かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

幼保連携型認定 愛の園ふちのべこども園

対象事業所名 幼保連携型認定 愛の園ふちのべこども園
経営主体(法人等) 社会福祉法人 さがみ愛育会
対象サービス 児童分野 認定こども園
事業所住所等 〒 252 - 0206
中央区淵野辺1-16-5
tel:042-752-2123
設立年月日 2018(平成30)年04月01日
公表年月 2019(令和元)年04月 〜
使用評価項目 川崎市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の概要・特徴】
●「愛の園ふちのべこども園」は、社会福祉法人さがみ愛育会(以下、法人)の運営であり、幼保連携型認定こども園として開設されたのは平成30年4月です。法人の起源は、東京都墨田区に昭和6年に設立され、キリスト教精神を基本とした「愛の園保育学校」を起源とする伝統ある保育園であり、この地に昭和23年に「渕野辺保育園」として開園し、歴史と伝統のある保育園です。愛の園ふちのべこども園は、相模原市の幼保連携型認定こども園に係る条例に協力し、他に先駆けて改組し、さらに施設の規模と保育・教育サービスの両面で拡大を図っています。
●愛の園ふちのべこども園は、JR横浜線淵野辺駅から8分程度の、麻布大学獣医学部に隣接し、大きな公園や戸建て、マンションが立ち並ぶ住宅街の一角に位置し、園行事等には地域の方も参加する等、長い歴史・伝統で培われた信頼が定着しています。園舎内はバリアフリーで、温かい木の温もりで包まれ、ランチルームの大きな森には、妖精たちが宿り子どもたちを見守っています。保育室は広い空間を確保し、壁一面に子どもの創造力で様々な遊びができる木で組み立てられたコーナーが備え付けられ、子どもたちは思いっきりのびのびと遊んでいます。同敷地内には学童保育「ひまわり」、高齢者デイサービス「悠々」、夜間保育所「ドリーム」、少し離れて分園の「まほろば」、病後児保育センター「ぽっかぽか」等、複合施設の組織体制を有し、重層的な関係保育を通して子ども、職員が有機的に交流を図っています。
〈特に良いと思う点〉
1.【重層的な子育て支援事業の実施】
●愛の園ふちのべ子ども園は、大野北地区の中心園として地域の子育て事業を大きく広い器で寄与し、非定型型一時保育、インクルージブ保育、子育て広場事業、学童保育事業等、現代の社会で受け皿が比較的希薄な事業を率先して実施しており、さらに展開を企画しています。政府の待機児童対策のみの視野にとどまらず、遍く地域に貢献できる活動を今後も継続していかれることを期待しています。
2.【生活基盤型保育、教育の提供】
●保育の基本をプロジェクト型保育に置き、子ども同士で意見を出し合うプロセスを大切にして課題を作り上げ、子ども自身の発信の興味や好奇心を大事にして結果のみの視点ではなく、プロセスを認め・重視する保育を進めています。さらに、温かい“ふるさと”を思い起こすような生活環境と自然環境を生かした保育空間を提供し、子どもたちが活動意欲と本物体験を重ね、世代間交流を取り入れた生活基盤型保育・教育を実践し、21世紀を生きる子どもたちが世界観を広げ、真実の取捨選択ができる子どもの育成に向けて取り組んでいます。
3.【年齢発達に適合する「全体的な計画」に基づく保育】
●愛の園ふちのべこども園では、理念に沿った「子ども像」として、自己肯定感をベースに自分発信型の内発的な意欲により物事を進め、仲間をケアし、個性を認め、仲間を支えられるよう「本物体験」を重ね、思いやりの深い、個性豊かな子どもの育成を考えています。これは正に、新保育所保育指針での「全体的な計画」の年齢に応じた教育・卒園までに身に付けるべき10の姿に相当し、新保育所保育指針を先取りした方針であり、他に先駆けた具体的展開を推進して欲しいと大きく期待がされます。
<さらなる期待がされる点>
1.【職員のさらなる質の向上について】
