かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

ヒューマンアカデミー大倉山保育園(2回目受審)

対象事業所名 ヒューマンアカデミー大倉山保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) ヒューマンライフケア株式会社
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 222 - 0002
港北区師岡町298番地
tel:045-546-3166
設立年月日 2014(平成26)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年05月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 よこはま地域福祉研究センター
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要】
ヒューマンアカデミー大倉山保育園は、東急東横線大倉山駅から徒歩12分の、周辺に神社やお寺、自然豊かな公園のある環状2号線に面した大型マンションの1,2階にあります。2014年(平成26年)ヒューマンライフケア株式会社によって開設されました。
1階には乳児クラスの保育室、ランチルーム、事務室や相談室があり、廊下奥の厨房はガラス窓になっていて、保護者や子どもたちは調理をしている姿を見ることができます。2階はワンルームをロッカーなど棚で区切った幼児クラスの保育室と「遊び場」と呼ばれる運動や集会に使われる多目的室、エレベーター横に本やベンチのある休息コーナーがあります。3階の屋上にあたるスペースに夏場はプールを設置しています。園内はバリアフリーになっています。
定員は90名(生後57日〜就学前)で、開園時間は平日は7時〜20時、土曜日は7時〜18時半です。
保育理念は「こどもの自立の芽を育てる」と定め、保育方針を「受け止める保育・支える保育・待つ保育」とし、保育方針を「自分で決められる子ども[自主性] 違いを認められる子ども[社会性] 命をたいせつにする子ども[慈愛の心]」としています。


1.高く評価できる点  

● 子どもたちのためのよりよい保育室の環境整備について園全体で取り組んでいます 
園では、保育所保育指針の中の「幼児期に育みたい資質、能力」を考え、子どもたちが自ら環境に関わることから探求心を重んじ、「やりたい」気持ちが発揮される環境、また、基本的生活習慣がスムーズに身につく環境について職員間で話し合いを重ね、各クラスで取り組んでいます。
乳児クラスは食事と睡眠の場所を分けてあり、おもちゃを自由に取り出し遊んだり、片付けしやすいよう棚や入れ物が工夫され、制作や遊びに集中できるよう、サークルなども使用して空間を分けています。また1歳児クラスはおむつ替えの場所を乳児トイレ脇に決め、スムーズに排泄に誘導しています。2歳児クラスでは自分で紙パンツやパンツを取り出しやすく、また口拭きタオルなどの汚れ物を片付けやすいよう、3段になっている個人ロッカーやカゴの使い方が工夫されています。各クラスの絵本は表紙が見えるような収納棚を利用しています。幼児クラスになると、木の板を工夫して並べ、ビー玉を転がす遊びやカードゲームや機織り機、縫物や編み込みの材料、箸など指先を使う物、色板など「図形」を作る物、世界の国旗、辞典など子どもたちが興味を持って取り組みたいと思える物が豊富に準備されています。子どもたちは自分でやりたいことがわかっていて、保育方針にあるように自分で決めて、自主的に興味のある物に集中して取り組んでいます。何日もかけて、辞典を目次から引いて世界各国の国旗を調べて色を塗り、挨拶の言葉も調べて国旗の横に書き、1冊にまとめたり、毛糸で機織りをしてバッグを何個も作ったりしています。
保育士は子どもの「やりたい」思いを受け止め、子どもたちの様子をみて教材を準備したり、話し合いながら柔軟に環境を整えています。

● 子どもたちは身体を使ったり指先をつかったり1日を動と静のバランスよく過ごしています 
子どもたちは天気の良い日には散歩に出かけ、戸外で十分身体を動かしています。また雨の日でも、乳児はレイアウトを変えて空間を広げた部屋やランチルームで体操をしたり、巧技台やマット、縄とび、ボールなどを使って身体を動かし遊んでいます。階段を使って遊ぶこともあります。幼児は「遊び場」を使い、マットや鉄棒を使ったり、走る、ジャンプする、など発達に即した運動を取り入れたり、ダンスレッスンを受けたり、リトミックをして、しっかり身体を動かしています。また身体を動かしたあとは好きな絵本を読んだり、ワークブックをしたり、ブロックやままごと遊び、折り紙や塗り絵など、座って遊んでいます。どの子どもも身体を動かす時は思いっきり身体を使って楽しみ、話を聞いたり制作する時は集中してじっくり取り組む、動と静のメリハリを持った生活をしています。

