かながわ社会福祉サービス第三者評価推進機構

評価結果

横浜市菊名保育園(2回目受審)

対象事業所名 横浜市菊名保育園(2回目受審)
経営主体(法人等) 横浜市
対象サービス 児童分野 保育所
事業所住所等 〒 222 - 0011
港北区菊名3−10−20
tel:045-433-1259
設立年月日 1974(昭和49)年03月01日
公表年月 2019(令和元)年03月 〜
使用評価項目 横浜市版
評価機関名 特定非営利活動法人 ナルク 神奈川第三者評価事業部
総合評価(事業所の特色や努力、工夫していること、事業者が課題と考えていること等)

【施設の立地・特徴】
1.立地および施設の概要
横浜市立菊名保育園は、昭和49年3月開園し、今年で45年目を迎える保育園です。1歳児から5歳児までの子どもたち89名(定員78名)が在籍し、一時保育も受け入れています。
東急東横線菊名駅から徒歩13分ほどの高台に位置し、周辺には自然の地形を利用し緑に恵まれた公園や住宅街が広がっています。園舎は、鉄筋コンクリート造り3階建ての1階部分で、老人福祉センターが併設されています。保育園の建物面積は485u、園庭は383uあり、高台からの眺望に優れ樹木が茂る落ち着いた環境に立地しています。 
 
2.園の特徴
  広い園庭や近隣の桜山公園をはじめ多くの公園や自然の緑に囲まれ、子どもたちは四季を感じながら毎日を過ごしています。園庭開放を週2回行い、近隣の子育て世代にも喜ばれています。園庭での野菜の栽培・クッキングや保護者会共催の移動動物園・人形劇などの催しのほか、地域や併設の老人福祉センターとの定期的な交流など、保育理念の「すべての子どもたちが現在を最もよりよく生き、望ましい未来を作り出す力の基礎を培う保育」を実践しています。

【特に優れていると思われる点】
1.子どものありのままの姿を受けとめ心身の成長を支援する取り組み 
園目標の「元気で のびのび 遊べる子」を実現するため、緑に恵まれた広い園庭で子どもたちが屋外活動をする時間を十分にとっています。職員は危険がない限り子どもの自主性を尊重して遊びやゲームの様子を見守っています。運動会では子どもたちが話し合い、船を作ったり魚になって走る競技を取り入れています。子どもたちの「〜したい」思いからスタートしたカブトムシや亀の飼育をしています。また、園庭で野菜やさつま芋を栽培し、収穫したものを自分たちでクッキングしたり、給食やおやつなどに利用しています。子どもたちの興味を引き、友達と話し合い、思いを共有しながら活動を進めて行く取り組みを行っています。

2.子どもたちの園生活を保護者に伝える工夫
保育園での子どもの様子は、連絡ノートやクラスノートで保護者に伝えるとともに、保育の様子は写真に撮ってクラスに掲示し、その後ファイルに入れてクラスに常設しています。園行事の取り組みは廊下に掲示して、各クラスの子どもの様子を伝えています。さらに12月のお楽しみ会の前後2週間は、4月からの各クラスの主な取り組みのスナップ写真や異年齢交流の写真、製作した作品や絵画などを掲示して、子どもたちの成長の姿を保護者に知らせています。

3.全職員参加のプロジェクトによる保育園づくりと職員の資質向上
 今年度、職員一人一人が園について課題を出し合い、「環境」「コンプライアンス」「衛生」について1チーム6名前後のプロジェクトチームを作り、年間計画を立てて改善に取り組んできました。この取り組みの結果、全職員参加によるより良い保育園づくり、職員一人一人の資質向上に大きく寄与しています。

4.地域への子育て支援サービスの積極的な提供
  育児や親子遊びに関する話をする育児講座や、未就園児と触れ合う交流保育の実施、園庭開放日や育児相談日の設定、地域ケアプラザや地域子育て支援拠点の催しへの職員の派遣など、様々な地域子育て支援事業に参加しています。保育所としての専門サービスを提供し保護者の疑問や悩みに応え、子どもたちの健やかな成長をサポートしています。

