かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市天神ホーム(4回目受審)

対象事業所名 横浜市天神ホーム(4回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人横浜社会福祉協会
対象サービス 高齢分野 特別養護老人ホーム
事業所住所等 〒 232 - 0024
南区浦舟町3丁目46
tel:045-251-5906
設立年月日 1974(昭和49)年09月01日
公表年月 2019(令和元)年06月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】

横浜市天神ホームは、市営地下鉄ブルーライン阪東橋駅から徒歩で8分ほどの浦舟複合福祉施設ビルの4階、5階にあります。昭和49年に開設され平成16年に現在の場所に移転しています。同じビルの中には地域ケアプラザ、南区社会福祉協議会、コミュニティハウスなどがあります。横浜市天神ホームの定員は74名で、ショートステイの定員が6名です。また、家庭での入浴が困難な高齢者、障害者のための横浜市高齢者入浴サービス、横浜市障害者入浴サービスの委託を受けています。従来型の施設ではありますが、居室は個室と二人部屋で構成されており、二人部屋でも居室の入り口とは別に、扉と壁が設置されていてプライバシーに配慮した環境となっています。各フロアは2つのユニットになっており、少人数での個別ケアが実施されています。
天神ホームは、半数以上の職員が10年〜20年勤続しており、介護職員、看護師、生活相談員、管理栄養士、介護支援専門員などの他職種が日々の支援で連携して施設の基本方針、3つの大切(一人ひとりの生活の大切・目的を持った生活を大切に・家族や他の人とのふれあいの機会を大切に)の実現に取り組んでいます。

1.高く評価できる点  

● 日常生活の中で利用者の要望・希望に耳を傾けた個別ケアに取り組んでいます 
食事では、主食を米飯、パン、麺類から選ぶことができ、入浴についても、入所者の希望や身体状況に応じて柔軟に対応しています。一人用のテーブルで自分のペースで食事をしたり、ユニットの共有スペースには、ソファーやテレビがいくつか置かれていて、好きな場所でテレビを観たりして入所者がゆったりと過ごすことができています。外出支援も多く、日用品の買い物や日帰り旅行のほか、地域の公園やお祭り、保育園の運動会、作品展に出かけています。イベントの招待を受けたときは、参加希望者とイベントに出かけています。そのほか個別に初詣や酉の市に出かけるなど、利用者からの希望にできる限り対応しています。家族から利用者の好みのおやつを預かることもあり、お小遣いを自分で管理している方は、自動販売機で飲みたい物を購入しています。

● 職員の個人目標達成に向けて支援する体制があり、やる気向上につなげています 
法人全体でキャリアパスを設定しており、各職務段階に応じて研修・育成計画を策定しています。
施設内の研修のほか、専門職を招いての勉強会も開かれています。外部研修に参加した職員は、外部研修報告書で日常業務にどう活かすかを報告しています。職員は、年度初めに個人目標を定め、その目標の達成方法も記載、目標達成について自己評価と上長評価を実施、施設長との面談も行っており、目標に向けて取り組める体制が整っています。事故防止、食事向上などの委員会がありますが、職員からの提案で発足する委員会もあり、職員のやる気向上につながっています。また、カンファレンス以外でも他職種が連携してケアの質の向上に取り組んでおり、その成果が入居者の満足度につながっています。

● 職員の意見・提案を業務に取り入れるなど、働きやすい職場環境が作られています 
当施設は、半数以上の職員が10年〜20年勤続しており、介護職員、看護師、生活相談員、管理栄養士、介護支援専門員などの他職種が日々の支援で連携しています。職員からの意見・提案が業務や委員会発足につながり、研修についても経験等に応じたテーマの研修に派遣し、研修で得た知識などを実際の業務や委員会等に反映しています。入所者の状態の変化は支援に関わる職員全てが共有する体制ができており、協力関係が築かれています。また、職員ヒアリングにおいても、「意見を言いやすい」という意見が多く聞かれています。シニアボランティアから介護職員として勤務している方もいて、働きやすい職場環境が作られていることがうかがえます。