●利用者アンケートの意見等から、職員の接遇に関する課題が所見されます。組織体制が大きく、正規職員、パート職員、専門職種の職員等が多く介在し、全職員が常に保護者に対応できる体制ではない状況を踏まえ、保護者等に対応する接遇話法や、対応姿勢等、統一した意識を図る必要はあると思われます。例えば、保護者からの質問に対して、分かりかねることも言い換え話法を用いることで与える印象、心遣いが通じます。「心」ひとつを添えた対応、相手の立場に立った対応等、1日1回の接遇「ワンフレーズ研修」等を一考され、日々積み重ねの教育につなげ、パート職員を含めた全職員への接遇教育をこまめに取り組まれることを期待いたします。
2.【駐車場に関する問題について】
●愛の園ふちのべこども園の特長の1つとして車での登園許可があります。園では十分なスペースを有し、警備会社に朝・夕委託し、交通誘導整理員を配置し、安全確保に努めています。保護者にとって恵まれた環境ですが、さらなる要望や、近隣においても苦情に発展する可能性等、懸念される要因となり、園の苦慮を察しいたします。車を利用する保護者へのルール化の定着に努め、理解を促す対策を事前に取り組まれてはいかがでしょうか。
3.【大規模園の運営について】
●愛の園ふちのべ子ども園は大規模園ですが、園児数(保護者数)が増えると大変さが益々倍増する、ではなく累乗に増え、その中で上手くコントロールして運営が図られています。根幹には「プロジェクト型保育」を中心としたプロセスを大切に重視する保育の推進が職員への指導を含め、運営の流れが作り上げられていると学ぶところです。さらに、全員のベクトルの調整、個々の理解力も視野に入れ、見直しを図りながら、意見交換での考えの共有を図り、職員の面談等で意見・要望を把握し、不安点等があれば速やかに解決を図る等、職員一丸となった園作りにさらなる期待をいたしております。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 ●園では、子どもの意思を尊重し、一人ひとりの気持ちや思いに寄り添い、子どもの主体性を大切にして保育にあたっています。2歳児までは「叱らない保育」を実践し、子どもの思いに共感的に接しています。職員は、クラス担当間のコミュニケーションを大切にし、日常的に担任間で話し合い、ベター保育研究会等を通して共通認識を図り保育を進めています。また、園での禁止標準例、子どもとの接し方等を作成し、全体で話し合い、周知を図り、保育姿勢につなげています。
●虐待の防止・早期発見の取り組みでは、「ベター保育研究会」の中に担当係を設け、専門職(臨床心理士、看護師等)と職員が連携して協力体制で取り組んでいます。臨床心理士は研究活動として日本保育学会自主シンポジウムで発表をしています。相模原市児童相談所、相模原市中央子育て支援センターと連携を図り、臨床心理士を中心に園と児童相談所双方でチェック機能を策定し、適切な対応に努めています。保護者との会話や登降園時の親子関係、着替え時の視診、子どもの心身の状態を常に把握を行い、職員間で情報交換を図り、早期発見の強化に努めています。
●個人情報保護については、就業規則に明示し、職員に守秘義務を周知徹底しています。プライバシー保護については、個人情報保護規定を遵守し、マニュアルに沿って理解しています。保護者には重要事項説明書に記載し、説明を行い、年度はじめに同意書を得る等、肖像権に配慮しています。職員は、子どもの一人ひとりの言葉や気持ちに配慮し、肯定の言葉を用い、子どもを尊重した関わりを心がけています。また、ベター保育研究会でより良い子どもへの対応を話し合い、実習生、ボランティアにも伝えています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ●愛の園ふちのべ子ども園では、「利用者満足の向上に向けた取り組みについての規定」を設け、規定に沿って利用者満足の向上に取り組んでいます。園舎2階にコミュニティBOXを設置し、自由に意見を述べることができるようにしています。意見・要望等を受けた際は、速やかに検討し、でき得ることは是正改善を図り、実行しています。送迎時、連携ノート、連絡帳、個別面談会、懇談会、PTA,満足度アンケート、行事後のアンケート、第三者評価等で保護者の「声」を把握する機会を設け、「声」を抽出・把握し、ベター保育研究会や企画検討委員等で話し合い、子ども、保護者の満足度・安心感の向上に努めています。