【特に改善や工夫などを期待したい点】
1.3歳未満児の月間個別指導計画に個別の振り返りの記録ができる書式の定型化
3歳未満児の月間指導計画では、毎月、クラス全体の取り組み状況と保育士の振り返りを行い、自己評価を実施して所定の欄に記載しています。また、個別指導計画については、「現在の子どもの様子」から、「保育士の配慮事項」、「家庭との連携」を検討して記載し、職員同士で振り返り、話し合って、次月の計画につなげていますが、現在の横浜市の3歳未満児の個別指導計画の書式には、個別の子どもの支援についての職員の評価・振り返り欄がありません。個別指導計画の自己評価が記載できるよう、横浜市の書式の改善が期待されます。

評価領域ごとの特筆事項
1 人権の尊重

・子どもと接する時の話し方、言葉遣い、態度などについて、ミーティングでお互いに感じたことを話し合う機会を設け、子どもの名前を呼び捨てにしない、ニックネームで呼ばないなどについて周知徹底し、子どもとは目線を合わせて、子どもの言葉や気持ちを受けとめて応えていくようにしています。

・子どもに注意するときは、周りの視線を考え別の場所に行くなど人格や自尊心に配慮しています。子どもがゆっくり過ごせる場所として、保育室の片隅の本棚や衝立で区切られた場所や廊下や事務所に手作りの布マットを敷いたスペースを用意しています。着替えの時は、人目に触れないような場所を確保し、4、5歳児用のトイレにはドアを設置しています。

・個人情報の保護については、採用時とその後の園内研修で全員に周知し、ホームページや園内の写真掲載については、入園時に保護者の同意書の提出を受けています。個人記録は、事務所内の施錠された書庫で保管・管理し、職員間の伝達事項も他の保護者や子どもたちに聞こえないよう配慮しています。

・職員は毎年、横浜市の人権研修を受講し、ミーティングや会議で、性差への先入観を持って保育や保護者との対応を行っていないか振り返る機会を設けています。生活や遊びの中の役割分担、持ち物、服装などで性別による区別はしていません。

・虐待防止対応マニュアルがあり、「虐待の定義」については全職員が周知しています。虐待が疑わしい場合や見守りが必要な場合は、関係機関に伝えて連携をとり、家庭支援が必要な保護者に対しては、クラス担任が送迎時などに関われるような体制作りをしています。

2 意向の尊重と自立生活への支援に向けたサービス提供

・全体的な計画は、保育指針のポイント(育ってほしい10の姿など)をもとに、子どもの発達過程に沿ってねらいを明確にし、「子どもの最善の利益を念頭に日々保育を行っていく」など、菊名保育園で大切にしたいことを職員会議で話し合って盛り込んでいます。

・玩具は子どもの手が届く位置に置き、手前に玩具の写真やイラストを貼付して、取り出しやすく片付けやすくし、棚や衝立で仕切り絨毯を敷いて、落ち着いて遊べるコーナーを用意しています。全クラスで音楽に合わせて体を動かし踊ったりするリズム運動を取り入れ、自由に扱えるピアノやハンドベルを用意しています。

・職員は一斉活動の中で順番やルールを守ることを教え、遊びのヒントになるよう声かけをして、遊びの中に入れない子どもには声をかけゲームに誘い、一緒に遊んで遊びに関心を向けるようにしています。

・子どものケンカは状況に応じて対応し、乳児の噛み付きなどはすぐに仲裁し、言葉がわかる子どもの場合は、自分の気持ちを言葉で表現し相手の気持ちを理解して仲直りするよう支援しています。言葉でうまく伝えられない場合、職員がその子どもの気持ちを代わって伝え、必要に応じて仲立ちをすることもあります。 
 
・異年齢指導計画にもとづき、散歩、夏季交流保育、リズム遊び、おやつ交流などの行事を計画的に実施し、5歳児は1、2歳児室に行き着替えなどを手伝い、幼児クラスでは3〜5歳児が仲良しグループ3人組を作って様々な活動をしています。