2.独自に取り組んでいる点 

● 施設独自の褥瘡スケール表を作成し、専門職を含め施設全体で褥瘡予防に取り組んでいます             
褥瘡予防対策に関する指針があり、褥瘡予防マニュアルも整備して施設全体で褥瘡予防に取り組んでいます。褥瘡リスクがある利用者は施設独自の褥瘡スケール表で褥瘡予防対策をしており、栄養面においても栄養マネジメントを実施しています。褥瘡スケール表には自力での体位変換、仙骨部の突起、関節の拘縮などの項目があり、写真や図を用いた分かりやすいものになっています。褥瘡予防の個別計画を作成して、褥瘡予防に取り組んでいます。

3.工夫・改善が望まれる点 

● 生活リハビリの目標と支援方法を明確にし、更に成果をあげることが期待されます               
他職種でのカンファレンスで利用者の身体機能を共有し、残存機能に応じて生活の中で機能向上に努めていますが、専任の機能訓練指導員の配置はなく、個別機能訓練プログラムについても個別支援計画書等に反映されていないケースが見受けられました。生活リハビリの成果が現れているケースがあり、訪問マッサージを受けている場合は、実施状況の報告もあります。他職種が連携して支援する体制がありますので機能訓練についても、目標と支援を明確に示し更に成果を上げることが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・法人理念を「福祉の追求」とし、「ご利用者幸福の追求 ・私たちはご利用者を尊重し、生命、自由、プライバシー、個々人の人格権を守ります。そしてQOLの向上に根ざした、真の満足を追求します。」としています。施設の基本方針は、これを基に「『お一人お一人を大切に。在宅生活の延長を』をモットーに、『おひとりお一人の生活を大切に』『目的を持った生活を大切に』『ご家族や他の人とのふれあいの機会を大切に』という3つの大切の実現を目指していきます。」としていて、利用者本人を尊重したものとなっています。
・脱衣室の入り口に暖簾をかけています。職員が出入りするときは、外から見えないよう配慮しています。
・身体拘束を行なわないケアを提供し、身体拘束を無くすための拘束等の行動制限に関する指針に基づき対応しています。「身体拘束ゼロへの手引き」など内部研修を実施し全職種の職員に周知しています。「身体拘束適正化委員会」を立ち上げ、3か月に1回開催し、利用者の状態を項目ごとにチェックし、拘束の有無の確認を定期的に行なっています。利用者とその家族に対して、危険とリスクなどから身体拘束は行なわない旨の説明をし、理解を求めています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・サービス計画の作成や見直しは、利用者や家族、後見人と面談を行い要望等を把握し、利用者の意向を反映させて計画を作成しています。サービス計画の作成や見直しにおいて利用者や家族に具体的な介護内容や目標を説明して同意を得ています。家族には、ケースカンファレンスに出席してもらうほか面談時や電話連絡などで意見を聴取し、利用者の状況や変化について情報提供するよう努めています。
・共有スペース、廊下、居室とも清掃マニュアルに基づいて、清掃専門職員により、クリーンに保たれています。施設は高層ビルの4、5階に位置しており、エレベーターで行き来できます。また、フラット構造にしていてバリアフリー構造となっています。共有スペースには温湿度計を備えており、加湿器も設置していて、室内の温度、湿度が管理されています。
・施設の管理栄養士と委託業者の管理栄養士が協働して、行事食や選択メニュー、お好み食など利用者が食事を楽しめるよう様々な工夫をしています。主食は米飯、パン、麺類から選ぶことができ、その月のお誕生日の方を祝うお誕生日メニューのほか、各地の郷土料理、世界の料理、希望の出前をとるお好み食があります。また、介護職員と管理栄養士が一緒におやつを作ったり、12月には鍋パーティーをしたり出張寿司職人によるにぎり寿司の日もあります。
・入浴は原則週2回としていますが、希望があれば2回以上の入浴も可能としています。体調不良などで入浴できなかった場合は他の日に入浴できるようにしたり清拭をしたりして配慮しています。
・トイレは全てドア式でカーテンも二重にしてプライバシーに配慮しています。二人部屋の居室も、部屋ごとにドアと壁で仕切られておりプライバシーに配慮した空間となっています。
・余暇活動としては、楽器の生演奏に合わせて歌う歌声、カラオケの歌唱、本の朗読、マージャン、習字のクラブ活動があります。また、外出支援にも力を入れており、年2回の日帰り旅行で季節の花を見たりしています。
