かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市 浦舟ホーム(4回目受審)

対象事業所名 横浜市 浦舟ホーム(4回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 横浜市福祉サービス協会
対象サービス 高齢分野 特別養護老人ホーム
事業所住所等 〒 232 - 0024
南区浦舟町3-46
tel:045-264-1150
設立年月日 2004(平成16)年07月01日
公表年月 2019(令和元)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社フィールズ
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

[施設の概要]
横浜市浦舟ホームは、横浜市営地下鉄坂東橋駅から徒歩5分の12階建てビルの2、3階にあります。平成16年7月に社会福祉法人横浜市福祉サービス協会が設立した定員74人の特別養護老人ホームです。ホームに定員8人の短期入所生活介護事業所も併設しています。
平成30年12月現在の利用者数は73人です。平均年齢84歳、平均要介護度4.67、平均入所期間は3年7ヶ月となっています。
ホームは重度の認知症利用者や医療依存度の高い利用者を積極的に受け入れています。4つのユニットに分かれてチームケアを推進し、介護、看護、栄養等多職種部門が連携し包括的視点で個々の利用者の支援に努めています。
 
≪優れている点≫

1.理念の4つの柱の実践に向けて取り組んでいます

「お客様にとって『個人の尊厳と意思が尊重され、安心して生活できる場所』、ご家族にとって『お客様に、笑顔で会いに行ける場所』、地域にとって『地域の仲間として、気軽に訪ねていける場所』、スタッフにとって『お客様の満足が私たちの喜びになる場所』」を浦舟ホームの理念に掲げています。
 この理念の実践に向けて年度目標を定めています。理念の4つの柱に沿ってスタッフ分科会、お客様分科会、ご家族分科会、地域分科会を立ち上げています。分科会では理念の実践に視点を置いて、中・長期的に継続し利用者サービスの品質向上に向けて年度目標を設定しています。毎月分科会を開催し目標の実践の状況を振り返ります。また、4つのユニットごとに年度目標を設定しています。ユニット目標は、施設の年度目標に沿って項目ごとに設定しています。理念や年度目標の達成に向けて月に2回ユニット会議を開催し、介護、看護、栄養、相談等の各担当者が、年度目標の達成に向けて利用者支援の状況の把握に努めています。


2.委員会を設置し、重度認知症や医療依存度の高い方を積極的に受け入れています

 胃ろう利用者19%、喀痰吸引の方10%をはじめ、インスリン、バルーンカテーテル、ストマ、在宅酸素、褥瘡等の医療的ケアの必要な方、重度認知症の方など特に配慮が必要な利用者を積極的に受け入れています。嘱託医との連携はもとより、看護職員の配置を必置数より数名多くし、夜間はオンコール体制を敷いています。医療対応マニュアルを整備・活用し、看護師による研修を月3回職員向けに実施しています。各ユニットで認知症介護実践リーダー研修を受講したリーダーによる勉強会を行い、認知症への対応について職員が日々研鑽しています。
従来は、給食、排泄、口腔、リハビリなど各委員会で個々の利用者への介護を検討していましたが、それを統合した包括的ケア委員会を設置し、一人の利用者に対して多角的な視点で総合的に対応策を講じています。また、関係職種間で情報を共有し各専門職の視点から多角的に介護策を検討しています。利用者の個々の医療的ニーズに合わせた個別具体的な支援を包括的に推進しています。


3.人材育成計画・研修制度の充実により、職員のモチベーションを高めています

 人材育成ビジョンを策定し、新人・中堅T・中堅U、専任職等階層別の役割・期待水準を明示しています。各ユニットリーダーによるOJTを始め人材育成研修を常勤・非常勤に関係なく行っています。新人にはプリセプター制度を導入し経験がなくても基本から学べる仕組みを作っています。施設職員として必要な研修を3年間で受講し、「研修受講履歴表」でチェックすることにより、各職員が一定の基礎を身につけています。
新たに本年度から「ファーストステップ確認票」という介護の基礎・質を高める研修制度を立ち上げました。職員は、目標管理シート」に自己の研修目標を記述し上司との面談で1年の結果を振り返り、達成状況を評価しています。また、介護・看護の技術の経験豊富な身近な先輩達から直接指導を受けることができる風通しの良い環境です。施設は県主催の平成28年度「かながわベスト介護セレクト20」を受賞しています。また、平成30年度「かながわ高齢者福祉研究大会」の研究発表の部門で「最後まで口から食べる喜び」、介護技術発表の部門で「個別ケア」のテーマで優秀賞を受賞しています。