●意見、苦情、相談等については、日頃から保育の中で子どもの話しにしっかり向き合い、気持ち・意思を大切にして丁寧に話を聞くよう心がけています。保護者に対しては、懇談会、個別面談を通して意見を聞く機会にしています。個人面談では、会議室、ランチルーム、「赤ちゃん道の駅」等を活用し、プライバシーを確保できるよう配慮しています。相談を受けた場合は、内容に応じて担当者、ライン・スタッフや園長と協議の上、対応し、相談内容は記録し、必要に応じて継続的にフォローしています。
●家庭環境や生活リズムによる一人ひとりの違いを把握し、個々の発達過程、受容についてはケース会議を通して話し合い、多くのケースがある場合はベター保育研究会の専門職スタッフも交えたケース会議で検討し、園の方針等を決め、全体への周知及び共通対応に努めています。また、保育理念に沿い、「インクルーシブ保育」を実践し、療育連絡会等で共通理解を図り、共に育ち、学んでいけるようそれぞれの発達に寄り添う保育を実施しています。課題項目チェック表を含む「かめのこ連絡帳」、障害を持つ子どもの親の会での意見交換によりインクルーシブ保育を推進し、助言を得ながら職員間で学び合い、支援に努めています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 ●園の必要な情報は、ホームページやパンフレット、冊子等で提供しています。園見学は希望者に沿って施設内や保育の様子を見学してもらい、園長、副園長、主幹保育教諭等が案内と共に保育内容を説明しています。入園決定後には入園説明会を行い、冊子を配付して説明を行っています。サービス利用開始後は慣らし保育を実施し、期間は保護者の就労状況に応じて相談の上、決定して実施しています。
●児童記録票や個別指導計画等に関わる役割と決裁について、「職務役割規定」に詳細に定め、規定に基づいた決済区分に沿って適正に実施しています。幼児では「小さな物語」(エピソード記録)を設け、その日の様子を記録し、家庭と共有しています。日常的な記録では、「児童記録票」、「個人別月間指導計画」、「健康発達の記録」、「連携ノート」に記録し、保管しています。「連携ノート」は0歳〜2歳児が使用し、園と家庭で共有するノートの名称を一緒に考え、その日の様子を記録し、情報を共有しています。3歳児以上にも連絡帳を設け、必要に応じて活用しています。
●提供するサービスの標準的な実施方法については、「業務マニュアル」に明示し、マニュアルに沿ってサービスを提供しています。業務マニュアルについては3年に1回、大きく見直しを図り、変更事項があれば都度差し替え、職員に周知し、共通認識を図っています。子どもの安全確保では、リスクマネージメントによる実践的なOJTを行い、ヒヤリハットにインシデントも含めたヒヤリハット集を作成・分析し、レポートの有効活用を図り、マップ化及び具体的な対応につなげるOJT活動を進め、リスク管理の強化に努めています。
4 地域との交流・連携 ●園の情報提供は、相模原市ホームページ、ファミリー・サポート・センターでの「エリアポスト」、相模原市子育て広場、園のホームページ等に情報を開示しています。また、法人情報誌「はんぶんこ」、園のしおり、園外掲示板等に情報を開示しています。園の「子育て広場」の会報では年1回の「つくしんぼ」、2か月に1回の「いきいきこそだて」を発行し、開かれた組織を目指して積極的に情報発信を行っています。来園者には子どもの成長の記録をお渡ししています。
●地域子育て事業では、子育て広場、一時保育、子育て講座、親子教室、「赤ちゃん道の駅」等を提供しています。また、「ときめきフライデー」を催し、毎月第3金曜日に「こんにちは赤ちゃん」を設け、奇数月の水曜日には「もうすぐお母さん」を開催して子育て中、これから母親になる方を対象に提供し、地域の子育て支援に貢献しています。園では、ベビーサイン(赤ちゃんに手話やジェスチャーを使ってお話しする育児法)の有資格者も在籍し、子育て支援体制を整えています。
