かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

境町パイナップル保育園

対象事業所名 境町パイナップル保育園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 同塵会
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 210 - 0838
川崎区境町11-9
tel:044-222-8686
設立年月日 2016(平成28)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年05月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)
【施設の概要・特徴】
●境町パイナップル保育園は、社会福祉法人同塵会(以下、法人)の経営です。法人の設立は昭和41年3月であり、昭和42年に横浜市港南区に特別養護老人ホーム芙蓉苑の開設に端を発し、現在、神奈川県に特別養護老人ホーム7施設、認知症対応型共同生活介護1施設、横浜市地域ケアプラザ5施設、認可保育園を8施設(内1施設は東京都)を運営し、主に横浜市、川崎市中心に地域福祉社会の創造に向けて貢献している法人です。境町パイナップル保育園は、川崎駅からバスで5分程度、さつき橋バス停から徒歩1分の国道から少し入り、「特別養護老人ホーム境町フェニックス」を併設した保育園です。園舎内は、広いスペースとゆとりある環境設定が成され、子どもたちはのびのびと遊び、さらに、合築を生かした子どもと高齢者との世代間交流を保育に取り入れ、双方で活性化が図られています。
●境町パイナップル保育園の理念は、「1.児童福祉法に基づき、人権や主体性を尊重し、自ら伸びゆく可能性を信じて、お子様のために誠意の限りを尽くします。」、「2.子どもが現在をもっともよく生き、一生を通じて学び続ける姿勢を持ち、幸せな人生を送るための土台を築いていきます。」を掲げ、理念の実現を目指して「一人一人を大切にする丁寧な保育」を指標に保育を実践しています。
〈特に良いと思う点〉
1.【子ども一人ひとりを大切にする保育・環境整備】
●境町パイナップル保育園の保育の特徴は、子どもの視線に立った保育を目指し、子どもの姿、発達に合わせて毎月のねらいを決め、子ども一人ひとりを受容し、個々の発達の過程や生活環境等の理解を深め、個々に合った働きかけを行う点にあります。幼児クラスでは、子ども一人ひとりの個性を大切にし、それぞれの子どもに合った援助を行い、子どもが好きな遊びや「その時」にやりたい遊びが選べるよう複数のコーナーを保育室内に設置し、集中して好きな遊びを一人でも、友だちと一緒に遊べる環境を保障しています。
2.【地域との交流】
●地域社会に開かれた保育園を目指し、子育て支援事業としての園庭開放、子育て相談等の実施や、園での人形劇の公演等に近隣の小規模保育園、地域の方々を招待して園の理解につなげています。また、区主催のスタンプラリーでの押印施設として協力し、一時保育では年間100名を超える子育て家庭の子どもの受け入れを行い、地域に寄与しています。実習生の受け入れでは、養護学校、就労支援施設等の実習生の受け入れを行い、併設施設の特別養護老人ホーム境町フェニックスに子どもたちがハロウィンで訪問する等、地域との交流に努めています。
3.【モンテッソーリ教育の推進】
●境町パイナップル保育園では、幼児教育理論の1つ「モンテッソーリ教育」を採用し、保育に展開しています。0歳から6歳までの乳幼児期に子どもの体や人格形成の基礎を築く大切な時期、長い人生の基盤となる時期の礎の一環として、モンテッソーリの考え方を取り入れ、教具の活用を中心に、「自ら育つ力」を援助する目的を持って展開しています。自由に自分で自分の活動を選び(自由な個別活動)、子どもの自発性を重んじた知的好奇心を養い(自由な環境)、異年齢での縦割り保育の実施等、障害児、全ての子どもに対する理論として取り入れ、保育に生かしています。