・給食で子どもの苦手な食材があっても強制はせず、自ら食べようとする意欲を育て食事が楽しいものとの意識を大切にしています。毎日の喫食・残食状況を記録し、横浜市の献立検討委員会で、献立や調理について検討しています。子どもたちが育てたサツマイモでスィートポテトクッキングをしたり、5歳児はJA(全農)へ給食の食材を入手しに行き、食の循環を意識できるようにしています。

・午睡時は、職員が子どものそばについて子守唄を歌ったり眠れない子の体をさすったりして、休息をとることを教えています。乳幼児突然死症候群の対策として子どもは仰向けに寝かせ、1、2歳児クラスは10分ごとにブレスチェックを行っています。5歳児は、午睡時間を短くし年明けからは午睡をしない日を設定しています。

・トイレットトレーニングは家庭と連携しながらその子どもに合わせて個別に対応し、2歳児クラスまでは排泄状況を連絡帳で伝えて家庭と連携し、その後も便秘など必要に応じ排泄状況を伝えあっています。おもらしした子どもはカーテンのついたシャワー室で対応し、布団は子どもが特定できないように干して子どもの気持ちに配慮しています。

・1、2歳児クラスは個人連絡ノートで、幼児クラスはクラスノートで毎日の保育園での出来事や子どもの様子を伝えています。ローテーション勤務になり、朝夕の送迎時に担任と保護者が顔を合わせて話ができる機会が増え、子どもの様子を細かく伝えられるようになりました。 

3 サービスマネジメントシステムの確立

・指導計画は、実施するにあたり子どもの自主性や主体性を育て発揮できることを考え、年齢や発達に応じてわかりやすい言葉でその日の活動や行事について説明し、イラストや写真を用いて、子どもの理解が深まるようにしています。子どもの態度や表情などから子どもの意思を汲み取り、言葉で表現できる子どもからは意見や要望を聞いて、指導計画に反映させています。

・入園説明会で、要望・苦情の相談窓口として、園長と第三者委員の制度があることを説明し、重要事項説明書等にも第三者委員の連絡先を明記するとともに、その他機関の苦情解決窓口として、横浜市福祉調整委員会があることを掲示しています。また、意見箱を玄関に設置し、保護者が意見や要望を伝えやすいようにし、年度末の保護者アンケートの結果は保護者に公表しています。
  
・日常の保育では、各クラスの引き継ぎノートを使って一日の全保育時間の子どもの姿を引き継げるようになっており、日々のミーティングで伝達を要する事項について報告し、全職員が共有できる仕組みになっています。

・入園後の子どもや家庭の状況は、「経過記録」に記載し、「面談記録」と併せて進級時にはクラスごとの引き継ぎを行っています。転園時は、保護者からの要望や転園先からの問い合わせがあれば、必要に応じて情報を伝えています。また、就学前に提出する「保育所児童保育要録」は、小学校に郵送または手渡ししています。

・健康管理に関するマニュアルがあり、職員は、入園時の面談や児童健康台帳から子どもの既往症について周知し、熱性痙攣やアレルギーなどについて配慮が必要な子どもは一覧表を作成し留意しています。体調が優れない子どもについては家庭と連携をとり、健康状態を観察し、職員間で情報を共有し対応について話し合っています。

・安全管理、事故防止、災害対策に関するマニュアルにもとづき、災害などの発生時の緊急連絡体制を整え、避難訓練や通報の予行演習を行っています。園では医療機関リストを掲示し、警察署・消防署・保健所などの関係機関や保護者の緊急連絡先ファイルを事務所に保管し、緊急連絡に備えています。

・出入り口には電子錠を設置し、保護者は専用カードで出入りしています。不審者対応訓練を実施し、防犯システムとして、防犯カメラ、110番自動通報装置、非常通報ボタンを設置しています。 