・専任の機能訓練指導員の配置はなく、看護師が兼務しています。利用者の身体機能をカンファレンスで共有し、希望する場合は平行棒を使用しての歩行訓練を行っています。
・褥瘡予防対策に関する指針があり、褥瘡マニュアルも整備されています。褥瘡リスクの高い利用者には、栄養スクリーニングのほか、施設独自の褥瘡リスクアセスメントを実施しています。褥瘡リスクアセスメントは、写真や図を用いた分かりやすいものになっています。褥瘡予防委員会もあり、施設全体で褥瘡予防に取り組んでいます。
・施設が開催する敬老会や納涼祭、新年会などの行事に利用者家族が参加し、交流の機会を設けています。利用者家族が面会の折に職員が最近の状況を説明したり、必要に応じてフロア主任や生活相談員が個別に話をする機会を持ち要望を聞いたりしています。また、家族が来所しやすいよう面会時間等の制限は設けず、ゆっくりと面会できるよう配慮しています。以前は敬老会の日に家族を招待し、その後家族懇談会を実施していましたが、参加家族が少なくなり、現在家族懇談会は実施していません。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・利用者へのサービスは個別援助計画に沿って、利用者のペースやリズムに合わせて介護の提供に努めています。個々の利用者の要望にもなるべく対応しています。個別援助計画には長期目標、短期目標に対応して個別の援助内容が記載されていますが、半年ごとに実施しているモニタリングでは提供するサービスごとに評価を実施しています。個別支援計画では、利用者の意向を把握しつつ見直しを行っています。
・事故防止のための指針およびマニュアルが作成されています。事故が発生した場合、まずアクシデント報告書が作成され、施設内に速報として知らされます。さらに正式にアクシデント報告書として発生状況、処置、要因分析、将来の防止対策が作成されています。事故防止委員会は2か月に1回開かれており、組織的対応を行っています。
・防災マニュアルが作成されています。当施設のあるビルは、1階は浦舟地域ケアプラザ、2,3階は別法人の介護施設、上階には救護施設、コミュニティハウス、社会福祉協議会など多種類の福祉施設、サービスがテナントとして利用しています。これらの施設・事業所間の防災面で統合する防災センターが中心となって防災訓練を実施しています。3つの入所施設(特養2施設、救護施設1施設)が夜間を想定した訓練を実施しています。またすべてのテナントが参加して地震及び火災発生想定防災訓練を実施しています。
・苦情受付担当者は生活相談員、苦情解決責任者は施設長と決められています。苦情解決のための第三者委員2名の名前、電話番号や外部の苦情受付相談窓口として横浜市高齢福祉局高齢施設課や神奈川県国民健康保険団体連合会の電話番号が記載されており、家族は直接苦情を述べることができます。家族に対するアンケートも実施して、要望や満足度を調査しています。
・入退所要綱に基づいて、特別養護老人ホーム入所受付センターから申込書が到着した以降、速やかに入退所検討委員会を開催していますが、入退所検討委員会に施設外の第三者は参加していません。入退所検討委員会の構成メンバーは、施設長、生活相談主任、介護主任、介護員、看護師、管理栄養士としており、個室、多床室別に優先順位を明記しています。
・ターミナルケア・精神的ケア対応マニュアルがあります。マニュアルには、ターミナルケアの理念、目的、記録の重要性等が明記されています。また、精神的ケアとして「その人が大切にしているもの、好きなものを飾る」「酸素ボンベなどの医療機器は目立たないところに置く」「家族の作りたい雰囲気を尊重する」なども明記されています。また、終末期が近くなって話ができない状態になっても、声をかけるなどで関わりもち、職員の心残りのないように対応しています。看取り介護に関しては、定期的に施設内研修を実施しています。
・預り金については、預り金規程に基づいて管理しています。利用者本人が管理できる場合は、お小遣いとして一定金額を渡しています。お菓子などの嗜好品の購入を希望されたときは、職員が買い物に同行または、代行しています。
・利用者の食事・水分摂取量、排泄状況、生活状況はパソコンに記録して、全ての職員が確認することができます。体調の変化がある場合は血圧、脈拍、体温を測り、必要に応じてバイタルチェックを1週間ほど継続しています。看護師は、利用者の支援を身近で行う介護職員からの情報を大事にしており、看護師の連絡ノートで介護からの連絡事項を共有し、継続しての経過観察を行う体制を作っています。
