かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

多摩保育園(2回目受審)

対象事業所名 多摩保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 多摩福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 211 - 0002
中原区上丸子山王町2-1337
tel:044-411-1122
設立年月日 1951年09月07日
公表年月 2019(令和元)年06月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地および概要
 社会福祉法人多摩福祉会の多摩保育園は、JR南武線向河原駅から徒歩10分の多摩川沿いの住宅地に立地しています。昭和26年に設立し、67年目を迎えています。現在、生後6か月から5歳児までの子ども150名が在籍(定員150名)しています。通常保育のほかに一時保育(定員12名)、地域支援事業(子育てサロンに職員派遣)を行っています。
 設置法人系列園として、川崎市内に2か所の保育園があります。
 
・特徴 
設置法人統一の理念は、「『子どもの権利、人権』を守り尊重することを最大の目的とする」「本法人が実施する保育並びに子育て支援活動に関わる全ての人が、心地よさや安心感を得られる場を提供する」「全ての人にやさしさを持って関わり、児童福祉本来の目的を達成する」としています。専門講師による音楽、英語のプログラムや、クッキング保育、園外活動(散歩、子どもの杜プールでの水泳体験、林間学校、系列園合同行事など)を定期的に行っています。

【特に優れていると思われる点】
1.さまざまな生活経験を通した保育活動の工夫
子どもたちは、正月、節分、ひな祭り、七夕、納涼会、餅つきなど四季の行事で、季節感や文化を享受しています。毎朝、屋上や園庭で体操やリズム運動をしたり、多摩川沿いを散歩、年長児はマラソンやドッジボールをするなど、丈夫な体作りに取り組んでいます。積極的に園外活動を行い、散歩で地域住民と交流し、「おびしゃ祭り」(川崎市無形民俗文化財)を見に行っています。梨もぎ、芋ほりに出かけ、年長児は林間学校で宿泊し、子どもの杜の温水プールに行っています。調理保育では調理員の指導のもと、さんまの下拵えを体験しています。

2.地域との交流と連携
中原区認可保育園園長会や中原区幼保小連絡会、中原区総合子どもネットワーク会議に参加しています。子育て情報ガイド「このゆびと〜まれ(なかはら子ネット通信)」の発行に参画し地域の子育てニーズの把握に努め、丸子地区として近隣園との話し合いの機会をもっています。地域支援として、一時保育の受け入れ人数を増やし、子育てサロン「あゆみ」へ年4回職員を派遣しています。また納涼会・友遊祭・移動動物園などに地域住民の参加を呼びかけ、積極的に地域交流を図っています。 

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.室内遊びの環境設定の工夫
年齢や発達に応じたおもちゃ、素材などは用意されていますが、倉庫や屋内の保管場所で管理しており、職員が、その都度準備したり、子どもから要望を聞いて提供しています。保育室で机を並べたり、遊びのスペースを確保していますが、それぞれの子どもの興味に応じて、遊び込める環境設定になっていません。子どもが主体的に遊びに取り組めるように、おもちゃなどを自分で取り出せるような工夫や、遊びのコーナーの設定の工夫が期待されます。

2.次代を担う人材育成計画の整備
職員の経験・能力・習熟度に応じた期待水準は明文化されていません。また、人材を育成するための計画や、職員一人一人の研修計画がありません。次代を担う人材の育成と資質向上に向け、個々の職員や主任に期待される役割・水準、人材育成の方法などを明文化し、研修計画や職員の自己評価に関連づけた効果的な育成が期待されます。

3.中長期計画の明確化
設置法人理事長、園長は園の課題や問題点、設置法人園長会などで出た議題を把握し、年度初めの法人合同研修で職員に周知し、解決に向け取り組んでいます。文章化された中長期計画はありますが、理念や基本方針の実現に向けた目標が明確になっていません。また課題、問題点が明確に示されていません。園の保育サービスのさらなる質の向上を図るために、中長期計画は課題や問題点の解決に向けた具体的な内容とし、その課題に向けた事業計画の立案し、実行することが期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・子どもは、園庭では固定遊具や縄跳びなどで、室内ではブロック遊びや絵本を読むなどして思い思いに遊んでいますが、おもちゃ類や素材などの遊具は、子どもが要望すれば職員が保管場所から出して提供する体制で、子どもが主体的に活動できる環境にはなっていません。

・性差については、出席簿は月齢順とし、持ち物や服装、遊び、グループ分けなど固定観念に基づく区別はしていません。

・児童虐待防止については、年度全体保育計画や重要事項説明書に児童虐待防止の項目を設けて職員に周知するとともに、保護者にも園の取り組み姿勢を説明しています。登園時や着替え時に子どもの言動や様子の把握、観察を行い、虐待の早期発見に努めています。