<さらなる期待がされる点>
1.【職員のさらなる質の向上】
●境町パイナップル保育園は、平成28年4月の開園であり、川崎区の中心部に同建物の特別養護老人ホーム境町フェニックスと同時開設をし、法人共々知名度は高く、評判も良い境町パイナップル保育園です。体制については、園長をはじめ、経験値の高い保育士が在籍する反面、経験値の浅い職員も多く、さらに、教育手法に厳しいモンテッソーリ教育の展開や、園として保護者対応への統一等、やらねばならない事項は多々ある中、職員の資質が問われる面も多いと思われます。園長の尽力と全職員で日々勉強中と思いますが、さらなる「境町パイナップル保育園とは」と言える接遇の確立、サービスの質の向上に向けた研鑽を期待しています。
2.【さらなる近隣との連携について】
●境町パイナップル保育園は開設4年目であり、地域との連携・交流の良さは園長をはじめ、行政との連携等、ご努力で広げられています。園は位置的に川崎駅前から大通りに面した地域であり、周辺はマンション等の集合住宅が中心で一戸建ての住宅は少なく、近所付き合いとなると比較的難しい周辺環境となっています。地域との交流を展開された工夫・努力から、さらなる近隣との関係構築の工夫、取り組みに期待がされます。
3.【環境設定のさらなる有効活用について】
●境町パイナップル保育園は、園舎内の環境設定に関しては非常に恵まれた環境であることが言えます。但し、豊かでゆとりある環境の利用価値はさらにあると思える面もあります。活用方法について、さらなる地域の子育て支援の展開や、地域への一部開放、関係機関との協働による活動等についても貢献できることもあるかと思われます。人的要因の問題もありますが、広いスペースを一層の有効活用を図っていかれることを期待いたしております。
評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ●子どもの意思を尊重し、気持ちを受け止め、発達状況・年齢に合わせて一人ひとりに対応するよう心がけ、子どもが安心して意思表示ができるよう保育士との信頼関係作りに努めています。また、自分で自分の好きな遊びが選択できる環境設定を進めています。園長は、気持ちや行動の切り替えが苦手な子どもについて、事前にこれからすること、予定や選択肢での見通しを伝えたり、予告の声かけのタイミングに配慮する等、子どもの気持ちを受け入れながら切り替えの方法を職員に指導しています。職員は研修で人権尊重について学び合い、理解を深めています。
●保育理念に「児童福祉法に基づき、人権や主体性を尊重し、自ら伸びゆく可能性を信じて、お子様のために誠意の限りを尽くします。」を基に、全職員で共通認識を図り、保育に当たっています。乳児会議、幼児会議や園長による研修会を実施し、心理相談や個別支援の専門家から子どもの対応について指導を受け、理解を深めています。虐待の防止・早期発見については、「虐待防止マニュアル」(法人作成)を備え、乳・幼児会議の中で虐待事例を基に勉強会を実施し、意識を高めています。また、登降園時の親子関係に留意し、アイコンタクトで話を聞くよう心がけ、着替え時の体のチェック、子どもの心身の状態・変化を常に把握し、「気づき」を持って対応するようにしています。
●個人情報保護については、職員に守秘義務を周知徹底しています。保護者へは全体説明会時に重要事項説明書で説明を行い、入園のしおりにも記載して配付し、同意書と共に個人情報使用同意書についても同意を得ています。また、川崎市の発達相談員等に相談・助言を得る際は、必ず保護者へ口頭で承諾を得てから実施しています。職員は、子どもの一人ひとりの言葉や気持ちを表現する仕草等を受け止め、子ども気持ちに寄り添い、共感しながら接するよう心掛けています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ●利用者満足の把握に向け、行事後にアンケートを実施し、要望、希望等を把握し、アンケートは集計・分析し、アンケート結果は開示し、保護者へフィードバックしています。職員に対してもアンケート結果内容を報告し、意見、指摘事項については次年度以降に再考し、出来得る事項は速やかに保育に反映するよう取り組んでいます。
