かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市芦穂崎保育園(2回目受審)

対象事業所名 横浜市芦穂崎保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 230 - 0051
鶴見区鶴見中央2-13-29
tel:045-501-5389
設立年月日 1955年07月01日
公表年月 2019(令和元)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
・立地および施設の概要
横浜市芦穂崎保育園は昭和30年7月に定員60名で開園し、平成9年に増築して定員を120名の規模とし、現在は0歳児〜5歳児まで125名が在籍しています。JR京浜東北線の鶴見駅より徒歩8分のところに立地し、建物は鉄筋コンクリート2階建(608u)で、1,473uの園庭を有しています。「緑いっぱいの保育園に!」と園庭に様々な実のなる木や草花を植え、畑を作り、花や野菜を育てています。
・園の特徴
  子どもたちの現在と未来の幸せを願い、子どもたちが毎日を楽しく過ごしながら、一人一人が自信を持って生きることができるよう、日々の保育に取り組んでいます。地域の子育て支援の中心となる施設として、園庭開放、育児相談、育児講座、交流保育、プレママ保育園体験などの活動を積極的に行っています。外国籍の子どもも数多く在籍しています。

【特に優れていると思われる点】
1.「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を念頭においた保育の実践
  保育所保育指針に示された「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、毎日の保育の積み重ねがその姿につながっていくということから、年齢別に具体的に表記した「デイリープログラム(子どもが安定して一日を過ごすための配慮)」を見直し、年齢や発達に応じ、適切な環境を整えて、生活や遊びが充実していけるよう、職員間で共有して保育の実践に努めています。また、職員は保育日誌の記載にあたっては、「育ってほしい姿」を意識して、その日のねらいに対して振り返りをするように心がけています。園内研修でも、各クラスから保育日誌を抜粋し、保育記録の書き方についてグループワークを行い、育って欲しい姿のどの項目につながるかなどを話し合っています。

2.食育活動の積極的な取り組み
  「年間食育指導計画」を作成し、「生活や遊びの中で、意欲をもって食に関わる経験を重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合うこどもを育む」ことをねらいに掲げています。栽培、収穫、クッキング、当番活動など計画的に食育に取り組み、いろいろな人と関わり、子どもが楽しく食べる経験を重ねています。
今年度は、部会(プロジェクトチーム)の一つに「食育」を取り上げ、チームのメンバーを中心に、園全体で積極的に食育に取り組んでいます。乳児クラス(0〜2歳児クラス)では、調理員が小玉すいかを切って子どもに見せたり、白菜の皮をむくなど、さまざまな食材を見たり触れたりする機会をつくり、子どもが興味関心をもつようにしています。幼児クラスでは、月1回「食育の会」を実施し、食べ物に関する話を聞いたり、芋やサンマなどを触って旬の食材を知ることができるようにしています。食育活動の様子は、部会のメンバーが写真入りの「食育通信」を1階(0〜2歳児向け)、2階(3〜5歳児向け)に掲示し、保護者にわかりやすく伝えています。

3.さまざまな災害や緊急時を想定した実践的な訓練の実施
  防災・防犯訓練計画を基に、火災・地震・竜巻・水害・Jアラート(全国瞬時警報システム)・不審者侵入を想定し、想定場所や想定時間を変えて、毎月防災訓練を行い、年6回防犯・不審者対応訓練を実施しています。地震を想定した訓練ではプール遊び中を想定して行ったり、防犯訓練では散歩中の不審者を想定した訓練も実施しています。
  また、子どもの健康と安全を守るため、さまざまな危機を想定した危機管理訓練を計画的に実施しています。今年度はアナフィラキシー補助治療剤(エピペン)、プール危機管理訓練、巧技台からの落下を想定した訓練などを実施しています。
 
4.地域への多様な育児支援と地域交流
    鶴見区における公立保育園として、地域への積極的な育児支援を実施しています。年に2回の育児講座では、「栄養士と話そう(離乳食など)」「保育士と手遊びを楽しもう」を実施し、年9回の交流保育では、未就園児が0〜3歳児クラスの園児と一緒にリズムあそび、ふれあいあそび、体操などをして交流しています。また、園庭開放(月〜金曜日の午前中)では、お楽しみタイムでパネルシアターや絵本の読み聞かせをしたり、身体計測を行ったり、絵本の貸し出しも行っています。プレママ(年3回)では、「離乳食体験」「赤ちゃんとふれあう」などを実施しています。
  園で開催する運動会、おたのしみ会、お正月あそびの会などの行事に地域の保護者や子どもなどを招待しています。また、地域の自治会と協力して、年4回「ふれあいの会」を実施し、地域の高齢者と幼児が風鈴などの製作をしたり、わらべうたやゲームを楽しんだり、給食を一緒に食べたりしています。鶴見市場地域ケアプラザや矢向地域ケアプラザに出向き、子育て支援のイベントで手遊びや育児相談を行っています。 

