本での子育てがスムーズにいくように支援しています。このような園の姿勢は保護者の信頼につながっていて、今回の保護者アンケートの支持率の高さでも読み取ることができます。
2.独自に取り組んでいる点 
● 子どもたちが日本と中国の文化を継承できるよう、様々な取り組みをしています  
 園は、保育目標に中国と日本文化の継承を掲げ、子どもたちが双方の文化を理解できるように取り組んでいます。日常の保育は日本語で行っていますが、日常の挨拶を日本語と中国語で行ったり、中国語の歌を歌ったりしています。まだ言葉がよく伝わらない子どもには、家庭で用いている中国語の単語を用い、子どもと意思疎通をとる時もあります。また、中国の行事を祝ったり、獅子舞や龍舞などを保育に取り入れ、子どもたちが楽しみながら中国の伝統文化を学ぶ機会を作っています。
 3.工夫・改善が望まれる点 
● 今後も、園の独自性を活かした地域支援を実践されていくことが期待されます
 園は、中区の子育て支援事業であるグランマ保育園事業として絵本の貸し出しと育児相談を毎週火曜日に実施しています。また、近隣の保育園から相談を受け、言葉や風習の違いから日本の規則の理解が難しい保護者に母国語で説明するなどの支援もしています。中華街に近いという地域性もあり、子育てに困難を感じている中国を始めとする外国籍の保護者は多くおり、ニーズは高いと思われます。今後は、中国語で応じることができるという園の特性を活かし、日本での子育てに悩む地域で子育てする保護者の相談にのったり、離乳食講座など日本の育児についての育児講座を企画したりし、地域の子育て支援ニーズに応えていくことが期待されます。
● ボランティアや実習生を受け入れていくことが期待されます 
 園は、華僑関係者を始め、地域の中学校や幼稚園、保育園などと積極的に交流していますが、ボランティアを受け入れるまでには至っていません。園としてもマニュアルを整備するなど、受け入れの体制を整えています。子どもたちが様々な地域住民と交流し社会性を広げるためにも、今後はボランティアを受け入れていくことが期待されます。また、実習生についてもマニュアルなどを整備し、受け入れる姿勢はあるものの、受け入れについては今後の課題となっています。今後は、実習生を受け入れ、園が長年に渡り培ってきた日本と中国の文化の継承などのノウハウを次世代育成に活かしていくことが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・保育理念は「子ども、保護者、職員がともに育つことを大切に地域に根ざした保育を行います」「午前中、乳児は外気浴、幼児は体を使い外で思いっきり遊びます」、保育目標は「中国と日本文化を継承し、遊びの中で体を鍛え国際性社会性を身につけ、感性豊かで思いやりのある子に育てます」です。保育理念、保育目標を保育室や事務室、厨房、休憩室に掲示するとともに、園内研修やクラス会議で職員に周知しています。保護者に対しては、重要事項説明書に明記し、入園説明会や年度初めの保護者会で説明しています。
・呼称やしつけなど、母国の風習との違いを理解し、対応については、一人一人保護者と話し合い、子どもの人格を尊重する働きかけ方について、職員会議で話し合い、職員間で適切な方法を共有しています。
・子どもに注意をするときや落ち着く時間が必要な場合など、必要に応じてコーナーを活用するなど、子どものプライバシーが守れる場所を確保しています。
・個人情報の取り扱いや守秘義務について、毎年新年度に全職員に周知しています。園で行っている自己評価では、保育士だけでなく、調理員も含めて全員に守秘義務の理解についての項目を設けて理解を確認しています。
・保育中、子どもの服装、色、遊び方、役割などについて、性差への固定的な対応はないことを確認しました。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・全体的な計画は保育理念、保育方針に基づき、家庭の状況や地域性を考慮して作成されていて、子どもの最善の利益を第一義にしています。全体的な計画は、園長がたたき台を作成し、園内研修で職員間で協議し作成しています。保護者に対しては、重要事項説明書に要旨を掲載し、年度初めの保護者会で園長が口頭で説明しています。