2.工夫・改善が望まれる点 

● 研修制度の充実が望まれます 
運営法人では保育所の理念や方針に適合した人材を育成するための取り組みを行っており、また職員の保育技術の向上に向けて園内研修の計画はありますが、計画どおり実施することができていません。また、非常勤職員は研修に参加できていません。
保育理念の実現のため、全職員のスキルアップに必要な研修について、改めて研修内容の見直しをすることが期待されます。また、法人主催の研修だけでなく、職員の希望に応じて外部の研修にも積極的に参加できるようにし、研修を受けたあと記録を残すことはもちろん、他の職員へも研修で得たことを伝えたり、振り返りなどを実施し、具体的に保育に活かしていくことが期待されます。
また、次世代の幹部を担う主任クラスの育成にむけての研修計画の充実が望まれます。

● 保育所の専門性を活かした地域子育て支援を期待します 
保育士や子どもたちは散歩先で会う地域の人や消防署など地域の施設の人と挨拶を交わしたり、地域のフェスティバルに作品を提供したり、ダンスを発表する等、地域と交流をしており、また各種会議に参加して地域の子育て支援ニーズの把握に努めていますが、そのことについて職員間で話しあったり、地域住民へ情報提供や子育てに関する講習や研修会をおこなっていません。園には栄養士・看護師など専門性の高い職員がおり「給食だより」や「ほけんだより」を作成しています。そういった専門職から離乳食や乳幼児の健康についての情報提供をしたり、誕生会や英語やダンスの時間などに近隣の親子が参加できる交流保育を計画したり、保育士による手先を使った制作等の育児講座を開くなど、専門性を生かした地域支援が期待されます。
また、育児相談を開催していますが利用者が少ないので、周知方法を工夫することが期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ・児童福祉法及び児童憲章を基にした「保育士に求められる倫理」を定めています。常に子どもの立場に立つことを優先することとし、子どもの人格を尊重する園の姿勢としています。子どもの呼び方については、「さん」「くん」「ちゃん」等を用い、呼び捨てやニックネームを用いることは禁じています。
・子どもが一人で過ごしたい時や、保育士が子どもと一対一で落ちついて話したい場合には、5歳児クラス奥に「休憩コーナー」があります。他にも「遊び場」や空いている時間のランチルーム等を利用しています。
・個人情報の取り扱い及び守秘義務については運営法人で個人情報保護方針を定め、全職員に周知しています。ホームページやブログ等への子どもの写真掲載については、入園時に保護者に説明し承諾が得られた場合に限り掲載しています。個人情報に関する記録は事務室内で施錠管理し、園内のPCでの情報の扱いについても限られた職員間でパスワードを用いて安全を確保しています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ・全体的な計画に基づき、年齢ごとに子どもの姿、ねらい、環境構成、保育士の配慮などの項目に沿って指導計画を作成しています。日常の保育において、活動前に活動の内容や目的を子どもにわかるように具体的に説明しています。保育士は子どもの姿をよく観察して態度や表情から子どもの思いを汲み取り、言葉にして返し、子どもの意向の確認をしたり、子どもの話に耳を傾け、意見や希望を聞いています。幼児クラスで始まったお店屋さんごっこが発展してレストランになり、乳児クラスを招いて遊ぶ園全体のレストランごっこへ発展させたり、劇遊びの内容を子どもと話しながら決めるなど、子どもの意見や意思を尊重して柔軟に対応しています。
・入園説明会時に、入園までの子どもの生育歴や家庭での生活の状況をヒアリングシートに記載してもらい、それを基に保護者と面接を行っています。アレルギー性疾患や離乳食の進み具合等については栄養士も一緒に面接しています。面接時に把握した新入園児の情報は、職員間で共有しています。
・保健衛生マニュアルの「清掃・消毒」、清掃チェック表に基づいて清掃がされていて、園内・外とも清潔に保たれています。今後はワンフロアになっている保育室では、体操など音楽を使うデイリープログラムの立て方、音楽のボリューム、保育士の声、子どもたちの声など、他のクラスに与える影響を考え、職員間で配慮することが期待されます。
・室内のレイアウトに関してはマット・サークル・パーテーション、又は絵本棚やままごとセット等でコーナーを設け、子どもがそれぞれの遊びに集中できる環境を整えています。5歳児保育室には、日本地図・世界地図・世界を知る辞典、刺繍や機織りの用具等が豊富に準備され、子どもたちはこれらのものを使い自分の興味を様々な作品や制作へと進める豊かな知力を得ています。