●意見、苦情、相談等については、意見箱を設置し、いつでも意見が述べられるよう整備しています。保護者とは登降園時にコミュニケーションを図り、関係作りに努め、職員体制の意識付けを行い、いつでも保育士に話しかけやすいよう雰囲気作りをしています。子どもや保護者からの意見等については、直ぐに答えられる内容については、主任判断として迅速な対応に努めています。園全体、検討事項に関わる場合は、園長に報告し、判断を仰いて対応しています。子どもに対して、褒める時はみんなの前で褒め、叱る時は他児から離れた場所で個別に対応するようにしています。
●保育の基本として、乳児クラスは、個別に指導計画を作成し、子どもの姿、発達に合わせて毎月のねらいを決め、子ども一人ひとりを受容し、発達の過程や生活環境等の理解を深めて働きかけ、それにそって援助しています。幼児クラスでは、各年齢、発達、子ども一人ひとりの個性を把握し、その子に合った援助をしています。特別の配慮が必要な子どもについては、職員間で共通認識を図り、他児の力を借りながら共に成長できるよう統合保育を実施し、心理士や専門機関の助言を得ながら職員間で学び合い、支援に努めています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ●園の必要な情報は、法人のホームページやパンフレット、入園のしおり等で提供しています。園見学は申し込み制(毎週月曜10時〜)として案内していますが、希望者の都合も考慮して要望に応じるよう配慮しています。園見学者には施設内や保育の様子を見学してもらい、見学者用のパンフレットを配付し、説明を行っています。サービス利用開始後は慣らし保育を実施し、子どもの様子、保護者の就労に応じて柔軟に対応し、期間については基本的に1週間程度としています。入園決定後は新入児説明会(全体説明会)を実施し、個別説明、個別面接を行い、各家庭からの情報は職員間で共有し、日々の保育に生かしています。
●各種指導計画の策定では、各クラスでの打合せ、毎月乳児会議、幼児会議を実施し、必要に応じて複数回会議を行い、乳児クラスは毎月個別指導計画を作成しています。また、新保育所保育指針を踏まえ、「養護」と「教育」の各領域を考慮して作成しています。サービス実施状況の記録については、健康観察表、連絡帳で日々その日の子どもの様子を記録し、家庭と情報交換・共有を図り、記録は児童票ファイル(個人)に保管しています。園では、乳児に対してゆるやかな保育士担当制を採用し、1名の保育士が4名程の子どもを担当し、乳児時代に愛着関係を丁寧に育む体制を構築しています。
●提供するサービスの標準的な実施方法については保育所のマニュアル(法人本部作成)に明示し、園特有の項目等に関しては園で修正して実施しています。実施については、全体的な計画から週案作成までの流れを示し、クラスごとの事務量等も明確化し、全職員で確認し、共通認識を図っています。園長は、保育の状況を視察、確認をし、保育の進め方や個別項目をチェックし、クラス担任に助言を行い、口頭・実践指導を示しながら標準化が図れるよう取り組んでいます。
4 地域との交流・連携

●園の情報提供は、川崎市ホームページ、かわさきし子育て応援ナビ、川崎区地域子育て情報カレンダー、川崎区子育てガイドさんぽみち、法人ホームページ等に情報を開示しています。園庭開放の実施や園で招聘した人形劇の公演等に地域の方を招き、案内を川崎市の公報や園外の掲示板で情報を提供しています。園行事には卒園児も招待しています。

●園庭解放、子育て相談、一時保育(リフレッシュや非定型)を実施し、地域の子育て支援に貢献しています。また、園医による健康に関する講演会に近隣の小規模園関係者を招聘しています。ボランティア、実習生の受け入れでは、養護学校の実習生や、就労支援施設の実習生を受け入れ、工夫しながら施設利用を進めています。ボランティアの受け入れについては、近隣の高校生のボランティアの受け入れを行い、今後、中学生の体験学習等、要望があれば受け入れて行きます。
