かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

入船の森保育園(3回目受審)

対象事業所名 入船の森保育園(3回目受審)
経営主体(法人等) 社会福祉法人 鶴見乳幼児福祉センター
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 230 - 0036
鶴見区浜町 1-1-1
tel:045-505-3211
設立年月日 2006(平成18)年04月01日
公表年月 2019(平成31)年04月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 株式会社 R−CORPORATION
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【入船の森保育園の立地・概要】
●入船の森保育園は、JR鶴見駅からバスで12分程度、鶴見線浅野駅からは徒歩10分強の、産業道路の1本北を並行して走る道路に面し、入船小学校の校舎内に位置しています。利用する鶴見線は湾岸工業地帯への通勤路線であり、また、地名はその土地に住む地主の苗字がそのまま駅名に名づけられた経緯は特徴的です。近年は工場の海外転出に伴い、下請け工場の閉鎖が目立ち、代わって住宅地として振興し、海外や沖縄県等からの移住者も増え、住宅地の発展と共にバスの系列も増え、様々に変革が進んでいる地域です。
●入船の森保育園は、平成18年4月1日に開所した地域に根差した歴史ある保育園です。現在、定員40名で0歳児5名、1歳〜5歳児は各7名の子どもたちが、家庭的な雰囲気の中でのびのびと成長しています。入船の森保育園は、文部科学省による入船小学校に設置された「分園」の運営を担い、平成23年に認可を受けてスタートし、横浜市では小学校に併設された保育園が4箇所あり、有効な活用形態として子どもたちの成長、交流等が有機的に図られた望ましい保育園です。運営は、昭和30年に設立された社会福祉法人鶴見乳幼児福祉センター(以下、法人という)で、横浜市に3保育園を運営しています。周辺には、入船公園、潮田公園、日東緑地、日東浜公園、東潮田公園等、多くの公園が点在し、公園の行事への参加、自然に触れ合う散歩等、子どもたちは身近に四季折々の自然に触れ、地域とのつながりを大切にして、多くの「宝物」と共に成長を育んでいます。

【入船の森保育園の方針】
●入船の森保育園の理念は、法人運営の系列園(3園)共通であり、共通理念を基に、園の保育理念として『子どもの人権を守り、人格(意思)を尊重し、それぞれの育ちの支援する』とし、「子ども時代を子どもらしく生きる」、「子どもたち一人ひとりを大切にする保育」を掲げ、保育方針は『生命の尊重・心身の健康』であり、「子ども一人ひとりの心を受容することで、情緒の安定を図り自己発揮のもとをつくります」、「『食』環境を充実させ、心と身体の基礎をつくります」としています。園目標は、「いっぱい遊ぼう 笑顔の毎日 〜?Smile and Heart?~ 遊ぶの大好き 食べるの大好き 元気印? 自分が好き みんなも好き ハート印?」とし、子ども・保護者も、外国籍の保護者も覚えやすく、親しみやすい温かいキャッチフレーズであり、子どもが大きくなっても心にリズミカルに刻まれるフレーズです。また、「?、?、?」を園のシンボルマークとし、笑顔溢れる、『子どもが主役』とした明るく元気な保育園を目指しています。入船の森保育園の特色の1つに、『森』を持つ入船小学校の環境を生かし、そして「食育」に力を入れています。子どもを主体にした明るく元気な声が響き渡る保育園の原点は、恵まれた自然の中でのびのびとした成長、栄養バランスのあるおいしい食事で基礎体力を作り、子ども一人ひとりを大切にして保育にあたっていることにあります。
≪優れている点≫
1.【入船の「森」の活用】
●入船の森保育園の園庭は、入船小学校の校庭を活用し、授業中は園児が校庭を独占して遊べる利点もあり、神奈川県内のいかなる保育園より広いと言えます。また、植物の育成ではブロックで製作された大きなプランターが保育園用として用意されており、恵まれた栽培活動がふんだんに実施できています。入船小学校内にある『森』には水が流れ、木々が生茂り、果物の実をつけ、豊かな自然が残り、水辺には蛙、ヤゴ、魚等が生息し、生態系が体験できます。『森』は小学校の教職員、地域の方々で維持がされており、昨今、高齢化が進み、維持が課題となってきています。しかし、『森』は継続して息吹き、子どもたちに「宝物」を伝え、豊富な木の実や果実から命を教わり、子どもたちにSmile(?)、元気印(?)、Heart (?)の源として大きく存在しています。