・職員が守るべき服務規律や守秘義務、子どもや保護者の個人情報保護などは、就業規則や設置法人作成の「個人情報保護の方針」により、入職時や研修で職員に周知しています。子どもや保護者のプライバシー保護に関しては、園長が注意喚起はしていますが、規程やマニュアルはありません。

・年度全体保育計画に「愛情を持った呼び方(敬称を付けた呼び方)を心掛ける」「子どもの話を聞く時の姿勢は身をかがめる、身体に触れながら膝の上に乗せるなど、子どもが話し易い状況を作ることを心掛ける」「大きな声や高圧的な態度はとらず、肯定的な言葉を使う」などの職員が自覚して行うべき事項を記載して、研修で周知し、実践しています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・行事や保育参加後のアンケート、意見箱などで保護者の要望や意見を、送迎時や懇談会、個人面談などの機会に保護者の満足度を把握しています。

・4月の懇談会で配付する「重要事項説明書」に、要望・苦情についての園内受付担当者、第三者委員、かながわ福祉サービス運営適正化委員会などの連絡先を記載するとともに、園内に第三者委員、人権オンブズパーソンのポスターを掲示し、意見箱を設置して、保護者が意見を述べやすい環境を整えています。

・苦情解決について、保護者に「重要事項説明書」「懇談会資料」で説明していますが、苦情解決の仕組みや流れを説明したチャートなどは掲示していません。

・子どもには、ゆっくりと分かりやすい言葉づかいで話をし、活動の目安や目的、ルールなどを年齢に応じて説明しています。また、子どもの思いをよく聞きとり、要求を理解するよう心がけるとともに、子ども一人一人の個性を理解し、対応するようにしています。

・おもちゃ類は豊富に用意されていますが、自由に取り出して遊べる環境にはなっていません。

・障がいのある子どもについて、川崎市中央療育センター、川崎市発達相談員、専門機関のカウンセラーの助言を受けています。

・子どもの年齢、発達状況に合わせ、保護者と連携して食事、排泄、着替えなどの基本的生活習慣が身につくよう援助しています。室内では裸足で過ごし薄着を心がけるとともに、床暖房、エアコン使用時期には、自分でも衣服を調整するように伝えています。幼児クラスに麦茶ポットを置き、水分補給が大切なことを伝え、麦茶を飲んだ後は自分でコップを洗っています。

・子どもに手洗い、うがいの習慣が身につくように援助しています。幼児クラスでは、散歩や園庭遊び、戸外活動での注意点やルールを伝えたり、毎月の「約束事」(例:石や砂を投げない、部屋では歩いて移動するなど)を月曜日の朝会で子どもたちに伝えています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・園のパンフレット、設置法人や川崎市のホームページ、中原区総合子どもネットワークの子育て情報誌「このゆびと〜まれ」に園の情報を掲載しています。

・利用希望者には園の見学を必ずしてもらい、園の保育方針や行事関係、保育内容などを説明し、施設案内をしています。「慣らし保育」は7日程度を目途に行っています。

・子どもの心身の発達状況は、0〜2歳児は毎月、3〜5歳児は3か月ごとに記録し、「児童票」の「個人観察記録欄」に記入しています。

・年間指導計画、月間指導計画、週案を作成し、各指導計画には療育センターなどの専門機関の助言を取り入れ、子どもの意向も把握し反映しています。年間指導計画は年4回、月間指導計画は月末、週案は週末に評価・見直しを行い、職員会議、リーダー会議などで話し合って指導計画のねらいの変更などを行っています。

・子どもの状況に関する情報は、「早番用紙」「引き継ぎノート」「遅番連絡事項」などを使って職員間で引き継ぎを行い、共有しています。

・保育サービスの基本事項、手順は「業務マニュアル」に明記し、標準的な実施方法の概略(子どもとの関わり方、健康管理、緊急時対応、苦情解決システムなど)は、年度初めの合同法人研修の年度全体保育計画で説明しています。

・「危機管理マニュアル」に、事故発生時の対応とフローチャートが明記され、事故、地震、感染症などに対応したマニュアルを整備しています。設置法人本部や系列園と連携をとり、危機管理や安全確保、事故防止について情報を共有し、自園の危険箇所の確認や、安全チェックリスト作成に取り組んでいます。

・災害時に備えて、ロッカーなどの転倒防止対策を講じたり、119番通報要領、緊急連絡先リストを作成し事務室に保管したり、保護者宛に一斉配信メールができる体制を整えたりしています。年に一度、消防署の協力を得て、避難訓練を行っています。食料や毛布、医薬品などもリストを作成して備蓄しています。

