かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

長寿保育園(2回目受審)

対象事業所名 長寿保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 長寿福祉会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 211 - 0034
中原区井田中ノ町12-20
tel:044-777-5403
設立年月日 1965年04月01日
公表年月 2019(令和元)年05月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要・立地の特徴】

●長寿保育園は、社会福祉法人長寿福祉会(以下、法人)の経営です。昭和40年4月に川崎市中原区に長寿保育園を開設し、他川崎市に、「井田保育園」、「あさのみ保育園」、「ふくじゅ保育園」の計4園を展開しています。法人は昭和40年に設立し、地域の子どもが成長し、社会に役立つ人間となるよう、「子どもが長く健康であるように」と願い、そして「子どもの成長を寿ぐ(ことほぐ・祝う)」思いを据え、「長寿」と命名された創始者の想いがつながれています。法人の理念に『縁(えにし)』を尊び、子ども、地域、未来、であい、保育に係わりであった、子ども、地域、未来を周りから見守り、支えていくことを大切にする、の思いを全園の根幹として、子どもの将来へつなぐ『縁』を大切にして保育にあたっています。
●長寿保育園は、東横線元住吉駅下車、ブレーメン商店街を西へ15分くらいの新旧住宅地の一角に位置しています。駅前には住吉神社、近くに井田神社、井田小学校があり、法人系列園の井田保育園もあります。この辺りは比較的古くから開けた土地でしたが、グリム童話のブレーメンの音楽隊になぞらえた「ブレーメン商店街」が好評を博し、東京・横浜間のアクセスの良さと日吉に隣接する等、住宅地としての発展も伸長している地域です。