●地域の関係機関との交流、団体との連携では、地域の小学校、相模原市立陽光園(療育センター)、教育委員会、保幼小連絡会、大野北地区のまちづくり会議等に参画し、交流を深めています。また、相模原市社会福祉協議会が上矢部自治会館で活動する子育て広場に職員を派遣して協力を行い、地域の福祉ニーズを把握し、地域との関係作りに取り組んでいます。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ●法人の理念、保育方針は、法人系列全施設が会す(6月)「スリーS」の集い、ベター保育研究会、毎日の打合せにて職員に伝え、理解を深めています。また、法人内に「福祉活動実践研究発表会」が設定され、同日午後には「個別分科会」を開催し、経験値の浅い職員にも発表の機会を与え、理念・基本方針の理解につなげています。中・長期計画として、愛の園ふちのべこども園の8か年計画「ふちのべVISION2025」を策定し、理念・基本方針の実現に向けて推進しています。
●園長は、「業務マニュアル」に規定している決済区分の記載された「職務役割規定」及び「組織体制図」により園長自らの役割と責任を明確にして表明し、判断すべきことについて会議等で言及し、体制の定着に尽力しています。業務の効率化と改善については、常に予算試算表を分析・チェックを行い、効率の良い資金運用を図ると共に、幹部職員で「企画検討委員会」を設定し、現場の視点に立った提案を仰ぎ、職員の意向を取り込み、保育現場に即した経営に尽力しています。
●サービス内容の評価については、定期的に自己評価及び第三者評価を受審しています。経営の改善に向けては、法人各施設から委員を選出して「内部監査委員会」を設け、メンバーは2年ごとに更新を図り、各施設の発展に最も有効な改善策を助言、勧告、支援等を受け、園運営の効率を高め、職員の規律保持や士気の高揚につなげています。また、改善についてベター保育研究会で話し合い、職員に改善事項等を周知しています。
6 職員の資質向上の促進 ●人材の採用については、年を4期に区切って採用計画を立案し、4〜6月は就職フェア、7〜8月は学校訪問、9〜11月は面接、12月に不足補充として採用に取り組んでいます。また、愛の園ふちのべこども園での「おしごと説明会」開催や、相模原市の就職説明会への参加、在籍保育士の出身養成学校への訪問やフォローを行い、早い段階で次年度の新規採用に取り組んでいます。さらに、地域広報紙や就職斡旋紙の媒体での広報を実施して適正な人材の採用に努めています。
●職員の教育・研修については、職員研修の基本姿勢についてマニュアルを整備しています。研修担当を設置して年間研修計画書を作成し、職員個別に研修カルテを用意し、個別研修成果は一覧表にして受講状況を確認できるようにしています。研修受講後は、報告書を作成し、ベター保育研究会で発表する機会も設け、職員間で知識・技術の共有化を図っています。実務では、「OJT研究会」に10研究会を設け、職員はいずれかのOJT研究会に所属し、実施の検討を行う等、職員の資質向上、職員相互の研鑽を図っています。
●園長は年1回、制度として職員と面談を行い、次年度に向けた要望、受け持ちたいクラス、職員間の人間関係、クラス主任のマネージメント等を話し合い、必要に応じて業務内容や人的配置を見直し、改善に努めています。また、有休消化率や時間外労働の状況を確認し、取得率は総務職が確認しています。福利厚生では、社会保険に加入し、健康診断の実施、衛生委員会と連携を図り、産業医によるメンタルケア、悩み相談窓口の設置、バースディ休暇も新設し、職員の心身の健康維持に配慮し、働きやすい職場環境を整えています。また、海外研修制度があり、一定基準に達した職員については順次、実施しています。今年はスウェーデンへ訪問する予定です。

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