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.保護者の要望・意見を園運営に生かす工夫
  園として大きなクレームについては「要望・苦情等受付票」に記録を残していますが、日常寄せられる細かな要望、苦情の記録についての蓄積や整理は不十分な状況です。保護者から日常寄せられる細かな要望、意見などに対しても一つ一つ丁寧に対応して、記録の蓄積・分析を行い、園運営に生かしていくことが期待されます。

2.3歳未満児の個別指導計画に個別の振り返りの記録ができる書式の定型化
 3歳未満児の個別の指導計画はクラスの月間指導計画の中で作成しています。「現在の子どもの様子」から「保育士の配慮事項」「家庭との連携」を検討して記載し、職員間で振り返り、話し合って、次月の計画に繋げていますが、現在の横浜市の3歳未満児の個別月間指導計画には職員の評価・振り返り欄がありません。発達や成長の個人差が著しい3歳未満児の個別指導計画に対しての評価・振り返りが記載できるよう、横浜市の書式の改訂について検討が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・保育理念は『こどものあるがままを愛し、慈しみ、こどもが自分を「かけがえのない存在」であると感じ、自分らしく主体的に生きていくことができるよう保護者と共にこどもの育ちを支えます』とし、こどもと真摯に向き合い、その成長を適切に援助することを保育方針とし、子どもを尊重したものになっています。

・職員は、穏やかでゆったりとした言葉で子どもたちに話しかけるよう心がけています。子どもと話すときには、職員は目線にも気をつけ、子どもが理解できる言葉で分かりやすく話ができるようにしています。

・プライバシーや子どもの人格について明記されている「子どもの人権に関する点検チェック表」を活用して、月1回読み合わせをし、子どもへの接し方の振り返りをしています。

・個人情報保護マニュアルがあり、守秘義務について職員に周知しています。実習生、職業体験、ボランティアにはオリエンテーションの際に説明し徹底しています。

・グループ分けや出席簿、並ぶ順番などで性別による区別をしていません。製作で使用する色や好きな遊び、並ぶ順番や席順などもなるべく子どもたちが自分たちで決められるように促しています。

・園長から虐待の定義について職員に周知し、職員間で予防・対応などについて話し合い、虐待の早期発見、予防に努めています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・全体的な計画は園内にプロジェクトチームを作り、保育所保育指針の改定への対応を進める中で、全職員が関わって作成し、年齢ごとの発達過程に応じて、理念・基本方針・保育目標に沿うように、子どもの最善の利益を最優先にして作成しています。

・各保育室は、複数の遊びのコーナーがあり、ごっこ遊びが発展するような小道具や手作りおもちゃを多く備え、子どもたちは自分の好きな遊びを見つけてじっくりと遊んでいます。

・園庭には広い畑があり、年間を通して各クラスで様々な野菜や花を栽培して、水やりをしたり野菜の生長を観察したり、製作活動をしたり、収穫後に調理を楽しむなどの保育活動につなげています。

・幼児クラスは異年齢の縦割りグループ活動(きらきら)を月に2回程度行い、散歩やゲーム大会、会食、芋ほりなどを楽しんでいます。乳児クラスでは、月1回「にこにこ会」があり、誕生会やリズム遊びを一緒に楽しんでいます。

・園庭は広く、雨が降っていなければ毎日園庭で遊んでいます。ルールを守って固定遊具で遊んだり、年齢や発達に応じて身体を多く動かす遊びを楽しんでいます。

・幼児クラスは月1回「食育の会」を実施し、食べ物に関する話を聞いたり、旬の食材を知るなどし、乳児クラスは調理員と一緒にさまざまな食材に触れるなどの経験を重ねています。

・午睡時の呼吸チェックは、0歳児は5分おき、1歳児は10分おき、2歳児は15分おきに行い、記録しています。

・その日の子どもの様子は、個別の連絡票や口頭で送迎時に伝えるよう努めています。全クラスにクラスノートがあり、その日のクラスの様子を伝えています。

・個別面談は年1回実施し、個別面談期間以外でも、必要に応じて保護者と面談をしています。

3 サービスマネジメントシステムの確立

・年齢ごとに作成しているデイリープログラムには、子どもが「安定して一日を過ごすための配慮」を具体的に表記し、年齢や発達に応じ、適切な環境を整えて、生活や遊びが充実するよう配慮をしています。

・全体的な計画に基づき、年齢ごとに、年間指導計画、月間指導計画、月間個別指導計画(0〜2歳児)を作成しています。幼児についても特別な課題がある場合には、個別指導計画(年4回)を作成しています。