〈特に良いと思う点〉
1.【「縁(えにし)」を大切にした子どもの育成】
●法人理念として「縁(えにし)」を重んじ、長寿保育園の方針は理念に基づき、「一人ひとりの子どもの気持ちに寄り添い、やさしい言葉かけを行い、共感することを大切にしています。」に置き、「心身ともに健康な子」、「豊かな感性をもてる子」、「十分に遊び込める子」を保育目標とし、「良く食べ、良く遊び、良く眠る。」ことを大切にしています。『長寿』に沿う「心身ともに健康であること」を重要に捉え、元気いっぱいに心も身体も育まれるよう保育に取り組んでいます。また、一人ひとりの思いや意見に耳を傾け、子どもの選択肢を多めに設定し、子ども自身で決められる自己決定を大事に捉え、子ども一人ひとりを伸ばす保育に力を注いでいます。そして、子どもとの『縁』を培う、保育を目指しています。
2.【「縁(えにし)」を大切にした地域とのつながり】
●理念に沿い、保育園として関わりを深めている地域を見守り、支援していくことが地域に根差す保育園の使命とし、大切に取り組んでいます。園の敷地内にあるボーイスカウト、別棟に設定された一時保育、また、地域交流として月2回の「おしゃべり会」、ベビーマッサージの講習会、地域の高齢者施設への訪問、近隣の小中高生との交流等、地域に寄与し、全てが地域との『縁』です。さらに、子育てサロンへの出張保育や、社協主催の行事への出張保育へも協力し、一層地域との『縁』を深めていきます。
3.【食育の充実】
●食育の年間目標に、「食べることが嬉しくて楽しくなる子」を掲げ、目指す子ども像に「1.お腹がすいてリズムが持てる子ども」、「2.食べたいもの好きなものが増える子ども」、「3.一緒に食べたい人がいる子ども」、「4.食事づくりに関わる子ども」、「5.食べ物を話題にする子ども」とし、食育活動では栽培する、野菜に触れる、調理をする活動を実施し、食への一連の流れを知り、おいしく食べ、マナー良く食事を行う等、食育を進めています。誕生会の食事では、年間テーマに沿って提供し、彩、盛り付けに子どもが喜ぶ一手間を添え、非日常的な「お祝い感」を演出して喜びを共有しています。
<さらなる期待がされる点>
1.【災害時の備蓄の工夫】
●長寿保育園は、園児180名、職員50名の大規模保育園であり、災害時の食料として3日間分は備蓄があることが望まれますが、現状、改善を必至としています。しかし、長寿保育園の特長の1つとして、食育の取り組みが挙げられ、お米も脱穀して納入する等こだわりを持って取り組んでいます。厨房の在庫管理を明確にし、最低在庫量を決めれば在庫を含めた備蓄表示が可能だと思われます。在庫管理の適正化と併せ、備蓄在庫表示の作成に取り組む等、検討を期待いたしております。
2.【近年の気になる子どもへの対応】
●気になる子どもへの対応について、ケース会議で情報を共有し、職員間で対応できるよう努めています。さらに、定期的に会議を開催し、職員間で意見交換が図れるよう今後、取り組んでいくことを検討しています。近年、保育において色々な子どもへの対応方法・技術が求められてきている現状を踏まえ、経験値の浅い職員や、新人職員等において、研修や勉強会で研鑽を図る機会を求められています。川崎市では発達コーディネーター研修が開催されており、園長をはじめ、発達コーディネーター研修を受講した保育士、経験値の高い保育士等が講師となり、経験値の浅い職員を対象に定例会議等を開催する等、誰もが対応できる体制づくり、知識・技術を深める機会について一考されることを期待しております。
2.【さらなる職員の質の向上】
●長寿保育園は、歴史ある保育園であり、川崎市には法人系列保育園4園があり、経験値の高い保育士を中心に若い保育士も多く、人的に恵まれた保育園です。職員の育成は段階的に取り組まれていると思いますが、経験値の高い保育士は法人系列保育園間での異動があったり、追々にして2極化になりがちな職員層を鑑み、中間層の教育と共に、経験値の差異における教育に注力していくことも必要に思われます。例えば、経験値の浅い職員が当たり前のことが解らないことが経験値の高い職員には当たり前すぎて気づかないケースが発生しやすいこともあり、体制としても同様のことが言えます。当たり前のことについては主旨が欠落していたり、言葉足らずとした指示になりがちであり、質問する側も遠慮や自己解決となり、ひいては温度差や理解の共有が図れていなかったということに陥りがちです。教育、研修の機会に、当たり前のこととしている事柄・業務等についてのチェック表等を設けるのも一考かと思われます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ●園では、子どもの意思を尊重し、気持ちを受け止め、発達状況に合わせて一人ひとりの思いや意見を傾聴し、選択肢を多く設定し、子どもの意思決定を大切にしています。日常の保育では子ども個々の好み、遊び、色等について性差への先入観を待たないよう、子どもに自由に選択ができるよう、個人の意思を尊重する保育を実施しています。川崎市の「子どもの権利条例」を基に園内研修を行い、人権尊重について学び合い、理解を深めています。
●保育理念の1つである「子ども一人ひとりを大切にし未来に生きる力を育てる」を基に、全職員で共通認識を図り、保育に当たっています。園では、否定的な言葉、声のトーン、子どもの目線で伝える、子どもの気持ちに寄り添うことを心がけ、子どもの自尊心を損なう言葉や、名前の呼び捨てをしないよう職員間で確認しています。虐待の防止・早期発見については、「虐待防止マニュアル」を備え、全職員に対して乱暴な言葉遣いや、手荒い振る舞い等、精神的な虐待をしないよう注意しています。早期発見については、保護者との会話や登降園時の親子関係、着替え時の身体チェック、子どもの心身の状態を把握し、職員間で注意し合うようにしています。
●個人情報保護については、就業規則に明示し、職員に守秘義務を周知徹底しています。保護者へは園のしおりに記載し、入園時に同意書を得ています。また、病院受診時や、保育所児童保育要録提出時にも同意を得ています。プライバシー保護、守秘義務については、個人情報保護規定を遵守し、マニュアルを完備して理解を深めています。また、子どもの羞恥心に配慮し、おむつ替えの場所や着替えについてプライバシーに配慮し、幼児トイレにもドアを備えています。職員は、保護者の意向に沿った守秘に配慮しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ●利用者満足の把握に向け、懇談会、個人面談(年1回及び随時)、行事後のアンケート、園全体に関するアンケート(年度末)を実施し、保護者の意見・要望を聞く機会を設けています。年度末実施のアンケート結果は分析後、開示して保護者へフィードバックしています。また、保護者会役員で意見交換を行い、出来得ることから改善に努め、利用者満足につなげています。第三者評価受審年度は第三者評価の利用者アンケートから意見を抽出し、保育に生かしていきます。
