かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横須賀老人ホーム

対象事業所名 横須賀老人ホーム
経営主体(法人等) 社会福祉法人 神奈川県社会福祉事業団
対象サービス 高齢分野 特別養護老人ホーム
事業所住所等 〒 239 - 0841
横須賀市野比5丁目5番6号
tel:046-848-1761
設立年月日 1971(昭和46)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年06月 〜
使用評価項目 東京都版
評価機関名 公益社団法人 長寿社会文化協会
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

「事業者が特に力を入れている取り組み」
・職員を大切する施策、上司との意思疎通をおこなうなどにより職員の退職率は3%台となっている
・地域の福祉教育・福祉介護の普及啓発・地域との関係づくりに力を入れて取り組んでいる
・排泄ケア向上プロジェクトを立ち上げ、排泄ケアの見直しに取り組んでいる

「特に良いと思う点」
・年度事業実施計画が、各組織、職員個人にブレークダウンされ、進捗管理をおこない着実に実行されるようにしている
・神奈川県が実施している独自の取り組みである「かながわベスト介護セレクト20」において3回表彰を受けている
・施設内に付属診療所があり、24時間配置された看護師が多職種と連携して健康管理や看取りケアをおこなっている

「さらなる改善が望まれる点」
・キャリアデザインの周知・理解と職員の納得が得られた個人別育成計画の策定が望まれる
・「天災(地震・津波など)対応のフローチャート」の内容のレベルアップ・改善など、事業継続計画(BCP)の策定が望まれる
・誤薬防止マニュアルを見直しているが、一層、服薬管理チェック体制を改善することが望まれる

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・職員行動指針を定め、研修、月間目標などにより職員が理解を深めるよう取り組んでいる。
・職員が守るべき規範・倫理等について、施設の経営理念・経営方針に基づいた職員行動指針を定めて職員に周知している。「尊厳を守るケア検討委員会」を設けて「不適切と思われるケア」等について検討を行う他、人権擁護の月間目標を定め、朝礼などで復唱している。また、「法令遵守、個人情報保護、倫理規程、身体拘束廃止・虐待防止」等の研修を行い職員の理解を深めるように取り組んでいる。虐待防止については、自己点検シート(30項目)で年1回自己点検を行っている。
・施設で扱う個人情報については、利用者・家族に対して個人情報保護に関する基本方針・個人情報保護規程、それに基づく、個人情報の利用目的、適正管理・第三者への提供・開示請求への対応などについて、入所契約時に分かりやすく説明している。個人情報を使用する場合には、別に定める「個人情報使用同意書」に基づき、使用するようにしている。
・事業所の「生活支援マニュアル」に示された排泄時や入浴時などのケア手順に記載されたプライバシーに関する事項を遵守して支援を行っている。また、4人居室、2人居室は、個人ごとにカーテンで仕切ってプライベートな空間を確保し、入室する際は声をかける等に配慮して支援するよう取り組んでいる。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・職員は日常的に利用者一人ひとりと忌憚なく話し合える関係築くように取り組んでいる。
・利用者一人ひとりの価値観や生活習慣に配慮した支援を行うために、入所前の面接時に、利用者本人の生活歴・生活習慣等を把握し職員間で情報共有すると共に、提供するサービスに関する利用者の希望・要望を確認しながら支援している。また、入所時には、家族から「のびのびシート」を記入してもらい、アセスメントシートには書ききれなかった、利用者本人が喜ぶことや落ち着く環境などを補足的に把握し、入所後のケアの参考にしている。