2.【食育の推進】
●入船の森保育園では「食育」を大切にし、保育方針に「『食』環境を充実させ、心と身体の基礎を作ります。」を標榜して力を入れています。園庭で四季折々の野菜の栽培、収穫体験を通して「旬」を味わい、生長を観察して、本物に触れ、おいしく食す、を体験し、五感を育み、食べ物と体のかかわりにつなげています。園では、専任の栄養士、調理員を配置し、保育士も加わり、積極的に食育を推進しています。栽培活動・収穫体験を通して給食、調理活動に生かし、おいしい、楽しいと感じる体験から食への興味へとつなげる「食育」を心がけています。食については、栽培の他、日本の伝統的な献立、地域色豊かな行事食等を提供し、食の関心を広げ、興味が持てるよう取り組んでいます。

3.【地域との連係】
●園が所在する鶴見地区は、地域性も加味して地域との連携が強い地区でもあります。園には外国籍の保護者や子どもも多く在園し、地域には沖縄からの移住者も多く、沖縄県出身者在住の地域も存在する等、園児や卒園児にも多くいます。地域との協調、一体感の最たるものが地域の盆踊りにあり、入船小学校の校庭で催されています。盆踊りは地域に定着し、多くの人が集まり盛大に開催されています。沖縄のエイサーを運動会、お楽しみ会で披露する等、地域に見守られ、共に子どもを育む背景があります。

≪さらなる期待がされる点≫
1.【異年齢クラスの功罪の確認について】
●入船の森保育園では、保育室の確保を物理的に鑑み、0歳児(ももグループ)と1歳児(ちゅうりっぷグループ)が異年齢で「ちょうちょ組」とし、2歳児(さくらグループ)と3歳児(つくしグループ)で「ことり組」、4歳児(たんぽぽグループ)と5歳児(すみれグループ)は「みつばち組」とした異年齢で3つのクラス割りとなっています。卒園児のほとんどが入船小学校へ入学するため、行き来できる入船小学校1、2年生の子どもたちと就学を見据えた交流も異年齢での生活が生かされ、疑似兄弟姉妹関係の構築にも良い異年齢保育が実現しています。年齢別での活動では下の年齢に引っ張られる傾向が否めず、新保育所保育指針の3段階(0歳児、1〜2歳児、3〜5歳児)の保育区分に関しても工夫を考慮し、取り組んでいかれることを期待しています。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

●保育の理念や保育方針は、子どもの人権を基底とし、基本方針の骨子は「遊びの中で教育する」ことであり、法人系列3園の主任会や研修会等で全職員に周知徹底を図っています。新規採用職員は、法人主催研修で基本方針を学び、理解し、定期的に理念の読み合わせを職員間で行い、保育園のしおり(重要事項説明書)の見直しおよび話し合いを設けて確認し合っています。保護者に対しては、入園説明会やクラス懇談会時で説明し、各保育室にも園目標を掲示して周知しています。入船の森保育園では、小規模園の利点として子どもとの距離が近く、毎日の朝の会では1日の流れを話すと共に子ども一人ひとりの意見・希望に耳を傾け、1日の保育に生かしています。

●個人情報の取り扱いや守秘義務については、個人情報マニュアルを備え、全職員に周知しています。守秘義務の定義、目的については採用職員研修会時に説明を行い、職員は遵守しています。ボランティア、実習生、インターンシップにもオリエンテーションで資料を基に説明を行い、共通認識が図れるようにしています。保護者には、事前にアンケートにより個人情報の取り扱い(肖像権等)の確認を行い、同意を得るようにしています。個人情報に関するファイル、書類等は鍵付きロッカーに保管し、管理をしています。
●性差に関する配慮では、遊びや行事の役割、持ち物の区別、順番、グループ分けや整列、個人のマークも性別で区分けすることはしていません。子どもや保護者に対して、父親・母親の役割を固定的に捉えた話し方や表現をしないよう心得、共通認識を図る体制を整え、ジェンダーフリーを心がけています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供 ●個別の計画は、全職員間が参画し、基本的に月案で子ども一人ひとりの発達や状況の変化について話し合い、記録し、各クラスでも子どもの発達状況等を話し合い、自己評価により作成しています。評価、改訂にあたっては、栄養士も参画して見直し、懇談会や面談時、行事後のアンケート等から意見を抽出して作成に反映させ、反省および見直しをしています。保護者の要望等については、速やかに会議の上、園で出来ることは改善を図り、出来ない場合は理由、期限等を示して丁寧に説明しています。
●園舎内外の清掃については、日中と各クラス、朝夕当番で清潔に保ち、屋内・外の安全点検等のチェックリストを設けて実施し、安全確保に努めています。施設環境では、空気清浄機、加湿器を備え、適宜、自然喚起を行い、室内の温・湿度を保ち、日誌に記録して快適に過ごせるよう配慮しています。保育室は、南側に向いて陽光は十分に入り、日差しの強い季節は遮光ネット、庇に工夫をし、窓に飛散防止兼紫外線防止フィルムを貼って陽光の調節を行っています。音楽や保育者の声については、日頃から大きさ、トーンに留意し、各クラスで気付きを伝え合っています。園では、声の大きさを意識できるよう声の大きさの表を貼り、子どもたちに伝えています。
●給食の献立は、横浜市の献立を盛り込んだ法人独自の献立と、給食ソフトを活用し、4月、5月は月2回のサイクルで実施し、1回目の喫食状況を確認後、盛り付け、形状、調理方法等についてミーティングで話し合い、改善につなげ、6月以降は月ごとの献立を提供しています。栄養士は、子どもたちの食事の様子を見廻り、喫食状況、残食量を確認し、月2回の会議、法人系列3園の給食会議で喫食状況等の報告および献立検討を図り、記録し、改善に努めています。
3 サービスマネジメントシステムの確立