●意見、苦情、相談等については、連絡帳の活用や、事務室の入口は常に開放し、保護者が気軽に話しかけができるよう雰囲気作りに努めています。子どもや保護者からの苦情・意見等については、複数担任制を設け、相談等がしやすいよう、相談相手を選択ができるよう配慮しています。苦情、意見等を受けた担任は、主任、園長に報告し、内容を共有して話し合い、速やかな対応に努めています。
●長寿保育園の方針として、一人ひとりの子どもの気持ちに寄り添い、穏やかな声で話しかけ、子どもの話しを丁寧に聞き、共感することを大切にしています。特別の配慮が必要な子どもには個別カリキュラムを立案し、他児も見通しを持って対応できるように心がけ、専門機関からも助言を得ながら職員間で学び合い、支援に努めています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ●園の必要な情報は、法人のホームページやパンフレット、園のしおり等で提供しています。園見学は園長と主任が施設内の案内をし、1日3組程度(1日午前と午後の2回)と決めて対応しています。見学時はパンフレットと園見学用の資料を配付し、園生活の様子や行事の写真等を閲覧してもらいながら視覚的にもわかりやすく説明しています。サービス利用開始後は慣らし保育を実施し、事前に子どもの体調等の確認や好きな歌や遊び等の情報を共有し、期間については保護者の就労状況に応じて柔軟に対応し、3日程度を目安に実施しています。保護者とは密に連携を図り、個別に子どもの様子を伝え、情報を共有しています。
●全体的な計画を作成し、園目標を基にクラス別、個人別の年間保育計画、月間保育計画を職員間の意見を反映させて作成し、園長が最終確認をして承認しています。また、新保育所保育指針を踏まえ、「養護」と「教育」の各領域を考慮して作成しています。実施・評価に関しては園長及び主任が検印し、職員会議で共有しています。サービス実施状況の記録については、日々の記録票に「家庭支援」の欄を設け、適切に記録しています。乳児は、連絡帳に毎日記録を行い、幼児はその日の子どもの様子をICT(Information and Communication Technology情報通信)化したシステムで伝えています。書類・記録の記入の仕方については、新人保育士へは研修を行い、実務ではリーダーが確認する体制を整え、向上に努めています。
●提供するサービスの標準的な実施方法については、通常のマニュアルに加え、年齢別の保育マニュアル、早番・遅番用のマニュアル、土曜日のマニュアル等を整備し、標準化が図れるよう周知しています。安全対策については詳細に明示しています。各マニュアルは年度ごとに見直し、共有しています。実施方法では、子どもの接し方については保育士自身が気持ち込めて関わるよう心がけ、子どもの気持ち、意見について担任が極力吸い上げ、保育に反映させるよう見直しを図っています。
4 地域との交流・連携 ●園の情報提供は、川崎市ホームページ、かわさきし子育て応援ナビ、中原区子育て施設マップ、中原区地域子育て情報カレンダー「なかはら子ネット通信」、法人ホームページ等に情報を開示しています。地域子育て支援事業の「おしゃべり会」、園庭開放等の情報を発信し、園の外の掲示板にも掲載して情報を提供しています。
●子育てサロンへの出張保育、中原区社会福祉協議会主催行事への出張保育、「おしゃべり会」の一環としたベビーマッサージ講習や離乳食試食会の開催等、保育園が有する機能を地域に提供しています。また、1歳の記念として手形を作成してプレゼントを行い、園庭開放での利用者に対して育児相談を行う等、地域の子育て支援に貢献しています。ボランティアの受け入れについては、ボランティア受け入れ規定を設け、園の方針や姿勢を明確にし、受け入れ体制を整えています。学生にはボランティア証明書を提出してもらい、双方が安全に体験できるよう配慮しています。
●地域の関係機関との交流、団体との連携では、中原区の園長会、中原区の幼保小連絡会、中原区の「子ネット会議」に参加しています。中原区の園長会議を通じて、中原区の児童委員、民生委員、地区担当保健師と意見交換を図り、地域の福祉ニーズを把握しています。定期的に子ども会、小学校との連絡会に参加し、地域との関係作りに取り組んでいます。また、分野、領域を超えたネットワーク事業での「地域生活支援SOSかわさき事業」に参加し、地域で他の福祉施設と協力し福祉ニーズに応じた活動に参加し、積極的に協力し合い交流を深めています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ●法人理念は「縁(えにし) こども、地域、未来、であい」、「保育で関わり出会った、子ども、地域、未来を周りから見守り、支えていくことを大切にする」を掲げ、事業計画、ホームページ、パンフレット、園のしおりに明示し、玄関に誰もが目に付くところに掲載しています。理念で重んじる「縁(えにし)」に沿い、園の保育理念、園目標、保育方針を作成し、理念を念頭に保育を展開しています。中長期計画については、法人として中長期計画は作成していませんが、青写真を描き、「事業計画」と中期(3〜5年)にやっておくべきことを明確にした「中期経営計画」を策定し、明文化しています。
●園長の職務と責任は重要事項説明書、就業規則等で明文化し、職員会議で自らの役割と責任を職員に対して表明し、園長の考えを示し、判断すべきことについて会議等で言及し、体制の定着に尽力しています。園長は、職員配置に配慮し、職員の意見・意向を把握し、働きやすい職場環境作りに努め、業務の効率化、改善に向けた運営に取り組んでいます。また、職員に対してチーム力、コミュニケーションの大切さを伝えています。
●サービス内容については年2回、自己評価を実施し、自己評価の分析を基に園長面接を実施し、職員個々の課題を共有しています。また、自己評価に改善指導欄を設け、全職員で話し合い、課題について全体で取り組んでいます。サービス内容については、法人全体で話し合い、課題を抽出して改善策や計画を作成し、明文化して取り組んでいます。
6 職員の資質向上の促進