3 サービスマネジメントシステムの確立 ・利用者、職員、地域、福祉事業などの情報を収集・分析して、法人の総合計画に基づき年度事業実施計画、年度目標が決められ、年度中間・末の振返りなど進捗管理を行い、計画の着実な実行に取り組んでいる。
・事業所の見学・入所の申し込みは、原則として電話予約、日程は平日であるが、平日以外も対応している。見学時には、居室・浴室・食堂などの施設環境やサービスの特徴などを入所後の日常生活がイメージできるよう紹介している。
・入所時には、説明チェック表を活用し、説明に漏れがないようにしている
・災害や深刻な事故等に備えて、外部委託している厨房業務が困難になった場合の保証のため、予め業務代行業者を指定している。
・感染症対策では、病原体を外部から持ち込まないため、主な感染経路図を作成すると共に、感染症発生時対応フローに基づいて拡大防止に取り組むようにしている。流行時には、掲示、ホームページなどで、家族等の訪問者への依頼・留意事項を伝えている。
・「介護の標準化」を目指し、過去から事業所として培ってきた介護技術・知識の専門性を体系化した独自の「生活支援マニュアル」を作成している。これにより、全てのサービスの支援方法が明確化され、見直しなどが有効にできている。
◯施設サービス計画書は、入所前のアセスメントにより、利用者一人ひとりの事情、・心身状況・生活状況・ニーズ等を収集し、それに基づいて「課題」を明確にし、サービス担当者会議で検討して作成している。計画作成プロセスの中で利用者・家族の希望を反映させて、署名・捺印をもらっている。
・施設サービス計画に基づいて、医師・看護師・管理栄養士・介護員・生活相談員など多職種で連携を取ってサービスを提供し、半年ごとにモニタリングして、利用者が笑顔で、楽しみがあり心豊かに生活を送れるように取り組んでいる
・計画は、モニタリングの結果、利用者の体調変化、退院・看取り介護開始時等には、再アセスメントを行い、多職種でのカンファレンスを開催し、変更する仕組みにしている。
・個別施設サービス計画(目標)は、それに沿った支援の実施状況や利用者の生活状況や状態の推移を介護システムに記録して担当者会議等で共有している。
◯食事については、栄養ケア計画を作成して一人ひとりの状態に適した食事を提供すると共に、栄養状態の把握と多職種で連携して経口での食事摂取が継続できるように支援している。
・利用者の意向や要望を大切にし、食事の時間が楽しいものとなるように行事食や誕生日食などの提供、食器・座席の配置の工夫などを行なっている
◯入浴については、利用者の状態に合わせて入浴形態を選択し、個別に支援をおこなっている。入浴を拒む利用者には、気持ちを尊重し誘導方法を工夫するなど個別に対応している
・入浴を楽しめるように、音楽を流したり、菖蒲湯や柚子湯などの季節の湯、皮膚の乾燥を防ぐための保湿ローションなどの工夫をしている。
◯排泄については、利用者の負担の軽減を考慮して、可能な範囲でトイレ誘導し、自然な排泄を促している。
・利用者の自尊心や羞恥心を傷つけないよう気持ちを尊重し、居室でオムツ交換時にはカーテンを閉める。不必要な露出を避ける。
・衛生面や臭気対策にも配慮して、汚れたオムツやパットは蓋付きのバケツに入れる、すぐ汚物処理室で処理をする、汚れた時はその都度清掃する、ポータブルトイレは夜勤者が消臭剤等を使って処理・消毒する、こまめに喚起する、
等様々な面から十分な配慮をしている。
・排泄ケア向上プロジェクトを立ち上げ、尿路感染症や褥瘡等の改善や不適切なパットの使用を見直した。利用者の96%が紙オムツ、リハビリパンツ、パットを使用しており、オムツの上にリハビリパンツ重ね、サイズの合わないパットの使用等を改善した。看護師に陰部洗浄の研修を受けるなど排泄ケアを見直し、尿路感染・湿疹・褥瘡者の減少と紙オムツ・パットの使用量削減を実現している。
◯移動支援については、車イスの自操、手引き歩行、歩行器など自らの意思で移動できるよう支援している。
・機能訓練指導員と連携し、車イス上の安全な座位保持のため、足こぎや立ち上がりをしやすいようにし、利用者一人ひとりに合わせて、座面の高さや幅が身体に合うようにクッション等を使用してフットレストの位置の調整などの工夫をして、利用者の転倒や転落などの防止に向けて細かい配慮をしている。
・車イスやベッドへの移乗時に、一人介助が危険な場合は利用者の安全を重視して2名の職員で介助し、利用者、介護者双方の負担を軽減するように努めている。
・車イスを安全に使用するため、清掃・点検・修理は、職員や家族会、業者で行っている。また、毎年車イスの整備や使い方について外部の福祉用具業者を招き、研修を行っている。
◯定期的に個別機能訓練計画を見直し、多職種が連携して計画の実施に繋げている。機能訓練指導員と介護員が連携し、関節拘縮予防のためにおしぼりたたみやエプロンたたみ等、下肢筋力の維持・向上のためにトイレ移動を利用した歩行訓練等、日常生活の中でのリハビリを実施している。
◯健康管理については、施設内に併設の診療所があり、看護師が24時間配置されており、健康管理には安心な環境ができている。
・誤薬防止マニュアルを見直し、服薬管理チェック体制を強化して誤薬ゼロを目指している。
・終末期の生活を穏やかに過ごすことができるように多職種協働で支援をおこなっている。
◯更衣については、利用者の意思や好みを尊重して他の利用者と朝食をするときまでには更衣支援をおこなっている。また、食べこぼしや排泄の汚れ等があった時にはその都度更衣をしている。
◯整容については、利用者の生活習慣に配慮しながら身だしなみを整える支援をおこなっている。
・外部の理・美容師による定期的な訪問美容があり、希望によりカットや毛染めのサービスを受けることができる。
◯睡眠については、快適な睡眠が得られるように環境や生活リズムを整え、夜間の安眠に繋げている。
・日中臥床が多い利用者には、できるだけ活動的に過ごせるよう離床を促し、夜間の安眠に繋げるように心がけている。また、夜間は定時に巡回し、消灯は、スタッフルーム以外は19:30頃とし、全居室に温湿度計を設置し、エアコンは適温に設定している。
◯日常の過ごし方は、利用者の意向、価値観などを尊重し、自由に過ごせるようにしている。自分の居室でのんびりと過ごしたり、食堂や談話コーナーでテレビを観たり、談話をしたりして自由に過ごしている。また、ボランティアによるクラブ活動(傾聴、茶道)に参加している。
・フロアごとの誕生日会、「お楽しみ会(お寿司の出前など)」「ローズマリーのポプリづくり」「折り紙」等の他、全体行事として夏祭り、敬老祝賀会、のびのびふれあいフェスティバル、餅つき大会等を実施している。
・丁寧な言葉遣いで利用者の気持ちに沿った声掛けや支援に取り組んでいる。
3か月ごとに各フロアで人権擁護に関する目標を決め、毎日唱和するなどして職員間で共有・相互確認して、利用者に嫌な思いをさせないという意識を高めるように取り組んでいる。
◯家族との連携については、家族の面会は多く、その際には、利用者の日常的な様子や健康・生活状態の変化などを分かりやすく伝えている。また、家族は、ホームページの家族向けコーナーにパスワードでアクセスできるようになっており、施設の様子を常に把握できる。その他、半年に1度全ての利用者家族等へ手紙を送付して、利用者と家族と職員が交流できる機会を案内している。
家族との情報交換を密にし、施設が家族と力を合わせて利用者の生活を支える仕組みになっている。
・個々の家族と施設が家族会を組織し、年1回の総会の他に施設と意見交換会を実施している。家族会は施設の行事に参加・協力すると共に家族相互の親睦も図っている。ふれあいフェスティバル等の施設行事の他、ギター演奏会・焼き芋会・車イス清掃など家族会主体の活動も行う他、家族の集合体として組織的に施設と向き合い、よりよい支援を目指して建設的な意見・意向を発信し、施設と力を合わせて利用者の生活を支えるよう活発に活動している。