・近隣に貸農園を借りています。地元の住民に畑作業を教えてもらい、サツマイモ・ジャガイモ・茄子・玉ねぎなど多種類の野菜を育てています。苗植から畑の手入れ、収穫した作物を給食で食べるまでの体験をしています。
・子どもたちは、天気の良い日には毎日散歩に出かけています。園内の活動においてもリトミックやリズム遊び、巧技台や運動具を使う運動遊び等を積極的に取り入れています。
・給食の献立は行事食やご当地メニューなどを組み合わせて作成し、季節感のある豊かな食事作りを心がけています。行事食は、鏡開き、ひな祭り、子どもの日、ハロウィン、クリスマス等に関連した献立、ご当地メニューでは高知県のこうし飯、兵庫県のそばめし、佐賀県のシシリアンライス等、変化に富んだ内容です。食材は出来るだけ国産のものを信頼できる地元の業者から仕入れています。食器は安全性を考慮し強化磁器製で子どもの成長に合わせて数種類の大きさや形のものを用意しています。また、幼児クラスは1階のランチルームに移動して給食を食べています。
・毎月「給食だより」を発行し、子どもの食に関する様々な情報や人気メニューのレシピ等を掲載しています。その日の給食はサンプルを展示しています。また希望する保護者には保育参加の日に給食の試食を用意(材料費負担)し、園の味付けや子どもへの食べさせ方などを見てもらっています。
・各保護者とは子どもの送迎時に会話を心がけ、連絡帳を基に情報交換をおこなっています。個別面談については、年1回希望者のみ実施していますが、必要や要望に応じ随時おこなっています。
・保護者からの相談には内容に応じて相談室を準備し、落ち着いて相談が出来るように配慮しています。必要に応じ、園長や主任が助言したり相談の場に同席するなど、適切に対応しています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ・新入園児の短縮保育(ならし保育)は、1週間をめやすにしていますが、子どもの様子や保護者の状況に合わせて、相談しながら行っています。0,1歳児の新入園児に対しては、食事や午睡の場面で担当保育者を決め安心できるよう配慮しています。子どもの心理的拠り所とする物の持ち込みができます。0〜2歳児クラスでは、家庭と園生活の連続性を考慮した複写式の書式の連絡ノートを用いて情報を共有し、相互の理解を深めています。進級の際にはクラス担任の一人は持ち上がるようにし、在園児に配慮しています。
・障害児を受け入れるための環境設備として、園はバリアフリーの構造となっています。横浜市総合リハビリテーションセンターの巡回相談時などで助言や情報が得られる体制をとっています。障害児の特性を考慮した個別指導計画を作成しており、子どもの状況に合わせて個別の対応をしています。子どもたちはクラスの仲間として自然に受け入れています。
・外国籍など文化の異なる子どもに対しては、日本の文化や生活習慣、食生活を無理強いすることなく、考えの違いを認め尊重しています。子どもたちにはその国の様子や言語など違いがあることを伝えることにより分け隔てなく一緒に遊んでいます。連絡ノートはひらがなやローマ字で記録し、おたよりや必要な書類などは保護者で外国語の得意な方に協力をしてもらっています。
・第三者委員を定め、氏名、役職、電話番号などと共に直接申し立てることが出来る事を入園のしおりに掲載し、入園説明会でも保護者に説明、周知しています。玄関に意見箱を設置するとともに、第三者委員の連絡先、港北区役所こども家庭支援課、かながわ福祉サービス運営適正委員会の電話番号を掲示しています。日々の保護者との会話や懇談会、各クラスの保護者代表が参加する運営委員会、行事後のアンケートなどから保護者の要望や苦情を把握し、出来るところから改善するようにしています。
・子どもの健康管理に関するマニュアルは、「保健マニュアル」として作成しています。子どもの既往症に関わる注意事項の把握や毎日の健康状態把握のための観察事項を記載しています。食後の歯磨きは2歳児から取り入れ、3歳児まで保育士が仕上げ磨きをおこなっています。4歳児からは歯科健診の際に歯科衛生士による歯磨き指導を実施しています。
・衛生管理に関するマニュアルがあり、保育室とトイレには嘔吐処理セットを備え、手順を記し、感染症等の流行が予想される時期前には、看護師が嘔吐処理の研修をおこなっています。しかし、マニュアル内容について年に1回の見直しはしていません。マニュアルは運営法人で作成し、変更があれば新マニュアルが各園に届く仕組みですが、園内においても毎年マニュアルの読み合わせ等を実施し、衛生管理に関する意識の徹底が望まれます。