●配慮を要する子どもについては、定期的に昼の臨時会議で状況や対応を話し合い、クラス会議では全園児についてクラスで話し合い、全体の会議(職員会議、保育会議)でも話し合い、記録に残しています。職員は、要配慮児に関わる研修を受講し、研修内容を会議で報告し、回覧をして知識の共有化を図っています。共有情報は記録し、ファイリングをしていつでも確認できるようにしています。
●虐待の定義はマニュアルを作成し、全職員に周知しています。登園時の健康観察を大事にし、着替え時に視診を行い、早期発見につなげています。虐待が疑われる場合は、園長に報告し、関係機関に相談する体制を整え、必要に応じて小学校とも情報を共有しています。家庭支援の必要な保護者については援助を行い、保護者自身が独立できるよう話し合い、支援に努めています。
●食物アレルギー疾患のある子どもの除去食の提供については、重要事項説明書(および別紙)に記載し、保護者と十分に話し合い、かかりつけ医の指示を基にアレルギー疾患生活管理指導票(主治医記入)に沿って適切に対応を行っています。保護者とは密に連携を図り、月1回、アレルギー面談を行い、各家庭で事前に献立のチェックを依頼しています。園で「除去ファイル」を作成し、前日・当日・提供前に調理員、担任、保育士で献立を確認し、除去食を提供しています。給食では、色違いのトレイ、専用食器、名札、専用台拭き、専用の椅子を用意し、個別配膳とクラス内、調理とで重複確認を徹底し、誤配膳、誤食がないようにしています。職員は、アレルギー疾患についての研修を順次受講し、研修報告を行い、全職員で知識を深めています。
●保護者からの苦情などに関しては、園内に第三者委員(氏名・連絡先)、苦情相談窓口(担当者)、権利擁護機関のポスターを掲示し、第三者委員に直接苦情を申し立てることができることを周知しています。要望や意見等を聞く機会としては、玄関に意見箱を設置し、行事ごとにアンケートを実施して要望・苦情等があった場合は速やかに対応し、回答しています。また、個別懇談やクラス懇談を通して、全保護者に要望や苦情等について聞く機会を設け、懇談会のプリントには出欠と併せて意見や要望・相談等を記入する欄を用意しています。
●感染症については、健康管理マニュアルを備え、登園停止基準や保育中に感染症等の疑いが生じた場合の対応について、重要事項説明書に記載し、懇談会でも説明しています。感染症が発生した場合は、園内での感染拡散に十分注意し、ボードに発症状況を掲示して保護者へ注意喚起を行っています。職員に対しては、必要な情報をミーティング等で速やかに周知しています。保育中に発症した場合は、保護者の事情に配慮しながら電話連絡を速やかに行い、事務室で個別に対応しています。地域、最新の感染症情報は、横浜市、鶴見区福祉保健センター、嘱託医、小学校、マスメディア、地域等から入手し、職員間で情報を共有しています。
●外部からの侵入に対しては、年1回、不審者侵入訓練を実施し、入船小学校と連携して実施する場合もあります。園は電子錠になっており、IDカードで出入り口の開錠を行い、玄関に防犯カメラ設置して安全に配慮しています。また、各保育室に警備会社への非常時通報装置を設置し、直接警備会社へ連絡できる体制を整備しています。不審者情報は、鶴見警察署、鶴見区福祉保健センター、小学校、保護者等から情報(FAX等)を入手し、ネットワークにて共有しています。入船の森保育園は入船小学校とつながっており、小学校への避難が可能です。