・入園説明会後やならし保育中に、担任、栄養士、主任または園長が保護者に面接し、家庭での子どもの様子を聞き、保護者の相談にのっています。入園時に保護者に家庭の状況や生活歴、既往症などを児童票、家庭生活調査票に記載してもらっています。面接時に把握した情報は、面談記録に記載してリーダー会議やクラス会議で共有し、保育に活かしています。
・おそうじチェック表を用いて清掃を行っていて、園の屋内・外ともに清潔に保たれています。こまめに窓を開けて換気するとともに、空気清浄機を保育室に設置しています。温・湿度計、エアコンを設置し、温・湿度の管理を適切に行っています。窓は大きく、陽光を十分に取り入れることができます。保育室はロッカーを用いて3クラスに仕切られていますが、保育士は穏やかに子どもに話しかけていて、隣のクラスの声が気になる事はありませんでした。
・外遊びや自由遊びの時間には、保育士は、発達の状況や一人一人が興味関心に沿った遊びができるように支援しています。また、2歳児は、フルーツバスケットやしっぽとりなどのルールのある遊びを通して友達関係や社会性につながるように配慮しています。
・保育室に面したウッドテラスでは、ミニトマトやピーマンなどの野菜を育てています。玄関にある、メダカやエビの水槽や青虫が羽化する様子を子どもたちが見守れるように配慮しています。近隣に大きな公園があり、近隣の人や他園の子どもたちとの交流もあり、地域や社会に関わる体験の場となっています。
・年齢や成長に応じた食器やいすの形状などに配慮しています。母国の食習慣にない食材の場合は、家庭と連携しながら、咀嚼を促し、少しずつなれるように配慮しています。
・食育カリキュラムを作成し、子どもたちの発達状況に合わせ、空豆の皮むきや泥付きのジャガイモを洗うなど、保育内容に取り入れています。また、課題抽出シートを作成し、子どもの喫食状況や、家庭の食習慣などに配慮し、献立や調理に活かし、日本の食材や食風土に馴染めるようにしています。
・小紅通訊(園だより)を毎月発行し、子どもの様子や月のスケジュールやお知らせ、園で子どもたちが歌っている歌の紹介など、園生活の情報を提供しています。また、廊下の掲示板にクラスや行事での子どもたちの写真を掲示し、保育の様子を知らせています。
・こども宇宙科学館や野毛山動物園、中華街の関帝廟など地域の文化・レクリエーション施設等を利用し、遠足では、山下公園や横浜公園まで歩くなど、子どもたちと地域とのつながりを大切にしています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・ならし保育について重要事項説明書に記載し入園説明会で説明しています。ならし保育の期間は9日間を目安に子どもの様子や保護者の状況を考慮し、保護者と相談しながら柔軟に対応しています。新入園児の受け入れはクラスリーダーが担当しています。全園児、毎日連絡帳を用いるとともに、送迎時には会話し、保護者と密に情報交換しています。
・3歳以降の子どもの進級先の幼稚園や保育園から子どもについての問い合わせがあった場合には、必要な情報を提供しています。同じ建物内にある幼稚園とは合同で会議を行うなど、連携しています。
・障害など配慮を要する子どもに対しては、保護者の同意を得て、横浜市中部地域療育センターから意見や情報を得ています。障害の特性を考慮した個別指導計画を作成しています。保育士は、障害のある子どもに寄り添い、環境を整えたり子どもの気持ちを代弁して伝え、他の子どもたちと同じ活動ができるように支援しています。
・中国籍の子どもが多数在籍しており、保育は日本語で行っていますが、日常の挨拶や行事、獅子舞、中国語の歌や踊りなどを取り入れ、子どもたちが中国の伝統文化を継承できるようにしています。意思疎通が困難な場合には、中国語の話せる園長や職員が対応することができます。
・相談・苦情解決責任者は園長、相談・苦情受付担当者は主任で、第三者委員2名を設置しています。重要事項説明書に記載するとともに玄関に掲示し、入園説明会で保護者に説明しています。
・防犯マニュアルがあり、不審者対応について職員に周知しています。園の入り口は電子錠を施錠し、散歩等での異変については、園長・主任が即時行動ができる態勢を整えています。
4 地域との交流・連携 ・地域の華僑団体、学校、幼稚園との交流、会議に出席し、言葉や風習の違いで日本の規則についての理解が難しい他園の保護者に、母国語で説明をするなど、園の特性を活かした支援を行っています。