・安全管理に関するマニュアルがあり、自然災害、園内外の子どもの事故、食中毒、不審者侵入等さまざまな事態を想定した対応手順を記しています。緊急時の保護者への連絡は一斉メール配信のシステムを整えています。
4 地域との交流・連携 ・地域への子育て支援としては、一時保育を受け入れていますが、育児に関する講習会等は開催していません。看護師や栄養士による子育てに関する情報提供や、ダンスや英語・手先を使う制作等、子育ての専門家による支援の可能性は多くあり、実践的な地域住民との交流の機会が期待されます。
・地域に向けた園からの案内は、園の玄関ドアや町内会の掲示板に掲示しています。港北区内の育児支援イベントの開催時には会場に園のパンフレットを置いています。育児相談は毎週火曜日に実施しています。
・園の夏祭りや運動会には地域の保護者や子どもを招待し、一時保育の利用者や卒園児等が訪れています。地域の小規模園の子どもたちとの年間を通した交流や小学生・中学生・高校生の職業体験受け入れを実施しています。
・利用希望者からの問い合わせについては常時対応できる体制があり、見学にも応じています。見学は基本的に希望者の都合に合わせた日時で受け入れていますが、子どもたちの活動の様子を見てもらえる時間帯を勧めています。
・「保育ボランティア・職業体験マニュアル」を作成し、小学生・中学生・高校生の職業体験を受け入れています。ボランティアの活動前には利用者に対する必要な配慮等を説明しています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ・保育士等の自己評価の結果は、各クラスで話し合い職員会議で報告しています。会議などで自己評価を話し合い、園としての課題を明らかにして改善に取り組んでいます。保育園の理念や保育方針に沿って行われた保育園の自己評価は公表しています。
・職員には就業規則の服務規程を示し、全国養護施設協議会倫理要綱や保育士に求められる倫理、保護者とのよりよい関係について示し、職員の守るべき規範・倫理等を周知しています。園長は他施設での不適切な事案を会議などで職員に周知し、それらの行為を行わないよう啓発しています。経営、運営状況等は公開されていません。
・保護者からの希望も多い、3階の屋上を夏季のプール以外に使用することができないか、の重要な意思決定にあたりマンションの管理組合との交渉など、園長は、職員や保護者に詳しい状況、経過を説明し、意見交換をしています。
・運営法人は、人材育成計画を整備して主任クラスのリーダーを育成する仕組みを持っていますが、現在は副主任が主任代行を務め、個々の職員の業務状況を把握したり、助言できるように努めています。今後はスーパーバイザーの役割を担う職員の配置が期待されます。
・園長は、運営法人主催の園長会や港北区子ども家庭支援課や連携園との会議などから保育所運営に影響のある情報収集を収集・分析しています。重要な情報は職員間で共有するため会議で報告し、話し合っています。運営面での改善課題については、保育士の確保をどのようにするのか、園として取り組もうとしています。
6 職員の資質向上の促進 ・年度初めに保育力向上を目指し、食育や危機管理などのテーマで園内研修を計画していましたが、今年度は計画どおり実施されませんでした。また、横浜市や港北区の実地研修、運営法人主催の研修に参加した職員は少なく、非常勤職員も研修に参加していません。実践で使える研修の報告はしていますが、今後は園内研修の実施や研修に参加できるような職員体制を作り、充実した研修報告や研修の見直しなどが十分に行われることが期待されます。
・非常勤職員にも業務マニュアルが配布され、必ず正規職員と非常勤職員が組むように配慮しています。園長・主任が非常勤職員の指導担当者となり、自己評価で保育の振り返りを行ったり、定期的に面談するなど資質向上に向けて指導をしています。また意見を言いやすい環境を作り、職員間のコミュニケーションが図られるよう努力しています。今後は非常勤職員もスキルアップにつながるよう日頃から研修に参加できるよう配慮することが望まれます。
・職員は「個別目標設定シート」や「自己評価シート」の書式に記載して自己評価の振り返りを実施しています。保育園としての自己評価は、「保育目標や保育方針を実践しているか」や「保護者支援について」「担任との信頼関係について」「説明責任」「保育内容」などの項目について評価し、計画的に行なっています。また園の自己評価や行事後の保護者の意見等は、そのつど1階廊下に掲示されています。園長は法人の施設長会議や養成校の講師から得た情報を職員会議で提案、話し合い、サービス向上を目指しています。

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