・ヒヤリハットやケガなどの事例は職員会議、朝礼などで話し合い、未然防止策の検討、遊びのルールの見直しや子どもとの「お約束」を毎月決めています。

4 地域との交流・連携

・園や川崎市のホームページに施設の写真や園情報を、中原区総合子どもネットワーク発行の子育て情報誌「このゆびと〜まれ」に一時保育情報などを掲載しています。また、納涼会や友遊祭(運動会)などの園行事開催時に、町内会掲示板にポスターを掲示して近隣住民や見学者に参加を呼びかけたり、地域の子育てサロンなどで園のパンフレットを配布したりしています。

・一時保育を実施したり、園見学者から保育相談を受けています。また、地域の子育てサロン(あゆみ)に年4回職員(4名/1回)を派遣し、手遊びやふれあい遊び、パネルシアター、楽器の演奏などの支援を行っています。

・ボランティア受け入れに関する基本姿勢を明文化したものはありませんが、三味線やサックスなどの楽器演奏を行う大学生や保護者のボランティアを受け入れ、また保育の職場体験として、近隣の中学生や高校生も受け入れています。

・園長が中原区認可保育園園長会、中原区幼保小連絡会などに参加し、主任が中原区総合子どもネットワーク会議の子育て情報ガイド「このゆびと〜まれ」の作成、発行に参画して、地域の福祉ニーズの把握に努めています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・理念に、子どもの人権を守り尊重することなどを掲げ、法人の目指す方向性や考え方などを読み取ることができるものになっています。保育目標も、「子どもたちの権利が守られ、尊重される保育環境の実現」として、3つのより具体的に目指すものを掲げて、職員の行動規範としています。

・クラス懇談会資料に、理念、保育目標、年齢別保育目標や保育内容などを記載し、わかりやすく、理解しやすいものになるよう工夫しています。

・園長は、園の課題や問題点を把握し、年度初めの法人合同研修で職員に周知し、解決に向け取り組んでいます。中長期計画はありますが、課題解決に向けた具体的な内容の記載はありません。

・全体保育計画は、年度初めの法人合同研修で職員に説明し、事業計画記載事項や川崎市の指導監査指摘事項の改善すべき課題などは職員会議で説明していますが、その他の事業に関わる項目については記載されたものがありません。

・「多摩保育園管理規定」に園長の役割を明記し、園長は、保護者からの意見やクレーム、第三者評価や川崎市の指導監査などで出た課題について、職員会議やリーダー会議で検討のうえ、具体的な対策、取り組みを職員に指示しています。

・第三者評価を定期的に受審し、その結果やその際に実施した職員の自己評価結果を、園運営や保育に生かしていますが、園としての自己評価は行っていません。

・園長は、中原区認可保育園園長会などの情報で地域の保育サービスのニーズや変化を、入園希望者に実施する園見学で潜在的利用者の状況を、また一時保育で1、2歳児の需要が多くなっていることなどを把握しています。

6 職員の資質向上の促進

・職員は川崎市「保育所職員配置基準」に基づき、常勤職員は保育士、栄養士ともに有資格者を、非常勤職員も保育士は概ね有資格者を採用し、園内研修と一般財団法人川崎市保育会の研修を主体に人材育成を行っています。

・「就業規則」に服務規律と守秘義務、「個人情報保護の方針」に個人情報に関する園の基本方針や管理方法などを記載し、入職時の研修や年度初めの法人合同研修で、規範、倫理、法令遵守などを周知しています。職員が、スマホを園内に持ち込むことを禁止するなどの取り組みも行っています。

・実習生の受け入れは、受け入れ窓口やオリエンテーションは主任が担当し、学校側から誓約書を受領して責任体制を明確にしたうえで行っています。

・職員に求める基本姿勢や意識は、入職時オリエンテーション資料に「多摩福祉会職員心得」、年度全体保育計画に「保育園職員としての自覚」を記載して明示しています。

・職員一人一人の年間研修計画はありませんが、年度の運営組織表で分野別の研修担当者を決め、職員の希望もとって、一般財団法人川崎市保育会主催の研修(現任職員研修会、夏季職員研修会、保育特別対策委員会(音楽班、造形班、健康班、食育班)など)や川崎市主催の研修などに参加しています。

・園長は、職員の有給休暇取得促進のために有給休暇の月1回取得を制度化したり、時間外労働削減のために職員会議の時間帯を変更したりしています。また、業務の電子化を進めて、業務の効率化、職員の負担軽減も図っています。

・園として公益財団法人神奈川県福利協会と一般財団法人川崎市保育会に加入しており、職員はそれぞれの福利厚生サービスを受けることができるようになっています。職員は、悩みごとがある場合には、臨床心理士に直接相談できる体制になっています。

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