4 地域との交流・連携 ・経営理念に「地域社会への貢献」を掲げ、年度事業実施計画には、運営方針として「信頼・期待される施設運営と地域貢献」を挙げている。法人のホームページには、経営状況や職員の募集、各事業所の詳報等を載せて情報を開示している。
・当事業所に設置されたボランティア連絡協議会では外出支援等を行う他、地域のライオンズクラブ、茶道、傾聴の会等もボランティアとして多数活動している。また、地元自治会、地区社会福祉協議会等とも協働して地域の福祉に取り組む他、地域包括支援センターと連携して認知症カフェの設置・運営支援も行っている。
◯地域と連携しての利用者支援は、ボランティアの送迎協力を得て、利用者の希望を聞きながら個別や少人数で外出するフロア毎の月1度の「お出かけ会」を実施している。
・その他、介護職員がファミリーレストラン・スーパーマーケット、ウィンドウショッピングや飲酒のため近くの商店街、お墓参り等への外出支援を行っている。
・外出とは逆に、神輿連合会や町会による夏祭りの神輿、地元幼稚園の園児(年2回)、裏千家による茶会など、地域の様々な団体が施設に訪問する機会(交流訪問)を設けている。また、施設を挙げて「のびのびフェスティバル」を開催しフリーマーケット・模擬店・イベント等で地域の人を招き、利用者がふれあいを楽しんでいる。
・これらの地域との連携・ふれあい、地域資源の活用によって、利用者の生活の幅を拡げる活動に力を入れて取り組んでいる。

5 運営上の透明性の確保と継続性 ・経営理念などを明示し、多様な方法で、職員・利用者に理解を得られるよう取り組んでいる。
・経営層の役割を明示し、それに基づく取組みは行われているが、一層のリーダーシップの発揮による、職場の一体感醸成が期待される。
・重要な案件の決定方法は明確にされているが、周知方法の工夫が望まれる
・情報の重要性・機密性を踏まえて、職員一人ひとりに職員IDとパスワードを設定してアクセス制限を設けると共に、ウィルス対策ソフトウエアを導入して外部からの不正アクセスを防止している。事業団として保有する情報の公開に関しては必要な事項を情報公開規程として定めて取り組んでいる。
・地域社会へ情報を開示し関係先と連携して取り組んでいる。
・利用希望者等には、ホームページに、ニュースとして行事などの報告やお知らせを随時更新して提供している。

6 職員の資質向上の促進 ・見学受入れによる採用、異動・配置などにより人材の確保・適正配置に取り組んでいる。
・職員の育成は、3日間の新採用職員研修、介護技術・知識、利用者の尊厳・人権を守る意識等について、各職員の到達段階、キャリアデザインに応じて、所内(個別テーマ)、法人(主に階層別:課長、リーダー、中堅等)、外部(主に専門職)研修へ計画的・継続的参加できるよう取り組んでいる。(29年度は延500人弱参加)今後これらの育成体系を明示すると共に、人事考課制度、自己申告制度の中に育成の面を一層明確に組み込む等により、職員の意向把握を行い、個人別計画を立て、より有効な育成を行うことが期待される。
・職員の就業環境は、休暇取得、時間外勤務、ストレス等に十分配慮されている。また、人事考課で目標設定・評価の面接、所属委員会での指導を受け、達成感を味わう機会があり、意欲向上に繋がる仕組みとなっている。組織としての力の面から見ると、横断的課題は、委員会・プロジェクトチーム等によって高められている。

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