4 地域との交流・連携 ●園では、地域に対して、保育園入口と地域ポスト前に、「地域の皆様へ、ご意見ご指摘がありましたらポストへ」という看板を表示して地域の声を聞く機会を設けています。子育て支援事業を通して参加者にアンケートを実施し、子どもの発達や、食生活等の悩み等、子育て支援のニーズの把握に努め、要望や相談も受け付けています。また、園長は鶴見区主催の公開保育、地区子育て支援イベントや、虐待研究会等に参加し、地域のニーズを把握しています。5歳児担当保育士は幼保小連携の活動に参加して子育て支援のニーズの把握に努めています。
●鶴見区の子育て情報サイト、広報よこはま鶴見区版等に掲載して情報提供しています。相談事業については鶴見区の広報誌や、鶴見区のホームページに子育て相談の案内、交流保育等の受け入れ、園の紹介を掲載し、育児相談に応じる旨を発信しています。また、子育て支援事業の利用者や園見学者にも園の情報を提供し、子育て支援のお知らせのポスターを作成して掲示板に掲示し、散歩時にはチラシを地域の子育て親子に配布する等、参加を呼びかけています。子育て支援イベントでは、保育園のパンフレットや子育て支援行事のお知らせを配布しています。
●地域への園の理解促進のための取り組みとして、園行事(入園式、運動会、卒園式等)に地域の親子、町内会、入船小学校長、第三者委員等を招待し、園運営への理解を深めてもらう機会にしています。入船小学校とは、年間を通して行事に参加して連携を図り、交流を深めています。また、近隣中学校の体験学習、高校生のインターンシップを受け入れ交流しています。年長児は入船小学校の学校行事(運動会)に参加し、手遊び等で交流を図り、良好な関係が築かれています。地域へはAEDの貸し出しを行っています。
5 運営上の透明性の確保と継続性 ●職員が守るべき規範や倫理については、保育士の倫理要綱や就業規則に明文化され、新人職員には、採用職員研修会で周知しています。職員には職員会議等で周知を図り、遵守しています。他施設の事故・不祥事等の事例について、マスメディアの記事、関係機関からの情報を回覧し、職員は規範について再確認し、事故防止の徹底を心がけています。経営・運営状況は会議で職員に周知をして共通理解を図り、決算、予算については社会福祉法人として法人のホームページで一定期間開示しています。
●ゴミ減量化、リサイクル・省エネ促進と緑化推進では、リサイクル活動を行い、牛乳パックで製作や家具製作等への活用を進め、ゴミ減量化の意識向上に取り組んでいます。省エネは庇の工夫、エアコンの温度設定を行い、使用していない部屋・廊下等の電気、エアコン等は細目に消すよう心がけています。また、「まちかど花壇」での花壇設置事業に申請し、地域、園の緑化推進に取り組んでいます。全体的な計画に「入船の森の自然を守る」計画を組み込み、環境への考え方、取り組みを明文化して環境整備に取り組んでいます。
●園の運営面における情報は、法人系列3園の園長会を通して運営や情報、分析について話し合い、情報を得ています。法人では、コンサルティング会社に依頼し、全体の保育園の状況、運営に関して分析結果を得、主任・園長会議で報告を受け、情報を園運営に生かしています。重要情報は、会議を通して全職員で話し合い、改善課題として園全体、法人・系列全園で取り組んでいます。また、保育所の自己評価や改善課題についても全職員で話し合い、より良い園作りに向けて取り組んでいます。
6 職員の資質向上の促進 ●常勤職員、非常勤職員の研修体制については、法人研修は全職員が参加できるよう配慮しています。また、職員のニーズに副って横浜市、鶴見区、市社協、白峰学園等の外部研修にも参加できるようにし、特に、行政のキャリアパス研修については、費用・時間を保証して参加できるようにしています。自主研修として、救急救命法(上級)、リズム、自然研修、ベビーマッサージ、ムーブメント等に積極的に参加して自己研鑽を図っています。研修受講後は、研修報告書を作成し、会議等で発表を行い、回覧をして知識の共有化を図り、保育に生かしています。研修の成果は見直し、研修は希望者だけではなく、経験に応じて参加を促す等、人材育成につなげています。
●常勤職員、非常勤職員等の業務組み合わせについては、状況、時間帯等を含めて全職員で対応し、配慮に努めています。非常勤職員の指導担当者は、園長・主任をはじめとし、全職員で対応しています。また、非常勤職員、常勤職員間でコミュニケーションを図りながら園の円滑な業務につなげています。
●経験・能力や習熟度に応じた役割基準は等級フレームに明文化され、全職員に配付および周知しています。各委員会・係、各行事担当、フリー、主任等の役割、主な仕事内容を明文化し、可能な限り権限を委譲しています。年1回、担当業務についての職員意向調査を実施し、意見・要望等を把握しています。

詳細評価(PDF2,730KB)へリンク