4.ボランティアを積極的に活用しています

 積極的にボランティアの活用を推進しています。平成29年度は、個人ボランティアが延べ457人、団体のボランティア延べ474人で合計931人のボランティアを受け入れています。歌や将棋、三味線、傾聴、紙芝居、ウクレレ等の個人のボランティアとブラスバンド演奏やフラダンス、ハンドケア、回想法、朗読等団体のボランティアが大勢施設を訪問しています。
地域分科会を立ち上げボランティア受け入れマニュアルを作成し、ボランティア受け入れ時のオリエンテーションで利用者のプライバシーや個人情報保護等について注意を喚起しています。また、ボランティア感謝際を行いボランティア活動が長く継続するように働きかけています。

≪努力・工夫している点≫

1.移乗の福祉用具を活用し、利用者・職員双方の動作・体の負担を軽減しています

 利用者の移乗について多数の福祉用具を積極的に活用しています。利用者のADLを中心としたアセスメントを行い、各自に適した移乗に関する福祉用具を検討し使用しています。リフトやスライディングボード、スライディングシート、マルチグローブ、介護ロボット(ベッドの一部が切り離され車いすに代わる)を使用し、介護にあたっています。福祉用具の活用は、豊富な経験を持ち優れた技術を持つ介護専任職により職員への指導を行い、ゆとりある介護に向けて取り組んでいます。利用者は動作が楽になり、出来ることが増え、時間の短縮になります。一方、介護者の体の負担をなくし、腰痛や疲労から解放されます。数年前に比べ安全性や介助の負担が確実に軽減され、利用者・職員双方に良い結果を出しています。

≪課題や改善することが期待される事項≫

1.個別支援計画の目標に沿った日々の支援の記録の工夫が期待されます

個別支援計画の策定には、利用者本人・家族及び介護、看護、栄養、相談の各部門による多職種合同のカンファレンスを実施して作成しています。担当職員はケアチェック表に沿って食事、排泄、リハビリ、医療・健康等の項目ごとに、利用者の現在状況と問題点及び解決すべき課題を明記し、支援ニーズに対する対策を記述しています。
しかしケース記録とパソコン入力が必ずしも整合していません。個別支援計画の目標に沿った形式の入力ができるような検討が望まれます。利用者の日々の支援の積み重ねの記録と個別支援計画の目標達成の成果との関わりが分かりやすくなるように工夫が期待されます。