4 地域との交流・連携 ・地域の人達への保健福祉に関する相談として、介護保険制度や高齢福祉制度等の相談を施設見学時や来所時、または、電話などで受けて対応しています。地域生活を支援するための在宅サービスとしては、短期入所生活介護、高齢者入浴サービス、重度障害者入浴サービスの提供を行っています。地域の人達に向けての講習・研修会は同ビル内の浦舟地域ケアプラザが開催していることもあり、施設としては開催していません。
・毎年浦舟複合福祉施設では、“夏祭り“が開催され複合施設の団体だけでなく、町内会や各種ボランティアグループなども参加して交流を図り、それぞれが協力して実施しています。”夏祭り“には沢山の地域の人達が来所しています。近隣の中学生の職業体験を受け入れており、クリスマスカードをもらったりしています。施設でのレクリエーションや歌唱、朗読、体操、麻雀、習字等のクラブ活動の指導、衣類などの縫物や清掃などの施設での作業など多くのボランティアが中心となって携わっています。ボランティアとして参加してもらうため社協や浦舟地域ケアプラザを通して呼びかけを行い、ボランティア登録講習施設として実習を受け入れています。施設は必要があれば地域へ車椅子の貸し出しを可能としています。
・施設の基本方針や利用条件・サービス内容等施設に関する問い合わせは、生活相談員を3名配置して常時対応できるよう配慮しています。利用希望者や家族の見学は、利用者のプライバシー保護の観点から利用者に影響のない範囲で行い、見学日時は可能な限り見学希望者の都合に合わせて対応しています。また、パンフレットや重要事項説明書などを用いて施設の説明を行い、入居後の生活や料金等を具体的に説明するよう努めています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・施設の理念や基本方針、サービス内容の詳細、職員体制等の必要な情報は、パンフレットや法人が運営しているホームページなどで提供しています。また、フェイスブックで行事や施設での様子を発信しています。職員はフェイスブックチームを組織し、2週間に1度の頻度で定期的に更新するよう努めています。
・倫理規程および就業規則に様々な遵守事項が定められており、職員に周知されています。入社時研修において外部の社会保険労務士を招いて就業に当たっての規範や就業規則の研修を実施しています。毎年事業報告書を作成しており、外部からの請求があれば開示しています。ホームページでは現況報告書として法人の財務関係の決算報告が掲載されており、情報公開に努めています。新聞等のマスメディアに掲載されている他施設の不適切事案等が、法人本部よりFAXで情報提供されており、職員会などで議論されています。
・法人に基本理念は各ステーションに掲示しており、職員全員に渡される「目標支援シート」に記載されています。月1回の職員会議などでは理事長や施設長が説明し、確認しています。年間に2回行われる施設長面談の際には、職員の基本目標を理解しているかを確認しています。
・法人は市の指定管理事業者であることから、2016年度から2020年度までの5年間の中期事業計画を策定しています。この中で、サービス向上への取り組み課題、組織強化への取り組み課題、人材育成等の方向性を定めており、これに基づいて各施設では各年度の事業計画書を作成しています。次代の組織運営に関しては情報化の一層の推進とそのための仕組みづくりに取り組んでいます。経営幹部はこうした中で着実に後継者を育成しています。運営に関しては、外部の監査法人、コンサルタント、社会保険労務士事務所などの助言を受けて計画を策定しています。
6 職員の資質向上の促進 ・毎年度事業計画に職員の配置計画を定めており、人材の構成、必要な人材をチェックしています。法人全体でキャリアパスを設定しており、各職務段階に応じて研修・育成計画を策定しており、これに合わせて「目標支援制度」を導入して、個々の職員の年度初めに目標を定めて、その目標の達成方法などを記載しています。年度末には、その目標達成度について自己評価及び上長評価を実施しています。
・法人、施設共に勉強会・研修会は頻繁に行われ、技術水準の向上に努めていますが、個々の職員を対象として援助技術を評価するまでには至っていません。職員の数や分野が多いことから、どのような内容、方法を取っていくことが望ましいかを施設全体として検討していくことが期待されます。
・各職級階層別に期待される役割・能力が明記されたキャリアパスシステムが設定されています。職員は自主的に現場での業務を判断し、適切な対応をするように業務を習熟しています。業務上生じた問題点や改善点は職員会議やケース会議などに問題として出すようにしています。職員は直属の上司と年2回の面談を行っており、この機会に職員の様々な要望や意見、満足度等は把握されようになっています。

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