●人材の採用については、年2回の職員面接で職員の意向を把握し、新年度の採用人数等の人材確保に取り組み、適正な人材の採用に努めています。人材育成に関しては、法人の主任会でキャリアパスを検討して体制を構築し、経験年数別のキャリアパスを一覧表にし、人材育成の目安を明文化しています。

●職員の教育・研修については、年度初めに担当者を定め、研修計画を策定しています。川崎市、中原区、川崎市保育会主催の研修・勉強会に参加し、保育に生かしています。研修受講後は研修報告書を作成し、職員会議で報告する場を設け、職員間で知識・技術の共有化を図っています。職員一人ひとりの目標を基に園長と面接を行い、目標の反省、振り返りから課題を抽出し、共有を図り、次年度の目標につなげ、職員の資質向上に努めています。

●園長は、職員の日々の様子、就業状況や意向を把握し、シフトの調整を図り、職場環境に配慮しています。また、有休消化率や時間外労働の状況を確認し、有給残日、土曜振替をシフトで消化するよう取り組んでいます。定期的に職員と面接を実施し、必要に応じて業務内容や人的配置を見直し、改善に努めています。福利厚生では、夏休み休暇(5日間)、観劇、健康診断、産業医によるメンタルケア等を実施し、スポーツやレクリエーションを積極的に行い、職員の心身の健康維持に取り組み、福利厚生を整えています。また、一定基準を満たした職員は海外視察研修があり、関東ブロック会議では宿泊での出席を支援しています。

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