評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重 @ 快適な生活が営まれるよう「安全衛生管理規則」を定め、住環境の整備をしています。「衛生委員会」を設置し、毎月1回チェック表による施設内の見回りを行い、換気、温度、湿度、彩光、照明等が適切であるか確認しています。全館バリアフリーで、ユニット内は個室が半分で、残りの部屋も中央をスライド式ドアで仕切り、個室同様の使い方をし、プライバシーが確保されています。
A 介護放棄や虐待などを行わないために守るべき規範や倫理等を服務規定に明記し、「ホーム職員心得書」を全職員に配付しています。「身体拘束廃止マニュアル」に基づき、身体拘束を行わない介護を実行しています。毎月生活の質向上委委員会で全職員向けに身体拘束に関連する人権研修を実施しており、ロールプレイをしながら、どのような場面が拘束にあたるかなど、より質の高い介護への取り組みがされています。
B 法人は「個人情報保護規程」を定め、全職員に対して年1回以上「個人情報の取り扱いについて」の研修を実施するほか、「情報セキュリティ研修」を担当職員が受講し、当施設で伝達研修を行っています。守秘義務に関しては職員及びボランティア、実習生から個別に誓約書を取っています。個人情報に関わる書類は鍵のかかる書庫に保管し、PCについては個別のパスワードを使用し、年数回変更をしています。
2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 @ ケアプランは年に1回定期的に見直しをしています。入退院等利用者の状況の変化に応じて、随時ケアプランの見直しを行います。ケアプランの策定に際し外部専門家の意見を取り入れ、介護、看護、栄養等多職種職員及び利用者・家族が参加し、カンファレンスを開催しケアプランの目標を定めています。
A ケアプランの見直しに合せてアセスメントを実施しています。食事、排泄、入浴、口腔ケア、リハビリ、医療、心理・社会面等の項目ごとに、利用者の現在状況と解決すべき課題を明記し、支援ニーズに対する対策をケアチェック表に具体的に記述しています。モニタリングは、所定のモニタリング評価・記録表を用いて実施し、ケアプランの長期・短期目標項目ごとに達成状況と本人・家族の満足度及び継続の必要性など今後の対応について明記しています。
B 普通食、一口大、ゼリー食、軟菜食等、利用者の嚥下状況に配慮した食事形態で食事を提供しています。また、医療的ケアの必要な利用者に治療食や経管栄養食による食事介助を行います。食事がしやすいように、スプーンや皿など本人に合った自助具を使用します。また、利用者全員を対象に栄養ケアマネジメントを実施しています。ケアプランと連携し栄養ケア計画を作成しています。3ケ月ごとに栄養ケア計画の見直しを実施しています。栄養ケアの視点で利用者毎のリスク管理を行っています。
C 入浴は週に2回が基本ですが、希望に応じ毎日でも可能です。利用者の心身の状態によりシャワー浴や清拭を行います。浴槽は通常の一般浴とリフト浴、及び機械浴があり利用者の身体状況に応じて使い分けをしています。居室から入浴を済ませて部屋に戻るまで、最初から最後まで一人の職員がマンツーマンで支援します。職員は、入浴時間の会話を通して利用者の日頃の思いの把握に努め、利用者がゆったりと豊な時間をすごせるように配慮しています。
D 年1回の健康診断を実施し利用者の体に関する健康状態を把握しています。定期的に血液検査を実施し、嘱託医と相談し、服薬等の調整を行い、家族等に報告しています。服薬については、嘱託医と薬剤師が連携し個人の薬は一包化して施設に配達されています。薬局から一包化したものが看護室に配達され、看護師及び介護士の2名で確認します。次ぎに各ユニットに運ばれ、ユニットでの確認が看護師・介護士2名で行います。食堂で介護職員2名による確認を行い服薬し、下膳の際にも確認する仕組みを整えています。
3 サービスマネジメントシステムの確立 @ 重要事項説明書に苦情受付担当者、責任者、法人本部のお客様相談室の担当者、責任者、第三者委員、外部の公的相談・苦情機関の電話番号等を明示し、また、「苦情解決手順の流れ」を掲示し利用者・家族に周知しています。苦情対応マニュアルを作成し苦情に対する迅速対応に努めています。「お客様アンケート」を実施し、また、年2回実施の家族会で利用者・家族の苦情や意見を把握し、「生活の質向上委員会」で対策を検討し改善に努めています。
A 感染症及び食中毒の予防や蔓延防止のために「感染症対策委員会」を随時開催(29年度15回)し、予防研修の実施、施設内感染対策、利用者の罹患状況把握、利用者・職員の健康状態の把握に努め対策にとり組んでいます。感染症研修として、前期は食中毒について講義を中心に実施し、後期はノロウイルスが発生した際の演習を研修内容とし、感染症マニュアルを整備し看護師、栄養士が講師となり毎月実施しています。