・食物アレルギーのある子どもには、かかりつけ医の「アレルギー疾患生活管理表」に従って、誤食のないように手順に沿って除去食を提供しています。

・感染症が一人でも発生した場合には、速やかに事務室前のテラスの掲示板に感染症情報を掲示し、感染拡大を防ぐよう呼びかけています。

・防災・防犯訓練計画を基に、火災・地震・竜巻・水害・Jアラート・不審者侵入を想定し、想定場所や想定時間を変えて、毎月防災訓練を行い、年6回防犯・不審者対応訓練を実施しています。アナフィラキシーショック、プールでの危機、巧技台からの落下などを想定した危機管理訓練を計画的に実施し、子どもの安全に関する、さまざまな危険な状況に対応できるようにしています。

・安全管理に関するマニュアルや感染症マニュアル、衛生管理マニュアルなど各種マニュアルを事務室内と各保育室内にも常備し、いつでも確認できるようにしています。

・小さなケガ、ヒヤリとしたことをクラスごとに「ヒヤリハット表」に記録して、保育日誌と一緒にファイルしています。

・重要事項説明書に苦情解決制度について記載し、苦情受付担当・解決責任者が園長であること、第三者委員に直接苦情の申し出ができることを伝えています。

・行事後や年度末に行うアンケートや意見箱、クラス懇談会、個別面談などで保護者の要望を聞いています。

4 地域との交流・連携

・地域の子育て家庭を対象に、一時保育、園児との交流保育、育児講座、園庭開放、プレママ、絵本の貸し出しなどを行っています。また、地域ケアプラザに出向き、子育て支援のイベントで手遊びや育児相談を行っています。

・横浜市のホームページや「芦穂崎保育園にあそびにきませんか」のパンフレットにより園や育児支援の情報などを提供するほか、園だよりを自治会や近隣の小学校に配付したり、園見学の希望者に「見学会」を紹介するなど、園の情報提供に努めています。

・育児相談はいつでも対応しており、園庭開放や育児講座、交流保育などでも行っています。

・運動会、おたのしみ会、お正月あそびの会などの行事に地域の保護者や子どもなどを招待しています。

・地域の自治会と協力して、「ふれあいの会」を定期的(年4回)に行い、地域の高齢者と幼児が製作をしたり、わらべうたやゲームを楽しんだり、給食を一緒に食べたりしています。

・公立保育園4園で、園庭でドッジボール大会を行ったり、公立保育園の子どもとわらべうた遊びやじゃんけんゲームをするなどして交流を図っています。

・園見学は基本的には常時可能で、見学希望者の都合に応じています。「見学会」を開催して、1日15組を2日間、計30組行い、園内を案内し、子どもの遊ぶ様子を見てもらい、園生活や保育の特徴などを説明しています。

・鶴見区社会福祉協議会のボランティアの方に環境整備の作業を、中学校や高等学校の生徒に園庭整備などをしてもらっています。

5 運営上の透明性の確保と継続性

・職員の守るべき規範については、横浜市職員服務規程、横浜市職員行動基準に明文化されており、職員に周知しています。

・理念・基本方針については、年度初めの職員会議で園長が説明し、期ごとの指導計画策定時の職員会議や職員面談で理解できているかを確認しています。理念、基本方針を園内に掲示し、常に意識するようにしています。

・「食育」「公開保育」「第三者評価」の3つの部会(プロジェクトチーム)に常勤職員が全員どれかに属し、それぞれのチームが主体となって打ち合わせを行いながら計画立案し、園全体で実施に取り組んでいます。

・園長は、横浜市全体園長会、鶴見区園長会などで情報を収集し、重要な情報については職員会議を利用して職員に周知しています。

6 職員の資質向上の促進

・横浜市の人材育成計画として「横浜市人材育成ビジョン」があり、その中の「保育士人材育成キャリアラダー」で保育士として身に付けたい専門能力を職員の段階に応じて明確に示しています。

・「キャリア自己分析表」に例示されている研修や横浜市こども青少年局、鶴見区などで開催される研修について、副園長と主任が個々の職員の希望や経験年数に応じて、受講できるよう計画しています。

・横浜市制定の「目標共有シート」に能力開発・能力活用などに関する目標欄があり、職員は年度初めに同シートを作成し、年3回、園長が職員と面談して、立案内容、実施状況を共有しています。

・園内研修は、わらべうた、リズム遊びをテーマに定期的に実施しており、嘱託、アルバイト職員は優先的に参加できます。また、職員会議の中で研修報告や嘔吐処理、救急救命法、プール事故対応、障がい児保育などをテーマに定期的に内部研修を実施しています。

・園外の研修に参加した職員の研修報告書をもとに職員会議で報告し、情報、知識を共有して、保育に生かせるようにしています。

・実習生を受け入れ、実習の目的を把握し、実習クラスや部分実習・責任実習について調整し、効果的な実習ができるようプログラムを工夫しています。

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