●地域の関係機関との交流、団体との連携では、川崎区の園長会、川崎区の幼保小連絡会、地域連携会議に参加しています。関係機関・団体との連携では、南部地域療育センター、こども家庭センター(中央児童相談所)と連携を図り、相談・助言を受ける等、連絡ができる体制を整えています。川崎臨港病院りんこう保育室や、併設施設の特別養護老人ホーム境町フィニックスと交流を図り、併設施設とは協働で夏まつりを行ったり、ハロウィンでは子どもたちが訪問し、夏休みには模擬店を出店して地域の方と一緒に楽しく過ごしています。

5 運営上の透明性の確保と継続性 ●理念・基本方針は、入職時に園のしおりを配付して説明を行い、職員会議でも都度、園長から話を行い、職員は理解を深めています。特に、年度末、年度初めには丁寧に説明を行い、職員面談で理解度を確認し、転入職者はクラス担当リーダーから引継ぎを受けています。中・長期計画は法人で作成され、園でも中・長期計画委員会を設け、計画に沿って大筋を立て、今年の課題、10年後の境町パイナップル保育園、保育士の質、修繕、組織化について継続して計画の検討を図っています。
●園長は、事務分担表、園長業務一覧表で業務内容を明確にし、職員会議、日常的に自らの役割と責任を表明し、判断すべきことについて会議等で言及し、体制の定着に尽力しています。園長は、常に業務省力化を検討し、日誌や連絡帳の書き方等についても省力化を推進しています。職員が過剰労働にならないよう効率的な残業を心がけ、事務を分担し、役割分担の平均化に尽力しています。園長は、各クラスを巡回し、定期的に職員面談を実施し、職員の意見、意向を把握して働きやすい職場環境作りに努め、改善に向けた運営に取り組んでいます。
●サービス内容の評価については、期ごとに各クラスでの反省を実施し、各クラスの反省点を職員会議で意見交換を図り、課題を抽出し、次期の計画に反映するようにしています。また、評価、分析、反省により、対応すべき課題については迅速に対処し、解決に費用等が生じる場合は一定期間現状維持をしながら工夫を取り入れ、改善の準備を進めるようにしています。今年度、第三者評価を受審し、サービス内容の質の向上につなげていきます。
6 職員の資質向上の促進 ●人材の採用については、法人本部にて公募を行い、必要な人材や人員体制に関しては園で必要性を法人本部に上げ、適正な人材の採用に努めています。必要に応じて派遣会社も活用しています。現状、人員は充足していますが、将来に向けた採用計画や、職員の休憩時間の保障等、待遇面の検討を行い、働きやすい環境作りに努めています。年1回、職員の意向調査、希望・要望等を聞き、改善に努めています。また、人員体制については、子どもに応じて加配申請や、法人本部の援助(加配相応)、早番・遅番時間帯の残業を認める等、職場環境の整備に努めています。
●職員の教育・研修については、入職時に法人本部で1日間研修を実施し、配属後は園で内外研修を行い、全職員に研修参加の機会を設け、資質向上に努めています。職員は、モンテッソーリ研修に参加し、モンテッソーリの考え方、教具の活用を中心に保育に生かしています。研修受講後は研修報告書を作成し、会議で報告し、研修報告書は閲覧できるようにして職員間で知識・技術の共有化を図っています。教育・研修計画の評価、見直しに関しては、復命書や研修報告を参考にして見直しを行い、保育士の資質向上、職員相互の研鑽を図っています。
●園長は、職員の日々の様子、就業状況や意向を把握し、シフトの調整を図り、職場環境に配慮しています。また、有休消化率や時間外労働の状況を確認し、定期的に「意向申告書」に沿って職員と面談を実施し、必要に応じて業務内容や人的配置を見直し、法人系列園での勤務変更等、改善に努めています。福利厚生では、医療健保の健康保険組合に加入し、腰痛検査やストレスチェック等を実施し、職員の健康維持に取り組んでいます。

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