・横浜市で実施されている市立保育所がネットワーク事務局園となっている区内保育所の連携に、園も参加し、実地研修や交流保育等、保育の質の向上のための取り組みに協力しています。
・園のたよりや記念誌を、近隣の商店街や小中学校等へ配布したり、周年記念の写真展に近隣の方を招待するなど、地域に向けて園の理解促進に努めています。地域の中学生が月1回来園し、大型絵本を読んだり、自由遊びなど園と交流しています。園児は、隣接する幼稚園の行事に参加するなど、地域の子どもとの関係づくりに努めています。
・見学希望者を受け入れ、パンフレットや園のたよりを提供し、丁寧に対応しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・職員一人一人が園の自己評価を行い、それを基に園としての自己評価をまとめています。園の自己評価には、保護者アンケートの結果も反映しています。職員は、自己評価の結果から園としての課題を明らかにし、改善に向けて取り組んでいます。園としての自己評価の結果は、園便り「小紅通訊」に掲載し、保護者や理事等に配付し、公表しています。
・職務規程および倫理規定で組織および職員が不正・不適切な行為を行わないよう守るべき法・規範・倫理等を明文化し、職員に周知しています。行政や報道で得た他施設での不正・不適切な事案は、職員に申し送り、それらを行わないように啓発しています。
・運営・経営状況を運営委員会(保護者代表が参加)と理事会「小紅の会」(理事、監事、園長、職員等が参加)で報告しています。保護者が見ることできるよう運営委員会の議事録を玄関に置いています。また、職員会議でも質問に答えています
・保育理念、保育目標を保育室や事務室、厨房、休憩室に掲示し職員がいつでも確認できるようにしています。全体的な計画の立案時に職員に確認するほか、必要に応じて園内研修や職員会議で取り上げています。また、年2回の園長面談、年1回の理事長面談でも、職員が理念、方針を理解しているか確認しています。
・理事長、園長、保護者代表、職員代表、有識者が参加する年3、4回の運営会議で、園長は保護者と継続的に意見交換しています。重要な意思決定にあたっては、園長は職員には職員会議で、保護者には保護者会で目的や決定経緯について説明しています。
・主任はフリーの立場で各クラスに入り、職員の業務状況を把握し、一人一人の能力や経験に合わせて助言や指導を行っています。主任は個々の職員の様子を見守り、必要に応じて声をかけたり相談にのったりし、職員が肉体的、精神的に良好な状態で仕事に取り組めるように配慮しています。
・園長は中区ネットワークや横浜市私立保育園園長の会、近隣園長による自主的なグループ、山下町町内会などの地域の集まりなどから園運営に影響のある情報を収集、分析しています。重要な情報はリーダー会議で協議し、必要に応じて職員会議で報告して園全体で取り組んでいます。
6 職員の資質向上の促進 ・子どもたちの体験機会の拡大や保育人材育成の観点から、ボランティア・実習の受け入れに備えて、マニュアルを整備し、職員に基本的な考え方や方針を説明しています。
・園長は、保育所運営に十分な人材育成であるかを常にチェックし、必要な人材の補充を行っています。現在人員基準を満たしていますが、今後の定員拡大や一時保育の実施に向け、人材確保に積極的に取り組んでいます。
・研修担当は主任で、職員のニーズや希望を考慮して研修計画を作成しています。毎月、中国語学習会、マニュアルの確認と実践、感染症などのテーマで園内研修を実施していて、非常勤職員、正規職員ともに参加しています。職員は、横浜市や中区ネットワーク、横浜女子短期大学保育センター等の外部研修に参加しています。外部研修に参加した職員は、研修報告書を提出し、園内研修で報告しています。研修報告書は回覧し、全職員で共有しています。園長は、研修の成果を確認し、次期の研修計画に反映しています。
・人材育成計画および人事基準があり、職員に周知しています。職員一人一人の自己評価および管理職からの評価を基に年1回人事評価をし、園長および理事長が個別に面談し、職員に結果を開示し、アドバイスをしています。

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