4 地域との交流・連携

・保育園のパンフレットや育児支援事業のお知らせを港北区こども家庭支援課などの関係機関に置き、園のホームページや港北区子育て情報サイト「ココアプリ」でも住民に情報を提供しています。

・育児講座・交流保育の実施や育児相談日・園庭開放日を設け、保護者の意見を聞き、その際のアンケートでも保育園に対する要望の把握に努めています。港北区地域子育て支援団体のイベントに職員が参加し、育児相談を通じて得られたニーズを取りまとめ、年間支援計画を作成し対応しています。

・絵本の貸し出し、プールや園の音楽会への招待、ドッジボールの対戦などを通じて地域の親子や近隣園の子どもたちと交流しています。年長児は小学校を訪問して 1年生と交流し学校探検をしたり、ログハウスや図書館も利用しています。

・中学生の職業体験、高校生のインターンシップ、ボランティアや実習生を受け入れ、マニュアルにしたがってオリエンテーションを行い、気づきや感想、職員のアドバイスは職員間で共有し保育園運営の参考にしています。 

5 運営上の透明性の確保と継続性

・横浜市職員服務規程があり、職員は守るべき法、規範、倫理などを周知し順守しています。園長は、横浜市から提供される不正や不適切な事例をミーティングなどで伝え、職員がそれらの行為を行わないよう啓発し、園長会などで得た他園の事例報告や回覧を行っています。

・経営、運営状況は、横浜市こども青少年局や横浜市港北区から詳細な情報が公開されています。また、横浜市のホームページ「ヨコハマはぴねすぽっと」や園長会議の報告からも知ることができます。

・横浜市の「ヨコハマ3R夢プラン」に沿って、ごみの分別、リサイクルやリユースを行っています。コピーする時は裏紙を使用し、子どもたちにもわかりやすいように、各保育室にはゴミ箱にはイラストを貼り分別をわかりやすくしています。また、保護者には、園だよりでごみの分別の取り組みや廃材を利用した製作について知らせ、意識向上を図っています。

・園の理念・基本方針、園目標などは園内に掲示し、園長は年度初めや各会議で、理念、基本方針、園目標について説明し、その方針に沿った計画や保育の実践が行えるように、職員に理解を促す取り組みをしています。

・園長は日頃から保護者会と連絡を取り合い、連携を図っています。重要な意思決定や変更については、職員会議で十分説明・検討を行い、その目的や理由、経過を保護者にも丁寧に説明しています。5年後に民間移管が決定しており、保護者や入園予定の園見学者にもその旨を説明しています。

・重要な意思決定や変更などは、職員でプロジェクトを組んで進めています。今年度は5月に「環境・コンプライアンス・衛生」のプロジェクトチームを編成し、保育園の課題を明確にして園内研修を行い、計画を推進しています。

・運営に関する重要な情報は横浜市こども青少年局、横浜市港北区こども家庭支援課が情報を集積・分析し園に情報を提供しています。園運営に関する昨年の重要事項では、11時間開所にあたって情報を収集・分析し、保育園の状況に合うように業務の検討・改善を行い実施しています。

6 職員の資質向上の促進

・保育の質の向上について、園内研修やカリキュラム会議で話し合いを行っています。保育の自己評価は、計画のねらいと関連付け、子どもの育ちや意欲、取り組む過程なども重視して行い、翌月以降の保育の実践や指導計画に反映させています。  

・「横浜市人材育成ビジョン」が制定されており、職員の経験、能力や習熟度に応じた役割と期待水準が明文化され、それに基づいた保育士の人材育成計画が実施されています。横浜市や港北区から年度ごとの研修計画が提示され、正規職員は「キャリア自己分析表」を記入して、バランスよく研修が受講できるように自己確認をしています。

・園長は、年度初めと年度末に「目標共有シート」により年間目標の計画や結果の振り返りについて全職員と面談し、必要なアドバイスをするとともに「目標共有シート」にコメントを付け、評価結果を職員一人一人に開示しています。

詳細評価(PDF748KB)へリンク