B 「横浜市浦舟ホーム消防計画」「特別避難場所開設運営マニュアル」を整備しています。ビルを管理する防災センターが中心になり、複合施設内で夜間想定防災訓練や合同防災訓練を定期的(年2回)に実施しています。事業継続計画(BCP)を作成し、職員に周知しています。災害時に各職員が何をするかが明確に分かるようBCPを簡略化した「職員必携カード」を携帯しています。横浜市の特別避難場所として指定され、近隣の要援護者を受け入れる体制を整えています。備蓄庫には3日分の災害時用の食料や水、物品を備蓄しています。
4 地域との交流・連携 @ 地域ケアプラザで行う「介護者の集い」では認知症に関する研修の講師を務め、また、介護予防教室や認知症サポーター講座への協力を行っています。地域生活を支援するために、在宅サービス事業としてショートテイ(定員8人)を提供しています。法人内で徘徊認知症高齢者の事故を防ぐ目的で「ちゅーりっぷホルダー」(法人の所属事業所名を記載したキーホルダー)を作り、携帯してもらっています。毎月緊急の相談が入り対応しています。成年後見人との関りが多数あり、状況により行政や社協とのカンファレンスを実施しています。
A 夏祭りや敬老会などの施設行事に地域住民の参加を呼びかけます。近隣の保育園や小学校、中学校の子どもたちとの交流を通して異世代交流を図っています。毎月保育園児が施設を訪問してくれます。小学生の車椅子体験に施設の車椅子を貸出して協力します。町内のソフトボール大会、バーベキュー大会、盆踊り大会等の地域行事に積極的に参加し、地域住民との交流を図っています。利用者は地域の酉の市など地域の祭礼にでかけ地域との関係作りを大切にし、地域住民の1人としての利用者意識を大切にしています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 @ ホームページに法人の理念を掲載し、「お客様の満足」「人を大切にし共に育ちあう企業風土」「公正で透明感のある企業倫理」を明示し施設運営の法人の取り組みを示しています。また、「ホーム職員心得帳」を作成し全職員に周知しています。月2回開催の定例会議で、平成30年度改正の介護保険制度の改正等を取り上げ、説明資料を用いて制度に関わる環境の変化等について周知しました。
A 「横浜市特別養護老人ホーム入退所指針」に則り施設の入退去基準を整備し、入退去に関わる透明性・公平性の確保に努めています。所長、相談員、介護リーダー、看護師、管理栄養士が参加し月に1〜2回入退所委員会を開催しています。入所については点数制を採用し、医療的ケアの必要性や重度認知症による支援ニーズの高い利用者、家庭内被暴力等行政措置に配慮し入所者を選定しています。常時100名程度の待機者の状況を把握し、「お客様情報」を随時更新し、適切な入所者選定に努めています。入退所委員会の議事録に入所者決定の理由を明記し入所判定の透明性を図っています。
B 法人としての中・長期計画「中期経営計画(H27〜H32)」を策定しています。法人の中・長期計画の実現に向けて施設の年度事業計画を策定しています。施設の理念の実践が法人全体の運営方針につながることに視点を置いて、年度目標を設定しています。平成30年度の年度目標に「個別ケアを進める」「チームでケアをする」「地域社会とつながる」の3つの目標を掲げています。目標ごとに行動指針を詳細に規定し職員に周知しています。目標の達成状況を年度ごとに評価し次年度の目標を設定しています。
6 職員の資質向上の促進 @ 人材育成ビジョンには新人・中堅T・中堅U、専任職・課長補佐、課長等の階層別の役割・期待水準が明記されています。「目標管理シート」には目標と具体的な方法を自己と上司で決め中間及び1年の振り返りを行っています。利用者の状況に応じ自主的に判断できるように、現場のその日の職員に可能な限り権限を委譲しています。包括的ケア委員会では、各職種からの意見や提案を得て利用者に対して多角的な視点から総合的に見ることにより、包括的な介護・看護を実施しています。
A 各ユニットにリーダーを配置しOJTを始め人材育成を常勤・非常勤に関係なく積極的に行っています。外部講師を招聘し口腔ケア・ポジショニング・感染症等、施設内での研修も行われています。法人や外部で行われる研修については、研修担当の職員が経験年数に応じてバランスよく研修参加できるよう調整しています。新人にはプリセプター制度を導入し経験がなくても基本から学べる仕組みを作っています。施設職員として必要な研修を3年間で受講し、「研修受講履歴表」でチェックすることにより、各職員が一定の基礎を身につけています。
B 人材育成ビジョンを基本に、法人や外部、施設内での研修企画が多数あり、研修を受けやすい環境が整備されています。また、質の高いサービスに向けて研究を重ねる先輩や仲間がおり、介護・看護の技術の経験豊富な身近な先輩達から直接指導を受けることができる風通しの良い環境です。施設は県主催の平成28年度「かながわベスト介護セレクト20」を受賞しています。また、平成30年度「かながわ高齢者福祉研究大会」の研究発表の部門で「最後まで口から食べる喜び」、介護技術発表の部門で「個別ケア」のテーマで優秀賞を受賞しています。

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